ひたすらホットケーキが食べたい!(如月修羅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●ひたすらホットケーキをアレンジしながら食べるだけの依頼です
「甘い物好きなウィンクルムの方はいませんかー」
 半ばやけになったかのようにそう叫ぶ職員に、「甘い物好き」に該当するウィンクルムが立ち止まる。
「ちょっと聞いてくださいよ!!」
 曰く、このところストレスが溜まっていて、それを発散するためにホットケーキを作ったというのだ。
 なぜか二日間に渡り、ただひたすらに。
「なんですけど、自分で作っておきながら気が付いたんですよね!!!
こんなん1人で食べれるかよ、と」
 まぁそれはもうすごい山だそうだ。
 お徳用のホットケーキミックスで作ったホットケーキなので、量もさることながら、お味も……まぁ、普通だそうだ。
「職場の人に押し付けようとしたら、ただのホットケーキは嫌だだのなんだの言われましてね?!
そんなこと言われたって、私だってもうjrないですよ!!!!!
だったら1人で全部食べてやろうと思ったんですけど、1人で味気ないホットケーキ食べるのもつらいし、恋人でもいればいちゃいちゃしながら食べればなんとかこう……」
 そこまでいって、何かを思い出したのか切れそうになっている職員をなだめつつ、一体どうしたいのかと問いかけるウィンクルムたち。
「すみません……えぇっとですね、もしよかったらご一緒しませんか? というお誘いです。
ちなみに私はもうジェールがないので何も買えませんが、皆様が買ってきてくれたらホットケーキにこう……生クリームだとか果物だとかいっぱい載せれます。
あったかいのがいいかもしれませんが、そこは電子レンジに頑張ってもらうことになりそうです」
 ちなみに場所は、とある施設の一室の和室を借りているという。
「さすがにここを借りるわけにはいかなかったもので……」
 そこの施設までの地図と、その施設の傍には小さなお店があるという。
 おばあちゃんがやっている、日用雑貨と食べ物が置いてあるお店だ。
 そこで缶詰だとかそういうものを買ってもいいだろうとのことだった。
「あ、ナイフとかフォークとか、お手拭だとかお茶ならあります!」
 そのために自分がのっけたいものを買うのがいいだろうとのことだった。
「って、あぁぁぁぁ仕事があったんだ、それが終わったら顔を出しますので、もう本当思う存分食べてくださいね!!」
 私に残さなくていいですからね!!
 そういってぶんぶんと手を振るのだった。

解説

 基本的にみんなでわいわいホットケーキに飾り付けしてるところと、食べてるところ、最終的に職員に作ったホットケーキを渡すところ。
 この3つを描写予定です。
 ですが、プレイングによってかわりますので、やりたいことを、どうぞです!
 全員でやってもいいですし、もちろん、個別描写も可能です。


●ジェール
 持ち込み品はお店で買ったことになり、お一人 300jr 頂きます。

●ホットケーキ
 大人の事情により、みなさんで食べた+職員に渡す分が問題なくある程度に沢山あります。
 ようは、細かいことはいいから沢山作って沢山たべようぜ! っていうお話です。

●お部屋
 一般的な和室。
 テーブルと座布団、棚の上に電子レンジが3機。
 飲み物などは給湯室を使って温かいものが飲めます。


●職員
 京子 3×才
 最後にちょろっと顔出しする程度です。
 もしもホットケーキをもらえたら大喜びします。
 もらえなくても、ほっとんどなくなってても大喜びします。

ゲームマスターより

 定期的に生クリームがいっぱいのったホットケーキとかパンケーキとか食べたくなる病にかかってる如月修羅です。
 なんのひねりもないホットケーキをひたすら食べる依頼をお届けします。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

シルキア・スー(クラウス)

  目を輝かせ参加

シェアし易くサイコロ切り提案
「単純作業だけど大丈夫?
指組み熱い眼差し
「そういう人 凄い 素直に尊敬する

「ではトッピング!
缶詰果物切り 1個つまみ食い 彼にも1個口に
出されぱくり「おいひー もぐもぐ
ホイップ縦横無尽にたっぷり うっとり

そんなこんなで
彼の捗り過ぎ作業に「ストーップ!
「食べるしかないのよ 覚悟を決めてクラウス!

