急募、モデル緊急招集!?(木乃 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

とあるタブロス市内の撮影ロケ地にてハプニングが起きていた。
女性向けファッション雑誌『Casablanca(カサブランカ)』での撮影準備がされていたのだが……

「おい、一体どうするんだ!?モデルがいないんじゃ仕事にならないだろ!!」
「すっ、すみませぇーん!!」
その日は夏物の衣装を撮影する……ハズだった、そこには肝心のモデルが来ていなかった。
アシスタントがモデルに伝える撮影日を間違えてしまったのだ。
それを聞いた撮影監督が連絡ミスをしたアシスタントを怒鳴り飛ばす。
「ったく、どうするんだよ……すぐにモデルなんて用意できねぇだろうが!」
撮影ロケ地も無償で借りている訳ではなく、当然車などに積まれた資材などに消耗品があり
他のメイクスタッフや衣装スタッフもモデルはまだかと待機している。
今回の撮影で用意したものが無駄になってしまう恐れがある。

「そ、そうだ!ウィンクルムの皆さんにお願いしてみませんか?」
「あぁん!?オーガ退治じゃねぇんだぞゴルァ!!」
アシスタントの発言に撮影監督も『ふざけとる場合かーッ!!』と
怒号をあげスパーンと勢いよく頭をはたく。
「ち、違いますよ!?今回のテーマは『真夏のデート&ファッション』じゃないですか、
 美男美女揃いのウィンクルムならモデルとして不足ないかと思います!」
アシスタントは撮影監督の怒号にビビりながらも確固とした根拠はあると力説する。

モデルというものは、容姿はもちろんだが身に纏う雰囲気やイメージというものが大事になる。
『Casablanca』の専属モデルや読者モデルも雑誌のコンセプトにあう
容姿や雰囲気のモデルが撮影に参加している。
雑誌のコンセプトは『大人系女子』、20代前半のモデルが参加していることが多い。
大人っぽい雰囲気なら10代後半でも参加している者が居る。

今回組んでいた特集は『暑さに負けない!真夏のデート&ファッション』である。
これからの暑い季節、より開放的になる季節にピッタリのファッションを読者にお届けしようというもの。
実際にデートしているワンシーンなども載せて読者の乙女心をくすぐるコンセプトの企画だ。

「精霊もイケメンが多いらしいし、神人とも初々しい雰囲気が初デートっぽい印象になりませんか?」
「ぐぬぬ……思いつきにしちゃ、筋は通ってるな……よし、連絡してみろ!」


撮影監督は急いでA.R.O.A.本部に電話をかけた。
『非番にしてるウィンクルムは居ねぇか、急で悪いが撮影モデルをやってほしい!
 報酬?雑誌の1ページ丸々掲載だぁ!』

解説

目的:
ファッション雑誌、カサブランカの撮影協力をしよう

カサブランカ:
20代前半の女性向けファッション誌でターゲット層と同年代の専属・読モが数多く在籍。
雑誌のコンセプトは『大人系女子』でクール&セクシー系が多く、
落ち着いた大人の女性らしい清楚系も掲載。

企画:
撮影監督から以下の要望が出ている。
撮影する時間帯なども指定されている。

▼A.リゾートを満喫!南国デート(11:00~20:00)
リゾート地のビーチやショッピングモール、夜のビアガーデンでのイメージ
水着とリゾートファッションの撮影、派手めでやや露出のあるデザインが多い
イメージはグアムや沖縄などの賑やかな南国

▼B.避暑を満喫!キャンプデート(11:00~20:00)
小川でのBBQや木漏れ日の中のワンシーン、夜の手持ち花火などでのイメージ
清楚なファッション数着の撮影、シンプルで露出は控えめなデザインが多い
イメージは軽井沢や夏のフィンランドなどの閑静な避暑地

▼C.一夜を満喫!ショットバーデート(18:00~00:00)
ムーディな雰囲気の落ち着いたショットバーをイメージ
カクテルドレス数着の撮影、どの衣装も露出度が高くセクシーさを要求される
内容上、神人・精霊どちらも20歳以上のウィンクルムを指定している。

※万が一、どちらか未成年者のみとなった場合でも撮影監督が早めに切り上げるので問題なし

参加方法:
ABCで希望企画をプランに記入して下さい。
(A参加!、企画:C、など)

