プロローグ
今日、あなたは、紅月ノ神社の納涼花火大会に精霊と一緒に来ています。
花火が上がるまでにずいぶん時間があるので、あなたと精霊は一緒に屋台巡りを始めました。
お好み焼きやたこ焼き、ラーメンの屋台から、射的や金魚すくい、そのほか聞いた事もないような不思議な屋台まで、何でも取りそろえられています。
楽しくなってきたあなたは、精霊と一緒に会場の隅々まで見て回りたくなりました。何、まだ花火までは一時間半ぐらいあります。
「大輪の園に行っていい場所を取った方がよくないか?」
精霊は時間と場所を気にしています。
「まだ大丈夫だよ。あ、あの屋台、なんだろう?」
そのとき、あなたは、会場の隅っこの方に小さな屋台を見つけて指差しました。
「うん? ……なんだろうな。屋台、なのかな?」
それは確かに幅の狭い小さい屋台の形をしているのですが、看板ものぼりも出ていません。
ユーズドハットを目深に被って顔のよく見えない浴衣姿の青年が、ぽつんと立っています。
屋台の台の上には梅酒をつける瓶のようなものが置いてあって、そこに何か入っているようでした。
あやしげな雰囲気があるせいか、誰も近づいていません。
「ねえ、何かなあ? ちょっと見に行こうよ」
あなたは精霊を誘いました。精霊は気が進まない様子でしたが、あなたについて、一緒にその屋台を見に行きました。
「こんにちは。お嬢さん、くじ引き飴はどうだい?」
青年は微笑みながらあなたに話しかけてきました。
近寄ると、梅酒をつけるような大きなガラス瓶の中には、びっしりと色とりどりの飴が入っているのです。
「くじ引き飴ってなんですか?」
あなたは青年に尋ねました。
「とても不思議な飴だよ。舐めると誰でもびっくり仰天するような効果が出るんだ。それに、効果は一つずつ全然違うし、予測がつかない。飴を舐めてからのお楽しみだよ」
「へえ~、そんな飴があるんですね」
「どんな効果が出るか分からないから、くじ引きなんだ」
あなたと精霊は青年の説明にそう言って頷きました。
「一つ300Jrだ。お嬢さん、どうかね?」
「えっ、……そうですねえ!」
あなたは不思議な飴を試してみたくなりました。
「おい、ちょっと待てよ。すみません、その飴ってどんな効果が出るんですか?」
精霊があなたを止めて青年に質問しました。
「それは全部、舐めてみてからのお楽しみですねえ。何、危険なものじゃないですよ。凄くびっくりするとは思いますが」
「……」
「私、やってみたい!」
凄くびっくりすると聞いて、あなたはすっかり興味を惹かれています。
「おい、よせよ」
精霊は危ないと思っているのかあなたを止めます。
「いいじゃない、危険なものじゃないって言ってるし」
「効果は一時間で切れますよ」
「ほら、一時間だけだって。えーと、300Jrですよね。私、一つ、試します!」
あなたは青年にお金を払って、ガラス瓶の中に手を突っ込みました。
たくさんある飴をじゃらじゃらかきまわして、一つだけ取り出します。
「やめろって……」
精霊はまだあなたを心配しています。
「大丈夫、大丈夫。はーい、いただきます!」
あなたはぽいっと飴を口の中に放り込みました。
ぼふんっ
途端に、舞い上がる煙。
絶句する精霊。
微笑む青年。
--なんとあなたは、8歳のロリータになってしまったのです!
