大雪が降り積もりましたが……(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「積もった……」
 あなたは朝、カーテンを開けて、思わずそう呟きました。
 昨日の朝から少しずつ降り続けていた雪。
 それが、一晩経つと、もう近所の家の屋根も道路も庭も、どこもかしこもずっしりと真っ白な雪が降り積もって、キラキラと太陽の光を反射しています。
 タブロスでも滅多にないような大雪。
 幸い、あなたが起きた時には空は晴れ渡って綺麗な青を見せています。
「ちょっとどうしよう……。交通網とか大丈夫なのかなあ」
 不安に思っていると、机の上でスマホが鳴りました。
 A.R.O.A.からの連絡です。
 慌てて飛びつくあなた。この状態でもしも任務だったらどうしよう。

「……え?」

 あなたはびっくりして目を見開きました。確かにA.R.O.A.からの連絡でしたが、任務ではないようです。

 一時間後--。あなたは、何とかして、A.R.O.A.本部にある近所の公園に来ていました。公園はやはり大雪が降り積もって、雪を漕がなければ歩けない状態。それでも、あなたは自分なりの重装備で到着したのです。精霊とともに。
 公園の真ん中では、交流推進ナンタラ係のエリアルが、大きな雪かき用スコップを振り回して奮闘中。他にも同じ係員がよってたかって作っているのは、巨大なかまくらです。
 その周囲を、既に到着していたウィンクルム達が雪だるまを転がしたり雪玉をぶつけあったりして楽しそう。公園に遊びに来た親子連れと一緒になって遊んでいるウィンクルムもいます。

「ああ! よく来て下さいました!」

 エリアルが公園の中に入ってきたあなたたちに声をかけました。係員が、公園の入り口からかまくらまで雪かきして通路を作ってくれていたのです。

「えーと……。本当に、遊びまくっていいんですか?」
 精霊がそう尋ねると、エリアルは人の良さそうな笑みを浮かべます。
「はい! 今日は、任務の事は忘れて、この大雪でぱーっと遊びまくってください。ウィンクルム同士の交流も大歓迎! こちらはかまくらの中に七輪も入ってますし、甘酒や軽食を振る舞わせていただきます! 雪の日は雪を楽しみましょう!」
「なるほど……」
 あなたは、周辺で雪合戦を始めたウィンクルム達を眺めます。
 あとは、温かそうなかまくらの中。
 他のウィンクルムと雪だるま作ったり雪合戦したりしてみようかな。
 それともかまくらの中で精霊とまったり甘酒食べたり焼き餅食べたり……。今日は一日遊んでいいようです。A.R.O.A.公認。さあどうしよう?

解説

 大雪が降った日に、A.R.O.A.が本部近所の公園に大きなかまくらを作ってくれました。
 かまくらの中には七輪、それに甘酒や焼き餅などの軽食があります。
 その周辺では雪ではしゃいで遊んでいるウィンクルム達や、一般人の親子連れ。
 昨夜まで雪が降っていましたが、今朝からは晴天です。
 今日は一日、雪で遊びまくってください。
※甘酒や軽食代などで、300Jrいただきます。
※交流エピソード、個別エピソード、双方受け付けます。
※個別エピソードの場合は上に「個」と書き、神人と精霊でどんなやりとりをしたかプランに書いてください。
※交流エピソードの場合は、上に「交」と書き、交流相手(略称でもOK)とどんな会話をしたか、どんなやりとりをしたかを書いて下さい。
※雪遊びは、常識の範囲内でしたら、何でもOKです。大きな雪だるまを作る、昔ながらの雪合戦をする、二人専用のかまくらを作る……etc。
※スコップや防寒具は、A.R.O.A.の係員が用意してくれます。
※防寒具にこんなものを着たい!という方は、プランに書いてください。


