プロローグ
「ここが噂の心霊スポットか……!」
そこは、近隣でも有名な『出る』場所でした。
「雰囲気出てるわよね」
男女総勢6名の若者達のグループ。
彼らが見上げる先には、闇の中に佇む『朽ちた病院』がありました。
「で? 何処に行けばいいんだっけ?」
「地下よ、地下。地下にね、秘密の手術室があって、そこに夜な夜な出るんだって」
「出るって何が?」
「勿論、幽霊よ! 狂気の医師が、血まみれの白衣を着て、メスを持って追い掛けてくるんだって」
「うわあ、コエー!」
若者達は顔を見合わせて笑います。
「じゃあ、早速行ってみようぜ! 懐中電灯は皆持ってるか?」
「勿論! 足元気を付けてね~」
彼らは笑い合いながら、ガラスの割れている入り口から、廃墟となった病院内に足を踏み入れたのです。
院内は暗く、湿って何処か淀んだ冷たい空気に満ちていました。
足元に落ちる砕けたガラスを踏む音が、やけに大きく響きます。
「ふ、雰囲気出てるじゃん……」
「面白くなってきたね」
彼らは明るく笑ってみせましたが、声はすっかり乾いていました。
兎に角、早く目的を済ませてここを出るに限る──誰もがそう考えて始めています。
「皆で手分けして、階段を探そう」
だから、そんな提案が出た時も、誰一人反対はしませんでした。
彼らは分かれて、地下へ向かう階段を探す事にしました──最初の元気さはなりを潜め、彼らは無言で階段を探します。
やがて、その内一人が階段を見つけ、仲間達を呼びました。
「これを降りたら地下に行けそう」
「よし、行ってみよう」
懐中電灯の照らす先には、昏い階段。彼らは震えながらゆっくりと地下へと向かいます。
地下は窓が全くなく、更に暗く暗く、息が詰まる様な空間でした。
「しゅ、手術室って何処だよ……」
「暗くて、よく見えないわ……」
皆の懐中電灯で照らしても尚、闇は深く、互いの顔さえ良く見えません。
「あ、あれじゃないか……!」
漸く彼らの内一人が、ぼろぼろの案内板を見つけました。
「この廊下を真っ直ぐ行けば、手術室みたいだ」
「い、行くぞ」
彼らは廊下の奥へ向けて歩き始めます。
どれくらい歩いたでしょうか。
突き当たりに手術室の扉はありました。
扉を開くと、かびた匂いと共に、彼らは異質な『匂い』を感じました。
「なんだ? この匂い……」
若者達は不安に震えながら、周囲を確認する為に懐中電灯を向けます。
そして、数秒後──絶叫しました。
手術台の上には、彼らの仲間の一人が、変わり果てた姿で息絶えていたのです──。
※
「ようこそ、ミラクル・ミステリーへ!」
パッとスポットライトに照らされて、ミラクル・トラベル・カンパニーのツアーコンダクターが優雅にお辞儀しました。
「これより皆様には、この憐れな青年を殺害した犯人を見つけていただく事となります」
ツアーコンダクターが示す先、手術台の上では、胸にナイフを突き立てられ絶命した青年(のマネキン)があります。
「ただいまの時間……20時から、明日の朝6時まで、この廃病院の中を自由に探索してください。そして、犯人とそう考えた理由を発表していただきます」
そこで言葉を切ると、ツアーコンダクターは背後に控える役者達へ視線を向けます。
「容疑者を演じる役者の皆様は、完全にその役柄の人物として廃病院内に居りますので、ご自由に話し掛けてください」
ツアーコンダクターの言葉に、役者たちがお辞儀をして応えます。
「捜査をせず、廃病院内を肝試し感覚で自由に楽しんでいただくことも可能です。
なお、この廃病院は所謂『セット』ですので、『本物』が出る事は御座いませんが、稀に我々スタッフによる『悪戯』が御座います。
どうぞ、お気を付け下さい」
ツアーコンダクターは、パチンとウインクしました。
「なお、廃病院の外には、休憩用のテントをご用意しておりますので、ご自由にお使いください。
お食事やお飲み物のご用意もございます。
ご希望があれば、テントにお食事を運ぶ事も可能ですので、お気軽にお申し付けください」
ミラクル・トラベル・カンパニーの腕章を付けた数人のスタッフが、白い歯を見せて笑いました。
「明日の朝6時に、廃病院2階の会議室で皆様の推理を披露していただきます。お時間になったら、お集まりください。
その他、何か御座いましたら、お気軽にスタッフまで仰ってくださいませ。
それでは、皆様、楽しいミラクル・ミステリーを!」
☆☆☆
『廃病院の施設紹介』
1階……玄関ホール、外来受付、外来診察室、処置室、化学療法室、検査室、レントゲン室、薬局、売店
2階……医局、会議室、事務室、図書室、中央材料室
3階……一般病棟
4階……一般病棟
地下……手術室ホール、手術室、霊安室
各階へは階段、もしくはエレベーター(北と南に一台ずつ)で移動可能。
電気系統は、エレベーター、一般病棟の数室のみ現在も使える状況。
照明はほぼ無いため、院内の移動には、懐中電灯(貸出あり)が必須。
『被害者』
・アベル(21歳)♂…仲間達と共に、廃病院に肝試しに来ていた。お調子者な性格。手術室にある手術台の上で、死亡しているのが発見された。
死因…胸をナイフで刺された事による失血死。
『容疑者一覧』
※被害者が死亡した際、廃病院に居た人物
<肝試しに来ていたグループ>※スタート時は、皆、2階の会議室に居ます。
・ベネット(21歳)♂…グループのリーダー格。アベルとはコーラを巡って恋敵だった。
・チェルノ(19歳)♂…アベルの弟。真面目な性格で、肝試しにも反対していた。兄アベルとの仲は良くなかった。
・ディヴィ(18歳)♂…グループ最年少の、気の弱い青年。アベルに便利なパシリ扱いを受けていた。
・ベシー(22歳)♀…アベルとは元恋人同士。コーラに対して嫉妬心を抱く。
・コーラ(18歳)♀…グループのマドンナ的存在。アベルとベネットの気持ちには気付いているが、チェルノに好意を抱いている。
<その他>
・アルジー(?)♂…廃病院を根城にしている浮浪者。4階にある一般病棟の病室の一つに住み着いている。
解説
ミラクル・トラベル・カンパニー主催『ミラクル・ミステリー』に参加いただくエピソードです。
参加費用として、一律400Jr消費いたします。あらかじめご了承ください。
皆様は、殺人事件の犯人を突き止める為、『探偵』として事件を探っていただきます。
明日の朝6時までに、廃病院内を捜査して、真相を推理してみてください。
推理を行わず、雰囲気だけ楽しんで過ごす事も可能です。
※指紋鑑定などの専門的な鑑定作業はできません。
廃病院の外、一組につき一つ、テントがご利用頂けますので、休憩や就寝はそちらでお願いします。
テントの前には、テーブルや椅子も用意されていますので、そこで食事や休憩が可能です。
ミラクル・トラベル・カンパニーのスタッフは、廃病院前のスタッフ用テント、ならびに廃病院内の外来受付に待機しています。
推理を行われる方は、プラン内に犯人の名前と、トリックや動機を明記してください。
※一プレイヤー様に付き、一人のみでお願いいたします。
神人さんと精霊さんで、意見を合わせて発表してください。
記載例:
犯人=アルジー
動機:肝試しに来た若者グループの振舞いに腹が立ち、殺害した。
トリック:若者達が廃病院で地下への階段を探している時、階段を見つけ、抜け駆けで先に地下へ降りて来たアベルを殺害した。
トリックや動機は、自由に想像してみて下さい。
面白いと思ったものを採用させて頂きます。
全員の推理が入り混じり、面白い結果になる事もあるかもしれません!
