プロローグ
●喫茶店『兎と大地亭』
タブロス市の大通りから一本外れた所に新しく開店した喫茶店『兎と大地亭』。
そこの女亭主リンが手を自分の頬に当てて唸り声を上げる。
「うーん。どうしよう……」
丁度その店に訪れていた君〈ウィンクルム〉達はリンに悩ましげに唸ってる理由を聞いてみる。
聞けばこの兎と大地亭は開店したばかりにも関わらず、客があまり来店して来ないとの事である。
リンの淹れる珈琲や紅茶は美味しいのだが、それだけではダメなのだろうか……。
悪いのは立地か、それとも特徴の無いメニューか、はたまた地味な内装か、あるいは無愛想な亭主か……色々と問題のありそうなこの喫茶店を一日で立て直す事が出来るのか。
リンの話を聞いて君達は次の休日に、この喫茶店『兎と大地亭』を無償で一日だけ手伝う事に決めた。
兎に角、リンから聞いた話と君達の感想を纏めると……。
立地を克服する為にビラ配りなどの宣伝、特徴の無いメニューには卵料理が得意と言っていたリンに新しいメニュー提供、暗く地味な内装を改善、そして愛想良く出来る給仕〈ウェイター〉、これを君達は用意したり自分達で行ったりしないといけないだろう。
「おぉ……やる気だねぇ、君等だけが頼りだよぉ」
そしてこの愛想というものを知らない呑気な女亭主に給仕の何たるかを教えようと君達は心に深く刻み込んだ。
解説
●目的
兎と大地亭の立て直し。
●やらねばならぬこと(主にプラン内容、全てをやる必要はないですが、他のウィンクルムと分担などして出来る限りこなして下さい)
●ビラ配り、客寄せなどの宣伝
精霊とペアになってビラ配り、これを蔑ろにすると客は来ない。
●リンが得意と言っている目玉になる新作卵料理の立案
新作料理の立案して固定客をゲットしよう。(卵を使ってるのならばケーキやオムライス等なんでも可)
リンの作成後に味見。(味はリン次第なので……)
●暗めな内装の改善
1に掃除、2に掃除、34がなくて、5に掃除。(サボらないように)
兎に角置物が少なく、淋しげな内装の改善(飾り付けや置物でオススメがあれば提案して下さい、お金はリンが出します)
●給仕係
呼び寄せた客に接客を行って下さい。集客の効果が顕著に現れると思います。(接客態度、言わせたい台詞など)
勿論、新作メニューをお客様にお勧めしましょう。
●必要な物
接客魂。
ゲームマスターより
どうもうちと申します。
まずはプロローグ閲覧ありがとうございます。
マスターとしては初めてのハピエピ、色々とカオスな内容ではありますが精霊さんと仲良く喫茶店を救ってあげて下さい。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
田口 伊津美(ナハト)
【心情】 バカロボが行きつけの店が困ってるらしく、手伝いたいらしい なんか温泉以来わがままになったね! まとまった休みがもらえたから手伝うかぁ…あーあ、報酬でないしめんどくせ。私も丸くなったもんだな げふん、宣伝ついでに頑張ります! 【行動】 (だいたい猫かぶってます) 店主さんにバイトを雇わないか提案するよ、今後のこともあるし、メニューが増えると一人じゃ切り盛り辛いよね? そしてかわいいうさぎモチーフのチラシを制作して、パフォーマンス(歌唱、ダンスのスキル使用)しつつ配ります! 路上ライブじゃないからさくさくっとね ついでにアイドルIZUIZUをよろしくお願いします!このお店プロデュース中です! |
音無淺稀(フェルド・レーゲン)
カフェで新メニューですか 紅茶と珈琲は美味しいみたいですしそれにあったメニューを考えたいですね 技術的な面も考えて、失敗しないレシピを ホットケーキミックスを使った料理というのはどうでしょうか? 牛乳の量を調節する事でスコーンやクッキーやクレープ、ドーナッツも作れますから 後々季節メニューも作れると思いますよ 問題は目玉商品でしょうか 「兎と大地亭」という名前ですし、兎にちなんだ物を作りたいですね 軽食 茹で卵を醤油で煮込んでマヨネーズと和えてマッシュ ぷちトマトと人参ソテーで目と耳を作って兎っぽく飾り付け デザート カスタードとクリームチーズを混ぜて、苺とクッキーで兎っぽく飾り付け どちらもホットケーキで包みます |
