【夢現】俺は赤頭巾ちゃん(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ


「え……あれ?」
 夢の中。
 これは夢だという感覚が、あなたにはあります。
「え、俺、女の子……」
 あなたは赤頭巾を被った女の子になっていました。

「赤頭巾ちゃん、これをおばあさんの家に持って行ってちょうだい」

 そうして、お母さんがあなたにワインとお菓子の入ったバスケットを渡します。
(ええ……? ま、いっか……夢だし……)
 あなたはそう思って、バスケットを持っててくてくと森の中を歩いて行きました。赤頭巾ちゃんの格好で。

 森をしばらく行くと、泉がありました。
 あなたはふと、赤頭巾になった自分はどんな姿だろうと思って、泉の方に道草に行きました。

 泉をのぞき込むと、あなたは本当に、赤頭巾の似合うそれはそれは可愛らしい女の子になっている事が分かりました。
(まあ、夢だからなあ……でも、俺、男なんだけどなあ……)

 あなたは困惑して、泉の前にため息をついています。

「グヘヘヘ……可愛い女の子を見つけたぜ!」

 そのとき、あやしい声が聞こえて、振り返るとそこには、狼男がいました!

「グヘヘ……お前を食べてやるっ!!」

 びっくり仰天しているあなたに襲いかかってくる狼男。あなたは大慌てで逃げますが、かぎ爪で赤頭巾のマントを引っかかれ、破かれてしまいました!
 なんという鋭い爪なのでしょう!

「やめろー!」
 武器も持っていない丸腰のあなたは逃げ惑います。
 狼男は平気であなたの赤頭巾や服を引っ掻いて破いていきます。
「可愛い女の子だな~……! 食べてやるぜ!」
 どういう意味なのでしょうか。

「畜生!」
 あなたは仕方なく、ワインやお菓子を投げつけたりバスケットで殴ったりしますが、まったくなけなしの抵抗。
 ついに服をあちこち破かれて押し倒されてしまいました。

「そこまでだっ!!」

 そこに、凜々しい男の声が響き渡ります。
 びっくりしていると、若い男が、狼男に飛びかかってくるのが分かりました。

 それは精霊です!
 あなたの精霊が、なんだか猟師っぽい格好で狼男に飛びかかってきたのです。

 精霊もまた、同じ夢の中に入っていたのでした。彼は気がついたら猟師の格好で森の中を歩いていたんですが、目の前が開けて泉がある……と思ったら、神人のあなたが狼男に襲われていたので、咄嗟に助けに来たのです!

 頑張れ精霊! 助けて精霊!

 だけど、その手にあるのはピコピコハンマーーーーー!!!!

 ピコピコハンマーでピコピコ殴ってあなたを救い出そうとする精霊。なんだかうるさそうな狼男。
 ピコピコピコピコ……いや、それぐらいなら普通に殴るか蹴るかしたら? 猟師なのに、銃はどうしたの?

(ええっ!? この夢、落ちはどうなっちゃうの……!?!?)

 精神分析的にどんな意味があるんだろう……あなたは夢の中で悩むのでした。

解説

 フィヨルネイジャの夢、童話風です。

 あなたは夢の中で赤頭巾ちゃんになって、いやらしい狼男に襲われます。
 そこに颯爽と現れるのがあなたの精霊。
 精霊は狼男と戦ってあなたを救い出そうとしますが……成功するでしょうか?

※精霊は以下のいずれかの武器を持って狼男と戦います。
1ピコピコハンマー
2オモチャのハリセン
3ミルクの瓶
4猟銃(これだけはまともです)
 お好きなものを選んで下さい。

※赤頭巾ちゃんは普通の女の子ぐらいの腕力しかありません。ですが、精霊と連携して戦う事も可能です。例えば土を狼男の目に投げる、下から股間を蹴るなどして、精霊を援助してもOKです。勿論、守られるだけでもOKです。

※二人で狼男を撃退して下さい。撃退出来なくとも精霊に手を取られて二人で逃げる、などのプランもOKです。

※登場人物はいやらしい狼男ですが、大勢の人が見るプランです。公序良俗は守ってください。

※無事、神人が助けられたらどんなやりとりをするかまで書いてください。

※その後、夢分析の本や赤頭巾ちゃんのシンボルの本などを買いあさり、300Jrかかりました。



ゲームマスターより

かっこよく倒す精霊も、なんだかしまらないけれど結局はかっこいい精霊も、素敵だと思います。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)

  くそっ、何でこんなに力が出ないんだ…!
なりふり構わず抵抗するけど、押し倒されて
俺は男だ!
離せ、この野郎!
必死で振り解こうとしていたら、フィンが来てくれた…!

