水族館で華やかな一日を(梅都鈴里 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「ようこそ、きらめく聖夜の水族館へ!」

 イベント職員の掛け声と共に、色とりどりの光りがぱあっと一斉に瞬く。
 首都のとある水族館では、現在イルミネーションとクリスマスを兼ねたイベントを催していた。
 館内のいたるところでは、魚を模した飾りと共に沢山の電飾やガーランド等がちりばめられていて
 家族連れや老若男女、カップル問わず楽しめる仕様となっている。

「ママー! あっち! イルカさんが居るよ!」
「僕ラッコさんが見たいな!」

 定番のイルカショーや餌やりなどでは、キャストがサンタやトナカイに扮し、イベントを一層盛り上げていた。
 常設型の水族館ではあれど、クリスマス仕様ということで、いつもとは全く違った館内装飾に、訪れる人々は皆心を躍らせる。

「あら。あそこの大きな観覧車も、ここの施設なのかしら……?」
「よく気づかれましたね! あちら、併設されているプレイランドになります」

 動物園や水族館などによくある小さな遊園地だが、メリーゴーランドや観覧車、ゴーカートなど、一通りのアトラクションが揃っているようだ。

「観覧車からは夜の風景を一望していただけますよ。昼と夜で姿を変える水族館の展望を、心行くまで楽しまれてください!」

 案内を担当した館内スタッフが、はちきれんばかりの笑顔でそう告げた。

解説

▼概要

水族館で一日デートするシナリオになります
入園料として400jr.あとはその都度細かくひいていく流れになります
水族館、遊園地ともにイルミネーションの点灯は夕方からになります
夜は中央広場で大きなツリーの点灯式があります

施設一覧

・水族館『アクアパレス』
イルカショー・ラッコの餌やり・ペンギンのお散歩タイム
クラゲ、夜行生物のライトアップ
ふれあい広場では魚やカメやカピバラに触れたりします
個別に料金は掛かりません

・レストラン『シーネイチャー』
魚を模したパンやセット、ポテトやフランクフルトなどのジャンクフード、ソフトクリームなどが売ってあります
室内は暖かいです。ランチや軽食にどうぞ。食事内容はお任せでも構いません
一組あたりお食事料400jr.いただきます

・プレイランド『シーパーク』
観覧車…昼と夜で変わる景色が一望できます
ゴーカート…競争も出来ます
メリーゴーランド…定番の馬車や馬など
空中ブランコ…ぐるぐる回るあれです
ゲームセンター…昔懐かしいコイン式やアーケードのゲーム機などが置いてあります

プレイランドはそれぞれ200jr.いただきます
お財布と相談してお好きな乗り物や施設へどうぞ。全部やっても構いません
「全部遊ぶよ」って書いてもらえれば、アドリブをこちらで頑張ります

▼プランにいるもの

・どこへ行って何をして遊ぶか
・個別描写になりますが昼の水族館やプレイランドは皆でわちゃわちゃやるのも楽しいと思います
 ランチや点灯式など、待ち合わせがある場合は会議室でお話してプランへ簡単に記載を下さい


ゲームマスターより

お世話になります。
この前水族館に行ったら鳥インフルエンザの影響でペンギンだけ隔離されていて大変悔しい思いをしました。
一日が長いのと自由度が高いためアドリブお約束のEXで申し訳ないのですが、よければご参加お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

信城いつき(レーゲン)

  水族館を楽しみつつ、スタッフや店員を見たり話しかけたりする

まだ見たいと思ってるでしょ、いいよまだ見てて
大丈夫だよと優しく手をつなぐ

広場、相変わらずレーゲン動物に遊ばれてるね

おやつとココアで点灯式待機
バイト始めてから、スタッフの物腰とか見てるんだ
真似できる事はしたいし
何より俺達が楽しめるよう働いてる人がいるんだなって

そう思うとね、あの時(顕現時)レーゲンやマシロの他にも
他のウィンクルムが助けに来たり
記憶喪失で不安な俺を支えてくれた職員がいた
多分ミカもレーゲンのそばにいたでしょ?

色んな人達のおかげで俺は今ここにいるんだ、ありがとうって気持ちになるんだ

どうしたのレーゲン!?
……うん、俺も好きだよ。


セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  日中は水族館、レストランで食事、夕方~夜にプレイランドで遊ぶ流れだな。
1日じっくり楽しむぜ。
ラキアと手を繋いで水族館を見て回る。
イワシの群見て「ウマそう…」ジンベイザメはでっかいし!
ラッコってデカいんだな。貝叩く姿が面白い。

イルカショーは必須。シャチ居るといいな。好きなんだ。
イルカのジャンプ姿っていいよな。楽しそう!混ざりたい。

レストランではお薦めメニュー(お任せ)を食べる。
食べつつ見た魚の感想アレコレ。
クリオネが凄く小さいとか。コバンザメってホントにくっ付いてるのな。
意外と1日楽しめるよなココ。土産にお魚パンも買おうぜ。

