ひたすらお餅を食べるだけのお話(如月修羅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

その日、やってきた精霊に貴方は困ったように微笑む。
 どうしたの? そう問いかけられ、見せたのは白い板みたいなもの。
「おもち……?」
 どうやら近所の人にお餅を沢山貰ったらしい。
 お正月も過ぎた今、余ったお餅の使い道に困る人々もいるのは知っていたけれど、まさかうちの神人もなんて。
 そう笑う精霊に、自分も噴き出して。
 さて、この山のようなお餅をどうしようか? と2人で話し合い。
 例えば、お餅のスイーツ。
 和菓子でも、洋菓子でも、何でも美味しい。
 例えば、お鍋にしてもいい。
 餃子の皮に包むと、いい感じらしいよね。
 例えば、ホットケーキに入れてももっちもちで美味しいらしい。
 勿論、普通に焼いて食べるのだって美味しいよね。
 ネットや本で調べた情報を2人で見ながら、どうしようか? と首を傾げる。
 あぁ、いっそのこと何個かやってもいいかな、なんて。
「どうせなら、誰か呼ぶ……?」
 それもいいし、2人で一日お餅パーティーと洒落こむのもいいかもしれない。
 さぁ、この山のようなお餅をどう料理しようか。
 料理するだけじゃなくて、ちゃんと胃の中にも納めないといけないけれど!
「よし、決めた!!」
 立ち上がった精霊に、あぁ、それにするの? と頷いて。
 一緒に料理しようかと台所へ向かう。
 楽しい時間が始まるまで、もう少し……。

解説

 もしも他の方と一緒にやる場合は、【】で●●さんたちと、みたいに書いていただけると助かります。
あと、出来れば簡単にでいいので関係性と呼び方もあれば……!
勿論、それぞれ楽しむのも大歓迎です!!

色々用意したら、300jrかかりました。


ゲームマスターより

今年もお餅がすっごい余ってる如月です。
どうしよう……こいつら、……どうしよう………。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

信城いつき(レーゲン)

  餅ピザ/雑煮

それ多分お正月に食べきれなかった分だと思うよ(苦笑い)
でもありがたくいただきますっ。
ちょうどお昼だしピザにしよう、
お餅薄く切ってフライパンで焼きながら、具材をのっけてっと

雑誌で見かけたレシピだったけど、美味しかった
まだお餅残ってるけど夜は何にしようかな

雑煮?お正月に食べたのにいいの?
お餅も焼いたのが好きなんだ。俺は溶ける寸前まで煮込む派だけど
そうだね、俺の雑煮はご近所さんに教わったのだから、レーゲンが食べてきたのとは違うね

ううん、少し楽しいんだ。
レーゲンの事、まだまだ知らない事あるんだなぁって
きっかけをくれたお餅に感謝しないと
来年はレーゲンの食べてきたお雑煮に挑戦するからねっ


セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
  【火山家で。無理なら友人とでも】
料理するけど・・・食べれないよ?(少食
ふふっお邪魔します
助かります。君達もありがとう

こそっ)タイガ人増えてない?
ちょっと(焦)それに引っ越したんじゃ
そう(同棲を辞退したのもあるもんね・・・)

■配慮でサイコロ状も
汁粉、きな粉餅、磯辺焼き、あん餅、ずんだ餅、揚げ餅
創作のチョコ餅、クリーム餅

出来た物からどうぞ
あ、味は期待しないで下さいね

よかった・・・僕もいただきます
え!?(公認されて?でもまだ・・・・・・)
あの・・・不束者ですがこちらこそよろしくお願いします・・・!(真っ赤

タイガ!?皆の前っ
(何?でもタイガの言う事ならよい事なんだろうな。後戻りはできない立ち向かおう)


