ぽかぽか暖か迷い道(如月修羅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●ぽかぽか暖か迷い道
 赤、白、ピンク色、紫色、赤と白が混じったの……。
 沢山のツツジが満開だった。
 さわさわと風がツツジを揺らし、笑い声を運んでくる。
「ねぇねぇ、次はこっちに行きましょうよ!」
「あ、あれはなにかしら? 猫?」
 そんな声があちこちから聞こえてくる。
 そう……ここはツツジでできた迷路なのだ。
 行き止まりや道の所々に動物を象った像も置いてあり、楽しむのはツツジだけはない。
 そしてここに入る皆が楽しみにしている物はもう一つあった。
「宝箱みっけ!」
「何がはいってんのかなー」
 木の根っこ付近、銅像の掌、銅像の後ろ……いろいろなところに隠された宝箱。
 そこの中身は来てからのお楽しみ!
「ほら、みて……出口よ!」
 そう言って、終わりを告げればとてもいい香り。
「いらっしゃいませ、ツツジのケーキはいかが?」
 歩き回ってペコペコのお腹。
 そんな美味しそうな誘惑に、打ち勝てるというのだろうか……?


●ところ変わってお誘いです
「というわけなんですよ」
 ツツジ園について熱く語っていたのはつい最近恋人が出来た女性職員だった。
 一緒に行ったツツジ園がとても楽しかったのだという。
「なんだか不穏な雰囲気がありますが、こんな時だからこそ楽しむことだって必要だと思うんです!」
 なので、是非ウィンクルムの皆様には楽しんでほしいのだと力説である。
「宝箱を探すのも、迷路を迷うのも、動物をかたどった像を見るのも……どれも素敵な思い出になると思います。是非、楽しんできて下さい」
 迷った後の喫茶店。
 そこで今一度ツツジを見ながら、一緒に過ごした時間を再確認すれば、思い出はより一層深まる。
 いってらっしゃいませ、と女性職員が地図を手渡しながら、微笑んだ。
 どうか、温かく楽しい時間をお過ごしくださいませ、と……。

解説

道行くと、ツツジが綺麗に咲いている季節になりました!

●場所
 ツツジの迷路。
 垣根は胸元ぐらいまでの大きさなので、道順を確認出来ます。
 そのため、本格的に迷うことはないでしょう。
 幅は人が三人通れる程度です。
 全部の道を網羅すると、大体一時間掛ります。
 動物たちの像は、犬・猫・兎・鼠・羊・馬・鳥……様々な動物がいます。
 自分の好きな動物を探してみるも、一興かもしれません。


●宝箱
 たくさんの宝箱があります。
 ヒントはOPにもありますが、それ以外にもここだ、という場所を探してみるのもいいでしょう。
 当たりは「喫茶店無料券」(持っているグループ全員に適用)。
 外れにはツツジの花が描かれた栞が入っています。
 一箱に何十枚かセットで入っており、それぞれの外れの箱に一色ずつ。
 白・赤・紫・ピンク・混じりの5種類のうちどれかが入っています。
 栞は何枚でもお持ち帰り可能ですが、良識の範囲内にしましょう。
 ※ただ、お土産の発行はしておりません。


●喫茶店
 ツツジの迷路が見れる喫茶店です。
 当たり券があれば無料です。
 ない場合は、お一人様、一律50ジェール掛かります。
 飲み物は比較的なんでもあるのですが、ケーキのみ、ツツジケーキしかありません。
 ツツジケーキはツツジの花を模した砂糖菓子が乗ったケーキで、甘さは、甘さ控えめ、普通、激甘の三種類があります。

ゲームマスターより

こんにちわ、如月修羅です。
外を歩くとツツジが綺麗に咲いてる季節になりましたね。
そんなわけで、ツツジの迷路なお誘いです!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

木之下若葉(アクア・グレイ)

  つつじってこんなに種類あるんだね知らなかったや
薄い紅に、これは朱色かな白と……

ああ、これなんてアクアの瞳っぽい色じゃない?
薄い紫色。山菫の色だなぁとは思ってたけれど
つつじでもこんな色あるんだね

ん?俺は見通し良いけれど
あー……俺も1年で10cmくらい伸びた時あったしね
アクアもそのうち伸びるんじゃないかな。多分だけれど

でも目線が違えば、お互い見えない物が見え事もあるよ
俺だけだったらその場所の宝箱気付かなかっただろうし
(隣にしゃがみ込んで)

