マとモが摩耗して殺意マシマシなサツマイモ(残念矜持郎 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 それはとある農村。畑仕事を終えた老人が額の汗を拭い、満足そうに広がる畑を眺めた。
「ふぅ、今年もいいものができたのぅ……フフフ、今年は一際甘く仕上がったからのう。出荷するのも食べてもらうのも実に楽し……」
 ゴゴゴ……ドゴーン!
「ワシの畑がー!?」
 地響きと共に大地が抉れ、葉が宙を舞い、異形のサツマイモが荒ぶる。
「ワシが丹精込めてサツマイモがオーガっぽくなっとるぅううううう!?」
 驚きのあまり腰を抜かせてへたり込んでしまう老人……なんてヤワだったら農作業なんか勤まるわけがない。回れ右して新記録でも叩きだしそうな速度で全力逃走する老人なのだった。

「……と、いうわけでワシの畑を取り戻してほしいんじゃぁああああ!!」
 ウィンクルム達に依頼に来た老人は号泣しながら縋りつく。
「何があったのかはよく分からんが、ワシの畑にサツマイモっぽいオーガが湧きよって、畑を荒らしとるんじゃ。幸い根でも張っとるのか、畑から動こうとはせん。じゃが、動けないバケモンじゃったら、そもそもこんなことになる前にワシが気づけるはずじゃ。ある程度攻撃したら動き出すかもしれんから、気をつけて欲しいんじゃよ」
 この爺さん、何気に敵の事を見ている。本当に畑を荒らされたことを根に持ってるっぽい。
「あ、ちなみにお金はないから報酬の代わりにワシのサツマイモが報酬じゃ☆」
 ウインクする爺さんに対して、ウィンクルム達が受付の方に遠い目を向けてみると、苦笑しつつ頷かれた。ちゃんと報酬は用意されてて、これは爺さんの冗談らしい。
 君たちウィンクルムは、仕事上がりにサツマイモも食べられるヒャッハー! とこの仕事を受けてもいいし、爺さんの態度にイラッ☆ として何も見なかったことにしてもいい。

解説

【戦場】



農業のプロっぽい爺さんが整えていたため、荒らされてなお足場は超良好

泥汚れはさすがに覚悟した方がいいかも

あ、畑は広いし、町はずれの方だからそのままドンパチやっても一般人に被害はまずでないよ!

【敵】

植物っぽいオーガ?

爺さんの目撃情報の為曖昧だが、いざ戦ったらそこまでの強敵じゃないかも

【芋】

多分恐らくきっと超美味しい

ゲームマスターより

もう、真面目に書くことに疲れてしまったよ……

というわけで残念さんだよ!

疲れるまでが早い? 気にすんな!!

さて、今回のお仕事はさっさと片付けるとサツマイモを食べられます

焼いてもいいし、何か作ってもいい

煮るなり焼くなり好きにすればいいじゃないっ!!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

水田 茉莉花(八月一日 智)

  こんのバカちび!(盾でガツーン)
先ずは偵察でしょ、オーガ・ナノーカ使うわよ!

偵察でどういうオーガ?かと、居場所を確認した後
ほづみさんにコンフェイトドライブをかけて
仲間と囲むようにして短期決戦
二人で前衛攻撃するわ
時の砂が効けば良いんだけど
効かなければ剣で土耐性を下げてやるんだから

ああもう、ほづみさん勝手に!
すみません、出来た芋料理はお分けしますし、きちんと片付けしますので

ほづみさんのお手伝いしつつアホなことしないか見張るわね
え、芋の味をみろって?
あたし甘いの得意じゃないんだけど…あ、これなら平気、焼き芋みたい
ほづみさんがフライパンで炒めている間に
芋羊羮を洗った芋の葉に盛り付けて
さぁ、皆さんどうぞ