シムレス(ソドリーン)
  闇餅?
お互い好きな具を餅に入れランダムに取り 取ったら絶対食べ切る
というルール聞き了承
いいだろう 面白そうだ

台所
彼の物言いがからかい調なのはいつもの事
「…いつまでも以前の俺と思うな」

居間のコタツ
大皿には大量の闇餅
見た目でばれない様に布を被せていざ実食

一つ目
「!! 貴様これは塩辛…」
彼の好みの傾向から覚悟はしていたが…なんて物を
甘味苦悶の彼に
「上品な甘さはさぞ癒されるだろう?(反撃

ソーセージ
チーズ
明太子
辛子蓮根
餡子と栗
練乳と苺
等を経てとうとう最後の餅に
深呼吸一つ ぱくり
…ゴーヤの漬…物…
食べ切るまで30分


緑茶がうまい
「言ったろう 以前とは違う」
顔に出さないが彼に褒められ嬉しい
味覚崩壊も面白い体験だった


アーシェン=ドラシア(ルーガル)
  余った餅を口実に気になる相手を鍋に誘うといいと雑誌で読んだので、道中で餅を購入しルーガルの家へ行く
一つの鍋をつつき合うことで絆を深めるらしい の だが

まいった…想定外の展開だ
こういう場合はどうすればいいんだ?

ドアを閉められそうになって思わずルーガルの服の裾を掴む
でも正解の言葉が出てこなくて焦る
焦っていたら、気合を入れて昼を抜いてきたのが仇となり腹が鳴った

駄目だ無理だ戦略的撤退を行う
頼むから引き止めてくれるな
こんな情けない顔はあんたにだけは見せられない

だというのに、一緒に食うかと言われたら頷くしかない
腹は空いてるのに満腹な気がするのは何故だろう
味はよく分からなかった


ルアーク=ライアー(エディット=アギフ)
  餅なぁ…ってお前、エプロンなんて持ってどうすんだ?
あ?餅を料理する?何馬鹿なこといってんだ、お前
真っ黒な餅なんざ食い物じゃないっての
「あーあーあー、反論なんざ聞かないっての。いいから、おとなしく座ってろ」
あんなもんを食わされる位なら、俺が料理するっての
「で、何が食いたいの?」
一応、リクエスト位は聞いてやらなくもないけど
へいへいって、お前、馬鹿なの?甘いの忘れずにって甘いもんだらけだっての
(手際よく料理しつつ)
「ほれ、味見。しないなら、俺が食うけど?」
まだかうるさいから、餅ピザを口につっこんでやり

