プロローグ
彼が来るッ!
いささか古風な美形顔、やや垂れた眉と大きな瞳には、気品を感じさせる優雅さがある。口元に傲慢げな薄笑みが浮かんでいるのも、若さゆえのものといえようか。獅子のような髪は薄藤色、その最も目立つ特徴は、両のこめかみ付近の渦巻きであろう。
彼こそは自称マントゥール教団の貴公子、教団の分流『テューダー派』の幹部。
名はパル。姓はバラ。続けて呼べばバル・バラであるッ!
バル・バラは軍服風のコスチュームに身を包んでいる。暗く冷たく湿った地下への階段を歩むのも、軍靴として使われるブーツだ。階段が終わるとまっすぐな地下通路をしばし進み、やがて彼は、ある扉の前で足を止めた。
格納庫のようなシャッターだった。
「私だ、扉を開けよ」
うなるようなモーター音とともにシャッターは上昇し、そして、
「うおわ!」
バルは両眼を手で押さえたのである。
「目が、目がぁ~ッ!」
まるで漫画のページをめくったよう、今やバルは滝のように涙をこぼし、打ちっ放しコンクリート壁の部屋をじたばたと走り回っている。さらには、
「鼻があッ!」
何度もくしゃみを繰り返しているではないか。もうこうなったら貴公子も割と台無しである。
「バル様! だからゴーグルとマスクは必須ですとあれほど……!」
バル以上に慌てた様子で、色鮮やかなブロンドの青年が飛び出してきた。彼の名はサンチェス、バルの忠実な部下である。
「この場所は危険です! 花粉だらけなんです!」
まだ少年の面影が残るサンチェスだが、今その容貌はそれとわからない。彼は大ぶりなゴーグル状サングラスと分厚いマスクを装着しているのだ。よく言えばお忍びの芸能人、悪く言えば逃亡中の指名手配犯といったところだ。どちらにせよ、怪しいことこの上ないが。
しかし怪しいというのであれば、この場所の空気もなんだか怪しい。もうもうと粉っぽく、黄色が買っていて透明度が低いのは、蛍光灯が切れかかっているためではなさそうだ。つまり、妙に煙(けぶ)っているのだ。
一瞬にして生じた主君の危機を、サンチェスは悲壮な覚悟とともに受け止めた。
すなわち彼はみずからのマスク・ゴーグルに手をかけ、決死の宣言を行ったのである。
「このサンチェス、バル様お一人を花粉地獄に置いたりはしません!」
サンチェスはそのマスクを引き剥がしそのゴーグルを捨て去った!
たちまち目鼻に襲いかかる、殺人蜂のごとき花粉!
サンチェスは身悶えして床を転げ回った。
「うおわ! 目が……! 鼻が……! バル様ーっ!」
バルもやはり身悶えして床を転げ回った。
「アホウがッ! 私の分のマスクとゴーグルを用意すればいいだけの話……ハクション! ブワクションッ!」
主従は、床を転げ回った。
しばし後。
「聞きしに勝るもの凄さだ……このバル・バラ、まだ目鼻が痛いわ」
ようやく完全武装(マスクとゴーグル)となったバルだが、目はウサギのように赤い。
「ええ、あまりに強烈ゆえ、密閉型のマスクとゴーグルをしていても、長く付近にいると危険です」
サンチェスも物々しい防具で我が身を守っている。さっきのがよほどこたえたのか、彼はマスクの上からマフラーを分厚く巻いて口元を覆っているのだった。暑くないのか?(たぶん暑い)
「それにしても……恐るべしクリーチャーよ……」
バルは改めてそのデミ・オーガを見た。
トレントである。
奥深き森に生える古木がときとして、根を足に、枝を腕として動き出すことがあるという。彼らには知性があり、森を守るという目的がある。それがトレントで、本来は善良な存在とされている。トレントは森に害をなす者以外には敵対せず、道に迷った旅人を助けることもあるという。
だがデミオーガ化すると話は別だ。樹そのものだった外観は赤黒い瘤の浮いた醜悪な姿と化し、森の守護者としての使命は忘れ果ててしまう。デミ・トレントは積極的に生物を襲い、その目的のためならば人界に踏みいることもあるという。はっきり怪物と呼んでいい存在なのだ。
そのデミ・トレントがここにいる。幹に顔のような隆起ができて、それを苦悶するように動かしながらこの場所にいる。鎖に縛られており身動きはできないようだ。
それにしても珍しいトレントなのである。大抵、トレント化する木は樫の木やブナであるというのに、この木は杉のようだ。といっても一般的な杉よりずっと背が低く、せいぜい2メートル半といったところだろうか。杉のミニチュアを見ているようである。
しかし留意すべきはその大きさというより、枝になっている橙色の花であろう。枝という枝が花をつけており、全体としてオレンジ色のシルエットになっているのだった。もうおわかりだろう。この場所を花粉まつりにしている原因は、このデミ・トレントなのである。
森を守るはずの存在が、凶暴な濃度と散布量、破壊力をもつ花粉をばらまくデミ・スギ・トレントへと変貌したのだ。
間近でこれに接していたバルとサンチェスは程なくして、体に異変を感じ始めていた。
「げーっ! やはり目が! ゴーグルもマスクも効果は一時的というのか!」
