プロローグ
●
その日やってきた職員は、とてつもなく真面目な表情をしていた。
ゆっくりと開かれた唇から紡がれたその仕事内容とは……。
「エル夫人が、是非力を貸して欲しいとのことなんです」
前回、オーガがいるかもしれないとエル夫人の敷地内の調査に赴いたウィンクルム達。
そんな彼らがエル夫人に対して真摯に向き合ってくれたお蔭で、エル夫人から評価がとても高いという。
そのために、今回是非、ウィンクルムの皆に力を貸して欲しいと要請があったようなのだ。
ちなみに、オーガかもしれない? といわれていたものは新しく移住してきた動物だったというオチがある。
「前回の調査で分かったのがボロピエ、という動物なんですが……」
アルマジロトカゲに似ており、普段は苔むした岩のように擬態して固まって過ごしている。
肉食系ではないらしく、果物や草や花を食べて過ごしているようだ。
縄張り争いもするようだが、体を大きく見せて威嚇し合うという比較的穏便派な動物である。
「で、ですね……嬉しくなった夫人が森の環境とかいろいろ整えた結果ですね」
大繁殖してしまった、ということらしい。
「いやー……思った以上に子供産むんですね……」
一度の出産で6~8匹産むというのだからすごい。
「これが天敵とかいたら別ですよ? 今回はエル夫人が特別に保護していましたので……」
勿論、このままずっと特別保護を続けるわけではないのだそうだが、こんなに繁殖するとは想定外だったらしい。
「というわけで、二か所にわけるそうなんです、その時の手が足りない、というわけなので、皆様頑張ってください」
今は森を利用した大きな牧場といった風体だという。
ようは、森の中の一部に大きめの囲いを作ってそこで過ごさせている……というものだ。
「あんまり遠くに移動させるのも、というので距離自体は1キロほどです。とはいえ、流石に手で抱えていくと10分そこらですが大変ですので、手押し車で運ぶことになりそうですね」
手押し車は、動物たちに配慮されたものだという。
「なんていうんですか? 子供用乳母車みたいな。とにかくそういうのに、10匹ぐらいつついれて移動させるそうです。
ちなみに、ボロピエは大きくなっても子犬程度の大きさです」
子どもはあたりまえだがそれよりも小さいために分かりやすいだろうという。
「人が近づくと威嚇のためにたちあがるボロピエもいますが、威嚇するだけですのでひょいっとこう……両手を広げた脇を捕まえてあげてください」
威嚇しないボロピエは普通に近寄ってきたりするために捕獲も容易いという。
「大体、移動するのは300匹程度です。やはり安全面を考慮して基本は2人1組でお願いします。
道具などはエル夫人から提供がありますので、皆様は動きやすくて汚れてもいい服装でお願いします」
あ、そうでした、と笑顔になる職員。
「移動が終わった後は、エル夫人がお茶会にご招待してくれるそうです。
80歳を超えられて、車椅子で生活してる貴婦人ですよ。
ここのところは体調もいいそうですし、皆様とお話しできるのをたのしみにしているようです」
ちなみに、マフィンと紅茶がとても美味しいのだという。
「ボロピエを交えつつのお茶会だと思います。
あと、エル夫人は不思議な動物が他にいないか気になっているようです。
何かありましたら、伝えるのも楽しいかもしれませんね」
では、いってらっしゃい、と送り出すのだった。
解説
重要:ボロピエの定住のための基金として、300jr募金してくださると助かります。
(というわけで、皆様一律300jrいただきます、ご了承ください)
●午前
ボロピエ大移動。
動きやすく、汚れてもいい服で挑むのが吉。
保育園児が移動するさいに押されるおさんぽカーようなものでボロピエを移動します。
親子なら親子、夫婦なら夫婦と一緒に移動するといいでしょう。
ちなみに大体一緒に行動しているのが親子だったり夫婦だったりします。
●午後
エル夫人とボロピエの移動した先の牧場でのお茶会。
