一つの心と二つの体(弓原 響 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

人は、矛盾する気持ちを抱えることがあると言います。

恋人を世界で一番愛しながら、憎んでしまったり。
簡単なところで言うと、おいしそうな肉まんを食べたいけれど、太るから食べたくないって思うような。
そんな矛盾が、貴女を今回困らせることになってしまいます。

朝起きて、精霊に会いに行くと、同じ顔で同じ声をした精霊が二人いるではありませんか。

「ど、どうしたの!? どっちが本物?」

貴女は当然片方を偽者と思いますが、どうやら違うようです。

「「どっちも俺なんだ!!」」

詳しく話を聞くと、確かにどちらも貴女の精霊で間違いないのです。
原因はわかりませんが、精霊の高ぶる感情や想いが、強すぎるがゆえに矛盾を孕み、その矛盾が一つの体に収まらなくなってしまったがために体までもう一つ増えたのだそうです。
貴女は当然困ります。
精霊の本質は二人共同じですが、片方は素直に感情を表現するのに、もう片方が全然違うことを言い出したりするからです。

困った貴女たちが街を歩いていると、以前似たような出来事を体験した人から話を聞くことが出来ました。

「分裂してしまったのは、気持ちが強く溢れてしまって、一つの体には手に負えなくなっちゃったからさ。だから、二人の熱い気持ちを受け止めて、消化させてあげれば自然と一人に戻るよ」

「気持ちを……受け止める……」

大切な恋人の一大事です、どうか神人の貴女の力を貸してください。

解説

今回は、パートナーが二人になってしまいます。
けれど、どちらも本物。
抱える気持ち、性質が相反してしまっているだけなのです。
そんな彼らを、元通り一人に戻してあげてください。
戻す方法は、ただ彼らの主張を受け止めてあげること。
具体的な方法はみなさまにお任せします。

相反する感情、その二つがどんなものなのかもお書きください。
例としては

「貴女を好きすぎてまっすぐ感情を伝えたがる精霊」
「その感情が爆発して、逆に臆病になり冷たくなってしまう精霊」

だったり、コメディっぽくするのもいいと思うので、貴女とデートがしたいけれど、行き先に悩んで海に行きたい方と山に行きたい方に分裂して、二人からどっちにする!? と詰め寄られてみるのも可愛いエピソードになるかなと思います。
分かれた感情次第でシリアスにもユニークにもなれるでしょう。

みなさまの個性溢れるプランをお待ちしています!

困って街を出歩いた際に、飲食をしたので300ジェールを消費しました。

ゲームマスターより

人は誰しも矛盾した感情を抱える。
わかりきったことですが、その面白さに焦点を当てて物語が書けたらと思い今回のエピソードを書いてみました。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

上巳 桃(斑雪)

  はーちゃん、おはよー
…ん、はーちゃんが2人?
そっか、これは夢なんだな
夢だからもう1回きちんと寝直そう(すやすや

2人のはーちゃんで起こされると、さすがに眠気も吹っ飛ぶなあ

えーと…受け止めるってよく分かんないけど、じゃ、折角だしトランプのババ抜きしよう
だって、いつもははーちゃんと私の2人きりだったでしょ
それだと、ババ抜きしてもつまんなかったでしょ?
今日は3人だからきっといっぱい楽しめるよ


真衣(ベルンハルト)
  いっぱい構ってくれるハルトと。
いつもより真面目なハルト。
どっちもハルト。何かこまってて、それで二人になったのよね?
何ができるかな?

「ね、ハルト」二人の手をひいてきいてみる。
「何にこまってるの? 私もいっしょに考えるわ!」
だからおしえて?