撮影場所は内容によって違います。
【重複は不可】のため、参加者同士でご相談下さい。
(重複した場合は内容に向いていそうなプランのキャラを選びますのでご注意下さい)

メイクや衣装などはスタッフが全て用意してくれますが、
ファッションの好みなどありましたら参考にさせて頂きますので
プランに記入して下さい。
(フリルが多め、ビタミンカラーが好き、赤はNGなど)

ゲームマスターより

木乃です、もう5月ですね。
今回は雑誌企画のピンチヒッターとしてウィンクルムがお呼ばれしました。
雑誌の1ページ全てウィンクルム毎に用意するという監督の太っ腹対応です。

ジェールなどの報酬はございませんが
タダでプロ仕様の撮影・ヘアメイク・衣装合わせしてもらえるので
それでご勘弁下さい、監督も必死です(笑)

キャラ口調のプランや台詞がありますと
よりキャラクターの個性を反映しやすいかと思います。
文字数に余裕があったり、余ったらぜひ盛り込んでみて下さい。

それでは皆様のご参加、お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

夢路 希望(スノー・ラビット)

  企画:B

写真を撮る機会なんて
人並みかそれ以下くらいしかなかったので緊張します
(…こ、こういう時は深呼吸して落ち着きましょう)
※メンタルヘルススキル使用

時間があればお世話になる監督さん方へご挨拶
衣装については相談しつつ細かい点はお任せ
…ユキの隣にいて釣り合う、とまではいかなくても
恥ずかしくないようになりたいです

撮影に入ったら、
何とかユキと視線を合わせられるよう頑張ります
あくまで自然に…自然に…

…もしも私に彼氏ができたら
こんな感じ、なんでしょうか


☆相談
・基本的に大人しめで女の子らしい格好が好き
・普段はスカート、パンツ系はキュロット位
・淡い色や落ち着いた色が好き、ビビットやネオン系は苦手



七草・シエテ・イルゴ(翡翠・フェイツィ)
  【心情】
大人系女子の私……。
どんなイメージになるかわかりませんが、
今日は素敵な1ページにして下さるよう頑張ります。
どうか上手くいきますように……。

【行動】
Cの企画を希望します。
監督さんやスタッフさん、カメラマンの指示があればそちらを優先します。

希望が通るようでしたら
メイクは薄紫をベースに、リップはベビーピンク。
髪型はフルアップ、左上に大きなユリの髪飾りをつけられたらいいと思います。
カクテルドレスは、ミントグリーンか淡いライトブルー、もしくは薄紫色のものが着られればいいですね。

撮影が終わった後は、
スタッフさんやカメラマンの方々に「本日は貴重なお時間をありがとうございました」とお礼を言いたいです。



メーティス・セラフィーニ(ブラウリオ・オルティス)
  企画A
え?モデル?これからですか!?
緊張しますが…頑張りますね監督さん!

まったく、オルティスさん楽しんでますね?
人の気も知らないで…
一人は良いですがデートショット…うまく笑えるでしょうか

水着は自信が…その、胸が。まな板ではないですけど!
でもなんだか、違う自分になれたみたいですごく楽しいです…!

ふと死んだ恋人を思い出す
もし生きていたら、今頃は…
ちょっ!?おろしてください!泣いてませんから!
心配してくれた…?
よし、頑張ろう!

監督さんに感謝
お役に立てたでしょうか

あの…さっきはありがとうございます
どうしてそんなに優しいのですか?
私は貴方を想う事が出来ないのに…

雑誌発売されたら買いに行く
貰ってたら友人分



◆AM9:00/第一印象
メーティス・セラフィーニ、夢路 希望、七草シエテ・イルゴの3名は撮影監督へ挨拶に来た。
『非番のウィンクルムに撮影協力を願いたい』とA.R.O.A.本部に電話して30分。
3組のウィンクルムを集めることに成功した監督は品定めするように上から下までじっくり観察する。
(す、凄い眼力です)
メーティスは険しい表情を浮かべる監督に内心冷や汗をかいていた。

