手帳はあなたのイニシャルでいっぱい(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「お疲れ様でしたー」
 A.R.O.A.本部に任務達成の報告をして、玄関から出るところ。
 あなたと精霊は他のウィンクルムと挨拶をかわしあいながら本部の門に向かいます。
 あなたたちが出てきたのはA.R.O.A.本部の新館の方で、科学文明式のビルディングですが、ふと振り返れば窓にぽつぽつと蛍光灯の光が見えています。もう夕暮れなのですが、残って仕事をする職員は大勢いるのでしょう。
「仕事、仕事……。社会人なら当たり前かな」
 ちょっと疲れていたあなたはそう呟きます。
「オーガから世界を守るための仕事なんだから、休んでられないだろ。だってオーガが夜中や祝日は手加減してくれるって訳じゃないんだから」
「そうだよねえ。でも、何日何時何分に襲いますって言ってくれたら、こっちも予定を組みやすいよね」
 ちょっとだけ本気であなたはそう言いました。精霊はおかしそうに笑っています。
 それからあなたたちは帰宅するため連れだって地下鉄駅に歩きました。
 普段何気なく歩いている道です。精霊はそのまま地下への階段に真っ直ぐ行きますがあなたは立ち止まりました。
「あ、待って! ちょっと待って、私こっちに……」
「何、どうした」
「手帳フェアやってるみたいなの」
 地下鉄駅手前のちょっと大きめの書店。そこで「カレンダー&スケジュール帳フェア」という垂れ幕がかかり、ガラス戸の玄関手前にずらりと様々な大きさのスケジュール帳や卓上カレンダーが陳列されているのです。
「手帳~?」
 面倒くさそうに精霊は戻って来ました。
「私、来年の手帳をそろそろ買いたいの。見て行っていい?」
「いいけど……そうだな。俺もちょっと見ようか」
 あなたたちは書店の中に入っていって、手前の陳列棚からそれぞれ手帳を取り出して中を見ました。
 あなたはA5の明るいブルーのもの。日記にも使えそうで、華やかなデザインです。精霊は誰でも使うようなB8の真っ黒のものを開いて、パラパラと見ています。
「そんな小さいので使いづらくない?」
「胸ポケットに入れられるぐらいじゃないと持ち歩けないんだよ」
「ふーん?」
「お前こそそんな大きいの、携帯出来るのか? 使いこなせるの?」
「大きい方が沢山予定を書き込めるじゃない」
 フェアというだけあって、あらゆるタイプの手帳が置いてあるようで、あなたは迷ってしまいます。
「ウィンクルムの任務は大変だけど、そんな大きいタイプにたっぷり書き込むほど、お前って忙しかったっけ?」
 からかうような精霊の言葉。
「あら、忙しいわよ」
「そう?」
「来年も予定ぎっしりよ? だって、この手帳には、あなたのイニシャルもたくさん書き込むんですからね」
「……」
 真顔でそう言われてしまった精霊は、沈黙し、そっとあなたから目をそらしました。目元がちょっぴり赤くなっています。
 あなたはくすっと笑って、目をつけていた明るいブルーのスケジュール帳を手に取って会計へと向かいました。

解説

 スケジュール帳とカレンダーを買うエピソードです。自由度高め。
・手帳……一冊300jr
・カレンダー……一冊300Jr
 手帳かカレンダー一冊以上を購入するなら、何冊買っても構いません。
 どんなタイプの手帳もしくはカレンダーをどんなシチュエーションで購入したのかプランに記入してください。
※手帳かカレンダーに、相方との予定を記入してください。
 本文にあるようにイニシャルを書き込むだけでもいいですし、あるいはフルネームで細かい予定まで書き込んでもOKです。何月何日に精霊と○○(精霊から見れば神人と○○)という予定を書くところまでをプランに記入してください。

ゲームマスターより

来年の手帳も再来年の手帳も、相方との約束でぎっしり。そんなウィンクルムがいそうな気がします。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

桜倉 歌菜(月成 羽純)

  カレンダーと手帳を買います!