そうだね。喫茶店に着いたらのんびりお茶でもしようか
他愛も無い話しと暖かな日差しと
甘さ控え目のつつじケーキにお砂糖一つの紅茶を添えて、ね



羽瀬川 千代(ラセルタ=ブラドッツ)
  たくさんのツツジが咲いているね、暖かくなったなぁ
迷路は不得意だけれど、ラセルタさんが一緒なら安心かな
俺はその分、宝箱を探す方に注力するね
…ええと、その手は繋がなきゃ駄目なのかな?

ラセルタさん、垣根から結構はみ出てるね…別に笑ってないったら
俺は小さな子供くらいの目線で探してみようかな
垣根の下、草木の影…かくれんぼの鬼の気分かも
動物の像を見つけたら、つい撫でてみたりして

そうだ、どちらが先に当たり券を見つけるか競争しようか
俺が勝った時は…夕飯の買い出しにでも付き合って貰おうかな

注文はツツジケーキの甘さ普通と激甘を1つずつ、それと紅茶を2つ
激甘はどう?俺も一口、食べてみたいな


栗花落 雨佳(アルヴァード=ヴィスナー)
  この花はツツジって言うんだね、凄く綺麗だね
・歩きながらスケッチブックに鉛筆を走らせている


あ、ねえ、見てみて。羊さんだよ。
ふふふ、僕まだ何も言ってないじゃないか……うん?お腹の下に何かある…宝箱だ。中に何が入ってると思う?

残念。ハズレみたい。でも綺麗な栞だね。
紫色のツツジだ。君の髪色と同じだね。

他にはどんな像があるのかな?
折角綺麗なんだからゆっくり堪能して行こうよ。
僕はちゃんと堪能してるよ。その感動をしっかり残しておかないとね。

あ、出口だよ。丁度いいからお茶を飲んで行こうよ。
喉乾いたでしょ?うーん……結局当たり券は見つからなかったね。残念。

僕は甘さ普通のケーキと紅茶にしようかな。


セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
  ああ。背が高いツツジしかも花の迷路なんて見たとこない
(迷路色より遊び心溢れる散策路って感じかな?)

…そっか(覚えててくれたんだ
タイガ、あの時うれしかったから(誓いの門を潜った時も今日も…いつも)
!?(髪に触れられ手をあげ、手鏡)…ツツジか

ううん。…ありがとう
想いを込め微笑

それが目当てか(くすっ)
あ…馬(の像)虎はないのかな?宝箱は…と(スキル:暗号解読)


◆喫茶
紅茶を飲み労い。客の視線を感じ

っ!?(赤面でツツジをばっと取る)忘れてた
人前ではちょっと…こうするから(胸ポケットに挿し)

褒められても今は無理
タイガは僕を甘やかし過ぎだ。嬉しいけど沢山貰いすぎて返せる自信がない…よ(俯き)

あ…(胸が詰まり



東雲 燈夜(テオドール=フェーエンベルガー)
  迷路にケーキ。とても楽しそうだな。
ツツジの花も綺麗だろうし

迷路をのんびり歩いて、綺麗なツツジに癒されるぞ
折角だから宝探しにも参加だ。
木の根元や銅像の辺りを探してみるぞ
個人的には鼠の銅像が気になる 可愛い意味でっ

迷路を抜けたらテオと一緒にケーキを食べる。
これが楽しみだったしなっ
これからもこうしてのんびりと出来るように、頑張らないとな



●ツツジの迷路道
 暖かな日差しの中、ツツジ園へと足を運べば風に乗って笑い声が聞こえてきた。
 とても楽しそうなその声に、入る前から期待が募る。
 職員に勧められやってきたウィンクルム達は、それぞれ思いを胸に秘めていて。
「いらっしゃいませ! 楽しんでいってくださいね!」
 そんな声に背中を押され、それぞれが迷い道へ繋がる道を、一歩踏み出す……。