紅茶とマフィンが提供される。
エル夫人:体が弱く、車椅子に乗って生活している。
ここの所調子がいいために、皆様とお話するのに支障はない。
好奇心旺盛で、少女のような所がある。
色々なお話をきくのも、みるのも好き。
●お願い
他のGM様または当方の過去のエピソードを語られる場合、あくまでも参考程度ととし、出来るだけ、プラン内に自分の言葉でお書き下さい。
ゲームマスターより
前にだしたボロピエさんです。
今度はお引っ越し、よろしくお願い致します。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
何してるの? 可愛いね(呼び方マスターできたかな?) 僕?恐竜みたいで好きだよ 猫もいいけど、これでもカエルやバッタなら触れるし好きなんだ (カマキリや毛虫は駄目だけど…蛇も見ている分には平気だし) ■見真似で (小さくて可愛い、近づいてくれたこの子なら…) すごい あ、好きだけどあまり触った事なくて、ゴツゴツしてて動いてる子って初めてで 触れ合いは後にしないとお茶会に遅れるね 仲間で分けて…と。そういえば別の生物の痕跡あるかな ◆いたら写真とメモ。エル婦人にも教えたい タイガ加減!この子達、目を回すから! 午後■スキル:礼法 乗せられ)タイガ! はじめまして。報告書でみて興味あったんです 素敵な時間ありがとうございました |
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
レカーロのユキシロも連れてきた。 首・足首まわりの毛を少し短めにサマーカットにして涼しく。 ユキシロを連れてきたのは、道中、他生物への警戒のため。 他の生き物がいた場合、人間よりユキの方が早く気が付くからさ。 先日猫を拾ったぐらいだから他の生物への関心も高いから、何かいたら見つけてくれそう。おとなしいヤツなら寄ってくるかも? 仲良しな子達を一緒に車に乗せて運ぶぜ。 道中ボロピエ達の様子も見ながら速やかに移動させよう。 他生物の気配を察知しないか、とかさ。 レカーロの引っ越しを思い出すなぁ。 お茶会ではボロピエと遊ぼう。ユキも一緒に。すぐ仲良くなれるぜ。 春に庭でユキが子猫拾って家族が増えたんだ、と夫人に話す。 |
カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
※エル夫人へは敬語 あの時のあれか すんげー増えちまったのか… ※作業前に可能なら夫人へ挨拶 「お久し振りです。お体の調子が良いとのことで安心しました」 イェルも紹介…あの時のバレんだろうな 自分で言うのはいいが、人から言われるのは流石に恥ずかしい ボロピエに軽く挨拶してから手押し車へ 親子夫婦兄弟…離れ離れになんねぇよう様子を良く見て 道中は揺らさないよう注意して運び、到着したら労う これの繰り返し 終わったらイェルも皆もお疲れと言っておく 夫人には森の中の様子を話す 子のボロピエを見、「可愛いものですね。安心しているのでしょう」と イェルのこと聞かれたら 「…可愛いでしょう。彼の紅茶は絶品ですよ」 観念して普段通り惚気る |
●
エル夫人に乞われ、やってきたウィンクルムたちは総勢6名。
先に向かってほしいといわれ、森の方へと足を進めればクァァ! という声が聴こえて来た。
どうやらそれは、ボロピエたちが思い思いに楽しんでいる声のようで……。
そんな声が近づいてる中、ひたすらぶつぶつと呟くのは火山 タイガだ。
「ボロピエ、ぼろぴえ、ボロぷえ……」
セラフィム・ロイスはそんなタイガの様子を見て首を傾げる。
「何してるの?」
今にも湯気でもでてきそうな様子を見守っていれば、何かぴーんときたのだろう。
「……じゃねぇボロピエ!」
うぅーんと声を今にもあげそうだったタイガが、ぱぁっと笑顔になった。
「発音うまくできなくてさー」
「可愛いね」
そんな彼の様子が微笑ましくて、笑みが浮かぶ。
(呼び方マスターできたかな?)
