告白(森静流 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 振り返れば、思い出すのは、あなたの笑顔ばかり。
 一緒にいて、辛い事も悲しい事もたくさんあったけれど、いつも、最後に思い出してしまうのは、あなたの笑顔。
 その笑顔がどれほど身近で、それでいてとても遠くて、いつも、いつだって、支えてくれたことだろう。
 そのことを噛みしめるたびに、自分は強くなれるような気がした。
 そばにいてくれる事に甘えてしまって、すれ違いが多くなって、そんなときも、最後には、笑顔で迎えてくれたあなた。
(でも、もう……すれ違う事のないように)
 いつも、いつだって、そばにあった笑顔。
 それを二度と離さないと決めたのだから、あとは行動に出なければ。
 いつもと違う服を身に纏い、あらかじめ決めていた場所に急ぐ。
 そこに、相方が来る事は分かっているのだから。
 吹きすぎるのは夏の風。
 眩しく輝く頭上の太陽。
 昨夜、降りしきっていた雨が、水たまりを作って輝く青空を映している。
 キラキラ眩しい季節の中に、やがて通り過ぎるあなたがやってくる。
 さりげなく手を振って、顔が引きつっていないか気になる。
(二度とすれ違う事のないように、決めたんだから)
 だから、行動に出るのだ。
 自分の一番正直な心を告げるのだ。

 あなたが立ち止まる。

 その前に一歩進む。

 手にしていたのは、重くならない程度のプレゼント。
 選ぶのにどれぐらい時間がかかったのだろう。
 だけど、そんな時間を感じさせないように、ぱっと差し出して、はにかんだ笑顔を見せる。

「ねえ、知ってる?」
「何を?」

 プレゼントを受け取りながら、あなたは首を傾げる。

「……のこと--大好きなんだよ」

 そう、告げたかったのはその言葉。女神ジェンマの愛の祝福の言葉。その言葉を祈るように捧げれば、あなたは笑ってくれるだろうか。また、笑顔を私に向けてくれるだろうか。

 ひょっとしたら今の関係が終わってしまうかもしれないけれど、勇気を出して、告げるのだ。あなたの笑顔を二度と見失う事のないように。今より一歩、前に進んで、二人で幸せになれるように……。

解説

今回のハピネスエピソードは、ズバリ、”告白”です。
神人から精霊へ、でも、精霊から神人へ、でも構いません。
”あなたが大好き”という愛の告白を行ってください。
プランの方には、いつ、どこで、誰が、誰に、どのような告白をするかと、そのときの相方の反応を書いてください。何故今告白するのかもあるといいですね。
本文中にありますが、プレゼントはあってもなくてもOKです。
皆様の萌える告白プランをお待ちしています!
ちなみに、重くならない程度のプレゼント(300jr)程度を購入しました。


ゲームマスターより

真夏にのたうち回りたくなるような告白が読みたい! そういう意気込みです!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リチェルカーレ(シリウス)

  向かいに座る彼をそっと窺う
子どもっぽい自分とは反対の 大人びた物静かな表情
伏せられていた目がこちらを見て どきり

ううん なんでもない
元気になったみたいで良かった
迷惑を という言葉にむっとした顔
落ち込んだり体調を崩すことを醜態なんて言いません!
無理をしないでって言ってるの!
声が大きくなり慌てて口を抑える
噴き出すシリウスに膨れそっぽを向く

フルネームでの呼びかけに視線を
胸が苦しくなるくらい 優しい翡翠の眼差しに息を飲む
プレゼントと彼を交互に見
幸せの青い鳥ね …わたしにくれるの?
ありがとうと はにかんだ笑顔

抱きしめられ 見る間に頬が赤く
…ずっと前から わたしの1番はシリウスよ
わたしだって大好き
ありがとう …うん、側にいて


桜倉 歌菜(月成 羽純)
  告白する方
羽純くんにプロポーズして貰った事、今でも夢みたいで…
思ったんです
私、凄く幸せで嬉しいって事、ちゃんと彼に伝えられてるかなって
ついこの間は、醜い嫉妬をしてしまったし…
だから、羽純くんに日頃の感謝の気持ちと一緒に…私の気持ちを伝えたい
フローズンヨーグルトを手作りしクーラーボックスに入れて、羽純くんの仕事が終わる時間を見計らい渡しに行こう