※都合上、反映できない場合もございますので、予めご了承ください。
※以前の『ミラクル・ミステリー』のリザルトを読んで頂ければ、雰囲気が掴めるかもしれません。
【枯木/船旅】ミラクル・ミステリー特別編
https://lovetimate.com/scenario/scenario.cgi?type=1&seq=1501&gender=0
ゲームマスターより
ゲームマスターを務めさせていただく、『怖がりな癖にお化け屋敷は必ず入る方の』雪花菜 凛(きらず りん)です。
ミステリー風味なエピソード『ミラクル・ミステリー』を、夏っぽい舞台でお送りいたします。
勘やアイデアで、犯人を当てられたらラッキー!なエピソードです。
動機やトリックは、思い付くままご自由にプランに記載してください。
皆様のプラン次第で、展開が七色に変わります!
勿論、肝試しな雰囲気だけお楽しみいただく事も歓迎いたします。
是非、お気軽にご参加いただけますと嬉しいです♪
※EXの為、アドリブ多めになりますこと、予めご了承ください。
皆様のご参加と、素敵なアクションをお待ちしております♪
リザルトノベル
◆アクション・プラン
日向 悠夜(降矢 弓弦)
廃病院で殺人事件…色んな意味でわくわくだね! 懐中電灯は私が持つよ 地下の階段を見つけた時点ではアベルは生きていたのかな? 最後にアベルを見たのは何時か…グループの皆に聞き込みだね 後、争う様な声が聞こえたかアルジーさんに聞いてみたいな 彼にお菓子を渡しながらね 廃病院を回っている間に『悪戯』があったら思わず弓弦さんに抱きついちゃうかも 山奥のお堂で夜を明かした事もあったから 怖いのは苦手じゃないんだけれど…吃驚系はそうでもないみたい あはは 廃病院を一通り見たら情報整理の為にテントで休憩 コーヒーを飲んで頭をスッキリ 今回は恋愛のごたごたかなーって思ってたけれど、弓弦さんの意見にそってディヴィが犯人で考えてみようか |
和泉 羽海(セララ)
…あたしは好き…だけど… このひと…ホラー嫌いじゃ…なかった、け…? …まぁ理由はまとも…だし…女子二人は外しても…構わない…かな 気になるのは……凶器がどこから…来たのか… なんでチェルノが…反対してたのに参加したのか…って事… 犯人=チェルノ …例えば…肝試しを企画したのがお調子者のアベルだとしたら 幽霊役をディヴィにやらせて、皆を驚かせようとしたり…? あわよくばコーラとも近づけるかもしれないし… でもその計画をチェルノが知ってしまい、止めさせるために参加 ディヴィをナイフで脅してやめさせようとしているのを アベルに見つかり、暗闇で揉めている内にナイフが… つまり、これは不慮の事故だった…とか…どう、かな…? |
レベッカ・ヴェスター(トレイス・エッカート)
本格的だし、中々面白い趣向よね 別に怖くないわよ こういう場所は慣れてるし 気になるのは凶器 噂だと出るのはメスを持った医師って話よね だからこのナイフは犯人が持ち込んだものと思うの エッカートさんは推理小説とかも読むの? 詳しそうだし、何か思う事とかないかしら …そういうのじゃなくてね これは意図せぬ事故だったんじゃないかしら アベルはお調子者 先に手術室へ入り幽霊のフリ 他の人を驚かせようとした 凶器がナイフなのはメスの準備が出来ず 犯人はディヴィじゃないかしら 気が弱いのなら幽霊に扮したアベルの正体に気づけないくらい錯乱してしまったのかも アベルはお遊びのつもりでも、ディヴィは必死で抵抗 ナイフを奪い取り、そして…とかね |
ミミ(ルシード)
推理は楽しみだけど廃病院はちょっと怖い、かも ルシードさんも一緒なら大丈夫かな…? 誰が犯人なんだろう まずは情報が欲しいな 探索中は思ったより暗くて怖くて 精霊の背中をぴったり付いていく 犯人:コーラ 動機:恋心ゆえに トリック: 私も実感したけど、肝試しって色々とどうしても距離が近くなるというか… だからアベルさんは分かれたあとすぐにコーラさんの所に向かったんじゃないかな コーラさんもそれを予測してて今回の事件を計画してたんだと思うの コーラはチェルノに好意があり チェルノはアベルと仲が悪かった 機会に乗じてチェルノさんの憂いを取り除こうとしたのかなって ええと、つまり… 恋は盲目、かなあと 恋する乙女は強い…、らしいよ? |
アラノア(ガルヴァン・ヴァールンガルド)
面白そうと思って来てみたものの… そういえば最後にお化け屋敷に行ったのっていつだったっけ…? あ、うん…そうだね…(そわそわ た、楽しそうだね…(そわそわ な、なんでもないよっ ここはただのセット… 作り物作り物… 言い聞かせて深呼吸 頭のスイッチ切り替え …よし 精霊と一緒に話を聞く 各部屋を調べて気づいた事等メモ 途中悪戯され わあぁっ?! 作り物だろうがやっぱり怖いものは怖かった 咄嗟に飛び退いたせいでその先にいた精霊とぶつかる わああごめんなさい…?!(混乱 えっ…? う… 確かに驚く度にこれだと周りに迷惑が… 大人しく手を繋ぐ 怖くなくなったけど… ああやっと慣れてきたと思ってたんだけどなぁ… 好きな気持ちが大きくなってきて困る |
●1.
暗い手術室の中、その遺体は懐中電灯の明かりに不気味に浮かび上がっていた。
薄汚れた手術台に倒れ込むようにして、青年は絶命している。
心臓付近に突き立てられたナイフが致命傷であるのは、誰が見ても明らかだった。
ナイフの刺さった部分はどす黒い血が衣服を染め、手術台の下にも血だまりが出来ている。
とても良く出来た人形だ──と、和泉 羽海は思った。
驚き恐怖に歪んだ顔で、青年の時が止まっている。
その表情もとてもリアルで、人形だと言われないと、ぱっと見ただけでは本物と勘違いしてしまいそうだ。
(血糊も凄くリアル……)
まじまじと手術台の観察していると、くいくいと袖口を引かれた。
「ねーねー羽海ちゃ~ん」
眉を八の字に曲げて、こちらを見下ろしているのは、羽海のパートナー、セララだ。
「死体ばっかり見ててもアレだしさ、そろそろ……ここ出ない?」
セララはにこにことこちらを見ている。羽海はぱちぱちと瞬きした。
(そういえば……)
表情こそ笑っているが、セララは小刻みに震えているように見える。彼の持つ懐中電灯の明かりも彼と一緒に揺れていた。
(……あたしは好き……だけど……このひと……ホラー嫌いじゃ……なかった、け……?)