ゴーカートで競争するし。
観覧車で風景眺めて2人でほっこり。幸せを満喫。



カイエル・シェナー(エルディス・シュア)
  ライトアップのクラゲがまるで宝石のように見える…
飼いたいと口に出し掛け、見事に先手を打たれた…残念だ

格闘ゲームは初めてやったが…この状況が相方の大人げない『初心者狩り』なのは良く分かった…
本気を出して、相手の手と画面を観察する事しばらく
「…もう一度だ。次はきっと上手くやれる」
笑っていた相方をフルボッコにした
ようやく気が晴れた

夜は観覧車から夜景を
昇り切る直前で立ち上がり、ずっと外ばかりを無言で見つめる相手の前に立った
はっしと押さえた相手の頭
「叫ぶな! わめくな! 揺らすな!
こちらとて緊張しているんだ!」
はたと止まった相手の、額にそっとキスをして

『親愛』なら、文句も出ないだろう …!? 苦しい!苦しいっ!


楼城 簾(白王 紅竜)
  今日は互いに私服(コーデ通り)としたけど、落ち着かないな
でも夏【フォ2】とは違うし、素直に楽しむよ

紅竜さんが混雑で逸れるからと手を取ってくる
心臓が自分の物ではないみたいだ
「わ!?」
混雑凄くて押された拍子に体勢崩してしまい支えて貰ったけど、あれ、今…?

水族館終わったら食事
「紅竜さんはパン多よいね」
実家や朝食の話に吃驚
「意外だね」
想像出来なかった

夕方に観覧車
夢【紅9】を思い出してしまう
「夢は夜だっ…あ」
独り言が口に出てしまい、紅竜さんが僕をじっと見る
言えないし会話がない…
でも、今この時間を誰かに邪魔されたくない

点灯式時は視線に気づく
「君、いや、あなたが隣にいて嬉しいと思ってるよ」
とても不思議だよね


ユズリノ(シャーマイン)
  「負けるかー
食い下がるけど側面引掛けた
「負けたー流石だねシャミィ
お互い肩抱き健闘称える

水族館
興味全開
ショーに口開けっぱで「ほわー
ラッコにふにゃり笑顔「りゃっこちゃあーん
ペンギンにメロメロ「きゃわいー
彼が笑ってるのに気づき恥かしい
「は はしゃぎ過ぎだね
呆れられてないみたい ほっ
「誘ってくれてありがとう 凄く楽しい

軽食は2人でセットメニューを和気藹々と

夕方に観覧車
景色に魅入る
プレゼント僕からはマフラー
巻いてあげる時顔近づいてドキドキ
受取り開けるとお洒落なエプロン…2つ?
「先生?
お揃いエプロンで料理
光景想像して頬染め大きく頷く うん!

点灯式
腰抱きに身を任す
ご褒美貰に狼狽えつつ嬉しい「ら 来年も頑張るよ!



「……私服というのは、どうにも落ち着かないな」
 冬用コートの襟を伸ばしつつ、神人、楼城 簾がぽつりと呟く。
 仕事では常にフォーマルがデフォルトだ。私服で来るように、と言い出したのは確かに自分なのだが、そもそもこんな場所で仕事用のスーツを着込む訳にもいかず。
「簾さん、はぐれないように」
「あ、ああ」
 声に気付き横目で精霊、白王 紅竜を見上げる。簾に合わせ、彼も今日は私服だ。
 薄鳶色のトレンチコートにワイシャツとベストを着込んでおり、すらりと長い脚が映えるタキシードパンツはなかなか様になっている。
「夏の水族館とは違うし、素直に楽しむさ」
「……」
 以前、簾は水族館に来ているが、その時同行したのは別精霊のフォロスだった。
 その事には特に触れず、逸れ対策として、不意に紅竜が簾の右手を取った。
(……心臓が、自分のものじゃないみたいだ)
 何食わぬ顔をしているつもりだが頬が熱い。心音が早鐘のようだ。
 カップルで賑わうデートスポットで、護衛につく精霊と手を繋いでいる。それだけのことで。
「ひ……人が多いね」
 会話が無いとなんとなく落ち着かず、周囲に目を滑らせる。
「そういうシーズンなんだろう」とだけ、特別興味もなさげに返って、また会話が途切れた。
「うわっ……!」
 混雑で押された拍子に簾が態勢を崩した。
 繋いだ手を強く引かれ無様に転倒する事だけは避けられたものの。
(――あれ? 今……)
 刹那、前髪――額の辺りに、柔らかな温もりを感じて。
 体を支えられた際にも、本当に軽い力だったけれど、ほんの数秒。
 抱き締められた様な気がした。
「行こう。ここは、人が多過ぎる」
 ふい、と。手を引いたまま、それきり紅竜が顔を逸らしたから、簾も深くは言及せず隣に並び歩いた。
 額に受けたぬくもりがキスだと気付いたのは水族館内も半ばに入ってからの事で、結局終始魚には集中できなかった。