なんて首を僅かに傾げる仕草に、可愛いのはセラの方……と思いつつ、タイガがにっと笑う。
そうこうしていれば、目の前に現れたのは沢山の苔むした岩……ではなく、ボロピエたち。
「いた! ボロピエ! おっもしれー!」
「凄いね……」
彼らの視線の先に、苔むした岩のようなものが、ごろごろと広がっている光景が広がっていた。
それらが全部ボロピエだというのだから、タイガのいうとおり、とても面白い光景だ。
そんな沢山のボロピエたちをみて、興味津々に、ふすふすと鼻を鳴らすのはメタボチックな犬……ではなく、レカーロ。
異様に尖った耳が、ぴくぴくと動いてボロピエの鳴き声に反応を示しては、愛嬌ある顔がさらに笑い顔になる。
「ユキ、よろしくな?」
セイリュー・グラシアが、ユキシロと名付けた大切な家族の首元を撫でながらそういえば、任せておいて! とでもいうように、尻尾をぱたぱたと振る。
今回、ユキシロも連れてきたのは、猫を発見したこともあるユキシロならば、他の動物も見つけ出すかもしれないという思いもあってだ。
ラキア・ジェイドバインはそんな2人の様子を微笑ましく見守っていた。
「いらっしゃい、今日は宜しくお願い致しますわね」
そんな彼らに、声がかけられる。
皆がその方へ向くと、車いすを押されつつ、一人の老婦人が皆を見つめ微笑んでいた。
薄紫のドレスに身を包み、ひざ掛けをしたその姿は生き生きとした雰囲気を漂わせていて、体調がいいというのがよくわかる。
「お久し振りです。お体の調子が良いとのことで安心しました」
挨拶にやってきたエル夫人に挨拶をするカイン・モーントズィッヒェルとイェルク・グリューン。
カインがイェルクを紹介すれば、エル夫人の瞳が瞬いた。
「イェルクと申します。以前はカインと雅臣さんがお世話になりました。本日、雅臣さんは舞台稽古で来られず、残念がっていました」
あらあら、それは残念ね、と言いながらも、エル夫人の瞳がカインを見詰め、そしてイェルクの元へと向かう。
あの時の、大切な人の話。
カインの隣に立つイェルクを見れば察せられたのだろう。
(あの時のバレんだろうな)
という思いは正解だったようだ。
自分から言うのは良いけれど、人からいわれるのは流石に恥ずかしいのだけれど。
「貴方がカインさんの大切な方、なのね」
乗り越えて行ける、愛おしい人。
前回の話で聞いたその人を目の前にし、エル夫人の瞳に優しい色が浮かぶ。
「え……?」
一瞬何を言われたのか理解できず、首を傾げた後……何を言われたのか理解すれば、首筋まで真っ赤になっていく。
その様子をくすくすと微笑みつつ見守られ、カインとエル夫人を交互に見れば、カインが瞳を細めて見守っていた。
「はい」
うろたえつつも、「大切な人」なのは確かなのだから頷けば、エル夫人も嬉しそうに頷いた。
「沢山お話したいことはあるのですけれど……まずは、皆様宜しくお願い致しますわ」
ゆるりと頭を下げられれば、皆がお任せ下さいと頷く。
ウィンクルムたちの真摯なその瞳に信頼を寄せて頷き、エル夫人が一度家へと戻っていく。
残されたのは手押し車が数台。
それぞれ一台ずつ借り受け、作業を開始するのだった。
●
(あの時のあれか。すんげー増えちまったのか……)
苔むした岩のように見えるボロピエたちは、カインとイェルクが近付けば、てててと逃げはじめた。
まだまだウィンクルムたちに慣れていないようだ。
あちらこちらに逃げまくるボロピエに、威嚇してくるボロピエ。
そんなに大変な作業ではないけれど、ちょっと時間が掛かるのはしょうがないかもしれない。
「また会ったな、元気だったか?」
同じ個体かどうかは分からないけれど、カインが挨拶をすれば、ボロピエたちの動きが止まる。
どうやら少し警戒を緩めたようだ。
「初めまして、よろしくお願いしますね」
警戒されぬよう微笑みを心がけ、視線をあわせてそういうイェルクに、ボロピエたちも誠意を感じ取ったのだろう。
カインとイェルクにだっこされるボロピエはおとなしかった。
とはいえ、わらわらと動くことに変わりなく、カインは親子や夫婦、兄弟……だと思われるボロピエたちからできるだけ視線を逸らさない。
「イェル、そっちの子は別の親子だ」
「あ、ありがとうございます」
そんな風に協力しながら、手押し車に乗せれば、無事、家族を移し終えて、移動していく……。
できるだけ揺らさぬよう足を進めるカインは、イェルクが遅れないようそちらにも気を配っていた。
スマートフォンを撮とりだした彼が見る場所……。
そこには、可憐は白い花が咲いていて。
普通ならば気が付かないかもしれない花を見つけ出すイェルクを見守れば、視線が絡み合い、自然と2人に笑みが浮かんだ。
「あとで、エル夫人に見せたいと思いまして」
いいんじゃないか。
そう頷く傍ら、ボロピエたちもなにやら気になるようでクァァ! と鳴き声をあげた。
「おや、大きい鳥ですね」
向けたスマートフォンで撮ってみたものの、少々ぶれてしまった。
他にどんな野生動物がいるのだろう?