視線を向ければ、セララはぶんぶんと大きく首を振った。
「ホラーがダメなんじゃないよ! 血がダメなだけだよ!」
ぐっと親指を立てて、セララは白い歯を見せる。
「今回は作り物だから平気!」
(……まあ、そういう事なら)
羽海が小さく頷くと、セララはHAHAHA☆と笑ったが、声は乾いていたし膝だって震えていた。
(でも、もう少し、ここで確認したい事が……)
羽海の視線が再び死体(人形)を向くのに、セララは逃げ腰になる足をぐっと踏ん張りながら同じ方向に懐中電灯を向ける。
(気になるのは……凶器がどこから……来たのか……)
青年の胸に刺さったナイフはまだ比較的新しいもののようで、柄も見える範囲の刃の部分も綺麗な輝きを放っていた。
「そっか、病院内で凶器を調達するならメスとかだよね……」
羽海の唇の動きで、彼女の言いたい事を理解したセララは、なるべく血を見ないよう、ナイフだけに意識を集中し瞳を細める。
その柄に特徴を見つけて、セララは指差した。
「羽海ちゃん、これフォールディングナイフだ」
(フォール、ディング……?)
「折り畳みナイフの事だよ。ブレードを柄に収納する所があるでしょ?」
セララの指先が示す先に、確かに刃を格納できる構造を見つけて、羽海は大きく頷いた。
(こんなナイフ……普通、病院には、ない……よね)
「ってことは、誰かが持ち込んだのかな?」
(その可能性は、高いと……思う……)
羽海が顔を上げるのを見て、セララは懐中電灯の明かりを手術台から周囲へと移した。
「何か手掛かりになるものでも、他に落ちてないかな~。そういえば、病院に出る幽霊?は、血まみれの白衣にメスを持ってるんだっけ?」
(……それらしきものは、なさそう……)
一通り辺りを見渡してから、羽海とセララは手術室を後にした。
「ねぇ、羽海ちゃん。オレ思うんだけど……まず女の子は除外しよう」
(それって……犯人から、ってこと……?)
歩きながら羽海が見上げれば、セララは大きく頷いた。
「だって女の子だし?」
セララの瞳がキラリと光るのに、羽海の瞳がどんよりと半眼になる。
「ま、まままま待って、ちゃんと理由もあるよ!」
セララは慌てて全力で両手を振って主張した。
「いくら不意打ちできたとしても、素人が急所を一突きなんて無理だよ! 体格差だってあるし!」
セララはトンと己の胸を叩いて見せる。
確かに──羽海は口元に手を当てて考えた。殺されていたアベルは、決して小柄な青年では無かった。
彼を一突きで仕留める事が、非力な女性に果たして可能なのだろうか?
「それに、万一ベシーちゃんが狙うならコーラちゃんだろうし……コーラちゃんには動機がなさそうじゃない?!ね!」
(……まぁ理由はまとも……だし……女子二人は外しても……構わない……かな)
羽海が一つ頷けば、セララは万歳をし、そのまま羽海に抱き着こうとして──。
「……!!!?」
突如固まった彼に、羽海は首を傾けた。
「う、うし……うし……!」
(……牛?)
「う、うしろ……!!」
セララが指差す方向、懐中電灯の光が射すそこへ、羽海はゆっくり振り返る。
『ヒヒヒヒヒ!』
「!」
顔の無い白衣を着たナニカが、狂ったように笑っていた。
目も鼻も口も、何もない白いカオ。血に濡れた白衣。
確かに笑っていたのに、それは羽海が視線を向けたタイミングで、すぅっと空気に溶けるように消えたのだ。
羽海は何かが居た空間に指先を伸ばすが、指先は空を切るだけで、何も指先には触れる事はなかった。
(……あれが噂の幽霊?)
首を傾けてから、羽海は視線を下に向けた。
(……大丈、夫?)
「は、はははははは……お、驚いた! マジ驚いた!」
セララはその場に膝を付き、羽海の腰に抱き着いて震えていた。
羽海は思わず身を引いて彼から離れようとして、でも震える彼がちょっぴりだけ可哀相になったので、暫くそのままにしてあげる事にする。
「羽海ちゃ~ん! まじ天使!!」
感動にむせび泣きながら、セララはぐりぐりと額を羽海のお腹にすり寄せて来た。
(……前言撤回……)
羽海は、ていっとセララの両肩を押した。
「ええええええッ!? どうして~!?」
ごろごろ床を転がるセララを見下ろして、羽海は何だか頭痛のする頭を押さえる。
(……そのままだと、服、汚れるよ……?)
「うわあ! 埃まみれだ……!」
がばっと起き上がって、ぺしぺし己の服を叩くセララに、羽海が小さく笑ったのに気付いたのは、隠れて様子を見ていたスタッフ達だけだった。
●2.
ガルヴァン・ヴァールンガルドが、真剣な眼差しで周囲を観察している。
その隣で、アラノアは想像よりもずっと暗く不気味な空間に、そっと胸元に当てた手を握った。
手術室だというここは、地下という事もあり闇が深い。
ガルヴァンと二人で照らす懐中電灯の明かりも頼りなく、一歩彼から離れてしまえば、その姿を見失ってしまいそうだ。
懐中電灯の光を動かせば、何処か不気味な埃だらけの薄汚れた医療器具と、そして無残な遺体(よく出来た人形)が視界に入って──……。
(面白そうと思って来てみたものの……そういえば最後にお化け屋敷に行ったのっていつだったっけ……?)
自然と懐中電灯を持つ手と握った拳に力が入って、アラノアは小さく息を飲んだ。
「確かに……何か出そうな雰囲気の場所だ。面白がって今回のグループのように肝試しをする若者達も多いのだろう」
ガルヴァンは、床に散らばる錆びたメスらしきものを見て形の良い眉を上げる。
「見ろ、足跡が無数にある。今回来た連中のモノか、はたまた以前に訪れた人間のモノか……」
うっすらと埃が積もった場所に、踏み荒らされた跡が残っているのを指差し、ガルヴァンがアラノアを見た。
「あ、うん……そうだね……」
ワンテンポ遅れて、アラノアは慌てて頷いた。
「……?」
ガルヴァンは訝しげに彼女を見てから、また視線を足跡へと向ける。
「……普通に考えて……幽霊の正体は、廃病院に住み着いているというアルジーだろうな」
ゆっくりと懐中電灯を周囲に向けつつ、ガルヴァンは己の考えを整理するように口を開いた。
「幽霊が実在するとは思えない……が、火のない所に煙は立たぬと言う……幽霊を作り出した人物が居る筈だ」
「……」
沈黙が落ちる。
ガルヴァンは、己の隣に立つアラノアの顔を見下ろした。
懐中電灯の頼りない光に照らされる彼女の顔は、何処か青白く見える。なのに、身体は何処かそわそわと動いているのだ。
彼女は、何故相槌も返事も寄こさない?──具合でも悪いのか?
