何を持っていく?(草壁楓 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●全ては突然に!?

 よく晴れた休日。
 少し日差しが強くなっていく日々、もう少しで夏なのだとあなたは感じていた。
 その日パートナーと一緒に買い物へと来ていたあなたは突如インタビューだと声を掛けられた。
 急いでいるわけでもないが、暇というわけでもない。
 しかし、そのインタビュアーの男はあまりにもしつこく、しぶしぶ答えることにした。
「あなたがもし無人島に1つだげ持っていくとしたら?」
 本当に突拍子もない質問だ。
 あーよくテレビで見るアンケートか何かだろうとパートナーと共に適当に答えた。
「そうですか、そうですか!!」
 その答えは聞きインタビュアーは満足そうだった。
「では、行っていただきましょう!」
 
 数時間後ヘリコプターに乗せられてよくわからない島に連れてこられた。
「では、これがあなた方が選んだ1つだけ持っていきたいものです」
 インタビュアーの男は嬉々とそれを渡すと、
「それでは良い1日を!明日の午前中にはお迎えに上がります!」
 と言ってヘリコプターに乗り込むと去っていった。
 状況が良く飲み込めない……突然すぎる……。
 パートナーと顔を見合わせるが、お互いどうしてこうなった……と頭を垂れるしかない。

 さぁ、あなたはパートナーとどのような1日を過ごし、どう乗り切りますか?

解説

・無人島について
  無人島ですので2人の他に誰もいません。もちろんオーガなんかもいません。
  2人っきりです。

  明かりはなさそうですが、木造の小さい小屋があり、そこでは暖をとったり食事を作ったり、休むこともできそうです。
  なぜか好みに合う水着も置かれています。(なぜかは……秘密です)
  
  水は近くに滝があるのでそこから確保できます。
  火は自分達で熾してください。

  島には森林があり動物がいたり、食べられそうな果物や野菜もあるようです。
  川も流れていて魚が泳いでいます。
  海はとても澄んでいて綺麗でそこにも魚が泳いでいます。
  夜になると月や星瞬きます。

  朝には必ずお迎えきますので、それまでは自由です。

・持ち物について
  一人1つ好きな物を持っていけます。(携帯電話などの通信機器は電波がないので使えませんのでお気をつけください)
  その他は衣服のみです。
  もしその持ち物以外をプランに記載されても見なかったことにしますのでお気をつけくださいませ。

・書いていただきたいこと
 ・持って行くもの(神人1つ、精霊1つ)
 ・無人島での過ごし方
 ・パートナーとの会話に希望があればお書きください。
 ・水着を着用する場合は水着の種類や色など書いてください、お任せも可能です。

・持ち物代として400ジェールいただきます。

【注意】
 アドリブが入る可能性があります、NGな方は×とプランにお書きください。

ゲームマスターより

 草壁 楓でございます。
 ご閲覧誠にありがとうございます!
 ふと思いついたお話です。
 2人きりですが全年齢対象ですので、あーんなことしないでくださいね♪

 ウィンクルムの皆さんがどう過ごされるのかお聞かせくださいませ。
 ご参加お待ちしております! 

リザルトノベル

◆アクション・プラン

かのん(天藍)

  何か1つ…調味料…お塩とか?
天藍のサバイバルスキル知っていて
なんとかなる前提の上であると良い物

…どっきりとかの企画でしょうか?
ひとまずお水と食べられる果物等探し
植物関係ならそれなりに分かります

水着
胸元たっぷりフリルのバンドゥビキニ
ボトム両サイドタッセルのついた紐で結ぶ

無言の天藍に
…あの似合わない、ですか?
呟かれた言葉に頬を染め…えっと焚き火用に流木集めておきますね

ナイフ1本で何でもできるんですね
大きな流木割ったり、捕った魚捌く天藍に頼もしさからの安心感
火の周りに刺した魚に塩振りつつ

目が覚めて隣に天藍の寝顔
一緒にいれる事が幸せだと改めて思い面と向かっては言いにくい言葉を
温もりに包まれて目を閉じる


アンダンテ(サフィール)
  私だったらこの水晶玉ね
私の生き様だもの。どこへ行こうとこれだけは手放せないわ

ただのアンケートじゃなかったのね…
まあ明日には迎えに来てくれるみたいだしそれまで楽しんでいきましょ
気楽前向き

そうね、賛成よ
私達明らかにサバイバルとか向いてないものね
空腹だろうと時間まで耐えられればそれで

でも歩き回るとするとこれ邪魔よね(水晶玉みつめ
そのあたりにでも置いていっていいかしら
だって、つい…。格好つけたくなるときってあるじゃない?