カレンダーは部屋に飾る壁掛けタイプ
月の満ち欠けが毎日確認できるデザインを選びます
月=羽純くんのイメージで、大好きだから…というのは彼には内緒
予定を書き込む欄もしっかりある所も素敵♪

手帳は夢想花を連想させるお花のデザイン
青から桃色へと色澄んだグラデーションの花
恋慕石柱で羽純くんにプロポーズして貰った時の事を思い出して、来年一年も羽純くんと一緒に歩いていけますように…そんな思いから

早速予定を書き込もう
来年の12月23日
羽純くんの誕生日
絶対に二人で過ごしたい記念日
そうだ、お互いに手帳とカレンダーを交換して書き込まない?
羽純くんのに
羽純&歌菜BirthDayとハートマークを


瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
  フェルンさんと本屋さんへ。手帳フェアに目を輝かせます。
「私、予定管理に手帳が欠かせないんです」
使いやすい様式は決まっています。月間・週間予定共にアリ。
月刊は見開きカレンダー形式。月曜始まり。
週間は左頁に月曜~日曜予定、右頁はメモ欄のもの。
サイズはB6。毎年カバー色は違うものを選ぶの。
色々な種類を試したけれど、これが一番使いやすくて。
今度の表紙は可愛く藤色にします。

フェルンさんは書き写さなくて良いのですか?
私のは半分日記も兼ねてるの。予定は青黒色で書いて。
出来事の記録は深緑色のペンで書いてます。考察は赤で。
年末年始ですか?はい、年越し参を一緒に、ですね。
手帳に書き込み、こっそり花丸も付けます。


シャルティ(グルナ・カリエンテ)
  予定がたっぷり書き込める、手よりやや大きめのシンプルな藤色のスケジュール帳
…これくらいじゃないと書きにくいのよ
あって不便なものじゃないもの。あんたも買ったらどう?
あらそう
会計をさっさと済ませる
お待たせーっと(ペンを取り出し

視線に気づき
……なによ、見せないわよ?
…ふふっ冗談
特定のページを相方に見せる
まだ先のことだけど、一月一日。私の誕生日なの
ええ。めでたいでしょ?
(…そういえば、グルナの誕生日、知らないのよね……)
あんた、いつ? 誕生日
祝おうかと思って
はい? …そう?
ずーっと先ね。というか、過ぎてるわね
そう言いつつも新品のスケジュール帳に精霊の誕生日を書き込む
…来年はしっかり祝うわね
柔らかく微笑み