かのん(天藍)
暗めな分若干残念な状況?の室内を徹底的に掃除(ぴかぴかに磨き上げる勢いで) シンプルすぎる内装の装飾提案 店名から、ウサギ型の苔玉と色取り取りの小花を植えた小さな鉢植(マグカップサイズ)を各テーブルやカウンターに配置 入口近くに一抱えサイズのウサギ型トピアリー配置、リボンで可愛く飾る スキル使用 経費は掛かるが、花屋と通年契約で、リンさんの手間にはならない事もアピール リンさんの感触が良ければリースも要所に飾り付けたい 開店直後は近くの通りでビラ配り、天藍とお揃いの給仕らしい衣装着用 薫り高い紅茶やコーヒーでゆっくりされませんか? 自分でもどうかしてると思いつつ、天藍に声をかける女の子達と応対する天藍にもやもや |
結城 舞(ケルヴィ・ムーヴ)
えっと… ケルヴィさんを呼んでこちらのお手伝いをすることになりました、よろしくおねがいします(ぺこり 私は、恥ずかしながら…料理は苦手なので…そ、掃除ぐらいなら…あと、準備の備品の補充ぐらいなら… しかも、ハイもイエスもヤーも全部同じ意味じゃ… …きゃくよせぱんだ…うう、いいですもん、確かに苦手でもそれぐらいはできるもん。 初対面の人と話すのはあまり得意ではないけですけど、笑顔で挨拶をするようには頑張ってみましょう… あ…ケルヴィさん…いくらなんでも執事服のまま洗い物するのはちょっと…私のエプロンですけど、どうぞ! …フリルいっぱい付いてますけど。 |
ひょう(アルス=アリス)
リンさん、どんなお店にしたいのかな? 手伝えるの1日だけだから 今日喜んでくれても次がっかりしたら来てくれないよ スマイル大事~ 必要なら給仕雇うのはどう? 料理美味しいかな、ついでにつまみ食いしたい! アルス君は愛想いいけど、何か壁あるよね 長い付き合いになるし 一緒に仕事したら仲良くなれるかな 開店前にビラ作成 伊津美さんの補佐 散歩ついでに寄ってもらえるよう 女性やカップルに配ろう 開店後は給仕 味見していい? ほら味わからないと勧められないでしょ(にこにこ) 新作料理素敵でしょう? 食店主の淹れる珈琲と紅茶はすごい美味しいよ 是非是非味わってください アイテム 兎モチーフのチラシ 店の場所、新作料理アピール、珈琲と紅茶は絶賛 |
●お手伝い準備編
開店してから間もなく寂れてしまっている『兎と大地亭』の現状を聞いてしまった5組のウィンクルム(神人と精霊のペア)達は各々やる気を出したり、溜め息を吐いたりしつつも、この色々と問題のある喫茶店について話し合いを始める。
「私は先ず、この良く言えばシンプル過ぎる、悪く言えば殆ど何もない内装を改善しようかと思う。……だから最初は掃除かな」
かのんは早速と言わんばかりにリンに掃除道具を出すように指示を出す。
「手伝えるの1日だけだから今日喜んでくれても次がっかりしたら来てくれないよ。それとスマイルは大事だよ。必要なら給仕雇うのはどう?」
「そうだね。流石に私も手伝えるのは1日ぐらいしか無理だから、客引きついでにバイト募集もしよう。今後のこともあるし、メニューが増えると一人じゃ切り盛り辛いよね?」
次々とリンに提案するひょうの言う事の一つに賛同したのは現役アイドルIZUIZUこと田口 伊津美。
精霊のナハト〈バカロボ〉に連れられて喫茶店で休む筈が無償で働く羽目になって内心では若干笑顔を引き攣らせているがおくびにも出さない。
「店の名前も兎と大地亭って言うぐらいだから、うさぎをモチーフにしたチラシを作成するね(バカロボ、私のお金でこんな店行ってたんだね……手伝いたいらしいけど、なんか温泉以来わがままになったね! まとまった休みがもらえたから手伝うか……あーあ、報酬でないしめんどくせ。私も丸くなったもんだな)」
「えっと、じゃあ私も伊津美さんのお手伝いをしますね!」
二人は店の隅で紙を広げてあーだこーだと議論をし始める。
