【祭祀】思い出の夏(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 あなたは今日、相方のウィンクルムと花火を見に大輪の園へ来ています。
 ヴァルハラ・ヒエラティックの碑文の続きを読むためには、ウィンクルムの愛を深める必要があるため、積極的にデートを繰り返しているのでした。
 夕方に着いた大輪の園は、ヒマワリやオミナエシは勿論、ホウセンカ、朝顔、エンジュ、芙蓉、クジャクソウ、タマスダレなど、様々な夏の花が咲き乱れる本当に美しい公園でした。
 あなたと相方は、公園の区画をあちこち見て回ります。
「昼間から来ればよかったな」
 夕方に来て、全部の花が見切られそうもないのが何とも惜しい美しさでした。そろそろ花火を見る場所を決めないと。
「あ、あれ」
 そのとき、相方が、花壇と花壇の間にぽつんと立っている屋台を指差しました。納涼花火大会の屋台の区画とは別なのですが、大輪の園にも屋台がいくつか出ているのです。
 その屋台には「思い出ラムネ」と和風のくせ字で看板が出ているだけで、おじいさんが一人、ラムネをお客に売りさばいているようでした。
「思い出ラムネってなんだろう?」
「昔ながらのラムネって事かな。夜でも暑いし、喉が渇くよね。買っていこう」
 そういう訳で、あなたと相方は屋台に近づいて行きました。
 おじいさんは普通のラムネの瓶を積み上げています。しかし、ラムネの色は薄紫が少し入ったピンク色で変わっていました。
「すみません、思い出ラムネってなんですか」
 それで、相方がおじいさんにそう話しかけました。
「思い出ラムネは……。一番、心の奥にある夏の一日の思い出を……目の前に呼び起こすラムネじゃよ」
 おじいさんはしゃがれた声でゆっくりとそう言いました。
「一番、心の奥にある……?」
 あなたは思わずそう聞き返しました。
「そうじゃ、初めての夏休みの記憶……。大切な人といた夏の一日の記憶……。悲しい夏の一日の記憶……嬉しい夏の一日の記憶……その中でも、一番心の奥深くにあるもの……それを今起こっている事のように……目の前に幻として呼び起こす……それが思い出ラムネじゃ」
「目の前に、幻として……」
 相方はなかなか興味が惹かれたようです。
 花火大会に来た二人ですが、夏の記憶を見る事が出来ると聞いて、あなたは首を傾げました。
 あなたにとって一番、心の奥にある”夏”とはなんでしょうか?
 それをもう一度、幻覚とはいえ、味わってみたいと思うでしょうか?
 相方は乗り気ですが、あなたはどう思うでしょう--。

解説

【解説】
花火大会の前に来た大輪の園。そこで心の奥深くにある”夏の一日”をラムネで再現する事が出来ます。相方との記憶でもいいし、悲しいトラウマを呼び覚まされてもいいし、一番の喜びを思い出すかもしれません。花火大会までの待ち時間に飲んでもいいし、花火の最中に飲んでも、帰りに飲んでもOKです。
相方と思い出話をするか、それとも自分一人の心の秘密にしておくか、様々なプランが立てられると思います。
※碑文の影響で、ウィンクルムたちは喜びも不満も愛情も、いつもより吐露しやすい状態になっています。いつもよりも本音で勝負になると思われます。
※思い出ラムネは一人300Jr、二人で600Jrになります。
※ウィンクルムのどちらか片方だけ飲んでも、二人で飲んでも構いません。

ゲームマスターより

花火を見ながら忘れられない夏を語るウィンクルムもいいと思います。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)