カインとそういいながら、引っ越し場所へと向かっていく……。
お引越し、といえば……とセイリューがほのぼのと笑みを浮かべる。
「レカーロの引っ越しを思い出すなぁ」
その時も、こうやって2人で参加したっけ、とセイリューがラキアを見つめ微笑む。
「そうだね」
ひょいっと威嚇するボロピエのわきにと手をいれ、持ち上げる。
一生懸命に、威嚇してくる姿は可愛い。
「少しいったら、おやつにしようね」
父親だったのだろうか。
乗せられたボロピエに不安そうにしていた他のボロピエたちも、次々に手押し車に乗せてもらえば、そこまで怖いものじゃない! と気が付いたようだ。
さらに、向かう途中に梨を渡せば、うれしそうにボロピエたちが鳴きはじめる。
少しの間、しゃりしゃりと咀嚼音を立てながら、手押し車が移動を開始するのだった。
和気あいあいと仲良しな家族を手押し車に乗せて、セイリューとラキアが山道を歩いて行く。
「ボロピエは鎧状の外皮で子供の数が多く繁殖力が高いよね」
手押し車の中で仲良く遊んでいるボロピエたちを見ながらラキアが呟く。
「元の生息地にはこの子達を食べる生物が居たかも?」
きょとんと見上げる彼らは、よくわかっていないようだが……ひょっとしたらそんな動物たちに追い立てられこちらまで来たかもしれない。
(この子達草食だし、鎧で身を守り、沢山子孫を生まないといけない環境ってことでしょ)
その場所はどんな場所だったのだろう……。そう思いつつ、ラキアの視線があたりをさまよう。
「食物求めてその生物も移動してきているかも」
セイリューも頷きあたりを見渡した。
少なくとも自分たちにはわからない……が、頼もしい味方が、サマーカットを施され、白い毛先を光に反射させながら元気よく先導していく。
その足取りがとまり、わおんと鳴き声をあげて、セイリューとラキアにお知らせだ。
「どうした?」
少し先を歩いていたユキシロがなんかいるよーとお知らせした先では、大きめの鳥が此方を見ていた。
その視線は明らかに小さなボロピエに向かっていた。
わおん! と鳴けばばさばさと飛び去って行く鳥。
「なるほど……」
こういう外敵から身を守っていたのだろう。
この鳥はここに居た鳥だろうか?
とりあえず、記録をとりながら歩いていく……。
●
「がおー!! お引越しさせちまうぞー」
わらわらと動くボロピエたちと、すでに仲良しなタイガ。
彼の動く耳や尻尾に興味津々のようで、しましま尻尾を追いかけて楽しそうだ。
じぃっとそんな様子を見るセラフィムに、尻尾にじゃれつくボロピエと遊びつつ声を掛ける。
「セラ爬虫類は平気なんだ?」
「僕? 恐竜みたいで好きだよ。猫もいいけど、これでもカエルやバッタなら触れるし好きなんだ」
(カマキリや毛虫は駄目だけど…蛇も見ている分には平気だし)
へえ……意外、と笑った後、じゃれていたボロピエをひょいっと持ち上げる。
そろそろ移動しないと、と手押し車へ。
そんな彼を真似して、セラフィムも足元に近寄ってきたボロピエと視線を合わせた。
(小さくて可愛い、近づいてくれたこの子なら……)
お互い見つめ合う事暫し。
やがて、伸ばした指先に、ボロピエがふすふすとのってくる。
「すごい……」
どうした? とタイガに言われ、持ち上げながらセラフィムが微笑む。
「あ、好きだけどあまり触った事なくて、ゴツゴツしてて動いてる子って初めてで」
本当は触りたいけれど、触れ合いは後にしないとお茶会に遅れるね、と2人で手押し車に乗せて行く。
「仲間で分けて……と。そういえば別の生物の痕跡あるかな」
「どうだろうな? セラ、探してみるのか?」
「そうだね、探すのもいいかもしれない」
とりあえずは、連れて行かないと。
2人でボロピエたちと移動しはじめる……。
セイリューたちが大きな鳥と出会っていた頃。
「ちいいっと揺れるけど我慢しろよー!」
力強く押されていく手押し車。
辺りを見渡しながら、セラフィムも遅れないようタイガについていく。
木々の間からは、時折動物たちが顔を出してはタイガとセラフィムを不思議そうに見つめていた。
そんな彼らを写真に撮り、そしてメモに残していたセラフィムの指先が止まる。
「どうした?」
不思議そうな声に、セラフィムがそっと視線をやれば、タイガもそちらへ視線をやった。
大きめの鳥が木にとまり、ボロピエを狙っているそぶりをしているけれど、人がいるために少なくとも今は大丈夫だろう。
「写真、とっておこうかな」
あとで、エル夫人に見せようとセラフィムは思う。