「おい──……」
「あ、そ、そうだね。私も……そう思う……」
また一拍遅れて返事が返って来た。アラノアは、こちらを見上げて、笑顔を見せている。
しかし、やはりぎこちない。
ガルヴァンは、注意深くアラノアの様子を見ながら、更に話を続けてみる事にした。
「そして肝心の犯人だが……人間関係が中々拗れているな」
「う、うん……」
「探索で情報を集めるしかないな」
「そ、そうだよね……」
そわそわと、アラノアの肩が揺れる。視線が彷徨う。
「しかし、廃病院ミステリーか……面白い」
「た、楽しそうだね……」
「……」
今度こそ、ガルヴァンは真っ直ぐにアラノアの瞳を覗き込んだ。
「どうした?」
「え?」
アラノアは無意識に胸元で握り締めていた拳を慌てて解く。
「な、なんでもないよっ」
ぶんぶんと首を振ってから、アラノアはガルヴァンから顔を背けた。
(ここはただのセット……作り物作り物……)
何度も己に言い聞かせて深呼吸を一つ。
頭の中で、カチッとスイッチを切り替える感覚をなぞる。
(……よし)
ぐっと拳を握り直して、ガルヴァンに向き直れば、彼はとても怪訝な表情でこちらを見ていた。
(ガルヴァンさんはきっと……こういうミステリーもの、好きなんだよね……楽しんで欲しいから……しっかりしなきゃ)
「情報集めを、するんだよね?」
「ああ……取り敢えず、ここを出よう」
二人は手術室を出て、上の階を目指し階段へ歩き始めた。
歩きながら、刺すような視線を感じて、アラノアは隣をちらりと見遣る。
バチッとガルヴァンと目が合い、慌てて視線を逸らして、アラノアは前を向いた。
不審な行動を取ってしまった事で、彼に心配を掛けているのかもしれない。
いけない、こんな事では……アラノアが口を開こうとした時だった。
ひたりっ。
冷たくてぬるぬるしたモノが、首筋を滑った。
「わあぁっ?!」
アラノアは咄嗟に飛び退いて、そして──。
「ッ……」
物凄く近くで、ガルヴァンの息遣いを感じる。
アラノアがガルヴァンに思い切りぶつかってしまい、彼女が彼の胸の中に居るからなのだと──アラノアが気付くまで、数秒。
「わああごめんなさい……?!」
瞬間、沸騰する頭で距離を取ろうとしたアラノアの腕を、ガルヴァンの手が掴んだ。
「……大丈夫か?」
「あ、その、私は……大丈夫」
「そうか……」
ガルヴァンは、はぁと息を吐き出してアラノアの腕を解放してから、真っ直ぐにこちらを見つめて来る。
「……手を貸せ」
「えっ……?」
「……これ以上暴れられても困るからな」
「う……」
アラノアは、手を差し伸べてくるガルヴァンと、その彼の手を交互に見た。
(確かに驚く度にこれだと周りに迷惑が……)
暗闇の中、懐中電灯の明かりに照らされる彼の手にそっと手を重ねる。
(大きな手……温かい)
確かな温もりと存在感に、乱れていた心が落ち着いていく。
(怖くなくなったけど……)
直ぐ隣に並ぶ彼を見上げる。艶やかな髪が息遣いにふわりと揺れて。
(ああ……やっと慣れてきたと思ってたんだけどなぁ……)
胸が熱い。さっきよりもずっと速く、制御出来ない。
(好きな気持ちが大きくなってきて困る)
繋いだ手から鼓動が速い事に気付かれない事を、ひたすらに祈る。
「……行くぞ」
手を握り返してガルヴァンは歩き出した。アラノアもそれに従う。
──これ以上暴れられても困るから。
ガルヴァンは己で言った言葉に、違和感を覚えていた。本当にそれが理由なのか? それは建前では?
(──解っている。……だがこの気持ちに名を付ける決定打がない)
ただ、今はこの温もりを離したくはない。
ぎゅっと強く、指を絡めた。
●3.
レベッカ・ヴェスターは、特に変わった様子もなく、懐中電灯で辺りを照らしながら手術室を見渡していた。
今はもう動かない手術用の器具と思われるものに躊躇いも無く触れて、埃を払い観察している。
(場所も雰囲気も相まって、どう反応するのか気になってはいたが……)
トレイス・エッカートは、小さく息を吐き出した。
しかし、全くの平常通りとは……恐れ入った。
「こういう場所、怖くはないのか?」
一応尋ねてみれば、レベッカはこちらを振り返り、微笑む。
「別に怖くないわよ。本格的だし、中々面白い趣向よね」
「楽しそうでなによりだ」
「こういう場所は慣れてるし」
埃の付いた手を払い、レベッカは手術台の上の遺体(人形)を見遣った。
「やっぱり、気になるのは凶器よね」
「凶器?」
トレイスは、レベッカの視線の先に懐中電灯の明かりを向ける。
被害者の胸に刺さったナイフが、不気味に光った。
「ええ。噂だと……出るのはメスを持った医師って話よね」
「この廃病院に出るという噂の幽霊か」
「だから、このナイフは犯人が持ち込んだものと思うの」
レベッカはナイフを覗き込んだ。
「病院にありそうなナイフじゃないし」
「……ブレードをハンドルに収納する事が出来るタイプの折り畳みナイフか。比較的新しいものに見えるな」
トレイスもレベッカと一緒にナイフを観察する。錆一つなく光るナイフは、確かに廃病院には似つかわしくない。
「つまり計画的な犯行、と」
「そういう事ね。あらかじめナイフを用意していたと考えるのが自然だわ」
「成程」
トレイスは顎に手を当てて、思案するように瞳を細める。
「それだと、手術室にどうやってアベルを連れてくるかが焦点になりそうか」
その横顔を眺めて、レベッカは懐中電灯を手術台の外へ向けた。床には薄汚れた包帯が転がっている。
「エッカートさんは推理小説とかも読むの?」
「どうして?」
「詳しそうだし、何か思う事とかないかしら」
「思う事……」
トレイスは手術台の上を見上げた。手術室独特の無影灯が、今は光を放つことなく佇んでいる。
「そうだな、小説なら犠牲者が一人というのは盛り上がりに欠けるな。もう一人や二人くらいは……」
「……そういうのじゃなくてね」
レベッカは思わず半眼で彼を見遣った。
「まあまだ情報が少ない」
トレイスは肩を竦めて微笑む。
「ナイフが気になるなら、容疑者達に確認してみるのもいいんじゃないか?」
「そうね。得られる情報はもう無いみたいだし……行ってみましょうか」
二人は手術室を出て、しんとした廊下へと出た。
手術室ホールを抜けるとエレベーターがある。