…え?ハリセン?
と自分の目を一瞬疑うけど、フィンの作ってくれたチャンス、逃がす訳にはいかない
フィンのタックルに合わせて、狼男を懇親の力で蹴って逃れる

フィンだけに戦わせない
フィンの後ろから、狼男の顔目掛けて土を投げて視界を奪う
もう諦めて、何処かへ行け!

狼男が逃げていったら、フィンに深追いはいいと抱き着いて止めて

有難う…
フィンが来てくれなかったらどうなってたか…
何で力が出ないんだろうな
フィンに何かあった時は、絶対俺が助けるからな
お礼にキスをする


俊・ブルックス(ネカット・グラキエス)
  おいやめ…ちょっ、どこ触ってんだ!?

精霊の声にほっとする
ネカ!助けに来てくれたのか…えっ?
精霊が喋ってる隙に蹴られたはずの狼が態勢立て直して再度捕まる
んな嗜み聞いたことねえよ!?
というか説教はいいから早く助けろください!

猟銃ぶん回して攻撃してくるのを必死で避ける
捕まってるしちょうどいいや、狼を盾にしてやる
それにしても、ストレスとは無縁に見えるけど、結構溜まってんのかな…

…なあ、その銃なんか意味あんのか?
ああ、そういえば花を摘むために寄り道するって展開だったっけ
それから礼がまだだったな
助けてくれてありがとう
それじゃ一緒に行くか

ようやく気付いた真実
…ん?
つまりその銃、弾入ってなかったのかよ!?


歩隆 翠雨(王生 那音)
  え?この格好?
狼男?
訳が分からない内に押し倒されて
えーっと?俺、男なんだけど…って、服を破るなよ!
ちょ、誰か…!って、那音?

助けてくれるのか?
って、わわ!物騒だな…!

狼男!
危ないから逃げた方がいいぜ!
那音、やり過ぎだ…!もういいだろ、十分だ!
(ぎゅっと抱き着き止める)

あーもう、お前こんなキャラだったか?
どうって…お前は紳士な奴で…
『俺』?
…普段は『私』って言ってたけど、あれは作ってたって事か?
はぐらかすなよ
…って、本当に酷い恰好だった!
サンキュ…(どうにも照れ臭い。でも温かい)
んな訳あるか
俺がどれだけ怖かったかと…
…そうだ、ちゃんと言ってなかった
有難う
那音が来てくれて、助けてくれて…嬉しかった