よくこんな食えるよな。見てるだけで腹いっぱいなんだけど
で、俺に礼はないの?(にっと笑い


●アーシェンとルーガルの場合 
 アーシェン=ドラシアはその日、とある雑誌で読んだ知識をもとにルーガルの家に向かう道中にお店へ寄っていた。
 曰く、余った口実に気になる相手を鍋に誘うといいらしいのだ。
 一つの鍋をつつきあうことで、絆を深めるらしい……とお餅をどんどんカゴにいれながら、さて、どうなるのだろう、と思っていたのだ……が。
 ドアをあけ迎え入れたルーガルの反応は、アーシェンが思うものと180度違った。
 大量のお餅を余ったからと見せられたルーガルは、瞳を軽く見開いて。
(余るほど食い物あるとか世界の違いを感じるぜ……まあでも いらないんならありがたく貰うに限るよな)
 こんなに大量にあるのならば、実家である孤児院におくってもいいだろうと算段を固める。
(チビ共は食べ盛りだし喜ぶだろ)
「こんな時は神人サマサマってな」
 袋を受け取りつつ、にっとルーガルが笑う。
 どうやら彼は自分を迎え入れてはくれなさそうで。
 まいった、これは想定外の展開すぎると、アーシェンは頭を抱えたくなった。
(こういう場合はどうすればいいんだ?)
「あんがとよ。じゃーな」
 困惑する彼の前で、ルーガルは非情にもそのドアを閉めようとする。
 慌てて伸ばした指先が、ルーガルの服の裾を掴めばルーガルの金色の瞳がその指先へと落ちた。
「………何この手」
 何、と問われれば答えを返したいのだけれど、なんと答えるのが正解か分からなかった。
 焦れば焦るほど、怪訝な表情になっていくルーガルに居たたまれない。
「何その顔怖ッ」
 眉根の皺ヤベェぞ? とそう言われて焦りが頂点に。
 ぐぅぅ! と鳴った腹の虫に、一気に場の雰囲気が変わった。
「……」
 気合を入れて昼を抜いてきたのが仇になったのだろう。
 そう冷静に判断する思考と、もう駄目だ無理だ、戦略的撤退をしなくてはならない! と混乱する思考が、速やかに足にと指示を出す。
「お前そんなに腹が減って……って、逃げるな」
 じりじりと後退し、顔をそむけたアーシェンに呆れたようにそう言う。
 頼むから引き留めてくれるなと、情けない表情だけでも隠そうとするアーシェンは、続いて聞こえてきた笑い声に足をとめた。
 普段、能面ばりの真顔なアーシェンの動揺している様子に、ルーガルは楽しそうに笑う。
 なんとなくわかった、とそう言うのだ。
 なんだか不審な動きをする己の神人は、どうやらまた、雑誌から何か変な情報を拾ったらしい。
「本当に仕方ねえなぁ」
 赤茶のぼさぼさの髪を揺らし、ルーガルがふっと笑った。
「俺も昼まだだし、一緒に食うか?」
 そういわれたら、アーシェンはそっとルーガルの方をみて、頷くしかなかった。
「調理は手伝えよ。野菜切るくらいはできるだろ?」
 そう言ってルーガル主導で作られた鍋。
 野菜を切って、味付けをして……と共に作った鍋は、ぐつぐつと美味しそうな香りを漂わせていた。
 ぐぅっと鳴ってしまいそうなぐらいお腹はすいているのに、すでに満腹な気がするのは何故なのだろう。
 アーシェンはそれが不思議で首を傾げる傍ら、さぁ、食べるぞ! とルーガルがよそい始める。
「うむ、我ながら良い出来の鍋!」
 一口食べれば広がる風味。
 アーシェンもそれに誘われるように一口食べ始め……。
 なんだか鍋をつつきながらあれやこれと喋っていれば、そろそろ食べ終わってしまう。
「一人より二人のが美味いってのは雑誌通りかもな」
 そう言って笑うルーガルを見ながら、そういえば味は良く分からなかったなぁ……とアーシェンが呟く。
(それにしても……)
 こんな気持ちになるのは、一体なぜなのだろう。
 もっと2人でこういう時間を過ごしていけば分かるのだろうか、とアーシェンは満足そうにお腹をさするルーガルをみて思うのだった。




●シムレスとソドリーンの場合
「晩飯はこれ。ロックの差し入れだ」 
 シムレスの元へ大量のお餅をお土産にやってきたソドリーンは、そういってどさりと重い音をたてながらお餅を置く。
 こんなに沢山のお餅をどう晩御飯にすればいいのか。
 置かれるお餅を見ながら暫し考えたソドリーンは、ふむ、とひとつ頷いた。
「ちょっと遊ぶか」
 遊ぶ? と首を傾げたシムレスにソドリーンが頷く。
「闇鍋ならぬ闇餅ってのはどうだ」
「闇餅?」
「お互い好きな具を餅に入れて、ランダムにとるんだ」
 とったら絶対に食べきる。といわれれば、ふつふつと湧き上がる好奇心。
「いいだろう、面白そうだ」 
 ルールに納得して一緒に台所へ向かうのだった。
 台所へ入れば、2人でそれぞれ具材を用意しはじめる。
 勿論、具がばれないように背中合わせだ。
「最近ロックの調理手伝ってるそうだな、自然に台所に立ってて笑う」
 お坊ちゃんな態度が抜けないけれど、良い傾向だと心の中で呟く。
 そんな彼の背では、このからかい口調なのがソドリーンだとシムレスは実感していた。
「……いつまでも以前の俺と思うな」
 ふぅん? とどこか笑いを含んだ声をききつつも、2人とも手は止まらない。 
 ソーセージやチーズ、それに甘い餡子や栗や、その他諸々。
 とにもかくにも、沢山の量の闇餅なるものが出来あがる。
 見た目で分からぬように布をかぶせれば、準備も万端だ。