エセル・クレッセン(ラウル・ユーイスト)
  サツマイモ?もオーガになるんだなあ。
うん、放っておく訳にはいかないだろうから。

持ち物
泥汚れに備えて着替え
スイートポテトの材料(サツマイモ以外)、レシピ

戦闘
畑に着いたらトランス。

八月一日さんが前に出てくれるって言ってるから。
私たちはサポートするな。

もし、オーガ?が普通の芋に紛れてるようなら、私も前に出てみるな。
神人に引かれて動くかもしれないから。荒らされた部分の周りから歩いてみる。

調理
私もキッチン借りて何か作ろうかな?
スイートポテトとか好きなんだけど。よく考えたら自分で作ったことは無かったな。
図書館でお菓子の本を借りてきて、レシピを見ながらやれば。
…たぶん、できる、かも。


マーベリィ・ハートベル(ユリシアン・クロスタッド)
  「はい しっかり努めます(二人で笑顔
敵が出現した畑の場所 出現位置 形状特徴 大きさ等を伺い
皆さんと情報を共有します
2人の着替えを用意します

畑着く直前にトランス

戦闘
本当にオーガか角の有無確認したい※どちらにしても討伐対象ですが
敵の姿を視認してから前衛へ
接近戦を仕掛けます
根や蔦で攻撃してくるかもしれない 足元を掬われない様警戒
掴まった方がいれば根や蔦を切断し助けたい
泥や芋等飛来物は回避優先で対処

ユリアン様に呼ばれれば警戒しつつ後退
ディスペンサを

戦後
畑の瘴気浄化の為
祈りを込めて後片付けを手伝います

着替えて
お芋洗い
焼き芋手伝います
準備や焼き具合等みたりします
他 お手伝い何でも 調理1 菓子1

精霊共に絡み歓迎


アラノア(ガルヴァン・ヴァールンガルド)
  パワフルでお茶目なお爺さんだなぁと苦笑
ともあれ、お芋好きとして放っておけませんね

一応トランス

芋が埋まっている畝に気を付けつつ敵の本体を探す
殺気を放ってたら分かりやすいんですけど…
途中攻撃があれば盾でガード
暴れて他の芋に被害が及ぶのはよくないので本体特定後逃げれないように囲む
なるべくさくっと倒したい