  俺がラムネを飲んだらきっと…あの時の事が再現されるだろうな
それは少し、かなり恥ずかしいから飲まないでおこう

フィンにとっての夏の記憶…凄く気になる
花火大会までの待ち時間に飲むというフィンを固唾を飲んで見守る

俺の姿が再現され…驚いて声が出ない
俺だって忘れた事ない
フィンに好きだと言った時の事…

膨れ上がった気持ちをもう黙っている事は出来なくて…でも、言ってしまってどうなるのか怖くて、余裕なんて無かったけど
受け入れて貰えて、好きだよと言って貰えて…どんなに嬉しかったか

俺にとっても…忘れられない思い出
俺が飲んでもきっとこの時の事が再現された
フィンの心の奥にある夏の思い出の一番が…これで本当に嬉しい

好きだよ


胡白眼(ジェフリー・ブラックモア)
  故郷の風景を見られるかもとラムネを購入
悲しい記憶も呼び覚ます
その文句に躊躇する間に、彼に瓶を奪われた

ご家族との夏の思い出を見ているのだろう
ぼんやりとした笑顔で虚空を見つめる彼
怖くなり、耳元で一度思い切り手を叩いて、呼び戻す

すみません、蚊がいたので
そう謝るつもりが本音が出る
「行かないでください」
彼がどこか遠くに行ってしまいそうで、怖かった

ぽつりと問う彼を抱きしめ、懇願する
「ここに居てください。俺のとなりに」
溢れだすエゴと涙を止められない
「あんたを独りぼっちになんか、させない
寂しいのがどんなに痛くて苦しいか、俺もよく知ってるから」
「だから…。頼むから、俺をひとりにしないでくれ」

※コーデ描写NG


ユズリノ(シャーマイン)
  「僕はやめておく ちょっと怖い…
何が出て来るか博打みたいなもの ハラハラと見守る
ベンチで彼がゴクゴク

「どう?
何か見ている視線だけど
「そっか 飲んだ人だけだよね(しょぼん
密着どきり「ウィンクルムだから?
目を凝らしてみる※可能なら光景を共有したいです

穏やかな笑みの彼が光景について話してくれるのを聞く
湖のボート遊びに興じる 彼の両親と10歳の彼
両親との最後の旅行で
この数日後2人は旅立ってしまったのだと
「え どういうこと? まさかあの…

悲しい話でなくてほっと
過去を話してくれるの嬉しい
ほっこり聞いてたら視線と意味深発言にどきり

(言ってもいいだろうか
「もっとご両親との事知りたい な

頭撫でられた
「うん
笑み


●胡白眼(ジェフリー・ブラックモア)編

 その日、胡白眼は精霊のジェフリー・ブラックモアと紅月ノ神社の納涼花火大会に訪れました。二人は不思議な屋台で思い出ラムネを購入することにしました。
 白眼は故郷の風景を見られるかもと思ってラムネを買ったのですが、『悲しい記憶も呼び覚ます』という説明が気になって躊躇っています。心の一番底にあるような悲しいこと、なんて少し恐いです。
 見た目は昔ながらのごく普通のラムネなのですが。
「いらないなら、もらうよ」
 するとジェフリーがそう言って、白眼のラムネを横から取ってしまいました。
(会えるなら、幻でも構わない)
 ジェフリーはそういう気持ちでした。
 ラムネを飲み下すと、やがて目の前に幻が浮かび、ジェフリーは楽しかった日々の夢に浸っていきました。
 心の奥底にある、夏の日の思い出。

……夏の海。
「パパにお手紙だすの」
 そう言って笑う幼い娘・エラ。
 手紙の入った瓶を持つ妻・マリア。
 あの日の出来事が甦ります。暑い日射し、潮風の匂い、二人の存在感、そのままがそこにあります。
 二人は、ジェフリーに手紙の内容を教えてくれません。
「ひどいじゃないかぁ。僕だけ仲間外れ?」
 おどけて言うジェフリー。
「女同士の秘密だもん。ねーっ、エラ?」
「ねーっ」
 顔を見合わせて言う妻と娘。
「そんなぁ」
 情けない顔になるジェフリー。
「もし手紙が届かなくても、いつか教えてあげる。その必要もないくらい当たり前な内容だけど」
「ますます気になるよ」
 マリアの言葉にジェフリーは苦笑します。
「つまりね」
 マリアは、突然、ジェフリーの唇に口づけました。
「……こういうこと」
「!」
 妻の素敵な行動。ジェフリーは幸せのあまり心臓が止まりそうになります。
「ふたりとも早くぅ!」
 浜辺でエラが両親に向かい手を振っています。
「はーい! ……ほら。行こうよ、ジェフ!」
 マリアはジェフリーに向かって手を差し出しました。

