雪道のアクシデント(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「ああ……歩きづらい……」
 あなたは革靴で雪道を歩いています。ところどころ、道路は凍結しているようです。
「仕方ないだろ……」
 精霊の方も同じような状態。
 昨日から雪が降り積もっていたのですが、朝、起きてみたらこの冬一番の大雪--としか思えない光景が家の前で広がっていました。
 しかし、あなたと精霊は、先日終えた任務の件で、どうしても今日中に本部に行かなければならないのです。
 何とか交通機関を頼ろうとしたのですが、案の定、どこも麻痺していて、結局徒歩で行く事になりました。まあ行けない範囲ではないのですけど。
 そして、どういう訳か……去年履いていた冬用のブーツが底に穴が開いていて、履けず。二人とも、革靴で雪道を歩いています。
「うわっと!」
 そのとき、あなたが凍結した路面で足を滑らせました。
「……おいっ」
 精霊が、その手を引っ張りました。
 ですが、精霊だって革靴です。

「ギャ!」
 
 精霊も足を滑らせ、あなたは足をもつれさせ……
 気がついたら、あなたは、道路の脇で、精霊に思い切り押し倒されのしかかられていました。
 至近距離に精霊の顔。
 精霊も、状態に気がついて硬直しています。

 天下の公道で押し倒されてしまったあなた……さあ、一体どうすればいいでしょう!?

解説

 雪道を歩いていたら足を滑らせて、精霊(神人)に神人(精霊)が押し倒されてしまったというエピソードです。
※本文通りでなくても構いません!
※不意打ちで、どちらかがどちらかを押し倒してください。事故です。
※事故で押し倒してしまったら--というものでしたら、屋外でも屋内でも構いません。事故を装って押し倒してみたら、というものも受け付けます。
※押し倒したら、相手はどんな反応をしたでしょう。様々なやりとりをプランに書いてください。
※公序良俗は守ってください。何があってもキスまでです。
※まともな靴を買いに行こうという話になって、300Jr消費しました。
 

ゲームマスターより

GMは元は北国育ちなので、凍結路面は普通に歩けますが、現在西日本在住ですので、たまに降る雪で起こる都会のパニックは興味深いです。
皆様、雪道には充分お気をつけください。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)

  雪を見るとテンションあがるっていうか?
ついわくわくしちゃうんだよ。だからラキアを誘って散歩に出たんだ。
「おおっ、滑るー」
少々滑っても体勢立て直せるから、問題ないし。
いつもは無いスリル感が楽しい気がするぜ。
雪景色が楽しくて、ラキアもキョロキョロしてたんだよな。
ラキアが滑った!
オレのトコへコケてくる!
避けるか?
否!
ここはラキアを受けとめるトコだ!
そのままコケたらラキアが怪我するかもしれねーし。
オレ、受身得意だし!
「や、へーきへーき。そんなに重くないし」
重くは無いが、ラキアの方が身長デカイ分、乗っかかられたら身動きとれねぇ。
誤算だ(笑。
ラキアの頭撫でて誤魔化そう。
「怪我無くて良かったじゃん」と笑顔。


シムレス(ソドリーン)
  「歩いてるさ!」

置いていかれない様に歩くが雪の所為もあり辛い
だが彼の前で弱音を吐くつもりはない

「近道…」
ロックを待たせたくないので素直に従う
さっきから彼が俺の速度に調整しながら歩いているのが気になる
彼の配慮だと分かるが悔しい
足を速めて彼の先に出ようとして足が滑る

彼を見上げ寝そべっていた
「何が起きた?」
彼がどけようとしたので先程から思っていた事を言いたい一心で
思わず掴んで引き寄せてしまった
近さに緊張するが逸らすのは逃げる様で嫌だ
呼吸を整えキッと睨み
「俺は大丈夫だ」
「俺の速度に合わせなくていい ついて行ってみせる」

待合せの店の玄関前
ぜーぜー
多少距離は離れたがやり遂げた
肩ポンに薄く笑む


アーシェン=ドラシア(ルーガル)
  最短距離で進もうと路地裏の道を選んだところ、足を滑らせたルーガルに地面に倒された
咄嗟に頭を庇われたので怪我は無いが、背中が凄く冷たい

事故で押し倒された場合にはどうするべきかはまだチェックできていなかった
動くに動けん
俺はあとどれくらいあんたの下で待ってればいいんだ

ただ、のしかかるルーガルの体温は心地いいので、暖を取ろうと頬を摺り寄せる
あれ【2】以来、あんたの温かさに触れると落ち着く

が、次の瞬間支えられていた頭を路面に落とされた
おい

さっきのようなことは誰にでもするのかって?
いや、パーソナルスペースは尊重する方だ
ただルーガルだったら別にいいかと
駄目だったか?