バルのゴーグル内側が涙で曇る。
「おあー! 強烈です……バル様-!」
サンチェスもくしゃみを連発しながら顔を覆った。
そもそもこの二人はともに、毎年春先は花粉症に悩まされる体質らしい。
やがてまたも主従は、床を転げ回ることになったのである。
「し、しかし……これなら作戦は成功間違いなし……です! 花粉といえば山から来るものと相場が決まっております。それがこんな町中のこんな場所から出ているとは……誰も思いますまい!」
這いつくばりながらサンチェスが言った。バルも声を上げる。
「罪なき人々を花粉症で苦しめるのは本意ではないが、これもマントゥール教団のため、世界を救うため……我らテューダー派の大義のためッ!」
……とまあ立派(?)なことを言っている風だが、サンチェス、バル・バラ、いずれの発言も、クシャミの嵐吹き荒れる中での発言なので、さっぱり言葉を成していなかったという。
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A.R.O.A.職員の葵は、会議室に一同を集め、空気清浄機の出力を最大にした。
もともと色白の葵が今日は特に青白い顔をしている。大きなマスクをしており、両目はタマネギでも刻んでいる最中のごとくショボショボだ。黒いおさげ髪の先も、ぺろんと力なく垂れ下がっているではないか。
「できるのであれば、眼球を取り出して丸洗いしたい……」
声が淀んでいた。きっと、鼻の通りが悪いのだろう。
「にわかには信じがたいのだが、A.R.O.A.の観測筋によれば、数日前突然発生したこの猛烈な花粉は、人為的なものの可能性があるという。しかも都市部に発生源があると思われるそうだ」
葵の目が潤んでいた。恋に破れた乙女のように。
「とすればマントゥール教団が動いている可能性も捨てきれん。信じればすれば花粉が消えますよなどといって信奉者を増やそうとしたり、特殊なマスクを売って資金源にしたり……これをなんとか……」
とまで言ったところで、葵はクシュッと小さなクシャミをした。
「なんとか……なんとかしてくれえ! 私は花粉は駄目なんだ!」
ばら撒かれる花粉! 暗躍するマントゥール教団! 取り戻せ、清浄な空気を!
解説
悪の秘密結社マントゥール教団には、テューダー派という分派があります。
そのテューダー派の若き幹部バル・バラが、部下のサンチェスと悪だくみをしているようです。
想像するだに辛いこの謀略を速やかに粉砕してください!
●目的
デミ・スギ・トレントという名の特殊なデミ・オーガを倒して花粉散布を止めることです。
この花粉は特殊なものなので、デミ・スギ・トレント本体が倒されるとたちまち、嘘のように花粉の効果は消え清々しい空気が戻ってきます!
●バル・バラとサンチェス
テューダー派の幹部と副官です。
戦闘員と通称される手下(今回はゴーグルとガスマスク装備)を多数引き連れており、戦闘になれば呼び出してウィンクルムを攻撃させます。といっても戦闘員は雑魚なので楽勝でしょう。バル・バラはそれなりに腕は立つのですが、今回はデミ・スギ・トレントのほうが強敵です。
●攻略ポイント
都会のどこかにバル・バラ一派が潜んでおり、デミ・スギ・トレントに花粉を『製造』させてどんどん空気中にばらまいています。その拠点を推理し、突き止める必要がありそうです。
デミ・オーガがいるのは地下のようですが、地下から直接空気中に花粉をまき散らすことはできないでしょう。うまくまき散らすことに適した設備も必要と思われます。そのあたりを総合してアジトの予想を立ててみて下さい。
あるいは、葵が予想したとおりの行動を教団員(戦闘員)が取る可能性もあります。それを探し出して尾行するという方法もあるかもしれません。偶然居合わせるというのは難しいので、逆に戦闘員たちをおびき寄せることができればもっといいのですが……。
●判定の話
皆さんは戦いのプロなので、いくら花粉症に苦しんでいても戦闘の数値には一切影響しませんのでご安心下さい。
目がかゆくてもちゃんとスキルは発動しますし、攻撃は当たりますよー。文章表現がそれっぽくなるだけです。
楽しい作戦をお待ちしております。
ゲームマスターより
毎年花粉の時期には手ひどく肌荒れします……桂木京介です。
多少推理の要素もある冒険シナリオです。はっきりいって大迷惑なので思いっきりとっちめちゃってください。
花粉の影響については、キャラクターそれぞれの自己申告でOKです。
花粉に弱い人は、劇中のバルや葵のように大変なことになりますが、ここまでひどくならなくても目がかゆくて困る人、クシャミがちょっと出る程度の人、ほとんど影響を受けない人など色々あっていいと思います。まったく影響がなくキョトンとしている人がいても面白いでしょう。
神人はクシャミが止まらず「うー」と涙目の一方、精霊のほうは影響ゼロで「ティッシュ買ってこようか?」と涼しい顔をしている、なんていう組み合わせも楽しそうですね。
