告白改(森静流 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 思い出してみれば、怒り顔ばかり思い出す。
 一体、何が文句あるんだか知らないが、やたらに怒る。どつく。喚く。
 聞いてみればいつでも何でも俺が悪い事になるらしいが、本当、些細な事や勘違いで怒りやがって、面倒くさい。
 さらに面倒くさいのは、男のくせにやたら泣く事。
 男は簡単に泣くんじゃないと親にしつけられなかったのか、お前は。
 やたらにセンシティブで繊細で、扱いづらい事この上ない。
 ワガママだしすぐに切れるし、早とちりで行動力だけはやたら高いし、何なのお前。何がやりたいの。
 オーガとの戦闘でも、かっこうよく戦っている時はあるけれど、その後、どっか怪我しただの、ショックを受けただので病院に通うハメになって、その付き添いは俺。
 俺に休みはないんですか?
 俺が不平を言うとああだこうだとまた面倒くさい事をゴネやがって、全くもう。
 ウィンクルムだかなんだか知らないが、この縁が一生続くのかと思うと本当疲れる。
 俺達の愛が……どうしたって?
 何で、俺がそんなことにかかわらなきゃならなかったんだろう。
 お前との運命を呪うぜ。
 とかなんとかボヤいたら、突然、いなくなった。
 ふっとかき消えて、戻って来ない。
 なんなのお前!?
 引っ越し前の猫か何かか!?
 行方不明は、ないだろう!!

 そりゃ探したよ。必死に。探して探して、寝る間も食う間もなくして探して、やっと見つけたのは、なんだか最初に、二人でオーガと戦った場所だった。
 そこで、猛烈な雨に打たれるのも構わないでぼけらーっと立ってるの。
 顔に、表情ないんですけど。
 ちょっと恐いんですけどーー!?
 一体、どうしちゃったんですかーー!!
 帰るぞ、と声をかけても反応なし。
 叱ってもなだめすかしても反応なし。
 化石みたいに立ち尽くしている。
 そのまま彫像にでもなる気か。お前、それで芸術になれると思ってるのか。ずぶ濡れで色っぽ……いような、そうでないような微妙な雰囲気。
 あーあーあーあー。
 そうなんだろ、結局、今回も、俺が悪いって事になるんだろ??
 知ってるよ、もう。
 いつだって、悪いのは俺なんだよな。お前だって、完璧じゃないのに。どっちかというとワガママドジっ子で手がかかってしょうがない、どうしょうもない甘ったれのくせに。
 大人になれよ、もう。
 そういうことを言おうと思ったら、口が勝手に滑った。

「愛してる」

 ……反応アリ。瞳孔に光が戻って来ている。
 なあ、一緒に戻ってくれますか? 俺の方をもう一度、振り向いてくれますか?
 俺に、笑いかけて、くれますか??

解説

 女性の方にも出した告白の別バージョンです。
 神人から精霊に、あるいは精霊から神人に告白して、その相方の反応をプランに書いてください。
 プランの方には、いつ、どこで、誰が、誰に、どのように、告白したかを明記してください。
 出来たら、何故告白したのかまで書いてくださると嬉しいです。
 二人でずぶ濡れになったので、カッパと傘を買って帰りましたので300Jrいただきました。カッパと傘に関しましてはプランに書かなくてもOKです。


ゲームマスターより

女子の方にも出した告白の男子ヴァージョンです。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

信城いつき(レーゲン)

  なんでもない日、二人で歩きながら何気ない会話
一緒に居られるこの時間を、幸せだな大事にしなきゃと思ったから

立ち止まって、レーゲンの顔を見て伝えよう
あのね、俺、レーゲンが好きだよ

逆だよ。特別な日も伝えたいと思うけど
あえて普通の日も伝えたいって思ったんだ

「好き」以外?
「大好き」とか?…でもミカに「大大好き」と言ったし
いっぱいいっぱいのレーゲンへの気持ちを伝えようというなら
やっぱり「あの言葉」?