解説
男性のみに書き下ろしたものの女性のみバージョンです。
屋台で買った得体の知れない飴を舐めたらとんでもないことになってしまった。そういうエピソードです。
キャンディの効果は以下です。
・性転換
・ロリ・ショタ化(お好きな年齢でどうぞ)
・獣耳と獣尻尾が生えてくる(お好きな動物でどうぞ)
・ニャーニャーと猫語でしか話せなくなる
・羽根が生える
・何故か相方と中身が入れ替わり
※くじ引き飴を試せるのは神人か精霊かのいずれか片方です。
※碑文の影響で、どちらも本音を吐露しやすい状況です。変身した方は感情を露わにし、相方も思った事をそのまま言ってしまうかもしれません。
※効果は一時間で消えます。
※効果は上記のうちどれか一つになります。
※お代は300Jrです。
ゲームマスターより
ウィンクルムの皆さんは、相方がどんな姿でも愛せる事でしょう。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
かのん(天藍)
じゃんけんでどちらが食べるか決めるのですか? 変な効果が出たらどうしようと思いつつ、興味があるのも確か わかりました、勝っても負けても恨みっこなしですね 負けたので飴を引く 意を決して食べる(ロリ化幼稚園児位) 視界が変わる、隣の天藍見上げ首傾げ 天藍が大きくなりました? 小さくなったせいか若干舌足らずな喋り 軽くしゃがんだ天藍に片腕で抱え上げられしがみつく この方が俺と同じ位の目の高さで周りを見えるだろう?の言葉に、辺り見渡しなんとなく優越感 天藍の呟きに思わず反応 それは嫌です 天藍の子供にじゃなくて、天藍の奥さんになりたいです 思ったより声が大きかったらしく周囲から向けられた視線に恥ずかしくなり天藍の体で顔を隠す |
夢路 希望(スノー・ラビット)
またまた不思議な出し物が どんな効果か出るのか不安もあるけど試してみたくてうずうず チラリと彼を窺い、購入 「いただきます」 味は普通です…一体どんな効果が…あれ? 視線の高さに違和感 気付けば彼の腰くらいまで縮み、小さくなったと知って試したことを少し後悔 「み、見ないで、ください…」 男の子にからかわれていた過去を思い出して不安に おずおず反応を窺う 「…わらわない、の?…だって、みんな…」 言葉は嬉しいけど恥ずかしくなり、背中へ隠れようと …ひゃっ! え?え?あの、それは…えっと… 落ちないよう腕を回しながらもじもじ迷った末、甘えることに さっきは言えなかったけど… 今なら、とこっそりふわふわの耳へ唇寄せて 「ありがとう」 |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
効果:ロリ化 くじ引き飴を試しました。 どうなるのか、つい、気になってしまって。 ぽふん、と煙に包まれたら。 フェルンさんの背がすっごく高くなっちゃったんです。 じゃなくて、私が、ちっちゃくなっちゃったみたい。 「ふえ。よーちえんぐらい?」 首をかしげます。 甘い香りがふわりとしたので 「おいしそう!」 我慢できなくて、その方向へ駆けだす。近くの屋台へ。 クレープ屋さん。 「いいなぁ」 見てたら、フェルンさんが買ってくれました。 とっても嬉しい。「ありがとう」 ばななのクレープ、とってもおいしいです。しあわせ。 フェルンさんが手を握ってくれます。 「まいごになんかならないですよぅ」ぷぅ。 でも手を繋いでもらって、ご機嫌。笑顔。 |
アオイ・リクア(キミヒデ・カーマ)
くじ引き飴に興味津々だった為、何の疑いもなく、真っ先に購入し、舐める。 ……3歳の子供になりながら。 なぜか、声をあげたり、動き回った後、隣にいるカーマを見上げた。 怖がるどころか、大きなアトラクションのように見えて遊びたい心境。 そのせいか、カーマの足を木だと思って登ったり、 後ろから腰に飛び付いてぶら下がろうとした。 カーマの背中にまで飛び付くが、 木登りの如くよじ登っては、ズルズルと落ちていく。 落ちても、何が面白いのか笑う。 見かねたカーマに肩車をされ、さらに上機嫌。 あまりの嬉しさにカーマの頭をポコポコ叩いたり、目隠しして楽しむ。 しかし、時間が経つと元に戻ると、崩れ落ちてしまい不満。 カーマに注意される。 |
ミサ・フルール(エリオス・シュトルツ)
・・・私、今までエリオスさんとどんな風にお話してたっけ? 少し気まずげにちらりと見やれば、彼は普段と変わらない様子で私が人混みにさらわれないように先導してくれている。 『ごっこ遊び』じゃない、本当の家族のようになりたいって決めたのは私なんだもの。 弱気になっちゃダメだよね、うん! いつもは私から話しかけるのに今日は話題が途切れてしまって困っていると彼から話しかけてきてくれた。 わぁ、エリオスさん、ありがとう。 いただきます!と飴をぱくり。 お父さん、お母さん、どこ?(泣きべそ っ・・・あなた、だぁれ? お父さんたちのことしってるの? お友だち・・・!(目きらきら お友だちならお父さんたちのこと好き? 私もだーいすき! |
●ミサ・フルール(エリオス・シュトルツ)編
今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。ミサ・フルールと精霊のエリオス・シュトルツは一緒に境内を訪れています。二人は屋台巡りをしていますが、なかなか打ち解けて話す事が出来ません。
(……私、今までエリオスさんとどんな風にお話してたっけ?)