ゲームマスターより

寒波到来!みなさま無事にお過ごしでしょうか? 雪の日には雪の日ならではの楽しみがあるはず。ウィンクルムの皆様にも楽しんでいただこうと思い、こちらのエピソードです!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

桜倉 歌菜(月成 羽純)

 

羽純くん、一緒に雪だるまを作らない?と誘います
一度大きいの作ってみたかったんだ♪
雪質をチェックし、水分を含んだ湿った雪を丸めていきましょう
パウダースノーだと上手く固まらないって、おじいちゃんが言ってたの
しっかりと固めた小さい雪玉を作ったら、雪玉を雪の上に転がして大きく育てていこう
色んな方向に転がして満遍なく雪を付着させて、綺麗に丸くなるように!
小さな雪玉と大きな雪玉を二個作る
頭と胴体、大きな方を胴体にして…羽純くんを力を合わせて合体させて、首の部分に雪を付け固定
次は顔だね♪
帽子のバケツに、丸い目は丸い石を
鼻は人参で
首にマフラーを巻いてあげたら完成!
可愛いね♪
羽純くんと雪だるまと一緒に記念写真


クー(アラン)
  個 
全身もこもことした防寒着。
かまくらでお汁粉
テンションが高くても基本的にゆっくりマイペースな喋り方です。

さ、寒い……。どうしてこんな日にお外に出なくちゃ......。
遊ぶだけでいいとは言っても、私風の子じゃない……。
かまくら……その程度で私が動くとでも……。
……お汁粉! 何してるのアッくん早く行くよ!

んー……お汁粉おいし。……アッくん、食べないの?
そーお? ならいいんだけど……。

んっ。どしたの、急に? ……変なの。


シエル・アンジェローラン(ヴァン・アーカム)
 
雪です!
正直雪かきとかしなきゃーとも思うのですが。
雪だるまとかかまくらとか作って雪を固めるのもいいかなーという結論にいたりました!
ということでとりあえず雪だるまでも作りましょうか!
はい!スタート!スタートです!

(せっせと雪だるまづくりを開始。もくもくと雪だるまを作る)
ふぁ…!?び、びっくりしました。ヴァンさん甘酒もらってきてくれたんですか?ありがとうございます~。
あったかいですね~。
あ、ヴァンさんの方も雪だるまできてますね。
私のよりもずいぶん大きい…私も頑張ったのですがここまで大きくならなかったです。
男女の差?ですか?あぁ確かに手の大きさとか全然違いますもんねー。
(手袋越しに手を合わせ)