あっ、あの……愛、して、ます

ぎゅっとされてレーゲンからも言われて、すごくうれしい
でも、どうしてレーゲンはそんなに自然に言えるのっ

本当にさらっと言うね……
あー顔真っ赤になっちゃった。これはたまにしか言えないなぁ…


セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  感謝の気持ちとかさ。
好きってのを伝えるのは、出し惜しみすることないじゃん?
だからさ。
寝る前、ストレッチをしている時にこの気持ちをラキアへ告白だ。
「こうやってさ、ラキアと一緒に過ごしていると、幸せって思うんだぜ」とにっこり笑って。
「作ってくれるご飯美味しいし、栄養バランス最高だし、トレーニングもやりすぎないように気をつけてくれているし、毎日ホントに感謝しているんだぜ」と。
「そういうラキアがとっても大好きだ!」
何?随分ストレートな表現?
いいんだよ。
好意は真っすぐ正直にキッパリと告げるものだ!
そしてギュッと抱きしめるんだ。
頭ぽむぽむは嬉しい。
「ラキアが一緒だから、どんな時でも大丈夫!」と応じるぜ。


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  出掛けにフィンが傘を持って行った方がいいと言っていたけど
綺麗さっぱり忘れて…学校帰り見事に雨に降られてしまった
最初小雨だったから走って帰ろうとしたけど、その内本降りに
仕方ないからシャッターの下りた店の軒下で雨宿り

夏の雨は…フィンに告白した時の事を思い出す
フィン、今頃何をしてるだろう…そう考えた時
傘を差して歩くフィンが視界に入って
迎えに来てくれた?
嬉しい気持ちで踏み出そうとしたら、隣に知らない女性

分かってる
フィンはそんな事絶対しないって
でも期待してしまったからか、胸が苦しくて駆け出してた

俺、バカだな…
みっともない嫉妬して…フィンをずぶ濡れにさせて…
でも、こんなに嬉しいんだ
迎えに来てくれて、有難う


●蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)編

 その日の天気予報は雨でした。
 夏の天気は不安定で、いつどこで雷が鳴り出すか分かりません。
 蒼崎海十は出がけに精霊のフィン・ブラーシュに傘を持って行った方がいいと言われたのですが、朝にバタバタしていてすっかり忘れてしまいました。
 そして学校の帰りに見事に雨に降られてしまったのです。
 海十は最初、小雨の中を走って帰ろうとしました。ですが、大通りで本降りの夕立になってしまったのです。仕方なく、海十はシャッターの閉まっている店の軒下に走り込み、雨宿りをすることにしました。
(夏の雨は……フィンに告白した時を思い出す)
 とんだ災難でしたが、フィンへの告白とそれを受け入れられた時の事を思い出し、海十はじんわりと幸せな気持ちになります。フィンの事を考えるだけで、幸福を感じるのでした。
(フィン、今頃何をしてるだろう……)
 忙しい彼の事ですから、もう夕飯の支度をしているか、それとも、原稿を鬼のような勢いで頑張っているのか--。
 そう考えた時、偶然にも視界に傘を差して歩くフィンの姿が視界に入りました。
(フィン、迎えに来てくれた!?)
 海十はぱっと顔を明るくして彼の方に踏み出そうとしましたが、フィンの隣には見知らぬ女性がいました。フィンは女性を傘に入れ、二人で相合い傘で歩いていたのです。