夏の夜空を見上げて、ドキドキする胸を押さえて
閉店後のカクテルバーは少し寂しい雰囲気
窓越しに羽純くんの姿を確認したら、深呼吸して扉を開けます

お仕事お疲れ様
ごめんね、驚かせた?
どうしても、羽純くんにこれを渡したくて…

羽純くん、いつも…沢山の幸せを、有難う
大好き


秋野 空(カルヴァドス)
  契約したばかりの2人目の精霊
まだタブロスに来て日が浅い彼に市内を案内
その別れ際
夕日に染まる公園

楽しんでいただけたなら良かったです、早く慣れると良いですね
挨拶を交わし、背を向ける
怪訝そうに振り返り
…どうか、しましたか?

微笑んで
別に永遠の別れという訳ではないんですから…

彼、とは同棲しているもう一人の精霊の事だろう
何が言いたいのか分からない、彼の言葉に当惑
え、えぇ、そうなりますね
素直に答える

状況がすぐに掴めない
彼の言葉にハッと

取り乱し押し返すが、力では敵わない
離してくださいっ、カルヴァドスさん!
えっ?
…ジェラル…ド?
困惑

解放され安堵しながら、立ち去る精霊を見つめる
彼の最後の一言が胸に棘の様に刺さる


●秋野空(カルヴァドス)編

 カルヴァドスは神人の秋野空の契約したばかりの二番目の精霊です。
 カルヴァドスはまだタブロスに来て日が浅いです。ある日、空はそんな彼を市内に連れだし、ざっと案内してあげました。
 最後に訪れたのは夕日に染まる公園でした。
 もう日が暮れるので、空は家に帰らなくてはなりません。
 その別れ際の時です。
「空さんのおかげで、今日は楽しかったです」
 カルヴァドスはさりげなくそう切り出しながら、内心は複雑でした。
 その揺れる緑色の瞳を見れば空も気がついたかもしれません。空は美しい夕焼けの方を見ていました。
(ジューンから引き離すため、空を誘惑するはずだった。手始めに俺の事を意識させるのが目標だったはずなのに……)
 それなのに、今は逆に、自分の方が空の事を意識しているとしか思えないのです。
 空は水色がかった銀髪と切れ長の紫の瞳を持つ、控えめで冷静な娘です。その日は、【ネックレス】ディープアビス、【イヤリング】ブルーペンデュラム、【ブレスレット】フラウブルー、ブライト・ラピスバーグと小物を全てブルー系でそろえ、青いボリュームスカートを履いていました。理知的でクールな空に、ブルーはよく映えました。そういえば、名前も青色を思わせるかもしれません。そんな空に対して、カルヴァドスは予期せぬ心の動きを感じていたのです。
「楽しんでいただけたなら良かったです、早く慣れると良いですね」
 空は丁寧にそう答えました。
 それから空は几帳面に挨拶をして、そのままカルヴァドスに背中を向けました。
 咄嗟に、カルヴァドスは空の腕を掴みました。全くの衝動で、自分でも何故そんな事をしたのか分かりません。
 空が不思議そうに振り返ります。
「……どうかしましたか?」
 クールな空の瞳を見ると、カルヴァドスはいくらか冷静さが戻って来ます。