 炬燵に入って、布の下へと手を伸ばす。
 さぁ、何があたるかと2人に緊張が走る……!
「!! 貴様これは塩辛……」
 シムレスが一番最初にとったのは、シムレスが作ったお餅だった。
 ソドリーンの食の傾向は分かっていて覚悟はしていたけれど、実際食べると物凄い衝撃が。
(なんて物を……)
「お、どうした? お子様舌には高尚過ぎたか?」
 眉を寄せる彼を見て煽りながら、ソドリーンも一個手にとり、ぱくりと一口。
 得てしてこういう時に、自分好みの味に当たらない。
「うごぉ、鬼甘ァ」
 羊羹の甘さに悶えつつそういうソドリーンににやりとシムレスが笑う。
「上品な甘さはさぞ癒されるだろう?」
 先程の反撃で、穏やかな笑みに切り替えてそういえば、ぐぬぬと2人の視線が絡み合う。
 よろしい、ならば戦争だ。

 明太子に辛子蓮根、餡子と栗と練乳と苺。
 ウィンナーとチーズの組み合わせはもっちもちで美味しかった。
 あれは甘すぎる、こっちは辛い、なんでその組み合わせにしたんだ。
 なんて、箸休めにお茶も飲みつつ、2人で感想を言いあう。
 味覚さえあえば、そんなに問題なさそうな組み合わせばかりなのだけれど。
 お互いにとって時に当たりが、時に外れがと繰り返し、肩で息をしつつとうとう残りは2個。
 じゃぁいくぞ、と深呼吸をして選んだものは。
「ゴーヤの……漬物……」
 なんというか、苦い。
 苦いのにもちもち。
 とても、辛い。
 シムレスの辛そうな表情を目に入れつつ、残った一つを手に取るソドリーン。
 パクリと一口。
「……うげぇチョコソースと生クリームとバナナ」
 広がったのは、チョコソースだけじゃなく、生クリームの甘さ、そしてバナナの甘さ。
 くっそ甘すぎる……とぼやき頭を抱えながら食べるソドリーン。
 これが逆だったならよかったのに。
 最後まで、自分好みに当たらなかったのだった。
 そんなこんなで30分後。
 苦いゴーヤととにかく戦い続け、シムレスは漸くその敵を倒し終えた。
 緑茶がうまいとシムレスはじんわりと達成感を胸にしつつお茶を楽しむ。
「最後まで食い切ったな。見直したぜ」
「言ったろう、以前とは違う」
 お茶をすすりながらそういわれ、顔には出さないもののやはり褒められれば嬉しいシムレス。
「味覚崩壊も面白い体験だった」
 俺もお前の反応が面白かったよ、とは言わず、ソドリーンは笑みを浮かべると緑茶のおかわりをいれるのだった。


●いつきとレーゲンの場合 
 ご近所さんからお餅を貰ったよ、とレーゲンが信城いつきへと声を掛ける。
 どさどさっと音がするぐらいの量のお餅に、青い目を驚いたように丸くするいつき。
 愛らしいな、なんて想いつつ、そんないつきをみながらレーゲンがいいにくそうに唇を開いた。
「いつきに……その、これ食べて大きくなれって」
 苦笑を浮かべるレーゲンに、これまた苦笑を浮かべたいつきが多分、お正月に食べきれなかった分だと思うよ、と返す。
 この時期までのこっているとすればそれしかないだろうと察しつつ、でも、とお餅を見ながら思う事はただひとつ!
「でも、ありがたくいただきますっ」
 いつきのその言葉に、それがいいねとレーゲンは微笑んで頷く。
 ご近所さんも、悪気があるわけではないだろう。
 それに、お餅食べて大きくなるのは縦より横な気もしないでもない。
 さて、ありがたくいただくことにしたこのお餅をどうするか……と思った所で、いつきがぱっと笑顔になった。
「ちょうど昼だしピザにしよう!」 
「ピザ? ちょっと想像つかないな」
 いつきの提案に、レーゲンがピザのお餅を想像しようとしながら首を傾げる。
 この白いお餅がピザというのは一体どういうことなのか。
「具材を切るぐらいなら手伝えるよ、どんな風に作るのか見てもいい?」
 そんなレーゲンに、任せて! といつきはレーゲンを伴って台所へと向かう。
「んじゃぁ、やるぞー!」
 2人仲良く材料を用意した後、お餅を薄く切って、フライパンへとのっけていく。
 その上に、レーゲンが切った具材をぱぱっとのせていけば……なるほど、ピザというのも分かる気がする、とレーゲンは緑色の瞳を細めた。
 じっくりじんわりと、お餅ピザが焼き上がって行く……。