(迷路色より遊び心溢れる散策路って感じかな?)
 と、ツツジの迷路を視界に収めて思うのはセラフィム・ロイスだ。
「な! 花好きだしおとぎの国みてぇで気に入ると思ったんだ~」
 にっこりと微笑み、火山 タイガが得意げにゆらりゆらりと尻尾を揺らす。
「ああ。 背が高いツツジしかも花の迷路なんて見たとこない」
 銀の瞳を細めてツツジを……そして隣に立つタイガに視線を移した。
 にこにこ暖かな笑顔を称えて、ほら、行こう? と促されればセラフィムが頷いた。
 一歩踏み出したセラフィム達の近くで、ほのぼのとツツジを見つめる2人の姿。
 羽瀬川 千代と、ラセルタ=ブラドッツの姿だ。
「たくさんのツツジが咲いているね、暖かくなったなぁ」
 瞳を細めてみる先で、赤いツツジが風に揺れてさわさわと音をたてていた。
「ツツジの色が美しいな。この鮮やかな赤が良い」
 すっと瞳を細めてそういうラセルタが、さぁ行くぞ、と入口へと向かえば、のんびりと千代が追いかけていく。
 東雲 燈夜とテオドール=フェーエンベルガーは肩 を並べ歩く。
 迷路に、ケーキ、そしてツツジがとても楽しそうだと2人仲良く言葉を交わしながら、ラセルタと千代が消えていった入口へと向かう。
「ツツジの花も綺麗だろうしな」
 それに同意し、テオドールが先に入って行った。
 ふわりふわりと青色の髪を躍らせながら歩いてくるのはアクア・グレイだ。
 その少し後ろをついてきた 木之下若葉は入る前からもその美しさを誇るツツジを見つめて、こんなに沢山種類があるとは知らなかったな、と呟いた。
「つつじは色もそうですけれど種類も沢山あるんですよ」
 そう言えば、若葉はそうなのか、と瞳を瞬いた。
「花や樹は家の周りに沢山あったので少しだけ詳しいんです」
 いつも色んな事を教えてもらっているから、少しは返せればいいのだけれど、とアクアは思う。
 中にはもっと種類がありますから、という言葉に2人顔を見合わせたあと、ゆっくりと中に入っていった。
 なにやら荷物を持ってやってきた栗花落 雨佳は、スケッチする許可を求めれば、人の邪魔にならぬようにしていただけるのならば、と許可が出た。
 アルヴァード=ヴィスナーがよかったな、と言えばほっとしたように微笑みを浮かべた。
「さぁ、行こうか」
 そうだな、とアルヴァードは頷き入口へ向かっていく……。  
 