それでは、素敵なプランをお待ち申し上げております。
桂木京介でした。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
下記申請 ・タブロスの地図x2(本部が職務に使用しているものをコピー希望) ・ノート ・蛍光ペン2種 ・全員の携帯電話番号、メールアドレス 情報整理専念 観測筋に人為的と思った根拠、被害集中地域(日付・時間含)を一応確認 市販のマスクが有効であったか葵へ聞く 私も銀雪も効果が薄くてな 根拠はノート4P目へ箇条書き 6P目以降の偶数Pへ集まった情報を箇条書き 地図1枚目に地下水道・公共施設を蛍光ペンで色づけ 根拠・他情報と照合、不自然な点があれば次Pへ記載 他地図2枚目に潰れた候補地を赤×で判り易く 情報は全員と随時共有 割り出せたら別の蛍光ペンで色づけ 全員へ写メ、私達も急行 突入前トランス 後衛より音を利用した援護主体で動く |
桜倉 歌菜(月成 羽純)
皆と手分けして探索 見つけ次第、携帯(スマホ)か繋がればインカムで連絡 地域熱供給から空調を使い散布している可能性を考えました ただ、地域熱供給施設まるごと乗っ取りは難しいかも… 空調施設が生きている廃ビル等で、現在は使われてない地域熱供給施設を使い、廃ビルの窓全開で周囲に花粉散布と推理 廃ビル中心に地域熱供給施設を探索 眼鏡・マスク着用、手袋で紋章を隠す 花粉症なので、私の花粉センサーも役に立つかも マスクを取り…より花粉を感じる場所を探す くしゅん! おにょれ、犯人許さない! 怪しげな場所にはオーガ・ナノーカを放ち状況確認 戦闘時は、即トランス 鞭で敵のゴーグルとガスマスクを弾く 花粉症の苦しみ!味わうといいのです! |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
市販の花粉症マスクと眼鏡を装着。帽子を目深にかぶって変装し街へ。 上昇気流に乗せて上空から花粉をばら撒いた方が拡散効果は高いです。 しかしバルさんがそこまで考えて飛散させるかというと(悩。 もう花粉は飛散してますから教団の宣伝活動を追った方が早そうです。 声高に花粉症対策マスク・ゴーグルを 特別っぽく商売している人達を捜します。 花粉で困っていると称し街を歩いてそれっぽい接触を待つのです。 接触してきたら話を聞いて、買いましょう(証拠獲得)。 気分を良くしてアジトに戻らないかしら。 そのまま尾行して花粉の元まで連れてってもらう。 敵アジトに潜入しデミを見付けたらトランス。対花粉装備はそのまま。 デミを駆除します。 |
ニーナ・ルアルディ(カイ・ラドフォード)
カイ君大丈夫ですか? 症状が酷そうです、拠点が見つかるまで休んでてもいいんですよ? …あんまり無理はしないでくださいね? 私は花粉症ではありませんけど、カイ君と一緒にメガネとマスクかけておきますね。 手袋で紋章も隠して、携帯も持って行きます。 沢山の花粉って煙みたいに見えますよね? 高いところからばら撒くと広がりそうですし…工場地帯を探してみます。 最近煙が出始めた煙突がないか聞き込みします、何かあれば携帯で連絡ですね。 トランス後、カイ君にコンフェイト・ドライブ プリム・ローズさんといいバル・バラさんといい、何だかテューダー派の方って面白い方ばかりですよね… あ、痒みがあるときは冷やすといいみたいですよーっ |
ユラ(ハイネ・ハリス)
少し目が痒いくらい(メガネ、マスク着用 ハイネさんが怖いから、早々に解決したい 町中で工場みたいなの作るとしたら…地下かなぁ 旧市街には地下水路があったし、こっちにもあるかも 地下の地図があれば入り口等を事前に確認 地上でも特に花粉が多い所を注意 花粉の量は精霊見てたら分かるかな 地図で確認した近辺を風上を中心に捜索 私ならマンホールや排水溝とかから、ひっそり数か所に分けて散布するなって 付近の住人に使われてない地下道や怪しい人を見てないか聞き込み それっぽいものを見つけたらスマホで連絡 戦闘は手下を中心に対処 花粉がどうして世界救済に繋がるのか分からないけど 自分すら(花粉から)救えない人に、世界は救えないと思うよ |
●第一幕
ハイネ・ハリスによれば、花粉症というのは懲役刑のようなものだという。
ただし囚人を囲むのはコンクリートの壁ではなく空気だ。空気中に含まれる目に見えぬ花粉が、鬼看守となって中にいるものを苛む。目は開けているだけで痒く、鼻水は止まらず声は淀み、おまけに偏頭痛まで起こって、頭がじんじんとするではないか。マスクをしていても症状は多少和らぐだけで、その実態から逃れることはできないのだ。まさしく牢獄である。
これが自然現象であるならばまだ我慢もできよう。この季節が去れば終わるのだから。
しかし人為的なものだとすれば話は別だ。A.R.O.A.の葵が言ったように、恐るべき陰謀のなしたものだとすれば……!