…どうした、頭を抱えて
風邪をひいたか


●アーシェン=ドラシア(ルーガル)編

 その日はとても寒い、大雪の降り積もった日でした。
 アーシェン=ドラシアと精霊のルーガルは革靴のまま、A.R.O.A.へ出向く事になりました。
 マニュアルで動いてばかりいるアーシェンは、前夜の大雪が降る静かな時間に、自宅からA.R.O.A.への地図をネットで検索して調べていました。
 ルーガルの自宅からA.R.O.A.。アーシェンの自宅からA.R.O.A.。それからルーガルとアーシェンの自宅の距離……。
 そのうち、ルーガルとアーシェンの自宅からA.R.O.A.に向かった方面で、一番均等の距離にあるコンビニを見つけて、そこを待ち合わせの場所にしました。
 そして翌日は、待ち合わせの時刻5分前に到着です。正にマニュアル通り。
「そういうのって疲れないのか?」
 時刻より1分だけ遅れてきたルーガルは、怪訝そうに聞きましたが、アーシェンは意味が分かりません。
「俺はいつも通りだ」
「ふうん……」
 ルーガルは半ば諦めた様子でした。それでもアーシェンは放っておけません。
 アーシェンはA.R.O.A.まで最短距離で進もうと、路地裏の道を選びました。
 路地裏の道は日が差さず寒く、道路はカチコチに凍り付いていました。
 アーシェンはルーガルよりも歩幅が狭いのにさっさと先を進みます。ルーガルは遅れまいと足を速め--足を滑らせて転びました。
 そのとき、もつれてアーシェンを引っかけてしまいました。路面が凍っているせいで踏ん張れません。
 アーシェンはルーガルに地面に倒されてしまいます。咄嗟に頭を庇われたので、怪我はありませんが、背中が凄く冷たいです。
 ルーガルはアーシェンを庇った腕も痛くて、すぐには起き上がれません。
 アーシェンは、女性雑誌で、事故で押し倒された場合にはどうするべきかはまだチェック出来ていませんでした。動くに動けません。
(俺はあとどれくらいあんたの下で待ってればいいんだ)
 アーシェンは押し倒しているルーガルを見上げます。
「真顔でこっち見んなよ」
 ルーガルは照れて顔を背けました。
 アーシェンはただ、のしかかるルーガルの体温が心地いいので、暖を取ろうと彼の頬に自分の頬をすりよせました。
「あれ以来、あんたの温かさに触れると落ち着く」
 あれ、とは、フィヨルネイジャの白昼夢の事です。
 獣と化したルーガルとアーシェンが戦い、ルーガルとアーシェンは……