 出来たお餅ピザを2人で並んで美味しく食べる。
 ほかほかもっちりのお餅ピザは、普通のピザとはやっぱり違う味わいで。
 のんびりとした時間にいつきは瞳を細めて、じっくりと味わっているレーゲンを見詰めた。
「外はさくさくしてるのに、中は柔らかくておいしいね」
 視線があって微笑みながらいうレーゲンに、頷くいつき。
「雑誌で見かけたレシピだったけど、美味しかった」
 最後の一つも美味しく食べつつ、あぁでも、と小さく唸る。
「まだお餅残ってるけど夜は何にしようかな」
 それはもう、沢山貰ったのだから。
 うーんと唸るいつきに、ちらりと視線をやって。
「夜は……お雑煮リクエストしていい?」
「お雑煮」
 ピザが気に入らなかった訳じゃないよ、それはそれで美味しかった! と言い添えるレーゲンにお正月も食べたのにいいの? といつきが首を傾げる。
「でもお雑煮に入ってるお餅も好きなんで……あと、できればお餅焼いてくれると嬉しいな」
 ぽつりと続けられた言葉に、お餅は焼いた方が好きなんだ、と頷いて。
「俺は溶ける寸前まで煮込む派だけど……そうだね、俺の雑煮はご近所さんに教わったのだから、レーゲンが食べてきたのとは違うね」
「せっかく作ってくれたのに、気を悪くしたかな? 細かいこと言ってごめんね」
 謝るレーゲンに、ううん、少し楽しいんだ。といつきが微笑む。
「レーゲンの事、まだまだ知らない事あるんだなぁって。きっかけをくれたお餅に感謝しないと」
 微笑むいつきにレーゲンも微笑む。
「今年いつきが作ってくれたお雑煮も美味しかったよ」
 だからもう一度食べたいって思ったんだ。
 そんなことを言ってくれたなら、頑張るしかないといつきは決意を新たにして。
「来年はレーゲンの食べてきたお雑煮に挑戦するからねっ」
「でもありがとう、来年もお雑煮よろしくね」
 来年という約束にほわんと温かくなる。
 来年は、もっともっとレーゲンと時間を過ごして今日とは違う姿が見れるのだろうから。