熟れた水蜜桃のように潤んだ目を半月形にして、二重にしたマスクの奥からハイネは声を絞り出した。
「マントゥール団……潰す」
その音程は通常より1オクターブは低い。
レンズのない防護用ダテメガネの奥より、ユラはちらりと彼を見る。
――ハイネさん……ちょっと怖い。
声のトーンのせいもあってか、今のハイネは何やら、暗い過去を背負った帰還兵のようだった。やや背を丸めており、涙目のせいで双眸が鈍く輝いている。髪にはつやがなく、ここ数日よく眠れていないせいか顔色もすぐれない。しかしそれらがあいまって、餓えた狼のごとき危険な雰囲気を醸し出しているのもまた事実なのだ。鞘を払ったククリナイフのような凄みと、冷たく冴えた色気があった。凄艶というのか。
「ユラ……ユラ、ユラっ」
うっかりハイネに見とれていたためか、ユラは何度か呼ばれるまで気がつかなかった。慌てて「え? なに?」と取り繕う。なおユラのほうは、ここ数日でも少し目が痒い程度の軽い症状しか出ておらず、眼鏡とマスクを着用した現在では、まったくといっていいほど花粉の影響はない。
ハイネのほうに、ユラの意を忖度している心のゆとりはないようだ。くしゅっと小さなくしゃみをして、彼はマスクの位置を直した。
「あまり動きたくないし、喋りたくないんだけど」
そうすることで花粉を遠ざけようとでもいうのか、軽く首を振って続ける。
「今、どのあたりを捜査してるんだ」
「うん、えっと」
コンパクトサイズの地図を広げてユラは示した。
「町中で工場みたいなの作るとしたら……地下かなぁ、と思って」
旧市街には地下水路があったという事実もある。このあたりも疑ってみていいだろう。そうしてユラは地形を絞って、地下に空間のある建物を探しているのだった。ハイネは手早くうなずいて、
「ああ、わかった。わかったから早くしてほしい。地下で利用できる広さがあるような場所なんて限られてくるでしょ」
「で、こっちのほうが疑わしいと思って」
と言うユラに続いて歩き出した途端、ハイネは苦しそうに咳き込む。
「……気のせいか、花粉の害が酷くなってきたような」
「とするとやっぱり見立ては正しいのかな?」
「人を花粉センサーみたいに使わないでほしいんだけど……」
苦々しく呟きながらもハイネがユラに従うのは、やはり彼女を信頼していればこそだろう。
今回、チームはウィンクルム単位で動き、それぞれのアプローチで真相を目指すという方針をとっていた。ひと組でも真実に迫ることができればそれでいい。手がかりさえつかめば、すぐにその場所に集結し一丸となって当たる準備も整えてある。なにしろ状況は刻一刻と悪化しているのだ。着実に包囲を狭めていくという手法は、あまりこの事件には向かないだろう。
瀬谷 瑞希も捜査に乗り出した一員である。調査を開始してすぐ、事態はきわめて深刻な状況にあると彼女は理解していた。
とにかく街に人がいないのだ。多くの人が花粉を避けているのだろう。出歩いている人たちもいるにはいるが例外なくマスクと眼鏡を身につけており、下を向いて黙々と歩いている。しかも、できるだけ外にいる時間を減らすべくその足は早いのだった。当然、繁華街であろうと活気はまるでない。本来の意味とは違うが、沈黙の春などと言いたくもなる。
瑞希も、精霊のフェルン・ミュラーも花粉の被害をほとんど受けていない。瑞希は多少肌がぴりぴりするような感覚を味わっていたが、フェルンにいたっては、眼鏡がなくても特に不自由はないらしい。ただ、だからといって無防備で歩くのは得策とは思えないので、眼鏡と帽子はしている。
「主としてこれは変装用だな。マントゥール教団には、ちょっとした知り合いがいるから」
出発前、冗談めかした口調でフェルンはニットキャスケットの帽子を軽く持ち上げ、緑柱石色の髪を隠した。彼は今、長い髪を首のあたりでまとめて三つ編みにして、長い尾のようにしているのである。髪は、エデンの園の蛇のように、するりと帽子に収まった。こうやって変装しているのだ。
「知り合いって、バル・バラさんたち……ですよね?」
「まあ、そういうことだな。今回の件、なんとなくだが彼らが背後にいるような気がする」
今回の件、マントゥール教団が関わっていることが噂されているが、それがテューダー派だという情報はまだない。といっても、フェルンはこの事件に、バル・バラやプリム・ローズに共通した匂いを嗅ぎ取っていた。うまく一言では表現しにくいが、強いて言うならばそれは……大がかりな割に小さな悪事を働いている、というものである。
さてフェルンは帽子に加えて、フレームレスの眼鏡をかけ、口元を大ぶりなマスクで隠していた。なるほどこれならバル・バラはおろかフェルンの幼馴染みがここにいようとも、すぐには彼と気が付くまい。
「これなら一般人に溶け込めそうだ。どう思う?」
「いいと思います。でも、もう少しうつむき加減で歩いたほうがいいのではないでしょうか?」
「視線がまっすぐだと目立つから?」
「いえ、教団が信者を増やす企みをしているのだとしたら、きっと花粉に弱り切っている人を目指すでしょうから」