「これはあなた好みかなって
2種目 抹茶とクリーミングパウダー振り掛け ホイップ つぶあん添え

美味しい 幸せ
離れた隙に1品 レンジでチン
3種目 サイコロケーキにチーズ載せケチャップちょこんと
「最後まで美味しく食べたいからね

絡みお裾分け何でも歓迎

京子さん
「これなら職場の方も食べてくれるんじゃ?


桜倉 歌菜(月成 羽純)
  甘党な羽純くんがホットケーキ大好きなのは知ってます!
羽純くんに美味しく食べて貰う為に、ホットケーキをデコレーションして可愛いケーキにします♪

苺・ブルーベリー・バナナ・バニラアイス・生クリーム・粉砂糖・チョコソースを買っていきます

まずホットケーキをレンジで温めて
お皿に一枚置き(これが土台)その上に、苺とバナナを放射線状にバランス良く並べます
果物の間に生クリームを絞り
二段目も同じ手順で
三枚目を重ねたら、その上にバニラアイスと苺、ブルーベリーを並べ、チョコソースと粉砂糖を掛け完成♪

見た目もちょっと豪華で食べごたえもありそうでしょ?
羽純くんの笑顔が嬉しい!

切り分けて、職員さんと皆さんにも配って食べたい


井垣 スミ(雨池颯太)
  購入:餡子、バター、蜂蜜
他に使いたい方がいたらお分けするわ。

お店の方にご挨拶してから上がらせていただきましょうか。
そうちゃんは温かいホットケーキがいい?
一枚? それとも何枚か重ねる?
じゃあ、バターを乗せてチンしましょうね。

おばあちゃんはこのままでもいいのよ。
ナイフで小さくして、餡子を少し乗せていただくわ。
そうちゃんも食べる? はい。

あらあら、そうちゃん。お口が汚れてるわ。(ハンカチで拭く
はい。きれいになった。気をつけて食べましょうね。
ふふ、ありがとう。いただくわ。
食べたいなら買いましょうか。
食べ過ぎてお腹痛くしないようにね。

京子さんには、4つに切ったホットケーキの1切れに餡子を添えてお渡しするわ。


ファルファッラ(レオナルド・グリム)
  ホットケーキ!食べて食べて食べまくるわー!!
ふふふ、甘い物は大好きよ。こんな機会めったにないもの遠慮なくいただくわね。

家で甘い物ばっかり食べてるとレオに怒られちゃうのよね…散らかしちゃうからかしら。
甘い物が嫌いってわけじゃないみたいだし。たまには一緒に甘い物を楽しみたいわよね。
レオの為のホットケーキの飾りつけをしてあげるわ!
私の中での最強で最高の組み合わせなのよ。だからきっと気にいるわ!
生クリームにベリーを沢山。チョコレートのソースをかけて出来上がり!
はい、あーん。えっ?あーんは恥ずかしい?


あら、クリームがついてるわ、ふふ、私がとってあげる。
(ちょっとは照れてくれたりするのかしら)


エセル・クレッセン(ラウル・ユーイスト)
  なぜ二日間もホットケーキを作り続けるようなストレスが溜まったのかは…、聞かない方がいいのかな、うん。

せっかくだからご馳走になろう。飾り付け、考えるの楽しそうだ。
ラルも一緒に行こう。ラルはホットケーキのトッピングは何が好きなんだ?

あ、もちろん京子さんの分も作っておくから。
皆と一緒にホットケーキたくさん食べて、少しはストレス解消になるといいな。

トッピングは、ホットケーキの上に生クリームのせて。
その周りに切ったバナナを並べて、ベリー各種を散らして。
メープルシロップかける、とかどうかなあ。

ラルのも美味しそうだなあ。
少し交換しよう?
あ、お茶入れるな。紅茶でいいのかな?