「あ……いえ、すみません。貴女と過ごした一日があまりに幸福で……名残惜しくて、つい」
 空は苦笑してしまいました。
「別に永遠の別れという訳ではないんですから」
 空はカルヴァドスは何を突然うろたえているのだろうと思ったのです。
 そんな空に対して、カルヴァドスはわずかに苦しそうな表情になりました。
「…確かに、そうですが」
 緑色の瞳を切なげに揺らしてカルヴァドスは言葉を吐き出します。
「けれど貴女は帰るのでしょう、彼の元へ……」
 彼、とは同棲中の精霊であるジュニールの事でしょう。空はカルヴァドスが何を言いたいのかつかみきれません。当惑して顔を曇らせながらも、答えました。
「え、えぇ、そうなりますね」
 予想通りの答えなのに、カルヴァドスは胸に錐を食い込まされたような痛みを感じるのです。ただ、空に自分の事を意識させるだけのはずだったのに。それは、実家からの命令で報酬に釣られただけの事だったのに。何故、こんなに苦しいのか、カルヴァドスには自分で自分が分かりません。
 彼は呟きました。
「それは、永遠の別れに等しい」
 空には状況がつかめません。
 ですが、カルヴァドスの言葉に不穏なものを感じ取り、はっと身を引きます。
 しかし、カルヴァドスは空の体を引き寄せ、その胸に強く抱き締めました。
「……行かせたくないんです……」
 流石にクールな空も取り乱します。
 カルヴァドスの胸を突っぱね押し返そうとしますが、腕力ではかなわず、胸の中であがくだけの格好になってしまいます。
「離してくださいっ、カルヴァドスさん!」
 空は大きな悲鳴を立てそうになるのを理性で抑えつけながら、カルヴァドスの耳に向かって鋭く言い放ちます。
 カルヴァドスはその偽名に悲しみを感じ、空の事を強く抱き締めました。偽りの名ではなく、彼の本物の名、彼の本性を見て欲しいと願いました。
「それは俺の名じゃない。俺の本当の名は、ジェラルド」
 言ってはならないはずだったのに、彼は自分の本物の名を告げたのでした。
 空は驚きます。本当のカルヴァドスだと信じていたのに。
「えっ? ……ジェラル……ド?」
 彼が一体、何者なのか、何故このタイミングで、本当の名を明かすのか。空には何もかも分かりません。ただ困惑してカルヴァドスと名乗っていた青年の顔を見上げます。
 ジェラルドは、空の口からその名を呼ばれる幸福を噛みしめました。
 ジェラルドはそっと空から身を離しました。
 名残惜しそうに空を見つめます。
「それを望むのは間違いだと知っていますが、俺は……諦めません」
 そう告げて、ジェラルドは空の前から立ち去っていきました。
 やっと解放されて空は安心します。ですが、立ち去っていく精霊の背中を見ていると、不安が胸の中で波立っていくのでした。彼が最後に告げた言葉が、棘のように胸に突き刺さっています。
 夕焼け雲に溶け込むように去っていくジェラルドの背中。揺れる黒髪。揺れる眼差し。
 空は、切ない予感に胸が締め付けられるようでした。
 