 ランチタイムのフードコートも大勢の人で賑わっており、各々、好きなものを買って着席する。
 紅竜の運んできたトレーには名物のハンバーガーが鎮座していて、そういえば、と彼が普段よく口にしているものを思い出した。
「紅竜さんはパンが多いよね」
「実家がパン屋だ」
 即座に返った答えに、驚いた。
 彼の性格や話し振りからはまったく想像出来なかった。
「パン、好きなのかい?」
「ああ。朝食もパンが多い」
「そうなんだ……」
 意外性に加え、別段、今の彼がパン屋で働いているという訳ではないのだけれど、帽子を被り白いエプロンを着込みパンを焼く紅竜を一瞬思い浮かべてしまい、顔を逸らしたまま少し笑った。
 どうかしたのか、と訝しげな本人には、漏れそうになる笑いを堪えつつなんでもないよ、と返しておいた。

 水族館を一通り見終えて、夕暮れ時の観覧車に乗る。
 沈みゆく夕日が雲間から昼と夜を二分する。
 青い空にオレンジ色の雲が浮かぶ、幻想的な時間帯だ。
「綺麗だね、空」
「ああ……そうだな」
 目下を見下ろし、頬杖を突いてぼんやり冬の景観を眺めていると、日々の喧騒を離れ色々な事を考えてしまう。
 例えば、あの夜の事とか。
「……そういえば、あの夢の時は夜だったな……」
 口に出してしまってから、ハッと我に返った。
 簾の呟きに、紅竜の視線が途端、彼に向けられる。
 気付かないはずがない。
(……まさか、彼も同じ夢を?)
 そう呟いたのは紅竜の胸中だ。
 口に出せたものではない。思い返すだけでも、胸の中で抑え込んだ荒い燻りがぶり返してしまいそうなのに。
 忘れようのない、密度の濃い時間。
 それは簾にとっても同じことで。
 嫌が応にも、今は静かな精霊に、あの夢で見た獣のような彼を重ねてしまう。
(言えないし、会話がない……でも)
 ふたりきりで流れる時間を誰にも邪魔されたくない。
 そんな想いを、同時に抱いてもいる。
(もし、同じ夢をみていて……簾さんが私を意識しているというなら)
 胸に込み上げる想いを、紅竜は自覚する。
 もっと意識してくれたら良いのに、と。

 観覧車を降りて、点灯式を待つ人の輪に二人並んだ。
 明かりに照らされる簾の横顔を、無意識のうちに紅竜はぼんやりと見つめる。
 視線に気付かれて、は、と我に返るも、躊躇いがちに浮かんだ簾の微笑みに、視線を外せなくなった。
「君……いや、あなたが隣に居て。僕は、嬉しいと思うよ」
 不思議だよね、と。
 付け足された一言は、紅竜も同じように感じている気持ちの変化だ。
「私も、あなたの隣で嬉しい」
 心から素直に出た言葉。理由はもう、気付いている。
 護衛という建前なしに、彼のそばに居られる事を望むこの気持ちは、きっと。
 ツリーと外観一帯、一斉にイルミネーションが点って、わあっと歓声が上がった。
 沸き立つ冬の空気にふたりの心もつられるようで、自然に繋がった互いの手が、とても温かく心地よかった。


「まるで宝石みたいだ……」
 ライトアップされたクラゲの水槽に、神人、カイエル・シェナーは目を釘付けにされていた。
 いつまでも睨めっこしている彼が「飼いたい」と言い出す前に、後ろで彼を見ていた精霊エルディス・シュアが口火を切った。
「飼ったりしたらお前『家でクラゲをじっと見ているか読書』しか絶対しなくなるから、ダメです」
 ぴしゃりと言い放った精霊へ気持ち口を尖らせ恨めしそうな視線を送るものの「かわいい顔してもだめ」と一蹴された。
「先手を打たれた……残念だ」
 こんなにきれいなのに、と名残惜しげなカイエルに苦笑して。
「……ま、一年も一緒に過ごしていれば、多少は、な」
 大して呆れた風でもなさげに肩を竦めて、代わりに今だけは彼のワガママに付き合い、しばらくクラゲコーナーを見て回った。

「……大人げないぞ、エルディス」
 プレイランドに訪れた二人は、アーケードの格闘ゲームコーナーに居た。
 好きだから対戦しよう、と言う精霊に付き合い向かいに座ったものの、いわゆる『初心者狩り』の様相を呈して、アーケード初プレイのカイエルはろくにキャラクターを動かす事も出来ないまま、完膚なきまでに伸された。
「手加減してほしかったのか?」
「そういう訳じゃないが……あまりにも面白くない」
 ちょっと何回かやってみてくれ。そう告げてコインを追加投入し、エルディスが一人でプレイしている様子を、後ろに立って見守る。
 エルディスとしては俺TUEE! のターンを見せ付ける事も出来て気分は上々だ。ここぞとばかりに、難しい技やコマンドを入力し、スティックを巧みに操る。
 その様子を、カイエルはじっと観察していた。スティックの持ち方、ボタンへの指の添え方、技の繋ぎ方に防ぎ方。
 日々の鍛錬と同じ様に本気で研究して、再び向かいの対戦者席に座りコインを投入した。
「もう一度だ。次はきっとうまくやれる」
「ははっ! 上等、格闘ゲームにビギナーズラックなんてそうそうあるわけ――」
 あった。
 結論から言うとフルボッコにされた。
 カイエルは、先程エルディスが使っていたキャラクターと同じものを選択し、同じような手法を真似てプレイしたのだ。
 軍人として日々詰む鍛錬を思えば、戦法の一つとしてそれを飲み込む事は造作もなかった。
「ようやく気が晴れた」
「うっそだろ……」
 勝ち誇った様に拳を突き上げるカイエルの横で、エルディスはがっくりと項垂れていた。