お裾分け?こっちのも、どうぞ。



 地図を手に、エセル・クレッセンはラウル・ユーイストへと声を掛ける。
「ラルも一緒に行こう」
 既に決めたようなその様子にラウルは悟る、これは、きっと何を言っても共に向かうことは決定だろう。
「ラルはホットケーキのトッピングは何が好きなんだ?」
「甘い物は好きという程でも……」
 しかし、きらきらと一体どんなものが好きなのだろうという視線を向けるエセルに、ラウルはその唇を閉じることになった。
 なんというか、その期待が眩しい。
「いや、まぁ……行くか」
 かといって、行きたくないというわけでもないのだ。
 うんうんと頷くエセル。
「じゃぁ、行こう」
 共に向かうは、まずはお店だ……。


 お店で材料を買い、向かった和室。
 山のようなホットケーキを前にラウルが視線をホットケーキから、エセルへと動かす。
 見られているエセルと言えば飾り付けを考えるのも楽しそうだと思いつつ、それよりも気になるのは、なぜこんなにも作ってしまったのかという事。
(なぜ二日間もホットケーキを作り続けるようなストレスが溜まったのかは……)
 聞かない方がいいのだろうな、とエセルは判断しまずはホットケーキへと手を伸ばす。
「……飾り付けの下拵えとかできるんだろうな?」
 そんな彼女へのラウルの問いに、にこりと笑みを浮かべる。
「手伝ってくれ」
 はぁっとちょっとした溜息が聞こえた気もするが、それでも、で、どうするって? と準備をしてくれるのはラウルの優しさだろう。
 持って来ていた果物ナイフを使ってエセルが頼む果物を切り分けて行く。
 気が付けばエセルは並べる係になっていて、ある意味これも普段から共にいることからなる連携プレイであった。
 ホットケーキの上に載せた生クリームの周りにバナナを並べ、色んな種類のベリーを散らしていく。
「よし、出来た」
 メープルシロップかける、とかどうかなぁ、と出来あがったのを見ながら思いつつ、ちらりとラウルを見れば、持って来ていたボウルの中身を泡だて器で作っていて。
(もう少し時間がかかりそうか?)
 どうやら彼の作っている物は甘いものではないようで……?


 出来あがったのは、軽食用のホットケーキだった。
 サーモンとアボカドの赤と緑、そしてちぎったレタスが散らされたそれに、ヨーグルトとマスタードを合わせたマヨネーズソースがかかっている。
 ラウルとエセルがお裾わけ用のを差し出せば、美味しい! と声が上がった。
 そんな声を聞きつつ、エセルが呟く。
「ラルのも美味しそうだなぁ」
 シンプルだからこそ、美味しい。
 そんなメープルシロップも掛けた甘いホットケーキを食べながらいえば、ラウルが視線を向ける。
「少し交換しよう?」
「エセルの分もあるが……」
 本当? と瞳を輝かせ、お茶を淹れると立ち上がる。
「紅茶でいいのかな?」
 それがいい、と頷くラウルにも紅茶を淹れて。
 ラウルが作ったホットケーキは一体どんな味なのだろうと、エセルはわくわくと再び紅茶をお供に席に座るのだった。



 桜倉 歌菜と月成 羽純は山のようなホットケーキを前に瞳を輝かせていた。
 羽純がホットケーキが大好きなことは知っている。
 だからこそ、羽純に美味しく食べてもらうために、ホットケーキをデコレーションして、可愛いケーキにするのだ。
 きらきらと瞳を輝かせている羽純をちらりと盗みみて、決意を新たにする。
(絶対美味しく、可愛くしてみせます!!)
 ぐっと気合が籠ったのが羽純にも伝わったのか、視線を歌菜へ。
 普段はシンプルにホイップバターとメープルシロップで食べるのだけれど、今日は歌菜に任せよう。
 そう思い、手に持つ苺にブルーベリー、バナナにバニラアイス……。
 そして生クリームや粉砂糖、チョコソースが入った袋を置く。
 買ったものだけで既に胸が躍っているのに、歌菜がなにやら考えがあるようなのだ。
 これで胸が躍らないほうがおかしい。
 さっそく歌菜の指示に従いながら、どんな魔法を見せてくれるのかと羽純は口元を緩めるのだった。



