初夏の浜辺で潮干狩り(木口アキノ マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 暖かな初夏。
 海辺の風も心地よくなってくる季節。
「ということで、潮干狩りに行きませんか〜」
 ミラクルトラベルカンパニーの営業社員がA.R.O.A.本部にやってきた。
「パシオン・シーに潮干狩りができる浜辺があるんですよ」
 採れるのは主にアサリ。
「採れたアサリはもちろんお持ち帰りオーケーですよ」
 味噌汁、酒蒸し、クラムチャウダー、ボンゴレビアンコその他色々。
 自宅で調理して美味しく食べられる。
「あ、でも、たくさん取ろうと頑張り過ぎると、アクシデントに見舞われるかも」
 夢中になりすぎて転ぶ、波をかぶる、いつの間にか水深の深い場所に行ってしまう、いつの間にか満ち潮に、なんてこともよくある話だ。まあ、海水でずぶ濡れになるのも潮干狩りの楽しみのひとつ、といったところだろうか。波の高い地域ではないので、身の危険はないだろう。
「熊手やバケツなどの道具はこちらで貸し出します。海水で濡れてしまった場合にはタオルもお貸ししますからご安心ください。交通費、用具レンタルなど込みで1組500ジェールです。料理に自信がなくて持ち帰ったアサリをどう調理していいかわからない、というかたには簡単なレシピを載せたパンフレットをお渡ししますよ。是非ご参加ください!」

解説

潮干狩り&あさり料理を楽しみましょう!
参加費一律【500ジェール】です。
潮干狩り後は神人、精霊どちらかの自宅でお好きなあさり料理一品を作り美味しく食べましょう。
砂出しに3時間ほどかかるので、その間にシャワーなどで身体についた塩分を洗い流してさっぱりしても良いですね。
潮干狩りは全体描写、帰宅後は個別描写になります。
波をかぶる等のアクシデントには見舞われるものと思って参加してください。

ゲームマスターより

こんにちは!
アサリ料理は酒蒸しが1番好きな木口です。
ここで紹介している以外の料理も作成可能ですので、お好きな料理をプランに記載してくださいね。
ご参加お待ちしております!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

(桐華)

  僕潮干狩りって初めてするなぁ
日差しが強そうだから桐華も帽子被って被って
大丈夫、似合ってるから(ぐっ

ねーねー、こんな感じでいいの?(ざりざり
おぉ、結構採れるね。ちなみに桐華はあさり料理だったら何が食べたい?
僕は無難にお味噌汁とかも好きなんだけど…
折角だし新しいのに挑戦したいし、家に帰ったらちょっと調べてみようか
…ねぇ桐華さん、そこ危な…ほーら言わんこっちゃない
ふふ、後でシャワー浴びておいで

さてさてあさりのレシピはーっと
あ、これいいな。あさりの炊き込みご飯にきーめた
作るのは僕の仕事だけど、桐華にも剥くの手伝ってもらおうか

ふふーん、我ながらいい出来
桐華さん、今日は一杯お疲れ様
はい、あーん。おいしー?


初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)
  *絡み歓迎
潮干狩りなんてガキの頃以来だな
せめて晩飯分くらいは確保したいところだ

お、以外にいるな……あんまり小さいのは逃がして、と
そっちどうだー?こっちの方結構いるぞ
ん、どうしたイグニ、(ヤドカリ見て)
……お前……(ため息)
アサリとれアサリ!晩飯だぞ!
全く……ってお約束だなオイ!?(タオル持って駆け寄り)

お、大漁大漁
やればできるじゃねえか
んじゃ解散だな、お疲れさん

さーてまずは砂抜きか
砂出しの用意済ましちまうから先風呂入ってろ

交代でシャワー浴びたら今日は洋風
ボンゴレロッソにクラムチャウダー
明日は味噌汁に炊き込みご飯もいいな
イグニス、どうだった潮干狩り
楽しかったか?
それならよかった(満足げに笑い)