戦闘後
調理2
菓子2

借りたキッチンで一緒に料理する方の手伝いをしつつ大学芋とか作る
可能なら炊き込みご飯やお味噌汁も良いかもしれませんね

どれも美味しいです(ほっこり
あ、ガルヴァンさんの焼き芋も美味しいよ

お爺さんにお芋のお礼を言い
出来たらお爺さんにも食べてもらいたいです
これからも元気に畑仕事頑張って下さい


●敵はあなたのご飯じゃない
「本部に生クリーム申請OK、バターも申請OK、あとは畑に突っ込むのみd……」
「こんのバカちび!」
 ガツーン! キッツイツッコミが入りましたね。
「いっでーっ!?」
 八月一日 智のあげた悲鳴に畑全体がざわめいた。ウィンクルム一同がビクッ!? と跳ね、しばし警戒して周囲を見回すも、何も起こらない。
「ナニすんだよでかっちょ!」
 まさかの畑一枚、全てに展開する大型オーガの可能性に息を潜める智。そんな彼を見下ろして新手のオーガかな? ってくらいお怒りの水田 茉莉花が青いアヒルのおもちゃを手に。
「先ずは偵察でしょ、オーガ・ナノーカ使うわよ!」
「ふぇい、わーかりましたよ偵察待ちます……おれの芋ぉ……」
 戦う前からサツマイモを食べる事しか考えてなさそうな智が唇を尖らせて、茉莉花が小道具に偵察させて調査する傍ら、エセル・クレッセンはしみじみと。
「サツマイモ? もオーガになるんだなあ。うん、放っておく訳にはいかないだろうから」
「油断はするなよ? 気を抜いてるとあっという間だ」
 だから足を引っ張るなよ? と暗にほのめかすラウル・ユーイストだが、淡々とした声音のその奥底に、エセルに怪我をして欲しくないという想いがあるのは、本人ですら気づいているかどうか怪しい。
 と、ここで畑の真ん中辺りがドーン!
「出た! いたわよ!!」
「みりゃ分かる!」
「バカちびに言ってない!!」
 仲間に伝えるべく大声を上げる茉莉花に対し、それを隣で聞いてしまった智が耳を押さえる。
「でかっちょはいちいち声もデカいんだよ! ……あっ」
 言ってしまってから固まり、サーっと青くなる智。
「へぇ? 声『も』? 他には何がデカいのかしら?」
 身長差十四センチ。威圧感も相まって遥か彼方から見下ろすような茉莉花に智がガクブル。
「いや、あの……」
 必死に言い訳を探してしどろもどろになる智。その思考を邪魔するかのように大きく畑が爆ぜた。
「キシャァアアア!!」
『五月蝿い、黙れ!!』
 あるいは怒りの勢いで、あるいは思考を妨害されたことへの苛立ちで。トランスと同時に威嚇? も行った二人により、サツマイモのバケモンはしゅん、としてしまう。
「あれは角……なんでしょうか?」
 マーベリィ・ハートベルはこのバケモンがオーガなのかそうでないのか見極めようとするが、角っぽいサツマイモのような角的なサツマイモ染みたモノがあり、判別がつかない。
「どちらでも構わないよ。なんにせよ、アレはこの畑を荒らしてしまう害悪なんだ。ならば為すべきことは明確だろう?」
 ユリシアン・クロスタッドは古めかしい長銃を構えて微笑む。デッカイサツマイモに角的な突起がついて、蔓と葉で手足的な物を作ったそれを見て、遠くから何か聞こえる。
「あいつじゃ! あいつがわしの畑をめちゃくちゃにしたんじゃ!! もうサツマイモが御嫁に行けない……!!」
「パワフルでお茶目なお爺さんだなぁ」
 苦笑するアラノアだが、オーガっぽい物を見てふむ、と頷く。
「ともあれ、お芋好きとして放っておけませんね」
「サツマイモは嫁に行くものだったのか」
 真顔で頷くガルヴァン・ヴァールンガルドに、アラノアが苦笑。
「ガルヴァンさん、あれは多分ダメにされて出荷できなくなった芋があるってことだと思うよ」
「……そうか」
 言葉の例えと思わず直接的に受け止めてしまうのは、世辞のような相手の気を良くする為の嘘を言わない彼ならではなのかもしれない。