少し気まずげにちらりと見やれば、エリオスは普段と変わらない様子で、ミサが人混みに攫われないように先導してくれています。
(『ごっこ遊び』じゃない、本当の家族のようになりたいって決めたのは私なんだもの。
弱気になっちゃダメだよね、うん!)
ミサは気を取り直そうとしました。
(本当の家族とは何だ? 家族の温かさなど知らずに育った俺には理解できない。……あの娘と過ごせばいずれ分かるのだろうか?)
エリオスはそんなことを考えていました。
いつもはミサの方から話しかけるのですが、今日は話題が途切れています。
エリオスは何か話題になるものはないかと、周囲を見渡し、目に止まったのはくじ引き飴の屋台でした。
「ミサ、お前は菓子が好きだろう? 特別に買ってやろう」
エリオスは珍しいものだと思って何気なくくじ引き飴を買い、ミサに渡しました。
「わぁ、エリオスさん、ありがとう。いただきます!」
ミサは大喜びで飴をぱくりと食べました。
途端にぼふんっと煙が沸き起こります。
煙の中から出てきたミサは幼女になっていました。
「お父さん、お母さん、どこ?」
幼女のミサはたちまち顔をくしゃくしゃにして泣きべそをかき始めました。
エリオスは突然五歳児になったミサを見て唖然とします。
ミサは、お父さん、お母さん、と泣いています。
(……まさか、精神まで幼くなっているのか?)
エリオスは突然の事に、幼女ミサと距離を取って観察します。しかし、泣きじゃくっている幼女ミサの様子を見るとそうとしか思えません。
(飴を勧めたのは俺だ。仕方ない、彼女に付き合おう)
エリオスは意を決して幼女ミサに近づいて行きました。
「ほら、もう泣き止め。お前の両親を探してやるから」
嗚咽を上げていた幼女ミサは、エリオスの方を見上げました。
「っ・……あなた、だぁれ? お父さんたちのことしってるの?」
精神が幼くなっているミサは、エリオスの記憶がありません。知らない人だと思い、そんな質問をしています。
「ああ、知ってるさ……よく知っているとも。お前の両親とは……友達だからな」
エリオスは苦く笑いながら幼女ミサにそう答えました。
「お友達……!」
幼女ミサは目をキラキラと輝かせて泣き止み、エリオスに笑顔を向けました。
「お友達なら、お父さん達のこと好き?」
幼女ミサは、何の悪意も計算もなくそう聞いたのでした。
まばゆいばかりの天真爛漫な幼い笑顔を見つめ、エリオスはかすかに震える声で答えます。
「好きだったよ……だからこそ、俺は……」
その先に何を言おうとしたのか。エリオスはそこから先は、口をつぐみます。幼いミサは、それに気づいたのか、気づかないのか、大きな声で言いました。
「私もだーいすき!」
大好きなお父さん。大好きなお母さん。曇りのない心でミサはそう言うのでした。
そうして一時間が過ぎて、ミサは元に戻る事が出来ました。
「元に戻ったようだな。何も覚えていないのか。何があったと思う? 秘密だよ」
ミサは幼女に変身していた時の記憶を全て失っていました。自分は飴を食べて、一体どうなっていたのだろう? エリオスに何度か問いただして見ますが、彼は何も教えてくれませんでした。
(家族ごっこじゃなくて、本当の家族のようになりたい……。そのためには、どうすればいいのかしら……)
ミサはエリオスの悲しげな雰囲気の中から、彼もどこかで同じ気持ちでいるのだと、感じ取っているのでした。
●かのん(天藍)編
今日、かのんと精霊の天藍は、紅月ノ神社の納涼花火大会にやってきました。二人は屋台巡りをしていて、くじ引き飴を見つけました。
「へぇ、流石に紅月ノ神社のお祭りだな。こんな物もあるのか。せっかくだから俺かかのんのどちらかが食べて、どうなるか試してみるか?」
天藍がかのんを振り返ってそう訊ねました。
かのんも興味がありそうです。