 ……リアルの世界では、幻に浸るジェフリーの隣に、白眼が座っています。
 屋台から少し離れた道路際に小さい椅子ぐらいの大きさの石がいくつか並んでいて、そこに二人で座ってラムネを飲んでいたのでした。白眼はジェフリーの横顔を見つめています。
(ご家族との夏の思い出を見ているのだろう)
 ジェフリーは妻子をオーガに殺された過去を持っているらしいのです。白眼は何があったのか知らされてはいませんが、大体の事は察していました。
 そのジェフリーの表情は、微かに笑っています。ですがいつもよりも茫洋とした生気のなさで、ぼんやりと虚空を見つめているのでした。目に光がありません。
 しばらくたって、白眼は恐くなってきました。
 白眼はジェフリーの耳元で思い切り両手を打ち合わせ、彼を呼び戻しました。
 ジェフリーはびっくりして両目に光を戻し、白眼を振り返ります。
(すみません、蚊がいたので)
 本当はそう言って謝るつもりだったのです。
 ですが、白眼は全く別の事を言いました。
「行かないでください」
 ジェフリーが自分を置いてどこか遠くへ行ってしまいそうで、恐かったのです。
 ジェフリーは、いつになく真剣な顔の白眼の事を見つめました。確かに何かを恐がっているようにも見えました。
(どこにも行かないよ)
 そう言って笑おうとしたのに、彼もまた別の事を言いました。
「どこに行けっていうの」
 微かで小さな声でした。
 ぽつりと問いかけてくるジェフリーを、思わず白眼は抱き締めていました。ジェフリーは抵抗しませんでした。白眼はジェフリーに懇願しました。
「ここに居てください。俺のとなりに」
 あふれ出すエゴと涙が止められません。
「あんたを独りぼっちになんか、させない。寂しいのがどんなに痛くて苦しいか、俺もよく知ってるから」
 泣きながら強く白眼はジェフリーを抱き締めました。ジェフリーは腕を払う事も出来ません。ぬくもりが、心地よくて。
「だから……。頼むから、俺をひとりにしないでくれ」
 あまりにも正直に気持ちをぶつけてしまったのは、碑文の影響なのでしょうか。
 二人は互いのぬくもりと心臓の音を聞きながら、そのまま、互いの呼吸音に耳を澄ませていました。
 ジェフリーは妻子の事を忘れる事はありません。もう一度会えるのなら、どんなことでもしてしまうでしょう。それが、白眼にはあまりにも切ないのです。
 妻子の事を忘れろなどと乱暴な事を言うつもりはありません。ただ、ウィンクルムで神人である自分の事を、すっかり忘れてしまわないで欲しいのです。
 今、隣に、自分がいるということ。
 ジェフリーの横顔をしっかりと見つめているのは自分だということ。
 それを思い出して欲しかったのでした。
 孤独の辛さは白眼も知っています。だから、二人で、孤独を分かち合い、癒やし合うように生きていきたいと思ったのでした。