 実は、フィンは、海十が傘を忘れていったので、迎えに来たのでした。その途中で、つきあいのある出版社の人が、雨に濡れて歩いていたので、放っておく事も出来ず、傘に入れてあげたのでした。
(分かってる。フィンはそんな事絶対しないって。でも期待してしまったから……)
 ぎゅうっと胸が締め付けられます。まるで鉛でも押しつけられたような痛みが海十の全身を襲ったのです。
 海十は強い雨が降りしきる中を、一人で駆け出してしまいました。
 フィンが振り返り、海十の姿に気がつきます。
「海十っ……!」
 まるでフィンの声が聞こえていないように、海十は走り去りました。
(誤解されたっ)
 フィンは海十の気持ちをすぐに理解します。
「すみません、これ」
 そうして、出版社の女性に傘を渡しました。返事も聞かずに、フィンは海十の方へ駆け出します。雨に濡れるのにも構わずに、彼を追いかけたのです。
「海十!」
 フィンは海十を追いすがり、その肩を掴んで引き留めました。
 海十は一回、フィンを振り払おうとしましたが、フィンが強く肩を押さえて自分の方を振り向かせると、もう抵抗はしませんでした。
「海十」
「…………」
 雨に濡れた海十の顔は泣いているようにも見えました。いや、本当に泣いていたのかもしれません。
 フィンはすうっと息を吸い込んで言います。
「好きだよ。俺は、海十を愛してる。一瞬でも不安にさせてごめん」
 なんの嘘も感じさせない真剣な表情でフィンは言い切りました。
 海十ははっとして顔を上げ、フィンの青い瞳を真っ直ぐに見つめました。フィンは真顔で海十だけを見ています。絡み合う視線。その瞳から何を感じ取ったのか、海十は徐々に表情を和らげていきました。
「俺、バカだな……」
 やがて苦笑しながら、海十はぽつりと呟きました。
「みっともない嫉妬して……フィンをずぶ濡れにさせて……」
 そう言って海十は学生服の袖で目の辺りを拭います。本当に泣いていたのか、それとも照れているのかは分かりません。
「でも、こんなに嬉しいんだ。迎えに来てくれて、有難う」
 くしゃっと顔を歪めて、照れたように、本当に嬉しそうに、海十は笑うのでした。それはなんのてらいもない、無邪気な、本性を見せられる相手にだけ向けられる笑み。
 その笑みがフィンの胸を撃ち抜いてしまうようです。
(ああ、もう……どうして海十は、そんな俺を喜ばせる事ばかり……)
 フィンは海十が愛しくて叫び出したい程です。
 ですが、そういう訳にはいきませんから。
「帰ろう、俺達の部屋へ」
 せいぜい大人びた表情でそう促して、フィンは海十と家の方を振り返ります。そうして、さりげなく指に指を伸ばしました。
 指が絡まります。
 フィンは海十と手を繋ぎました。
 雨に濡れる中、二人は寄り添うようにして歩き出します。
「帰ったらシャワーを浴びて、美味しい物を食べよう。腕によりをかけて、美味しい夕食作るから」
「うん。フィンの料理は最高だからな」
 海十は安心してフィンの手を握りしめます。
 指と指を絡め合った恋人つなぎで、降りしきる雨の中を、二人で家に帰っていくのでした。
 垂れこめる雲、夏の激しい雨すらも、二人にとっては何の障害にもならなくて。水に濡れた相手の上気した頬や、近くに感じる鼓動や呼吸、繋いだ指先のぬくもり、そういうものだけが、やけに間近に、いとおしく感じられるのでした。
 いつも焦げそうに熱い二人に、幸いあれ!