●俊・ブルックス(ネカット・グラキエス)編
 その日、俊・ブルックスと精霊のネカット・グラキエスはフィヨルネイジャの夢の中に紛れ込んでしまいました。
 俊は何故か可愛らしい赤頭巾ちゃんの格好で森の中を歩いて行きます。そうして、泉を見つけて、自分の姿を確かめようとしてそこを覗き込みました。
 ところが、そこでいやらしい狼男が現れて、俊に襲いかかったのです!
「おいやめ……ちょっ、どこ触ってんだ!?」
 俊は勿論、びっくり仰天。大慌てで抵抗しますが、狼男が怪力である事に対して、俊の腕力はまるっきり女の子です。どうしようもありません。
「そこまでです、狼さん! とう!」
 そのとき、突然現れたネカットが狼男の後頭部に跳び蹴りを決めました。
 ネカットは猟師として夢の中に迷い込んでいたのです。
「ネカ! 助けに来てくれたのか……」
「いけませんよ、シュン」
「えっ」
「赤頭巾ちゃんたるもの、バスケットにハジキを忍ばせておくのが嗜みというものです」
 ネカットが話している隙に、蹴られたはずの狼男が体勢を立て直して、再び俊の事を捕まえてしまいました。
「んな嗜み聞いたことねえよ!? というか説教はいいから早く助けろください!」
 思わず悲鳴のように叫ぶ俊でした。
「とはいえ、猟銃の大きさでは入りませんね。仕方ない、では私がこれを使って狼退治と洒落こみますか!」
 ネカットは殺意の輝きを見せる笑みで俊と狼男に向かいました。
「くらえ! 猟銃キック! 猟銃アッパー! 猟銃ムーンサルト後方宙返り三回転半ひねり!」
 俊はネカットが猟銃ぶん回して攻撃してくるのを必死で避けます。
 ちょうどいいので狼男を盾にしたりします。
「一度やってみたかったんですよね、肉弾戦。普段は魔法攻撃ですから」
 そんな事を言いながら、ネカットは猟銃を鈍器として狼男を見る間に倒してしまいました。哀れ、狼男……。
「……なあ、その銃なんか意味あんのか?」
 自由になった俊は、ネカットにそう尋ねました。
「意味? もちろんありますよ。これで可愛い赤頭巾ちゃんのハートを狙い撃ち……なんてね♪」
 そう言ってネカットが笑顔で俊に銃口を向けると、花がポンッ。
「さあ、この花をおばあさんに持っていってあげましょう」
「ああ、そういえば花を摘むために寄り道するって展開だったっけ。それから礼がまだだったな。助けてくれてありがとう。それじゃ一緒に行くか」
 俊がネカットにお礼を言いました。
 それから二人は森の中の小径を歩いて行きます。そこで、ようやく、俊が事実に気がつきました。
「……ん? つまりその銃、弾入ってなかったのかよ!?」
「よく気が付きましたね。さすが私の赤頭巾ちゃんです」
 ネカットは俊のツッコミに満面の笑顔で答えるのでした。
 俊は思わず長く深いため息をついてしまいます。
「これだよ……」
 おかしな夢の中に入りこんでも、決してブレずに我が道を行く、それがネカット・グラキエスなのです。
「ま、いいか……前回の夢ではえらい目にあったし、今回はまだまし……でもないか」
 俊は引き裂かれた自分の衣服を見て、またため息をつきました。
 するとネカットは、猟師のマントを俊の肩にかけてくれました。
「可愛らしい赤頭巾ちゃんのその姿は目に毒ですよ」
「からかってるのかよ!? 俺は好きでこんな姿なんじゃねーぞ!!」
 喚きながらも俊はマントで自分の体を覆いました。
「ところで、前回って何の話ですか?」
「前回、白昼夢では……、そ、そりゃ、俺のコピーが……」
 そのまま口ごもってしまう俊でした。
 何しろ、前回、白昼夢を調査した際には、ネカットに対してデレデレになっている俊のコピーが登場し、彼に甘えまくったあげく、なんと「つかまえてごらんなさーい!」と本家俊の前で恥ずかしい追いかけっこを始めたのでした。
 そんな自分の姿を見るぐらいなら、狼男に襲われた方がまし……でしょうか?
 かなり微妙なラインで、俊はちょっと悩んでしまったのです。
「うーん、そうですねー。どうせなら、赤頭巾ちゃんのデレデレシュンのコピーにも登場してもらいたかったですね。そうして、狼男と本家シュンとコピーとで私を捕まえようと追いかけっこ。なかなか素晴らしい展開です」
「どういうことなんだよ!? お前、狼男に追いかけられてどうするんだ!!」
「それは、私と俊とコピーとでトリプルアタックでジェットストリーム……」
「オーバーキルだろ!!」
 どんどんヤバくなっていくネカットの発言に全力で突っ込む俊でした。
「そうそう、これです。照れて妬いて、ツッコミまで入れてくれる私のシュンが最高です」
 満足の笑顔のネカットです。
「だから、妬いてねえってば……! なんなんだよ全くもう……!」
 俊は自分のツッコミに疲れて顔を覆ってしまいながらも、ネカットと森の小径を歩き続けます。夢が覚める前に、一体、何回ツッコんだのでしょうか。そしてそのたびに、ネカットは何回満足の笑顔を見せたのでしょうね?

●蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)編
 その日、蒼崎 海十と精霊のフィン・ブラーシュはフィヨルネイジャの夢の中に紛れ込んでしまいました。
 海十は可愛い赤頭巾ちゃんになって森の中を歩いて行き、泉のところでいやらしい狼男に襲われてしまいました。
「くそっ、何でこんなに力が出ないんだ……!」
 海十はなりふり構わず抵抗しますが、呆気なく押し倒されてしまいます。
「俺は男だ! 離せ、この野郎!」
 必死でふりほどこうとする海十。その叫びが聞こえたのでしょうか――。
 フィンが現れました。
 押さえ込まれている海十を発見するなり、狼男の後頭部をハリセンで思い切り叩きます。相手が音で驚いた瞬間を狙って、タックルを入れて海十から引きはがしました。
「海十から、離れろ!!」
 フィンの本気の怒声です。
「……え? ハリセン?」
 海十は一瞬、自分の目を疑います。
 ですが、フィンの作ってくれたチャンスを逃がす訳にはいきません。
 フィンのタックルに合わせて、狼男を渾身の力で蹴って逃れます。
 フィンは海十が狼男から離れると、すぐに引き寄せて背中にかばいます。
「海十、俺の後ろに! 服を掴んで、絶対離れないで!」
 フィンはそれから、狼男の方を向き直ります。
「海十に手を出すなんて、良い度胸だね……覚悟は出来てる?」
 フィンの声は通常よりも三倍は低かったでしょうか。
 底冷えするような眼差しで怪物の狼男を睨みました。
 それからハリセンも使いようだという事に気がつきます。
「狼なら耳が良い分、この音はこたえるでしょう?」
 そうして耳元を狙ってハリセン連打。
 思わずよろめく狼男。
(フィンだけに戦わせない)
 海十はフィンの後ろから、狼男の顔をめがけて土を投げ、視界を奪います。
「もう諦めて、何処かへ行け!」
 さらにハリセンで追い詰めるフィン。
 ついに狼男は逃げ出しました。
「逃がすか……!」
 熱くなっているフィンは、狼男を追いかけようとします。
 そこで海十がフィンに抱きついて止めました。
 フィンは海十の温もりに、我に返ります。
「有難う……フィンが来てくれなかったらどうなってたか……何で力が出ないんだろうな。フィンに何かあった時は、絶対俺が助けるからな」
 海十はそう言って、フィンにキスをしました。
 フィンは上着を脱いで海十に着せ、抱き締めます。
「海十をこんな姿にして、本当許せない。心臓止まるかと思った……助けられてよかった」
 そう言って、今度はフィンの方から海十にキスをします。
 無我夢中のキスでした。
 海十はびっくりして目を見開きましたが、フィンが酷く心配して興奮している事に気がついて、彼の背中に腕を回して抱き締め、そのキスに答えました。
 やがて、二人は落ち着きを取り戻し、辺りを見回します。
「フィヨルネイジャの夢……だよな」
 今までの事を考え合わせて、海十がそう言いました。
「そうだね、夢から醒めるまで待つしかないね」
 フィンも半ば諦めた様子です。また狼男みたいなのが襲ってきたら……と思いますが、海十は必ず自分が守ります。
 とりあえず二人は綺麗な泉の隣に並んで座って、一休みしました。
「本当におかしな夢ばかりだよな」
 海十は首を傾げながら言いました。なんといっても、この間、フィンが金色の大きな狼になってしまうという酷い悪夢を見てしまったのです。
 その海十の表情を見て、フィンはすっと話題を変えました。
「俺は、今回のような目に合うんじゃなかったら、白昼夢でも好きなところはあるけれど」
「え? どんな?」
「そうだね。海十の歌を初めてちゃんと聞けたのもフィヨルネイジャだったしね」
「なっ……」
 赤頭巾ちゃんの海十が顔を真っ赤にしてしまいます。
 そうです、以前の白昼夢で、海十はフィンの人形を練習スタジオに連れてきて一人で歌った事があるのです。
 そのとき海十が歌ったのは自分達の想いの事でした。フィンを人形だと思い込めたから出来た事ですね。
「後は……俺の事が大好きな海十に抱きついてもらったりとか」
「待て待て待てっ!」
 海十が真っ赤になりながら慌ててフィンを止めようとします。実際に、海十のコピーがフィンに抱きついた事がありました。
「甘えてくれて可愛かったよね」
「待てよっ! あいつは、俺じゃないだろっ! 俺と同じ姿をしていただけだろっ!」
「ふふ、そうだけど、俺は海十の容姿だって好きだし」
 フィンは笑ってそう言います。
 海十はあのときのように目元を潤ませて小さく震えながらフィンを睨みます。あのとき甘えられないのにコピーが甘えているのを見た気持ちが込み上がってきたのでしょうか。
「ごめんね。からかってみたかっただけだよ。俺は勿論、身も心も海十の事が一番大好きだよ」
 そう言ってフィンは海十の肩をそっと抱き寄せました。
「バカ、驚かすな。フィン。俺だって……」
 海十はフィンの事を好きだと言い終える事もなく、フィンの胸に顔を埋めていきました。
 フィヨルネイジャはおかしな夢ばかりを見せてくるけれど、どうせだったら素敵な甘い夢を見てみたいと思います。
 そう、彼となら。
 フィンと、とびきり甘い夢を見てみたい--そんな気持ちで海十はフィンにぴったりと寄り添うのでした。