●シャルティ(グルナ・カリエンテ)編

 今日、シャルティと精霊のグルナ・カリエンテは、書店の手帳フェアにやってきました。
 シャルティは陳列棚をじっくり見て、一冊のスケジュール帳を選びました。予定がたっぷり書き込める、手よりやや大きめのシンプルな藤色のスケジュール帳です。
 それを見て、グルナが一言。
「……でかくねぇ?」
 グルナは普段、手帳を持ち歩かない人種ですので、余計にそう思ったのでしょう。
「……これくらいじゃないと書きにくいのよ。あって不便なものじゃないもの。あんたも買ったらどう?」
「いや……覚えてりゃ必要ねぇし、俺は良いよ」
 勧めるシャルティに、グルナは面倒そうにそう答えました。
「あらそう」
 シャルティもしつこくは勧めませんでした。さっさとレジに向かいます。グルナは陳列棚から離れて玄関でシャルティを待ちました。シャルティはすぐに戻って来ました。
「お待たせーっと」
 そう言って、シャルティはバッグからさっとペンを取り出しました。
「もう、書くのか? 気がはえーな」
 グルナはちょっと驚いた様子です。そうして、興味深そうにシャルティの手元をじっと見つめました。
 シャルティはその視線に気がつきます。
「……なによ、見せないわよ?」
「見てぇわけじゃねぇよ」
 シャルティの言葉にグルナはふてくされたように言います。何しろ、買ってすぐに家にも戻らず手帳に書き込みをはじめたので、何かよっぽど大事な予定があるのかと思って気になってしまったのです。
「……ふふっ冗談」
 思わずシャルティはそう笑ってしまいました。
 それから特定のページをグルナに見せます。
 グルナは開かれている手帳のページを眺めて、一月一日に印がついているのを見つけました。
「……一月一日、なんかあるのか?」
「まだ先のことだけど、一月一日、私の誕生日なの」
 シャルティが生まれた日。何しろ彼女は占い師のみの村の出身です。本人だって結果は信じていないけれども占い師。
 一年の始まりの日に生まれたということは、恐らく故郷の村では、何かとても得意に思えるような、素敵な謂われがある事でしょう。
「誕生日? 年明けの始めが誕生日なのかお前」
 グルナは初めて知ったようです。シャルティはなんだか得意そうです。
「ええ。めでたいでしょ?」
 満面の笑顔で言うシャルティに、グルナは微妙な面持ちでした。
「めでたいっつーか。……まあ。悪くはねぇな」
 そこでシャルティは気がつきました。
(……そういえば、グルナの誕生日、知らないのよね……)
 それでシャルティは手帳のマンスリーの部分を開きながら訊ねました。
「あんた、いつ? 誕生日」
「……は? 俺の誕生日? なんで」
 案の定、戦闘狂のグルナは誕生日になど興味がないようでした。バースデーパーティやプレゼントなどにも、あまり強い魅力を感じない性格なのかもしれません。彼が特別に思うようなことは、やはり戦闘に限られるのでしょうか。
「祝おうかと思って」
 シャルティの方はそんなことは気にせずあっさりそう答えました。
「お前が人の誕生日祝うのって、珍しいな」
 グルナは思ったことをそのまま言いました。
「はい? ……そう?」
 グルナの言葉にシャルティの方が驚きました。
 グルナは肩をゆすりながら思い出そうとしています。
「八月一日……だった、な。確か」
 どうやら自分の誕生日すらもうろ覚えのようです。本当に誕生日やお祝い事に疎い性格なのかもしれませんね。
「ずーっと先ね。というか、過ぎてるわね」
 そう言いながらも、シャルティは八月のページを広げて、新品のスケジュール帳にグルナの誕生日を書き込みました。
「……来年はしっかり祝うわね」
 シャルティは柔らかい微笑みを見せながらそう約束したのでした。
 多分、この何年か、グルナは誕生日を祝われた事などなかったのでしょう。だから、自分の事なのに忘れてしまっていたのです。これからはシャルティが、グルナの生まれた日の事を覚えて、毎年のように、何かのお祝いをするのでしょう。彼が生まれて来てくれてありがとう、と。
「あ、ああ……」
 グルナはなんだか赤面してしまい、シャルティからそっと目線をそらしました。
(……最近こいつ見てると、なんかモヤモヤする……!)
 グルナは自分の誕生日を祝われる事について、何となく居心地の悪いようなくすぐったさを感じています。それは誕生日を祝われること自体なのか、それともシャルティが祝ってくれることなのかは、本人にも分かりませんでした。そして、その居心地の悪さは、ドSのシャルティの優しい笑顔を見たからなのかも、わかりません。
 シャルティはただ、そっけなく冷たいだけの少女ではありません。優しい部分も思いやりも、他者に対しては分け与えられています。そしてとりわけ、彼女の温かい部分に触れる事が出来るのは、グルナの特権なのかもしれませんでした。
 来年の夏が楽しみです。

●桜倉 歌菜(月成 羽純)編

 今日、桜倉歌菜と精霊の月成羽純は、書店の手帳フェアに来ています。
 歌菜と羽純は早速、それぞれカレンダーと手帳を購入する事に決めました。
 歌菜が買ったカレンダーは部屋に飾る壁掛けタイプです。
 月の満ち欠けが毎日確認出来るデザインです。
 歌菜にとって月は羽純のイメージで、大好きだから……というのは、もちろん彼本人には内緒なのでした。
 予定を書き込む欄がしっかりあるところもお気に入りです。
 羽純が買ったカレンダーはインテリアにもなりそうな卓上タイプです。
 桜の花が美しいデザインのものを選びます。
 羽純にとっては桜は歌菜というイメージです。
 視界に入れば、和めそうです。
 歌菜の選んだ手帳は夢想花を連想させる花のデザインです。
 青から桃色へと変化する澄んだ色のグラデーションの花です。
 恋慕石柱で羽純にプロポーズしてもらった時の事を思い出して、来年一年も羽純と一緒に歩いて行けますように……そんな思いからです。
 羽純もまた、同じ夢想花を思わせる青から桃色へのグラデーションの手帳を手に取り、石柱で歌菜にプロポーズした時を思い出していました。
 ふと見ると歌菜も同じ事をしています。
 考える事は同じか、と、頬が緩んでしまいました。