●桜倉 歌菜(月成 羽純)編

 その日、桜倉歌菜は、精霊の月成羽純のためにフローズンヨーグルトを手作りしました。手際よくクーラーボックスに詰めていきます。
(羽純くんにプロポーズして貰った事、今でも夢みたいで……思ったんです。私、凄く幸せで嬉しいって事、ちゃんと彼に伝えられてるかなって。ついこの間は、醜い嫉妬をしてしまったし……だから、羽純くんに日頃の感謝の気持ちと一緒に……私の気持ちを伝えたい)
 そういう健気で元気な乙女心なのです。
 歌菜も任務のない時は働いています。おじいちゃんたちの経営する弁当屋の看板娘なのです。弁当屋の仕事をしながら、フローズンヨーグルトを作ってクーラーボックスに詰め終えたら、外はもう真っ暗でした。
 それでも歌菜は羽純に会いたくて、クーラーボックスを手に外に出ました。
 夏の夜空を見上げると胸がドキドキしてきます。これから羽純に会いに行くのですから。勿論、服装にもさりげなく気合いを入れています。歌菜はアビスドレスを着て純白のピュアヒールを履いています。小物は【ネックレス】ディープアビス、【イヤリング】ラピスドロップ、【ブレスレット】フラウブルー、サクセスマリッジ、と、涼しげな透明感のあるブルーで統一して、夏の季節を感じさせています。香水は清爽です。
 歌菜は大急ぎで、羽純の勤めているカクテルバーの方へ歩いて行きました。カクテルバーも方も閉店していました。
(なんだか少し寂しい雰囲気……)
 窓越しにバーの中に羽純を認めて、歌菜は深呼吸をします。羽純の方は、ムーン・アンバー号クルーコートに帽子で「アクアトレイス・パイレーツ」を合わせています。フェイクレザーグローブ、バックルベルトブーツ、エキドナボトムスと手足はゴシック。そして小物の【ネクタイ】クリムゾン・ボーダー、オーロラ・サファイア、デネべタイル・ディープブルーが夏らしさを感じさせます。カクテルバーの店員であることを羽純は意識しているようですね。
 歌菜は羽純の姿にますます胸を高鳴らせ、それから思い切ってドアを開けました。
「すみません、今夜はもう閉店で……」
 閉店後の後片付けをしていたらドアが開いたので、羽純はそう言いながら顔を上げました。
「お仕事お疲れ様」
 歌菜は快活に挨拶をします。
「って、歌菜?」
 羽純はびっくりして目を見開きました。
「ごめんね、驚かせた?」
 照れたように笑いながら歌菜は店内に入り、羽純に近づいて行きました。
「どうしたんだ? こんな時間に…」
 羽純はまだ動揺しています。
(まさか一人で来たのか)
 深夜に一人歩きした事を気にしているのです。歌菜は無意識に無防備になっていますが年頃の可愛らしい娘です。もしも変質者にでも狙われたらどうするのでしょう。
「どうしても、羽純くんにこれを渡したくて……」
 彼の少し怒っているような気配を感じて、歌菜は心持ちおずおずとクーラーボックスを羽純の前に差し出しました。
「俺に渡したい物?」
 羽純は怪訝そうな顔をしながらそれを受け取りました。
 中を開けてみると、ひんやりとした空気。歌菜の作ったフローズンヨーグルトが出てきます。爽やかな夏の氷菓子に、甘党の羽純の頬が緩みます。
「歌菜の手作りか?」
 そう訊ねると、羽純の事を真っ直ぐに見る歌菜と目が合います。
 歌菜の気持ちが伝わってきました。
 歌菜がどれぐらい、彼の事を思っているかということが。言葉にはしないけれど、言葉で表せるようなことではないけれど、歌菜は羽純の愛情を感じ取り、それを何倍にしてでも返したいと思っているのです。羽純からのプロポーズを心から喜び、感謝しているのです。
 羽純は不覚にも、顔が熱くなってくるのを感じました。
 じんわりと胸元があたたかくなってきて、歌菜に愛されている喜びと嬉しさが、込み上がってきます。
「俺だってな、お前の事が好きなんだから……。照れるのも当たり前だろ。余りジロジロ見るな」
 困ったように羽純はそう言い、歌菜の事をそっと自分の方に引き寄せました。歌菜の方から清爽の爽やかな甘い匂いが漂ってきます。羽純はその香りを胸に奥深く吸い込みます。香水の中に、歌菜の本来のミルクのような柔らかい匂いがありました。羽純はその匂いを感じ取り、にわかに自分が若い雄である事を自覚しましたが、それは理性で押し殺します。
 自分が男であることを自覚しながら、羽純は歌菜の耳元に甘くささやきかけます。
「本当に嬉しい。けど……夜道を一人で歩くのは危ないから、今度からは俺を呼べ。歌菜が呼ぶなら、何処にだって行ってやるから」
 歌菜の方もたちまち赤くなってしまいます。
「羽純くん、いつも……沢山の幸せを、有難う。大好き」
 感激した歌菜は率直な言葉で喜びを表現するのでした。
 なんだか真夏に暑さ真っ盛りになってしまった二人。
 そのあと仲良く、ひんやりしたフローズンヨーグルトを囲んで食べたのでした。氷菓子はたちまち溶けてしまったかもしれませんね。