そうねえ
真面目に答えるならサフィールさんかしら
1人じゃない安心感って大きいもの
誰か、じゃなくてサフィールさんね
誰でもいいわけじゃないのよ

ええ、また無人島に来ることがあったらよろしくね


エリー・アッシェン(モル・グルーミー)
  持ち物
片手サイズ剪定鋏


心情
なんということでしょう!
ま、迎えがくるまで快適無人島ライフを楽しむとしましょう。
小屋があるのも嬉しいですね。


行動
飲水のありかを確認する道すがら探索。
私は火打石になる石を入念に探します。
乾いた綿毛があれば火口に最適です。

鋏を利き手で、石を左手で持ち、火打石方式で火起こしに挑戦。
簡単ではないので、何度かリトライするかもしれませんね。

鋏で芋を荒く千切りに。
しばらく芋を水にさらした後で、熱した平らな石の上で焼きます。
塩気がないと文句を言われたので、少量の海水を足しました。

私のサバイバル技術はホラーファンの嗜みです。
いつゾンビや殺人鬼や人喰鮫に襲われても、生き残れるようにです!


秋野 空(ジュニール カステルブランチ)
  バカンスなら日焼け止め、ですね
焼けると火傷のようになってしまうので…

…サバイバル訓練でもしますか?
冗談です、それより最近忙しかったですから、ふたりきりのバカンスだと思ってのんびりしましょう
小屋を確認
水と食料を確保に滝へ


透明で綺麗な水…川底までよく見えますね
ジューン、入ってみてもいいでしょうか
靴を脱いで川へ
水面の乱反射がキラキラと眩しくて目を細める
歩くたびに跳ねる水が散って輝く
…綺麗ですね

転ぶ空
ごめんなさいジューン、巻き込んで

濡れたことで吹っ切れ、服を脱ぎ水着へ
小屋に行った時に見つけて着ておいたんです
最初から恥ずかしがらずに脱いでおけばよかったんですよね
目を逸らす精霊に
…似合いません、か?


風架(テレンス)
  蜜柑の缶詰
うーん…なんかわけ分かんないことになったねえ…午後から依頼人来るのになぁ…ああ、悪いことした
まあ、謝るしか残された道はないよねうん。はい、この話し終わり

それにしてもテレンス、無人島に一つだけ持って行けるとしたらーの質問、なんで釣り竿…?
ん? あたし?
缶詰をなめちゃダメだよテレンス
蓋さえ開けなければ結構日持ちするんだよ。…缶が膨らんでたら、傷んでるけど
話はこれくらいにして。探検がてら食料集めしよう
あは、バレた?

…テレンス。食べれそうなのってあった?
釣り? あ、じゃああたしも行く
あー暇…
釣りって釣れるまでが暇だよね…
缶詰を開けて中身を摘まむ
はい、テレンス。あーん
中身を摘まんで精霊の口元へ


●蜜柑の缶詰と釣り竿
 ヘリコプターが飛んでいく、中の人物は手を振りながら。
 ただ唖然と見上げつつ見送る風架とテレンス。
「うーん……なんかわけ分かんないことになったねえ……午後から依頼人来るのになぁ……ああ、悪いことした」
 テンレスはスケッチブックにスラスラと美麗な文字を書き風架へと見せる。
 持ち物は1つだけと決められているが、これが無ければ会話が成り立たないことから風架とのコミュニケーションのため特例でスケッチブックとペンは許されていた。
『仕方ない。戻ったら菓子折を持って謝りに行こう』
「まあ、謝るしか残された道はないよね……うん。はい、この話し終わり」
 彼女は言うと同時に手を叩きテンレスの持っている物を見る。
「それにしてもテレンス、無人島に一つだけ持って行けるとしたらーの質問、なんで釣り竿……?」
 彼の手にある1本の釣り竿……それは大型の魚も捕れそうなほど立派なもの。
『風架こそなぜ缶詰だ』
 そう言われテンレスはすかさず思ったことを書く。
「ん?あたし?」
 彼女の手には蜜柑の缶詰が1つ。
「缶詰をなめちゃダメだよテレンス」
 蜜柑の缶詰を指差しながらテンレスを見る。
 テンレスは台所に缶詰が積まれていたことを思い出す。
「蓋さえ開けなければ結構日持ちするんだよ。……缶が膨らんでたら、傷んでるけど」
 幸い持たされたものは膨らんでいない。
 確かに缶詰は保存食として実用性に長けているが、無人島で必要なのかと、とテンレスは考えた。
「話はこれくらいにして。探検がてら食料集めしよう」
『探検したいが本音だろう』
 彼女の言葉尻からその動向を見ていたテンレスはそう書き微かな笑みを見せる。
「あは、バレた?」
 この状況を楽しもうと風架の顔には笑顔が浮んでいた。