天藍はじゃんけんでどちらが食べるか決めようと持ちかけました。
「じゃんけんでどちらが食べるか決めるのですか? わかりました、勝っても負けても恨みっこなしですね」
かのんも変な効果が出たらどうしようと思いつつ、興味があるのは確かなのでした。
それで天藍とじゃんけんをしましたが、かのんが負けてしまいました。
かのんは飴を引き、意を決して食べました。
天藍は手にした飴をまじまじと見つめてから口に入れるかのんの様子を見守ります。
ぼふんっと煙が立ち上がりました。
煙がおさまると、中から出てきたのは、幼稚園児ぐらいのかのんでした。
かのんは視界が大きく変わったのでキョトンとしています。
隣の天藍を見上げて、首を傾げます。
「天藍が大きくなりました?」
小さくなったせいか、かのんはちょっと舌足らずなしゃべり方をしています。
「……これはまた、可愛くなったな」
天藍は幼女かのんの頭を撫でつつ、素直な感想を言いました。
効果は一時間ほど続きますので、その姿で屋台巡りをすることにします。
かのんは幼女になってしまいましたが、どういう原理か来ていた浴衣などまで一緒に縮んでいました。美しい朝焼けと胡蝶の舞姫装束は子供サイズになるととても愛らしく、履いている下駄も子供の大きさ。うちわは流石に縮まなかったので、小さな手の中に握られて、上半身を隠しそうなバランスです。頭には天藍とおそろいの【手拭】和紅葉を被っていますが、子供が一生懸命大人ぶっているようでとても可愛らしいのです。
天藍の方もせっかくの夏祭なので浴衣を着ています。狐神御服「黒衣大和」で、黒一色の非常に雅で美しい浴衣なのでした。足下はかのんと同じ下駄イチョウの葉なのですが、今はかのんの方はすっかり子供サイズになっています。子供の小さな足。
天藍は迷子になっても困るからと、幼女かのんと手を繋ぎました。
ですが、結構な身長差があります。
手を上げた状態の幼女かのんも、大変でしょう。
それで、天藍は軽くかがみ、片腕で幼女かのんを抱え上げました。幼女かのんは素直に天藍にしがみつきました。
「この方が俺と同じ位の目の高さで周りを見えるだろう?」
天藍にそう言われ、幼女かのんは辺りを見回します。
なんとなく、優越感です。
そうしてしばらく歩き回り、幼女かのんは少し不安になってきました。
「もし元に戻らなかったらどうしましょう……」
幼い子供の体感時間は大人と違います。一時間はとても長いのです。
「そうだな、その時は俺が父親代わりになろうか」
天藍は気軽にそう言いました。幼女かのんの可愛さを見れば、父親になってもいいかと思えたのです。
天藍の呟きに幼女かのんは反応します。
「それは嫌です。天藍の子供にじゃなくて、天藍の奥さんになりたいです」
思ったよりもその声は大きくて、屋台巡りをしていた周囲の人間達が天藍の肩にいる幼女かのんを振り返りました。その視線に恥ずかしくなって、幼女かのんは天藍の体で顔を隠します。
かのんの反応に、天藍は思わず笑いました。
「俺もその方がいい」
やっぱり、かのんは自分の奥さんになるのが一番だと思うのです。もうすぐ二人は結婚して、新しい家族になるのです。
●夢路 希望(スノー・ラビット)編
今日、夢路希望と精霊のスノー・ラビットは紅月ノ神社の納涼花火大会に来ています。二人は屋台巡りをしていて、くじ引き飴を見つけました。
(またまた不思議な出し物が……どんな効果か出るのか不安もあるけど試してみたい……)
希望はうずうずしますが、気が引けてしまってスノーの方をうかがいます。
スノーは本当に危険なものではないのかと、お兄さんにもう一度確認しました。屋台のお兄さんは、危険はないと請け合います。
「それなら……」
スノーはこちらをじっとうかがう希望の可愛さに、ついつい許してしまうのでした。