 その後も適度にあちこち巡り、点灯式を終えて明るくライトアップされた園内を、観覧車から遠く見つめた。
 水族館の外観だけでなく遠い街のあかりも見渡せて、アリほどに小さな人々の営みを見ていると、時間が経つのも忘れてしまう。
 なんとなく会話が途切れて、エルディスは外ばかりみつめていた。
 ふたりきりの時間は心地よいけれど、狭い密閉空間である事がなんだか落ち着かない。
 ちら、と気付かれない様に相方を一瞥するも、しばらくはカイエルも同じように夜景を見ていた――が、突然、彼は席を立った。
「え、なに……」
 なにやら真に迫った顔でつかつかと眼前まで歩み寄り、硬い動きのまま突然エルディスの頭をがっ! と両手で挟み込んだ。
 さっきプレイランドで見たクレーンゲームを思い出した。
「ギャーッ! なに、なんだ突然!?」
「静かにしろ! 騒ぐな、喚くな!」
「いや喚くだろ普通いきなり前触れもなく頭掴まれたら!」
 至極もっともな正論である。エルディスの抵抗は理解出来るが行動に移した以上カイエルもあとに引けない。
 てんやわんや騒ぎ立てる二人分の重さを受けてゴンドラが激しく揺れた。
「ちょっちょ、立つな揺れる!」
「揺らすな!!こちらとて緊張してるんだ!」
「揺れてんの俺だけのせいじゃないから!!」
 揉めた訳でもないのに怒号を飛ばしあっているかのような様相である。
 一度はカイエルにつられて席を立ったエルディスも、重心が崩れて硬い椅子に尻餅をついた。
「っ! いっ、て……」
 彼が大人しくなった一瞬をついて――カイエルは、エルディスの額にキスを落とした。
 え、と見開いた黒に近い藍色が、カイエルの胸元を近い距離に捉える。
「……『親愛』の口付けだ。文句はないだろう」
 顔と両手を離し余裕の口振りで告げたものの、エルディスの視線が捉えたカイエルの顔は今にも火を吹きそうだ。
 他人へ好意を示す事に不器用な彼なりに、親愛を示そうとしたのだとわかるや否や、エルディスの胸の内にあふれそうなほど、熱い想いがこみ上げた。
「……っ!」
 破顔した顔が迫った、とカイエルが思った時には強く抱き締められていた。
「エルディス、苦しい」
「我慢してくれ」
「……」
 苦しいだけで、抱き締める事を止めてほしい訳では無いから、顔が見えなくても心無しか声が浮ついているエルディスの背に、カイエルは自身の手をためらいがちに回した。


「わあ、すごく綺麗だね……!」
 翡翠色が、電飾の光を受けてきらきらと瞬く。
 精霊レーゲンが足を止めていたのはクラゲのライトアップコーナーだ。
 明かりを控えた室内で、円柱状の水槽に多種多様のクラゲが泳いでおり、次々にカラーを変えるイルミネーションが半透明色の刺胞動物たちを照らし、幻想的な風景を来館者たちに魅せている。
 先程から彼はクラゲコーナーをしきりに観察していて、一緒に来館した神人、信城いつきは肩を並べたまま、水槽枠に書かれた生態解説などを読みふけっていた。
「あ、ごめんね。立ち止まったままで」
 は、といつきの様子に気付き我に返る。次はどこへ行こうか? と言うレーゲンに、彼はにこりと笑いかけた。
「まだ見たい、って思ってるでしょ? いいよ見てて」
「でも……退屈じゃないかい」
「大丈夫だよ。俺も一緒に見ていたいし」
 はにかんで、そのままいつきは手を繋いだ。
 繋がれた手のぬくもりからは、焦りも退屈さも感じられなくて、レーゲンは心から安心すると共に、いつきの優しさに感謝した。