 2人は無人島を探検していた。
 さまざまな植物に囲まれた森林に動物、薄暗い洞窟、魚が泳ぐ川と。
「……テレンス。食べれそうなのってあった?」
 川の畔に着いたころ、風架は振り返り左斜め後ろを歩いているテンレスを見る。
『今夜の分には困らない程度は』
 テンレスの手には多くの果物や野草が抱えられている。
 それを川の側にあった大きめの岩の上に置くと釣り竿を取り出す。
『釣りをする』
 そうスケッチブックを取り出し風架に見せる。
「釣り?あ、じゃああたしも行く」 
 魚が捕れそうな場所を探す。
 一つ頷くとテンレスは座れそうな岩場を見付け、座る。
 風架も彼の隣へと腰を落ち着ける。
 時間は経過していくが、どうも魚はかからない。
 鳥の囀り、風の音、そして川の清流がキラキラと眩しく光る。
「あー暇……」
 その言葉にテンレスは頷く。
「釣りって釣れるまでが暇だよね……」
 川を覗き込みながら風架は一つため息をつくと、自身が持っている蜜柑の缶詰のプルタブに指をかけてカパっと開ける。
 幸いにも缶きりがなくとも開けられる缶詰で良かったと思いつつ。
 無造作に中身を摘みながら口の中へと放り込む。
 甘いシロップとみかんの甘酸っぱさが口の中に広がる。
 数個食べた時、摘んだ一粒をテンレスの口元へと持っていくと、
「はい、テレンス。あーん」
 言われて顔を向けるが、その行動にテンレスはどうしたものかと思案する。
 しばし考えているテンレスに風架は笑みを向ける。風架の良心を無下にするわけにはいかないと彼はその行動に応じることにする。
 テンレスの開かれた口に蜜柑をそっと入れる。
 テンレスも風架同様に甘酸っぱい蜜柑の味が口に広がった。
 その風架の行動についてどういうことかと考えてみるテンレスだが、彼女はなにを考えているのか分からないから、と今の行動について他意はないと思い至った。
 それから数匹の魚を釣り上げ、それと一緒に無人島にあったもので食事を作ったりと迎えが来る時間まで思うままに過ごした2人だった。

●日焼け止めと懐中電灯
 ヘリコプターが遠のいていく。
 秋野 空の手には日焼け止め、彼女の精霊のジュニール カステルブランチの手には懐中電灯が握られている。 
「ソラ、参りましたね、本当に置いて行かれるだなんて」
 ジュニールは困った顔をしつつ空を見ると、彼女は日焼け止めを見つめる。
「バカンスなら日焼け止め……と思ったんです。焼けると火傷のようになってしまうので……」
 と言いつつ、困り顔をしている。
「懐中電灯にしましたが……ソラさえいれば何もいりませんが……」
 ジュニールはさらっとそう付け足した。
 言動に空はジュニールに目をやると、こうなったらと笑顔を作る。
「……サバイバル訓練でもしますか?」
 突飛な提案にジュニールは驚き、目を見開く。
「えっ、サバイバル……訓練?!」
 簡単に状況を飲み込んでいる空にジュニールは驚きを隠せない。
「冗談です、それより最近忙しかったので、2人きりのバカンスだと思ってのんびりしましょう」
 悪戯っ子のような笑顔を浮かべる空。
 迎えは朝だと2人は探索を開始すると、小屋を森林の中で見つける。
 特に危険はないと聞かされてはいたが、ジュニールは周囲を確認し、空は内部を確認する。
 布団一式が綺麗に置かれているが、それ以外特に何もない小屋。
 水や食料が無いと困ると2人で話し合い、確保へと向かう。
 空は日焼け止めを塗るから待っていて、とジュニールを外で待たせると数分後に出てきた。