●収穫前サツマイモ防衛線
 トランスしたウィンクルムたちはサツマイモのバケモンを四方から取り囲むように展開。辺りの蔓が引き寄せられて編み込むようにしてサツマイモオバケの四肢を作ってる辺り、既に結構な数が犠牲になってるっぽいけど、それとてこの畑一枚分の話。ここから移動させなければ他の畑のサツマイモを守り抜くことができる。
「ラル、頑張って!」
 で、女神の加護を得るべくエセルがラウルの頭をポンポンしようとするが身長差の関係でやりにくくて仕方ない。
「うぬー……あっ!?」
 背伸びしてラウルの頭を上から叩こうとするエセルが土に足をとられてバランスを崩し。
「何やってんだお前は……」
 転んで土塗れになる前にラウルが抱き留めた。ほんの少しだが近づいて、低くなった彼の頭をエセルが柔らかく叩けばトランスのオーラが輝きを増した。
「こういうのって、ちゃんと上からやらないといけない気が……ほら、一応儀式だし」
「そんな面倒なもんだったらもっと身長差のあるコンビはどうすんだよ」
 エセルを下がらせて、ラウルが銃を構える。
「さて、どう撃ち抜いてやろうか……」
 振るわれる蔓を掻い潜り、狙いを定めるラウル。対してガルヴァンはその身に薔薇を纏わせて。
「幸か不幸か、ここ全体がもうダメになってしまっているな」
 既に荒らされた畝を見て、ガルヴァンは立ち回りに留意することをやめる。あまり農作物に被害を出さないつもりなら足場は限られてくるが、既に全滅した後なら動きやすいというもの。
「いえ、完全に不幸ですよ」
 すぅ、はぁ、と深呼吸したアラノアが盾を構えて微妙に威圧感を放つ。
「食べ物を粗末にする輩は許すべからず、です」
 一般家庭に生まれて平凡にして平穏な日々を送って来た彼女にとって、食べ物を大切にするのは基本。それが自分の好きな物だったのならなおさらであり、荒らしてるのが自然現象とかならまだしも、オーガっぽいバケモンとあったらそりゃ怒る。
「食い物の恨みは恐ろしい、という奴か……恨みなのか?」
 なんか違う気がしつつも、大斧を振り下ろし、蔓の一本を叩き切るガルヴァンなのだった。
「いや、これは立派に食い物の恨みだ!!」
 あっ、一人完全に恨んでる人がいた。なんかヒャッハーしてる智の頭を茉莉花がガッと掴んで。
「バカちび……ちゃんと考えて動きなさいよ? 適当に動きすぎて布陣に穴が開いたら、包囲戦の意味ないんだからね?」
「分かってるって!!」
 ぽむぽむ、と軽く頭を叩かれてから茉莉花に解放された智が双刀を抜く。先ほどよりトランスのオーラが強くなった智が土を跳ね上げた、かと思えばその姿は二つ。
「でっかいサツマイモは、まずは食べやすい大きさまで切らないとな!」
 駆ける姿は二つ、振るわれる刃は四つ。交差する斬痕を刻んでまだ止まらない。
「硬い……これまだ熟してないんじゃないだろうな!?」
 着地と同時に反転、裏『剣』にて更に傷をつけて斜めに切れ込みを入れて。
「だがしかし! 食えるのならいい感じに調理し」
「食い意地張らせてないで仕留めることを優先しなさい!」
「あだっ!?」
 再度振るわれる刃で逆側から斜めに斬り、一部を切り取るも後ろから茉莉花にぶん殴られた。
「ちゃんと戦ってるだろ!?」
「どう見ても食欲に負けてんでしょうが!!」
 ぎゃいのぎゃいのと、騒ぐ二人を一瞥してラウルが足を止めた。
「……そこだ」
 静かに引き金を引いて、切り落とされた傷? の中心へ弾丸を送り込む。皮と硬さが違うのかどうか分かりにくいが、取りあえずダメージは大きいらしく悲鳴とも雄叫びともつかない叫びが上がった。
「覚悟しろ、蜂の巣にしてやる……!」
 すぐさま次弾を込めて、戦いを楽しむかのように不敵な笑みを浮かべるラウルに、エセルはほんの少し心配そうな目を向ける。
「ラル……」
 普段は気だるげで、物静かな雰囲気のラウル。けれどオーガを前にすると戦意を見せて、どこか冷たくて……彼の過去に何があったのかは分からない。それでも背中を見ていれば戦場に駆り立てるほどの何かがあったのだろうとは察しが付く。
「どうして私は……」
 自在に動き回り、銃弾を撃ち込むラウルの姿を目で追うことはできても、ついて行くことは決してできないだろう。運動が苦手で動きの鈍い自分を顧みて、いつか置いていかれてしまう気がして……理由はわからないけれど、寂しく思えた。
「ユリアン様、ここからどうしましょう!?」
「そうだね、眼鏡を外せばいいんじゃないかな!?」
「なるほど、あえて視界を悪くして特訓するのですね! ……って、それは今じゃなくてもいいのではッ!?」
 ユリシアンの冗談へツッコミを返しながら、ちょこまかと襲い来る蔓の隙間を動き回るマーベリィ。走り回るリスのような姿にユリシアンはほっこり。戦闘中で明らかに見つめてる場合じゃないけどほっこり。
「ほら、実戦で技術を磨いてこそ本当に身につくんじゃないかな?」
クスクスと微笑み、弾幕を展開して自分の脚元から少しずつ押しやる様に追い詰める彼はさりげなくマーベリィの側へ。
「割れちゃったら大変だから、先に外しておかないと」
 そして彼女の眼鏡に手を伸ばすがスルッと逃げられて。
「あ、あの、その……!」
 近づかれてビックリしたとか、やっぱり今眼鏡を外すのは危ないとか、そもそも外して頂くなんて畏れ多いとか、言いたいことはたくさんあるのだがそれがキチンと言葉にならず、結局口をつぐんでしまうマーベリィ。
「気にしなくていいのに……」
 ちょっと残念そうなユリシアンには、それだけで十分。いつも側で彼女の事を見ていた彼には大体分かる。言葉にはならなくても、顔と様子を見ていれば伝わるモノはある……そしてマーベリィを見ているうちに眼鏡を外したくなる所までがワンセット。
 と、ウィンクルムたちに攻め込まれてサツマイモのバケモンが怒り狂ったように蔓をめちゃくちゃに振り回し始め、ガルヴァンはあえてそこへ突撃。自ら攻撃を受けに行くと、胴体に直撃しながらもとっ捕まえて。
「逃がさん、これで終わりだ」
 彼の腕を伝い、薔薇の花が蔓へ、そして身へ……パキリ、巻き付いた薔薇の茎がその棘を食いこませながら化物の身を半分にへし折るのだった。