おお、とフェルンは声を上げた。眼鏡を調整するかのように、鼻梁の上を中指と人差し指でそっとなぞった。、空気中を花粉が埋め尽くし、霞がかかっているようなこの環境下であっても、彼の笑みには曇りがない。むしろ、煙った空気を晴らすかのような爽やかさがあった。
「なるほど。それは思いつかなかった。さすがミズキだ」
「あ……いえ、そこまで深く考えたわけでは、ありませんから……」
話しながら声がだんだん小さくなっていく瑞希を励ますように、フェルンは白い歯を見せる。
「自信もっていいと思うぞ、ミズキ。俺は頼りにしている」
さて探そうじゃないか、とフェルンは言った。
「事件の背後にいるのがテューダー派だとすれば、きっと尻尾を出すはずだ」
「カイ君大丈夫ですか?」
思わずニーナ・ルアルディは、カイ・ラドフォードに手をさしのべていた。ここが街中でなければ、腕を広げ彼の身を抱きとめていたかもしれない。それくらい、カイは具合が悪そうな様子だったのである。
いま、カイは眼鏡を二重にかけ、マスクもまた二重につけている。それでもなお、彼は死の灰降り注ぐ中を歩いているような状況なのだった。顔は蒼白で、精巧な蝋人形のようだ。両眼は今にも泣き出しそうな子ウサギといった状態で、足取りも試合を終えたばかりのボクサーさながらなのである。けれど両眼には静かな青い炎のごとき闘志が宿っており、そのあたりも不屈のボクサーを思わせると言えようか。
「うん、大丈夫、ありがとう」
いささか濁った声ながらカイははっきりそう言うと、肩にかけられたニーナの手を優しく除いた。
「でも……症状が酷そうです、拠点が見つかるまで休んでてもいいんですよ?」
ところが、「まさか」とカイは首を横に振った。
「花粉をばら撒くなんてことしてる奴らは放っておけないよ」
間髪入れずこう告げる。
「元凶に会ったら何が何でも一発殴ってやるんだからな!」
ぐっ、と拳を握るカイである。いくら花粉に痛めつけられても折れぬ心が、カイの言葉からにじんでいた。
そこまでの意思というのなら、ニーナとしてはカイを止めるわけにはいかない。ただ、と彼女は付け加えた。
「……あんまり無理はしないでくださいね?」
うん、とカイは小さくうなずいた。このところ二人の間のわだかまりはほぼ消えており、カイはまた、ニーナを姉として見ることができるようになっている。
それにしてもひどい花粉地獄だ。直接的に症状がきついのはもちろんだが、それと同じくらい、防衛用の装備がきつい。端的に言うと重装備なのである。
「どこで何をするにしてもメガネとマスク必須とかホント大迷惑だっての……」
声をいくらか和らげてカイは言った。
「姉ちゃ……ニーナはよく平然としてられるよね」
「ええ、私は鈍感なのか、まったく花粉症はないので」
ニーナは肩をすくめて見せた。双子の姉弟だというのにこの体質差、なんだかカイに申し訳ない気がした。
そんなニーナの気持ちをすくい取ったのか、カイはさらに声のトーンを丸くしている。
「そりゃ助かるよ。道案内を任せられるから」
「どうぞどうぞ」
と言いかけてニーナは、はっと顔を輝かせた。
「カイ君っ……もしかして今、私を頼ってくれてます!?」
思わずニーナは猫みたいに、足を揃えジャンプしてしまう。両眼に星を宿して、
「お姉ちゃんに甘えてくれてもいいんですよーっ」
「なんでそうなるの!?」
「さっきも、『姉ちゃん』って呼んでくれましたしっ」
聞かれてたか! いささかカイはばつが悪そうに言う。
「も……もののはずみだよ! ちょっと、あんまり飛んだり跳ねたりしないでくれる!?」
そうして、花粉が散るから、と声高に告げ、ずんずんとカイは歩を進めた。
マスクをしていてよかった――カイは思うのだった。
きっといま自分は、頬を赤く染めているだろうから。
「あ、待って下さいよ? ほら、私が先に立ちますからね? 道案内道案内」
そんな弟をニーナは嬉しげに追うのである。
彼には気の毒だが、花粉まみれというのも、悪いことばかりではないかなとニーナは思ったりもする。
他のメンバーとは違って、リーヴェ・アレクシアと銀雪・レクアイアは、A.R.O.A.の会議室を拠点とし動かないでいる。といっても動かないのは物理的な話であって、実際には情報の世界を縦横無尽に駆け巡っているのである。
コルクボードに貼ったのは、役所が正式に発行したタブロスの地図二枚。
テーブルにはノートが一冊。しかも、水色の方眼紙のものである。加えて桃・黄色、2種類の蛍光ペンが数本ずつ。
加えて彼らのスマホには、チーム全員の携帯電話番号とアドレスを記憶させている。
「なるほど、この調査結果によれば、市街地を出ると逆に花粉症の被害は激減するということか。しかもこの数日突発的に出現したものという公算が高い……か」
革張りの回転チェアに深く腰掛け、長い脚を組み替えながらリーヴェは報告書を畳んだ。すでに必要なデータはノートの四ページ目までにに書き写しているので、報告書のほうは丁重に葵に返す。
「ところで、ここでひとつ聞きたいのは、市販のマスクが有効かどうかということだ。すまんな、私も銀雪も花粉の効果が薄くてな」