●リチェルカーレ(シリウス)編

 その日、リチェルカーレは精霊のシリウスと雰囲気の良いクラシカルな喫茶店に来ていました。
 リチェは向かいに座る彼をそっとうかがいます。
 子供っぽい自分とは正反対の大人びた物静かな表情。リチェはシリウスの不機嫌そうな無表情から、今ではだいぶ感情を読み取れるようになってきました。シリウスは、今は落ち着いているようです。
 その日のリチェは、彼女によく似合うプリマヴェーラエプロンドレス。それにミルキーウェイオーバースカートを重ねて履いています。バッグはパンドラのお菓子箱。小物でオーロラ・サファイア、紅月の鬼灯、【下駄】イチョウの葉などで、夏が来た事を演出しています。
 シリウスの方は、夜行の袴「回天」にエンプロイイーシューズを合わせて夏を感じさせています。小物のリング「追憶の指輪」、護符「アエテルタニス・フラムマ」、蒼天のダイヤモンド、それらも全て夏の青を見せています。ですが、夜の色をした彼は、マント「マキナ・ラティオ」、ステラ・トランスウォランス、ヘッドアクセ「エレクトロ」などで月見を演出しているのかもしれません。
 ふとそのとき、シリウスの伏せられていた目がリチェの方を見て、目が合ってしまいます。リチェの青い瞳を見つめる翡翠の瞳。リチェはどきりと胸が高鳴ります。
 シリウスの方は、視線を感じたので目を上げたのでした。そこに、自分を真っ直ぐに見つめる瞳があり、軽く目を見張ります。
「……なんだ?」
「ううん、なんでもない」
 リチェは明るく微笑みました。そのあと、言葉を付け足しました。
「元気になったみたいで良かった」
 続けられた言葉に対して、シリウスは瞬きを一つします。
 それから苦く笑いました。リチェの前では彼はよく笑うのです。
「……迷惑をかけて悪かった。……次から、醜態を晒す前に何とかする」
 リチェはまず、迷惑をという言葉のところでむっとします。
 それから続けられたシリウスの言葉にますますむかっとします。
 それで思わずテーブルを叩きそうな勢いで言いました。
「落ち込んだり体調を崩すことを醜態なんて言いません! 無理をしないでって言ってるの!」
 思わず店内で大声を出してしまい、リチェははっとして口を押さえました。
 シリウスは叫ぶような大声に目を丸くしたあと、思わず噴き出してしまいました。
「……悪い」
 テーブルに伏せて顔を隠しながら、シリウスは肩を震わせてそう言います。
 リチェは噴き出して笑っているシリウスに対してそっぽを向いてしまいました。こっちは真剣だったと言うのに。
 そんなリチェの仕草を見ながら、シリウスの笑いはなかなか止まりません。
(自分のために怒って泣いて笑って……そんな人間がいるなんて 思わなかった)
 シリウスは、今までのリチェルカーレの様々な表情を思い出しました。初めて出会った時、戦っている時、二人で和んでいる時……。自然と脳裏に浮かんでくるのは、リチェの笑顔です。
「……リチェルカーレ」
 シリウスは彼女の名を呼びました。
 そして、そっと、彼女の方に小さな石のはめこまれた鳥のペンダントを差し出します。
「そばにいてくれて、ありがとう」
 フルネームの呼びかけに、リチェはシリウスに視線を戻します。
 そして、シリウスの胸が苦しくなるぐらい優しい翡翠の瞳に息を飲みました。
 少し慌ててしまいながら、プレゼントと彼を交互に見つめます。
「幸せの青い鳥ね。……私にくれるの?」
 シリウスは当然頷きました。
「ありがとう……」
 リチェははにかんで笑います。青い鳥のペンダントに触れて、そっと両手で大事そうに包みました。それは大切な宝物を扱う仕草でした。
 リチェの笑顔と静かな仕草が、シリウスの不安を鮮やかにかき消していきました。シリウスは僅かに、そのプレゼントがリチェの気に入らなかったらという不安を抱いていました。ですが、そんな心配は全く必要ありませんでした。
 ……リチェだって、シリウスの事を大事だと思っているのです。それを感じ取り、シリウスは自信を持ちます。
 シリウスはテーブルから立ち上がりました。リチェの方に近づいて行きます。シリウスに釣られて、リチェも自然に立ってしまいました。
「……いてくれるだけでいいと、以前言った。だけど望んでもいいだろうか。お前の一番近くにいる権利が欲しい。……お前が、好きだ。側にいたい……。いてほしい」
 息が触れ合うほど間近に立って、シリウスが熱っぽくかすれた声でそう言いました。
 そのままシリウスはリチェの体を胸に深く抱き取り、抱擁します。リチェはたちまち胸が熱く高鳴っていき、自分の頬が赤く染まるのを感じ取りました。
「……ずっと前から、わたしの1番はシリウスよ。わたしだって大好き。ありがとう……うん、側にいて」
 ただ素直な言葉を口から滑らせていきながら、リチェルカーレはシリウスの背中に腕を回していきます。リチェの方も力強く、シリウスの事を抱き締めて、彼の心臓の音に耳を澄ましました。シリウスが生きてい証の確かな鼓動。
 それは幸福が最高に高まった瞬間。人生のうちで最も忘れられない瞬間。リチェルカーレはシリウスのくれた青い鳥が、既に幸せを運んでくれた事を、確信していました。




依頼結果:大成功
MVP
名前:リチェルカーレ
呼び名:リチェ
  名前:シリウス
呼び名:シリウス

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月29日
出発日 08月04日 00:00
予定納品日 08月14日

参加者

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