となり?
笑顔がちょっとちがう二人の顔を見る。どっちのハルトもやさしいハルト。
私のしたいように。「なら、決まってるわ!」(にこっと笑う

「私はハルトといたいもの。私がしたいことは、ずっと前からハルトといることよ」
「それに、となりっていうのも。私が大人になったときにはもんだいないのよね?」(なんとなく察する

「あ、それとね。どっちのハルトも大好きなハルトよ!」(満面の笑み


想いが、一人の人間を二人に分けてしまう――。
強すぎる想いは、時として大きな矛盾を孕むことがあるという。
そんな矛盾が形となって、精霊の体を二つに分けてしまった。
にわかにはあり得ないであろう珍事に翻弄された、ウィンクルムたちの物語が始まる。



幸せそうに眠る上巳 桃のところへ、バタバタと足音が駆けてくる。
なんだか慌てているような感じが足音から感じられ、その音がいつもより一人分多いとも思えるけれど眠っている桃にはまるで察しようがなかった。
そして、その足音の主たちが昼寝中の桃を賑やかに起こした。

「主様! とっても大変なことに!!」
「一大事ですよ!!」
「んー、はーちゃんおはよー。……ん?」

寝ぼけ眼をこすりこすり、桃はやっと気持ちごと二人に分かれてしまった斑雪を見上げる。
斑雪は自分の体に起こった異変にどうしようもないくらい戸惑いながら主と慕う桃を見つめ返した。
ぼんやりした桃と必死な斑雪が極端な温度差で見つめ合ったのは、三秒ほどだった。

「はーちゃんが二人、そっか、これは夢なんだな。夢だからもう一回きちんと寝直そう」

桃はそういうなりまた布団を被ってしまった。

「「夢じゃないから目を醒ましてくださーい!!!」」

びしり、と綺麗に二人の斑雪のツッコミが決まった。
二人に分かれても染み付いたツッコミ気質が同時に発揮されてしまうのが、嬉しいような悲しいような。
桃は仕方無さそうに起きて、一人の斑雪が二人に分かれてしまった理由を本人たちから聞き出した。

「申し訳……ありませんっ。主様のお役に……ぐすっ、立たねばならぬのに、むしろ……足を引っ張ってしまい……!」

少し泣き虫な方の斑雪が土下座をせんばかりの勢いで落ち込む。
しばらく考えて、桃はぽんと手を叩いた。

「受け止めるっていうのはよくわかんないけど……せっかくだし、トランプのババ抜きをしよう」
「「な、何故!?」」
「だっていつもははーちゃんと私の二人だけだったでしょ。それだと、ババ抜きしてもつまんなかったでしょ?」

そう言われても、ああなるほど。と思えなかった斑雪たちは首を傾げる。

「今日は三人だから、いっぱい楽しめるよ」

それは桃なりに、二人の斑雪の気持ちを受け止めようとした心から出た提案だった。
それがわかった途端、二人の斑雪は正反対の反応で喜んだ。

「う…こんな拙者でも楽しめる遊びを考えて下さるなんて、やっぱり主様は優しいです……!」
「そうと決まれば、主様のために、拙者たくさんババ作ってきますよ!」

空回りしがちな方の斑雪がダッシュしようとするのを、桃がやんわりと止めてババ抜きをすることになった。



三人で小さな円を作るように座り、空回りな斑雪が楽しそうにさっさとトランプを配っていく。
すべて配り終わったところでそれぞれ手札を見、同じ数字同士を手札から出し切ったところで桃から時計回りに進む。

「いきますよ……てい! あ、揃いませんでした……」
「はーちゃん、そういうのは言わない方が良いかもよぉ」
「す、すみません! ではもう一人の拙者、引いてください!」
「では……これだぁ! あ、揃いました!」
「だからはーちゃん、言わないほうがいいって」

泣き虫な方も空回りな方も、根が素直で正直だからカードを引く度にわかりやすく表情を変えた。
桃からババを引き取ってしまった泣き虫斑雪は途端にぼろぼろ泣き出すし、そのババをまた引いてしまった空回り斑雪はあんぐりと口を開けてしまうのだからババが今どこにあるのか一目瞭然だ。
こんな風だから、桃がババに手を掛けると空回り斑雪は目をキラキラとさせて嬉しそうにする。
しばらくはその目を見てババを避けていたのだが、このままだとあんまり勝負がつかないから、敢えてババと知ってカードを引いた。

「……!!」

声を出さないようにしている分、空回り斑雪はいっぱい目を見開いて嬉しそうな顔をした。
桃はほっとしたようなため息を小さく吐いて、泣き虫斑雪に手札の束を差し出した。



「やりました! 拙者の勝ちです!」
「拙者も勝ちましたよ!」
「ありゃ、負けちゃった」

泣き虫斑雪にツキが回ってきたのか、桃が気遣ってババを取らないようにしてくれたのかは分からないが、勝負は二人の斑雪の勝利に終わった。
嬉しそうな斑雪をふっと口角を上げて見つめていた桃だったが、ふと空回りな斑雪が言った。