「セラ、そろそろ大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
メモもとり終えて、再び向かうのだった。
何度目かの往復後。
「ちょっと休憩しませんか?」
さすがに喉の渇きも感じはじめたころ、イェルクがそういって皆を呼び止めた。
水筒に冷たい紅茶準備をしてきたイェルク。
皆にそれをみせれば、休憩しよう! と集まってくる。
「結構な数、移動したんだろうが……」
カインがそういいながら見つめる先では、それでもまだまだボロピエたちがあちらこちらに固まっている。
「このまま増えてっちまうのかな?」
タイガが首を傾げれば、セラフィムもうなづく。
「天敵がいないとそうなりそうだけど……」
セラフィムがそういうが、でも、2人との天敵がいない、とは言い切れないよね、と話し合う。
そこにラキアとセイリューがそういえば……と声をかけた。
「ユキが見つけたんだけど、大きい鳥がいたんだ」
「ひょっとしたらあれが天敵かもしれないね」
いわれてみれば……と皆が大きな鳥をみていることを知り、やはりボロピエを追いかけて違う動物もやってきているようだ。
エル夫人に報告するのが増えたね、と頷きあうのだった。
ひと段落し、さぁ頑張ろう!
休憩をはさんだおかげか、その後の作業はより一層早く終わったのだった……。
●
午後になり、仕事を終えたウィンクルムたちはお茶会へといざなわれる。
暖かな紅茶とマフィンが出迎えてくれ、それぞれウィンクルムはおもいおもいの場所へと向かっていて。
少しおくれてやってきたエル夫人は、しばしの間そんなウィンクルムたちを見守るのだった。
足元にやってくるボロピエを抱き上げ、セラフィムはゆっくりと先程撫でれなかった分、撫でて行く。
その近くでは頭や肩にボロピエを乗せ、餌をやりつつ辺りを見ているタイガ。
主にその視線はボロピエと戯れるセラフィムの元へいっているのだが。
(セラ本当、動物好きでいい顔だけど妬ける)
ちょっと胸の中がもやもやしつつ、くいくいと尻尾を触られ、ボロピエを抱き上げる。
くるくるーと回ってやれば、ボロピエが楽しそうに声をあげた。
「タイガ加減! この子達、目を回すから!」
その言葉に、おや、と見れば確かにくるくる目を回しそうだ。
ゆっくりと止まり、セラフィムの元へいけば、どうしたの? と首を傾げられる。
そのどこか愛らしい様子に、口元に笑みをのせ、そっと頭の上にボロピエを。
「ほらほら押すなー」
「タイガ!」
ニヤリと笑えば、焦ったように名を呼ぶセラフィム。
そんな2人に、エル夫人がお茶は如何? と声を掛ける。
慌てて背筋を伸ばすセラフィム。
「報告書でみて興味あったんです。素敵な時間ありがとうございました」
礼儀正しくそう言ったセラフィムは、紅茶とマフィンを受け取りながら、撮った写真とメモを見せる。
タイガも一緒になって紅茶とマフィンを楽しみつつ、覗き込む。
今一度自分の森の動物たちを見て、エル夫人が瞳を輝かせた。
「このこ、いつも私が散歩をしていると顔を出すのよ」
「そうなんですね」
それ以外の動物も、こんなに沢山いるのねと嬉しそうで、そんな様子にセラフィムも笑みが浮かぶ。
「エルばあちゃん、あ、『ばあちゃん』呼び駄目なら代えるからさ」
いいえ、大丈夫よ、と微笑まれ、タイガがにこりと笑う。
「エルばあちゃん、こいつらとの話聞かせてくれるか」
「あら、あら、私が? ふふ、そうねぇ……」
ゆっくりと話す口調は穏やかで、愛情に満ちている。
(婆ちゃんや母さんが生きてたらこんな感じなのかな)
タイガとセラフィムはボロピエの話に耳をすますのだった。
タイガとセラフィムと話し終え、エル夫人はカインとイェルクの方を向く。
まずは、お土産の自分でブレンドした紅茶の葉をプレゼントするイェルク。
エル夫人の紅茶とマフィンを楽しみながら、カインは森の中の様子を話はじめた。
ボロピエたちも、道中騒がず安心していたこと、ついた場所ですぐになじんだこと。
「可愛いものですね。安心しているのでしょう」
それはエル夫人たちの思いが伝わってるからだろうとカインが瞳を細める。
足元になついてきたボロピエを撫でながらそういうのに、エル夫人もきっと安心してくれてるのね。
と嬉しそうだ。
紅茶をゆっくりと飲んだ後、イェルクは森に咲く花の写真を見せる。
「まぁ、こんなに可愛い花があったのね」
「はい、足元に咲いていてきがつきにくいかもしれませんが」