●クー(アラン)編

 今日、クーと精霊のアランはA.R.O.A.本部の近所の公園に来ています。
 大雪が降ったので職員が大きなかまくらを作り、甘酒を振る舞っているのです。
 クーは全身もこもことした防寒着です。アランも同じく全身もこもこの防寒具を着込んでいます。
「さ、寒い……。どうしてこんな日にお外に出なくちゃ......。遊ぶだけでいいとは言っても、私風の子じゃない……」
 ゆっくりとマイペースな口調でクーがいいます。
 そしてクーは公園の入り口に立ち止まって動きません。公園全体はまだ雪が降り積もったままです。職員が雪かきをして雪の細道を作っていますが歩きにくいのです。そのせいもあるかもしれません。そしてクーの言う通り、確かに寒いです。
 アランは愕然としてそんなクーを見ています。
(ここまで連れてきたはいいものの、遊ぶ気動く気どっちも0とは恐れ入ったぜ……。なーんかクーを釣れるものは無いものか……)
 そこでアランは広い公園内を見回しました。一面に広がる銀世界では、他のウィンクルムや親子連れ達が雪を漕ぎながら走り回り、雪合戦をしたり雪だるまを作ったりしています。
 その公園の奥の方に、A.R.O.A.の職員が作った大きなかまくらがありました。
「お、かまくらあるみたいだぞ。あそこで休もうぜ?」
 アランは、かまくらを指差してクーを誘いました。
「かまくら……その程度で私が動くとでも……」
 クーはもこもこ防寒具で雪の上でまんまるになったまま動きません。
「お汁粉とかもあるって……」
 何気なくアランはそう言いました。
「……お汁粉! 何してるのアッくん早く行くよ!」
 途端に、目をキラーンと輝かせてクーは立ち上がります。
「変わり身早いなおい!?」
 アランはツッコミを入れましたが、クーは耳も貸さずにかまくらへとまっしぐらに雪の細道を進みました。
 かまくらに行くと、A.R.O.A.の職員が、クーにお汁粉を分けてくれました。アランの方には大人向けということで甘酒です。
「んー……お汁粉おいし。……アッくん、食べないの?」
 今度は暖かいかまくらの中でまんまるになって、クーはお汁粉をふうふうと吹いています。
「ん? いや俺はいーよ」
 アランは甘酒をすすりながらそう答えます。
「そーお? ならいいんだけど……」
 アランは寒さに頬を上気させながら、お汁粉を一生懸命に冷まして食べるクーの頭を撫でました。
 アランは孤児になったクーを契約した際に引き取り、同居しているのです。彼としては保護者のような気分なのです。アランがアルバイトで稼いで、12歳のクーを養っています。アランにとってはクーは手のかかる可愛い妹。邪な思いは抜きです。
 だから、今こうして、頭を撫でるのも、妹が可愛くてならないという感情からでした。お汁粉をふうふう冷ましながら、一生懸命食べているクー。
「んっ。どしたの、急に?」
 クーはアランの突然の行動の意味が分かりませんでした。
「いーや、なんでもないさ。気をつけて食えよ?」
 ニシシと笑いながらアランはそう答えます。
「……変なの」
 クーは不思議そうな顔をしています。
 ちょっと嫌そうな顔でもありますが、保護者のアランにはそれすらも可愛くて仕方ないのでした。
 お汁粉と甘酒をしばらく楽しんでいた二人でしたが、やがてアランが立ち上がりました。
「せっかくここまで来たんだ。雪だるまでも作って行こうぜ」
「えー……」
 可愛い顔を思い切りしかめるクーです。
「それなら雪合戦にするか?」
「それも嫌」
「あんまりいうと、雪玉投げるぞ」
「……仕方ないなあ」
 勝手に雪玉をぶつけられるといわれて、クーはようやく立ち上がりました。
 勿論、アランは本気な訳ではありません。
 二人は中にいるA.R.O.A.の職員にお礼を言ってかまくらの外に出ました。
「さーて、雪だるまを作ろうか」
 早速、アランは雪道からそれて、積もった大雪を踏んで漕ごうとします。
「ふうん……サラサラの雪ではないんだね」
 雪に触りながら質感を確かめるクーです。
「どうしたんだ?」
「雪だるまは、湿った雪じゃないと作れないんだよ。ある程度重くて水分のある雪じゃなきゃダメ」
「へ~」
 初めて知ったアランでした。
「アッくん、それじゃ、雪玉を転がして胴体を作って。大きさはね……これぐらい……」
 何故かかまくらの中をのぞき込みながら、クーは空中に球体を描いて大きさを指示します。
「……それぐらいの大きさなんだな?」
 何だか知りませんが、頭脳労働はクーの仕事です。アランは言われた通りの大きさの雪だるまを作り始めました。
 その間に、クーはかまくらの中に戻って行って、職員からボウルを二個借りて来ました。ボウルの中に雪を詰め、二つを重ねて可愛い丸い雪玉を完成させます。
「はい……アッくん。これを、そっちの胴体に重ねて」
「おお、流石だ」
 アランは自分の作った胴体の上にクーの作った頭を乗せました。予定通り、完璧な頭と胴の比率で可愛い雪だるまが完成です。
 頭脳労働と肉体労働、子どもと保護者の二人は、二人に相応しい雪だるまで新年を迎えたのでした。