ごく平然としているリーヴェと比べると、葵のほうは惨めといってもいいほどの状況だ。空気清浄機の前に陣取って、それを抱きかかえるようにして一歩も動かない。なのに始終ハンカチで目を覆い、頻繁に鼻をかんでいるのである。
「効果か? ないよりマシとしか言えんっ……!」
気休めにしかならん、と葵は呪詛の言葉をならべるようにしてうめいた。
「これほど酷いのは初めてだ」
息も絶え絶えといった様子の葵なのだ。その高い職業意識がなければ、今にも突っ伏してしまいそうなほどである。
そのうちリーヴェの元に、ユラやニーナからの情報が届き始めた。リーヴェはそれをしっかりと確認すると、やはりノートを開きその六ページ目より後の偶数ページへしたためていく。同時に、地図の一枚目に地下水道・公共施設を蛍光ペンで色づけて、これまでに得た情報と付き合わせていった。
「やはりな……実地の情報と事前に得ていた情報との違いが多々ある」
「どういうことか」
葵が首を伸ばすと、リーヴェはうなずいて説明を始めた。
「公式発表されている都市のなりたちと実際とにズレがあるということさ。業者の手抜きか当局の把握ミスか、はたまた他の事情があったからか、不自然な点がいくつか見つかった。記録上残っているはずの建物が焼失していたり、記録されているのとは別の住人がいたり……ま、すべてが今回の事件につながっているわけではあるまいが」
こうして見つかった不審な点を、リーヴェは手早くリストアップして奇数ページにしたためていくのだった。
「凄いな」
このとき、葵は花粉症にもめげず感嘆の声を漏らした。
「大した情報処理能力だ。うちの内勤職員でもここまで手際良い者はあまりおるまい。以前、政府関係の秘書でもしていたのか?」
リーヴェはふっと笑った。
「いいや、惣菜屋勤務だよ」
「ご冗談を」
「いやいや、本当だ。家業でね。最近のお勧めは一口カツだ」
「……それは、秘書業界の隠語かなにかか? 『一口カツ』が『未公開株』とか」
それを聞いてリーヴェは声を上げて笑ってしまった。そういう風に見られるのは、悪い気はしないが。
その頃銀雪はスマホにかかりきりであった。仕事に集中しているため総菜屋の話は耳に入っていない。
銀雪は複数のSNSを高速で駆け回っているのだ。複数のアカウントを使い分け、いくつもの顔でアプローチしている。
銀雪が操っているものも情報だった。
ただしこちらは、その頭に『偽』の一文字がつく。
月成 羽純は何度かまばたきし、それでも落ち着かないのか目を擦った。
「花粉症はないはずなんだが……さすがに目が痒いな」
毎年このシーズンには、バーテンダーとして花粉症患者の嘆きを聞いてきた彼である。なるほど我が身にふりかかってみれば、なかなかに不愉快なものではないか。これからは嘆きを聞く身にも一層親身になれそうだ。
しかし俺よりも――と羽純は恋人を振り返った。
「歌菜……大丈夫か」
「大丈夫!」
反射的に桜倉 歌菜は、はいっ、と手を上げたのだが、そのとき同時に、ほろりと涙がこぼれていた。
「全然そんな風に見えないが」
「うん、ごめん。あんまり大丈夫じゃない……」
歌菜は以前から花粉症の気がある。毎年この時期、花粉が多く飛び交う日は朝からずっとぐしゅぐしゅ言っているし、点眼薬も欠かさない。そんな彼女ゆえこの異様な状況は、かなりこたえているようだ。ふらふらである。眼鏡にマスク装備で精一杯花粉を防ごうとしているようだが、あまり効果はないらしく、さっきからずっとクシャミを繰り返しているのだった。
それなのに健気に歌菜は言う。笑みすら浮かべて。
「それはともかくこれで、地域熱供給施設は、全部調査終わったよね」
「ああ、ある程度予想はできていたことだが……」
ちらちらと、歌菜の様子を観察しつつ羽純は返すのだった。今の歌菜はまるで、汚染された土壌で咲こうとするヒナギクの花だ。こんな状況でも気丈にふるまう彼女を見ているのは心苦しい。できるものなら代わってやりたいと思う。だが今、自分が動揺しているところを見せれば、歌菜に精神的な負担をかけることになるだろう――そう考えて羽純は平静を取り繕ってはいるものの、早くなんとかしなければ、と内心では焦りを感じていた。
「しかし、地域熱供給を利用して散布している、という歌菜の読みは間違っていないと思う」
都市部にだけ花粉が散布されている源を、地域熱供給の利用によるものだと歌菜は推理していた。だとすれば効果は抜群だろう。実に効率的だ。ただしここまでの調査によって、下手人たちが公式の施設を丸ごと乗っ取っている可能性は消えた。
「なら次は廃ビルを調べてみない?」
阿吽の呼吸というのか、その一言だけで羽純は、歌菜の意図を察知している。
「空調施設が生きている廃ビルを探すというのか。現在は使われてない地域熱供給施設を使い、廃ビルの窓全開で周囲に花粉散布する……か、ありえるシナリオだろうな」
葵から受け取ったマップを手に、羽純はざっとポイントに目星をつけていく。候補数は少なくない。できればもう少し絞りたいところだが――。
このときまるで羽純の考えを読んだかのように、彼のスマートフォンがメールを受信した。