●ユズリノ(シャーマイン)編
 
 今日は紅月ノ神社の納涼花火大会です。ユズリノと精霊のシャーマインは、早速やってきました。
 そこの屋台で、シャーマインは面白そうだと思い出ラムネを一本購入しました。
 思い出ラムネとは、心の奥底にある夏の日を再現出来るラムネです。
「僕はやめておく、ちょっと怖い……」
 ユズリノは何が出てくるか博打のようだと思いながら、シャーマインの事をはらはらと見守っています。
 シャーマインは緑色のセミロングの髪の毛を後ろに括った、金色の目のバッファローテイルスで大変な美形です。肉食系というのか、ユズリノに比べて男らしく行動力があり、好奇心も強いのです。
 一方、シャーマインはベンチに座ってゴクゴクとラムネを飲み干してしまいました。
「どう?」
 ユズリノは訊ねました。甘めフェイスの彼が見上げるような目つきになると本当に子犬のように愛くるしいです。
 シャーマインは何かを見つめる視線になっていますが、ユズリノにはそれが分かりません。ただ、彼の垂れ耳にズラリと並んだピアスを眺め、ため息をつきました。
「そっか、飲んだ人だけだよね」
 ユズリノはしょんぼりしてしまいました。くるくるとよく変わる表情は彼の特徴でもあります。
「ふふ、見るとしたらこれだろうと思ってた」
 そこでシャーマインがそう言いました。
 それからユズリノをベンチの上で密着するように抱き寄せてきます。
「こうしたら見えないか? あんたなら見えそうだがな」
 体が密着してユズリノはドキリとします。モテるシャーマインには遊び人のようなところがあるのですが、ユズリノは彼に触れられるのは嫌いではないのです。むしろ好きなのです。
「ウィンクルムだから?」
 ドキドキしながら訊ねると、シャーマインは甘い笑顔でユズリノを見つめながら頷いてきました。
 それで、目を凝らすと、ぼんやりと、ユズリノにもシャーマインの思い出の光景が見えてきました。
 シャーマインにはくっきりと見えているようですが、ユズリノには見えるか見えないかの気配です。でも分かります。……それはボートの家族旅行でした。
 シャーマインは穏やかに笑っていました。ユズリノに見えている光景について説明をします。
 美しい湖でボート遊びに興じている十歳の彼と両親。
 それは、両親との最後の旅行でした。
 この数日後に、二人は旅立って行ったのです。
「え、どういうこと? まさか、あの……」
 ユズリノは不安そうに顔を歪めます。それを見てシャーマインは笑います。
「アハハ、健在だよ。今もどこかでウィンクルムの戦士として生きてる。親は俺を愛してくれた。尊敬もしてる。戦士の道を選んだ事も恨んじゃいないさ」
 シャーマインは快活でした。
「こうして見る事で、また自覚出来る。二人の視線が何度も交わされている。ほんと愛し合っていたんだな」
 ユズリノは悲しい話ではなくてほっとしました。
 シャーマインは愛し合う両親に大切に育てられた少年だったのです。その両親の愛の姿と、自分を旅行に連れて行ってくれた思い出が彼の胸の奥にずっと埋まっていたのです。それはとても素敵な事に思えました。彼の基盤にあるのはウィンクルムの愛である、というようで。
 それに、過去を話してくれるのも嬉しく思います。
 自分もパートナーを得て、シャーマインの話に共感めいたものを感じるのです。シャーマインの両親のウィンクルムとしての愛。そしてシャーマインとウィンクルムである自分。その愛が、どれぐらい美しくて大事なものであるか……。
「今ならその深さが分かるような気がする……かな」
 そのときシャーマインが意味深な視線でユズリノを見ながらそう言いました。ユズリノは心臓が高鳴るのを感じます。
(言ってもいいだろうか……)
 そう悩みながらユズリノは口を開きました。
「もっとご両親との事が知りたい……な」
「あんまり人に話した事がない。……だがリノには聞いて欲しくはあるな」
 シャーマインはそう答えて、碑文の影響が出ている自分に気がつきました。日頃なら誰にも話した事のないような事を、ユズリノには話してしまいました。それに、もっと聞いて欲しいと思っているのです。
(まあいい……)
 苦笑いをしながらユズリノの頭を撫でます。碑文の影響だったとしても関係ないと思います。自分たちはウィンクルム。いずれ、家族の記憶なども共有するようになるでしょう。
 一方、ユズリノはタブロスに来る際に、家族との縁を切っていますが、そのことをシャーマインに話す時は来るのでしょうか。ユズリノの家族への思いを、シャーマインは知っているのでしょうか。シャーマインは家族の事をユズリノに話せば、「リノは?」と聞きたくなる事でしょう。
「今度、な」
 そう言ってシャーマインが笑うと
「うん」
 素直に頷いて、ユズリノも笑うのでした。
様々な記憶と思いを越えて、ウィンクルムの絆は深くなっていきます。シャーマインの両親のように固く、美しい絆を、彼らも持つようになるかもしれません。それよりももっと深い愛に、目覚める時もやってくるかもしれません……。

●蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)編

 今日、蒼崎海十とフィン・ブラーシュは紅月ノ神社の納涼花火大会に来ています。そこの屋台で、フィンが思い出ラムネを買いました。
 思い出ラムネとは、心の奥底に眠る夏の日の思い出を幻として再現するものです。
(俺がラムネを飲んだらきっと…あの時の事が再現されるだろうな。それは少し、かなり恥ずかしいから飲まないでおこう)
 そういう訳で、海十は自分がラムネを買う事はしませんでした。
(俺にとっての夏の思い出といえば……)
 一方、フィンの方は自分が何を見るのか分かるような気がするので、飲んでみようと思ったのでした。
 彼自身、そのときの事をもう一度見てみたかったのです。
(フィンにとっての夏の記憶……凄く気になる)
 海十は屋台の近くのベンチで、花火大会までの待ち時間に飲むというフィンを、固唾を飲んで見守ります。
 フィンは一息にラムネを飲み干しました。
 思った通りの記憶が目の前に現れます。
(初夏の雨の日……海十が俺に好きだと言ってくれた時)
 海十は目の前に自分の姿が再現されて、驚いて声が出ませんでした。
 雨の中、ずぶ濡れで走っていた海十。
 クリーム色の金蓮花を手にして。
 花に託して、フィンに伝えようとしていた想い。
 そのときは駅前が待ち合わせの場所だったのでした。
 ずぶ濡れの海十をフィンがハンカチで拭いてくれたのだけれど、全然足りなくて。
 そのときの海十の上気した頬、荒い息づかい、伝えようとしていた焦る想い、それらが全てそこに再現されていきます。
 フィンが店の中に連れて行った時の様子--海十の戸惑い。
 やがて風呂上がりの海十がそこに現れます。そのとき、フィンは海十のためにご馳走を作ってくれたのでした。海十の様子がおかしいことで、気を遣ったのでしょう。
(こいつに出会ったおかげで)
 クリーム色の金蓮花を突いて揺らす海十の仕草。
 しばらくは、海十は、フィンと和やかな話をしていたのですが、やがてナイフとフォークを置いて真剣な顔になるのです。
 そのときの真っ直ぐな瞳。伝わってくる緊張感。
(あのさ、フィン)
(もう伝わってるとは思うけど……)


(俺は……フィンが好き、なんだ)
 その『好き』がどんな『好き』なのか、フィンは本当によく理解していました。
 自分も同じ想いだったから。

(俺も。海十の事が……好きだよ)