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  潮干狩り初めてだ
フィンやカインさん、イェルクさんに教わりながら、慎重に行動

慎重に熊手を動かし、採れたら…うん、楽しいかも
どんどん採ろう

カインさん達や他の皆に、採ったアサリでどんな料理を?と尋ねる

俺達は…フィン、どうする?
当たり前のように尋ねてしまってから、カインさんの言葉に「俺が…?」と考える
無意識にフィンを頼ってた

フィン、俺に任せろ
カインさんとフィンが何だか不穏な笑顔のような気がしたので、一人で出来ると言う

帰宅後、あさりのみそ汁を作る
砂抜きして、あさりを煮て味噌を入れるだけ、簡単

ドキドキしつつフィンに作ったみそ汁を出す
美味しいと言われ安堵
フィンの為に作ったものだからな

写真撮るなよ(恥ずかしい


瑪瑙 瑠璃(瑪瑙 珊瑚)
  スタッフさんから、事前に道具とタオルを借り、
アサリの採れやすい場所も聞いておこう。
自分のシャツを肘、ジーンズを膝下まで裾を上げる。

情報を元に、アサリの場所を探す。
1つでも見つかったら、そこを中心に拡げるように掘り出そう。
気づくとアサリ探しに夢中……にならないよう周囲を見渡す。
誰かがいたら話しかけて、情報を交換する。

帰宅後
珊瑚と分担し酒蒸しを一緒に料理、おれは食材を切る。
(調理スキル使用)

