プロローグ
あなたがA.R.O.A.から自宅に帰ると、玄関のポストにタウン情報誌が入っていました。
あなたはとりあえず家の中に入り、リビングに向かいます。
鞄やコートをクローゼットにしまって、ポットから紅茶を入れてソファで一息。
(今日も色々な事があったなあ)
任務の事やらA.R.O.A.の職員の事やら、精霊の事やらを一通り思い巡らして、ため息。ここのところ働きづめで、クリスマスや年末年始も忙しくなりそうです。
(何とか時間を作って気晴らしに行きたいなあ。あ、そうだ、さっきのタウン情報誌……)
あなたは思い出して、紅茶を片手に情報誌をぱらぱらとめくり始めました。
--冬のイルミネーション--
そういう見出しが目に飛び込んできます。
どうやらイルミネーションや夜景についての特集が組まれているようなのです。
(平日でもいいなら、夜中に時間作れば、イルミネーションを見て歩くぐらいは出来るかな……?)
あなたはそう思って心を引かれ、自宅近所のイルミネーションをチェックしました。
あなたが気に入ったのは、少し離れた郊外にある大きな公園でのイルミネーションでした。
公園全体に電飾で作ったアーケードやクリスマスツリーは勿論、全体にサンタクロースや雪の結晶や星などが色とりどりに描かれているようなのです。そしてそれを、公園の真ん中にある展望台で眺められるとのことでした。
花壇には冬の花のアザレアやパンジー、スイセンが咲き乱れ、花壇の脇の通路には屋台が様々に出ているようです。
展望台の入場料は300Jr。公園には無料で出入りが出来ます。
また、展望台にまつわるいくつかの伝説も掲載されていました。
1 この展望台で告白すると想いが叶う
2 この展望台で手をつなぐと幸運が訪れる
3 この展望台でキスをすると永遠の恋人になれる
……などなど、恋愛にまつわるものが、色々と尾ひれがついて噂になり、伝説と呼ばれているようです。
(本当かどうか分からないけど……。私なんか、精霊には、展望台にまた来ようぐらいしか言えないよ……)
あなたはまたため息をついてしまいます。
けれど、この展望台に精霊と行ってみたいと思います。忙しい毎日、なかなか時間が取れないけれど、イルミネーションを見に行くぐらいは出来るかな……?
解説
大きな公園の展望台にイルミネーションを見に行くエピソードです。
公園全体にイルミネーションを見て、伝説にあやかったり、ちょっとした会話をしてみたりしてください。
花壇付近の道路や展望台の一階には屋台がいくつか出ています。
ホットココア……30jr
ホットコーヒー……25jr
甘酒……30jr
たこ焼き……40jr
鯛焼き……40jr
などなど。必要な場合はプランに記載してください。他のメニューを書かれた場合は大体の相場で計算して引きます。
※完全個別エピソードになります。
※展望台へのチケット代として300Jrいただきます。
ゲームマスターより
冬になると夜景とかイルミネーションが本当に素敵ですよね。寒い冬の夜中に心あたたまるプランが読みたいです。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リゼット(アンリ)
(手を自分の息で温め 手袋忘れちゃったから冷えちゃって ちょっ、手…! まぁ…あったかい、けど これじゃ動けないじゃない 別に逃げたりしないわよっ 雑誌、読んでたの? あ、あんなの作り話に決まってるじゃない (顔を近づけられ逃げようと体を捩り 馬鹿!なにするのよ変態!あっち行きなさーい! そもそも私達は恋人なんかじゃ…! って…け、けけ…(顔を真っ赤にしてぷるぷる体を震わせ (手は繋いだまま帰ろうと歩き出し 温かい飲み物を買えばよかったのよ 私としたことが気づくのが遅かったわ え、まぁ別に一口ぐらいならあげなくもないけど (飲みかけのホットココアを精霊に渡し、飲みかけたところで だ、ダメ!ってダメ…じゃな…やっぱりダメーっ!! |
シルキア・スー(クラウス)
きゃっ 人混みに弾かれ彼と離れてしまった 見つけてくれた顔が辛く不安そうで 笑顔で大丈夫!と返す 彼の手を取り「うん 繋ごっか 表情見て (安心してくれたみたい アーケードを通り電飾や花に感嘆 デジャヴ ここって去年と同じ公園だったかしら? 横の彼を見れば1年前と同じ難しい顔してて 途中2人で珈琲とココア購入 ベンチへ ココアひと口「クラウス 悩み事? そっと寄添い「同じじゃないよ 1年前はこんな事できなかったし ふふっ 彼が落ち着くまで無言でイルミネーション楽しむ ぽつり「辛い時はそばにいるから あなたがしてくれたように 展望台へ 2の伝説を話す 「私達ずっと繋いでたね どんな幸運が舞い込んでくれるのかしら~♪ 「…(いつもに戻ったけど 赤面 |