●歩隆 翠雨(王生 那音)編
 ある日、歩隆 翠雨は、精霊の王生 那音と共に、フィヨルネイジャの夢の中に紛れ込んでしまいました。
「え? この格好?」
 翠雨は訳が分からないままに赤頭巾ちゃんの格好で森の小径を歩いて行きます。そして泉のところで、いやらしい狼男に襲われました。
「狼男??」
 訳が分からないうちに押し倒されてしまいます。
「えーっと? 俺、男なんだけど……って、服を破るなよ! ちょ、誰か……!」
 びっくりして、翠雨は思わず大声を上げます。
 一方、那音は猟師の格好で森を歩いていましたが、泉で翠雨が押し倒されている事に気がつきました。
 目撃すると同時に、駆け寄って狼男を翠雨から引きはがします。
「翠雨さん、貴方は下がってろ」
「って、那音!?」
 翠雨はようやく狼男から離れて那音の方へ飛びつきます。
「助けてくれるのか?」
 しかし、那音が取り出したのは猟銃です。
「って、わわ! 物騒だな……!」
 那音は猟銃の引き金を容赦なく引きました。
 銃弾が狼男をかすめて飛びます。
「……使い慣れてないせいか、上手く照準が合わないな」
「狼男! 危ないから逃げた方がいいぜ!」
 本当に猟銃をぶっ放した那音を見て、翠雨は狼男にそう声をかけました。
「なら、当たるまで撃つだけだ」
 そういう訳で、那音は猟銃を連射しました。
 狼男が逃げ出しても、追いかけて撃とうとします。
「那音、やり過ぎだ……! もういいだろ、十分だ!」
 翠雨は那音にぎゅっと抱きついて止めました。
 翠雨に抱き締められ、那音は思わず動きを止めます。
 それから翠雨をジロリと睨み付けました。
「貴方が止めるから、逃げてしまった」
「あーもう、お前こんなキャラだったか?」
 その攻撃的で戦闘的な雰囲気に翠雨はイメージが崩れてしまいます。
「こんなキャラ? ……貴方には俺がどう見えているんだろうな」
 那音は嘆息しました。自分は翠雨のイメージ通りに振る舞わなければならないのでしょうか。
「どうって……お前は紳士な奴で……」
 説明しようとして那音の事を考え、そこでふと、翠雨は気がつきました。
「『俺』? ……普段は『私』って言ってたけど、あれは作ってたって事か?」
「……さあ? 貴方の空耳じゃないかな?」
 那音はとぼけています。それに対して、翠雨が何かを言おうとしました。それよりも先に、
「それより、随分と酷い恰好になったものだ」
 そう言って、那音は翠雨の格好を眺め回しました。
 翠雨は、狼男に襲われた赤頭巾ちゃんの格好――肌が露出しまくりです。
「……って、本当に酷い恰好だった!」
 自分の格好を見て、仰天して叫ぶ翠雨でした。
「こちらをどうぞ」
 那音が上着を脱いで渡します。
「サンキュ……」
 そこは小声で素直にお礼を言う翠雨です。どうにも照れ臭いのです。でも那音の上着は温かかったのでした。
「そのままじゃ、また襲って下さいと言っているようなものだしな。……それとも、襲って欲しい?」
 那音は、どこまで本気でどこからからかいなのか分からないような表情と声でそう言いました。
「俺がどれだけ怖かったかと……」
 恨みがましそうに翠雨は那音を見上げます。
「冗談だよ」
 那音は軽く笑ってそう言いました。
 二人は、なんだか疲れてしまって、泉の隣に並んで座ります。