「うん、めがっさうめぇべ」
採れ立てのアサリが美味しい。

食後、食器を洗ってタオルで手を拭く。
既に洗った殻だけのアサリを1つ手に取り、
それを見つめながら珊瑚に尋ねた。
「写真立て……作るか?」

そう、世界に二つだけの。


カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
  ※可能ならティエン同伴・潮干狩り経験有

フィンは仕事上詳しそうだよな

周囲と喋りつつやる
特に海十は半年前の借りもあるんで、隙を見てからかおう※30
と思ってたら、話振られたんで、パエリヤと返答
そっちはどうなんだよ
※皆にも聞く

フィンが作るのも悪くねぇけど、海十が作ってもよくね?
2人で料理もいいが、新妻に料理教える夫の先取りもいいだろ
式には呼ばれてぇな(ニヤ

ん? 心臓に悪かったって…あの時俺にときめいてたのか
可愛い奴(角キス

実はこの前…(フィンへ耳打ち後2人でイイ笑顔

帰宅後は2人でパエリヤ作り
あーん?
いいぜ(喜んで応じる

海十のエプロン姿自慢メールが来た
イェルのも送るか※送信
なしって何が?
教えろよ(じりじり


「僕潮干狩りって初めてするなぁ」
 きらきら輝く海面を眺め、叶はにこやかだ。
「俺もしたことは無いけど見よう見真似でもなんとかなるだろ」
 と桐華。
「日差しが強そうだから桐華も帽子被って被って」
 いつの間に用意したのだろう、叶は花モチーフでいっぱいの麦わら帽子を桐華の頭にぐいぐいかぶせる。
「……って、明らかにそれ女性用だろうが」
「大丈夫、似合ってるから」
 叶に良い笑顔でぐっと親指を立てられる。抵抗は無駄だとこれまでの経験でわかる。
「良いけど。今更だし……」
 さて、今回は潮干狩り初心者が多いようで。
「わー私潮干狩りって初めてです!」
 ここにも1人、瞳をキラキラさせている子が。
「たくさん獲れるといいですね!」
 イグニス=アルデバランは初瀬=秀に笑顔を向ける。
「潮干狩りなんてガキの頃以来だな。せめて晩飯分くらいは確保したいところだ」
 こちらは経験者の秀、なかなか貝が見つからないという潮干狩りの現実を知っている。
「潮干狩り初めてだ」
 蒼崎 海十も不安そうに初心者であることを告げると、イェルク・グリューンが
「私もです」
 そこへ、得意げに
「オニーサン、潮干狩りのレポ書いた事もあるから、何でも聞いて」
 とフィン・ブラーシュ。
「フィンは仕事上詳しそうだよな」
 カイン・モーントズィッヒェルの言葉に「まあね」と胸を張る。
 カインの後ろでレカーロのティエンがわふ!と鳴いた。
 今回はウィンクルムだけの特別ツアーなので、ペットも同伴可にしてくれたのだ。
「アサリは砂浜が干上がる前に吸水管を出すんだ」
 フィンが説明を始めると、皆は集まってふむふむと聞き入った。
「その穴を『アサリの目』って言うんだけどね、それを探してみて」
「お、これがそうか?」
 早速瑪瑙 珊瑚が波に濡れた砂浜に小さな吸水管らしきものを見つける。
「そう、これだよ。見つけたら……」
 フィンはお手本として、熊手でアサリの目付近を軽く探る。
「熊手の先で貝殻を突き刺したりしないよう注意してね」
 その時、アサリが吸水管から勢いよく水を吐いた。
「っぷ!」
 アサリの水は見事フィンの顔にヒット。
「……こういうこともあるから、気をつけてね」
 一同に笑い声が広がった。
「殻が壊れてたり、口の開いた貝は残念だけど採らないように」
 フィンの一通りの説明が終わると、
「よーしっ、採るぞー!」
 と、珊瑚は波打ち際に入ってゆく。
 ほら瑠璃も、と瑪瑙 瑠璃を見遣れば彼は丁寧に袖と裾を捲り上げている最中。
「あ、やべ」
 と、珊瑚も瑠璃を倣って慌てて袖、裾を捲り上げる。
「海藻が密集している場所とかには、意外といるらしいんだ。あと、アサリがいるところには砂に空気穴が空いてるらしい」
 瑠璃は、事前にスタッフから聞いた情報を皆に話しながら浅瀬に足を入れる。
「ねーねー、ねーねー、こんな感じでいいの?」
 しゃがみ込み、熊手でざりざり砂を掘る叶。
 熊手越しに固い感触があったので掬い上げてみると。
「おぉ、結構採れるね」
 形の良いアサリが3つほど姿を現した。
「思ったより簡単に採れるもんなんだな」
 桐華も砂を掬うと、中にアサリを見つけて感心する。
「お、意外にいるな」
 予想以上に採れて秀も軽く目を見張る。
「あんまり小さいのは逃がして、と。そっちどうだー?こっちの方結構いるぞ」
 秀は腰を伸ばしがてら、浅瀬にしゃがみ込んでいるイグニスに声をかける。
「あさりは浅いところにいるからあさりって言うそうですよー」
 と言いつつ熊手を動かしていたイグニス。
「あ!秀様見てください!」
 一段と嬉しそうな声をあげる。
「ん、どうしたイグニ……」
「やどかり!!」
 捕まえたネズミを飼い主に見せる猫のように誇らしげに、イグニスはやどかりを摘み上げてみせる。
「……お前……」
 秀は深くため息をつく。
「ええーせっかく捕まえたのに」
 イグニスは秀の反応に不満そうだ。
 だが、秀の次の言葉にはっとする。
「アサリとれアサリ!晩飯だぞ!」
「そうでした晩ご飯!」