「ありがとう。おかげで満足だよ」
 次はふれあい広場でも行く? と、ややあって問いかけたレーゲンに、いつきも「行く!」と満面の笑顔を見せた。
 ふれあい広場ではもう恒例というかお約束というのか、予想通りレーゲンが動物たちに遊ばれていた。
 カピバラには妙に懐かれ草かなにかと間違われて髪まで食べられそうになるし、ドクターフィッシュに夢中でふと足下を見遣れば、わらわらとより集まった亀達がレーゲンをじっと見上げていて身動きが取れなくなったり。
 エイに触れるという水槽では、眼前で思い切り水面を叩かれ盛大に水を散らされた。
「これは……いい事なのかな……?」
 前髪から雫を滴らせつつぼやいたレーゲンに、いつきは楽しそうに笑って。
「あははっ。みんなレーゲンが好きなんだね」
 俺も好きだから、構いたくなる気持ちはよくわかるよ、とカピバラの背を撫でている彼が楽しんでくれているようだから、まあいいか、と苦笑しつつ、飼育員が手渡しに来てくれたタオルで水滴を拭った。

 その後もあちこち余すところなく立ち寄って、その都度他愛なく語り合いながら、水族館を堪能した。
「水槽、定期的に掃除してるんですね」
「ええ。ちなみに、ショーで遊ぶイルカさんと、ここの水槽のイルカさんは別なんですよ。閉館した後に、担架を使ってお引越ししてるんです」
「へぇー」
 会話はイルカショーが終わったあとの、いつきと、水族館のスタッフによるものだ。
 いつきは最初こそ動物を見るものの、どちらかといえばこんな風にスタッフに話し掛けたり、仕事を観察したりという姿の方が多く見られた。
「最近のいつきは、違うところを見ているね」
 広場で点灯式を待ちながら、不意にぽつりとレーゲンが言葉を漏らした。
 え、と視線をむけられて「悪い意味じゃなくてね」と笑って付け足す。
「なんというか……視野が広くなったというのかな。今日見ていたのも、魚だけじゃなかっただろう」
 続いた言葉に、ああ、といつきは少し照れくさそうに頬をひとつ掻く。
 それから、手元のおやつとココアに一度視線を落として、ぽつりぽつりと想いを語った。
「バイトする様になってから、スタッフの物腰とか心構えなんかを見聞きしてるんだ。真似出来ることは、していきたいし……」
 ココアを一口啜って、喉元を温かく満たしてから、また言葉を続ける。
「なにより、この人たちが働いてくれているから、俺達が楽しめるんだなって」
 裏方は、表立って目に見える仕事ばかりではない。イルカショーできらきら輝くショースタッフの後ろには舞台の準備に駆け回る係が居て、優雅に水槽を泳ぐ動物達がストレスなく過ごせる裏には、言葉の通じない飼育員らの積み重なった努力がある。
 そうした知らない人たちの数しれぬ尽力があるから、尽くされる方は何も気にすることなく、純粋にアミューズメント施設を楽しめる。
 幸せの裏には必ず誰かの力添えがあるという事を、スタッフの話を聞いていると尚更、痛感するのだ。
「そう思うとね。あの時、レーゲンやマシロの他にも、別のウィンクルムが助けに来たり、記憶喪失で不安だった俺を支えてくれた職員が居た。たぶんミカも、レーゲンのそばに居たでしょ?」
「いつき……」
 デミオーガ化を遂げてしまった家族を撃ち殺したあの日も、こんなクリスマスのきらめく風景があちこちに広がっていた。
 みんなの支えがなければ、今こうして晴れやかな気持ちでクリスマスを迎える事は出来なかったかもしれない。記憶すら、戻っていたか定かじゃない。
 失ったものは大きく、取り戻した記憶はすごく辛くて悲しいものだったけれど、レーゲンやミカやウィンクルムたち、何よりマシロ自身の温かい想いが、いつきの心を護ってくれたのを、レーゲンもよく知っている。
 つなぎとめてくれた人たちが居たからこそ、今いつきは目の前で笑っていてくれる。
 そう考えると、クリスマスが以前よりもっと特別な日に思えた。
「いろんな人たちのおかげで、俺は今ここに居られる。ありがとう、って気持ちになれるんだ」
 いつきの言葉と共に、ツリーと、水族館の景観に明かりが一斉に灯った。
 暗闇が晴れていくように、いつきの言葉がじんわりレーゲンの心にしみて、とても温かい。
 小さな体を優しく引き寄せ、レーゲンはいつきを深く、慈しむように抱きしめた。
「ど、どうしたの? レーゲン」
 僅か慌てたけれど冬の空気で冷えた体には、精霊の大きな体は温かくて、安心した。
「好きだよ、いつき」
 告げられた言葉がいっそう心に染みて、いつきは大きな背中に手を回した。
「……うん、俺も好きだよ。レーゲン」
 ツリーの輝きに人々が歓声をあげる中、重なったふたりの影へ笑いかけるかのように、イルミネーションはいつまでも瞬いていた。