「……では僕は掃除をしてこようと思います」
ひょうの精霊であるアルス=アリスは盛り上がっている二人を尻目にかのん達の方へと歩いて行く。
それを見た伊津美もナハトをちょいちょいと手を拱いて呼び、ナハトにだけ聞こえる声で。
「バカロボもとりあえず私がビラ製作中は皆と清掃でもしといて、あんたの我侭に付き合ってあげてるんだからちゃんと働きなさいよね」
そう指示しながら、ナハト用の割烹着を手渡してチラシ作成へと戻る。
「あの、舞。家事一切出来ないのに手伝いだなんて……本気ですか? あ、いえ、正気ですか、と聞いた方が良いですか?」
「正気だよっ! 確かに私は、何も出来ないかもしれないけど……かのんさん達と一緒に掃除ぐらいなら……あと、準備の備品の補充ぐらいなら……出来ると思うし……」
呆れたと、溜め息を吐きながら言ったケルヴィ・ムーヴに結城 舞はやや頬を膨らませてそう言い返す。
「わかりました、この不肖、ケルヴィ・ムーヴ。全力でこれでもかというぐらい客をもてなす為に……掃除をしてしまおうじゃありませんか! 開店前までに備品の補充、そして目の届きにくいところの拭き掃除を徹底的にしてしまいましょうか」
売り言葉に買い言葉、といった風にケルヴィは不敵に笑い、かのんが用意してもらった掃除道具を受け取りテキパキと行動を開始する。
そして最後に残った小さいウィンクルム、音無淺稀はパートナーのフェルド・レーゲンの手を引いて手持ち無沙汰でオロオロしているリンの方へ近付き。
「リンさん、私達は新しいメニューを考えましょう」
そう言って奥の厨房にリンを引っ張っていく淺稀の目はキラキラと輝いているように見えた。
掃除をやると決めたかのんとケルヴィの行動は誰よりも早かった。
先ずは高い所から、とリンに用意してもらった雑巾で水拭きを始めるが身長の低いかのんは背伸びをするしかなく、不安定な姿勢での窓拭きに見かねた天藍がかのんから雑巾を取り上げる。
「この手の作業なら俺を頼れよ」
そう一言だけ言って、黙々と窓拭きをする天藍にかのんは少しどきりとするが、手を止めない〈動揺を悟られない〉ようにテーブルの水拭きを始める。
それに続くように舞、ナハト、アルスも雑巾を片手に水拭きを始めるが。
「ピカピカにしなきゃ……ピカピ、きゃー!!?」
一生懸命になった舞は水を溜めていたバケツに躓いてひっくり返してしまう。
「わ、わ、ごめんなさいぃ!」
「ふふふ……舞、この戦場ではあなたの掃除能力、家事能力では無駄死にするだけですから、あなたは外に行って、箒でゴミを集めながら外を歩いてる人ににこやかに挨拶をして来てください」
「えぇ戦力外通告ですかぁ!?」
目を点にする舞にケルヴィは更に追い討ちを掛けるようにずいっと目の前まで近付く。
「返事はハイかイエスかヤーしか認めません」
「それ、ハイもイエスもヤーも全部同じ意味じゃ……」
「んん?」
「は、はぃ……」
無言の笑顔を向けて威圧するケルヴィに圧され、舞は早々に店の外に追い出される。
「チリ一つ逃さない……オーガだと思って、オーガだと……」
伊津美に用意してもらった割烹着を着込んだナハトは目の色を変えて力強く忙しなく手を動かす。
「はぁ……どうして僕がこんな仕事ですら無い雑巾掛けなんて……」
ナハトから少し離れた所で誰にも聞こえないよう小さく溜め息を吐いて文句を言うアルスだったが、手だけはしっかりと動かしており、誰からも見咎められる事はなかった。
若干テンションの違いはあるものの、掃除自体は順調に進んでいた。
掃除をし始めて30分、そんな短時間で店内の掃除の殆どが終わるぐらいに、この喫茶店『兎と大地亭』には物が少ない。
「この殺風景な内装では落ち着いてお茶を飲めないだろうから……」
そう言ってかのんはシンプル過ぎる内装に装飾を増やそうと提案する。
「店名になぞってウサギ型の苔玉と色彩豊かな小花を植えたマグカップサイズの鉢植えを各テーブルとカウンターの脇に配置して、入口近くには一抱えサイズのウサギ型トピアリーを配置してリボンで可愛く飾る」