 見たことのない野菜や果物を取っていく2人は、滝を見つけた。
 4メートルはある断崖から止めどなく水が注がれ飛沫がキラキラと舞う。
 滝から少し離れ、流れが穏やかになってきた場所で空は川を覗き込む。
「透明で綺麗な水……川底までよく見えますね」
 一緒に川を覗き込むジュニールはそうですね、と頷く。
「ジューン、入ってみてもいいでしょうか」
「いいですよ、急ぐわけではありませんから」
 そう今は無人島で2人、朝まで迎えは来ない。
 答えに空は笑顔を見せて靴を脱ぎ川へと入ると膝下位までの深さ、ジュニールも靴を脱ぎ一緒に入る。
 透明な川の水面が乱反射しキラキラと眩しくて歩く度に水が散って輝く。
「……綺麗ですね」
 光を返す青みがかった銀の髪、透き通るような白い肌、水と戯れる空にジュニールは見惚れる。
「……水の妖精のようです」
 空の姿は彼にとって妖精、飛沫が羽の形を模ったように舞う。
「え?ジュー」
 水音から言葉が聞こえなかったのか空はジュニールに振り返ると足場が悪かったため滑らせる。
 彼は受け止めようとしたが、川の中、手を引っ張り庇うように一緒に川の中へと転倒する。
 ジュニールの胸へと顔を埋める空。
 濡れたシャツ越しに空の体温が伝わってくる。肌は冷たいのに温かい、綺麗な温もり。
(もっと触れていたいが……)
「ごめんなさいジューン、巻き込んで」
 すまなそうに空はジュニールを見上げる。
「怪我がなくて良かったです」
 濡れたままでは風邪を引くと2人は岸へと戻る。
 すると突然空は服を脱ぎだす。
「いっ…いけませんソラ!いくら2人きりだからっ」
 服を脱ぐ空にあたふたとするジュニールだが、視線を逸らしつつチラチラと彼女を見る。
 赤面しつつもそこは男心、誘惑との戦い。
「……て、え?」
「小屋で見つけて着ておいたんです」
 服を脱ぎ捨てた空は吹っ切れたような顔をして、白をベースとし胸元と腰周りに薄い紫色のフリルとリボンが飾られたタンキニの水着姿だ。
「最初から恥ずかしがらずに脱いでおけばよかったんですよね」
 眩しい笑顔を浮かべる空に初めての水着姿を見て直視できないジュニール。
「……似合いません、か?」
 目を逸らしている彼に少し残念そうに空が尋ねる。
 ジュニールの内心は褒めたい、が魅力的すぎて直視できないだけ。
「ジューン?」
 顔を赤らめ視線を逸らしつつあたふたするジュニールに、
「変なジューンですね」
 そう言って空は微笑み水遊びを楽しむのだった。

●片手サイズ剪定鋏とジャガ芋
 片手サイズの剪定鋏を持っているエリー・アッシェン、そして精霊のモル・グルーミーはジャガイモを1つ持っていた。
 自分達を乗せていたヘリコプターはジャガイモぐらいの大きさになっている。
「なんということでしょう!」
 エリーはそう言いながらモルを見る。
「芋があれば世界中どこでも生きていけると豪語してしまった」
 ジャガイモを持っている手に少し力を込め途方に暮れるモル。
「ま、迎えがくるまで快適無人島ライフを楽しむとしましょう」
 楽しそうにしながらジャガイモついつい見てしまうエリー。
(神人に仕切られるのは気に喰わないが、芋しか持たぬ我は無力だ)
 更にジャガイモを握っている手に力を入れ渋々エリーの指示に従うことにした。
「小屋があるのも嬉しいですね」
 事前に聞いておいた小屋の方向へと歩き出す。
 モルも後に続く、ジャガイモを大事に持ちながら。

 小屋を確認しエリーは飲み水を探しながら探索する。
「うふふ……これは丁度いい綿毛ですね」
 綿毛を見つけ笑いながらポケットへと入れる。
 次にエリーは滝を発見し、これで飲み水の確保ができたと安堵の息を吐く。
 川が流れる近くで火打石になる石を入念に探す。
 何個か手に取るとその中から適度な石を選び先程とは逆のポケットへ入れた。
 バケツに川の水を掬い入れると小屋への帰路へ就く。
 危険はないと説明されたことからモルはエリーと手分けして食材を探す。
 ココナッツや果物を探し、更に大きめの平たい石を探すよう言われたのでそれも探す。どうやらそれを調理に使うらしい。
 森林の中で見たことのない果物を発見し、食べられるのか確認しつつ取っていく。
 海岸へと出る途中ココナッツの木を見つけたので近くにあった石を投げつけると2個ほど落ちてきたのでそれも手に抱えだす。
「あとは平たい石だ」
 海岸を歩き丁度良い石はないかと探す。
 岩場が見えたので立ち寄ると横30センチ、縦15センチほどの石を見つけ脇に抱えると小屋へと向かった。