「主様が拙者たちを勝たせてくれたんですよね?」
「んー? どういうこと?」
「だって、主様は賢いですから、拙者たちの表情を読み取ってババを引かないようにするなんてお茶の子さいさいなはずです。でも主様は敢えてババを引いてくれたんですよね? 拙者たちを気遣って……」

正直、あれだけ喜怒哀楽がはっきりしていれば誰だってババを引かないようにするくらい訳もないと思うが、桃はつっこまなかった。
それにまあ、確かにわざとババを引いたのは事実な訳で。
変に謙遜することもなく、桃は「気遣ったっていうのは、ちょっと違うけど」と正直に言った。

「や、やはり主様は……! 主様がわざと負けてくださったのに、あんなに喜んで、拙者は自分が恥ずかしいです……っ」

泣き虫斑雪がまたぼろぼろと涙の粒を零した。
そうすると空回りな斑雪が「今度は拙者が負けますから、もう一回やりましょう!」と言い出してくるので、桃はそんな二人の斑雪の頭をぽんぽんと撫でた。

「喜んでいいんだよ。はーちゃんが喜んでくれて、私も嬉しいし」
「主様……?」
「楽しかったね、勝ち負けはどっちでもいいけど、またやりたいな。はーちゃんとババ抜きが出来て嬉しいよ」

その瞬間、また泣き虫斑雪はどばっと涙の洪水を溢れさせた。
桃のことが大好きで、大切にしたいという思いからとうとう分裂してしまった斑雪。
そんな斑雪の大きすぎる思いを、桃は意外なババ抜きという方法でその思いを受け止めてくれたのだった。
桃はぽーっとした顔で、二人の斑雪の頭を撫で続けながら言った。

「ババ抜き二回戦、やろっか?」
「「はい!!」」



また二人の斑雪は札を引いたり引かれたりに一喜一憂した。
桃は空回り斑雪から一枚引いて、泣き虫斑雪に手札を差し出したのだが……

「あれ? はーちゃんがいない」
「ここにいますよ!」
「そうだけど、もう一人のはーちゃんがいない」

しばらく共に過ごすうちに、桃はすっかり斑雪が二人いる事態に慣れてしまった。
だからその斑雪が一人いなくなったことに少し驚いていたのだけれど、もっと驚いた声を出したのが斑雪だった。

「あれ! 本当ですね、もう一人の拙者がいない! はっ!? 戻ったんだ! 主様、きっと拙者は戻ったんですよ!!」
「戻ったって?」
「分かれた拙者が、一人に戻ったんですよ!!」
「……そっか」
「今の間はなんですか主様!!」

はっきりとどこで斑雪の思いが解消されたのかはわからない。
けれども、桃によってその大きすぎる思いを受け止められ、斑雪は一人に戻ることが出来た。
斑雪は桃への感謝でまたじわりと涙を浮かべた。

「主様、ありがとうございます。主様のおかげで拙者は元に戻れました!」
「うーん、二人のはーちゃんの方がババ抜き出来るのにねぇ」
「ええー! 喜んでくれないんですかぁ!?」

斑雪は、また二人になったら桃が喜んでくれると思い直してうなり始めた。
「もう一度二人になるんですっ」と小さな声で呪文みたく唱えながら。
桃はトランプを片付けながら、眠たそうな声で斑雪を呼んだ。

「でもさ、これで一安心だね。ほっとしたら眠くなっちゃった、一緒にお昼寝しよう。はーちゃん」
「……、はい! お昼寝しましょう! 主様!」

麗らかな日差しをいっぱい浴びながら、桃と、一人に戻った斑雪はごろんと寝そべった。
幸せなまどろみの中で目をつむると、夢でも二人は一緒に遊ぶことが出来た。
夢の中でも斑雪は、桃への溢れる大好きな気持ちを、全身で表現していた。
桃はそんな斑雪へ、夢の中でも眠そうに、でも可愛い弟にするみたいにそっと笑いかけた。