「言わねぇ方が酷だと思うんでな、先に言いてぇ事がある」
眉間にシワを寄せたまま、監督が3人に向き直る。
「雑誌のコンセプトは解ってるか?」
「20代前半の、女性向け……?」
「大人系女子ではありませんか?」
希望が目を伏せて思い出そうと記憶を探る、シエテも質問の意図を図りかね首を傾げる。
「間違ってねぇが大事な所はそこじゃねぇ」
監督がため息を吐いて首を左右に振る。

「20代前半に向けた『大人系女子』と題したクール&セクシーが中心だ。全員そのイメージと違うんだよな」
「え……」
思わぬ監督の一言に希望は動きが止まる。
「ちょっと見てみろ」
監督は傍らに置いていた雑誌を差し出して、見るよう促す。

Casablanca11月号と書かれた雑誌に目を通す。
毛皮のコートを羽織り大胆な胸元のカットが入ったロングドレスを着てポージングを決めるモデル、
ブルー系を基調とした妖艶なメイクを施しミステリアスな眼差しを向ける女優、
マイクロミニのオフショルダーワンピにサイハイブーツから網タイツを覗かせ色香を漂わせる歌手など
メーティス達とは大きく印象が違うモデルがほとんどだ。
「そっちの2人はイメージと対極、あんたは……シャレた例えだとじっくり熟成したワイン。
うちで出してるのは刺激の強い早飲みワインだな」
「じゅ、熟成……」
監督の一言にシエテは胸にグサリと何かが刺さる感覚を覚えた。

メーティスと希望は穏和で優しい印象があり、雑誌に載っていたモデルのようなクールさや妖艶さとは対極にいるように感じる。
シエテは雑誌に載っているモデル達より大人の落ち着きがあり、かえって衣装とは不釣り合いに思われる。

「バーの撮影は時間があるから今からみっちり『瑞々しさ』をスタッフに指導させる、そっちの2人は時間がねぇから用意してくれ」
「す、すぐにですか?」
メーティスは萎縮しきって困ったように眉を寄せる。
「俺達もあんたらに頼るしかねぇんだわ、スタッフのケツ叩いて120%モデルに仕上げてやる。後はあんたらの頑張り次第だ」
「そんな」
希望も自信をなくしてしまい俯いてしまう。
「ド素人に丸投げするのは監督として見過ごせん、全員の様子見に回るから安心してくれ」

今日1日はプロとして扱うからな、と監督が釘を刺した所で
メーティスと希望はそれぞれ車でリゾートホテルとキャンプ用コテージまで移動した。
シエテはスタジオで撮影スタッフに指導を受けることになった。

◆AM11:00/美的南国観光
ショッピングモールが併設された高級リゾートホテル。
南国の1ページを飾るのはメーティスとブラウリオ・オルティス。
『精霊は先に現地入り』という監督の指示があり、オルティスはメーティスを待っていた。
(可愛いメーティスが見れてデートも出来て一石二鳥だね)
平静を装いつつもオルティスの尻尾は揺れており、スタッフが後ろから不思議そうに見つめる。
オルティスの装いはベージュのハーフパンツに白いタンクトップ、そしてハイビスカス柄の紺色アロハシャツ。
ウェーブヘアはまとめられ、足元は素足に茶色のデッキシューズとまさに『南国の色男』である。
首元にかけられたビッグフレームのサングラスが雰囲気を引き立てる。

「年上彼氏か、そういうシチュエーションもいいな」
「誰だ、あんた」
「オルティスさん、依頼人の撮影監督さんですよ……」
そこへ撮影監督とメーティスがやってきた。

メーティスは白いノースリーブシャツに黒いクロップドパンツ、
花モチーフの大粒ビジューがついたウェッジソールのサンダルの出で立ち。
胸元から覗くカーキのキャミソールとプルメリアのネックレスが色香を感じさせ、
腰にはゴールドバックルの太いベルト、両腕に重ねづけした細身のブレスレットが全体を引き締め大人っぽさを滲ませる。
メイクもゴールド系のアイシャドウとピーチピンクのチークとグロスで上品なまとまりだ。

「メーティス……!」
オルティスは驚きのあまり目を見開く、プロが全て手がけたとは言えここまで変身するのかと驚きを隠せない。
「当然の仕上がりだな。後はあんたらがちゃんとデートっぽい雰囲気作ってくれたら完璧だ」
予想通りとでも言いたげな笑みを浮かべ監督は改めて二人に向き直る。
「あんたは、とにかく笑顔だ。全体的に動きが硬いから気をつけてくれよ」
監督は早速メーティスに指示を出す、緊張しているのが気になるようだ。