 歌菜は羽純に手伝ってもらいながら、手際よくホットケーキを温め、土台としたホットケーキの上に苺とバナナを放射線状に並べていく。
「こっちの方がいいんじゃない?」
 2人で悩んでじぃっと見詰めて、バランスを整えて。
 綺麗に出来たとぱっと花が咲く様な笑みを浮かべ歌菜に、愛らしいと羽純が瞳を和ませつつ生クリームを絞って行く。
 なかなかに難しいと、ちょっと歪に絞れてしまった生クリームを見ながら思う。
 とはいえ、二段目も同じようにして2人で協力して作り上げれば、それも気にならなくて。
 三段目をのっければ、そこで登場したのはバニラアイスと苺、そしてブルーベリーだ。
「あとは、チョコソースと粉砂糖を掛けて」
 ここからは片付けの方にと回り、羽純は出来あがりを待つ。
 最後まで気は抜けないとばかりに真剣な表情の歌菜だが、それでも終わりの時はやってきて。
「完成♪」
 出来あがったホットケーキはきらきらと輝いているようにも見えた。
 ホットケーキの隙間から見える果物と生クリーム。
 一番上にのった果物もアイスも、美味しそうだ。
(本当、歌菜は俺のツボを押さえてる)
 羽純の口元が、優しく笑みの形に緩んだ。


「見た目もちょっと豪華で食べごたえもありそうでしょ?」
 皆や京子にも是非食べてもらいたいと歌菜は切り分け始める。
 切り分けたそれを皿に寄せつつ、羽純の方を見れば羽純は皆のためにあまり味のくどくないお茶を淹れていて。
「あぁ、凄く素敵だ」
 羽純が淹れたお茶と、歌菜が切り分けたホットケーキは無事、皆の元へとシェアされ、美味しいと絶賛だった。
 その様子に2人にも笑顔が浮かび、今度は自分達も食べようと改めて席へと座る。
「……美味い」
 最初の一口は、羽純が。
(羽純くんの笑顔、嬉しい!)
 ぱっと広がる甘さは歌菜の愛情も籠っているからだろう、とても美味しくて自然と浮かぶのは笑顔だ。
 歌菜も一口食べれば、ブルーベリーの程良い酸味に瞳を和ませた。
 そんな歌菜の茶色の髪を優しく撫でる指先。
 俺のことを、見てくれてありがとう。
 羽純はそんな思いを込めて、そんな歌菜の頭をゆっくりと撫でるのだった。




 ファルファッラは沢山のホットケーキを前にテンションが上がっていた。
(食べて食べて食べまくるわー!!)
 だがしかし、さらりと黒と白の髪を揺らすだけで見た目はそんなにテンションがあがっているようには見えない。
「ふふふ、甘い物は大好きよ。こんな機会めったにないもの遠慮なくいただくわね」
 きらりと光る瞳は確かに遠慮という言葉をどこかに置いてきたかのように鋭い。
 レオナルド・グリムはそんな神人の様子を眼鏡越しに見詰めた後、山のようなホットケーキへと視線をやる。
(見てるだけで胸焼けがしそうだ)
 自然と耳がへたんとなりつつ、甘いものは嫌いではないけれど、と思う。
 それでも、何事にも限度というものがあるだろう。
 いやそれ以上に、胸やけしそうな事態があった。
 生クリームにいちご、ラズベリーにチョコレートソース。
「こんなに使うのか?」
 流石に甘さが飽和しそうだとぼそりと呟いた声に気が付かず、まずはホットケーキへと手を伸ばすファルファッラ。
(家で甘い物ばっかり食べてるとレオに怒られちゃうのよね)
 散らかしちゃうからかしらと思うのだが、実際は偏食気味の彼女を心配しているのだ。
 しかしその思いは彼女へは残念ながら届かない。
(甘い物が嫌いってわけじゃないみたいだし)
 たまには一緒に甘い物を楽しみたい、と一番最初に目を付けたのは生クリーム。
 そしてレオナルドを見る。
(レオの為のホットケーキの飾りつけをしてあげるわ!)
 その宣言は胸の内に秘めていて。
 しかしなんとなく伝わるものもある。
(甘い物の取りすぎは体に悪いと思って言っているのだがな)
 自然と溜息がでてしまうのもしょうがないだろう。
 嬉々として生クリームをホットケーキに彩り始めるのを見つつ、せめて被害は最小限にとどめようと声をかける。
「とりあえず自分達が食べる以外のものは飾りつけするな」
 ぱたりと指先をとめた彼女の視線とレオナルドの視線が絡み合った。
 分かってくれたのかと思ったのだけれど、唇からでた言葉はやはりちがうもので。
「あら、どうして?」
「お前の感覚だと甘すぎるんだ」
 首を傾げるファルファッラに、そう事実を伝えるがそうかしら? と不思議そうだ。
 ここで言い争いをしていてもしょうがないと、ホットケーキにと手を伸ばす。
「レオ、あなたが作るの?」
 適量の生クリームを絞りながら、レオナルドが神妙に頷く。
「職員さんの分は、俺がつくっておく」
 それが一番安心だろうから。
 そういうのに、分かったような分からないような表情をして頷くファルファッラがいた。