ガーデナーの腕が疼いたのかやや目の色を変えたかのんが矢継ぎ早に提案し、手近な所という事で小さな鉢植えだけでも配置してみる。
これだけでも暗かった店のイメージが変わり、明るく落ち着いた雰囲気になった。
「おぉ、一気に華やかになりましたねぇ」
ケルヴィが感心の声を上げる。
いつの間にかかのんとケルヴィの距離が近くなってる事に天藍はむっとして間に入るが、勿論ケルヴィにそんな気はない。
「ん? どうしたの天藍?」
「……なんでもない。兎に角リンさんにこれ以上内装を変えて良いか聞かない事には始まらないだろう? 呼んできたらどうだ?」
「う、うん……」
天藍の謎の剣幕に圧されたかのんはよく分からないまま厨房に居る筈のリンを呼びに行く。
そこでかのんは厨房に溢れたホットケーキミックスを使った料理の数々に圧倒される事になる。
「これは、凄い光景だねぇ……」
「あ、かのんさん! 新作料理作ったんですけど、ちょっと味見をしてもらって良いですか!」
目ざとくかのんを見つけた淺稀がホットケーキに包まれた兎のような食べ物を差し出す。
「随分と可愛いけど、これは何かな?」
「醤油で煮込んだ茹で卵をマヨネーズでマッシュにして、プチトマトと人参のソテーで目と耳を付けてホットケーキで包んだ『黒兎のケーキフロッシュ』です!」
「ふふん、驚くのは早いよかのんさん。淺稀ちゃんに教わった目玉料理はもう一つあるからねぇ。カスタードとクリームチーズを混ぜて、苺とクッキーで兎っぽく飾り付けしたものをホットケーキで包んだ『カスタードクリームのフロッシュラビリット』さ」
元々料理が好きなのか目をキラキラさせながら説明する淺稀とドヤ顔のリンが2つの目玉料理をカウンターテーブルに置く。
「その、オトナシ……旗は……」
「あーっ! これ新メニューですかっ!? 味見していい?」
その後ろでフェルドが何かを小声で何かを言いかけたが、丁度チラシを作り終えたひょうの声にかき消される。
「えぇ、その為に持って来ましたから。フェルドさん、どうかしましたか?」
「淺稀さんマジ天使!」
「な、なんでもないっ!」
恥ずかしそうに口を噤むフェルドとは裏腹に、ひょうはわーいと用意されたフォークを受け取るなり、デザートであるフロッシュラビリットをひょいと口に入れる。
「うわっ、コレ凄い美味しいよ!?」
ぱぁと花が咲くような笑顔でひょうは感想を口にする。
カスタードの程良い甘さと苺の甘酸っぱさ、そしてクッキーの食感が絶妙に合わさり最強に見えるとはこの事だろう。
ひょうの感想を聞いて集まってきた他のウィンクルム達も各々味見を始める。
「それじゃあ一口……」
かのんが口にしたのは軽食のケーキフロッシュ。
「うん。こちらも美味しいです」
ホットケーキの甘さに醤油の味が染み込んだ卵とマヨネーズの味、そしてトマトの酸味がアクセントになっており食べ応えがありそうだ。
外に出された舞以外全員の味見の結果、満場一致でこの2つの目玉料理は採用となった。
その後、かのんが設置した鉢植えを見たリンは花屋との通年契約も二つ返事で了承し、徐々に壁に飾るリースやウサギ型トピアリー等の注文書にサインを書いた。
●開店
昼の時間、つまり兎と大地亭の開店時間が近くなった事で慌ただしかった店は更に慌ただしいものとなる。
「それじゃあ配置の確認をします」
開店してからの役割分担をかのんが纏める。
ビラ配り班、かのん、天藍、伊津美、ナハト、ひょう、アルス。
給仕班、淺稀、フェルド、ケルヴィ、舞。
「持ち歩いて食べれそうだし、ちょっと腹が減った時に立ち寄って買って貰えるようにした方がいいだろう。その場で食べれる人ばかりじゃないだろうからな」
大々的に客寄せをする事で混雑する可能性を考えたフェルドの提案で目玉料理の2つだけはテイクアウトが出来るようにと店の入口に張り紙を付ける。
準備が整った所で時計が正午12時を指した、開店と共にビラ配り班の出撃である。
黒のベストとパンツ、白シャツ、濃い緑のエプロンとタイでギャルソン〈男性給仕〉風の衣装に着替えた天藍とそれとお揃いのセルヴーズ〈女性給仕〉風の衣装のかのんの二人でにこやかにビラを配っていく。