どうやって気が付いたのか、その時カインとボロピエはどうだったのか……。
写真や動画を元に話せば、より情景が思い浮かんだのだろう。
エル夫人の表情はとても楽しげだ。
「あなたはよく気が付く方なのね」
「そうなんですよ、よく気が付くでしょう?」
カインがしれっと惚気れば、エル夫人がくすくすと楽しげに微笑んだ。
えぇ、本当にそうね、と頷きイェルクとカインを交互に見つめる。
イェルクのことを少し聞きたいというエル夫人に、カインが少しだけ視線をイェルクにやったあと、愛情をにじませてエル夫人に微笑んだ。
「……可愛いでしょう。彼の紅茶は絶品ですよ」
普段どおりの惚気に、やはり顔が赤くなるイェルク。
やっぱりその惚気は恥ずかしいけれど。
「彼が私を蘇らせてくれたから、美味しいのだと思います」
嬉しいから惚気れば、あら、あらとエル夫人がうれしげに微笑んだ。
「そうね、今からあなたの……いいえ、あなたたちの愛情がこもった紅茶を飲むのが、楽しみよ!」
きっとその紅茶は、2人の愛情と信頼がこもった暖かな気持ちになれることだろう。
カインとイェルクと話し終えた後、エル夫人はボロピエと戯れるセイリューとラキアのもとへやってきた。
「お茶のおかわりはいかがかしら?」
「ありがとうございます」
そういって受け取れば、やがて先ほどの作業の中での話になる。
それぞれがまた違う角度から話をしてくれるおかげで、エル夫人はとても楽しげだ。
そんな中、ラキアは今までの経験と、知識の中で得たものをエル夫人へと伝える。
道中の木々や動物たちの映像の中にも、エル夫人が何気なくみていた動物の生態を伝えれば、なるほどと頷かれる。
近くにいるものほどあまり見てなかったかもしれないわ、とエル夫人が呟く。
「もっとゆっくりと、見るのもいいかもしれないわね」
「そうですね、新しい発見があるかもしれません」
そんな彼女の元へ、ボロピエと戯れていたユキシロがやってきた。
背中に小さなボロピエをのせて、仲良しな二匹。
瞳を輝かせるエル夫人に、セイリューがにこりと笑って、まずはレカーロの説明を。
その生態に不思議そうにしているエル夫人に、ユキシロがわふん! と親しげに鳴いて見せれば、エル夫人がぱっと笑顔になった。
不思議な動物と触れ合えたのがうれしかったようだ。
そんな様子をみながら、セイリューがそんなユキシロの活躍を伝える。
「春に庭でユキが子猫拾って家族が増えたんだ!」
まぁ! とエル夫人が家族が増えるのって、とても素敵ね、と微笑む。
家族といえば……とラキアが仲良く歩いていく親子を見た後、エル夫人へと視線を戻した。
「ボロビエたちの保護、ありがとうございます」
えぇ、と微笑むエル夫人に、それと……と言葉を繋ぐ。
お茶も、マフィンも、とても美味しいと伝えれば、嬉しそうに笑みを浮かべてくれたのだった。
こうして、皆と話を終えたエル夫人が瞳を伏せる。
少しばかり気になることがあったようだ。
「この大きな鳥は見たことがないのよ」
だからきっとこの鳥がボロピエを追ってこの森にまで来たのだろう。
今回、皆が注意してみてくれたからこそ分かったことだ。
「皆様、ただ移動するだけじゃなくて、こうやって調査もしてくれて、ありがとうございます」
おかげで、今後の方向性も決まってきたようだ。
「何かあったら、また我々がきますね」
カインの言葉に、タイガも頷く。
「そうだぜ、エルばあちゃん!」
皆がそうだと頷けば、エル夫人も頼もしそうに微笑んだ。
「そうね、皆様がいらっしゃるわよね……」
きっと彼らは、これからここを住処に生きていくのだろうと瞳を細める。
こうして、楽しい時間が過ぎて行くのだった。
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 如月修羅 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 3 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 05月18日 |
出発日 | 05月24日 00:00 |
予定納品日 | 06月03日 |
参加者
- セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
会議室
-
2016/05/23-23:59
:タイガ
ツヤ?・・・(てれてれ)まあ、楽しい時間になりそうだしさ!
