夏だ!海だ!スイカ割り!(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

「そっちじゃない、右、右……いや、ちょっと左っ!」
 相方があなたに指示を出す。
 あなたは視界がきかない中、相方の声だけを頼りに右へ左へ、前へ後ろへ。
「そうじゃないってば。行き過ぎーっ!」
「ええっ、どっち!?」
 その場で慌てて足を動かし振り返ろうとすれば、砂の中にかかとがめりこんでバランスを崩す。
「うわっ、危ない、気をつけて!」
 バランスを取り直して手の中の棒を握り直し、炎天下で冷や汗をかくあなた。じりじりと焦げるような太陽を、目隠ししていても皮膚が感じている。帰る頃にはこんがり日焼けしている事だろう。潮の匂いをかぎながら、あなたは相方の言う通りに方向転換。さあ今度はうまくいくかな?

 久々に海に来た。午前中は相方と浅瀬で泳いだり水をかけあったりしてはしゃいだ。
 海の家でやきそばを食べて、一休みしていた時に、相方がスイカに気がついたのだった。スイカとスイカ割の棒が1セットで販売されていたのである。
 あなたはしぶったのだが、相方がどうしてもスイカ割をしたいというので、セットを購入。砂浜に出てタオルで目隠しをして、スイカ割りを開始。
 どういう訳か嫌がっていたあなたがスイカを割る方になってしまった。
 相方の声を聞きながら、目隠して砂浜の上を行ったり来たり。
 さあ、あなたは見事にスイカを割れるだろうか!?

解説

 夏です。海の砂浜でスイカ割りです。海の家で購入したスイカ割りセットは、300Jrです。
 プランの方には、スイカ割りをする方に割、指示を出す方に指と記入してください。
 それから、どちらがスイカ割りをしたいと言い出したのかと、どのようにスイカ割りをしたのか、そしてスイカが割れたかどうかを記入してください。
 よろしくお願いします!



ゲームマスターより

ウィンクルムの絆があればスイカ割などたやすいでしょうか?

リザルトノベル

◆アクション・プラン

シルキア・スー(クラウス)

 

渋る理由 食べ物で遊ぶのに抵抗が お婆様に口酸っぱく言われた思い出
成程 分った やるからには華麗に真っ二つ!
彼の目が!? つられ闘志
目隠し5と2/3右回転からスタート
グルグル感 何これー 
彼の声が 戦場で私を励ましてくれる声 気力アップ
彼の誘導忠実に はい!
転倒してもやりきるからと声出し
足に当る物 これかと構え あ違うのね 方向修正

ここだ うりゃっ 手応え
汗キラリ拭い 達成感
成し遂げたねグッ
褒められ嬉しいけど 何か大げさ 笑
的確指示のおかげだと思うよ

美味しい!
スイカ割って楽しいのね 笑

★補足
橙緑白横縞タンキニ 白短パン
彼の水…というか肉体美! 直視できない
来た理由
休暇が必要だと最近積極的に連れ出される
何か心境の変化が? 不服はないけど


桜倉 歌菜(月成 羽純)
 
スイカ割りって夏ってカンジがします♪
是非やってみたくて、スイカ割りしようよと羽純くんにお願い
どっちがスイカを割る方をやるか、ジャンケンで決めました
こういうのは平等にしないと!
やった♪私の勝ち!
よーし、頑張るぞっ
わくわくと目隠しして、棒を持ちます
羽純くんの声を頼りに、右に左に…こ、こっち?え?違う?
意外と難しい…!
絶対に成功したいから、羽純くん指示通りに頑張る
それにしても羽純くんの声…やっぱり凄く好きだな…
安心して身を任せられる…
今だという声に、思い切り棒を振り下ろします
勢い付け過ぎてよろけた身体を支えて貰って
目隠しを取り、無事割れているのを確認したら、羽純くんとハイタッチ
至近距離に思わず赤面


瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
 
誘われて、暫し逡巡。
目隠しして真っすぐ進める自信が全くありません。
スイカを割るのはフェルンさんに頑張ってもらいますね。
指示だしますから。
頑張って、フェルンさん。
(にっこり笑う)

方向はフェルンさんの正面方向を時計盤の12時に喩えて
「左11時の方向」や「右2時半の方向」と指示。
距離は、フェルンさんの歩幅を大体覚えているので。
「距離8m、約10歩です」と指示します。
具体的に明確に支持するのがポイントです。
視界が塞がれているのですから、曖昧だと混乱のもとですし。
行き過ぎそうなら「止まって」「半歩前へ」。
スイカを綺麗に割ってくれるフェルンさんはやっぱり凄いです。
2人で美味しくスイカをいただきます。


シャルティ(グルナ・カリエンテ)
 
…え。私が?
分かってるわようるさいわね
…あ、そうだ
ペンを取り出しスイカに落書き
よし
何って、あんたの顔。似てるでしょ
スイカに目と口を描いただけの似顔絵
ただ割るだけじゃつまらないし
大丈夫よ。あんたの顔はグオリャン(別の精霊)にそっくりだし
ほら。そっくり
絵を描いたスイカを精霊に見せ
グオリャンに似てるんだしこれから割るのはグオリャンだと思えば良いじゃない
とりあえず割る準備するわ

そのままね
え? 行き過ぎ?
はいはい
また行き過ぎ?
ここね…。えい
棒を降り下ろす

言い出したのはあんたなのに完全にスイカに情が移ったわね


伊吹 円香(ジェイ)
 
スイカ。夏と言えばこれですよね。割る…? は、ありませんけど
割ってみたいです!
目を輝かせ
力加減が分かりません(にこっ
笑顔になるところじゃない…? そうでしょうか?
少し…ですか。頑張ってみます

真っ直ぐ…ですね、真っ直ぐ。真っ直ぐ…
貝殻…?
足の指先で貝殻があるか確かめる
あることを確認し、なんとか避けつつジェイの声をよく聞いて進む
右に寄りすぎ…?
少し左に寄り、進む