「薫り高い紅茶やコーヒーでゆっくりされませんか?」
整った顔立ちの美人、かのんが一声掛けるだけで早速彼女をナンパしようと男が声を掛けてきた。
「君可愛いねー。そのお店に行ったら君とお茶出来んの?」
「え? あの……」
「っと、俺の神人に何か用か?」
かのんに手を伸ばす男の手を無言で払い除けた天藍が間に入る。
「チッ、男付きかよ……」
男は吐き捨てるようにそう言ってすごすごと去っていった。
「あ、ありがとう天藍」
「何、気にするな。またああいう輩に話し掛けられたら俺の近くに来てくれ」
「あぁ、頼りにさせてもらうよ」
「素敵な新作料理がありまーす女亭主の淹れる珈琲と紅茶はすごい美味しいよー。是非是非味わってください」
元気一杯といった感じのひょうが通行人に次々とうさぎをモチーフにしたチラシを配っていく。
彼女の楽しそうな雰囲気に釣られたのか釣られてないのか店の方へと足を向ける客が増えているようだった。
そんなひょうを尻目に、アルスは距離を取って女性の通行人をターゲットにして。
「午後の休憩に如何でしょうか?」
にっこりと目と目が合うように微笑み、チラシを消化していく。
「~♪ ~♪」
「この声って……IZUIZU?」
「嘘っIZUIZUがこんな所で何してんの!?」
伊津美がアイドルとしての歌唱力とキレのあるダンスのパフォーマンスで通行人の目を引き、足を止めた人に素早くナハトがビラを配るといった反則と言っても良い方法で次々とチラシを消化していく。
「アイドルIZUIZUをよろしくお願いします! このお店プロデュース中です!(なーんで私ってば、オフの日にも仕事してんだろーなー)」
「美味しいホットケーキのお店でーす。……よろしくお願いします」
「ほらナハトさん、もっと笑顔で配って下さい!(このバカロボっ! あんたの所為でこんな事してるんだからしっかり働けっ!)」
「舞、貴女は客寄せパンダです。このメイド服を着て挨拶をしながら店に案内してください」
ケルヴィに言われた通り店の前で挨拶をしていた舞の所へ大通りから次々と集まってくる客に。
「わ、わ、じゃなくて……いらっしゃいましぇー。うぅ噛んだぁ……」
などと噛んだりしつつも、笑顔で店に案内する。
店の中フォローする。
「いらっしゃいませ。2名様ですね、窓際の席へどうぞ。ご注文を伺います」
キビキビとした動きで客を出迎える執事服を着たケルヴィの姿は物凄く様になっていた。
最初に決めていた通り、客寄せが上手く行きすぎて混雑し始めた事で淺稀とフェルドは店の外で新作目玉料理のテイクアウト販売を行う。
「はい。黒兎のケーキフロッシュを2つですね、少々お待ちください。フェルドさん、ケーキフロッシュ2つです」
「ケーキフロッシュ2つ……出来たよオトナシ」
店の前で小柄な二人があくせくして接客する姿が可愛いと密かに話題になり、更に客が増えているのだが恐らくこの二人は気付いていないのだろう。
「オトナシ、皆のお陰で凄い人が来てるよ……」
「これは、ビラ配りの人達を呼び戻した方が良いかもしれませんね。舞、かのんさん達に店に戻るように行ってきて下さい」
いつの間にか外に出ていたケルヴィが挨拶をして回る舞に新たに指示を出す。
「は、はぃ~」
「リンさん、黒兎のケーキフロッシュ1つとカスタードのフロッシュラビリット1つです」
ビラ配りから戻り、早速注文を受けたかのんが厨房に顔を出して伝える。
「こっちにもケーキフロッシュ2つとフロッシュラビリット2つ」
続けて天藍も受けたオーダーをリンに伝える。
「りょーかい。すぐに用意するよ」
目が回る忙しさと言えば良いのか、予想以上の大盛況にリンはこみ上げてくるものを感じながら、一生懸命手を動かす。
2時を過ぎた辺りで客足が落ち着いた事で、順次に休憩を取る事に。
最初の休憩はひょうとアルス、店の奥に引っ込んでぐったりと椅子に着く。
「ふぃー、疲れたぁ」
「何の酔狂でこんな事に手を貸したのです?」