俺もやっとプラン終ったー!!ボロピエはもちろん交流もできたらいいなっと
がんばろー! -
2016/05/23-23:39
カインさん達も来てくれて、お引っ越し作業が更にはかどるぜ!
皆で頑張ろうな!
プランは提出できた。楽しい時間を過ごそうぜ。 -
2016/05/23-23:35
-
2016/05/23-23:06
お、タイガ。久し振り。
数が多いから大変そうだが、ま、頑張ろうぜ。
ツヤツヤしてんなぁ。充実してるのはいいこった(うんうん) -
2016/05/23-22:21
:タイガ
カイン達もよろしくな!負担が三分の一になったしずっげー助かるぜ!
俺らは初参加だから前回の話を聞いてた、(報告書をみた)とかでとっかかるかもなー
今、プラン書きの真っ最中(かりかり) -
2016/05/23-11:47
ギリギリで悪い。
滑り込んだカインだ。
エル夫人とは前にお会いしたことがあるので、来た。
今回のパートナーはイェル。前回は雅臣だったがな。
>引越し
300匹、1回につき10匹。単純計算して合計30回。距離1km程度を手押し車。
で、2人1組で引く。3組。1組あたり10往復かな、大体。
時間はどの程度か判んねぇけど、10分って話じゃねぇだろうし、手押し車に乗せる時間もあんだろうから、まぁ、長丁場だな。
>別の動物
前来た時結構広い森だったし、オーガの類も確認出来なかったから、いるんじゃねぇかなぁ、色々と。 -
2016/05/23-00:53
!!セイリュー達いらっしゃい・・・!
よかった。出発叶った。ざっくりプランも書いたし当日はどうぞよろしく
>引越し
Σ労力まで考えてなかった!?
5時間とは・・・厳しいね。子犬サイズだし力持ちがいてくれるから普通に済む感じに思ってた
エル夫人やボロピエ達と触れ合う時間もほしいし、兎も角頑張るよ
>別生物
さすが動物好きで視野が広いというかなるほど。そちらも楽しみだ -
2016/05/23-00:37
セイリュー・グラシアと精霊ラキアだ。
300匹のお引っ越し。10匹乗せても、のべ30往復じゃん?
この人数だとそれなりの重労働になりそうな気配。
ざっと軽く見積もって、今のところ5時間は作業に必要か?
頑張ろうぜ!ヨロシク!
元々ここに居なかったボロピエが移動てきて、夫人の保護で増えたなら。
元々の生息地でボロピエを捕食していた別の動物も移動してきているかもしれないな。
ボロピエ専食って訳じゃないだろうけどさ。
肉食~雑食系の何か別の動物が作業中に見つかるかもしれないなぁ。そわそわ。 -
2016/05/23-00:26
よろしくお願いします。僕セラフィムとタイガだ
・・・・・・
まだ出発できるかもわからないけども。時間とメンバーをどうか(切望)
ボロピエ可愛いと思うんだ。爬虫類、愛嬌あるじゃないか
『タイガ:(あれ?意外だな)』