●シエル・アンジェローラン(ヴァン・アーカム)編

 シエル・アンジェローランと精霊のヴァン・アーカムは、ある冬の大雪の日を迎えました。
「雪です! 正直雪かきとかしなきゃーとも思うのですが」
「なんか事件かとか思ったら雪遊びを要求されるとは。A.R.O.A.ってなんなんだ。まぁ、雪かき代わりに雪だるま作るのも悪くわねーけど」
 そういう訳で、二人はA.R.O.A.本部の近くの大きな公園に、雪を漕ぎながらやってきたのでした。
 今日は一日、雪遊びをしてもよいというのがA.R.O.A.の方針です。
「雪だるまとかかまくらとか作って雪を固めるのもいいかなーという結論にいたりました! ということでとりあえず雪だるまでも作りましょうか! はい! スタート! スタートです!」
 シエルはそう言うと、早速雪玉を作って雪の上に転がします。雪の平面の上に跡を残しながらどこまでもコロコロと転がしていきます。
「やっぱり雪かきの方が……ってさっそく作り始めてるな。しかたない俺も雪だるま作るか」
 雪に埋もれた自宅周辺の事が気になるヴァンですが、シエルの方がすっかり乗り気になって遊んでいるので、自分もつきあう事にしました。
 ヴァンはヴァンでせっせと雪だるま作り。黙々と雪だまを転がしていきます。
「……ん、大体こんなもんか。シエルは、と?」
 振り返ってみると、シエルはまだ雪を転がしています。随分遠くまでコロコロコロコロ。
「……まだ雪だるま作ってんな。凄い集中力。鼻とか真っ赤になってるしありゃほっといたら駄目だな」
 彼女の集中力に感服しつつ、何だか心配になってきたヴァンでした。
 かまくらの中に入っていって、職員に頼んで甘酒を貰います。
 そして雪だるまを転がしまくっているシエルの傍に行き、背後から甘酒を差し出しました。
「冷えてるだろ? 温まった方がいいぞ」
「ふぁ……!?」
 驚いて変な声を立ててしまうシエルです。
 シエルは慌ててヴァンの方を振り向きます。
「び、びっくりしました。ヴァンさん甘酒もらってきてくれたんですか? ありがとうございます~。あったかいですね~」
 かじかんだ手に甘酒の紙コップを手に取って無邪気な笑顔を見せるシエルです。
「あ、ヴァンさんの方も雪だるまできてますね。私のよりもずいぶん大きい……私も頑張ったのですがここまで大きくならなかったです」
 シエルはヴァンの作った雪だるまを眺めながらそう言いました。
 集中していたシエルは雪だるまを転がしながら遠く離れてしまったのですが、その遠い位置からもヴァンの雪だるまはかなりの大きさだと言う事が分かります。
「雪だるまの大きさねぇ……あんたと俺じゃあ体格が全然違うからなぁ…あんたとはかなり差があるだろ。手からしてみてこの違いだ」
 ヴァンは自分の手袋をはめた手を、大きく広げて前の方に出しました。
「男女の差? ですか? あぁ確かに手の大きさとか全然違いますもんねー」
 シエルは手袋越しに自分の手を合わせます。
 全く自然な動作でした。
「全然ちが……手を合わせる必要はあるのか……?」
 言いかけたヴァンは、突然、手を合わせられてびっくりしたのでした。
 シエルはただ自然な仕草で笑っています。
「男の人って手が大きいんですねー。それじゃ大きな雪だるまも作れちゃいますよねー。私も頑張らなきゃ」
 シエルは張り合っている訳ではないようですが、それでも大きい雪だるまを作りたいと意識はしているようです。
「お、おう……」
 ヴァンは手を引っ込めればいいのか、それとも握りしめればいいのか、分かりません。
 シエルは甘酒を持ち上げようとして、手袋ごしにかじかんだ手がぎこちない事に気がつき、ヴァンから手を離して両手で紙コップを持ち直しました。
「あったかーい。指先がぬくまっていきます」
 熱い甘酒の温度に、シエルは癒やされています。
 ヴァンはほっとして表情を緩ませます。その反面、惜しいような気持ちもするのでした。
「集中しすぎだろ」
 それでも何とも思っていないように、ヴァンはシエルをたしなめました。
「ついつい、本気になっちゃうんですよー。一番大きな雪だるまを作りたいなー、なんて……!」
「一番、大きい雪だるま? 雪だるまに思い入れかなんかあるのか?」
 ヴァンはシエルの口ぶりを不思議に思ってそう尋ねました。
「いえ、えっと……」
 シエルは少し口ごもりましたが、苦笑しながら続けました。
「昔、おじいちゃんが……母方の祖父なんですけれど、私のためによく作ってくれたんです。雪だるまを。冬が来るたびに」
「おじいちゃんが?」
「はい。シエルのために大きな雪だるま作ったぞー! って。おじいちゃん、一生懸命作ってくれたんです。だから今でも、雪だるまを作ると本気になっちゃうんですよね」
「ふうん。いいおじいさんだったんだな」
 ヴァンは感心しました。
 その話をするシエルの表情が、幸福感に溢れていたからです。
 幸せそうなシエルの笑顔を見て、俺ももっと大きな雪だるまを作ってやろう……そう思ったヴァンなのでした。