「俺のスピードについてこれるかリノー!」
 暴走族よろしく、ゴーカートを爆走させるのは精霊のシャーマインだ。
 二メートル近い体躯を持つロイヤルナイトには子供に合わせたシートサイズはまるで合わず最初は操縦に苦戦していたものの、自前のテクニックで見事トップを駆けていた。
 食らいつくようにバックから追走するカートには、神人ユズリノが搭乗している。
「負けるかぁー!」
 食い下がるものの内回りの際、側面をカラーコーンに引っかけモタついてしまい、あっという間に距離を離されそのままお互いゴールするに至った。
「負けたー。流石だね、シャミィ」
 運転や騎乗スキルに長けるシャーマインを素直に讃えるユズリノに。
「リノもいい線いってた。最後の引っ掛けが無かったら抜かれてたかもな」
 シャーマインも肩を抱いて、互いに健闘を讃え合った。

 水族館へパートナーを誘ったのはシャーマインだった。
 最近は戦闘ばかりで息抜きする暇もなかったから、大切な神人に少しでも楽しい時間をあげたいと思って。
 プレイランドで遊んだ後は、早速水族館内に足を運ぶも『ラッコさんコーナー』と書かれた広場でユズリノは釘付けになっていた。
「りゃっこちゃぁーん」
 ふにゃりと溶けたような笑顔にろれつのあやしい口回り。
 両前足で餌を取るんですよ、と飼育員の説明に続き餌付けが行われ始めると、ラッコの愛らしい一挙一動にその都度かわいいかわいい、とユズリノははしゃぎたてる。
 可愛い生き物はお前のほうだ、と何度後ろからシャーマインが口に出しかけたか詳細な数値は明白ではない。動物を見るより彼の挙動の方が面白い。
 イルカショーでは終始口を開けっぱなしだった。スタッフの合図で波を蹴った海色の巨体が同時に三匹高く跳ね上がり「ほわー!」と歓声をあげる。
 着水で大きく溢れた波が掛かって、冷たいね! と二人で笑い合った。
 ペンギンさんのお散歩時間でーす! と館内アナウンスが響き、列を成したペンギン達がクリスマス風のショールを着て館内をぺたぺたと闊歩し始めれば「きゃわいぃ~!」とまたユズリノは黄色い声をあげた。
 瞳の中にはきらきらと星が飛んで、周りに花でも舞っていそうな風体だ。
 口元を抑えにやけるのを堪えていたシャーマインだったがつい噴出してしまって、ハッと気づいたユズリノが照れた様に視線を逸らし頭を掻いた。
「は、はしゃぎ過ぎだね」
「いや。いっそ清々しい。くくっ」
 可愛過ぎ。にやけたまま言って頭をぐりぐり撫でると、呆れられてない事に安堵したように、ほっと息を吐いた。
「今日は誘ってくれてありがとう。すっごく楽しい!」
「どういたしまして」
 花が咲いたような笑顔につられて、シャーマインの胸中もほっこり温かくなった。

 軽食は二人でセットメニューを頼んで、和気藹々と会話を交わしつつ軽く腹を膨らませた。
 夕暮れ時に観覧車へ回り、沈む夕陽を空から眺める贅沢なひと時を二人満喫する。
 窓から見える景色も絶景だけれども、向かい合わせに座るシャーマインから真正面に捉えたユズリノの儚げな横顔が、オレンジの光に照らされあまりに扇情的で。
 加えて、二人きりの密閉空間ともなればおかしな気持ちになるのは仕方ない。
 会話もなく沈黙の最中にじっと見ていると妙な気分になりそうだったから、誤魔化す様に「そういえば」とシャーマインが口火を切った。
「クリスマスだし、リノに何かあげたいと思って――」
「あ! そうそう、僕も考えてたところなんだ」
 驚かせるつもりが先手を打たれてしまった。
 ごそごそと鞄から取り出した包みを、ユズリノは精霊へと差し出す。
「開けていいか?」
「もちろん。どうぞ」
 クリスマスカラーを基調にあしらわれた可愛らしい包装を丁寧に解いていく。
 中から現れたのは、濃い緑色をしたマフラーだった。
「僕の目の色と、シャミィの髪の色だね」
「リノ……」
「貸して。巻いてあげたいから」
 どこまで可愛い事をするんだ、と言いあぐねた内にマフラーを奪われ、代わりに彼の顔が眼前に近付く。
 先程は耐えたがこんなにも近くに愛しい神人の顔があるのは本当にまずい。あまりにも不用意だ。
 緊張しているのはユズリノも同じだったようで、僅かに頬が赤く、視線をあえて合わせないようマフラーを巻くことに意識を逸らしている。
 キスしたくなる衝動をなんとか押さえ込む事に成功して、ユズリノの頭を撫でて「サンキュ」と告げた。
「俺からは、これ」
「ありがとう! 開けていいよね?」
「ああ」
 巻取りをくるくると外して中身を取り出す。
 深い青色のものと、抹茶色をしたエプロンが二組、丁寧に折り畳まれていた。
「抹茶色は俺のぶん。この前、一緒にシチュー作っただろう?」
 告げられて、先日、夕食作りを手伝ってもらったことを思い出す。
 料理に不慣れな精霊がいつ手を切らないか、あの時はハラハラしたものだ。
「リノが先生代わりなら楽しそうだと思ってな」
「せ、先生っ?」
 思ってもみなかった単語についすっ頓狂な声をあげれば、手をとられ上目遣いで「教えてくれる? 先生」と端正な顔立ちに微笑まれ、耳まで茹でだこになりつつも、二人で料理する姿を想像し笑顔で「うん!」と大きくひとつ頷いた。