よい、しょっ!
棒を少し力を込めて降り下ろす
手応えを感じ、目隠しを上げる
わっジェイ、できました


●シルキア・スー(クラウス)編

 今日、シルキア・スーは精霊のクラウスと海水浴に来ています。
 シルキアが着ているのは、橙緑白の横縞のタンキニに白い短パンです。クラウスの方は群青のサーフパンツです。
(クラウスの水……というか肉体美!)
 シルキアはとても直視出来ません。
(シルキアの水着姿。健康的で大変良い)
 一方、クラウスの方は、まだ余裕の様子です。
 今回、クラウスがシルキアを海に誘ったのでした。依頼続きで疲れていたシルキアが、休暇を取った事で笑顔を取り戻したからです。心の休息のためと言いつつも、シルキアの笑顔が見たいというのが本当の理由かもしれません。
 シルキアは、クラウスに何か心境の変化が? と思いつつも、不服はないのでした。
 海の家でスイカ割りセットを見つけたクラウスは、早速シルキアをスイカ割りに誘いました。ですが、シルキアは渋ります。
「食べ物で遊ぶのに抵抗が……。お婆様に口が酸っぱくなるまで、食べ物は大切にしなさいと言われていたんだよ」
 そこでクラウスはこう言いました。確信の笑みを浮かべて。
「スイカを切るか割るかの違いだ。そこに一つ余興が入るに過ぎない」
「成程。分った。やるからには華麗に真っ二つ!」
「その意気だ!」
 彼の目に闘志が浮かびます。彼は根は体育会系なのです。
(クラウスの目が!?)
 その目を見て、シルキアも闘志を燃やすのでした。
 クラウスがシートを敷き、スイカを設置します。
「知っているか。スイカ割りはスポーツである事を!」
 そしてクラウスによるルールの説明。
 シルキアは真面目な顔で聞き入ります。
 そしてシルキアは棒を構え、5と2/3回転からのスタートです。
「何これー!」
 クラウスにぐるぐる回される感覚にシルキアは悲鳴を上げます。
 シルキアから5メートル離れた位置にスイカがあります。
 クラウスは熱血な調子でシルキアに指示を出していきます。クラウスの指示は的確です。
(クラウスの声が……。いつも、戦場で私を励ましてくれる声!)
 シルキアの気力が充実していきます。
「はい!」
 クラウスの指示によい返事を返して進むシルキア。
 しかし、そこでシルキアは、砂の上のシートに足を取られて思い切り転んでしまいました。
 たちまちクラウスは彼女を助け起こしたい衝動に駆られます。
「大丈夫! 一人で出来るから!」
 しかしシルキアはすぐにそう声を上げます。クラウスは身を乗り出しましたが、ぐっとこらえて踏みとどまりました。
 シルキアはまたクラウスの指示に従いながら棒を持って進みます。
 すると足に何か当たりました。
「これか!」
 棒を振り上げるシルキア。
「ぬ、違う。それは違う!」
 それは日光浴をしている人の頭です。危うく傷害事件になるところでした。
「あ、違うのね」
 シルキアは慌てて方向を修正します。それからまたクラウスの指示に従いながら移動。
「ここだ!」
 うりゃっとシルキアは棒を振り下ろします。スイカが割れる確かな手応えがしました。
 目隠しを取ると、足下には割れたスイカ。達成感にキラリと光る汗を拭います。
 スイカが割れた事に、クラウスはぐっと拳を握りしめます。
(成し遂げたね!)
 シルキアもぐっと拳を握りしめます。
 シルキアのこぼれる笑顔にクラウスも達成感を感じます。
「シルキアの諦めない姿勢……力強くて美しかった」
 褒め言葉を惜しまないクラウス。シルキアは笑ってしまいます。
「嬉しいけれど、何か大げさ。クラウスの的確な指示のおかげだと思うよ」
 そのあと、二人でスイカを切り分けて食べました。
「美味しい! スイカ割りって楽しいのね!」
「格別だ」
 甘くて美味しいスイカを食べて、二人はとても満足です。
 そのあときっちりと片付けをしてから帰りました。レジャーではマナーも大切に。