希望は嬉しそうに購入します。
「いただきます」
希望は飴をぱくりと食べました。味は普通です。どんな効果があるのでしょう。
「……あれ?」
希望は、視線の高さに違和感を覚えました。
気がつけば、スノーの腰の高さぐらいまで、背丈が縮んでいます。
小さくなったと知って、希望は、飴を試した事を少し後悔しました。
「み、見ないで、ください……」
一方、スノーは七歳くらいに幼くなった希望の姿に驚きました。同時に見とれてしまいます。
(ノゾミさんの子供の頃ってこんな感じだったんだ)
ですが、幼女希望は目に涙をいっぱいためています。スノーはその事に目をぱちくりと瞬かせます。
「どうして?」
幼女の姿になった希望は、幼い頃に、男の子にからかわれた過去を思い出して不安になってしまったのです。
そのため、幼女希望はおずおずとスノーの反応をうかがいました。
「……わらわない、の? ……だって、みんな……」
男の子たちにからかわれた心の傷が蒸し返されてしまったのです。
(何か嫌な思い出があるのかな)
スノーは危惧を感じましたが、表面はにっこりと笑って言いました。
「お人形さんみたいで可愛いよ」
彼は優しく幼い希望の頭を撫でます。
本当に優しく、真摯に、目を合わせて心を伝えるのです。とても精神的に癒やされる会話術でした。
幼女希望は、スノーの言葉は嬉しいのですが、恥ずかしくなってしまって、彼の背中に隠れようとします。
「……ひゃっ!」
スノーは彼女の反応に悪戯心が芽生えました。後ろを振り返ると、軽々と幼女希望を抱き上げてしまいます。
(効果は一時間だったっけ)
そんなことを思い出します。
「お祭りはこれからだし、このままデートしようか」
笑顔でそう誘いました。
(……悲しい思い出は楽しい思い出で塗り替えてあげる)
強くそう願うのです。
「え? え? あの、それは……えっと……」
幼女希望は落ちないようにスノーの頭に腕を回しながら、もじもじと迷い、その末に甘えることにしました。
スノーは早速、どの屋台を見ようか幼女希望に話しかけ、辺りを見回しながら歩き始めました。幼女希望は恥ずかしさに耐えながら、スノーの頭にしがみついています。もじもじしながら、赤くなりながら、
(今なら……)
そう、こっそりと彼のふわふわの兎耳へ唇を寄せていきます。
「ありがとう」
その囁きは彼の長いウサギの耳へのキスにも似ていました。
スノーは彼女からの思わぬ攻撃に赤面してしまいます。
「……戻ったら、覚悟してね?」
大人しくて控えめな希望ですが、いざという時はびっくりするほど大胆な行動を取る事があります。それが、スノーの内に秘めた寂しがり屋の性質を刺激したり、慰めたりするのでした。スノーは希望への独占欲が激しく高まる事が止められません。幼い希望は彼にしがみついておどおどしていますが、彼の愛情を嬉しく思っています。大人の姿に戻った時、スノーと希望は、一体どんなふうに、ウィンクルムの絆を深めていくのでしょうか。
●アオイ・リクア(キミヒデ・カーマ)編
今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。アオイ・リクアとキミヒデ・カーマは一緒に神社を訪れました。屋台巡りをしていると、二人は会場の隅でくじ引き飴を見つけました。
カーマはあらかじめ屋台の青年に飴の事を尋ね、元に戻る方法はあるのか聞いておきました。それに基づき、いつ頃効力が切れるのか大体目処をつける事が出来ました。
一方、アオイはくじ引き飴に興味津々です。何の疑いもなく、真っ先に購入して、口の中に放り込んでしまいました。
ぼふんっ
煙が巻き起こったかと思うと、たちまちアオイは三歳の幼女になってしまいました。
「ぴゃーーーー!!!」
そして幼女らしい大声を上げて辺りを走り回り、くるっと回って隣にいるカーマを見上げました。