 やどかりを放り投げ、慌ててざぶざぶ波に入っていくイグニス。
「やどかりは食べられないもんな」
 と笑う珊瑚、実はアサリ以外の食材も獲れないかとちゃっかり狙っていたりする。
「全く……」
 秀は呆れ顔。
「頑張って獲らないと……っ」
 気合いを入れたイグニスだが。
 ずるり。藻の塊に足をとられ、ザッパーン!
「わーーーっ」
 叫び声が、ふたつ。
 イグニスは藻の付近のアサリを採っていた瑠璃を巻き込んで水飛沫をあげ転倒する。
「……ってお約束だなオイ!?」
 秀はタオルを持って駆け寄る。
 珊瑚も笑いながら瑠璃を助け起こし顔を拭いてあげた。
「自然って厳しい……」
 がっくり膝をつくイグニスだが、その手に固い感触が。
「!!」
 ずばばばばっと砂を掘る。
「転んじゃいましたけど、ここにいっぱいアサリありましたー!」
 イグニスはずぶ濡れで満面の笑みだ。
「これだけ大きいアサリなら、酒蒸しにしても食べ応えありそうだぜ!」
 珊瑚もアサリをバケツに入れていく。
「珊瑚さんたちは酒蒸しなんだね」
 海十は珊瑚の言葉を耳にし、他の人たちは何を作るのか興味が湧いて訊ねてみる。
「俺たちはパエリヤの予定だ」
 とカイン。
「フライパンで出来るレシピがあるんです」
 イェルクが教えてくれた。
「パエリヤ美味しそうだね。桐華はあさり料理だったら何が食べたい?」
 特に作る料理を決めていなかった叶は桐華に問う。
「あさりか……思いつくのは酒蒸しだな。クラムチャウダーも好きだけど」
「僕は無難にお味噌汁とかも好きなんだけど……折角だし新しいのに挑戦したいし、家に帰ったらちょっと調べてみようか」
「叶が作るのは何でも美味いし、必要ならちゃんと手伝うから言えよな」
 仲睦まじい2人の会話に皆もほのぼのとする。
「じゃあ、もっとたくさん貝採らなきゃね!奥の方にもありそうだな?」
 と、叶は海側を指さす。
「そうか?」
 と、素直に桐華は水の深い場所へ。
 あんまり奥へ行くと……と周囲の誰かが注意する間も無く。
「……ねぇ桐華さん、そこ危な……ほーら言わんこっちゃない」
 ざばーん、と、桐華は波を被る。叶の声が若干楽しそうなのは気のせいではないだろう。
「……叶。判ってたならもう少し早く言え」
 髪からぽたぽた雫を落とし、桐華はじとっと叶を見る。
「ふふ、後でシャワー浴びておいで」
 桐華の何か言いたげな視線など、叶はものともしないのだった。
「で、そっちは何を作るんだ」
 カインに問い返され、海十は思案する。
「俺達は……フィン、どうする?」
 海十は当たり前のようにフィンに訊ねるが。
「フィンが作るのも悪くねぇけど、海十が作ってもよくね?」
 フィンが答える前にカインが提言する。
「2人で料理もいいが、新妻に料理教える夫の先取りもいいだろ」
 ニヤリと意味ありげに笑う。
「新妻……料理……」
 フィンの目がきらきら輝く。
「式には呼ばれてぇな」
 ニヤリとした笑みのまま、海十を見遣る。
「し、式って……」
 海十はみるみる真っ赤に。
 そんな海十に気づいているのかいないのか、フィンはカインに教えを乞う。
「カインさんはイェルクさんにどんな教え方をしたの?じっくり教えて……」
 カインの笑顔に不穏な空気を感じ取り、海十は口走っていた。
「フィン、俺に任せろ!1人で作るよ!」
「……え、1人でいいの?」
 明らかに残念そうな表情のフィン。
「あんなことやこんなことを教えたかったが残念だ」
 カインはフィンの肩に手を置く。
 やはり、海十を赤面へと導くいろいろな所作を吹き込むつもりであったか。
「あんなこと?」
「こんなこと?」
 不思議そうな顔をする瑠璃と珊瑚。
「へぇ?」
 意味深に笑いイェルクに視線を送る叶。
「あんなことやこんなことってどんなことでしょう!ね!秀様」
「あー、その、なんだ。深く考えなくていい」
 悪意なく疑問をぶつけるイグニスを落ち着かせようとする秀。
「あんなこともこんなこともありません……っ」
 カインの後ろでイェルクが真っ赤になっている。
「ティエン、行っていらっしゃい」
 イェルクがカインを指さすと、ティエンが楽しそうに駆け出し、水浸しの姿でカインに戯れついた。
「うわ、よせ、ティエン!」
 カインもあっと言う間に水浸し。お返しとばかりにイェルクに水をかける。
 いつの間にか皆で笑いながら、水の掛け合いになっていた。
 わいわいと水遊びの中、イェルクはカインに言う。
「カインの教え方は心臓に悪かったです」
「ん?心臓に悪かったって?」
「フローティングブロッサムを作った時ですとか」
 イェルクは背中から抱きしめるようにしてフローティングブロッサムの作り方を教わった時のことを思い出す。
 それを聞いてカインの口元に笑みが広がる。イェルクはしまった、と口を押さえる。
「あの時俺にときめいてたのか」
「いえ、その」
 今更否定したって後の祭り。
「可愛い奴」
 皆で遊ぶ中、掠めるように角にキスをされイェルクは一気に赤面し、動揺のあまり、ざぶんと海の水をかぶってしまうのだった。
 水遊びのおかげで全員仲良くずぶ濡れだ。
「濡れたついでだ、もっと深いところのアサリも採ってくるぜ!」
 珊瑚が言うと瑠璃も笑顔を返し一緒に海に入っていく。
 濡れるのも潮干狩りの醍醐味なのである。