●伊吹 円香(ジェイ)編

 今日、伊吹円香は精霊のジェイと海に遊びに来ています。海の家でお昼を食べていると、ジェイがスイカ割りセットを見つけてきました。
「スイカ。夏と言えばこれですよね。割る……? は、ありませんけど、割ってみたいです!」
 円香は黒曜石の瞳を輝かせて言いました。
「それならば、私はサポートをさせていただきます」
 ジェイは慇懃に頭を下げて言います。そうすると、片目を隠す漆黒の髪が円香の前まで下がってきて、堅苦しさを感じさせますが、円香は気にしません。
 日頃からよき主従関係を築いている二人なのです。
「力加減が分かりません」
 にこっと笑って円香はジェイに訊ねます。
 何しろ、”お嬢”と呼ばれる円香。スイカ割りなどしたことがなく、何がこつなのかもさっぱり分からないでいるのです。
「そこは笑顔になられるところではないのでは……ですが、お嬢の笑顔は素敵でございます」
 ジェイは微かに表情を和らげます。
 ジェイ自身は、そのあまり恵まれていなかった生い立ちのわりには、スイカ割りに興じた事もあったようにも見受けられます。あったのでしょうか? それとも……。
 勿論、それは円香には何も分からない事なのですけれど。円香は、ジェイの過去の事は何も知らされていないのですから。
「笑顔になるところじゃない……? そうでしょうか?」
 円香は小首を傾げています。
「力加減は……少し力を込めるくらいで、宜しいかと存じます」
 ジェイはこんな時も真面目な敬語を崩しません。
「少し……ですか。頑張ってみます」
 円香は納得したようでした。
 そして二人で砂浜に出て行ってスイカやシートの設置をします。円香は離れた場所から棒を持ってスイカに接近。
「お嬢、そのまま直進でございます」
 ジェイが指示を出します。
「真っ直ぐ…ですね、真っ直ぐ。真っ直ぐ…」
 円香は、小声で呟きながら、直線的に歩いて行きます。
「……足元にご注意を。貝殻など落ちておりますので」
「貝殻……?」
 円香はそっと足の指先で砂の上に伸ばして辺りを確かめます。
 貝殻があることを確認。なんとか避けつつ、ジェイの声をよく聞いて進んでいくのでした。
「……お嬢、それですと右に寄りすぎです」
 ジェイは円香の様子を見て声をかけます。
「右に寄りすぎ…?」
 円香は左に寄ってから進みます。
 それに対して円香からは見えないのに、ジェイは頷いています。
「そのままお進み下さいませ、お嬢」
 円香はジェイを信頼しきっているので、彼の言う通りに進んで行くのでした。無論、ジェイはここで円香に悪戯を仕込んでからかうような人間では決してないのですが。相方を信頼しきっている円香の様子は素敵です。
「お嬢。そこで棒を」
「よい、しょっ!」
 円香は棒に少し力をこめて振り下ろします。
 するとスイカがパカっと割れる手応えを感じました。
 円香はぱっと目隠しを取ります。目の前には円香が綺麗に割ったスイカが転がっています。
「わっジェイ、できました」
 はしゃいで笑う円香。
 ジェイは、スイカ割りの成功と、円香の快活な笑顔に、思わず笑いをこぼします。
「お見事でございます。お嬢」
 ジェイには、多くの人には言えないような過去があります。その記憶は彼の脳から離れる事はありません。それでも、円香といるこのひとときの間は、それらを遠い出来事として忘れる事が出来るのでした。円香の父への恩返しもありますが、円香とこうしてわずかの間、優しい時間を過ごす事が、彼にとっては一瞬の幸福なのです。
(お嬢の事は……任せてください。私がきっと、守って見せます)