●信城いつき(レーゲン)編

 それは何でもないごく普通の日。
 信城いつきは精霊のレーゲンと散歩をしています。
 日射しが緩んでいて風の吹いている夕暮れ時です。蝉時雨の声が聞こえる公園の遊歩道。時間が遅いので、子供達が遊んでいる様子もありません。二人で貸し切り状態です。
 いつきの髪ではノーブランド・アモールが風に揺れています。耳のオーロラ・サファイアとは色を合わせているのです。二人の手にはオリジナルパペット。可愛らしくもおそろいです。
 レーゲンと歩きながら、いつきはふと、好きな人と二人一緒にいられるこの時間を、とても幸せで、大事にしなくちゃと、素直に思いました。
 いつきは立ち止まり、レーゲンの顔を見上げます。
「あのね、俺、レーゲンが好きだよ」
 レーゲンはいつきの突然の告白にびっくりして心臓が止まりそうになります。
「ちょ、ちょっと待って。何か今日特別な日だっけ? 何か忘れてただろうか……?」
 レーゲンはうろたえながらいつきに問いかけます。何か特別な日を忘れていたのなら、いつきにすまないと思って。
「逆だよ。特別な日も伝えたいと思うけど、あえて普通の日も伝えたいって思ったんだ」
 にこっと笑っていつきは本当の事を教えました。
「ありがとう」
 レーゲンも自然と笑顔になります。そのあと、彼は悪戯っぽく言いました。
「ねぇ、せっかくの告白だし「好き」以外の言葉で聞いてみてもいい?」
 レーゲンは本当は「好き」でも充分満足しているのですが、ちょっとわがまま言ってみたくなったのです。色々な言い方で好きを表現して欲しいという気持ちもありましたが、好きな子を困らせてみたい心理も働いていたかもしれません。
 いつきは目をまんまるにします。
(「好き」以外? 「大好き」とか?)
 いつきは首を傾げて考え込みました。好きとか、大好きとか、気持ちはたくさんあるし、言葉の表現もあるけれど、何が一番ふさわしいのでしょう。
(……でもミカに「大大好き」と言ったし、いっぱいいっぱいのレーゲンへの気持ちを伝えようというなら、やっぱり「あの言葉」?)
 ミカへ言った言葉をレーゲンにも言うのは少し違う気がしたのでした。ミカの事も好き、レーゲンも好き、その事に違いがある訳ではないけれど、同じ言葉で表現するのは、なんだか悪い事のような気がしたのです。ミカへの好きと、レーゲンへの好き。それはやっぱり違う事なのだし……。それがどういうふうに違うのかは、いつき自身にもよく分からない事なのだけれど。
 それで、いつきは、このとき一番ふさわしいと思った言葉でレーゲンに告白しました。
「あっ、あの……愛、して、ます」
 真っ赤になりながら、それでも一生懸命に懸命に言ってくれるいつき。
 とてもとてもいとおしくて、感極まってしまって、レーゲンは彼をためらいもせずにぎゅっと抱きしめました。
 もうほおずりしそうな勢いです。
(いつきが言ってくれたのなら、私もちゃんと言わないとね)
 抱き締めながら、レーゲンは自然とそんな気持ちが沸き起こってきます。
「愛してるよ、いつき。病める時も 健やかなる時も、そして普通の時も、ね」
 彼にとって一番ふさわしい言葉はそれでした。
 レーゲンにぎゅっと抱き締められた事はいつきにとっては凄く嬉しい事です。
 でも。
「でも、どうしてレーゲンはそんなに自然に言えるのっ」
 いつきはレーゲンが平然と言った言葉が恥ずかしくてならないのです。
「言えるよ。だって本当のことだから」
 すました顔でレーゲンは答えるのでした。
「本当にさらっと言うね……。あー顔真っ赤になっちゃった。これはたまにしか言えないなぁ……」
 いつきはそう言ってレーゲンからちょっと顔を背けます。確かにその顔は夕空よりも赤くなっていて、目はキラキラと濡れたように光っていて、顔を背けているように非常に愛らしく魅力に溢れる仕草と表情なのでした。
(しまった調子のりすぎたかな)
 レーゲンは慌ててしまいます。いつきからの「好き」も「大好き」も「愛してる」も、いつだってレーゲンは欲しいのです。
「たまになんて言わないで「好き」で充分だからいっぱい言って下さいお願いします」
 焦っていつきにお願いするレーゲン。
 そんなレーゲンの腕の中で、いつきは横を向いたまま、なんだか考えている様子。
 自分が「好き」と言えば、レーゲンは必ず「好き」と返してくれます。
 「愛してる」と言えば、「愛してる」と返してくれます。
 そんな絶対の愛情をくれる存在は、いつきにはずっと遠かったはずなのです。レーゲンと出会い、ミカと出会い、それから、どんどん広がってきたいつきの世界の中心で、レーゲンは揺るぎない愛をくれます。それに対して素直になれないのは、多分、幼い頃の記憶があるから。その記憶を乗り越えて、どんな時も素直に、レーゲンに「好き」「大好き」「愛してる」をさらりと告げられるようになるには、まだちょっとだけ時間がかかるのかもしれませんね。
 大丈夫、きっと言えるようになります。だって、いつきだってこんなに、レーゲンの事を愛しているのですから。

●セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)編

 セイリュー・グラシアと精霊のラキア・ジェイドバインは、今は大勢の猫やレカーロと共に同じ家で暮らしています。そのため寝起きは一緒です。
 その日、セイリューは寝る前のストレッチの時にこう思い立ちました。
 ストレッチ中ですので、どちらも動きやすいジャージ姿です。ラキアはだぼっとしたTシャツに短パンですが、セイリューの方は黒いランニングに膝丈のジャージのズボン。その格好で、かわるがわる屈伸で背中を押したり、両手を組んで脇腹を伸ばしたり、ストレッチ体操をするのが日課なのでした。
 その日課をしていた時に、不意に、セイリューは思ったのです。ラキアがとても大切な存在だと。
(感謝の気持ちとかさ。好きってのを伝えるのは、出し惜しみすることないじゃん? だからさ、この気持ちをラキアへ告白だ!)
 そういう訳で、屈伸をしている最中に、屈んでいるラキアに向かってにっこり笑顔で言い放ちました。
「こうやってさ、ラキアと一緒に過ごしていると、幸せって思うんだぜ」
 ラキアはストレッチの動きを止めて目をぱちくりさせています。
 夜、寝る前に、体を伸ばしている時にいきなり言われたのですから、脳がついていきません。
「作ってくれるご飯美味しいし、栄養バランス最高だし、トレーニングもやりすぎないように気をつけてくれているし、毎日ホントに感謝しているんだぜ」
 ラキアがびっくりしているのにも関わらず、セイリューは笑顔でガッツポーズで続けます。
「そういうラキアがとっても大好きだ!」
 感謝の気持ちも、好きの気持ちも、真っ直ぐにセイリューはぶつけたのでした。
(色々とセイリューの身の回りの世話とか、トレーニングの手伝いとか。いつの間にかしてしまっているのだけれど。案外、セイリューって感謝の言葉を言ってくれてるんだよ、普段からも……)
 突然の告白に対して、ストレッチの途中で動きを止めたままぱちくりしていたラキアですが、色々とセイリューの事を思い出しました。セイリューは率直な性分ですから、嬉しかったり楽しかったり、喜んでいたりすれば、何でもそれを顔に出すし口にも出すのです。
(「サンキュー♪」とか。それも、とても嬉しそうにね)
 日頃のセイリューの言葉を思い出して、ラキアは苦笑してしまいました。
「……だから改めてこんな感じで超絶ストレートに感謝と「大好き!」とか言われると。とても嬉しいし、君のそういう真っすぐな所がやっぱり大好きなんだと、改めて感じられちゃって」
 そう言って軽くため息をつきながら、ラキアはようやく起き上がってセイリューの事を真正面に見るのでした。セイリューが自分を大好きだと言ってくれる程度には、ラキアだって大好きだと思っているのですから。
「何? 随分ストレートな表現? いいんだよ。好意は真っすぐ正直にキッパリと告げるものだ! そしてギュッと抱きしめるんだ」
 そういう訳で、セイリューは真っ直ぐに起き上がったラキアに対して何のためらいもなく飛びついていって大きくがばっと抱き締めるのでした。
 風呂上がりなので、彼の体からは清潔な石鹸の匂いとかすかな汗の匂いがします。それと体温の高いセイリューのぬくもり。とてもあたたかい感触に、ラキアは嬉しくなります。
「何、大きいワンコですか君は。ふふふ。でもこういうことで幸せだなって改めて感じるよネ」
 大きいワンコとはそのとおりかもしれません。
 もふもふの尻尾をぶんぶん振り回しながら、大好きな飼い主に飛びついていくワンコ。
 セイリューはそんなふうにも見えます。
 そんなセイリューの頭をラキアはぽむぽむと撫でるのでした。言うなれば、セイリューは、愛想がよくて躾もよくて正義感が強く、愛情たっぷりの大型犬。
 とても愛すべき存在です。
「俺も大好きだよ。だから、任務の時も余り無茶したらダメだよ」
 頭をぽむぽむされて、セイリューはとても嬉しそうです。
 大型犬ならば、尻尾が千切れそうなぐらいぶんぶん振っていた事でしょう。
 そして彼はラキアに抱きついたまま、極上の笑顔で言い切りました。
「ラキアが一緒だから、どんな時でも大丈夫!」
 竹を割ったように真っ直ぐ。
 単純明快。
 その性分のままに愛情表現も極めてストレートでわかりやすく、あたたかい。
 彼に愛されるラキアは、家族は、間違いなく幸せ者です。彼はいつだって全力で家族を愛し、守るでしょう。それに対して、ラキアも、猫もレカーロ達も、真っ直ぐな愛情をセイリューに返していくのです。それはとてもあたたかくて太陽の光のような光景。夜中でもセイリューの周りには太陽の輝きが見えるようです。それは彼のヒーローのような性分と、真っ直ぐな愛情のなせる技。
 セイリューの体を抱き返しながら、ラキアは自分の心が、存在が、光で満たされていくのを感じいました。
(今日も、明日も、明後日も、君が君らしく、俺が俺らしく、家族があるべき場所で満たされて、幸せであれますように。俺が君の幸せを、君が俺の幸せを、守り、お互いに信じ合い、愛し合って生きていけますように……)



依頼結果:大成功
MVP
名前:セイリュー・グラシア
呼び名:セイリュー
  名前:ラキア・ジェイドバイン
呼び名:ラキア

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月30日
出発日 08月07日 00:00
予定納品日 08月17日

参加者

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