●桜倉 歌菜(月成 羽純)編

 タブロスに大雪の降った次の日、桜倉 歌菜は精霊の月成 羽純とともに、A.R.O.A.本部の近くの大きな公園に来ています。
 今日はここで、一日雪遊びをしてもよいという連絡が来ていたのでした。
「羽純くん、一緒に雪だるまを作らない? 一度大きいの作ってみたかったんだ♪」
 歌菜は早速、羽純の事を誘いました。
「雪だるまなんて、久し振りに作るな……よし、折角だ。立派なのを作るか」
 歌菜は雪質をチェックし、水分を含んで湿った雪を丸めていきます。
(パウダースノーだと上手く固まらないって、おじいちゃんが言ってたの)
 しっかりと固めた小さな雪玉を作ると、雪玉を雪の上に転がして大きく育てていきます。
(色んな方向に転がして満遍なく雪を付着させて、綺麗に丸くなるように!)
 歌菜は雪だるま作りも本気で頑張ります。
 羽純と一緒だと思うと、ついそうなってしまうのです。羽純に認めてもらいたくて。
 羽純は、湿った雪を選ぶ歌菜に「分かっているな」と感心します。
(雪玉は二人で力を合わせて大きく綺麗に丸くなるように息を合わせて……こうやって一緒に作業するのは楽しい)
 そうして二人は、小さな雪玉と大きな雪玉を二個作ります。
 頭と胴体です。次は大きな方を胴体にして、羽純と力を合わせて合体させ、首の部分に雪をつけて固定します。
「せーのっ」
 羽純が声をかけました。
 二人で頭を抱えて胴体に乗せます。
 ゆっくり焦らず……上手く頭を胴体の上に乗せます。
 完璧に乗せられたところで、二人はいい笑顔でハイタッチ。
「次は顔だね♪」
 歌菜は早速取りかかります。
 帽子のバケツに、丸い目は丸い石を。鼻は人参で。首にマフラーを巻いてあげたら完成!
「可愛いね♪」
「うん」
 羽純は、歌菜と作ったという欲目があっても、可愛く出来たと思うのでした。
 それから二人は、職員のエリアルに頼んで、雪だるまと記念撮影です。
 歌菜の携帯と羽純の携帯で一枚ずつです。
「はい、チーズっ」
 職員はテキパキと羽純達のために動きます。二人の携帯で一枚ずつ、いい笑顔での雪だるまとの記念写真が撮れました。
「楽しかったが流石に疲れたな」
 一段落がついて羽純は微笑みました。
 それから二人は、大きなかまくらの中に入って行って、雪だるまが見られる位置に座ります。
 職員が用意した甘酒や焼き餅を楽しみながら、体を温めたのでした。
 雪だるまは一人きりで、羽純と歌菜の事を見守っています。
「……この後、もう一体作らないか?」
 羽純がそう提案しました。
「そうだね。羽純くん。私もそう思っていたの」
 歌菜は、羽純と同じ事を考えていたのでした。
 すぐにそう答えた歌菜に羽純は目を丸くし、そして二人で同時に噴き出しました。雪だるまにも、パートナーがいるといいなと思っていたのです。
 甘酒と焼き餅で充分に温まった後、二人は、大きな雪だるまのために一回り小さなパートナーの雪だるまを作り始めました。
「ねえ、羽純くん。前に、アクアリィランドのウィンターパークでかまくらを作った事があったよね」
「ああ……そんな事もあったな」
「あのときも、二人で作業したよね。雪で。私、今でも覚えてる……」