「たくさん獲れました!頑張りました!」
 イグニスがアサリでいっぱいのバケツを掲げる。
「お、大漁大漁。やればできるじゃねえか」
 秀に褒められイグニスは笑みを深める。
 皆のバケツにもたくさんのアサリ。
「そろそろ潮も満ちてきたから、これ以上は難しいね」
 フィンが海面を眺めて言う。
「んじゃ解散だな、お疲れさん」
「それでは皆様お疲れ様です、美味しいアサリ料理ができるといいですね!」
 秀とイグニスの言葉で、潮干狩りは終了となる。
 いや、ここで終わりではない。
 そう、アサリを美味しくいただくまでが潮干狩りです。


 瑠璃の家で、瑠璃と珊瑚は手分けして砂出しの準備をする。
「ばんない採りたな」
「おお!このアサリなまらでかい!」
 これは晩御飯にも期待が出来そうである。
「潮でべとべとだな。シャワーでも浴びるべ」
「だな」
 頑張って貝を集めた後にシャワーを浴びてさっぱりすれば、スポーツ後のような爽快感。料理のやる気も出てくるというものだ。
 2人で食材を用意して、キッチンに並べていく。
「ん?これ、ゴーヤか?」
 珊瑚が取り出した食材に瑠璃が目を留める。
「やさ、アサリとゴーヤの酒蒸しさ」
 予想外の食材に不安そうな顔をする瑠璃。
「まあ見てろって」
 と珊瑚は腕まくり。瑠璃にもいろいろ指示して手伝ってもらう。
「ゴーヤやわたをきちんと取れば、苦味も軽減さりゆんやっさ」
「そうなんだ」
 やがて、ほかほかいい匂いの湯気を立ち昇らせる酒蒸しが出来上がる。
 アサリの中に鮮やかな緑のゴーヤ。そして、潮干狩りでついでに採ってきたワカメも添えて。
「どうさ、一口かめーみろ」
 珊瑚に勧められ、瑠璃はゴーヤとアサリを共に箸に取る。
 ぱくり。
「うん、めがっさうめぇべ」
 瑠璃の目が輝く。
 採れたてのアサリの美味しさはもちろんのこと、ほくほくに蒸されてアサリの旨味が染み込んだゴーヤは本当に美味しかった。
 瑠璃の反応に珊瑚は会心の笑み。
「わんも」
 と自分も酒蒸しを食べれば
「デージ、マーサン!」
 あまりの美味しさに、かきこむように食べる。そして……
「げほごほっ」
 ……むせる。
「そったら慌てて食べなくてもアサリは逃げないべさ」
 瑠璃は苦笑して珊瑚に水を手渡した。
 美味しく酒蒸しを食べたあとは、2人できちんと後片付け。
 瑠璃は洗った後の貝殻をひとつ手に取ると。
「写真立て……作るか?」
 今日の記念に、貝殻で飾られた写真立てを。
「写真立て?」
「そう、世界に二つだけの」
 瑠璃が柔らかく微笑む。
「マジか?」
 世界に二つだけ、と聞いて珊瑚の胸が踊る。
「お、おう!絶対、ぜーったい作ろうな!」
 こうして、2人の思い出がまたひとつ増えてゆく。