 不思議な夢であるという感覚はあるのですが、何故に二人で同時に夢を見ているのか、どうして赤頭巾ちゃんと猟師の格好なのかなど、疑問は尽きません。
「ここはどこなんだろうな……赤頭巾ちゃんのいるような森の中?」
「さあ……もしかして……」
 不安そうに呟いた翠雨に対して、那音は思いついた事を述べました。
「ひょっとして、ここはフィヨルネイジャの夢の中ではないだろうか……」
「フィヨル……何?」
「A.R.O.A.の職員に聞いた事があるんだ。この世界には様々な地域があって、それによってウィンクルムの戦い方も違ってくるから……」
「え……そうだったのか?」
 びっくりする翠雨に那音は頷きかけました。
「フィヨルネイジャは女神ジェンマの庭園とされて、清浄な空気に満ちていて、オーガやデミ・オーガは存在しない。大きな一本の大樹を中心とした島で、大樹を横切る小川が島の端から滝として流れ落ちて行く。その川は空中で霧として変わっていくんだ……」
「へえ……実際に見られたら圧巻だろうな……」
 その光景を想像して、翠雨はため息をつきます。
「一度、それを写真に撮ってみたいもんだ……」
 翠雨はカメラのシャッターを切る仕草をしました。
「そのフィヨルネイジャが、数々の不思議な夢を私達に見せるんだ……夢を生む女神の庭園、という事だな……その白昼夢なら、色々な事が説明がつく」
「なるほどね……俺達はその夢を同時に見ているのか……それは」
 翠雨は、不思議な森の中を見回しながら言いました。
「俺達が、契約を結んだウィンクルムだから……なのかな?」
 そう言って、肩を竦めます。
「そうだろうな」
 那音も納得して頷きました。
「初めてのウィンクルムとしての冒険が、こんなんで、よかったのかね? まあ、何はともあれ、これからもよろしく。相棒」
 赤頭巾ちゃんの翠雨は女性らしさの欠片もなく、歯を見せて笑ってそう言いました。



依頼結果:大成功
MVP
名前:歩隆 翠雨
呼び名:翠雨さん
  名前:王生 那音
呼び名:那音

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 浅海雅美  )


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 03月03日
出発日 03月10日 00:00
予定納品日 03月20日

参加者

会議室

  • [4]歩隆 翠雨

    2017/03/09-01:15 

    滑り込みで参加させて貰ったぜ。
    俺は歩隆 翠雨。で…赤頭巾……(汗)
    兎に角逃げるっきゃないな!

    よろしく頼む。

  • [3]蒼崎 海十

    2017/03/09-01:10 

  • [2]蒼崎 海十

    2017/03/09-01:10 

    フィン:
    俺も猟師だよ!
    赤頭巾ちゃんの海十を助けるために、頑張ります!

    …さて、どう料理してくれようか…

    よろしくね!

  • [1]俊・ブルックス

    2017/03/07-15:04 

    ネカット:
    どうも、猟師です!
    そして可愛い赤頭巾ちゃんのシュンです!
    よろしくお願いしますねー。


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