 点灯式では人混みがすごくて、自然な流れでシャーマインがそっとユズリノの腰を抱き、はぐれないよう引き寄せた。
 点灯まで一緒にカウントダウンしてくださーい! と、司会のアナウンスに続き集まった人々が声を重ねていく。
 ごお、よん、さん……大きくなっていく声にシャーマインとユズリノも合わせ、ゼロ! の合図で一斉に灯りが灯った。
「わあっ! すごいすごい!」
「ああ。すごく綺麗だな……!」
 ライトアップはツリーだけにとどまらず、水族館の景観や植え込みなど人々を取り囲む景色に電飾が散りばめられていて、昼とはまったく違う光の世界を演出していた。
 あっちのイルミネーションお魚の形してるよー! と、興奮気味に見上げてきたユズリノの表情も輝く色彩にいろどられて、思わず見惚れて時が止まる。
 ユズリノから見上げたシャーマインの顔も、いつも以上にうつくしくて――。
 気づけば、シャーマインの方から唇を重ねていた。
 キスはほんの一瞬、すぐに離れていったけれど、しまった、とバツが悪そうに赤面した精霊の顔があり、つられるようにユズリノの頬も茹で上がる。
「……こ、今年一年。頑張った御褒美だ」
 照れを半ば誤魔化すようにして微笑まれた一言に、狼狽しつつも嬉しくて、ユズリノも「ら、来年も頑張るよ!」と慌てて答えを返した。


「おー! すっげぇ! でっけー!」
 パノラマの大きな水槽を、優雅に泳ぐ巨大なジンベエザメに、歓声をあげるのはセイリュー・グラシアだ。
「セイリュー。足元、段差あるから気をつけてね」
「わかってるってー。あ! あっちマンボウ泳いでるぜ!」
 子供を見守る保護者の様な気持ちで、繋いだ手を引かれるままセイリューの行く先々で同じように魚達を眺めるパートナー、ラキア・ジェイドバイン。
 トンネル型の水槽に入ると、頭上をエイが通ったり、小魚たちが群れて泳ぐ姿は圧巻であったりと、普段見る事のない海の中の光景は、どこへ行っても目新しく新鮮だ。
 イワシの大群や食用とされる魚などにはガラス窓に張り付いたセイリューが「ウマそう……」と逐一物欲しげに呟くものだから、ラキアはその都度可笑しそうにころころと笑っていた。
 館内を闊歩するペンギンの姿には、しゃがんで目線を合わせたラキアが「かわいいねぇ」と眺める。
 すると興味を惹かれたらしい一匹が、ペタペタと彼のもとへ歩み寄って来た。
「ん? 触らせてくれるの?」
 首を傾げて聞けば、言葉が分かっているかのようにこくこくと頷いて。
 付き添いの飼育員も「懐かれちゃいましたね、どうぞ」と微笑んだので、そっと羽に触れる。
 見た目よりも硬い手触りに驚きつつ、心地良さそうに目を細めるペンギンの姿に和んだ。
 花が舞っていそうな精霊と動物の姿にセイリューも表情をほころばせていた。
 ラッコのご飯タイム、と流れたアナウンスに合わせ足を運んだ水槽では、飼育員の手から取った貝を器用に腹の上でカンカン叩く姿を見る事が出来た。
「本当にラッコってああいう仕草するんだなー」
「うん、可愛いね。魚も器用にキャッチするし」
「そうそう。意外に結構大きいし……あ、あの貝も美味そう。動物ってなんであんな美味そうにご飯たべるんだろ?」
 そういえば腹が減ってきたな、と手すりに頬杖を突いたセイリューの畳み掛ける様な台詞につい言葉を挟み忘れるが、セイリューがご飯食べてる時もあんな感じだよ、とはとりあえず言わずにおいた。