 桐華はシャワーで自分の体を洗い終えると、今度は花の麦わら帽子を洗い始めた。
 叶のことだ、この麦わら帽子はきっと今後も出番があるだろう。
 いや、自ら進んで被りたいわけではないのだ、決して。だが叶にこの帽子を差し出されれば、やはり被るしかないのだ。
 その間叶はアサリのレシピを検索。
「あ、これいいな。あさりの炊き込みご飯にきーめた」
 そこへ、帽子の形を整えて丁寧に陰干しし終えた桐華がやってくる。
「何を作るか決めたのか」
「うん。あ、作るのは僕の仕事だけど、桐華にも剥くの手伝ってもらおうか」
「出来る範囲のことは手伝うが……」
 料理は叶のほうが断然得意だ。
 桐華がアサリを剥いている間に叶は手際よく米を研ぎ調味料を合わせていく。
「はい、あとは炊き上がるのを待つだけだよ」
 後の細かい火加減や調整は桐華には手伝いようがなかった。
 火を止めたら充分に蒸らして……。
「ふふーん、我ながらいい出来」
 土鍋の蓋を開いた途端に湯気が上がる。
 器によそって食卓に並べる。
「桐華さん、今日は一杯お疲れ様」
 ご褒美、とでも言うように、叶は箸でひと掬いしたご飯をふーっと吹いて冷ますと「はい。あーん」と差し出す。
 桐華はそれを素直に食べる。
「おいしー?」
「うん、美味い」
 その返事に叶は満足そうな笑み。
「……毎日、美味い飯、ありがとな」
 突然発された感謝の言葉に叶は驚いたように桐華をじっと見つめる。
「一回ぐらいちゃんと言いたかったんだよ」
 桐華は照れて視線を逸らす。
 叶はにっこり笑った。
「うん、毎日美味しく食べてくれてありがと」

「今日は秀様のおうちで晩御飯ですー」
 歌うように言いながら、イグニスはバケツいっぱいのアサリを運ぶ。
「さーてまずは砂抜きか」
 大量のアサリを前に、秀は袖を捲り上げる。
「砂出しの用意済ましちまうから先風呂入ってろ」
「え、いいんですか?」
 イグニスの脳裏に一瞬、「一緒に入りましょう!」という台詞が浮かんだが、それは怒られそうなので口に出さずに引っ込めた。
「それでは遠慮なく!」
 料理上手な秀のことだ、アサリの砂出しだってイグニスの手を借りずとも手際良くやってのけるだろう。
 案の定、イグニスがバスルームから戻ると、秀の作業は既に終わっていた。
 交代でシャワーを浴びてすっきりした秀は、砂出しの終わったアサリでボンゴレロッソにクラムチャウダー、なんと2品も作り上げてゆく。
「今日は洋風だ」
「まだアサリ残ってますね」
「それは、明日味噌汁に炊き込みご飯にしてもいいと思ってな」
 美味しい炊き込みご飯を想像し、イグニスの表情がぱああっと明るくなる。
 そして、食卓に並べられた料理にさらに破顔する。
「わーごちそう!いただきます!」
 幸せそうな顔で料理を口にするイグニス。
「海の味ですねー美味しいですー」
 そんなイグニスを微笑ましく見つめ、秀は訊く。
「イグニス、どうだった潮干狩り。楽しかったか?」
「はい!また行きましょうね!」
 身を乗り出さんばかりにして、満面の笑みでイグニスは答えた。
「それならよかった」
 イグニスの答えに、秀は満足げに笑うのであった。