 出来あがったホットケーキは、生クリームにベリーが沢山載っていた。
 ちなみにホットケーキ自体は何も見えない。
 さらにチョコレートのソースをかけて出来上がり! と生クリームどころかベリーも見えなくなる勢いでチョコソースをかけて、漸く完成。
(私の中での最強で最高の組み合わせなのよ。だからきっと気にいるわ!)
 胸を張ってレオナルドの前へ置く。
 甘さという点においてはほとんどないホットケーキを作ってる面々や、適度に甘そうな面々のホットケーキを見つつ、作ってくれたホットケーキに視線を落とすレオナルド。
 そのホットケーキに籠るファルファッラの気持ちは伝わってくる。
 伝わってくるが、なんというか飾り付けたホットケーキは最低最悪に甘そうで食べるのには覚悟がいる。
「はい、あーん」
 逡巡し、動こうとしないレオナルドへと一口大に切ったホットケーキというよりは、すでに白と茶色の何か別の物に見えなくないものを口元へ。
「あーんはどうかと思うぞ」
 この年でそれは恥ずかしい。と言えば、首を傾げる。
「えっ? あーんは恥ずかしい?」
 しょうがないわね、とフォークを置こうとするファルファッラから受け取り、食べたそれ。
 甘さが体の中を付き抜けていくのが分かる。
 なんというか、甘い、それしか考えられない。
「あら、クリームがついてるわ、ふふ、私がとってあげる」
(ちょっとは照れてくれたりするのかしら)
 口元についた生クリームをそっと拭えば、レオナルドの耳がぴくりと動くのが見えて。
 そして拭われたレオナルドと言えば。
 触れた白く細い指先。
 その指先の白さと温もりに、ドキリとする。
「ほら、ファル」
 最近、ファルが「女の子」に見えてしかたないレオナルドは、視線をそらしつつもホットケーキの皿を押してやる。
「沢山たべるんだろう?」
 瞳を瞬きつつ皿の上のホットケーキをみたファルファッラが、レオナルドに視線を戻し微笑む。
 その笑みは、この皿の上にのったホットケーキよりも甘くレオナルドには映った。