「す、すみません」
「モデルじゃないんだから緊張して当然だろ」
メーティスも言われて気づき素直に謝るが、オルティスは俺達モデルじゃないんだぞと反論する。
「馬鹿野郎、こっちは仕事で依頼してんだ!良い絵が撮れるようにサポートしてんだろうが」
遊び気分じゃ困ると一喝し、オルティスも監督の言い分に思わず言葉に詰まる。
「よし、撮影入るぞ」

こうして波乱の幕開けを迎えてリゾートデートの撮影が開始された。

◆AM11:00/とある避暑地の準備模様
希望はコテージに用意された化粧室で準備を進めていた。
「大丈夫?」
希望のヘアセットをしている女性スタイリストが心配そうに顔を覗き込む。
「あ、な、なんでもないです」
「5分で12回も溜め息ついてるわよ、監督に何か言われた?」
なんでもないと答える希望だが回数まで数えていたスタイリストにはごまかせなかった。

「……イメージと違うと、言われてしまい」
「成る程、確かに監督は口が悪いけど良い所は引き出してくれる人よ?貴方の魅力も解ってると思うわ」
「でも」
「カサブランカの読者層とは確かに違うわ、でも貴方の魅力を知ってる人は絶対いるから」
自信を持って?そう言ってスタイリストは微笑む。
雑誌のことばかりに気を取られていたが、確かに希望の魅力とはまた比べるものが違う。

「さ、出来た!お相手さんが年下だからお姉さん風にしたわ」
希望は白いチュールスカートの白いロングワンピにライトオークルのボレロ、
そして小花柄のフラットシューズといった出で立ち。
胸元や裾のレースが落ち着いた印象を与えつつ足元の小花柄が女性らしい。
サイドにまとめた髪はアイロンでくるっと丸まり、柔らかな印象を作る。
メイクはアイシャドウに赤、チークとグロスはコーラルオレンジと健康的な色合いに。

「ノゾミさん、終わった?」
「あ、コラ!」
突然、入ってきたのはスノー・ラビットである。
既に用意が済んでいて希望の準備待ちをしていたが、待ちきれずに見に来たようだ。
スノーは赤いネルチェックシャツと薄手のロングTシャツ、スキニージーンズとこちらもシンプル。
スニーカーで少年っぽさを出しつつ散策でも動きやすい格好となっている。

「雰囲気、違うね」
「えへへ、カッコよくして下さいってお願いしたんだ」
カーディガン姿ではないスノーに希望は驚き、スノーも心なしか照れているように見える。
「ノゾミさんもほんとのモデルさんみたい、今日は実際来たつもりで楽しもうね」
さらっと出るスノーの褒め言葉に希望は照れて俯く。
スタイリストは「すぐ行くから外で待ってて」と一旦スノーを外へ出すと希望に向き直る。
「貴方の魅力を知ってる人がいたじゃない、今日は楽しんでね?」

パートナーのお墨付きで少し自信を取り戻した希望は、気持ちをしっかり落ち着けて撮影現場へと向かった。

◆AM12:00/大人系女子とは
「フレッシュさが足りないネ」
「フ、フレッシュさ……」

スタジオ内ではテーブルセットを用意してポージングの練習をしていた。
指導している助監督の女性がショットバーデートの考案者だ、
イメージのすり合わせを図っているのだが、シエテの表現が助監督のイメージと合致しない。

「お昼だし休憩させてやれないかな」
翡翠・フェイツィも待機中のためシエテの指導風景を眺めていた。
「じゃ休憩ネ、お弁当持ってくるヨ」
「は、はい」
助監督は先ほど持ってきたお弁当を取りに給湯室へと向かった。
テーブルセットに突っ伏すシエテの横に翡翠が椅子を持ってきて隣に腰掛ける。
「大丈夫か?」
「……よく解らないです」
シエテはドツボにハマっており、何を求められているのかが解らなくなっていた。