●シャルティ(グルナ・カリエンテ)編

 その日、シャルティと精霊のグルナ・カリエンテは海に遊びに来ていました。海の家で一休みしていると、グルナがスイカ割りのセットを見つけて買ってきてしまいました。
「言い出しっぺはまあ、俺だがお前が割れ」
 グルナ・カリエンテはシャルティにスイカ割りの棒を差し出しました。シャルティが目隠しで歩くところを見てからかうつもりです。
「……え。私が?」
 シャルティは気がひけています。
「きちんと割れよ?」
「分かってるわようるさいわね…あ、そうだ」
 渋っていたシャルティですが、名案を思いつきました。早速ペンを持ちだしてスイカに落書きを始めます。
「よし」
「なに描いたんだ…って、なんだこれ」
「何って、あんたの顔。似てるでしょ」
 けろっとしてシャルティは答えます。反対にグルナはぎょっとしてしまいます。
 そうは言っても、シャルティはスイカに目と口を描いただけなのですが。
「ただ割るだけじゃつまらないし」
 平然としているシャルティ。
「はっ!? ふざけてんのかお前!?」
 グルナは驚いて声を上げます。
「大丈夫よ。あんたの顔はグオリャン(別の精霊)にそっくりだし」
「似て……、ねーよ!」
「ほら。そっくり」
 にっこりといい笑顔で、シャルティは絵を描いたスイカをグルナに見せつけます。すっかりそのスイカを割る気でいます。
「グオリャンに似てるんだしこれから割るのはグオリャンだと思えば良いじゃない。とりあえず割る準備するわ」
「やっぱ割るな、俺の顔だぞお前が描いたのはッ!」
 シャルティをからかおうと思っていたグルナは逆にピンチになっています。元々、素っ気ないシャルティにはサディストの気があるのです。
(リウと似てる……それを言われるとなんも言い返せねぇ……つか、リウと似てるっつーだけで複雑だっての。俺はあいつとは違うんだぞ)
 それもあって、グルナは余計にうろたえているのでした。
※※
 いい天気の浜辺、シートにスイカを設置して、スイカ割りが始まりました。歩いて行って割るのはシャルティ、指示を出すのはグルナです。
「とりあえずそのまんま進め」
 スイカの似顔絵の事は諦めきって、グルナはシャルティに指示を出します。
「そのままね」
 言われた通りにスタスタと前に進むシャルティ。
「あー……ちょい右。馬鹿、行きすぎだって!」
「え? 行き過ぎ? はいはい」
「また行き過ぎだ」
「また行き過ぎ?」
 シャルティはグルナの指示に従って右に左に微妙に向きを変えて歩きます。グルナも偽の指示を出して悪戯するなどとやればいいのかもしれませんが、ここは素直にシャルティに正直な情報を与えているようです。
「よし。そのまんま真っ直ぐだ」
 シャルティは言われた通りに真っ直ぐ進みます。その手前の方には大きなスイカ。
「そこだ」
「ここね……。えい!」
 グルナに言われた通り、シャルティは勢いよく棒を振り下ろしました。
 はっきりとした手応えの振動が棒に伝わってきます。
「割れた、な」
 グルナの残念そうな声。
 スイカは見事に真っ二つでした。
 シャルティは目隠しを外して、スパーンと割れたグオリャンスイカを見て、会心の笑みをその色白の顔に浮かべました。やはり、サディストなのかもしれません。
「つか、お前容赦ねぇな……見事に真っ二つだぞ」
 そのとってもいい笑顔を見て、グルナはため息交じりにそう言いました。
「言い出したのはあんたなのに完全にスイカに情が移ったわね」
 シャルティは鼻歌を歌いながらスイカをかき集めています。グルナと同じ顔のグオリャンスイカを、割ったあげくに食い尽くす気でいるのです。なかなかいい根性ですが、そんなシャルティと仲良く同居していられるグルナも、立派なパートナーなのでしょう。

●瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)編

 その日、瀬谷瑞希と精霊のフェルン・ミュラーは、海水浴に来ていました。
 二人が海の家で休んでいると、フェルンがスイカ割りセットを見つけてきました。
「スイカ割りが出来るみたいだよ」
 フェルンが瑞希を誘います。
「割ってみるかい?」
 フェルンの方に悪気はありません。瑞希はスイーツなど甘いものが好き。それならスイカも好きだろうと思ったのです。どうせ食べるなら、スイカ割りのゲームをしても楽しそう。
 瑞希はしばらくためらいました。
(目隠しして真っすぐ進める自信が全くありません。でもフェルンさんはスイカ割りがしたいみだし……。スイカを割るのはフェルンさんに頑張ってもらいますね。指示だしますから。頑張って、フェルンさん)
 それで瑞希はにっこりと笑ってフェルンに言いました。
「フェルンさんがどうぞ」  
 信頼しているパートナーの瑞希にそんなふうに笑われたら、フェルンは綺麗に割って見せなくては、という気分にさせられました。期待に応えたい心理です。可愛いパートナーからの期待ならば、なおさらです。
 二人は砂浜に出て行って、シートを敷き、スイカを設置しました。
 それからフェルンが離れた場所で目隠しをして、棒を構えます。
「左11時の方向です、フェルンさん」
 瑞希が的確に指示を出し始めました。
 方角は、フェルンを中心に時計盤に例えています。とてもわかりやすいやり方です。
「行き過ぎです。次は--右2時半の方向」
(さすがだ。迷う必要がないね)
 完全にフェルンの方角を把握している的確な指示に、彼は内心舌を巻いてしまいます。
「距離8m、約10歩です」
 しかも、瑞希は、フェルンの大体の歩幅を把握していました。そのため、何歩歩けばいいかまでフェルンには伝わるのです。
(具体的に明確に支持するのがポイントです。視界が塞がれているのですから、曖昧だと混乱のもとですし)
 指示を出す瑞希の方は、自分が完璧だなどと思っていないらしく、冷静にフェルンの様子を見つめています。いつだって彼女の最大の魅力はこの冷静さと、論理的な頭脳でしょう。敵にすれば隙がなく、味方にすれば最も心強いのです。
 フェルンが行き過ぎてしまうと
「止まって」
「半歩前へ」
 そう、またしても的確な指示。
 そういう訳で、フェルンはすんなりとスイカの前に進み、棒で綺麗に真っ二つにスイカを割る事が出来たのでした。
(歩幅を把握してるとは驚きだ。お蔭で、目隠しをしていてもまるで見えているように前に進めたよ)
 フェルンが目隠しを外すと、彼に拍手を送っている瑞希の笑顔が見られます。瑞希は喜ぶ時は素直に喜ぶので、明るい笑顔を見せています。
「スイカを綺麗に割ってくれるフェルンさんはやっぱり凄いです」
(こんな的確な指示を出せるほど、俺の事を良く見てくれて、把握しているのがとても嬉しい。彼女の几帳面な性格のお蔭だろうな……)
 感心しきっているフェルンの前で、瑞希は割ったスイカを皿に運んで、食べる準備を始めたのでした。
 二人は浜辺のシートの上で、潮風を感じて海を見ながらスイカを食べました。
 甘いものが好きな瑞希に、やはり熟したスイカはぴったりだったようで、彼女は年相応の女の子の表情でその味を楽しんでいます。勿論、フェルンもスイカは好きなのですが、何よりのご馳走は瑞希の嬉しそうな態度でしょう。
(スイカが甘くて、ミズキがとても嬉しそう。君の幸せな笑顔が、何よりのご褒美だよ)
 フェルンはいつになく、幸福な満足感を覚えています。海に来て良かった。素晴らしいパートナーとウィンクルムになれた事を、何かに感謝したい気持ちでした。