 夕焼けが辺りを染めた頃、2人は小屋で夕飯の支度を始める。
 調理台に先程エリーが持ってきた火打ち石と剪定鋏を使い火を熾そうとしている。
 鋏を利き手、石を左手で持ち何度がチャレンジする。
 モルはその様子を黙って見守っている。
(神人が火を熾せたら、大事な芋を差し出しても良い)
 と大事なジャガイモを1つ持っている。
 カチッカチッと何度か火花は散るものの、綿毛にうまく引火しない。
「難しいですね、これもサバイバルの醍醐味!」
 エリーは彼女らしい笑い声を上げながら果敢に何度もチャレンジする。
 何十回目かでやっと火を熾すことに成功する。
「さあこれで夕飯が作れますよ、モルさんは火の見張りをお願いします」
 するとエリーにモルは大事に大事に持っていたジャガイモを差し出す。
「我、神人が火熾しに成功した時はこのジャガイモを差し出すことを決めていたのだ」
 エリーは大事な大事なモルのジャガイモを受け取ると調理にかかる。
 鋏で芋を荒く千切りにし、しばらく芋を水にさらした後で、先程熾した火で石を熱し焼き始める。
 モルはその様子にエリーは質素なハッシュドポテトを作っているようだと見ている。
「味見お願いできますか?」
 エリーからの指示に素直従うモルは木の枝で作成した箸を使い味見する。
「塩気がないようだ」 
 その意見を聞き少量の海水をココナッツの器に掬っておいたものを軽く振りかける。
「できました!うふふ、上出来ですね」
 取ってきた果物やココナッツも調理し、夕飯を食す2人。
 ふとモルは疑問に感じていたことを尋ねる。
「神人、なぜそんなにサバイバルを極めているのだ……見た目からは想像しがたいのだが」
 エリーはその質問を聞き、口角を上げて答える。
「私のサバイバル技術はホラーファンの嗜みです。いつゾンビや殺人鬼、人喰鮫に襲われても生き残れるようにです!」
 エリーにとって常識だと言わんばかりの声、そして両手を広げ力を込める。
 その答えにモルは数回頷くと納得したように、うむ、と答え食事を続ける。
 お腹が満たされた頃には外は暗く、星が瞬いている。
 小屋の外へと出た2人は夜空を眺めていた。
 ぼんやりと瞬く星を見つめるモル。
「暗闇の中の星が綺麗ですね。競争をしませんか?」
「競争?」
「はい、どこまで遠くの星を見つけられるかです」
 ふふ、と笑い声を混じらせながらエリーは提案し星を見る。
「いいだろう」
 それから2人は遠い星をそれぞれいくつも指差し見つけあいながら夜明けが来るまで楽しんだのだった。
  