 歌菜はかまくらを作るのは初めてだったのでした。
「かまくらの中で、あのときはお汁粉を食べたよね」
「そうだな。今回もお汁粉にすればよかったかな」
 二人で鼻を赤くしながら雪と格闘したり、転がしたり……。
 今、こうしながら思い出すと、まるで昨日の事のようです。
「あのときは、羽純くんとこうなるなんて……思ってなかった」
 重ねた月日を振り返りながら、歌菜は目を潤ませています。寒さのせいだけではないかもしれません。
「あの年は、大雪のせいで、ロッジで電気が止まったりしたな。そして……」
「あ、……ああっ」
 赤面する歌菜。寒いロッジの中で、一つのベッドの中で羽純と寝た事を思い出したのです。
 一口に雪と言っても、いつも一緒にいた二人には、とても沢山の思い出があるようですね。
「歌菜、イヤリング、つけてくれているな」
 羽純が一緒に雪だるまを作りながら言いました。防寒具に半ば隠れていますが、歌菜は桜をモチーフにしたイヤリングを耳につけているのです。
「……羽純君も、時計、身につけているの?」
 羽純は静かに頷きました。
 誕生日の夜に、二人は一つのベッドで眠りについたのです。婚約者同士という間柄で。
(何もしない)
 歌菜を大切に思う羽純はそう言いました。そうして歌菜を柔らかく抱き締めて、キスをして。
「……」
 最初に一つのベッドに寝た時から、随分と関係性は変わったけれど、互いに大切に想う気持ちは変わらないようです。
 否。
『互いに大切に想う』という方向だけは同じまま……その気持ちが強く、大きく、優しく変化していったのかもしれませんね。
 そうこうしているうちに雪だるまのパートナーが完成しました。
「よかったね! これで一人じゃないよ!」
 元気に言う歌菜。一人ではなくて、二人なら、どんな事でも出来る……。羽純との出会いから、歌菜はその事を本当の意味で知ったのでした。それは羽純も同じでしょう……。

 



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月15日
出発日 01月26日 00:00
予定納品日 02月05日

参加者

会議室

  • [5]桜倉 歌菜

    2017/01/25-22:10 

  • [4]桜倉 歌菜

    2017/01/25-22:09 

  • [3]桜倉 歌菜

    2017/01/25-22:09 

    ギリギリの参加で失礼いたします!
    桜倉歌菜と申します。
    パートナーは羽純くんです。
    皆様、よろしくお願いいたします♪

    今回は個別で、雪だるまを作ろうかなって思ってます。

    よい一時となりますように!

  • シエル・アンジェローランと精霊のヴァンさんです。
    よろしくお願いしますね!

  • [1]クー

    2017/01/25-01:37 

    シナリオ初参加です! 勝手がよくわからないですが、よろしくお願い致します!


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