心の準備をしていたカーマですが、このアオイには絶句です。
それでも気を取り直すと、アオイの背格好に合わせてその場に屈み、彼女の名前を呼びました。
「アオイ?」
ちゃんと自分の事を覚えているのか、不安だったのです。
アオイは元気よく返事をします。
小さくなってしまって、周囲の事を恐がるどころか、大きなアトラクションのように思えて、遊びたい心境なのです。
「ゴンちゃん! ゴンちゃん!」
そのせいか、カーマの足を木にしてよじ登り始めました。
「えいっ!」
後ろから腰に飛びついてぶら下がろうとします。
「よいしょっ!!」
カーマの背中にまで飛びついていき、木登りのごとくよじ登って、そのままズルズル落ちていきます。
「きゃはははははっ」
落ちても、何が面白いのか、元気な声で笑っています。
「ああ……三歳のアオイだ……きっとそのまんまなんだろう……」
カーマは、幼女化してもなお、てくてく近づいてきて、懐いてくるアオイが気になり、結局肩車することにしました。
「アオイ、これなら楽しいだろ?」
肩に乗せて、露店の周囲を歩きます。
こんなとき、花火大会が開始されていれば、自分よりも高い位置で見させてあげられるのに。
「わーい! たかーい!」
幼女アオイの方はカーマに肩車をされ、ますます上機嫌です。
あまりの嬉しさにカーマの頭をポコポコ叩いたり、後ろから目隠しをしてみたり。
実に幼女を満喫してます。文句なく楽しそうです。
カーマは露店めぐりをしながらも、幼女アオイに気分は良いかどうか訊ねます。
「アオイ、気分が悪くなったら言ってね。飴の効果で副作用があるかもしれないから」
「平気ー!」
「ふうん。それじゃ、これはどう?」
その場で自身をくるっと回転させて、幼女アオイを楽しませ、良い眺めかどうか話しかけます。
自分が幼少の頃、父に肩車をしてもらった頃を思い出しながら。
「きゃはははっ、おもしろーい! もう一回!」
仕方ないので、カーマは歩きながら何度か回転して、幼女アオイを楽しませてあげました。
しかし、時間が経つと、幼女アオイは二十五歳の姿に戻ってしまい、なし崩しに二人は地面に崩れ落ちました。
アオイは全く不満です。
「もっと遊びたかったのに!」
そんなアオイにカーマは注意をしました。
「今度は安易に手を出す前に自分に相談して」
全く、本当に、アオイは突然思いも寄らない行動を取る事があります。それはそれで刺激になって楽しいのですが、時折本当にびっくりしてしまうのでした。
アオイの方は、全くめげていないようで、既に他の珍しい露店に心が惹かれているようです。
新しいものや珍しいものには速攻、飛び込んで行き、飽きるのも早い。めまぐるしく変わる感情や思考はとらえどころがなく、さっぱりとしていて明るい……。アオイのそんな魅力は若い女性らしくて素晴らしいと思います。その反面、放っておけない危なっかしさも感じるカーマなのでした。
●瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)編
今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。瀬谷瑞希と精霊のフェルン・ミュラーは、屋台巡りをしていて、くじ引き飴に気がつきました。
瑞希は知的好奇心に駆られて、くじ引き飴を試す事にしました。
どうなるのか、つい、気になってしまったのです。
ぼふんっと煙に包まれると--フェルンの背丈が凄く高くなってしまいました。
「じゃなくて……私が小さくなってしまったみたい……」
瑞希はさすがに少し驚いているようです。
もちろん、フェルンも驚いています。
飴を食べた瑞希が突然小さくなってしまったのですから。
(幼稚園児ぐらいだろうか……五歳くらい?)