●水晶玉とナイフ
 米粒ぐらいのヘリコプターを見ながら2人は唖然としていた。
「ただのアンケートじゃなかったのね……」
「まさかこんな事になるとは……」 
 アンダンテとサフィールは頭を抱えている。
 アンダンテはアンケートをされた際「私の生き様だもの。どこへ行こうとこれだけは手放せないわ」と水晶玉だと答えた。
 一方サフィールはナイフと返答していた。無人島に行っても使う用途がたくさんあるだろうという選択。
 真面目に答えておいてよかったと安堵の息と共にナイフ眺めている。
「まあ明日には迎えに来てくれるみたいだし、それまで楽しんでいきましょ」
 前向きにアンダンテは考えて笑顔でサフィールを見る。
「楽しめるかはともかく、明日までならなんとかなるでしょうか」
 一つ息を吐き出すと頭を掻く。
「立ち尽くしていても何ですし水や食べ物がないか島を探索しませんか?」
 前向きで気楽にしているアンダンテに自嘲気味にそう提案するサフィール。
「そうね、賛成よ」
 背伸びをしながらアンダンテは答える。
「動物や魚を調達するのは俺らではムリでしょうから何か手ごろなものがあればいいんですが」
 顎に手をあてがいながらサフィールは辺りを見回す。
「私達明らかにサバイバルとか向いてないものね……空腹だろうと時間まで耐えられればそれで」
 一緒に辺りを見回しながらクスクスと笑みがこぼれている。
「森の中行ってみましょうよ!何かあるかもしれないしね」
 そうしましょうか、と海岸から離れて森林の中へと2人は入っていく。
 食べられそうなものを見つけてはナイフを使い2人は匂いを嗅いだり、少量を口にしてみたりといろいろ試していく。
 森林の奥深くまで来た頃アンダンテは自分の水晶玉も見る。
「でも歩き回るとするとこれ邪魔よね」
 探索するには両手で抱えている水晶玉は邪魔になっている。そしてここではあまりにも用途がない。
「そのあたりにでも置いていっていいかしら」
 水晶玉を空へと掲げると太陽に反射して辺りを照らす。
「生き様置いていくんですか……」
 そんな様子のアンダンテにため息を付きつつサフィールは呆れる。
「だって、つい……。格好つけたくなるときってあるじゃない?」
 アンダンテはそう、つい格好つけて言ってしまったのだ。そんな自分に少しの後悔が滲む。
「まあ、そういう人ですよね。アンダンテは」
 サフィールは眉尻を下げて「大雑把的な意味で」と付け加えつつ呆れたように口角をあげて笑った。
 少量の食料と水を確保し、2人は探索中に見付けた小屋への道へと足を延ばした。

 小屋の中は綺麗に整頓されていて、結構な広さを有している。
 サフィールはナイフで確保した果物を切り分けていた。
 量は少ないが明日帰れるのなら充分な量だと考え、大きめな葉の上へと置いていく。
 少しお腹が空いたのかアンダンテはその謎の果物を口入れる。
「案外美味しいわね」
 アンダンテの口にしたものはマンゴーのような味のする歯ごたえのある実。
 サフィールは切り終わると体力を減らさないようにと壁へともたれ掛かり待機する。
 鳥の囀りや、風が葉を揺らしている音が聞こえる。
 本当に2人しかいないのだと窓の外を眺め、暇だとサフィールはため息をついた。
「格好つけなければアンダンテは何を持ってきたかったのですか?」
 アンダンテにふと疑問に思ったことをサフィールは尋ねる。
「そうねえ……」
 目を上に上げて暫く考えるとアンダンテは笑顔で答える。
「真面目に答えるならサフィールさんかしら!1人じゃない安心感って大きいもの!」
 そう素直に答えるアンダンテにサフィールは顔向ける。
「誰か、じゃなくてサフィールさんね!誰でもいいわけじゃないのよ……」
 更に付け加えるアンダンテの言葉にサフィールは目線を外しつつ
「そうですか」
 と照れていることを悟られないようにと顔を逸らす。
「ええ、また無人島に来ることがあったらよろしくね」
 アンダンテは笑顔でそう告げてくるが、一方のサフィールはため息をもらしつつ自嘲気味に笑みをこぼし、
「いや、無人島はもういいです」
 こんな暇な時間は嫌だと答えたサフィールだったがその顔は穏やかでアンダンテとの時間をゆったりと過ごすことを決めたのだった。
 