 シルキア・スーは、きらきらと瞳を輝かせ、ホットケーキの山を見つめる。
 彼女が行くのならば当然、共にとやってきたクラウスはその山を見つめ、ゆるりと空色の尻尾を揺らした。
「小さく、サイコロ切りは、どうだろう?」
 それならばシェアしやすいだろうとクラウスを見上げれば、切れ長の瞳を細めクラウスが頷いた。
「単純作業だけど大丈夫?」
「ふっ、苦にはならない方だ」
 緑の瞳をきらめかせ、指先を組んでクラウスをじぃっと見詰める。
 その視線はとても熱が籠っていた。
「そういう人、凄い、素直に尊敬する」
 ん? と首を緩く傾げたあと、そうだろうかとこほんとひとつ咳払い。
 ちょっと照れてしまうのはその眼差しに尊敬がこもっているからだろうか。
 シルキアとクラウスは、まずは食べながらトッピングしやすいように、ホットケーキや果物を切ろうと手を伸ばす。
 クラウスは作業をしながら、鼻歌でも唄い出しそうな程に上機嫌に進めていて。
 ただ、見た目は普段と変わらないためにシルキアが気が付いたかどうかは、シルキアのみぞ知ると言ったところだろうか。
「ではトッピング!」
 自分が切り終わった果物を前に、シルキアはどれにしようかと視線を迷わせる。
「お前の好きに飾るといい」
 そんなクラウスの言葉に背中を押され、でもまずはお味見を、と1つつまみ食いをしつつ、勿論彼にも同じ物を。
 口元に寄こされた果物を美味しく頂きながら、クラウスも自分が切っていたホットケーキを口元へ。
「おいひー」
 花のバレッタでとめられた髪を揺らしつつ、凄く嬉しそうに微笑むシルキアに、クラウスも微笑みが口元に浮かぶ。
 あぁ、凄く楽しそうだ。
 クラウスはそう思いながら、ホットケーキを切り分けて行く。
 そんな彼の傍で、ホイップを縦横無尽にたっぷりとかけて、うっとりしているシルキア。
 とろりとかかったホイップがとても美味しそう。
「食べるのが、楽しみね」


 食べるのが、楽しみね。
 そう言っていたシルキアだったが、捗り過ぎのクラウスの作業に楽しむだけですむ問題ではなくなると制止の声をあげる。
「ストーップ!」
 はっと動きをとめたクラウスは、自分が仕出かした有様に、眼鏡に影が落ちた。
 なぜならば、目の前には山のように切り分けられたホットケーキが!
「すまない……食し切れる……のか?」
「食べるしかないのよ、覚悟を決めてクラウス!」
 うむと頷き合い、いざ! と1番最初に食べるのは、シルキアがたっぷりとかけたホイップが掛ったホットケーキに、桃と梨を小さく切りちりばめた飾り付けのもの。
「食べやすそうだ」
 羽純が淹れてくれたお茶をお供に食べれば、甘さの中にちょっとした酸味もあってさっぱりと食べ進めることが出来る。
 全て食べきった後、次にシルキアが作ったのは、ホイップが掛ったホットケーキに、抹茶とクリーミングパウダーをかけて、つぶあんを添えた物。
 目の前で作られるそれに瞳を奪われていたクラウスに、シルキアが瞳を笑みの形に和ませて。
「これはあなた好みかなって」
「ありがとう」
 その心遣いがとても嬉しい、と一口食べれば、今度は抹茶の渋みと甘さがとても美味しい。
「うん、美味しい、幸せ」
 つぶあんも一緒に食べながら、ほんわかとシルキアが微笑みを浮かべる。
 ひとつ、ふたつ、この前に食べたのも合わせたら、沢山。
 少しペースが落ちてきたのに、シルキアがちらりとクラウスを見た。
「茶を入れてこよう」
 丁度飲み終わってしまったお茶を新たに入れれば、きっと気分転換にもなるだろうから。
 そんな彼の背中を見送り、シルキアは思案顔。
 よし、ならばこれならば、ととあるものを掛けてレンジにと向かう。
 彼が戻ってきたら、また一緒に食べよう。

「シルキア」
 お茶を、と戻ってきた彼の前には、今度はチーズとろりと溶けたホットケーキが。
 ちょこんとのったケチャップの赤が眩しい。
 考えていてくれたのか、と嬉しく微笑みを浮かべるのに、シルキアはどこか嬉しそう。
「助かる」
 すとんと席に座って、手に持ったフォークが力強く動く。
「最後まで美味しく食べたいからね」
 だから、また。
「いただきます」
 美味しくホットケーキを食べるのだ2人だった。