 そのときのフィンの声も二人の耳には再現されます。届いています。
 くしゃっと変化していく海十の顔。やっと伝えられたという想い。受け入れられたという想い。吐露されていく本音。
(有難う。……改めてこれからもよろしくね。可愛い恋人さん)
 あのときから、本当に、恋人の絆に変わって、今まで歩いてきたのです。
 あのときの光景が、二人の目に、耳に、まざまざと再現されたのでした。
(俺だって忘れた事ない。フィンに好きだと言った時の事……膨れ上がった気持ちをもう黙っている事は出来なくて……でも、言ってしまってどうなるのか怖くて、余裕なんて無かったけど。受け入れて貰えて、好きだよと言って貰えて……どんなに嬉しかったか。俺にとっても……忘れられない思い出。俺が飲んでもきっとこの時の事が再現された。フィンの心の奥にある夏の思い出の一番が……これで本当に嬉しい)
 初夏の日のフィンへの告白を、フィンからの視点の記憶で再現されています。それを見て海十は感動を覚えていました。
 それはフィンも同じでした。
(緊張の見える海十の表情を見つめながら、俺は期待しながらも勘違いだったらどうしようかと思ってて。期待していた言葉を海十が言ってくれて……嬉しかった。どれだけ嬉しかったか……海十は知らない。俺にとって一生忘れられない、大切な思い出)
 幻の海十の告白が終わり、フィンは嬉しくて笑います。
(もう一回、海十の告白が見れて、得しちゃった)
 そう思っていると、海十が潤んだ目でフィンを見つめながら言いました。
「好きだよ」
 現実の、現在の海十が、同じ言葉を言ってくれます。
 あのときと同じ海十。いえ、あのときよりもずっと成長してきた海十。
 様々な事をフィンと学び、様々な経験を積み、自分を抑える事も、素直に表現する事も覚えてきた彼。
 そしてその隣で、海十と成長を続けたのはフィンでした。
 真っ直ぐな眼差しは変わりません。
 ひたむきに想う気持ちも変わりません。
 だけど、そのひたむきさの中に、フィンの事を理解し包もうとする広い愛情も含まれるようになったはずです。
 これ以上、嬉しい事があるでしょうか。あのときと同じようで、あのときよりも大人の変化をした海十に同じ告白をしてもらえるなんて。
「海十……愛してる」
 今日のこの日もまた、忘れられない夏の思い出になる……それがウィンクルムの絆なのです。海十とフィンの愛の形は彼らだけのものでしょう。数あるウィンクルムの愛の中で最も尊いものの一つでしょう。
「花火、綺麗だね」
 フィンが海十の肩を抱いて夜空を見上げました。
 次々と打ち上がる花火を見上げながら、海十はフィンの腰に手を回しました。体を密着させてフィンの嫌ではない汗の臭いを嗅ぎながら、今までの自分たち、これからの自分たちに想いを馳せました。どんなときもフィンは側にいてくれました。この先も、どんな時も二人は一緒なのでしょう。



依頼結果:大成功
MVP
名前:胡白眼
呼び名:フーくん
  名前:ジェフリー・ブラックモア
呼び名:ジェフリーさん

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 08月22日
出発日 08月30日 00:00
予定納品日 09月09日

参加者

会議室

  • [6]蒼崎 海十

    2016/08/29-23:54 

  • [5]蒼崎 海十

    2016/08/29-23:53 

  • [4]胡白眼

    2016/08/29-00:21 

    胡白眼(ふぅ・ぱいいぇん)と申します。パートナーはジェフリーさんです。

    思い出を追体験できるというのは魅力的ですが、つらい記憶を引き出すこともあるんですねぇ。
    どうか、甘くて爽やかな思い出を味わわせてくれるラムネでありますように。
    皆さんもアタリを引けるといいですね。

  • [3]ユズリノ

    2016/08/29-00:18 

    ユズリノと相方シャーマインです。
    よろしくお願いします。

    相方が興味持っちゃいました。
    僕にも見えたりするのかな?

  • [2]蒼崎 海十

    2016/08/28-01:03 

  • [1]蒼崎 海十

    2016/08/28-01:03 

    蒼崎海十です。
    パートナーはフィン。
    よろしくお願いいたします!

    思い出ラムネ、一体どんな味がするのでしょうか。
    楽しみです。


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