「動くみたいね」
レベッカは迷わずそのスイッチを押した。ポーンという音と共に扉が開く。エレベーターの中は別世界のように明るかった。
「……乗るのか」
さっさと中へ入るレベッカの背中に思わず呟いて、トレイスもそれに続いた。
レベッカが二階、そして閉めるのボタンを連続して押せば、扉が閉じてカゴは上昇を始める。
「こんな病院のエレベーターに乗るとは……」
「エレベーターの方が速いでしょ?」
あっけらかんと言い切った彼女の横顔を見て、漸くトレイスは思い出した。
そうだ。そういえば──彼女は、病院勤めだった。
ポーンと、エレベーターが到着を知らせる音を鳴らす。ゆっくりとドアが左右に開いて──。
ぽたっ。
不意に上から落ちて来た何かに、レベッカは言葉を失った。
エレベーターの入り口の上から、血が滴り落ちている。
ぽーんっ。
そして、少し遅れたタイミングで、青白い顔の生首が落ちて来て、床を弾みこちらに転がって来た。
「きゃ……!」
思わず一歩後ずさりバランスを崩したレベッカの身体を、トレイスが支え彼女を背に庇うようにして前に出て、身構える。
「あ……」
「消えた……?」
次の瞬間、生首は煙のように消えて、滴り落ちていた血も跡形も無く消失した。
「……驚いたな。どんな仕掛けなんだ?」
トレイスはレベッカの手を引いて、エレベーターから出る。
「……エッカートさん」
「ああ、悪い。手を掴んだままだった」
レベッカは、トレイスが離してくれた手をぎゅっと握ってから、彼の背中に呟いた。
「……有難う」
「どういたしまして」
振り返ったトレイスは、少し意外そうな顔をしてから、微笑んで前を指差す。
「会議室、見つけた」
彼の指差す先、会議室と書かれた表札のある部屋から、明かりが漏れていた。
トレイスが軽くノックすると、誰?と尋ねる声がする。
それに探偵の者ですと返せば、扉が開かれた。
部屋の中では蝋燭の明かりが灯されていて、五人の男女は憔悴した様子で椅子に座っている。
レベッカは早速尋ねてみる事にした。
「皆様の中で、被害者の胸に突き立てられていたナイフにお心当たりのある方はいらっしゃいませんか?」
一同は顔を見合わせた。
「いや、怖くて良く見てないし……」
「折り畳みナイフなんです」
レベッカがそう尋ねた瞬間、一人の青年が目に見えて震え出す。
「おい、ディヴィ……お前まさか、心当たりがあるのか?」
「いや、その……僕は……」
ディヴィと呼ばれた青年は、暫く震えた後、消え入りそうな声で言った。
「じ、実は……いつも持ち歩いていた折り畳みナイフが、いつの間にか無くなってて……」
レベッカとトレイスは視線を合わせる。
「そのナイフ、最後に見たのは何時ですか?」
「こ、この病院に入る前は、確かにあったんです……でも、何時無くなったのかは、分かりません……」
震えながら答えるディヴィを、レベッカはじっと見つめていた。
●4.
病院内は、まるで墨で塗りつぶされたような暗い空間だった。
二人の歩く足音も、とても大きく不気味に響く。
闇を照らす懐中電灯がもし無くなってしまったならば──この暗い空間の中に閉じ込められてしまうだろう。
そんな訳で、ミミは、パートナーのルシードの背中にぴったりくっ付くようにして歩いていた。
(推理は楽しみだけど廃病院はちょっと怖い、かも……)
他の参加者も探索をしている筈だが、現在はその気配はない。
まるでここに取り残されたような感覚すら覚える。
(けど……)
ミミは、前を歩くルシードの背中を見た。
(ルシードさんも一緒なら大丈夫かな……?)
大きな背中を見ていると、安心できる。
「……ミミ」
「は、はいっ?」
いきなりルシードの声がして、ミミは反射的に肩を震わせてどもるように返事をしてしまった。
(も、もしかして、じっと見てたのに気付かれちゃった?)
「本物はいないそうだ、そこは安心するといい」
「……」
振り返って来たルシードの蜂蜜色の瞳は、暗闇の中でも優しい光を灯している。
ミミは何度も瞬きしてから、こくこくと頷いた。
ルシードが自分を気遣ってくれているのが分かって、嬉しい気持ちと申し訳なさが込み上げてくる。
「ここが会議室のようだ。入ってみよう」
「そうだね、まずは情報が欲しいな」
二人は会議室の扉をノックして、中から返事が返って来たのを確認し中へと入った。
「アンタ達も探偵?」
会議室の椅子に思い思いに座っている男女が、ミミとルシードを値踏みするような眼差しで見て来る。
ミミは反射的にルシードのシャツを握り締めた。ルシードはそんなミミの背中にポンと優しく触れてから、口を開く。
「遺体を発見した当時の状況について、話が聞きたい」
「状況っつっても……」
グループのリーダー格らしい青年が、髪を掻き上げながら眉を寄せた。
「地下に降りる階段を見つけて、皆で階段を下りたワケよ。んで、目的の手術室を見つけたから入ってみたら……アベルが……」
「あ、あの……」
ルシードに背中を押されるようにミミが一歩前に出る。
「地下に降りる時には、既にアベルさんはいらっしゃらなかったのでしょうか?」
ミミの言葉に、グループ一同は顔を見合わせた。
「さあ……」
「別に点呼取った訳じゃないし、暗かったしなぁ……」
「てっきり一緒に居ると思ってたから」
「そうですか……」
ミミは小さく頷いた。ある程度予想通りの答えではある。
「では、アベルさん以外の方は、全員揃っていたのでしょうか?」
「え?」
女性二人が驚いたように目を丸くさせた。
「それは……分かりません」
気弱そうな青年が、弱々しく首を振る。
「そうですね。俺達は点呼や確認をしていた訳ではありません」
真面目そうな青年が、淡々とそう続けた。
「それに一種の緊張と興奮状態でしたから……正常な判断は出来ていなかった。誰か居なくても気付かなかったと思います」
ミミとルシードは視線を合わせる。
その後も聞き込みを続けてから、二人は会議室を出た。
暗い廊下に、エレベーターの明かりを見つけて、二人は吸い寄せられるようにエレベーターに乗る事にする。
「わあ……凄く明るく感じる……」
「少し眩しいくらいだな」
エレベーター内の煌々と灯る電灯に思わず溜息が出て、二人は懐中電灯を一旦消すと、一階から地下までを示す情報パネルを見上げた。
ガコン!