 さわさわとツツジが音をたてて皆を中に招き入れる。
 さぁ、楽しんで、楽しんで!
 なんだかそんな声が聞こえたような気がした。 

●迷って迷って
 ツツジの迷路はどーんと目前にそびえたっていた。
 さわさわと鳴るのは葉とツツジが擦れあっているのか……。
 私をみて? とでもいうように誇らしげに咲いている。
「迷路は不得意だけれど、ラセルタさんが一緒なら安心かな」
 千代がツツジの迷路を歩きながら呟く。
 入口は二度、三度 の曲がり角ですでに遠くへ。
 不得意ゆえ少々不安もあったが、前を歩くラセルタがいるから安心だと背に言えば、ラセルタが振り向いた。
「この程度の迷路を攻略するなど造作も無い事だ」
「頼りにしているよ」
 その言葉にまんざらでもないのか、軽く頷くラセルタ。
「俺はその分、宝箱を探す方に注力するね」
 あぁ、と頷いた所で、入る前からある千代との距離に気づいて、ぴたっと歩みを止めた。
「どうかした?」
 不思議そうに見つめる千代は、伸ばされた指先に瞳を瞬く。
「行くぞ千代、さっさと手を貸せ」
 伸ばされた指先は、手を貸せ、といっても動かせなかった千代の指先に。
 触れた温もりは、なんだかこそばゆい感じもして。
「……ええと、その手は繋が なきゃ駄目なのかな?」
 少し恥ずかしいという言葉に、ラセルタが不思議そうに首を傾げた。
「年寄りを引き連れて行くのに恥じる必要が何処にある?」
 そういうものだろうか、という気持ちは言葉に出さず、そのままツツジの迷路をまた、右へ、左へと歩けば、同じく道に迷う姿。
「あ、こんにちわ」
「こんにちわ」
 迷っている先で、セラフィムと視線が合った。
 にこりと微笑んで頭を下げれば、千代も頭を下げる。
「次はこちらだな」
 ラセルタのいうのとは反対の道を示すのはセラフィムだ。
「こっち行ってみようか」
 そんなセラフィムの好きにさせてあげよう……とタイガは順調に「迷っていく」のに、何も言わない。
 ラセルタと千代の脇を通る際、頭を下げ れば見える指先。
「……仲良しだなぁ」
 握られた手に気が付いてそういえば、セラフィムが首を傾げつつ、どこか懐かしそうに瞳を細める。
 誓いの門を潜ったときのことを思い出し、微笑を零した。
「あの時、嬉しかったから……」
 そんなセラフィムに、タイガが青い髪の上に何かをつけた。
「タイガ?」
「プレゼント、セラの髪には白かなって」
「?!」
 白? と慌てて手鏡で確認すれば、青い髪に白いツツジが誇らしげに乗っていて。
 にっと笑ったタイガが、似合うぜ! と笑った。
「……」
「あ、で、なんだって?」 
 瞳を瞬き、一瞬なんのことかと首を傾げたセラフィムが、合点したように微笑を浮かべた。
「ううん。……ありがとう」
 ありがとう 、の気持ちを込めてのその笑みに、タイガの頬にさっと朱が差す。
「お、おう」
 また、行こうな、というタイガの尻尾は照れからゆらりゆらりと揺れていた。
「ここ喫茶とかお宝あるらしいし。虎? 探してみっか!」
 照れを隠そうとそう言ってぱたぱたと尻尾を揺らせば、セラフィムがくすりと笑う。
「それが目当てか。虎はないのかな?」
 迷うだけじゃなく、宝箱うも探そうと2人、仲良くツツジの迷路をまた歩き出す……。
 そんな2人を微笑ましく見詰めているツツジ達の間を、縫うように歩いてくるのは若葉とアクアだ。
 沢山の種類があるんですよ、という言葉に見合うツツジの色達。
「薄い紅に、これは朱色かな。白と……」
 ここら辺のツツジ達は、どうやら色とりどりのようだ。
 目の前に広がる色彩が鮮やかに瞳に映る。
 その中でふと視線に止まったツツジがあった。
「ああ、これなんてアクアの瞳っぽい色じゃない?」
 どれです? とアクアが覗きこめば、そこには薄い紫色のツツジが。
「山菫の色だなぁとは思ってたけれど」
 ツツジでもこんな色があるんだねと言うのにアクアが微笑んだ。
「ひょっとしたら、ワカバさんの色もあるかもしれませんよ?」
 それは、どうだろう……? 2人、ゆっくりと迷路を進む……。
 ゆっくりと楽しむ2人のすぐ近く。
 時折視線は、あちらこちらに彷徨わせる燈夜。
 そんな燈夜に、テオドールがどうかしたか? と声を掛ける。
「どうせなら、宝箱探しにも参加しよう」
「あぁ、 かまわない」
 のんびりとツツジを楽しむのも勿論しよう! と道によって移り変わるツツジ達を楽しみつつ2人、宝箱も探し始める。
 どうせならば、無料券もあればいいが、と視線をやった先。
 そこには熱心にスケッチをしながら歩く雨佳を見守るアルヴァードがいた。
「雨佳」
「ん……?」
 どうしたの、アル? と首を傾げた所で、2人に気付いて軽く会釈する。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
「ツツジの絵?」
「はい」
 燈夜がとても綺麗だな、と伝え、テオドールと再び宝箱探しにと戻っていった。
 雨佳がアルヴァードにと微笑む。
「この花はツツジって言うんだね、凄く綺麗だね」
 そう言いつつも、再び絵を描こうとする雨佳に一応声を掛ける。
「おい 、絵描きながら歩くな。植木に突っ込むぞ」
 大丈夫だよ、と微笑むが、注意してみておこうと決意を新たにした。
 さらり、さらりと鉛筆が走る音……。
 そして。 
 さわさわさわ、そんな音が聞こえる。 
 お楽しみは迷うだけじゃない。
 そこかしこに置かれた宝箱を開けては上がるのはどこか楽しげな話し声。
 例え外れでも、そこにはちっちゃな宝物が詰まってる。