桜倉 歌菜(月成 羽純)
羽純くん家のカクテルバーの休業日を狙って、彼を誘います イルミネーションとお花、きっと凄く綺麗で癒されるし…去年とまた違った思いで、噂を試してみたいなって…羽純くんには内緒だけど ホットココアに、鯛焼きを買って温まりながら、まずは公園内を見て回ろう 見て見て、羽純くん!雪の結晶の電飾が綺麗だね…! 私、冬に咲く花って好きだな… 冬でも寒さに負けずに強く健気に花を咲かせる…私もそんな人になりたいな、なんて…気障かな? 展望台で、勇気を出して羽純くんの手を取ってしっかり繋ぎます(これでまた羽純くんに幸運が訪れる♪) キス…は、流石に何か切欠がないと…ど、どうしよう… え?あんこ…?…っ!? 羽純くんは、魔法使いだ… |
●桜倉 歌菜(月成 羽純)編
冬のある日、桜倉 歌菜はタウン情報誌で素敵なイルミネーションの記事を見つけました。そこには去年、二人が訪れた展望台も掲載されていたのです。
早速、精霊の月成 羽純の自宅のカクテルバーの休業日を狙って、彼を誘います。
(イルミネーションとお花、きっと凄く綺麗で癒されるし……去年とまた違った思いで、噂を試してみたいなって……羽純くんには内緒だけど)
羽純は喜んでいます。
歌菜からの誘いが純粋に嬉しいのです。
「実は俺も公園のイルミネーションが気になっていた。去年も二人で見た景色を、また一緒に見たい」
そういう訳で、二人は、粉雪の舞い散る中、イルミネーションを見に展望台のある公園を訪れたのでした。
公園の花壇には冬の花が咲き乱れ、その周囲の樹木やアーチ全体を、きらびやかな電飾が彩っています。電飾の色は、黄色の他に、赤、白、緑……中には赤もあり、クリスマスらしいツリーやサンタの他にも、雪の結晶や童話のお姫様など、癒やされる絵を描いています。
公園の広い路上にはところどころにベンチが置かれ、人通りの多そうなあたりにはいくつか屋台が出ています。
「羽純くん! ホットココアに鯛焼きを買ってきたよ! あたたまりながら見て回ろう!」
屋台で買い物をしてきた歌菜が元気よく言いました。
「ホットココアに、鯛焼き」
羽純はいとおしそうに歌菜を見つめます。
甘党の羽純のために選んできたとすぐ分かるのです。
「見て見て、羽純くん! 雪の結晶の電飾が綺麗だね…!」
歌菜は楽しそうにイルミネーションを次々と指差して行きます。
電飾に目を輝かせる歌菜が、羽純は可愛くてなりません。
ひととおり公園内のイルミネーションを見て回ってはしゃいだ歌菜ですが、不意に花壇の前に立って大人しくなりました。
花壇には12月の花、匂い桜やプリムラ、水仙などが寒さに負けずに凛と咲き誇っています。
「歌菜……?」
「私、冬に咲く花って好きだな……冬でも寒さに負けずに強く健気に花を咲かせる…私もそんな人になりたいな、なんて……気障かな?」
言いながら途中で照れてしまったのか、歌菜は赤くなって少し早口になりながら羽純を振り返りました。
羽純はそんな歌菜がまた可愛いのです。
「……そうだな、ちょっと気障だな。歌菜が花ならば、俺は花を温め力を与える陽の光になりたい」
羽純の声に、歌菜は胸を高鳴らせて硬直してしまいます。
「……俺の方がもっと気障だったな」
笑う羽純に、歌菜は思わず飛びついて腕を抱き締めてしまいました。そんなときの羽純の甘い雰囲気が、歌菜にとっては本当に光で、ある意味麻薬なのです。麻薬といっても、悪い意味での危険はないんですけどね。
二人はそれから展望台に向かいました。
展望台に上っていくエレベーターの中で、歌菜は思い切って羽純の手を握りしめました。
(これでまた羽純くんに幸運が訪れる♪)
羽純は歌菜がそっと手を握ってきた事で確信します。
(歌菜も伝説を覚えてるのか。それなら、俺のする事は一つ)
展望台に上ると、そこにはちらほらとカップルの姿が見られましたが、思ったよりは混んでいませんでした。遅い時間だったからかもしれません。
二人は自然と人が見ていない角の方へ向かいます。窓ガラスの外には夜の闇を舞い散る粉雪を、きらびやかなイルミネーションの光が照らしだしています。
歌菜は緊張のあまり羽純から目をそらして、ロマンチックを気取って雪の方ばかり見てしまいます。
(キス……は、流石に何か切欠がないと……ど、どうしよう……)
--この展望台でキスをした二人は、永遠の恋人になれる--