●ルアークとエディットの場合 
「餅なぁ……」
 とルアーク=ライアーはどっさりと置かれたお餅を見ながら呟く。
 これでもか! という量をみてどうしたもんか、と悩む彼の傍ではうきうきとエプロンをもったエディット=アギフの姿。
「ってお前、エプロンなんて持ってどうすんだ?」
 楽しいお料理タイムだよ♪ とさぁ、エプロンをつけて料理をするぞー! とやるき満々のエディットに伸ばされる指先。
 それに気がつかず、エディットは楽しそうに頭を悩ましていた。
「餅で何を作ろうかなぁ」
 鼻歌でもしそうな勢いのエディットがエプロンを首にかける寸前。
「あ? 餅を料理する?」
 ルアークが伸ばした指先が、エディットがエプロンを付けるのを阻止する。
 えぇ! と不満をあげるのを聞き流しながらルアークはエプロンをとり上げた。
 そして、心の底からの思いを告げる。
「何馬鹿なこといってんだ、お前」
 スリルは好きだという自覚はあるけれど、だからといってご飯にまでスリルを求めているわけではないルアークは、己の精霊のご飯を食べる気はまったくなかった。
 金の瞳を不機嫌そうに顰めたルアークに、オレンジの髪をふるりと揺らしエディットが唇を尖らせる。
「オレだって、料理できるのに」
「あーあーあー、反論なんざ聞かないっての。いいから、おとなしく座ってろ」
 エプロンとられた上に座ってろって酷くない?! とさらに抗議があがるのを聞き流しながら、真っ黒な餅なんざ食いもんじゃないってのとぼやく。
 ルビー色の美しい瞳を驚きに見開いて、エディットが首を傾げた。
「黒くても、餅は餅だろ? ルーだって頑張れば食えるって」
 頑張って食べないといけない料理というもの自体が問題な気がするのだけれど。
(あんなもんを食わされる位なら、俺が料理するっての)
 はぁっと溜息ついたルアークはちらりとエディットを見る。
「で、何が食いたいの?」
「ちぇっ……て、ルーが作ってくれるの?」
 ぱぁぁっと笑顔になったエディットは、一応リクエストを聞いてやらなくもないけど、というルアークに思いつくままに言葉をつづけていく。
「ホットケーキにきな粉餅」
 きらきらきらと輝きつつそういうエディットは、まだ止まらない。 
「それから餃子の皮にチーズと一緒にのっけてピザだろ……」
 まだあるのか、と思いながらも、リクエストは聞くと言ったからには最後まできくことに。
「あ、甘いのも忘れずにな! みたらし団子がいい!」
「へいへいって、お前、馬鹿なの? 甘いの忘れずにって甘いもんだらけだっての」
 きらきら笑顔で最後まで言ったエディットに、はぁっと今日何度目かの溜息を一つ。
「馬鹿じゃないって」
 ただ、絞れないだけ……と言葉を続けるのに背を向けて、台所へと歩き出す。
 来ないのか? と誘えばぱぁっと笑顔になったエディットも付いてくる。
「文句いいつつも作ってくれるから、ルーのこと好き!」
 そうかよ。と頷き、2人で台所へと入るのだった。


「早く早くーおなかすいた!!」
 手際良く作るルアークを覗き込みながらせかすエディット。
「ほれ、味見。しないなら、俺が食うけど?」
 口に突っ込まれた餅ピザに、幸せそうな笑顔になる。
 大人しくなったエディットの前に、どんどん料理がのった皿がおかれていって。
「いただきます!」
 美味しく食べる姿を見ながら、ルアークがぼやく。
「よくこんな食えるよな。見てるだけで腹いっぱいなんだけど」
 全部綺麗に食べ終えて、御馳走様しながらそう? と首を傾げる。
「で、俺に礼はないの?」
「お礼……」
 ぎゅっと背中に手を回してハグをして。
 ちゅっと額にキスをおとす。
「ふふん、今のオレはご機嫌だから特別だぜ?」
 ルアークは金の瞳を細めて満足げににやりと笑うのだった。



●セラフィムとタイガの場合 
 お餅が沢山あるから助けてほしい。
 そんなことを言われ、その日セラフィム・ロイスは火山 タイガと会っていた。
「助かるって! 餅買いだめちまってレパートリー増やしたくてさー」
「料理するけど……食べれないよ?」
 料理をすることにはなんの問題もないのだけれど。
 問題は、少食の自分が、主に食べる的な意味で消費する戦力になるのだろうか……とセラフィムは思う。
 それに関しては問題ない! という表情をしたタイガが、まぁまぁとセラフィムを誘う。
 案内されたそこは木造の家だった。
 あれ……? とセラフィムが瞳を瞬いた所で、タイガがにっと笑う。
「火山家へようこそ!」
「ふふっお邪魔します」
 と、促され入ったところで、わっと出てきたのはタイガの家族だった。
 勢揃いともいえる状態で、次々と挨拶されればセラフィムは驚きに瞳を瞬く。
 隣に居るタイガの尻尾はどこかご機嫌に揺れているようにも見えて、服の袖を掴んだセラフィムがこそりとタイガの耳に囁いた。
「タイガ人増えてない?」
「来るって言ったら、駆けつけてくれたんだぜ」 
 そんなセラフィムに、返ってきたのはどこか悪戯成功! とでも言いたげなVサイン。
 ちょっと……と焦るセラフィムが、それに、と声をひそめる。
「それに引っ越したんじゃ」
「ちょっと訳ありでさ。行く時にまた話す」
 今日は人手いるから実家なんだ。と言われればセラフィムはそっと瞳を伏せた。
 そう……と小さく頷く。
(同棲を辞退したのもあるもんね……)
 そんな様子をみて、タイガは瞳を細めた。
(セラ……)
 2人の様子に気が付いたのだろう、家族はそっと一声かけてすでに中にいて。
 ぽんっとセラフィムの頭をそっと撫でたタイガが、ほら、行こう? と促すのだった。