「リーヴェさんからの情報だ」
「えっ!? 見たい見たい」
要点だけをまとめた情報だったが、その文体にどこか気品というか、凜然としたものが漂うのはさすがリーヴェといったところであろう。あの端正な顔で薄笑みを浮かべている様子が、スマホの画面越しに見えるようだ。
すぐさま情報を読み取って、
「……公式の記録から消されたとおぼしき廃ビルがある。しかも、近いぞ」
ほら、と羽純は歌菜に画面を示した。
「もしかして私たち、真相に近づいてる!?」
「そうあってほしいもんだな。とにかく行ってみよう」
●第二幕
「あっ、すごいことになってますよ」
ニーナが声を上げた。彼女はスマホの画面をキュッキュと布で拭ってから、会話形式のSNS画面を確認する。ちょっと油断するとすぐ画面が曇ってくるのは、やはり花粉が半端なく飛び交っているためだろう。
SNSはまるで、たっぷり水をたたえたバケツに、キリで複数の穴を開けたかのような状態だった。
情報が飛び出しているのだ。あちらこちらから。
そのいずれもが偽情報なのである。
しかもそのいくつかには、事前に通知されていた銀雪のアイコンが数種類くっついていた。
いわく、
『花粉症は某企業が実験に失敗したせい』
だの、
『某研究所は特効薬開発に成功したらしい』
だの、
『被害が凄いこの地点でサンプル配布あるって聞いたぞ』
だのといった、見てきたような話ばかり流しているのだった。それらはたちまち拡散し、SNSという混沌の海のなかで、尾ひれが付いて増殖していった。アメーバが、凄まじい速さで増殖し進化していく様を見るようだった。これは災害時などによく見られる現象だ。いや実際、この花粉まつりは災害に違いないのだが。
加えて銀雪は巧みに、
『ガセじゃね?』
『ソース出せよ』
などと、別のアカウントに切り替えて横やりを入れてみたり反論してみせたりすることで、偽情報を刺激したくさんの議論を巻き起こして、逆にその信憑性を高めているのだった。たくさんのレスがついている情報ほど本当っぽく見える、というのはこうした場合の『常識』である。
「バル・バラさんが犯人だとしたら、この状況に我慢できず飛び出してくる可能性がありますね。『それは偽りであるー!』などと声をあげながら」
その様子を想像するだけで、ニーナはなんだか笑えてくるのだった。
くしゅっ、っとクシャミをしてからカイも言う。
「でなきゃ、まんまとこの噂に便乗して、布教活動なんかを始めるかもしれない」
「ありえる話ですね」
「噂の場所に行ってみようか……にしても、色々花粉症対策試してみたけど、どれも効き目ないってどれだけ花粉ばら撒いてるんだろう……迷惑な話だよ」
カイはヨーグルトやサプリメントも摂取してきたのだが、現在の花粉に限っては一向に効果がないように思う。気のせいか空気にすら味がついているように感じる。心底、迷惑である。
「そうだ、花粉症に乗じて勧誘に来る可能性も考慮して」
「考慮して、どうするんです?」
「捜索中も花粉症がつらいと何度か発言しておこうかな。うう、つらいつらい……いや実際つらいんだけどさ……」
泣き笑いしているような目をするカイなのだった。
瑞希とフェルンは既に、『サンプル配布がある』という噂の場所に到達していた。
そこはオフィス街の一角で、すでに黒山の人だかりができている。
「どうやら予想通りのようだ」
フェルンは帽子の鍔を引き下げつつ、そっと瑞希に耳打ちした。
「あれは、いわゆる『戦闘員』ってやつだろう。テューダー派の連中がよく引き連れていた」
目鼻も飾りもないのっぺらぼうのような黒覆面を頭からすっぽりとかぶり、全身黒タイツに黒手袋、赤いベルトに黒いブーツ着用という肌の露出ゼロな格好、そんな戦闘員スタイルの者たちが三人ばかり、道路に横付けしたトラックの荷台からせっせとなにかを配っていた。一応、三人とも白衣だけ羽織っているので、医療関係者に見えないこともない。
瑞希はフェルンにうなずくと、うつむき加減にトラックへと近づいていく。
「あまり怪しいと思われてないようですね……白衣のせいかしら?」
「溺れる者は藁をもつかむと言うからな。さて何を配っているのか……?」
近い場所から観察すると、戦闘員たちはマスクを配布しているものとわかった。人だかりは皆、これを受け取るために集まったもののようである。それでは証拠獲得に動くとしよう。
「ありがとうございます」
瑞希はマスクを受け取ってぎょっとする。マスクには、可愛くデフォルメされたオーガのイラストがプリントされているではないか。『オーガ力(ちから)で花粉をシャットアウト!』なんていう軽く頭痛を起こしそうなキャッチコピーのシートも入れられていた。
「いかにもバル・バラさんがやりそうな手ですよね……これ……」
こうやってオーガへの心理的抵抗を減じようというプロパガンダ作戦と思われるが、妙に回りくどいところがあって効果のほどは不明だ。そもそもこのマスク、ただの市販品と大差がなさそうである。
「オーガのマスクでも鬼のパンツでもなんでもいいよ、花粉症がやわらぐのなら……」
よろよろと歩み出て、トラックの荷台に手を伸ばした者があった。