それはただの噂なのかもしれないけれど、歌菜としては真剣に信じたい気持ちなのです。羽純といつまでも……永遠に……。
「鯛焼きのあんこ、口元についてるぞ」
そのとき、羽純がそう言いました。
「え? あんこ……?」
びっくりして歌菜は羽純の方を振り返ります。デートの最中に口にあんこなんて、恥ずかしい。
次の瞬間、羽純が盗むように歌菜の唇にくちづけました。
「……っ!?」
「甘いな」
歌菜の口元を舐め取った羽純はそう言って笑います。
歌菜は目をまんまるにして、今起こった出来事が信じられません。
「これで、『永遠の恋人』だな」
その歌菜に、羽純は甘やかにささやきました。
歌菜は夢見るような瞳で羽純を見上げます。
目が潤み、きらめき、頬は紅潮し、ただ羽純の前にだけ見せる魅惑的な乙女の表情で羽純を見つめるのです。
「羽純くんは、魔法使いだ……」
羽純は元々、歌菜にとってたった一人の王子様です。
だけど時々、世界に一人しかいない魔法使いのようにも思えるのでした。歌菜の夢を一つずつ丁寧に叶えてくれる、歌菜だけの魔法使い。
「何言ってるんだ」
羽純は笑っていますが、歌菜は呟くように言います。
「私も、羽純くんだけの魔法使いになれたらいい……」
彼が私を想ってくれるならば、私も彼を想い、願いをかなえてあげたい--。
そういう気持ちがある限り、二人はきっと、永遠の恋人になれるでしょう。恋人でいられるのでしょう……。
●シルキア・スー(クラウス)編
その日、シルキア・スーは精霊のクラウスとともに、展望台のある公園にイルミネーションを見に来ました。
そこは去年も来た事のある展望台で、恋愛にまつわる数々の伝説や噂があるのです。
シルキアは懐かしくて、ついつい様々なイルミネーションを見回しながら歩きます。そこに団体客の波が押し寄せてきました。
「きゃっ」
よそ見をしていたシルキアは、人混みに弾かれて彼から離れてしまいました。
クラウスは大急ぎで彼女の傍に駆け寄ります。
「怪我はないか?」
クラウスは大事になっていない事を確認します。
見つけてくれたクラウスの顔が、なんだか辛そうで不安そうで、シルキアはびっくりしました。
「大丈夫!」
笑顔で返しましたが、クラウスはまだ険しい表情です。
「手を……」
「うん、繋ごっか」
クラウスはシルキアに手を繋がれて、やっと安心した様子です。
シルキアはその表情を見てほっとします。
きらびやかな電飾のアーケードをくぐり抜け、今度は二人は人混みに気をつけながら、イルミネーションや花を見て回ります。
クリスマスに限らず、冬の童話や冬の風物を見事に光で再現したイルミネーションは華やかながらも癒やされるものばかりです。
シルキアはそれにデジャヴを感じました。
「ここって去年と同じ公園だったかしら?」
「去年と同じ?」
そう問い直してから、クラウスは、去年の自分の事を思い出しました。
(彼女を失う恐怖を抱え、その克服を誓い信じて欲しいと告げた……抑え込む事は出来ていた……)
去年の展望台で、クラウスはシルキアへと苦しい胸中を明かしたのです。
それから二人は信頼関係を築いてきた……はずでした。
ですが、夏に、碑文の影響もあってか……その胸を抉られるような出来事が起こったのです。
『お前は、お前の落ち度で彼女を失う。……はははははは! 滑稽だなぁ! しがみついて、すがって、最終的には捨てられるのか! あはっはははははは!』
あのときの笑い声は、今でも時折、クラウスを苛んでいるのかもしれません。
ふとした瞬間には不安に押しつぶされそうになるのです。ほんの一瞬、彼女を見失っただけでも、大きな動揺が襲いかかってくるのです。
--シルキアを守れず、彼女自身に捨てられるかもしれない--
そんな不安がクラウスの心の根底にあります。
(不甲斐ない今の自分……)
クラウスは人知れず、奥歯を噛みしめました。
シルキアは、隣のクラウスを見ると、一年前と同じ難しい顔をしていることに気がつきました。
途中の屋台でホットコーヒーとホットココアを買い、ベンチへクラウスを連れて行きます。
クラウスは無言でシルキアからコーヒーを受け取りベンチに座りました。
シルキアはココアを一口飲みます。
「クラウス、悩み事?」
そう尋ねられて、クラウスはせっかくの時間を台無しにしている自分にようやく気がつきました。
「すまない、去年と同じだな俺は……なんと進歩のない男だ」
シルキアは彼にそっと寄り添いました。
「同じじゃないよ。一年前はこんなこと出来なかったし。ふふっ」
シルキアは彼が落ち着くまで、無言でイルミネーションを眺めていました。その横顔には一年間で築いた自信と余裕がありました。