『今ハ 寂シクナイ』

 酷く歪んだ幸せな一つの感覚を共有しました。
 アーシェンの示す『あれ』とは、そのことです。
 ルーガルはぎょっとして身を竦めます。
 何とか腕に力を入れようと奮闘していたルーガルですが、不意にアーシェンに頬を寄せられ、さらりと凄い言葉を聞いて、思わず彼から手を離してしまいました。
 痛そうな音がしました。ですが、ルーガルはそれどころではありません。
「おい」
 アーシェンが声を上げますが、ルーガルは焦るばかり。
(シャンプーか? 髪から良い匂いがした……いやいやいや)
 一人で赤くなって冷や汗をかくルーガルでした。
「お前、誰にでもそうするのか?」
 ルーガルが尋ねると、アーシェンは怪訝そうな顔をします。
「いや、パーソナルスペースは尊重する方だ。ただルーガルだったら別にいいかと。駄目だったか?」
 さも当然のように、彼は答えるのでした。
(これもいつものマニュアルか……?)
 アーシェンの日課は、女性向け雑誌の恋愛コーナーを熟読して、重要ワードに蛍光ペンで線を引く事なのです。
 人間関係においてもマニュアルに頼りがちな彼なのでした。
 それで今回もルーガルはそれを疑ったのですが、アーシェンは不思議そうにルーガルを見つめるばかりです。
(素か。素かよ)
 ルーガルは自分の方がマニュアルに頼りたくなりました。
 こんなとき、どうすればいいのでしょう。
「お前、精霊だからって身を任せすぎだろ」
 そう言っても、アーシェンは不思議そうな表情を崩しません。
(本当、俺がしっかりしないと。若干顔が熱い気がするが、きっと寒いからだ)
 アーシェンは自分の髪の毛をかきむしります。
「……どうした、頭を抱えて。風邪を引いたか」
 そこで、生真面目だけれど淡々とした声で、アーシェンがそう言いました。
「あーそうだよ風邪だよ! 多分な!」
 最早やけくそでそう叫ぶルーガルでした。
 やっとの事でルーガルは身を起こし、それにならってアーシェンも上半身を起こします。
「風邪なら俺が看病してやろう。体を温かくして、栄養のあるものを取って、それから……」
 アーシェンは胸元から取り出したスマホで何かを検索しようとし始めました。
「いいよ、風邪ぐらい、自分で治せる。そんなのは慣れてるんだから」
 ルーガルは慌ててアーシェンを止めようとします。マニュアル好きのアーシェンがネットで拾った知識で自分に何をしようとするのか、少し恐かったのです。
「ん?」
 スマホを引っ込めさせようとしたルーガルの顔を、アーシェンは間近から振り返りました。ルーガルは思わず、また転びそうになりました。
「大丈夫か?」
 何とかバランスを取っているルーガルに、アーシェンは不思議そうな顔。その手元のスマホには。

……風邪こそチャンス! 彼の家にお泊まり看病で一気にハートを掴んじゃおう!……

 そんなマニュアルが表示されていたのでした。ルーガルはもうどうしていいのか分からず、ただ凍結路面の上で絶妙なバランスを取りながら、明日はどっちだと心の中で叫ぶのみでした。

●シムレス(ソドリーン)編

「しっかり歩けシム」
「歩いてるさ!」
 シムレスと精霊のソドリーンは、凍結した路面の上を革靴で歩いています。
 ソドリーンは距離が離れないように、たまに確認しつつ歩いているようです。
 二人はロックリーンと三人で外食する事になり、待ち合わせの場所に向かっている途中でした。
(遅れちまいそうだ……)
 ソドリーンは腕時計をちらりと見ながら先を急ぎます。
 シムレスは置いていかれないように急ぎ足で歩きますが、雪のせいもありかなり辛い状態です。
 ですが、ソドリーンの前で弱音を吐くつもりはありません。
 去年の正月には、一緒に船の中で獅子舞をして、ソドリーンに途中で投げ出しそうだと縄をつけられ強引に舞わされた事が嘘のようです。
 その後も、シムレスはソドリーンとロックリーンに順調に鍛えられてきたのでしょう。
「この辺そういや近道があったな。来いシム!」
 そう言ってソドリーンは公園の木々の間を突き進んでいきました。
「近道……」
 ロックリーンを待たせたくありません。
 シムレスは何も言わずに足を速め、先を行くソドリーンに肩を並べました。先程から彼がシムレスの速度に調整しながら歩いているのが気になったのです。彼の配慮だと分かりますが、悔しいのです。
 シムレスが横に並んだ事に気がついて、ソドリーンは振り返ります。
(おいおい無理すんなよ)
 そう、声をかけようとした途端。