『俺は……これから先、ずっと歌菜と一緒に生きていきたい。
 二人で手を繋いで、ゆっくりゆっくり歩きたいんだ。
 ──結婚してほしい』

 何回思い出しても、まだ信じられないような気持ちです。
 そうは言っても、二人が結婚するのは事実なのですけれど。
 歌菜はあのときの事を思い出すたびに感動で胸がつまり、足が宙にふわふわ浮いているような心地になります。
 羽純は羽純で、胸の奥に甘いうずくような痛みを思い出します。
 羽純からプロポーズを受けた時の衝撃。
 歌菜から想いを返された時の感激。
 きっと二人とも、永遠に忘れないことでしょう。例え、何回、生まれ変わったとしても、そのときの幸福感が二人を守ってくれるはずです。
 そのプロポーズのあとに、二人でプラネタリウムの中、エンゲージ・ホタルの光を受けながら、青と桃色の夢想花で花束を作ったときのこと。
 二人の色、青と桃色のグラデーション。
 茜色に澄んでいた輝き。
 それら一つ一つを歌菜も羽純も、たった今さっきの出来事のように思い出す事が出来るのです。
 そして、その時と同じ色の手帳を毎日持って、毎日を過ごしたい。時を刻んでいきたい……。
 その気持ちが、二人とも全く同じなのでした。
 歌菜も羽純も、顔を見合わせて笑ってしまいます。
 二人はそれから手帳とカレンダーの会計をレジですませると、書店を出て、近くのカフェの中に入っていきました。地下鉄駅の近所ですから、そういう店にはことかきません。
「すぐに手帳を使いたいの」
 歌菜がそう言ったのです。羽純も反対しませんでした。
 飲み物だけ頼んで席につき、歌菜は早速手帳を開きました。
 真っ先に開いたのは12月のページ。
 来年の12月23日。
 羽純の誕生日です。歌菜の誕生日でもあります。
 絶対に二人で過ごしたい日なのです。
「あれ、羽純くん……」
 羽純の方も同じく手帳を開いて、ペンで書き込みをしようとしていました。
 羽純は予定を書き込む日時も同じで、思わず笑ってしまいます。
 どうやら手帳に関しては……プロポーズをしてから一年目のスケジュールに関しては、二人は全く同じ行動を取ってしまうようです。
 これも愛のたまものでしょう。
「12月23日、二人の誕生日に、俺達がともに過ごさない訳はないからな」
 それを聞いて歌菜は微笑み、思いつきを提案しました。
「そうだ、お互いに手帳とカレンダーを交換して書き込まない?」
 歌菜の提案を快く羽純は引き受けました。
 羽純は歌菜の手帳の12月23日に書き込みます。

『羽純&歌菜BirthDay
予約済。
他に予定を入れるなよ』

 歌菜も羽純の手帳に書き込み。
 羽純&歌菜BirthDayとハートマークを

 羽純はお互いの文字がなんだか気恥ずかしいのですが、とても幸せな気持ちになりました。
「おそろいの手帳だね。来年も再来年もずっと……。手帳には、羽純くんのイニシャルがいっぱい書き込まれるといいな」
 歌菜はそういう素直な気持ちを口にしました。
「きっとそうなる。俺達は……。これからもずっと一緒なんだからな」
 そう言った時にちょうど、店員が飲み物を持ってきたので二人は慌てて手帳を閉じて、声をひそめました。店員が飲み物を置いて挨拶をして、いなくなると、二人は苦笑をかわしあい、また手帳を開きます。
「羽純くん。来年の夢とか目標とかある? 私はね、羽純くんと……」
 来年の事を言えば鬼が笑うと言いますが、羽純の方は鬼とは正反対の笑い方をして、歌菜の笑顔を見つめています。
 婚約した二人には、夢と希望がいっぱい。それどころか愛情までも、手帳にはたっぷりと書き込む事が出来そうでした。
 その幸せがずっとずっと、永遠に、続きますように。女神ジェンマ様はきっと、この愛らしいウィンクルムのことを、そんな想いで守ってくださることでしょう。

●瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)編

 今日、瀬谷瑞希は精霊のフェルン・ミュラーとA.R.O.A.本部に任務の報告に行き、その帰りに地下鉄近くの書店の手帳フェアに遭遇しました。
 瑞希は手帳フェアに目を輝かせ、早速フェルンとともに書店に入っていきます。
「私、予定管理に手帳が欠かせないんです」
「フェア中なら今のうちに手帳を買っておくのがいいかもしれないね」
 何事も冷静に考察し、計画性と論理性を持つ瑞希は、もちろん手帳などにも自分なりの使い方をしていてこだわりを持っています。
(使いやすい様式は決まっています。月間・週間予定共にアリ。月刊は見開きカレンダー形式。月曜始まり。週間は左頁に月曜~日曜予定、右頁はメモ欄のもの。サイズはB6。毎年カバー色は違うものを選ぶの)
 瑞希は手帳がたくさん並んでいる棚を順番に見て回り、自分のこだわりに合致する手帳を一冊ずつ選び抜いていきます。
 何しろ一口に手帳といってもビジネス手帳ファミリー手帳など様々な種類があり、サイズもたくさん、手帳の中身のパターンにおいては千差万別です。中には風水手帳や朝活手帳などというのもあるのですから。
 瑞希はそれらも一応、中身を見てどんな使いやすさになっているのか確かめています。情報収集して知識を蓄えておくことに無駄はないと思っているのです。
 やがて、瑞希は、一番、お気に入りの手帳を見つけました。
 一方、フェルンの方はそれほど手帳に執着はないようです。
(俺の場合、薄くて小さくて常に携帯できるようなので良いんだよ。だから月刊予定だけで充分だよ。大きさはミズキの手帳の半分ぐらい。予定が被らないようにする程度にしか使っていないからさ)
 フェルンはいつも使っている小さな手帳を手に取って、隣で瑞希が嬉しそうな顔で大きめの手帳を持っている事に気がつきました。
「ミズキは意外と大きな手帳を使ってるんだね? いつも持ってるよね、そのサイズの手帳を」
「色々な種類を試したけれど、これが一番使いやすくて。今度の表紙は可愛く藤色にします」
 二人で手帳を購入すると、同じフロアの喫茶店に行きました。
 瑞希が新しい手帳に予定を書き写したいと言ったのです。
 二人は喫茶店で店員の案内で席につくと、それぞれ飲み物を頼みました。
「フェルンさんは書き写さなくて良いのですか?」
 店員がいなくなると早速、新旧両方の手帳を開き、ボールペンで予定を書き込みながら瑞希が言いました。
 フェルンの方はゆっくり寛いでいます。
「俺は写すほど書きこんでないからね」
 それからフェルンはちょっと瑞希の方に身を乗り出しました。
「今までの手帳に細い字で色々書いてあるね」
 フェルンは瑞希の手帳が気になるようです。それでも、中を具体的に見ようとはしないように気を遣っています。そのへん、フェルンはとても礼儀正しく紳士的なのです。
「私のは半分日記も兼ねてるの。予定は青黒色で書いて。出来事の記録は深緑色のペンで書いてます。考察は赤で」
「日記も兼ねて? 凄いな。ミズキらしい」
 フェルンはすっかり感心しています。
 そのフェルンの反応を、結構瑞希は喜んでいるようです。やはりなんといってもウィンクルム、お互いに理解を深めて”らしい”などと言ってもらえるのは嬉しいものなのです。
 瑞希の方だって、フェルンの”らしい”ところをどんどん知っていきたいと思っています。そのへんについても、彼女らしく冷静に分析していくことも楽しみでしょう。
「そうだ」
 フェルンは思いつきを提案しました。
「今度の年末年始は一緒に神社へお参りに行こう。予定、書いておいて。俺もここに書いておくからさ」
 そう言ってフェルンは自分の新しい手帳も開きました。
「年末年始ですか? はい、年越し参りを一緒に、ですね」
 行く年来る年を精霊のフェルンと一緒に。
 それは、瑞希にとっても、とても素敵な予定に思えたのでした。
 瑞希は早速、手帳にフェルンとの予定を書き込みます。フェルンが自分の手帳に向かっているのをチェックして、そっとその予定に花丸もつけました。それは、瑞希にとって特別嬉しい予定につける記号です。
 それからそっと手帳を閉じました。
 フェルンの方は予定を書き込み終えて、満足そうな表情です。
「今度の年末年始は、ウィンクルムになってから二回目だね。去年は一体どうしたんだったかな。そうだ、二人で大掃除をしたんだ。それから、船の上でお正月遊びにも行ったね。楽しかったね」
「そうですね、そういうことも手帳に日記としてつけています」
 この手帳にはフェルンとのどんな記録をつけていくのだろう、と瑞希は思いました。
 そういえば、年末年始の前にはフェルンの誕生日もあるのですが、瑞希はそのことを把握しているのでしょうか? 言わないだけなのか、言わなくてもフェルンが分かってくれるのか……それは予想もつかないことなのですが。
 二人は手帳を広げながら、過去の事や未来の事、様々を話し合って、楽しいひとときを過ごし、またお互いの理解を深めていったのでした。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 10月01日
出発日 10月07日 00:00
予定納品日 10月17日

参加者

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