「主様……大好きです」

その斑雪の台詞は、夢で発してから寝言となってむにゃむにゃと呟かれた。

ある晴れた日の、優しい物語はそっと幕を下ろした。



惹かれる心に忠実なベルンハルトと、そんな自分を抑制しようとするベルンハルト。
真衣はそんな微妙なベルンハルトたちの表情の違いを、何度も交互に見上げ比べた。

「どっちも、ハルトなのよね」
「ああ、そうなんだ」

穏やかに真衣に笑いかけるベルンハルトも、深刻な表情のベルンハルトも、大なり小なり困った様子である。
そんなベルンハルトたちは、どちらも正真正銘のベルンハルトであって。
真衣はそんな二人の力になるべく、自分の手を握っていた穏やかなベルンハルトの手を引き、真面目なベルンハルトの手を掴んで、こちらも引き寄せた。
二人のベルンハルトは少し眉を上げる。

「何にこまってるの? 私もいっしょに考えるわ!」
「「真衣……」」

背伸びをして、少し身を乗り出しながら無垢に笑う真衣に、二人のベルンハルトはそれぞれ微妙にニュアンスの違う笑い方をした。
穏やかなベルンハルトは、身を乗り出す真衣の体を倒れないよう優しく支えて、少し考えてから囁くように言う。

「真衣の隣にいたいんだ」

それは、一つの体だった時からのベルンハルトの素直な気持ちだった。

「となり?」

真衣は小首をかしげた。
そんな素直過ぎる自分に苦笑しながら、

「気にしなくていい。真衣は真衣のしたいようにな」

と、真面目なベルンハルトは言う。
真衣に惹かれる気持ちが強くなるほどに、元来真面目な気質のあるベルンハルトから出てきてしまう自分を許せない気持ち。
真衣の両親から信頼を受けて預かったというのに、こんな気持ちを抱いていいのかと、罪悪感にも似たような感覚が自身を苦しめていたのだ。
けれど、その罪悪感でさえも、真衣を想えばこそ出てくるのであって。
とうとう体が増えてしまうほど想いを溢れさせてしまったベルンハルトたちの笑顔をまた見比べて、真衣は笑った。

「なら決まってるわ!」
「「真衣?」」

あまりにあっさりと方針を決めたらしい真衣に、ベルンハルトたちはちょっと目を見開く。
真衣は変わらないニコニコ顔で

「私はハルトといたいもの。私がしたいことは、ずっと前からハルトといることよ」

ベルンハルトが二人になってしまうほど、自問し悩み抜いた願いをさらりと口に出してしまえるほど無邪気な真衣。
穏やかなベルンハルトは思わず握った手に力を込め、真面目なベルンハルトは引っ込めようとした。
しかしどちらのベルンハルトの手にも同じだけ力を込めたまま、真衣は言った。

「それに、となりっていうのも。私が大人になったときにはもんだいないのよね?」

真衣は、おぼろげに穏やかなベルンハルトの言う「隣」の意味を理解していた。
そして、その上で大人になれば問題ないと言う。
ベルンハルトの成熟したゆえの悩みを、正面から吹き飛ばすような笑顔。
しがらみもなく、慕う気持ちを弾けさせる真衣を見ていると、ベルンハルトはいつも敵わないと実感させられるのだ――。

「ありがとう、真衣」

仕方無さそうに、でも嬉しそうにベルンハルトたちは笑った。



二人のベルンハルトに挟まれて、真衣はニコニコと笑っている。
どちらのベルンハルトにも、区別なく屈託のない笑顔と優しさで接する真衣に対して、ベルンハルトたちの想いはじんわりと強くなっていく。
穏やかなベルンハルトは、そっと真衣の髪を掻き上げるように撫でた。

「真衣がそうして明るくいてくれるから、俺は今も深刻になり過ぎずにいられるんだと思う」
「そう? 良かったわ、ハルトには辛い顔をして欲しくないもの」

真面目なベルンハルトは、そんな真衣を見てしみじみと考えた。
恋い慕う気持ちも、いつかははっきりとさせなければいけない時がくるだろう。
しかし、今はまだその時ではないと思った。
真衣がこれからさまざまな出来事を体験し、少しずつ成長していく姿を見守りたい。
そのために、真衣のすぐ近くにいたい――。
だから、この苦しみも、少しの間は心の底にしまっていよう。
きっとそう遠くない未来に、また底から引き上げてやれる日が来るはずだと、真衣を見ていれば確信を持てるのだから。
真面目なベルンハルトはそんな風に考えて、心に渦巻いていた靄を徐々に取り払った。