そう思いながらも、気を取り直して、しゃがんで彼女の目線に合わせて話します。
「ミズキ、ずいぶん小さくなっちゃったね」
「ふえ。よーちえんぐらい?」
幼女瑞希はコテンと首を傾げます。
驚く声がまた可愛いのです。
(小さい頃の彼女はこんな感じだったんだね。服も一緒に小さくなって良かった)
服の件に関してはフェルンは本当に安心していて、笑っています。何もかも小さいサイズになった瑞希ですから、そのまま服が縮まなかったら大変な事になっていました。
瑞希が着ているものは夏祭の浴衣や下駄です。うちわや金魚すくいの袋は縮む事はありませんでした。小さな掌の中になんとかおさまっています。その他、おばけのヘアピンやアクセサリーも縮む事はなくて、瑞希の体にまとわりついています。
フェルンも浴衣に下駄姿で、今日の夏祭を楽しんでいました。
フェルンは小さくなった幼女瑞希を見つめ、幼女瑞希はキョトンとした顔で大人の姿のフェルンの事を見ています。
そのとき、甘い香りがふわりと漂いました。
「おいしそう!」
幼女瑞希は、突然、その方向に駆け出します。
駆けていった先は、近くの屋台のクレープ屋さんでした。
「いいなあ」
ずらりと陳列されているおいしそうなクレープに幼女瑞希はため息をついています。
イチゴ、チョコクリーム、メイプルバター、抹茶生クリーム、etc……。
何しろ瑞希は、十七歳の時だって甘いものが大好きです。その彼女が五歳ぐらいの女の子になってしまったのですから、大好物を前に気持ちが素直に出てしまうのです。
フェルンは普段の理知的な瑞希が、幼女になると、子供っぽくお菓子の方へ走り出すのに驚きましたが、可愛らしいと目を細めました。
(近くのクレープ屋さんからの甘い香りに誘われたんだね。我慢が効かなくなっているのかも。クレープ屋さんを見上げる姿が可愛いよ)
フェルンは幼女瑞希を追いかけてくると、隣にまた屈みました。
「どれがいい? クレープ買ってあげるね」
見上げていたらフェルンがクレープを買ってくれたので、幼女瑞希はとても嬉しくなりました。
「ありがとう」
買ってもらったのはバナナのクレープです。
とてもおいしくて、幼女瑞希は幸せな気持ちです。
フェルンは幼女瑞希がまた駆け出さないように、しっかり手を握って歩き出しました。
「一人で駆け出すと迷子になるよ」
手を繋いで一緒に屋台巡りです。
「まいごになんかならないですよぅ」
幼女瑞希はぷうっとふくれてしまいました。
そんな仕草がまったく、五歳の小さい女の子なのです。
ふくれたけれど、瑞希はフェルンと手を繋いでもらってご機嫌です。可愛らしい素敵な笑顔でフェルンの事を見上げているのでした。
十七歳の時の瑞希はとても理知的で分析的でクールです。
オーガとの戦闘におけるときなど、フェルンもびっくりするほどナチュラルに冷徹な時があります。
そんな瑞希にも、やっぱり、幼い女の子だった時代はあるわけで。
--それは、こんなふうに、お菓子に向かって駆け出したり、迷子にならないように手を繋いだりと、可愛らしく他愛ない時代だったのかもしれません。
フェルンはそんな瑞希の事を知る事が出来て、とても満足な気持ちです。相方の側面を知る事が出来るのは、いつだって刺激的で幸せな事なのかもしれません。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:ミサ・フルール 呼び名:お前、ミサ |
名前:エリオス・シュトルツ 呼び名:エリオスさん |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 森静流 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 09月07日 |
出発日 | 09月13日 00:00 |
予定納品日 | 09月23日 |
参加者
会議室
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2016/09/12-23:24
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはファータのフェルンさんです。
皆さま、よろしくお願いいたします。
プラン提出できています。
楽しい時間をすごせますように。 -
2016/09/12-22:00
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2016/09/12-21:47
神人アオイと、精霊のごっ、じゃなくて、カーマでーす。
くじ引きの飴はー、アオイが舐める予定でーす。
プランは出してますよー。
ずっと続くのじゃなくてよかったけどー、何もなく無事に過ごせますよーにっ!
アオイでしたー。
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2016/09/12-18:41
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2016/09/11-17:18
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2016/09/11-06:03
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2016/09/11-06:03