 シムレスが足を滑らせました。

 同時にソドリーンも足を滑らせました。

 気がつくとシムレスはソドリーンを見上げて地面に寝そべっていました。
 ソドリーンの目前にはシムレスの顔。
「何が起きた?」
「転んだんだな、二人して」
 ソドリーンがシムレスからどけようとしました。
 シムレスは先程から思っていた事を言いたい一心で、思わず彼をつかんで引き寄せてしまいました。
 ソドリーンの心臓が密着の体勢に跳ね上がります。
 驚きのままにシムレスの顔を見つめてしまうソドリーン。
 シムレスは近さに緊張しますが、顔を逸らすのは逃げるようで嫌でした。
 呼吸を整え、凛と彼の目を見つめます。睨むように。
「俺は大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだ?」
「俺の速度に合わせなくていい。ついて行ってみせる」
 ソドリーンはようやく、気遣われていたのが気に入らなかったのかと察して、ニヤリと笑いました。
「言ったな。いいぜ。途中でへばっても置いてくぞ」
 そしてソドリーンは立ち上がり、全く甘やかさない態度で待ち合わせの場所に向かいました。シムレスは全力でついていきました。
(見返したい……!)
 君色花の時に吐露した、あの強い感情が沸き起こって来たのです。

 やがて、待ち合わせの玄関前。
 シムレスは膝に両手を置いて、ぜえぜえと肩で息をしています。
 ソドリーンから、多少、距離は離れたのですが、置いて行かれずについてきて、やり遂げたのでした。
「根性見せたな」
 ソドリーンは笑って肩をポンと叩きました。
(ロックの洗脳のせいか?)
 シムレスがお坊ちゃまから変わっていく事をソドリーンは感じ取ります。
 シムレスはそれに薄く笑みを返しました。
 そして、自分の中に彼を意識した事実を自覚しました。
(ソドリーンの重荷になりたくない……)
 それは、言葉を言い換えるならば

(彼の隣で。彼と同じ歩幅で歩きたいんだ……)

 そういう強い願いだったのかもしれません。
 君色花を交換したのは去年の夏から秋でした。
 それから時は巡って、新年を迎え、彼と、ロックリーンと三人でこうして会っています。
 シムレスは無茶もしましたし、それをソドリーンにたしなめられる事もありました。
 だけど、あのときの君色花の色。
 あの後、一週間程度で砕けてしまった花の事を、シムレスはまだ覚えていました。
 ソドリーンの花。中心が赤で、外側に向かってオレンジから黄色へと綺麗なグラデーションになっていた花……。
 それを見た時の彼の不敵な笑み。
 それに対して、シムレスの花はソドリーンに「迷宮の中で眠っている」と表現されるような灰色と藍色でした。
 あのとき、シムレスは、ソドリーンに「羨ましい」と言いました。彼の持っている情熱が。野望が。それに対していつも「見返したい」と思っているのにいつまでも眠っている自分が。
……「本当に情けねぇのはこのまま腐る事だ。眠って力蓄えてから起きりゃいいんだよ」
 そんな彼にそう答えたのがソドリーンでした。
 どうやら、腐らないで、新年を迎えられる事が出来たようです。

(いつか彼の野望を直に聞きたい。そしてそれに並ぶ自分でありたい……)