「きゃっ……!?」
突如室内が強く揺れると同時、エレベーターは停止し、明かりがすべて消える。
(ど、どうして……)
「ミミ、離れるな」
素早く灯る懐中電灯の明かりと共に、ミミは力強い手に肩を抱かれた。
「大丈夫だ。……悪戯があると言っていただろう? きっと直ぐに復旧する」
「……う、うん……」
不思議だと、ミミは思う。
(震えが止まった……ルシードさんの手、凄く大きくて温かい……)
見上げた彼の顔は真剣そのもので、そこに一切の怯えの色等は見えない。
どれくらい経ったのか、感覚が麻痺してきた頃、パッと突然電気が復旧した。
カゴも再び下降を始める。
ポーンという到着を告げる音と共に、扉が開いた。
ルシードに支えられるようにして外に出て、ミミはほぅと息を吐き出した。
「大丈夫か?」
「あ、足が震えて……でも、大丈夫……」
ミミは深呼吸して、ルシードを見上げる。
「ありがとう、ルシードさん……」
「あ、ああ……」
ルシードが少し照れたように視線を外す姿がまた少し意外で、ミミはふふっと小さく笑みを零した。
「大丈夫なようなら、手術室へ向かうか」
「うん」
二人は再び懐中電灯を灯して、廊下の奥へと進む。
やがて、突き当たりに大きな手術室の扉が現れた。頷き合って中へ足を踏み入れれば、ミミは思わず肩を揺らした。
懐中電灯の照らす先、手術台の上に遺体が横たわっている。
「ミミ……」
「だ、大丈夫。えっと、何から調べようか?」
ミミはぐっと拳を握ると、なるべく遺体から意識を逸らしつつルシードを見遣った。
「ここで殺人が行われたとすると、隠れるスペースはあるか、被害者が抵抗した痕跡はあるか……が知りたい」
ルシードの言葉にミミは頷き、早速足元に懐中電灯を向ける。
「靴跡……は沢山あるね。争ったかどうかは……うーん、ちょっと分からない、かも」
「遺体発見時、かなり踏み荒らしたようだな」
ルシードは眉を寄せた。
「隠れるスペースは……沢山ありそう、だね」
ミミは立ち並ぶ医療機器を、懐中電灯で照らしていく。
「この暗さだ。これらの機器の影に隠れる事は容易そうだな」
二人は一つ一つ医療機器を確認し、犯人が居た形跡を探すのだった。
●5.
「地下の階段を見つけた時点では、アベルは生きていたのかな?」
日向 悠夜は懐中電灯を手に、注意深く周囲を見渡した。
懐中電灯が照らす先には、地下から地上へ向かう階段がある。
「まずは聞き込みだね」
降矢 弓弦は頷いて、階段にある今は動いていない誘導灯を見つめた。
「弓弦さん、何か気になる所があったら教えてね。直ぐに照らすから」
悠夜の懐中電灯が、直ぐにその視線の先へ向いたのに、弓弦は瞬きしてから微笑む。
「うん、有難う。悠夜さん」
満月の様な金の瞳が細められたのに、悠夜もつられるように笑って、二人は階段を上り始めた。
「それにしても……本当に暗いよね」
「足元、気を付けないとね」
真っ暗闇という言葉が似つかわしい暗さに、二人は慎重に足を前へ運ぶ。
「人間の脳は、本能的に『夜は暗いもの』と知っているんだそうだよ」
弓弦は悠夜の持つ懐中電灯の明かりに目を向けながら、口を開いた。
「だから、周囲が暗くなると夜が来たと判断して、脳内でメラトニンというホルモンを分泌するんだ」
「メラトニン?」
「メラトニンは睡眠促進ホルモンで、これが分泌される事によって脳は睡眠モードに移行する仕組みなんだよ」
「じゃあ、今も暗いから分泌されてるのかな?」
悠夜が首を傾けると、弓弦は微笑んだ。
「今は、脳内が興奮している状態だから、メラトニンが分泌されても効果は薄いと思う」
それから、少し悪戯っぽく瞳を輝かせる。
「それに、今日は充分に昼寝をしてきたから、睡魔には勝てそうだ」
「ふふ、朝まで頑張ろうね」
二人は顔を見合わせて笑い合い、目的の二階へと辿り着く。
容疑者達が居る会議室は直ぐに見つかった。
ノックをして入れば、男女5人の険しい眼差しが二人を取り囲む。
「アベル君最後に見た、または言葉を交わしたのはどなたですか?」
弓弦の問い掛けに、彼らはお互いの顔を見合って、首を傾けた。
「廃病院の中に入る前は、居たわよね」
「アイツが先陣切って入ったもんな」
「でも、入った後の事は……よく分かりません」
「という事は、階段を探すために手分けした時点で、彼が居たかどうか……誰にも分からないって事かな?」
悠夜がそう尋ねると、一同は揃って頷いた。
「アベル君の様子で、何か気付いた事はないですか?」
「別に……普通通りだったよな?」
「何も気付きませんでした……」
弓弦は質問しながら、青年達の様子を観察した。特に嘘を吐いたり、不審な様子は見受けられないと思う。
「どうもありがとう」
青年達にお礼を言うと、弓弦と悠夜は会議室を出た。
「次は四階へ行ってみない?」
思案する様子の弓弦に、悠夜は人差し指を立てて上を指差す。
「四階か……病院に住んでいるという人が居るんだったね」
「何か見たり聞いたりしていないかなって」
「うん、行ってみよう」
二人は再び階段を上った。
四階は、これまでの階に比べて明るい印象を受ける。窓からは月明かりが差していたし、誘導灯も時折点滅しながらも灯っているものがあった。
「どの部屋に住んでるんだろうね?」
「一部屋ずつ当たっていくしかないかな?」
二人は近い場所から、一つずつ扉をノックしていく事にした。
「すみません」
「はいよ~開いてるよ~」
三つ目の扉をノックした時、のんびりとした声が返ってくる。
「失礼します」
慎重に扉を開ければ、白い髭を蓄えた『いかにも』な老人がベッドに腰掛けていた。
部屋には電灯が灯っており、明るい光が部屋の外まで照らす。
「儂に何か用かの?」
「おじいさんがアルジーさんですか? ここで殺人事件があったのはご存知ですよね?」
悠夜が尋ねると、老人は大きく頷いた。
「全く迷惑なことじゃて」
「よかったら、これどうぞ」
悠夜はポケットからクッキーを取り出して、老人へ差し出す。
「ほっ、これは美味そうだ」
老人は嬉しそうにクッキーを受け取り、早速口に運んで美味しそうに食べた。
弓弦と悠夜は微笑んでその様子を見守る。
クッキーを平らげて、指先を舐めながら老人は二人を見た。
「で、儂に何か聞きたい事があるんじゃろ?」
「殺人が起きた時間の前後に、何か物音を聞いたとか、怪しいものを見たとか、気付いた事はないですか?」
「そうさねぇ……殺人事件の前後ではないが……数日前にも若者がここに来たぞ」
「え? それって……」
「儂の見間違えでなければ、殺された小僧と、後一人……こっちは顔は見てないが」
悠夜と弓弦は、顔を見合わせた。
「おじいさん、どうもありがとう!」
老人にお礼を述べ、二人は病室を後にする。
「ここらで少し情報を整理しようか」
「そうだね。外でコーヒーでも飲んで頭をすっきりさせたいな」
弓弦の提案に悠夜が頷き、病院の外に出るべく二人は三度階段を今度は下に下り始めた。
『クスクスッ』
「? 弓弦さん、今何か聞こえなかった?」
「うん、確かに笑い声が……」
悠夜は声の方向へ懐中電灯を向けて──。
「きゃあっ!?」
視界に入ったおぞましい光景に、悠夜は思わず弓弦に抱き着いた。
彼女の落としそうになった懐中電灯をキャッチし、弓弦はしっかり悠夜を抱き締める。
懐中電灯が一瞬映したのは、階段の壁いっぱいに広がる真っ赤な手形だった。
弓弦はもう一度、その方向へ懐中電灯を向ける。
「あれ……?」
しかし、壁には何もなかった。
「……どういう仕組みなんだろ?」
悠夜は何度も瞬きして、何の痕跡もない壁を見つめる。
「悠夜さん、大丈夫?」
「怖いのは苦手じゃないんだけれど……吃驚系はそうでもないみたい」
──山奥のお堂で夜を明かした事もあるのにね。
あははと照れ臭そうに笑う悠夜の背中を、弓弦は優しく撫でて微笑んだ。
●6.