 がさごそと必要な物を買いこみ、お店の方へ挨拶を。
「ありがとうございました」
 井垣 スミはそうお礼を言って、餡子にバターに蜂蜜を持ち、きらきらとすでに瞳を輝かせている雨池颯太を微笑ましく見守る。
 それぞれ買い物も済ませ、和室へと足を進めるとすでに甘い香りが漂っていた。
 それは山のように置かれたホットケーキから香るようで。
「おじゃまします!」
 襖をあけた颯太の声が、元気よく響く。
 ふふっと微笑みを浮かべ、そんな颯太の後からスミは部屋へ入るのだった。
 

 鼻歌がきこえてきそうな勢いで、絵本の中から飛び出してきたようなホットケーキの山を見つめる颯太。
「ホットケーキ♪ ホットケーキ♪」
 どれに手を伸ばそうかと悩んでいる所に、スミが声をかけた。
「そうちゃんは温かいホットケーキがいい?」
「あったかくないとバターとけないんだよね?」
 スミにそう疑問を問いかければ、そうよ、とスミが頷きを返す。
 なるほどと納得の声をあげ、だったらあったかいのがいいと主張する。
「ふふ、そうね、それがいいわ」
 微笑みを浮かべつつ、1枚か、それとも何枚か重ねるかを問いかければ、魅力的な数に頭を悩ませる。
 うーんと唸る颯太の耳と尻尾が何かを導き出したのに合わせ、ぴんっと動く。
「んー、3まい! あったかくなったらはちみつもかける!」
 3枚ね? と3枚お皿にのっけてやり、その上にはバターもだ。
「じゃぁ、バターを乗せてチンしましょうね」
 今からそれがどうなるのかわくわくしながら見詰め、お手伝いしたいと手を伸ばし、スミのお願いのもと、つまみを回すお手伝い。
 チン! と音がするまでどきどきわくわくしながら回るホットケーキを見詰めて時間を過ごすのだった。


 レンジから取り出したホットケーキは、ほかほかと湯気が出ていて、溶けたバターがふんわりと香っている。
 あっつあつのホットケーキをもぐりと食べれば、ほんわりと甘くて美味しい味が口いっぱいに広がって。
 にんまり笑顔になる美味しさだ。
 その隣ではスミが同じように、でもこちらは食べやすい大きさに切ってゆっくりと唇へと運んでいる。
「ひーばあちゃんはあったかいのじゃなくていいの?」
「おばあちゃんはこのままでもいいのよ」 
 あったかいほうがおいしいのに、という颯太に微笑みながら、小さく切ったホットケーキに餡子を乗せる。
 その様子をみて、あんこも欲しいとお願いすれば、餡子を颯太の元へ。
「そうちゃんも食べる?」
 ありがとう! とかぶりつけば、あらあら、そうちゃん、汚れているわとハンカチで口元を拭われる。
「はい、綺麗になった。気を付けて食べましょうね」
「はーい」
 今度はちょっとだけ慎重にナイフで切って、フォークで刺して食べることに。
「そうだ、ひーばあちゃんもはちみつのたべる? おいしいよ」
 にこぱっと笑顔で差し出せば、スミも笑顔で貰うことに。
 美味しいね、と微笑みあいながら食べつつ、それでもちょっとだけ視線が他の人の物に。
 クリームも美味しそうと呟く颯太にスミがなら、買いましょうかと微笑みを浮かべて。
「でも、食べ過ぎてお腹痛くしないようにね」
「いいの!? うん、気をつける!」
 尻尾をぱたぱた揺らす颯太の元へ、でも今は此方もどうぞ? と皆から紅茶やホットケーキをシェアしてもらうのだった。