●塩とサバイバルナイフ
 ヘリコプターが見えなくなってしまった、とかのんと天藍は空を眺めていた。
 かのんは天藍と共に居る事と彼のサバイバルスキル知ったうえで塩と答えていた。
 また天藍はサバイバルナイフさえあれば後はどうにかなるし、これがあるとないのとでは違うとそれを選んでいた。
「……どっきりとかの企画でしょうか?」
 一般人に仕掛けられたどっきりではとかのんが周辺を見回す。
「……カメラがあればそういう事になるか」
 天藍はそう言うと周辺を散策する。
 勝手に写されるのは御免だとカメラを探す。特にかのんのことを撮られるのは嫌だと……。
 かのんも共に探してみるが、どうやらカメラは無いようだ。
「いったいなんなんでしょうか」
 ふぅ~と息は吐き顔を見合わせる2人。
「ひとまずお水と食べられる果物探しませんか?植物関係なら任せてください」
「明日向かえに来ると言っていたしゆっくりするのも良いだろう」
 2人はゆっくり過ごすことを決めて探索を開始する。
 途中見付けた小屋へと踏み入ると案外綺麗なことに驚く。
 なぜか室内にあった水着を着込むと森林の奥へと探索を再開する。
「天藍、この植物は食べられますよ」
 そう言ってかのんは近くにあった野草を摘むと天藍に見せる。
「流石に詳しいな、助かる」
 いくつかの野草と果物を見つけては笑顔を零す2人。
 森林を進むと深さのある川へと辿り着く。
 川がとても澄んでいてそこに魚が泳いでいることを確認した2人は水着姿になる。
 かのんの水着は群青色を基本とし胸元たっぷり薄い水色のフリルのバンドゥビキニでボトムは両サイドにタッセルのついた紐で結んである。
 かのんの姿に天藍は目が離せずにいる。
 グラマーで愛しい彼女の水着姿は今の太陽に負けないぐらい眩しいものだ。
 しかし凝視していてはと咄嗟に目を逸らす天藍。
「……あの似合わない、ですか?」
 質問に天藍はそのまま顔を逸らしつつ、
「良く似合う……から無人島で良かった」
 と、赤面し「他の輩に見せたくない」と小さい声で付け加える。
「えっと焚き火用に流木集めておきますね」
 その言葉に赤面するかのんは慌てたように小走りでその場を去る。
 天藍も天藍で頭を冷やすためと魚確保のために川へと飛び込んだ。
 かのんは流木を集め、天藍は数匹の魚を確保していた。
 サバイバルナイフを使い器用に火を熾すと魚に細い木を通し焼き始める。
 魚にかのんが選んで持たされた塩を振る。
 器用にサバイバルナイフを使いこなしていく天藍に、
「ナイフ1本で何でもできるんですね」
 と大きな流木割ったり、捕った魚を捌く天藍に頼もしさと安心感を持つ。
 だから選んだと笑みを浮かべる天藍にかのんも優しい微笑みを向けた。

 翌朝、少し明るくなった小屋の室内。
 室内にあった布団で一緒に眠っていた2人は寝息を立てていた。
 かのんは薄く目を開くと、隣に天藍の寝顔を映る。
 彼と一緒に居られることに幸せを感じる。
「ずっと一緒にいれたら良いですね」
 と微笑みを浮かべて口にする。
 その言葉が終ると天藍は自分の胸元へとかのんを引き寄せ抱き締める。
 起きていたことに驚くかのんは顔を赤らめた。
「まだ朝も早い……日が昇るまでもう少しこのままで」
 笑顔を浮かべて天藍はかのんを先程より少し強い力で抱き締めた。
「はい」
 かのんはそっと天藍の胸へと顔を埋める。
 そのまま2人は太陽が昇るまで穏やかに、幸せを感じながら過ごしていた。



依頼結果:大成功
MVP
名前:アンダンテ
呼び名:アンダンテ
  名前:サフィール
呼び名:サフィールさん

 

名前:秋野 空
呼び名:ソラ
  名前:ジュニール カステルブランチ
呼び名:ジューン

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 藍仲カナ  )


エピソード情報

マスター 草壁楓
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 06月02日
出発日 06月08日 00:00
予定納品日 06月18日

参加者

会議室

  • [6]かのん

    2016/06/07-22:58 

    天藍

    >エリー
    あまりにも唐突な展開だったんで、少し?驚いた
    かのんも↑こんな表情だったな

    ひとまずブランは提出済み
    持ってく物は手堅くというか無難というか、まぁ必需品を選んでみた

    それぞれ良い時を過ごせると良いな

  • [5]アンダンテ

    2016/06/07-00:28 

  • [4]秋野 空

    2016/06/07-00:07 

  • [3]風架

    2016/06/06-16:24 

  • [2]エリー・アッシェン

    2016/06/06-01:01 

    エリー・アッシェンと、精霊のモルさんです。
    無人島で直接お会いすることはないみたいですが、参加者の皆さん、よろしくお願いします!

    モルさんは、ジャガ芋さえあれば世界中どこでも生きていけると豪語しております。彼の故郷の特産品のようです。
    私が無人島に持っていくなら……、うふふ……。

    >天藍さん
    ああっ! 目がまんまるに!?

  • [1]かのん

    2016/06/05-22:15 

    神人かのんとパートナーの天藍だ、よろしくな

    にしても……、街頭アンケートからどうしてこうなるんだ?
    素人相手のドッキリ企画だったりしたら勘弁して欲しいんだが

    ま、環境は悪くなさそうだしなんとかなるか


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