●宝箱をゲットせよ!
 迷い道、宝箱、そしてその道にあるのは動物達の像だ。
 宝箱の隠し場所、という意味だけじゃなく道に本格的に迷うこと防止の意味もあるその像達は、迷路の頼もしき相棒だろうか。
 そんな像達は、熱心に宝箱を探す人達を、楽しげに見守る役目もあったのかもしれない。

 あちらこちらと探していた燈夜とテオドールは、順調に宝箱を発見していた。
 ただ、やはり当たりを見つけ出すのは至難の業だ。
「あ、これも栞だな……」
「赤い色だ」
 そっと手に取った栞は、丹精込めて作られているのだろう。
 所々スタンプのツツジが動いているところを見ると、スタッフ達の手作りのようで。
 手に取り、それを2人で分ける。
 勿論、他の人に残すのも忘れない。
「他の皆の分も残しておかないとな」
 そう言った言葉に頷いた後……燈夜が鼠の像を見つけた。
 可愛いという意味で気になっていたそれに近づき撫でてみれば、そのお腹部分。
「あ、宝箱」
 カタン、と音を立てて開ければ。
「……!」
 見事、当たりを引いたのだった。
 2人、笑顔が広がっていく。
 おめでとう、というようにツツジが音をたてて揺れたのだった。

 一方その頃、アクア達も宝箱を探していた。 
「んー……遠くが良く見えません」
 そろそろ迷路も結構着た頃か。アクアがそう言って若葉を見詰めた。
 俺は見通しいいけれど、といった若葉が身長がもう少しあったら良かった、というアクアに微笑む。
 曰く、棚の上の物を取る時に少し不便だという。
「あー……俺も1年で10cmくらい伸びた時あったしね。アクアもそのうち伸びるんじゃないかな」
 多分だけれど。とひっそりと呟くのに気がつかなかったのか、そのうち伸びるよ、ですかとアクアが悩み始めた。
「うーん……撫でられるのは好きですが、 ワカバさんを撫でたい気持ちもあるんですよね」
 そんな風に悩んでいたその瞬間、視線がツツジの木の下を捉えた。
「あっ! ワカバさんこのつつじの木の下箱がありますよ、あっちにも!」
 瞳を輝かせて言うアクアの隣にしゃがみ、若葉が微笑んだ。
「でも目線が違えば、お互い見えない物が見え事もあるよ。俺だけだったらその場所の宝箱気付かなかっただろうし」
 2人で手に取った宝箱。
 その中身は、アクアの瞳の色の薄い紫色のツツジだった……。

 ツツジの栞が発見されていたその頃、千代達は迷いながらも宝箱を探していた。
「ラセルタさん、垣根から結構はみ出てるね……」
 じろりと見られれば、笑ってないったら、と肩を震わせながら言う。
 はみでて いる 、と言われたラセルタは垣根や像の上を中心的に探すつもりのようで、千代は逆に、下を探そうと思う。
 子供になった気分で、と。
(垣根の下、草木の影……かくれんぼの鬼の気分かも)
 比較的小さい鼠の像を思わず撫でれば、ラセルタが呆れたように口を開いた。
「……千代は動物なら何でも良いのだな、動かんぞそれは」
 それに微笑して、そうだ、と声をあげた。
「どちらが先に当たり券を見つけるか競争しようか」
「ほう、この俺様に勝負を挑むのか」
 俺が勝てば夕飯の買い出しに付き合ってもらう、と言えば、ラセルタは俺様が勝てばツツジケーキから砂糖菓子をとって、ただのケーキにしてやろうと言う。
 2人、負けられない戦いの火蓋が切られた……!
 そんな白 熱した戦いが始まっている中、2人仲良く宝箱を探しているのはセラフィムとタイガだ。
「あ……馬」
 馬の像をみつけたセラフィムが、宝箱はないかと覗きこめばタイガは下の方を覗いてみる。
 暗号解読のスキルを使ってはみるが、あまり芳しい結果は得られなかった。
 それならば、と2人一致団結して色々と調べながら歩いてみれば……。
「あ、宝箱だ!」
 タイガが虎の像の手にあった宝箱を手に取る。
 中身は、と開けてみれば。
「白いツツジの栞だ」
 セラフィムに飾られたツツジが、あら、お仲間ね! というように微笑んだ気がした……。
 