タバコに火を点けながら、アルスは聞く。
「アルス君とはこれから先、長い付き合いになりそうだし、一緒に仕事をしたら仲良くなれるかなって」
「仲良く? 僕と? 契約ですから守りますよ、ご心配なく」
「んーそういう事じゃないんだけどなぁ」
「(……まぁ、協力して仕事するというのも悪くはない、ですね)」
ふぅ、と紫煙を吐き出しながらアルスはフッと笑みを浮かべた。
昼過ぎで落ち着いたとはいえ、大通りでパフォーマンスを含めた客引きを続ける伊津美とナハトのお陰で客足が途絶える事はなかった。
3時を過ぎた辺りで伊津美達も店に戻って休憩を取る。
「はぁー疲れた」
店の奥で誰も聞かれていないことを確認してから伊津美は大きく溜め息を吐いた。
「おつかれさま、イヅ」
ふぅ、と一息吐いたナハトはまかないとしてリンから貰ったシロップの掛かったホットケーキをもぐもぐと食べる。
「誰の所為でこんなにお疲れだと思ってるんだ!」
「……俺?」
もふもふと食べる手を止めずに頭を傾げるナハトに怒りがこみ上げてくるが、怒る気力も出ないほどに疲れていた伊津美はただ溜め息を吐くしかなかった。
「それ、私の分は残しておきなさいよね……」
そんなこんなで夕方6時の閉店時間まで客が途絶える事はなかった。
「お疲れ様」
「おつかれさまです」
「おつかれー」
「お疲れ様でした」
「お、おつかれさまです~」
かのん、淺稀、ひょう、伊津美、舞がそれぞれ疲れ切った表情で労いの言葉を掛け合う。
「皆お疲れー。今日は本当に助かったよ」
「いえいえ、私達もお役に立てたようで良かったです」
リンの感謝の言葉に淺稀が答える。
「でも、明日から大丈夫ですか?」
気になったひょうが聞くと。
「なんかバイトをしたいって娘が2~3人ぐらい来たから明日から来て貰うことにしたよ」
「それは良かったですぅ」
舞が安堵の声をあげ、『兎と大地亭』の一日お手伝いは終わりを迎えた。
●後日談
ウィンクルム達のお陰で色々と改善された『兎と大地亭』はホッと一息吐ける憩いの場として密かに穴場の店として知られるようになっていた。
「お、いらっしゃい。また来たのかい?」
時折、仕事の合間に伊津美とナハトが足を運ぶようになったらしいがそれはまた別の話。
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | うち |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 05月12日 |
出発日 | 05月20日 00:00 |
予定納品日 | 05月30日 |
参加者
会議室
-
2014/05/19-02:33
ふー・・・
プランかんせいしましたー。
お掃除とか開店前の備品補充の裏方をがんばれたらなーとおもっていますー。
掃除だけのプランもかんがえたのですが…私、家事苦手だったんですっ。
ケルヴィ(精霊)さんがきっと頑張ってくれると思います。 -
2014/05/19-02:15
や、やりました…!
なんとかお掃除の部分も追加してきました~♪
えっと、一応考えてるアクションでは
ホットケーキで包む系のお料理にしてみました♪
店主の方がどの程度お料理ができるか判らなかったので…簡単レシピになっておりますが…。
そうですよね。
私達がずっと居られたらいいですが今後を考えたら継続して働いて下さる方がいないと辛いものがありますよね…。
私も喫茶店に来た方にバイト募集のビラをテーブルに置いて置いた方がいいかもしれませんね。
そうしたら、来た人限定になりますが確実に目に留まるところにありますし。 -
2014/05/18-13:24
シナリオで初めての人多いね!皆よろしく~
う~ん、私もお掃除お手伝いしたいけど、お皿とかわっちゃいそうだからナハトに任せよっと!
衛生管理は飲食業界の基本って誰か言ってたよ~
一応バイト募集のビラ配ってみようかな?店主さんに交渉してね
さすがに私達がずっとは無理だしね -
2014/05/18-10:44
おはようございます!