●食べてるのはデカいアレじゃないからね?
 敵を倒して荒らされた畑を整えて。終わってしまえば後は、うん。
「じーさん、キッチン借りるぜー♪」
「ああもう、ほづみさん勝手に! すみません、出来た芋料理はお分けしますし、きちんと片付けしますので」
 そして去っていく智。代わりに茉莉花が頭を下げて、彼の後を追う。
「では、こちらはこちらで進めるとしよう」
 ガルヴァンが落ち葉をかき集めようとすると、手を伸ばした箒を目の前でマーベリィに奪われた。そしてガルヴァンの方へあわあわ、と困ったような顔を見せてからトテテ、と木の葉の溜まった方へ駆けていく。
「落ち葉を集めるのは任せてほしい、だってさ」
 逃げられたのだろうか、と首を傾げるガルヴァンへユリシアンが通訳。
「そうなのか? では俺は芋の方を用意しておこうか……」
 依頼人の爺さんからもらった芋を軽く水で洗って泥を落とし、収穫したばかりの新鮮さ故の鮮やかな紫色をアルミ箔の銀で包んで茶色い落ち葉へ……と自然に入れようとしてはた、と止まった。
「いつの間に……」
「マリィはうちのメイドだからね。お掃除なんてお手の物さ。そりゃあっという間に落ち葉の山の一つや二つ……」
 微笑みながら使用人を自慢する主に、当のマーベリィは赤くなって首をブンブン。
「この程度なら朝飯前です、だそうだよ」
 解説するユリアンの言葉にマーベリィの首振りが加速。ガルヴァンはなんとなくだが、褒められた事に対して畏れ多いとか、そんな感じの事を伝えたかったんじゃないだろうか……と思いつつ落ち葉に火を点けるのだった。
 一方そのころキッチン組は。
「蒸かす! 潰す! 混ぜる! それだけのシンプル調理だ!!」
 宣言と共に智が蒸かしたサツマイモを鍋の中でグニグニ。麺棒を使って初めはドスドスと乱雑に大きな塊に変えて、段々と押し潰すように丁寧に、均等に混ぜ延ばしていく。
「手際いいですね……」
 手伝おうと思っていたが、ほへー、と感嘆の声しかでないアラノアはサツマイモを一口大に切り分けつつお米を用意。入れ替わりにエセルがまな板の前に立つのだが。
「スイートポテトとか好きなんだけど、よく考えたら自分で作ったことは無かったな」
 まさか調理初挑戦じゃないよね? って確認したくなるエセル。支え方が甘くて芋が転がるは押さえたら押さえたで指の真横を包丁が通るはで見ている方が危機感を覚えるレベル。
「……貸してみろ。代わりにやってやる」
 見かねたラウルがため息をこぼしつつエセルと交代。逆にスムーズに進める智へ茉莉花はため息をこぼした。
「真面目にやってくれればすごいんだけどね……」
「ちゃんと味だってすごいんだぜ?」
 生クリームを加えて更に混ぜ、形を整えて一口サイズに。それを楊枝で刺して突き出した。
「え、芋の味をみろって?」
「そゆこと!」
「あたし甘いの得意じゃないんだけど……」
 眉を潜めつつもちゃんと食べる茉莉花。しばし咀嚼して、意外そうに口元を押さえる。
「あ、これなら平気、焼き芋みたい」
「しかしただの焼き芋とは違うものになるんだぜ?」
 そして構えられるフライパン。
「なんだか期待できそうな……っとと」
 横で焼かれる物を眺めつつ、アラノアは芋を素揚げしてから砂糖を煮詰めて甘いタレを作り、ラウルはすり潰した芋をタルト生地に詰めてオーブンへ。
「焼きあがったら私が……」
「お前はレシピを読んで指示してろ」
 最後くらい手伝おうとしたエセルを押しとどめるラウル。邪魔だから、ではなく火傷してほしくないからなのだが、ちょっぴりショボン、とする彼女なのだった。
「ラルって料理とかできたんだなあ」
 感心と羨望が混ざった声音に、ラウルは時計を確認して焼き時間に注意を向けつつ。
「まあ、自炊とバイトの成果、か」
「……私も自炊頑張ろうかな」
 親元を離れている今、もうちょっとくらい家事を頑張ってもいいのかもしれない。エセルはそんな想いで決意を新たにする。