 もこもこ羊の像がずでーんと立っていた。
「あ、ねえ、見てみて。羊さんだよ」
「………何が言いたい。俺は羊じ ゃねぇ」
 というアルヴァードの頭上、角を見つめつつまだ何も言ってないじゃないかとくすくす微笑む。
 その視線が下に行き、宝箱を見つけた。
 何が入っているだろうという雨佳に、確か当たりだと、外にある喫茶店が無料になる券が入っていたと思い出すアルヴァード。
 カタンと音をたてて宝箱を開ければ、中に入っていたのは……?
「紫色のツツジだ。君の髪色と同じだね」
 残念、はずれみたいだ、と言いながらも入っていた栞に微笑みを零す。
「まぁ、他にも色々像はあるみたいだし、気楽に探せば良いんじゃないか?」
 その言葉に、折角綺麗なんだからゆっくり堪能ながら行こうと答えを返す。
 再び歩き出した雨佳の背に、アルヴァードの声がかかった。
「スケッチブックとにらめっこしてる癖に良く言うぜ……」
「 僕はちゃんと堪能してるよ。その感動をしっかり残しておかないとね」
 感動ねぇ、と小さく呟く。
(俺にはそうしなきゃならいからって無理矢理思いこんでる風に見えるがな)
 どうしたの? と首を傾げながらも2人、ゆっくりと歩いて。
 そろそろ迷路を終わりにしたいとアルヴァードがこっそりと思ったその瞬間。
「あ、出口だよ。丁度いいからお茶を飲んで行こうよ」
 雨佳の視線の向こう。
 そこは、迷路の終わり……出口だった。

 迷い道も、ここでお仕舞い!
 ツツジ達が、ここでお別れね……?
 とでもいうようにさわさわと大合唱。
 けれど、今度は私たちを召し上がれ! とでもいうように、甘い甘い香りが鼻を擽る。
 そう、名物はここだけではな い。
 ツツジケーキが待っている……!! 

●ケーキを召し上がれ!
 ちょこんと白いクリームの上に載ったのは、ツツジを模した砂糖菓子。
 甘いピンク色のそれは、ツツジを「食べる」楽しみにと誘ってくれる。

 そんな楽しみを満喫しているのはタイガだ。
 激甘のツツジケーキをケロリと制覇していく。
「ケーキが沁みるー」
 そんなタイガに習うようにゆっくりと紅茶を飲みながら、お疲れ様、と微 笑めば感じる視線。
「……、……!」
 ばっと髪に飾られていたツツジをとれば、タイガがちぇーっといじけた。
「人前ではちょっと……こうするから」
 胸ポケットにいれられたツツジと、頬が赤いセラフィムに、タイガが勿体ないと声を上げる。
「似合ってたのにー」
「タイガは僕を甘やかし過ぎだ。嬉しいけど沢山貰いすぎて返せる自信がない……よ」
 褒められても今は無理だとうつむきながらいえば、タイガが暫し考えた後、にっと笑った。
「よっし! こうしよう。セラは頭ん中もやもやしたら話すこと!」
「でも……嫌になるかもしれない」
 とても消え入りそうな声で言われるそれに、大丈夫だとタイガは微笑む。オレもその分我儘をいうからと。
「おアイコだろ? 」
 初めての友達で嬉しかったし、嫌われたくなかった。とセラフィムは思う。けれども、望んでくれるのならば……。
「待たせてたんだ」
 胸が詰まり、それ以上何も言えないセラフィムを微笑んで見守る。
(……気にしねぇでいいのにさ)
 ぱくんと口に含んだケーキの甘さが広がっていく。
 
 お茶会の準備は整った、とラセルタと千代が席に座る。
「ラセルタさんのお蔭だね」
 本格的に迷うこともなかった、と微笑めばそうだろう、と頷くラセルタ。 
 注文は普通の甘さと激甘を一つずつ。
 そして飲み物の紅茶も激甘だ。
 激甘の威力を確かめさせてもらおうと、ラセルタがフォークを取れば、千代が一口貰いたいな、とお願いする。
「ああ、千代も同じ甘 党としては味が気になるところだろう」
 多めに掬ってやるから零すなよ、と差し出されるが、あーんは、流石に出来ないとフォークを受け取り一口。
「ん、美味しいね」
 花の様に幸せそうに微笑んで言われたその言葉に、ふんっとそっぽを向いてしまったラセルタだがきっと同じものを食べた思い出は、残っていくだろう。