宣伝、給仕メインで
ねじこめたら「掃除」or「手の足りない箇所のフォロー」いれてみます
今後の事を考えて愛想のない店主さんに変わり
看板娘を募集とか…してみたかったですが
300文字辛い…。
-
2014/05/18-08:44
おはようございます。
文字数制限の壁がにくいですっ
プランに掃除を含めるか否かの事ですが…基本的にはしっかりと一文は含めるべきだと私は思いますっ。
確かに配分を決めている以上、それが最前提なのですがこういった接客業を行う上ではやはり、ちょっとした片付けやお客様への対応や気配りといったものは給仕をしている方がした方が動線は死なないと思います。
掃除は逆にお客様がいる時間帯はフロア内は基本は手がつけれない以上、キッチンやパントリー内の作業、外部の清掃をすることになるでしょうから…(お客様のいる場所で清掃したら忙しないでしょうし)
個人的にはこのように考えているのですが…的外れだったらごめんなさいー
-
2014/05/18-08:44
おはようございます。
文字数制限の壁がにくいですっ
プランに掃除を含めるか否かの事ですが…基本的にはしっかりと一文は含めるべきだと私は思いますっ。
確かに配分を決めている以上、それが最前提なのですがこういった接客業を行う上ではやはり、ちょっとした片付けやお客様への対応や気配りといったものは給仕をしている方がした方が動線は死なないと思います。
掃除は逆にお客様がいる時間帯はフロア内は基本は手がつけれない以上、キッチンやパントリー内の作業、外部の清掃をすることになるでしょうから…(お客様のいる場所で清掃したら忙しないでしょうし)
個人的にはこのように考えているのですが…的外れだったらごめんなさいー
-
2014/05/18-07:21
おはようございます。
文字数制限、オーガよりも手強い敵だと思います。(苦笑)
お掃除の件ですが、今のところ2組(結城さんと私)いる訳で、全員がプランに掃除を入れる事はしなくても大丈夫ではと思うのですが。
解説にある「やらねばならぬ事」が、5組のプラン合わせて1日とおした時にバランスがとれた配分になっているのが望ましいのかしらとは思うのですが。
今の皆さんのご予定で、「やらねばならぬ事」の中、全く行わない事柄は無いと思うのですよね。
(気付いていない所があったらごめんなさい。)
その上で、お互い余裕があれば(文字数的にも、当日の動き的にも)手の足らない所のお手伝い位で、良いんじゃないでしょうか。 -
2014/05/18-00:42
文字数の壁はかくも私達の前に立ちはだかりますね…私も今必死に戦っております(涙
んー…であるとしたら…文字数に余裕のある人で掃除に切り替えた方がいいのかも?
全てをやろうとするとボロが出るものですし…やれる時にやりましょー♪くらいがちょうどいいのかも。
んー、どうでしょうか。
私も皆の意見を聞きたいですね。 -
2014/05/18-00:36
伊津美さん、舞さん、初めまして宜しくお願いします!
予定としては
開店前:ビラ配り(兎モチーフの店の場所、新作料理、お勧め珈琲&紅茶)
開店後:給仕
文字数制限の壁で掃除ができません…。
9でかのんさんが提案されてましたが
伊津美さんのパフォーマンスで集客、良いと思います!
掃除が必要でしたらビラ辞めて掃除に回ろうかと考えますが
意見を頂けるとありがたいです -
2014/05/17-22:55
なるほど。確かに…。
開店前にお掃除を終わらせる必要ありますよね(頷きつつ
えっと、となると掃除兼~という感じでどうでしょうか?
多分、ビラ作りとかやってると(主に文字数的な物が)大変だと思うので、皆で掃除兼何かやるのは…どうでしょう?
で、一人開店前に掃除専門、開店後に給仕専門となって頂けたらいいのかなぁ~って今思ってましたが…いかがでしょう?
-
2014/05/17-21:51
こんばんは、改めましてよろしくです、皆様。
皆様のご予定も出てきているので、改めてこちらも行動予定を。
開店前:掃除と内装装飾
開店後:ビラ配り兼お店へのご案内、の感じです。
思うんですが、掃除ってお客様来る前に終わらせる必要ありますよね?