●桜倉 歌菜(月成 羽純)編

 今日、桜倉歌菜と精霊の月成羽純は、海に遊びに来ています。
 海の家で休んでいると、歌菜がスイカ割りのセットを見つけてきました。
(スイカ割りって夏ってカンジがします♪)
 早速やってみたくなって、歌菜は羽純を呼びました。
「羽純くん、お願い、スイカ割りをしようよ!」
 羽純はスイカ割りなんてご無沙汰です。
(やったことあっただろうか……)
 素でそう思うぐらいなのですが、何しろ歌菜がやりたがっています。スイカ割りをすることにしました。
「歌菜がやりたいなら、歌菜が割ればいいだろう」
「ダメだよ羽純くん。こういうことは平等にしないと!」
 そういう訳で、二人はじゃんけんで割る人を決めました。羽純はこういう歌菜が可愛いと思います。
(歌菜が勝てばいい)
 そう思った羽純の願いが通じたのでしょうか。
 見事に歌菜がじゃんけんで勝ちました。
「歌菜の勝ちだな。俺が指示する」
「よーし、頑張るぞっ」
 歌菜はわくわくと目隠しをして、棒を持ちます。
 棒を持っている歌菜の姿からは、羽純にも真剣さが伝わります。
 悪戯心も湧くのですが、成功させてやりたいという気持ちも純粋に湧いてきます。こういう事にも無邪気に真剣な歌菜は、羽純の目から見ると本当に魅力的な女性です。だからこそ妻に選んだのですけれど。
 だから、羽純も真剣に歌菜を手伝うのです。
「もう少し右だ。……そう、そのまま……真っ直ぐ進め」
 歌菜は羽純の声を頼りに右へ行ったり左に行ったり。
 暑い砂浜の上には点々と歌菜の足跡が残ります。
「……こ、こっち? え? 違う?」
 何しろ目隠しをしているために歌菜の行動は頼りない。ですが、そのぶん羽純がしっかりしてます。
「そっちじゃない。左斜め前」
(意外と難しい……!)
 歌菜は固唾をのんで、ぎゅっと棒を握りしめます。
 それでも絶対に成功させたいのです。歌菜は、羽純の声を頼りに頑張ります。
(それにしても羽純くんの声……やっぱり凄く好きだな……安心して身を任せられる……)
 彼の声に集中しているうちに、思わずそんな事を考えてしまう歌菜。
 ちょっと彼の声に放心--その途端。
「今だ、振り下ろせ」
 羽純がそう言いました。
 一瞬、歌菜は慌てましたが、思い切り棒を振りかぶって振り下ろしました。
「キャ……っと、っと……」
 思い切り割った拍子に反動でよろけてしまいます。転びそうになってしまう歌菜。
「勢いつけすぎだろう……!」
 羽純が即座に飛んできて歌菜を支えました。
 すると、水着の歌菜を抱きかかえる格好になってしまいます。羽純の力強い腕を感じ、歌菜は真っ赤になってしまいます。
 羽純は水着姿の歌菜に眩しそうに目を細めて笑います。
「これくらいの役得は許されるだろう」
 歌菜は益々赤面。今の自分は目隠しをした無防備な水着姿で、羽純に抱き留められているのだと。もう婚約者同士なのですから、何も後ろめたい事はないんですが、それとこれとは別です。
「成功!」
 そう言って、羽純は目隠しを取ってくれました。
 歌菜が見ると、そこには見事に真っ二つに割れたスイカが。勢いが強すぎて、やや粉砕気味ではありますが、確かに成功です。
 それを確認して、二人は笑顔でハイタッチ。タッチのタイミングもバッチリです。
 スイカ割りを成功させられた歌菜はぱっと花が咲いたような笑顔を見せていて、羽純はその笑顔を水着よりも眩しいと思いながら、間近から見つめるのでした。
「スイカ、食べるか」
 羽純に促されて、二人は一緒に割ったスイカをお皿に入れ直し始めました。
 それからシートを敷き直して、海を見ながらスイカを食べる事にします。
 太陽を反射して輝く海、雄大な砂浜、美味しいスイカ。そして傍らには愛しい婚約者。何も言う事はありません。間違いなく最高の夏です。最高の夏を満喫しながら、二人は、二人だけの未来に胸を馳せるのでした。



依頼結果:大成功
MVP
名前:桜倉 歌菜
呼び名:歌菜
  名前:月成 羽純
呼び名:羽純くん

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ビギナー
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 08月02日
出発日 08月08日 00:00
予定納品日 08月18日

参加者

会議室

  • [8]桜倉 歌菜

    2016/08/07-23:57 

  • [7]桜倉 歌菜

    2016/08/07-23:57 

  • [6]瀬谷 瑞希

    2016/08/07-23:10 

    こんばんは、瀬谷瑞希です。
    パートナーはファータのフェルンさんです。
    挨拶が遅くなりました。
    皆さま、よろしくお願いいたします。
    プランは提出できています。

    スイカ割り、楽しい時間をすごせますように。

  • [5]桜倉 歌菜

    2016/08/06-00:55 

  • [4]桜倉 歌菜

    2016/08/06-00:54 

    桜倉歌菜と申します。
    パートナーは羽純くんです。
    皆様、よろしくお願いいたします!

    スイカ割り…わくわくしちゃいますっ♪

  • [3]シャルティ

    2016/08/06-00:46 

  • [2]シルキア・スー

    2016/08/05-14:42 

    シルキアとパートナーのクラウスです。
    どうぞよろしくお願いします。

  • [1]伊吹 円香

    2016/08/05-09:07 

    伊吹円香と申します、よろしくお願い致します。
    スイカ割り、したことないので楽しみですー


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