クラウスは彼女に応えるように、そっとその細い肩を抱き寄せました。
「そうだな」
微笑みが自然と浮かんできます。
ただ温もりを感じる静けさが、癒やしとなり、彼の心を癒やしていきました。
ぽつりと、シルキアが呟きました。
「辛い時はそばにいるから。あなたがしてくれたように」
クラウスは自分の胸中を察してくれるシルキアに恥じ入りながらも感謝します。
ただ深く頷く事で気持ちを返しました。
しばらくして、二人は展望台に上っていきました。
人気のない窓際に進んで行き、公園内のイルミネーションを一望して見渡します。
それから、シルキアは展望台の伝説をいくつかクラウスに話しました。
--展望台で手を繋いだら、幸運が訪れる--
「私達、ずっと繋いでいたね。どんな幸運が舞い込んでくれるかしら~♪」
わざといつもの調子でシルキアが言いました。
クラウスは真顔でシルキアを見ています。
「……(いつもに戻ったけど)」
シルキアは、逆にクラウスの事を意識してしまって赤面します。
「シルキアの幸運は、そうだな……料理を絶対失敗しないというのではどうだろうか」
「えっ」
真顔でそんなことを言われて、シルキアはびっくりします。でも、彼らしい答えとも言えました。
「そして、俺の幸運は……シルキアを決して見失わないという事だ。何があっても……決して」
真顔で間近から顔を見つめられながらそんなことを言われ、シルキアはどうしてよいか分からなくなり、真っ赤になってあたふたあたふたと挙動不審になってしまいました。
「あ、う、うん。はい! 料理をちゃんと習って……失敗しないように、努力しますっ」
それは幸運とは違うのですが……。クラウスはくすっと笑って、再びシルキアの手を握りしめました。クラウスの指先の感触に、シルキアは落ち着きを取り戻します。
来年も二人でここに来たい……癒やしの静けさの中で、自然とそう思いました。
●リゼット(アンリ)編
今日、リゼットは、精霊のアンリと展望台の公園にイルミネーションを見に来ています。
外は寒く、粉雪が空からちらちらと降ってきました。
リゼットは手に息を吐きかけて温めます。
「何してるんだ?」
「手袋忘れちゃったから冷えちゃって」
するとアンリは平気でリゼットの両手を握りました。
「ちょっ、手……!」
「これなら寒くないだろ?」
「まぁ……あったかい、けど、これじゃ動けないじゃない」
「別に動けなくたっていいじゃねぇか。ここならイルミネーションもバッチリ見える。それに逃げられずにすむし?」
「別に逃げたりしないわよっ」
二人は既に展望台に上っていたのでした。
でも、エアコンがあまり効いていないので寒く感じるのです。
「そういやここで手をつないだら幸運が訪れるって書いてあったな。他にはなんだったか……そうだ、キス。永遠の恋人になれるってやつ」
「雑誌、読んでたの? あ、あんなの作り話に決まってるじゃない」
「……試してみるか?」
そう言ってアンリはリゼットに顔を近づけて来ました。
リゼットはぎょっとして逃げようと体を捩りますが、両手を掴まれているためにうまくいきません。
「馬鹿! なにするのよ変態! あっち行きなさーい! そもそも私達は恋人なんかじゃ……」
逃げられずに無茶苦茶叫び出すリゼットです。
「なーんつって! 大体永遠の恋人になんかなっちまったら、結婚できなそうじゃね?」
「って……け、けけ……」
リゼットは顔を真っ赤にしてぷるぷると体を震わせています。
アンリはその顔を見てにんまり笑って満足です。
リゼットはもう帰ろうと歩き出しますが、両手は繋いだままでした。
展望台を降りて、公園の出口へ向かいます。
その途中で屋台で飲み物を売っている事に気がつきました。
「温かい飲み物を買えばよかったのよ。私としたことが気づくのが遅かったわ」
リゼットはやっと手を離してもらって、屋台でホットココアを買いました。
「ココア、俺にもちょっとくれよ」
「え、まぁ別に一口ぐらいならあげなくもないけれど」
アンリはココアを受け取ると、口をつけようとしたところでにやりと笑みを浮かべます。
リゼットはそれを見て気がつきます。
アンリが飲みかけたところで叫び出します。
「だ、ダメ! てダメ…じゃな…やっぱりダメーっ!!」
「さっきの、間接キスでも有効なのかねぇ?」
リゼットが叫ぶのとアンリの発言はほぼ同時でした。
リゼットがココアをひったくり返そうとしますが、アンリは手の届かないところへココアをひょいと上げます。
「もう展望台じゃねぇから関係ないんだがな~?」