●そして火を通した結果がこちら
 ガサ、パリ、プス……。
「うむ」
 焼きあがったサツマイモをトングでたき火から取り出し、アルミを開いて竹串を刺したガルヴァンが頷いた。
「これだけ火が通れば十分だろう」
「あ、こっちもちょうど焼けた?」
 アラノアがおにぎりを手に顔を覗かせて、戻って来たキッチン組が料理を広げる。
「スイートポテトと、スイートポテト風……」
 エセルの目がラウルのスイートポテトと智のスイートポテトモドキの間でウロウロ。
「なるべく余計なものを足さずに、芋の味を活かすようにしたぜ。ホレホレ食ってみじーさん。自分が作った物がどんだけの代物か知っておかないとな!」
 そしてほんのりバターの香るスイートポテトモドキを示しつつ自分はアラノアの大学芋食ってる智。
「さぁ、皆さんどうぞ。味の方は期待して大丈夫ですよ」
 本気で調理した智の腕を知っている故に、茉莉花は笑顔でサツマイモの葉に乗せた智お手製の芋羊羹を差し出した。
「……」
 一口大なのに芋羊羹をちょっとずつ頬張り、幸せをかみしめるようにマーベリィがにぱー。彼女に獣の耳と尻尾があったなら、ピコピコパタパタしていただろう。そんな彼女へユリシアンがさりげなく焼き芋を差し出す。
「!? ……ふぅ、ふぅ」
 焼きたての焼き芋は熱く、差し出されるままに口にしたマーベリィは息を吹きかけるが、焼き芋の熱気が跳ね返って眼鏡が曇る。
「おや、それでは前が見えないだろう?」
 そしてユリシアンに奪われる眼鏡……ここまでがマーベリィの素顔が見たい彼の作戦だったのだと彼女が気づくことはなかった。
「……美味い」
 アラノアの作って来た、丸められたサツマイモの炊き込みご飯を黙々とかじっていたガルヴァンが呟き、ふと片っ端からちょっとずつ食べてはそのたびに微笑むアラノアを見て、ふと思いいたる。
「そういえば、手料理を始めて食べたような……」
 何か気の利いた事でも言ってやりたい。けれどそんな都合のいい言葉は持ち合わせていなくて。
「アラノア……大学芋、美味いぞ」
 新たに手を伸ばした物の率直な感想しか出てこなかった。
「ありがと、ガルヴァンさんの焼き芋も美味しいよ」
 微笑みながら焼き芋を頬張る彼女を見て。
「……たまにはこういうのも悪くないな」
 本当に小さく呟いた彼は気づいていない。自分もまた、ほんの少しだけアラノアに向けて微笑んでいたことに。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 残念矜持郎
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル 戦闘
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 少し
リリース日 09月13日
出発日 09月22日 00:00
予定納品日 10月02日

参加者

会議室


  • ユリシアン:
    プランは提出しています。
    すんなり討伐が終わり、皆さんと秋の味覚を堪能できるよう祈ります。
    相談お疲れ様でした。


  • ユリシアン:
    では、敵は誘導せず
    速攻倒すつもりで攻撃に入って良い様ですね。

    ぼくは後衛からサポート、マリィは前衛で攻撃に当る予定です。
    初動は、敵を視認できない場合、怪しい場所にアタリをつけて撃ち込む予定です。
    念弾なので弾は畑に残らない。

    >焼き芋
    ガルヴァンさんよろしく。
    道具はお任せしていいですか?