『本日はクリスマスのスペシャルイルカショーへようこそ! たっぷり楽しんでいってくださいね!』
 スタッフのアナウンスに合わせ会場中にはウインターソングが鳴り響く。
 大きなプールには数匹の大きな魚の影があり、舞台では飼育員やショースタッフがサンタの格好をして観客達を出迎えた。
「座るのはこっちの方がいいかな。水が掛からないから」
「オレ近いとこで見たいなぁ」
「後で風邪ひいて遊べなくなっても?」
「それはやだ」
 掛け合いしつつも、水が掛かるのは大体ここまでです、とスタッフが示唆するギリギリのラインに席を取って、安全圏でショーの開始を待った。
 やがてBGMもボリュームが上がり、上空から釣り下がったくす玉に向けて一匹のイルカが高くジャンプした。
 くす玉が割れイルカの着水で高く水しぶきを上げたのがショー開始の合図だ。
「きゃー! つめたぁーい!」
「あ! あれ、イルカさんじゃないよねっ?」
 観客達の声に合わせ姿を現した黒い魚の正体はシャチだ。
 セイリューもうれしそうに目をきらきらと輝かせた。
「オレ、シャチ好きなんだよなー!」
「今日は特別仕様で、混合でのショーなんだって。ラッキーだったね」
「おう!」
 パンフレットを開くラキアに返事はするがその視線はプールのシャチ達に釘付けだ。
 その後もプレゼントを模した箱を器用に両ヒレで持って飼育員のもとへ届けるイルカの演技や、曲に合わせるよう数匹が同時にジャンプしたり、イルカとシャチの間でボールラリーを行ったり――等々、次々行われる演出に、皆歓声をあげていた。
『ではここで! 私達と一緒に、イルカさんと遊んでくれるお友達を募集します! 協力してくれる人、大きく手を上げてーっ?』
 スタッフのアナウンスにあちこちから声が上がる中セイリューも大きく手を上げた。
 楽しそう! 混ざりたいなー! と言っていた手前、選ばれたらラッキーかな、とラキアも隣で見守っていると、司会スタッフが指差し数えてメンバーを指名した。
「では、あちらのお子さん親御さんと、あっちのお姉さんと――真ん中で元気良く手を上げてくれたそこのお兄さん! 前へどうぞ!」
 選ばれたのは三組。右端に座っていた親子と左端に陣取っていた女性グループの一人、そしてセイリューだ。
「良かったねセイリュー」
「ああ! ラキアも行こうぜ!」
「え、いや俺は……っ」
「いーから!」
 手を引かれるまま観客席前方の司会席へ、指名された数人と共に駆け出る。
 スタッフから、私達が動くのと同じタイミングで手を振ってくださいね、と、動物たちに出す指示の簡易ルールを受けて覚え、案外難しいですねぇ、なんてその場限りで集まった観客と笑い合ったりもして。
『では本番です! お友達も上手にイルカさんと遊ぶことが出来たら、皆さんは大きな拍手をおねがいしまーす!』
 司会のアナウンスと共に再びBGMが大きく鳴り響き、イルカ達が中央に集まる。
 スタッフの合図に合わせセイリュー達が手を大きく振り上げると、集まったイルカやシャチが大きく水面へ飛び上がった!
「きゃーっ! すごいねおにいちゃん!」
「ああ! かっこいいなーイルカさんたち!」
 いつの間に仲良くなったのか、一緒に合図を出した子供と同じような目線ではしゃぐセイリューに、ラキアも気分が高揚して。
 さりげなく腕を組むと、それに気づいたセイリューもラキアを見て「楽しいな、ラキア!」と歯を見せはにかんだ。
『ショーは大成功でーす! 協力してくれたみんな、ありがとーっ!』
 大きな拍手が沸き起こり、その後も演目を楽しんで、大成功を収めたイルカショーを見終えた。

 レストランではお薦めされたランチのセットメニューを一緒に食べつつ魚の感想を言い合った。
 クリオネが小さ過ぎて見つけるのに苦労したとか、コバンザメが本当にくっついて泳ぐんだな、とか。
 フードコートからふと目についた土産屋にはラキアの意向で足を運び、家で待つ猫達の為にとぬいぐるみを購入した。
「『ダイオウグソクムシ』って……意外とリアルだよな、見た目」
「そうだね、買おう」
「買っちゃうんだ?」
「もちろん。あとイルカとカメとペンギンも」
 ひょいひょいと次々ぬいぐるみを手に取っていくラキアの姿に、部屋がぬいぐるみだらけになりそうだなぁ、なんてセイリューは思いつつも、猫たちの反応を想像すると帰宅が楽しみになって、お土産にと名物のお魚パンも購入した。
 プレイランドもしっかり遊んで、ゴーカートでは本領発揮とばかりにスピードを出しすぎたセイリューがカラーコーンと盛大に事故ったりもしたが、それもまた楽しい旅行のハプニングと相成った。
 夜は観覧車から二人夜景を眺めて、ほんのひと時現実から隔離された時間を満喫した。
「もう終わっちゃうね。少し名残惜しいな」
「そうだなぁ。ラキアも今日は結構はしゃいでたもんな」
「そ、そうかな。……うん、今日は一日とっても楽しかったよ」
 観覧車を降りて家に戻れば明日からまたウィンクルムとしての日々が始まる。
 命を賭す様な戦いもあるけれど、今だけは二人きり、ゆるやかに流れる時間を心に刻んだ。



依頼結果:成功
MVP
名前:セイリュー・グラシア
呼び名:セイリュー
  名前:ラキア・ジェイドバイン
呼び名:ラキア

 

名前:カイエル・シェナー
呼び名:カイエル
  名前:エルディス・シュア
呼び名:エルディス

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 梅都鈴里
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ EX
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,500ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 12月13日
出発日 12月24日 00:00
予定納品日 01月03日

参加者

会議室


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