「意識が違うネ」
そこへ助監督がお弁当とお茶を人数分持って戻ってきた、お弁当からは湯気が上がっている。
「どう言う意味だ?」
「食べながら教えるネ」
差し出したお弁当は生姜焼き弁当だった、醤油だれと生姜の香ばしい匂いが漂う。
「モデルも体力勝負、食べるヨ」
そう言って助監督はお弁当を食べ始める、しかしお弁当よりも話が気になりシエテは声をかける。
「意識が違う、とは……?」
「そのままネ、例えばこのお花」
助監督は近くに置いてあった花瓶から2本の花を持ってくる。左手に満開の花、右手には咲き始めの花。
助監督は両手に持ってシエテに見せる。
「同じ状態、見えるネ?」
「いえ、同じ状態では……」
「アナタ大人の女性ヨ、まさに満開の花ネ。でもカサブランカは咲き始めの花、未熟さのある女性使うヨ。
背伸びしてガンバる子がクール&セクシーやってるネ」

大人系女子とは、大人の女になろうと懸命に背伸びして頑張る女の子のことなのだと言う。
27歳のシエテは20代前半の女の子とは既に違うステージにいると告げる。
「どうすればいいですか?」
「そうネ」
シエテは困った表情を助監督に向けると、助監督は生姜焼きを食べながら一考する。
ひとしきり考えて飲み込むと
「ポーズが一世代前のアイドルっぽいネ、そこ直すネ」
「い、一世代前……」
「世代で流行り物は違うネ、仕方ないヨ」
今日何度目かのグサリと刺さる感覚を覚えつつ、助監督に「早く食べるヨ」と促される。

「俺も一緒に参加していいか?」
「そうネ、そろそろカップルイメージすり合わせるヨ」

食事休憩を終えると再び助監督の指導が始まった。
撮影は6時間後、果たして結果はどうなるか。

◆PM13:00/涙の想起
リゾート組が休憩を挟んでやってきたのはホテルのプール。
初夏の陽気が出始めているもの、今の時期はまだ肌寒い。

「ここは問題ねぇな、俺は他を見てくる」
最初の撮影では、困り顔や不自然な笑顔に激が飛ばされていたが、
徐々に自然な笑顔が出て良い絵が撮れたことで予定通りの時間で進行できていた。
監督は一言残して、他の撮影を見に行った。

「流石に恥ずかしいです……」
胸元を隠すように手を当てるメーティスはペールグリーンのパレオビキニを着ていた、
ロングパレオと水着には白薔薇が描かれており、髪も編み込みハーフアップでまとめて薔薇のコームで留めている。
「目の保養……いや、毒だな」
カーキ色のサーフパンツに着替えたオルティスはメーティスの姿を見て呟く。
メーティスはオルティスの呟きが聞こえなかったようで、困ったように見つめる。

(恥ずかしいけど、いつもの自分と違うみたい……)
着せ替え人形のように可愛らしく美しく、色々な衣装を身にまとう楽しさにメーティスの顔から笑みがこぼれる。
(あの人にも、見てもらいたかったな)
メーティスの脳裏にかつて愛した人の面影が過ぎる。
二度と見る事の出来ない笑顔が思い浮かび、想いがじわりと涙となって溢れてくる。

「どうしたの?泣いたらパンダになるよ」
「……あの人が、もし生きてたらって」

違う人を想いながらオルティスの優しさに甘えてしまう自分に自己嫌悪するが、溢れてくる想いが止まらない。
オルティスは一瞬複雑そうな表情を浮かべるがすぐに正して優しく諭す。
「頼まれたことだしやめようとは言えないけど、メーティスの笑顔をもっと見せて欲しいな」
オルティスは優しくメーティスの涙を拭う。

「……俺はその人にはなれないけど、今日だけは俺をその人だと思って接してみて?」
落ち着き始めたメーティスは不思議そうにオルティスを見て、オルティスの言葉に頬を染めながらぎこちなく笑みを浮かべる。
「うん、大丈夫だ。もうすぐ撮影が始まるからリラックスしよう」
深呼吸してとオルティスは優しく諭してメーティスも深呼吸をする。

(……どうして、そんなに優しいのですか)
オルティスは優しく微笑むだけで、真意は計り知れない。
「まもなく撮影を再開します、ご用意を」
スタッフがメーティス達に声をかけてすぐに撮影に入るように声をかける。
「は、はい!お願いします」
「ああ」