 そうして、料理を作ることになったのだけれど、手伝うよーと数人が手をあげて。
 お汁粉に、きな粉餅、磯辺焼き、あん餅。
 次々と共に作っていくのはいろんな種類のお餅達。
 材料もどんどんと消費されていく。
 ずんだ餅、揚げ餅、さらに創作のチョコ餅、クリーム餅……。
 これを一人で作っていたら多分、一日かかっていただろう。
 ありがとう、助かるよと微笑むセラフィムをみて、可愛い! とタイガも微笑みを浮かべた。
「出来た物からどうぞ。あ、味は期待しないで下さいね」
 目尻を染めたセラフィムの愛らしさにタイガの尻尾が幸せそうに揺れる。
「もう頂いてる! 好評だ!」
「よかった……僕もいただきます」
「はー……うまい」
 隣に座るセラフィムに瞳を細めつつ、作って貰ったお汁粉から顔をあげる。
「親父の汁粉は砂糖の塊でガツンと殴られてるようで酷でーんだぜ~」
 そうぼやけば、同じくお汁粉を食べつつ、無骨なのが男の料理だ。と答えが返される。
 見習ってくれよとぼやくタイガに、セラフィムが笑みを浮かべた。
 その時だった。
 息子をよろしくお願いします。
 俺らも応援してる。
 という言葉に、セラフィムの瞳が見開かれた。
(公認されて? でもまだ……)
「あの……」
 皆からの視線に顔が熱くなって、緊張していくのが分かる。
 それを感じたのか、タイガの視線が自分に向いたのを感じた。
「不束者ですがこちらこそよろしくお願いします……!」
 その言葉に、皆がわっと嬉しそうに笑ってくれて。
 あぁ、自分は歓迎されているのだとじんわりと暖かなものが広がって行く。
「セラ……! 安心しろ」
「タイガ!? 皆の前っ」
(何? でもタイガの言う事ならよい事なんだろうな。後戻りはできない立ち向かおう)
 言葉にはされなかったけれど、強く抱きしめる腕から隣に居るという気持ちが伝わってくる。
 抱きつかれて慌てるセラフィムと、大喜びで尻尾を振るタイガを、火山家の皆は微笑ましく見守るのだった……。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月17日
出発日 01月23日 00:00
予定納品日 02月02日

参加者

会議室

  • [6]セラフィム・ロイス

    2017/01/22-23:40 

    :タイガ
    こっちも直前飛び入りだ。一応書いてきたけど無謀だったかな
    でもうん、思い切ってみようか(え)餅はオーソドックスになりそうだけど

    ともかくタイガとセラだ。よろしくなー!

  • [5]ルアーク=ライアー

    2017/01/22-22:39 

    直前の飛び込みだけど、ルアークと相棒のエディだ。
    よろしくな。

  • [4]信城いつき

    2017/01/22-22:20 

    せっかくお餅があったのでスタンプ押しちゃった
    信城いつきと相棒のレーゲンだよ、出発直前の飛び込みの参加になったけどよろしくね!

  • [3]信城いつき

    2017/01/22-22:19 

  • アーシェン=ドラシアという。精霊はルーガル。
    よろしく頼む。

  • [1]シムレス

    2017/01/22-15:41 

    シムレスだ、相方はソドリーン。
    よろしく。


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