 1人で出来る、とは言ったものの。
 海十は砂出しの終わったアサリを眺め、考える。
 何を作ろう。
 ちらりと、リビングで待たせているフィンを見遣る。
 わくわくした顔でこちらを見ている。
 よし、決めた。
(あさりの味噌汁を作ろう!)
 砂出ししたアサリを煮て味噌を溶き入れるだけ、簡単。
 味噌汁だなんて、まさに新婚を連想させる料理である。
 海十は朧げに覚えている家庭科の授業を思い出しながら味噌汁を作る。
 あまりに集中して、フィンが海十のエプロン姿をスマホで撮影しているなんてことに気づかないほどであった。
「ど、どうぞ」
 ドキドキしつつ食卓に味噌汁を出す。
「いただきます」
 フィンがお椀に口をつけるのを、緊張して見守る。
 フィンの表情が緩んだ。
「みそ汁、出汁が出てて美味しいよ♪」
 その言葉に、海十はほうっと息をついた。
「フィンの為に作った料理だからな」
 愛情たっぷりだから、美味しくて当然なのだ。
「写メ撮ってカインさん達に自慢しなきゃ」
 早速フィンはカインとメールのやり取りを始める。
「海十のエプロン姿も送っちゃおうっと」
「えっ、ちょ……いつの間に!?」
 真っ赤になってフィンの手を止めようとするが時すでに遅し。
「あぁ?もう……」
 またからかわれる。海十はがっくりと頭を抱えた。
 そんな海十も可愛らしいと微笑んでいたフィンの元に、カインからの返信が。
「カインさん家のメニューも美味しそうだし、今度レシピ交換を兼ねた昼食会とかしたいね」
 パエリヤを前に微笑むカインとイェルクの画像を見て、フィンはそう言うのだった。

 カインとイェルクが作ったパエリヤは満足のゆく出来栄えだった。
 フライパンでそのまま食卓に出すと、なんとも豪快かつ豪華だ。
「カイン、どうぞ、あーん」
 イェルクとしては、潮干狩り最中の角へのキスのお返しにちょっと恥ずかしがらせてみよう、なんて気持ちだったのだが。
「あーん?いいぜ」
 喜んでぱくりとパエリヤを頬張られ、むしろイェルクのほうが照れてしまった。自爆。
 自爆してしまったことはフィンや海十には言わないでおこう。
 そう思っているところへ。
「海十のエプロン姿自慢メールが来たんだが……イェルのも送るか」
 と、カインがスマホ操作を始める。
「私のエプロン姿?」
 イェルクの思考がめまぐるしく働きそして混乱する。
 私のエプロン姿なんていつも通りのものなのに?別に送るほどのものでは。しかし、いつも通りじゃない特別なエプロン姿なんてあるだろうか。あ、裸エプロンとか……っていやいや、それは写メできない、じゃなくてカイン以外に見せる気もない……って違うそういうことじゃなく。それじゃカインには見せていいってことになってしまう。
「今のはなし……あ」
 つい声に出てしまい、カインが「ん?」と顔をあげる。
「あ、いえ、なんでも」
 イェルク、本日2度目の自爆。
「なんでもないってことはないだろ。教えろよ」
 何かを察したカインが口元に笑みを湛えて迫る。
「お、教えません」
 イェルクは椅子ごとずりずり後退する。
 イェルクが何を考えていたかなんて、知られたら恥ずかしくてきっと死ねる。
「教えませんからね」
 そうは言っても、いつかはバレそうな気がしないでもない……。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 木口アキノ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 06月07日
出発日 06月13日 00:00
予定納品日 06月23日

参加者

会議室

  • (たたかれつつ)
    まぁ、全員その場にいるって話だし、そんな深刻に考えなくても大丈夫だろ。
    海十は覚悟してもらうが!