午後のメーティスは午前の時よりもイキイキとした笑顔を見せ、撮影もはかどった。
水着でのシーンが特に輝いており、見出しの一枚に選ばれることとなった。

◆PM14:00/年下の不意打ち
「よう、調子はどうだ」
撮影監督はキャンプ組と合流、こちらはバーベキューシーンの撮影に入るところ。
「は、はい」
「いいね、年下彼氏か。シチュ違いも大事よな」
うんうんと監督は一人頷く。

希望の衣装は淡いチェックのパーカーにベージュのキュロット、黒タイツにハイカットのスニーカー。
パーカーの下にVネックキャミと首にはウッドビーズのネックレス、髪型はポニーテールに変えて白いスカーフでまとめている。
スノーは長袖のラグランTシャツにカーキのカーゴパンツ、腰に先ほどのネルチェックシャツを巻いて
活発そうな印象のある装いだが、スノーの落ち着いた雰囲気に不釣合いさを感じさせない。

「厚着じゃねぇか?」
「日差しで肌が赤くなっちゃって」
「麻素材のモノを使いました、薄手ですしまだ良いかと」
どうやら最初の撮影で肌を傷めたようだ、スノーも申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「解った、そのまま頼む。悪ぃな坊主」
想定外の事態だったが慌てず指示を出す辺り手馴れたものである。
「撮影再開だ」

***
撮影は食事風景へ。
バーベキューは調理中もさることながら、自然に囲まれながらの食事も醍醐味だ。
衣装が汚れないように一口サイズに切られた湯気の立つ焼き野菜や焼肉が組立テーブルに並ぶ。

(自然に、自然に……)
メンタルヘルスの心得のある希望は緊張しないように、自分の感情を落ち着けようと心がけたおかげで
撮影中も慌てることなくスノーの顔を見ることができた。

「ノゾミさん、あーんってして」
「え!?」
「本とかテレビで恋人同士はよくやるってあったよ?」
撮影スタッフの後方で聴いていた監督がニヤリと笑みを浮かべ希望を見つめる。

「……わ、解りました」
希望も監督の視線に気づき、意を決して割り箸で焼いた人参を取りスノーの口に運ぶ。
「あ、あーん……」
「あーん」
満面の笑みを浮かべてスノーは人参を頬張る、スノーの口の中に人参の甘味が広がる。
「ん、美味しい」
スノーの嬉しそうな様子に思わず希望も笑みが零れる。

(もしも、私にも彼氏ができたらこんな感じでしょうか……)
ふと、自身の未来を想像する。愛しい人が出来るとはどんな気持ちだろう。
物思いに耽る希望の目の前にはスノーの顔が。
「ノゾミさん?」
バチッと視線が交わり希望の目が見開かれ、その瞬間フラッシュが焚かれる。

希望とスノーが至近距離で見つめ合う瞬間の一枚、『年下彼氏の不意打ち』と称され
見出しの一枚に選ばれることとなった。

◆PM18:00/大人の時間
「こんなもんネ、いいヨ」
「よかった」
「間に合ったね」
助監督のお墨付きを直前で受けシエテと翡翠は安堵して現場に来ていた。

シエテは淡い水色のビスチェ風ミニドレスでスカートには大きめのフリルが何重にも重ねられている。
髪型をまとめあげて白百合モチーフのコームのコームで留められている。
メイクはアイシャドウに濃い紫、ベビーピンクのチークとリップで小悪魔な雰囲気に仕上げた。
翡翠はライトグレーのスーツにピンストライプ、ワイシャツにモスグリーンの緩めたネクタイに身を包む。

「中々いい仕上がりじゃねぇか」
「大変だったヨ、監督」
他2つの撮影を見て監督がニヤリと含みのある笑みを浮かべ、助監督が溜め息を吐く。

「見た目だけで解決する気なら無駄だぜ、カメラは全て正直に写す。アンタが一番条件としちゃ厳しいからな」
「イメージ、忘れちゃ駄目ヨ?」
意地の悪い笑みを浮かべる監督に心配そうに見つめる助監督、どちらも撮影を成功させたいのが本音だ。
「はい、背伸びする女の子の気持ちですよね」
「また厳しいシゴキが入ったら堪ったもんじゃないよ」
翡翠も指導を受けたが中々イメージが合わず助監督から厳しい指導を受けていたようだ。
「オメェらも準備いいか、とっとと始めてくれ」
監督がスタッフに声をかけると、いよいよショットバーの撮影が始まる
カクテルグラスを持つ2人にフラッシュが焚かれ始めた。