身長150㎝のリゼットに対して、身長180㎝のアンリがココアを頭上に持っていったものだから、リゼットがどんなに背伸びをしても叶いません。
しまいにはぴょんぴょん跳ねてアンリからココアを取り返そうとするリゼット。
もうアンリは楽しくてしようがない状態。
「アンリの馬鹿!!」
「インスパイアスペルを唱えたら返してやるよ」
「何言ってるのよ、あんたなんか王子様じゃないわよ、犬で充分よーっ!」
「育ちがいいくせに、何で俺にだけ口が悪くてわがまま放題なんだよ、リズは……」
アンリはやっとリゼットにココアを返してくれました。
リゼットは散々跳ねたり怒鳴ったりですっかり疲れ切っています。
「ほら、そこのベンチで、ココア飲めよ」
アンリに促されて、リゼットは素直に大人しくベンチに向かって座り、ぬるくなったココアを勢いよく飲みました。
「クリスマスらしい事をしてみようと思ったのに何でこうなるの」
リゼットはココアを飲み終わってそう言います。
「クリスマス?」
「何年か前のクリスマスに、二人でご馳走を食べたじゃない。あのとき、アンリは凄く綺麗な聖夜の歌を歌って……」
「ああ、そんなこともあったな」
アンリはようやく思い出して頷き、リゼットの隣に座りました。
「あのときは……あの頃は……バカ犬にだって凄く感謝の気持ちが湧いてきたりしたのに……あれは聖夜の魔法か何かだったのかしら」
本人の前で平気でそういう事を言ってしまうリゼット。
「なんだよーそこまで怒ったのか?」
「……まあ、いいんだけどね」
リゼットはふっと笑ってアンリの顔を見つめます。ついこの間、鏡から出て来た理想の王子様そのもののアンリとダンスを踊った事を思い出したのです。
(このしょうがない王子様は、私が見ていてあげなきゃね)
そう決めて、目の前の現実の彼の事を選んだのは、リゼット自身なのですから。
「あんたと手を繋いだから、来年は幸運が訪れるのかしら。両手だから、普通の倍?」
ふと自分の手を見つめてリゼットがそう言います。
「バカだなあ。そんなのは本人の気持ち次第だろ? 起きた出来事をラッキーと受け取るのもアンラッキーと受け取るのも、人間の心だよ」
「それもそうね」
バカ犬と言いつつ、アンリは大人の男性なのだと気がついて、リゼットは微笑みました。
「それじゃ、あんたといられる事もラッキーと思う事にしとくわよ」
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
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---|---|
マスター | 森静流 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ロマンス |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 3 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 12月20日 |
出発日 | 12月27日 00:00 |
予定納品日 | 01月06日 |
参加者
会議室
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2016/12/26-23:53
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2016/12/26-23:53
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2016/12/26-23:53
シルキアさん、こんばんは♪
はっ!そういえば、去年もここに来た記憶が…!
ふふ、あの時みたいに楽しい時間になるといいなぁ…♪ -
2016/12/26-17:42
シルキアとパートナーのクラウスです。
どうぞよろしくお願いします。
この公園…もしかして去年も来た所なのかな?
ふふっ、伝説が一緒。 -
2016/12/25-01:30
桜倉 歌菜と申します。
パートナーは羽純くんです。
リゼットさん、お久しぶりです!
冬のイルミネーションって、どうしてあんなに心躍るんでしょうね…ふふっ、楽しみですね♪
噂が伝説……あ、この記事は羽純くんには内緒にしておこう…(ささっと雑誌を隠した)
楽しい一時になるといいですね♪ -
2016/12/24-22:58
冬のイルミネーションって素敵ですよね。楽しみだなぁ…。
伝説?何のことでしょう。