 今年はそこまで行く事が出来るでしょうか?……出来るはずです。

●セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)編

 セイリュー・グラシアとその精霊のラキア・ジェイドバインは大雪の翌日に外に出かけました。
 セイリューは雪を見るとテンションが上がってしまうのです。
 ついわくわくしてしまうのです。
 それで、ラキアを誘って散歩に出たのでした。
 散歩に出かける直前までは、彼らの大事な家族が足にまとわりついて大変でした。
 大雪が降った後のセイリューのテンションが伝わっているのか、クロウリーも、トラヴァースも、バロンも、レカーロのユキシロまで、もふもふもふもふと走り寄ってきては、まふまふまふまふとセイリューにまとわりつくのです。
 窓に鼻をくっつけて外を見ていたセイリューもこれにはたまりません。
 ふかふかの毛ですり寄ってきたり、小さな舌で舐めてきたりするのがくすぐったくて、ひっきりなしに笑い声を立てていました。
 ラキアはそんな幸せ家族の様子をデジカメで写真に撮っています。後で、セイリューと二人で見るのが楽しみなのです。
 しかし、そんな可愛い家族達を振り切ってでも、散歩に出かけたくなるほど、雪道の魅力はあったのでした。
 ラキアの方は、雪がそんなに降らない所で育ったので、雪道を歩くのは慣れていないのです。
 でも、雪を見て実は内心ではしゃいでいるので、中身はセイリューと同じです。
「おおっ、滑るー!」
 セイリューは多少滑っても、すぐに体勢が立て直せるので、問題ありません。
 彼は運動神経がいいのです。
 いつもはないスリル感が逆に楽しくてなりません。
 雪景色も楽しくてなりません。
 ラキアもキョロキョロしている様子です。
 ラキアも内心でははしゃぎながら、木の枝に積もっている雪を眺めながら歩いていて--うっかり滑ってしまいました。
(ラキアが滑った!)
 すぐ後ろを歩いていたセイリューは驚きます。
(避けるか? 否! ここはラキアを受けとめるトコだ! そのままコケたらラキアが怪我するかもしれねーし。オレ、受身得意だし!)
 一方ラキアは--
(こんな時はセイリューの運動神経が羨ましい! 傾いた体を立て直す? いやソレ無理だから!)
 そんな事を考えながら、滑った先にセイリューがいるとも気がつかず、そのまま彼に突進し、彼を押し倒す形で地面に転んでしまいました。
「ごめんね、クッションにしちゃった……」
 おかげでラキアは怪我もありません。
「や、へーきへーき。そんなに重くないし」
 セイリューの方はあっけらかんと笑っています。重くはないのですが、ラキアの方が身長がある分、乗っかられると、身動きが取れません。それは誤算です。
(う。重いの!? ダイエットしなきゃ)
 ぎくりとしてラキアは心の中で決意しました。
 セイリューはラキアの頭を撫でて誤魔化します。
「怪我なくて良かったじゃん」
 傷ついていたラキアですが、彼の優しさをまた知ります。
(でもきっとセイリューなら、避けようと思ったら出来たんだろうね。避けなかったセイリューの優しさを感じるよ)
 目の前で屈託ない笑顔を見せているセイリューに、ラキアは笑顔を返しました。
「うん、ありがと」
 ラキアは転んだ衝撃が終わって、やっと立ち上がる事が出来ました。
 続いて元気よくセイリューが立ちます。

「なあ、滑るって言えば、この間の……」
「グリックレイク?」
 セイリューはノースガルトの古代の森にあるグリックレイクでスケートを滑った事を思い出したのでした。ラキアはすぐにその事に気がつきました。
「楽しかったな。ラキアと二人。また滑りに行きたいな!」
 セイリューはわくわくとそう言いました。
「そうだね。……ちょっと注目浴びたのは、恥ずかしかったけどね」
 ラキアはスケート初心者でしたが、セイリューは流石の腕前で、ラキアの手を取ってくるくる旋回しながらまるでフィギュアスケートのように華麗な滑りを見せたのです。
 自分が下手なのでラキアは緊張しましたが、確かに、二人にとってとても楽しい思い出なのでした。
「その前の年は……」
「スケートは行かなかったけれど、猫達やユキシロをお迎えして、二人でクリスマスのディナーを食べたね」
 振り返るセイリューにラキアがそう思い出しました。
「それで、その前の年は……」
「好きな人と10回目のクリスマスと誕生日をお祝いしたい人の、手伝いをした」
 今度はラキアが思い出そうとする顔をしたので、セイリューがそう答えました。
「ああ……そうだね」
 ラキアは期待をこめた顔をセイリューに見せます。セイリューもラキアの考えている事が大体分かりました。
「俺達も、いつか、10回目の冬を二人で迎える事になるんだ! ラキアといるのが一番楽しいから!」
 冬空の下で眩しい笑顔を見せながらセイリューが言い切りました。
「うん」
 ラキアも自信の籠もった声で頷きます。何故、それが出来るのか。それは、二人とも、楽しくするための努力をしてきたから。二人で、どんな時も、二人だけで見つめ合うのではなく--同じ方角を見て、同じ目標に向かって、お互いに敬意を払って気遣って、良い関係を築こうと努力してきたから。その努力も楽しい事だったから。
 だから二人はいつもどんな時も最高で、最強にハッピーなのです。

 



依頼結果:大成功
MVP
名前:アーシェン=ドラシア
呼び名:アーシェン
  名前:ルーガル
呼び名:ルーガル

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月18日
出発日 01月25日 00:00
予定納品日 02月04日

参加者

会議室


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