***
PM22:00
カウンターからボックスシートへ移り衣装も様変わり。
シエテは薄紫色のホルターネックのドレス、ハイウェストでウェストマークは高めに。
脚はブラウンのストッキングに、髪は巻き髪で豪華に。
翡翠もスーツから黒のベストとスラックスにノーネクタイ、胸元に真っ赤なスカーフを入れて差し色ながらも印象的に。

テーブルの上には鮮やかなカットフルーツやチーズの盛り合わせが並び
この場面のみ、時間が遅いだけ数は少ないものの衣装替えの激しい撮影となっていた。

「ねえ、翡翠さん」
シエテはグラスの中で揺らめく紅色の液体を見つめながら翡翠に声をかける。
「お酒は20歳になってからと言いますよね。20歳になる女の子にとって、バーってどんな場所なのでしょう」
「ふむ」
シエテの問いに翡翠は自身の顎をなでて考える。
「大人の遊び場、じゃないかな。仲間入りしたから堂々と入れるけど、でも気後れしてしまうから背伸びしたくなる……俺の想像だけどね」
翡翠はグラスの中の液体を弄ぶようにグラスを揺らす。

「……シエ」
「はい?」
「大人の時間に乾杯」
スッとグラスを掲げてシエテに差し出す、一瞬キョトンとしながらシエテも自分のグラスを差し出す。
「はい、乾杯」
チンとグラスのぶつかる音と一緒に強い光が2人に向かって放たれる。

グラスをぶつけて見つめ合う一枚、『大人の社交場デビュー』として見開きに選ばれた。
こうして、夜遅くまでかかった撮影は無事終了した。

◆PM23:00/終了後
撮影が終了しセットの片付けを監督が指示しているとメーティス達がやってきた。
「お疲れ様でした」
「お、お疲れ様、です」
「今日は大変お世話になりました」
希望達は思い思いに監督に礼を述べて監督に頭を下げる。

「いや、こっちも助かったぜ。最初は全部撮り直しも覚悟してたけど思った以上にイイもんが撮らせてもらったぜ」
「えへへ、楽しかったよ」
にやりと満足気な笑みを浮かべる監督にスノーも笑顔を返す。
「モデルってのも結構大変なのね、いい勉強になったよ」
日中の助監督の指導を思い出し冷や汗をかきながら翡翠は呟く。
「馬鹿野郎、カメラの前でおすまししてりゃ良いってもんじゃあねぇのよ。読者に感情移入させられねぇとな」
「読んでる人も楽しんでくれるならいいな」
オルティスも監督の一言に頷き、今日の撮影を思い返す。

(ざ、雑誌はすぐ出るのでしょうか、お友達にも見てもらいたいです)
メーティスはワクワクとしながら雑誌の発売はいつだろうと想像していた。
「あ、今日撮った分は来月下旬だな、発刊するの。悪ぃけど雑誌は自腹で買ってくれな」
それを察知したのか監督が頭をボリボリと掻きながら苦笑いを浮かべる。
「またなにかあったらお声がけ下さい」
「あー、なんか企画案出たらな。出来れば企画の内容もちゃんと確認してくれな」
シエテの申し出に監督は渋い顔を浮かべた。


こうして撮影は無事終了した。
雑誌の発売は6月下旬、夏はもうすぐそこまで来ている。



依頼結果:成功
MVP
名前:夢路 希望
呼び名:ノゾミさん
  名前:スノー・ラビット
呼び名:スノーくん

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: puni  )


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 3
報酬 なし
リリース日 04月27日
出発日 05月04日 00:00
予定納品日 05月14日