    ゆるく楽しく遊ぼうや。

  • イェルク:
    珊瑚さん、それは…!
    カインも何を言い出すのですか、海十さんを困らせてはダメです!(ばしばし)

  • [14]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/12-23:52 

  • [13]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/12-23:52 

    珊瑚:

    横槍入れて悪ぃ。海十か、カインか知らねぇけど、何を暴露したんだろうな。
    (好奇心で報告書をあさりだす)

    オレ達のプランにも、他の皆に話かける事は書いたから、海十の聞きたい事にも答えるかも。
    お互い良いもんとって、料理作ろうぜ!

  • [12]蒼崎 海十

    2016/06/12-23:34 

  • [11]蒼崎 海十

    2016/06/12-23:34 

    締め切りギリギリの発言になってすみません!

    先にも少し発言しましたが、俺は潮干狩りは初めてなので、フィンに教わりながらになります。
    カインさんは借りを返してくれるそうなので、フィン共々絡みに行かせて頂きますね…少し怖いけど(ぁ

    併せて、皆さんがどんなあさり料理をするかなど、聞かせて頂けたらなって思ってます。
    俺達は、俺があさりのみそ汁を作る予定です。

    瑠璃さん達、初瀬さん達の料理、美味しそうですね…!

    ゆるーく、楽しく皆さんと楽しめたら嬉しいです!

    よろしくお願いします!

  • [10]初瀬=秀

    2016/06/12-23:27 

    挨拶遅れだが初瀬とイグニスだ、よろしくな。

    うちはイグニスの家でボンゴレロッソとクラムチャウダーの予定。
    色々作りたいが文字数の壁が厚かった(真顔)

    潮干狩りは声掛けたりはしたいと思ってる。
    後恐らくイグニスが波をかぶるか転ぶ(お約束)ので誰か巻き込むかもしれんが
    そうなったらなんだ、すまん。

  • [9]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/12-23:18 

    (※二転三転と読み込み不足な自分を嘆いている)

    もう少しで致命的なミスを犯す所でした。
    帰宅後は、自分の家で珊瑚が作る酒蒸しを一緒に作る予定です。

    連続の発言、大変失礼しました。

  • [8]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/12-23:01 

    >全体描写

    何か考えすぎた気がするけど、
    ああ絡みたい、こう絡みたいって希望が特にねぇなら、GM任せにしてる。

    一応、59分あるから様子見すっぞー。

  • [7]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/12-22:53 

    挨拶が遅れました、瑪瑙瑠璃と珊瑚です。

    料理は今のところ、珊瑚はゴーヤの酒蒸し、
    自分はアサリとたけのこのご飯を作る予定でいます。

    >全体描写
    発言の少なさからして、絡んでいいのかわかりませんでした。
    なので皆さんの事は書いていませんし、誰かを指定もしていません。

    声をかけたり、アサリを探している間に話かけたりは、すると思いますが。
    その時はよろしくお願いいたします。

  • [6]蒼崎 海十

    2016/06/11-23:48 

    >カインさん
    お久しぶりです!
    借り…って……あ。(思い当って冷汗)

    え、えーと、俺、潮干狩りは初めてなんで、色々楽しみです!
    皆さんがどんな料理を作る予定なのか、是非聞かせて貰えたらなって思います。

  • >海十
    おひさ。
    そういや、潮干狩りは皆でやるらしい。
    半年前の借りをそろそろ返却しに行こう。

    ライブハウスでの暴露を俺は忘れてねぇ。

  • [4]蒼崎 海十

    2016/06/11-00:32 

  • [2]叶

    2016/06/10-04:05 

  • [1]瑪瑙 瑠璃

    2016/06/10-00:09 


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