明るい陽の光が、暗闇を切り裂くようにして、朝がやって来る。
一晩の探索を終えたウィンクルム達は、玄関ホール前に集まっていた。
容疑者達も全員、落ち着かない様子で椅子に座り、ウィンクルム達の様子を窺っている。
「それでは探偵の皆様。皆様の推理をお聞かせ下さい。アベルを殺した犯人は、誰なのか──」
「はい! じゃあ、オレと羽海ちゃんから発表させて貰うよ~」
明るく手を挙げてセララが主張するのに、羽海は居心地悪そうに周囲を見渡した。
「羽海ちゃん、がんばろっ!」
ウインクしているセララを、少し恨めし気に見上げてから、羽海は唇を開く。
セララは彼女の言葉を皆に伝えるべく、その様子をじっと見つめた。
『……例えば……肝試しを企画したのがお調子者のアベルだとしたら、幽霊役をディヴィにやらせて、皆を驚かせようとしたり……していたんじゃないかと思います』
羽海の唇が示す言葉を、セララが声に出していく。
『ディヴィの幽霊をコーラが怖がって、アベルがそんな彼女を助ければ……コーラと近付く事が出来る……そんな考えを持っていたのかも』
羽海の視線がディヴィに向くと、彼はびくっと肩を震わせた。
『でも……その計画をチェルノが知ってしまって、だから、チェルノは肝試しに反対していたんじゃないのかな……?
そして、肝試し自体を中止させることは、出来なかったけれど……アベルの計画を、阻止するために……肝試しに参加したんじゃないかって……』
チェルノは微動だにせず、腕組みをしている。それを横目に、羽海は続けた。
『たぶん、階段を探そうとわざと皆をバラバラにして……その隙に、ディヴィは地下で幽霊になる準備をしてた……。
そこに、チェルノがナイフを持って、ナイフで彼を脅して止めさせようとしたんだと思う。
けれど……アベルが来てしまった。
アベルがチェルノのナイフを取り上げようとして、暗闇で揉めている内にナイフが……』
羽海は一旦言葉を切って、すぅと息を吸う。
『つまり、これは不慮の事故だった……とか……どう、かな……?』
ドヤ顔でセララが代弁したと同時、一同は静まり返った。
「ふむ、俺達の考えも発表させて貰おうか」
次に前に出たのは、ガルヴァンとアラノアだ。
「俺達は、犯人はコーラだと思っている」
ガルヴァンの人差し指が、真っ直ぐに一人の女性を指差した。
「アベルという人物は、色々と問題があったようだ。
弟であるチェルノとの不和、ディヴィに対しては人として問題のある振舞いをしていたという。
コーラはそれに心を痛めていた。何とかしたいと思ったのだろう」
コーラはガルヴァンから視線を逸らし俯く。
「アベルと二人きりになる機会を狙い、彼を説得しようとしたのではないか。
皆で階段を探す事になった時、運よく階段を一番に見つけた彼女は、二人になりたいと言いアベルを地下へ誘導したのだろう。
そこで彼女はアベルを説得したが、彼は聞き入れなかった。
それどころか、彼女を我が物にしようと迫って来た。
止むを得ず、コーラはアベルを刺殺し、己の身を守ったのではないだろうか」
コーラの膝の上に置かれた手は、小刻みに震えている。
ガルヴァンはそれを一瞥し、アラノアに視線を向けた。アラノアは小さく頷く。
「発見時の匂いは彼女が纏っている香水であると、俺達は考えた」
ガルヴァンの凛とした声が響き、再び場は静寂に包まれた。
「私達は、これは事故なんじゃないかと思うわ」
レベッカはゆっくりと前に出た。その隣にトレイスも並ぶ。
「アベルはお調子者。彼自身が幽霊のフリをして、他の皆を驚かせようとしたと思うの」
「誰かにやらせるより、自分で驚かせる方がより皆の反応を楽しめそうだからね」
トレイスの言葉に、レベッカは微笑んで続けた。
「アベルは恐らく、先に手術室へ入り、病院に出ると噂の『狂気の医師』になって皆を待ち伏せしようとした。
けれど、メスは用意できなくて、ナイフで代用したのでしょうね。
ナイフを持ち、手術室に潜んで皆がやってくるのを待っていた。
そこへ、ディヴィがやって来たの」
「彼はどうして一人で?」
「アベルに指示されてたのでしょうね。地下への階段を見つけたら一人で行けって。気弱な彼を一番に驚かせて、一層皆の恐怖を煽ろうとしたのよ」
「成程」
トレイスは小さく頷いた。
「そして、アベルはディヴィの前に飛び出したのだけれども、ディヴィには彼が本物の幽霊に見えてしまった」
レベッカの青い瞳が、震えるディヴィへ向けられる。
「アベルはお遊びのつもりでも、ディヴィは必死で抵抗したのでしょう。
ナイフを奪い取り、そして……」
「気づいたときには手遅れ、といった流れか」
「そういう事ね」
「後は暗い手術室の中に隠れて、皆が来るまで待ち……発見者に紛れた、という事か」
トレイスの視線もディヴィを向けば、ディヴィの顔は真っ青に染まった。
「あ、あの……私達は、殺人だと思うんです……」
ルシードに背中を押されるようにして、ミミが挙手した。
ミミはルシードを見上げ、彼は頷くのにきゅっと口元を引き締めて深呼吸する。そして、口を開いた。
「私も実感したけど、肝試しって色々とどうしても距離が近くなるというか……」
ちらりとルシードに視線を向ける。
「だから、アベルさんは分かれた後すぐに、コーラさんの所に向かったんじゃないかな……って思うんです」
コーラさんもそれを予測してて、今回の事件を計画してたんだと思いました」
コーラがミミを見つめて来て、ミミはぐっと拳を握った。
「コーラさんはチェルノさんに好意があって、チェルノさんはアベルさんと仲が悪かった。
機会に乗じて、コーラさんはチェルノさんの憂いを取り除こうとしたのかなって……」
そこまで言って、ミミは眉を下げる。
「ええと、つまり……恋は盲目、かなあと」
ミミの言葉が響き、辺りは静寂に包まれた。
ルシードもまた、ミミの言葉を反芻する。
(恋は盲目……)
「え、えっと……ルシードさん?」
ルシードから相槌も反対も何も反応が無い事に、ミミは少しおろおろと彼の様子を窺った。
その視線に、ルシードはハッと我に返って首を振る。
「すまない……血生臭い事件の筈が、恋という別次元の単語が出てきて……反応が遅れた」
ミミは思わずきょとんとルシードを見上げてから、首を傾け、ぴっと人差し指を立てた。
「恋する乙女は強い……、らしいよ?」
「それは恐ろしいな……」
ルシードは真面目に頷く。
「では、最後は僕達だね」
ゆったりとした口調と歩みで弓弦と、その隣に悠夜が並んで前に出た。
「弱者の怒りは時に、思いがけない切欠で爆発するものだ。
……尤も、『彼』はその使われる立場に居場所を感じていたかもしれないけれどね」
柔らかい声音でそう言って、弓弦は容疑者達を見渡した。
「さて、廃病院に来たグループの皆さんは、噂の亡霊の姿を求めて、手術室のある地下へ向かう階段を探す事にした。
不気味な雰囲気も相まり、皆さんはとても怖がっていて……それはアベル君の計画通りだった。