「なんだか、真衣と過ごしているうちに、気持ちが楽になったように思うよ」

ぽつりと、真面目なベルンハルトは感謝を告げた。
真衣は嬉しそうに頷いて、また二人の手を両手で軽く引いた。

「どっちのハルトも、私の大好きなハルトよ!」

夕暮れの真っ赤な日差しを浴びて、オレンジ色のキラキラとした笑顔の真衣に、二人のベルンハルトは一瞬言葉を失った。
そして、今は二つに体を分けてしまったのに、同じことを考えたのだ。

ああ、こんなに眩しい笑顔が出来る真衣だから。
だから、俺はこんなにも惹かれているのだろう――。

熱い想いゆえに二つに分かれ、苦しめられたベルンハルトの心が、また熱い想いとなって一つに返っていく――
二人のベルンハルトは、徐々に霞に包まれていく。

「……は、ハルト?」

一瞬だけ不安に駆られた真衣だったが、次の瞬間にはまた嬉しそうな笑顔に変わる。
霞が晴れた時、ベルンハルトが、一人に戻っていたのだ。



夜、ベルンハルトは真衣の手を繋いで家まで送ることにした。
小さな星明かりの群れが、二人の顔をぼんやりと照らす。

「真衣、本当にありがとう。二人になってしまった時は、どうなることかと思ったよ」
「いいのよ、どっちのハルトも好きだったから、ちょっと残念だけど」

いたずらっぽく笑う真衣に、ベルンハルトは苦笑した。
ベルンハルトとしては、もう分裂するのは懲り懲りなのだ。

「ねえ、今日はハルトが二人になっちゃったけど。明日私が二人になっちゃうなんてことあるかしら」
「何か、強い思いを抱えているのか?」

少し不安に駆られたベルンハルトが尋ねると、真衣はちょっと首をかしげた。

「そういう訳じゃないんだけど、もしそうなったらハルトはどうするかなって」
「……真衣のように、上手に出来るかはわからない。だが、俺なりに両方の真衣の気持ちを受け止めようとはするだろうな」

答えに満足したらしい真衣は、スキップのように軽い足取りになる。
そして、ぽつりと言った。

「ねえ、ハルト」
「ん? どうした?」
「私、はやく大人になりたいわ」

そうしたら、もうベルンハルトもこんなに苦しまないのではないか、そう思った真衣の純粋な願いだった。
しかしベルンハルトとしては、真衣に無理をして欲しいとは思わない。
真衣なりの速度で、真衣らしく大人になって欲しいのだ。

「急いでも仕方ないさ。真衣は真衣らしく、自由に生きていけばいいんだ」

それは、ベルンハルトの心からの言葉。
愛しているからこそ、急かすことはしないと、決めている。
真衣は、夜の闇に白い歯を輝かせて、にこっと満面に笑った。

「ありがとう。ハルトは優しいのね」
「優しいのは、真衣の方だ」
「そうかしら?」

また二人は強く手を握り合って、夜の闇を歩いていった――。
星たちは、そんな二人を見守るように輝き続けている。



二組のウィンクルムは、今回の出来事を通じてまた一つお互いを知った。
神人を思う精霊の溢れる心、そんな精霊の心をしっかり受け止める神人――。
そのことを再確認出来た、この二組ならば、きっとどんな困難にも強い絆で乗り越えられる。
分かれた精霊の体は、もしかしたらそんなことを教えるために現れたのかもしれない。
桃も、斑雪も、真衣もベルンハルトも、お互いを思いやる気持ちを新たにすることが出来たのだった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 弓原 響
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 02月25日
出発日 03月02日 00:00
予定納品日 03月12日

参加者

会議室

  • [2]真衣

    2017/03/01-20:18 

    真衣です! よろしくお願いします。

    ハルトが増えちゃった。

  • [1]上巳 桃

    2017/03/01-11:23 


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