 やってきた京子を招きよせたのはエセル。
(皆と一緒にホットケーキたくさん食べて、少しはストレス解消になるといいな)
 出されたホットケーキに、自分では考えられないお洒落な食べ物だと京子が唸り声をあげれば、そんな彼女に声が掛けられる。
「もしよかったら此方もどうぞ」
「羽純くんが淹れてくれた紅茶もありますよ」
 歌菜と羽純が皿に載ったホットケーキと紅茶を手に呼びかければ、京子が嬉しそうにやってきた。
 そんな京子に、羽純がありがとう、とお礼を言えば京子が不思議そうに首を傾げた。
「お陰で美味いホットケーキにありつけた、有難う御座います」
 こちらこそ、ありがとう。
 お礼をいう京子に差し出された物。
「これなら職場の方も食べてくれるんじゃ?」
 そう言ってシルキアが示すのは、クラウスの3種のホットケーキ。
 あの人達に渡すなんて勿体ない! と嬉しそうな京子に、では……と声を掛ける者。
「こちらもどうぞ」
 レオナルドが差し出したのは、ファルファッラが作ったホットケーキと同じ具材を使ったものだった。
 でも、甘さは普通ぐらいで、同じ食材でもここまで違うのかと見ていた人なら思うかもしれない。
 甘くておいしそうね、と京子が微笑む。
 レオナルドのちょっと神妙そうな表情に首を傾げる京子であった。
 スミが差し出したのは、4つに切ったホットケーキにあんこを添えたもの。
 沢山たべるのも大変だろうという配慮だ。
「あ、お姉ちゃん!」
 颯太が黒色の尻尾を揺らしながら京子へ笑いかけた。
「ホットケーキおいしかった、です! ありがとう!」
 膝を折り、颯太へと視線を合わしながらお礼を言う京子に、照れたように颯太が笑う。
 そんな様子を見ながら、スミも口元に笑みを浮かべるのだった……。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 09月20日
出発日 09月26日 00:00
予定納品日 10月06日

参加者

会議室

  • [8]井垣 スミ

    2016/09/25-12:12 

    京子さんの分は、そうね。
    皆さんも渡すのなら、そう多く食べるの大変でしょうから。
    4つに切ったものに、餡子を添えたものをお出しする予定でいるわ。

    そうそう。
    餡子と、バターと、蜂蜜だけれど。
    使いたい方がいらっしゃるなら、どうぞ使ってくださいね。

  • [7]ファルファッラ

    2016/09/25-04:24 

    レオナルド・グリムとファルファッラだよろしく頼む。

    あー…ファルファッラがホットケーキを食べたいらしくてな。
    あいつはかなりの甘党だから飾り付けも恐ろしいものになるかもしれないが。
    他に危害が及ばないようにはしてみせる。


  • [6]桜倉 歌菜

    2016/09/25-01:15 

    私達も作る部分は個別になりますが、出来上がったものは皆様にお裾分けしたいなって思ってます!
    絡みがあれば、是非よろしくお願いします♪
    京子さんの分も用意する予定ですっ

  • [5]シルキア・スー

    2016/09/25-00:22 

    シルキアとパートナーのクラウスです。
    どうぞよろしくおねがいします。

    私達はほぼ個別描写なプランになると思います。
    でも同じ部屋ですから、絡みもあるかもしれませんね、その時はよろしくお願いします。
    職員さんへの分は用意するつもりです。

  • [4]エセル・クレッセン

    2016/09/24-15:17 

    私はエセル・クレッセン。パートナーはラウル・ユーイスト。
    どうぞ、よろしく。

    飾り付けか、何にしようかなあ。
    甘いのもおいしいけど、甘くなくてもいいんだよな、食事になりそうなやつとか。
    うん、もうちょっと考えよう。

    あ、京子さんの分はどうする?それぞれ、作ってみるか?

  • [3]桜倉 歌菜

    2016/09/24-00:55 

  • [2]桜倉 歌菜

    2016/09/24-00:55 

    桜倉歌菜と申します。
    パートナーは羽純くんです。
    皆様、よろしくお願いいたします♪

    私達は、ホットケーキのデコレーションケーキを作ろうかなと思ってます。
    フルーツと生クリームで見た目も豪華にしたいなって♪
    とっても楽しみです!

  • [1]井垣 スミ

    2016/09/23-20:30 

    初めまして、かしら。井垣スミと言うの。
    こちらが私のひ孫にあたる雨池颯太。
    そうちゃんがホットケーキを食べたいらしくて、ご相伴に預からせていただくことにしたの。
    よろしくね。
    颯太「よろしくおねがいします!」

    おばあちゃんは餡子にしようと思うけど。
    そうちゃんは何が良いかしら。
    颯太「んーと、バターとはちみつ!」
    あらあら。なら、それも買いましょうか。


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