    >泥汚れ
    ぼく等は着替えを用意する行動を入れました。

  • [12]水田 茉莉花

    2016/09/21-00:20 

    遅れてごめんなさい!

    >戦闘
    それじゃあ、オーガ?本体を見つけたら、短期決戦って方向でいいのかしら?
    そうでなくても、芋食べたさにほづみさんが突っ込んで行くのは目に見えているので…
    あたしの方で事前に説教しておきますね!

    智『芋ぉー、芋ぉー!!』


    >調理
    で、芋料理に関しては、ほづみさんがフライパンでスイートポテトを作るつもりみたい。

    智『ノン!芋羊羮からのスイートポテトだ!』

    ああ、ハイハイ。
    …とにかく食欲魔神に任せておけば大丈夫だと思います。

  • [11]エセル・クレッセン

    2016/09/20-19:43 

    これなくて、ごめん。
    アラノアさんとガルヴァンさんも、どうぞよろしく。

    >誘導
    じゃあ、未収穫部分とか移動されたら困る方へ行かせないように気をつける感じでいけばいいんだろうか?
    敵が見つかったら、前に出る人をサポートしつつ一斉攻撃、みたいに書いてみるな。

    >調理
    私もキッチン借りて何か作ってみる。
    ちゃんとできるかどうかは…、うん、たぶん大丈夫、と思う。

  • [10]アラノア

    2016/09/19-20:08 

    敵は最初畑に根を張っているので動かない
    ある程度攻撃すると動き出すかもしれない

    >誘導
    うーん…誘導するにも畑のど真ん中で根を張られてる可能性もあるので
    ある程度攻撃して動き出した敵を畑の外に…というのは手間も掛かりやや難しいかもしれませんね。
    誘導しようとしても逃げるかもしれないので。

    えっと…では敵本体の特定が出来たら動き出す前に囲んで一点集中攻撃とか…?
    皆の攻撃力を合わせれば瞬殺可能かなーと思ってたりします。


    あ、あと、焼き芋の手伝いはガルヴァンさんがしてくれるそうです。
    焼き芋するなら軍手やトングとかも必要ですよね。

    キッチンについては
    『煮るなり焼くなり好きにすればいいじゃないっ!!』
    とのことなので普通に借りられると思ってます。

    ちなみに私自身はキッチンで何か作ってみようかなと思ってます。
    大学芋とか美味しいですよね。


  • ユリシアン:
    アラノアさん、よろしくお願いします。

    >収穫済みであってほしい
    最初のご老人のセリフから、収穫されていないものがありそうです。
    畑の被害を最小限にと考えると
    敵が動き出してから収穫済みの場所か、可能なら畑の外へ誘導も考えられるが
    解説情報の
    >そこまでの強敵じゃないかも
    PL情報ではあるがこれを頼りに短期決着とその後のフォローで
    帳尻合わせられないかと僕は考えている。

    誘導した方が安心して戦闘はできそうだけど、どうしますか?
    僕は可能なら誘導が入るのは歓迎の考えです。

    あと、手が空いている方がいれば焼き芋を手伝って頂けるとありがたい。
    落ち葉や小枝拾い、芋洗いに焼き加減見て煙にあぶられても楽しそうだ。

  • [8]アラノア

    2016/09/19-00:39 

    アラノアとシンクロサモナーのガルヴァンさんです。
    よろしくお願いします。

    敵はデミ芋…って勝手に呼んでもいいんでしょうか…?
    サツマイモっぽいオーガらしいですし…。

    それと私は調理と菓子が2なので、料理に参加したいと思います。

    ドンパチやっても一般人に被害は及ばない(畑に被害が及ばないとは言っていない)
    …疑問なのですがもう全て収穫済みなのでしょうか?
    『農業のプロっぽい爺さんが整えていたため、荒らされてなお足場は超良好』
    とのことなので収穫済みであってほしいのですが…
    まだ芋が埋まっている畝がある場合こちらの攻撃が当たってしまうとまずいですよね…