 少し動いた後の甘い物は美味い、とテオドールはケーキを一口食べながら思う。
 迷路を抜けたら、テオとケーキを食べる! と思っていた燈夜は、ケーキと飲み物を前ににこにこと嬉しそうだ。
「これが楽しみだったしなっ!」
(東雲も幸せそうで何よりだ)
 とても幸せそうな燈夜は、テオドールの視線に気がついて首を傾げた。
「危険な任務が続いているからな。たまにはこういうのんびりとする時間も必要だろう」
 それに、大きく頷いた。
「これからもこうしてのんびりと出来るように、頑張らないとな」
 その言葉を受けて、テオドールがそうだな、と頷く。
「また 二人で来れるといいな」
 そうだな、と燈夜が微笑んだ。

 喫茶店についたらのんびりお茶を飲もうか、と言っていた若葉とアクアも無事喫茶店に。
 アクアは普通の甘さのケーキと、ミルクたっぷりのミルクティを。
 若葉は甘さ控えめのケーキと、お砂糖一つ、紅茶に添えて。
 あとは、他愛もないお話と、暖かな日差しをお供に楽しいお茶会がはじまる。
 先ほど手にいれたツツジの栞や、迷路のお話し、沢山あったツツジの花。
「ワカバさん、楽しかったですね」
「そうだね……」
 お話しは、まだまだ続く……。

「喉乾いたでしょ? うーん……結局当たり券は見つからなかったね。残念」
 飲み物は珈琲に紅茶、そして普通のケーキを2つ。
 すぐに出来たそれを手に持ち、2人お喋りしながら席を探す。
「お前は探し方が甘いんだよ。植木の下にも箱があったの気付かなかっただろ?」
 あったっけ? と首を傾げる雨佳は、なるほど、確かに探し方が甘いかもしれないと微笑を浮かべた。
 無事、2人席を見つけ座ればさわさわとツツジが音を立てて揺れるのが目に入る。
 暫しそれを見つめた後、ケーキを口に運べば、ほわんと甘い。
「美味しいね」
 その言葉に、そうだな、と答えが返ってきたのだった。

 甘い甘いケーキの味と、色鮮やかなツツジの迷路達が、また遊びに来てね! と皆を誘う。
 今宵は夢の中でも今一度、迷ってみようか……?
 そんな思いと共に、帰路につくウィンクルム達。
 その日見た夢は、きっと楽しくて甘い、そんなツツジ達の見せた夢……。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 05月19日
出発日 05月27日 00:00
予定納品日 06月06日

参加者

会議室

  • [5]セラフィム・ロイス

    2014/05/25-19:11 

    どうもセラフィムと相棒のタイガだ。ツツジ見ごろだものな
    花も迷路も楽しめるらしいし、僕らにはあってるかなって。満喫できたらと思うよ
    もし遭遇した時はよろしくしてくれ

  • [4]木之下若葉

    2014/05/24-22:47 

    今晩は、木之下だよ。
    隣はパートナーのアクア。
    揃って宜しくお願い致します、だね。

    俺達は迷路をのんびり楽しみながら、つつじ眺めようかなぁって。
    色んな色が咲いているみたいだしね。
    でもお茶もちょっと魅力的だなぁ。

  • [3]羽瀬川 千代

    2014/05/24-01:26 

    こんばんは、羽瀬川千代とパートナーのラセルタさんです。
    園内で出会うこともあるかもしれませんね、宜しくお願い致します。

    俺も迷路をのんびり回りながら宝箱を探せたらと思っています。
    個人的にはツツジと一緒に、動物の像が見られるのも楽しみです。

  • [2]東雲 燈夜

    2014/05/24-00:38 

    東雲燈夜だ 宜しくな
    俺は宝箱探そうと思ってる 目指せタダ券!
    出なくても宝探しってだけでなんだか楽しいしな
    ツツジケーキも凄い美味しそうだし楽しみだ

    お互い迷路やお茶を楽しもうなーっ

  • [1]栗花落 雨佳

    2014/05/24-00:35 



    こんばんは。取り敢えず、挨拶だけでも。

    栗花落雨佳と相方のアルヴァード=ヴィスナーです。

    迷路で出会ったらよろしくお願いしますね。


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