(お手洗いとか適時行う必要がある所はさておき)
何となく、お店が開いてから接客する給仕の手が足りないような気がするんですが・・・ -
2014/05/17-21:17
伊津美さん舞さん初めまして。
…伊津美さんはこちら(シナリオ)では初めましてでしょうか。
宜しくお願いしますね♪
お掃除ですよね。
それは確かに…ガイドには(サボらないように)って念を押されてましたし…
時間がありましたらお掃除も入念にやっておくべきかもしれませんね。
…あれです。文字数の壁的な物に余裕がありましたら(震える声
皆さんは舞さんが伊津美さんがパフォーマンスしつつかのんさんとひょうさんがビラ配り&集客案内でしょうか?
時間の兼ね合いも見てそれぞれ手伝えるところがありましたら手伝ってみようかなと。 -
2014/05/17-20:18
はじめまして。
私は、掃除を頑張ろうと思います。
1に掃除、2に掃除、34がなくて、5に掃除。だそうですよ、ええ。
ただ、給仕の方々も空いてる時には担当箇所の掃除をてつだってくれますとー -
2014/05/17-09:58
こんにちは、伊津美さん。(この呼び方で大丈夫ですか?)
パフォーマンスしつつの客引きは、とても人目を引きそう。
それならお店の紹介は伊津美さんに任せて、こちらはその場からお店までの道案内に徹すると効率的かしら? -
2014/05/17-09:19
返信ありがとうございます。
5人埋まりましたね!
珈琲と紅茶が美味しい
新作の軽食&デザート
伊津美さんのパフォーマンス有(?)
休憩がてらにどうぞ~って感じの
兎さんがマスコットのビラでがいいのかな?
女性客、カップル?仕事に疲れて休憩したい人?狙いですかね
読込不足で喫茶店が頭抜けて食堂と勘違いしてました
ごめんなさい -
2014/05/17-00:32
皆のスーパーアイドル!伊津美ちゃんでーすっ!
…………知ってる人いるかな?(実際マイナー
えっと、私は歌唱とダンスのスキルを使ってパフォーマンスしつつ客引きをする予定だよ!
なんか別の喫茶店だと思われちゃうかもしれないけど!
ウサギモチーフのものを作るのなら女性客を頑張って客引きしようかな? -
2014/05/17-00:15
初めましてひょうさん!
宜しくお願いします♪
そうしますと…。
兎型のトピアリーにするならやっぱり兎をモチーフにした食べ物を入れた方が面白そうですね…。
紅茶や珈琲は美味しいって事ですし、それにあった卵料理…。
ただ卵を使っていれば問わないって言われてましたので…。
考えていたのは誰が作っても失敗しないレシピで、さらにモチーフに兎を取り入れるってところでしょうか。
あまり技術が必要な物を作るとそれこそ時間がかかってしまいますし…。
コスト面を考えてもあまり宜しくないですよね。
今一応予定してるのはホットケーキミックスを使った軽食orデザートです(無論、まだ時間があるので今後変わるかもしれませんが
んー…ビラに何を押しにした喫茶店なのかとか書いて置いた方がいいのかも?
ターゲット層…場合によっては品目も変えた方が良さそうですね(顎に手を当て考え
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2014/05/16-23:21
初めまして、ひょうさんよろしくお願いしますね。
ターゲットの客層は、事前にリンさんに尋ねたら教えて貰えるのではないでしょうか。
こちらもビラ配り予定していますが、丁度良いタイミングで交代出来そうな感じですね、頑張りましょう!
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2014/05/16-19:15
初めまして、初参加です。至らぬ点が多々あると思いますが宜しくお願いします。
客寄せ大事ということでビラ配り後、給仕をしたいです。
ターゲットにする客層があれば重点的に誘い込みたいです。
カップルとか親子連れとか…。
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2014/05/15-21:33
音無さん初めまして、よろしくお願いします。
こちらは内装に装飾を施した後で、ビラ配りに行ってこようと思います。
(まだ時間があるので、参加者が増えた際には再度考えます。)
装飾用に、ウサギ型に刈り込んだトピアリーの鉢植えを持ち込んでみようかと。 -
2014/05/15-00:48
初めまして、失礼致します。
音無淺稀と申します。
新作卵料理の立案をしていきたいと思ってました。
…「兎と大地亭」ってお名前から兎さんの何かを入れた方がいいのでしょうか…?
今から腕がなります!
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2014/05/15-00:25
他の参加者様を待っている状況ですが、とりあえず。
かのんと申します、よろしくお願いします。
内装の改善と、開店後手が空くので給仕か宣伝を行いたいなと。