  • ユリシアン:
    >おじいさんに頼んで、キッチン
    それでこちらは構わないよ。
    では僕等は外でたき火を焚いて
    オーソドックスに焼き芋を皆の分も焼こうと思う。

  • [6]水田 茉莉花

    2016/09/18-22:46 

    >調理
    えっと、あたしはおじいさんに頼んで、キッチン借りようかな?って思ってたの。
    そうすれば取れたてのお芋で作れそうだし…本部にバターとか生クリーム申請しとこうかしら?

    >戦闘
    あたし、オーガ・ナノーカを持ってるから、それでどういうオーガ?なのかを確認してみるわね。
    それから攻撃に行っても大丈夫だと思うの、ね、ほづみさん!!(首根っこ掴みつつ)

    智『離せー、おれの芋、おれの芋ーっ!!』

  • [5]エセル・クレッセン

    2016/09/18-21:32 

    >サポート
    うん、分かった。ラル、頼むな。

    ラウル:
    了解。

    もし、オーガ?が普通の芋に紛れてるようなら、私も前に出てみるな。
    神人に引かれて動くかもしれないから。

    >芋料理
    どうしよう?
    戦うと泥で汚れるみたいだから、一旦帰る方がいいかな?
    キッチンで調理する方がスキルは行かせそうな気もするけど。
    AROA本部で借りるか各自かはどっちでもいいよ。


  • ユリシアン:
    >芋料理
    焼き芋ならばホイルを持参し近場で済ませられそうだが
    調理場が必要ならAROA本部でキッチンを借りるのも手かと思う。
    こちらは拘りはない、各自持ち帰り家での調理も問題ない。

    こちらは神人が調理と菓子がレベル1だ。
    何かスイーツを1~2点考えている。

    >サポート
    了解だ。
    畑を無駄に荒さない様短期決着をつけたい所だ。

    >普通の芋と区別が
    成程、
    土の中に潜っている可能性等もありそうだな。
    その場合の対応を用意しておこうと思う。

  • [3]水田 茉莉花

    2016/09/17-01:23 



    なぁ、いも食わねぇか?
    じゃなくて、テンペストダンサーのおれ、八月一日智と
    神人のみずたま…じゃねぇ、水田茉莉花でっす!

    戦闘後のいも料理なら任せろ!(調理スキルLv3)
    ってか、むしろそれ目当てで依頼に参加したぜ!(どや顔)

    んで、肝心の戦闘だけど、おれ、突っ込んでいくんでサポートよろしくたのんまっす♪

  • [2]エセル・クレッセン

    2016/09/16-22:12 

    私はエセル・クレッセン。パートナーはプレストガンナーのラウル・ユーイスト。
    どうぞ、よろしく。

    うん、ユリシアンさんの言う感じでいいんじゃないかな。

    >芋の敵
    他には、蔓で絡まれたりとか?
    動かずにいられたら、普通の芋と区別がつかなくて不意打ちされたりするのかな?

    オーガ?が暴れたり戦ったりしたら畑が荒れそうだから、片付けるのを手伝った方がいいかもな。

    芋の調理法かあ。
    スイートポテトとか好きなんだけど。よく考えたら自分で作ったことは無かったな。
    というか、台所とか貸してもらえるのかな?
    無いならもっと簡単にできる方法がいいかも。


  • ユリシアン:
    プレストガンナーのユリシアンです、神人はマーベリィ。
    お二組とはアドでは初めまして、よろしくおねがいします。

    さて、芋の敵らしいけど…、
    動き出し注意か、根や芋を飛ばしてきたりしてくるのだろうか?
    戦闘の他は、畑とご老人のフォローと
    美味しく芋を食する方法、
    この辺抑えておけばいいだろうか?と考えているよ。


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