アベル君は、レベッカさんも仰っていた通り、皆を驚かす為に前もってこの病院に来て下準備をしていたんだ」
「事件の数日前に、ここを訪れたアベルをアルジーさんが見ているの」
悠夜が補足すると、アルジーが大きく頷く。
「下準備にはアベル君ともう一人……ディヴィ君が来ていた。
その際、不気味な雰囲気となかなか見つからない地下への階段に気が立ったアベル君は──ディヴィ君に心無い言葉を投げつけたのではないだろうか。
『使えない』と」
その言葉に、ディヴィの身体がビクッと震えた。
「その瞬間、ディヴィ君の中で……アベル君に対して抱いていた積りに積もった恨みが弾けたのではないだろうかと、僕は思う。
けれど、アベル君はディヴィ君の強い憤りには気付かないまま、この日を迎えて……ディヴィ君に命令してしまった。
先に地下に降りて、様子を見てくるようにと」
弓弦は一旦言葉を区切り、ディヴィに視線を移す。
「先に降りたディヴィ君の中で、アベル君に対する殺意が膨れ上がり……
ディヴィ君は『何かを発見した』と手術室にアベルを誘い出して……そして、彼を殺害したのだろう。
そして、何食わぬ顔で皆と合流した」
弓弦の金の瞳が、真っ直ぐにディヴィを見た。
「僕達は、犯人はディヴィ君だと思う」
弓弦の視線の先で、もはや顔面蒼白のディヴィが膝の上で拳を握り締める。
「待って!」
叫ぶように言って、彼女は立ち上がった。
「違うの!ディヴィ君は……悪くないの!」
それは、コーラだった。
「こ、コーラさん……ま、待って……」
弱々しくディヴィも立ち上がる。
コーラはディヴィを見て、首を振った。そして、呆然と自分を見上げるチェルノを見る。
「私が……私を……助ける為に……ディヴィ君は……」
コーラの瞳から、大粒の涙が零れ落ちた。
それは、アベルのちょっとした悪戯心から始まった。
廃病院での肝試し。
そこには、コーラと良い雰囲気になりたいという下心があったのは言うまでもない。
アベルはディヴィを巻き込んで数日前から念入りに下準備をし、その日を迎えた。
まずはコーラと二人きりになるべく、階段探しを手分けして探すように仕向けた。
ディヴィと共謀し、アベルはコーラと二人きりで地下に行く事に成功した。
しかし、甘い雰囲気になるどころか、コーラはアベルを拒絶し、彼の振舞いを諫めようとしたのだ。
チェルノとの不仲、ディヴィに対する仕打ち。
コーラの訴えに対し、アベルは逆上した。その場でコーラに乱暴を働こうとしたのだ。
そこに、ディヴィがやって来た。
ディヴィは、コーラがアベルを拒絶するだろう事を予想し、コーラの身を案じて後を付けて来たのだ。
ディヴィはアベルを止めようとし、二人はもみ合いになった。
気付けば、ディヴィは護身用に持ち歩いていたナイフで、アベルを刺し殺してしまったのだった。
「羽海ちゃ~ん、朝日が眩しいよ~」
玄関ロビーを出て、セララが顔の前に手を翳しながら、外の空気を大きく振って伸びをした。
羽海は、その後に続きながら廃病院を振り返る。
真夜中に見た不気味な雰囲気は薄れ、ただただ寂しい場所だなと羽海は思う。
作り話の殺人事件、それでも──真実は、切なかった。
セララは、そんな羽海の顔を覗き込んで、そっと彼女の手を握った。
「もし、あの時こう出来ていたらって……作り話の中でも、思ってしまうよね……」
アラノアの言葉に、ガルヴァンは彼女の横顔を見た。
「もし、アベルさんの計画が上手くいかなくて、コーラさんと二人きりにならなかったら……。
もし、ディヴィさんが護身用にナイフなんて持っていなければ……。
もし、なんて言い出しからキリがないけど……」
「……そうだな」
ガルヴァンの手が、少しぎこちなくアラノアの頭を撫でる。
「犠牲者は結局一人だけだったな」
「連続殺人事件の方が良かった?」
レベッカが尋ねれば、トレイスは軽く肩を竦めた。
「今回の動機だと、連続殺人事件は難しいかな。……なかなか興味深い一時だった」
──意外というか、新たな一面も見れた気がするし。少しは仲良くなれたかな。
恋慕石柱の光を思い出しながら、トレイスは微かに微笑んだ。
「恋は盲目……恋する乙女は強い……か」
ルシードの呟きに、ミミは彼の顔を見上げた。彼は少し眉を下げて笑う。
「俺では考え付かない方向性だったから、覚えておこうかと思ってな」
「そ、そうなんだ……」
何だか恥ずかしいような。
でも、少しだけルシードとの距離が縮まった気がして、ミミは微笑んだ。
「充分昼寝しても夜更かしは辛いね」
ふわあと欠伸をしてから、弓弦がへらりと笑う。悠夜は思わずクスッと笑みを零した。
「でも、確かに眠くなっちゃったね。今ならぐっすり眠れそう」
「帰ろうか」
「うん」
二人は手を繋いで、朝日が降り注ぐ道を歩き始めた。
Fin.
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 雪花菜 凛 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | サスペンス |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 3 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 07月21日 |
出発日 | 07月27日 00:00 |
予定納品日 | 08月06日 |
参加者
- 日向 悠夜(降矢 弓弦)
- 和泉 羽海(セララ)
- レベッカ・ヴェスター(トレイス・エッカート)
- ミミ(ルシード)
- アラノア(ガルヴァン・ヴァールンガルド)
会議室
-
2016/07/26-23:34
-
2016/07/26-21:48
はろはろ~可愛い羽海ちゃんとセララだよー。
皆、よろしくね!
舞台はともかく、どんな推理が出てくるか楽しみだね~!
ほ、本当にお化けは出てこないよね?! -
2016/07/26-01:50
こんばんは、レベッカよ。
こちらはパートナーのエッカートさん。
どうぞよろしく。
なかなか雰囲気でているし、人間関係も複雑だしで考え甲斐がありそうね。
どんな推理が揃うのか楽しみだわ。 -
2016/07/26-00:21
ミミとパートナーのルシードさんです。
よろしくお願いします!
舞台が廃病院というのはちょっと怖いけど、楽しみですね。
ううん、誰が犯人なんだろう……。 -
2016/07/25-23:29
アラノアとパートナーのガルヴァンさんです。
よろしくお願いします。
(そういえば最後にお化け屋敷に行ったのっていつだったっけと今気付く)
…が、頑張って推理したいと思います… -
2016/07/25-22:27
こんにちは、日向 悠夜です!
パートナーは降矢 弓弦さん。
よろしくお願いするね。
いやあ、廃病院で起きた殺人事件…。色んな意味でドキドキするね!
どんな推理になるのかなぁ。