参加者

会議室

  • 私プラン内で監督さんに挨拶しちゃってますがきっとGMさまがよきにはからってくれる・・はずorz

    うーん、でも、このページ以外を見ないといけないような情報を要素に入れるのでしょうか?
    もしそうなら解説かゲームマスターよりに一言あるかと思いますが…

    けど不安要素はなくしたいですしね、知らせてくださってありがとうございます!
    みなさまいい思い出となりますように♪

  • はい、その箇所ですね……。
    撮影場所は決まったのですが、
    その内、監督さんとご一緒する組は誰にするかまで決めていなかったようです。

    なので私が挙手させていただきます……。
    こちらこそ、本当にすいませんでした。

  • ごめんなさい、私も急ぎ見に行ってみたのですが

    「また、企画に対して1組のみを監督が希望しています、
    必ず相談して決めて下さい。」
    のことですか?これってつまりこのページの解説のところににある
    「撮影場所は内容によって違います。
    【重複は不可】のため、参加者同士でご相談下さい。」
    と同じととらえてたんですが違ったんでしょうか(あせあせ
    ABCそれぞれで一組ずつ、って意味だと思ったのですが

    どちらにせよもうなおす時間がないので一応お願いしますごめんなさいー!

  • お急ぎでごめんなさい……。
    この企画、どれか1組は監督さんとのご希望があるそうです。(GM様の情報ページ参照)
    どなたか監督さんとご一緒しますか……?

    23:50までにお返事がないようでしたら、私が挙手しますのでよろしくお願いします。

  • [9]夢路 希望

    2014/05/01-22:31 

    では……お言葉に、甘えて。
    セラフィーニさん、ありがとうござます。

    皆さんの一ページ、楽しみです。

  • 各所で聞いていたプラン300文字の厳しさを今痛感しています…
    心情を書いていたらあっという間じゃないですかぁ!

    私は多分時間的に、すぐにでも現場にしょっぴかれる気がします
    なのでありのままで勝負です。
    ありがとうございますっ!不安要素はありますが…なんとかなる、と思います。

  • そうですね、その方向になりそうです。

    メーティスさん、ありがとうございます。
    「大人系女子」を意識して、今回、髪型や仕草も研究していきます。
    初依頼……どうか素敵な思い出になる事を願っています。

    私も緊張しています、モデルとしてつとまるか心配になってきました……。

  • 大丈夫ですよっ。
    こんなこともあろうかと、どちらのプランもイメージしておりましたので!
    問題ないのです♪

    そうですね、Cは被らなかったので七草さんで決まりですね
    カクテルドレス、何度か見たことがありますがすごく綺麗でした…七草さん絶対似合うと思います!

    ではでは、参加企画は
    A:私
    B:夢路さん
    C:七草さん
    ですね、監督さんのためにも頑張りましょう!

    ……そういえば私、初依頼でした。
    き、緊張してきました…。

  • [5]夢路 希望

    2014/04/30-20:51 

    す、すみません。
    あ……え、えっと……い、いいのですか……?
    セラフィーニさん、最初にBを希望されていましたし、
    もし、あの……い、いざという時は……。
    お、お仕事ですから
    どちらでも、全力で、頑張ります。

    Cは……七草さんで、決まりでしょうか。
    宜しくお願いします。

  • 夢路さんと被りましたか、むむむ…!
    分かりました、私はA企画に参加しますね。
    水着は、ワンピースタイプだって信じてます。ビキニだったら…か、覚悟を決めます!

    他の方の撮影を覗き見したいな…と思いましたが時間的に厳しそうですね。残念です。

  • メーティスさん、希望さん、はじめまして。
    七草シエテと申します。こちらこそよろしくお願いします。

    私は今のところ、Cを希望しています。
    被ってしまったら……Aかな……。

  • [2]夢路 希望

    2014/04/30-01:42 

    あ……メンバー、決まったんですね。
    ……え、えっと……夢路希望、です。
    こ、今回は、宜しくお願いします。

    企画は、第一希望がB、第二希望がA、です。
    ……セラフィーニさんと、一緒、ですね。
    私も、その……は、恥ずかしくて……。

    ひとまずは、もう一方のご意見もお聞きしてから、で。

  • あわ、すさまじい競争を見てしまいました…

    みなさまはじめましてですね。メーティスといいます、よろしくお願いします!

    えっと、私は企画の第一希望はBで、次にAです。
    私自身セクシーとは程遠いですしその、や、やっぱり露出は…恥ずかしいですので…(あせあせ


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