カイだ。弱り切っており、今や薄幸の美少年と呼ぶにふさわしい。半分演技なのだが、一条の光明を見つけた、といった表情でカイはマスクを待つ。
ところが……! カイは凍り付いた。
戦闘員が彼の目の前で、大きく腕を交差させバッテン印を作ったのだ。
マスクのストックが尽きた……らしい。
他の戦闘員も同様に『売り切れ』というジェスチャーをして「ヒィー」などと悲しげな声を上げた。荷台にはもう、ひとつのマスクも残っていない。
ピアノの鍵盤を両手でありったけ、力いっぱい押したような効果音、つまり『ガーン!』という不協和音がカイの脳内で鳴り響いた。
「マスクが……ない……だって!?」
これもカイとしては演技半分と言いたいところだが、結構本気でショックだった。二三歩後じさる。
「カイ君、本当に大丈夫ですか……っ」
思わずニーナが彼の背を支えてしまったくらいだ。だがカイは首を振って再び前のめりになり、
「抗議だ! 抗議しよう!」
と腕を振り上げ声を上げたのだ。
途端、人だかりのなかから同調する声が次々とあがった。
「我々はマスクを要求する!」
「そうよ! 出し惜しみは許さないわ!」
「マスクくれー!」
実際、集まった人数に比べるとマスクは少なすぎたのだ。マスクよこせー、マスクよこせー、とたちまち大合唱になる。そしてトラックに押し寄せていくのだ。それはなんだかホラー映画に出てくるゾンビの集団が、生き残った人間にわらわらと迫っていく姿に似ていた。
フェルンは少し離れたところからこれを観察していた。
「もうストック切れか、ずいぶん甘い見積もりだったんだな」
瑞希はすぐにその原因を読んでいた。瞳に英知の輝をたたえて告げる。
「きっとテューダー派の人たちは、マスクを前から着々と用意していたのでしょう。ある程度行き渡ったところで花粉を止めるなどして、マントゥール教の力であると宣伝するつもりだったのかもしれませんね。でも今回、SNSで銀雪さんが流した情報を見て、便乗して急きょマスクを配布することにしたのだと思います」
だとすれば、数が足りなくなった理由も説明がつく。準備期間が足りなかったのだ。
「そうに違いない。やはりミズキは凄いな。論理的な読みだ」
「いやそんな……なんとなく思っただけですから」
瑞希は照れながらも、心の中でフェルンに感謝していた。
彼は自分に自信を与えてくれる。瑞希は人の気持ちを読むことが苦手で、かつてはどことなく、そのことに心苦しさを感じていたこともある。されど今はフェルンのおかげで、自分も世の中の役に立っているという気持ちになれるのだ。
非難を集中砲火のように浴びて、白衣の戦闘員たちはたまらなくなったらしい。「マスクの追加を取ってくる」ということをジェスチャーで示し、三人揃って運転席に飛び込むや逃げるようにトラックを発進させた。といっても市街地で人の波をかき分けるようにして進むゆえ、スピードは限りなく遅い。
「カイ君、どうやらあの人たちが、本拠地に案内してくれそうですよ」
ニーナはカイに呼びかけながら、瑞希たちの姿を見つけて手を上げた。
「うん、なんとしてもマスクを手に入れ……じゃなかった、この原因をつきとめよう!」
●第三幕
「アーレアヤクタエスト」
スペルを詠唱し、ユラはハイネの頬に軽く口づける。
まばゆい光が二人を包んだ。そうして爽やかな風も……。
「くっ」
ハイネは光を帯びながらも苦しげに声を上げた。正直、風がきつい。トランスのために外していたマスクを、すぐ元に戻してぜえはあと息をする。
「トランスしたところで、花粉に強くなったりはしないわけだな……頭では判っていけど、いま、身をもって学んだ気がするよ」
「ごめんね」
「なんでユラが謝るのさ。原因はすべてマントゥールにあるんだから」
「うん、でも、私だけ平気なのが申し訳ない気がして……」
「気にしなくていいって……」
ここでハイネは、煙でも吸い込んだみたいに咳き込んだ。やはり長く話すのは厳しい。そもそもこのマスク、本当に役に立っているのか。気分転換にはなるがあまり楽になった気はしなかった。
とにかく進もう、と言うように二人はうなずきあった。
この場所は、彼らより一足先に歌菜と羽純が潜入した廃ビルである。
リーヴェからの『至急向かってほしい』という連絡を受けてユラとハイネはここに急行した。潜入して以後、先行の歌菜たちからの連絡が途絶えたためだという。単純に地下深くに入って電波が届かなくなったためとも考えられるが、それ以外の理由を想像することもできた。
ビルはもともと巨大な公営庁舎で、その地下は、災害用地下施設として使われていたのだという。庁舎の移転に伴って民間の業者が買い取り使用していたが、もともと立地条件が良くないこともあって長続きせず、以後何度か入居者が入れ替わるうちに権利関係があいまいになり、ついには公式には『取り壊された』ことになって放置されていたものらしい。
電話でリーヴェはこう言った。
「どうやらそこがアジトと見ていいだろう。ニーナ組と瑞希組が追っている連中も、その方角に向かっている」
さらに彼女は言う。
「我々もすぐに後を追う。本来なら全員集結してから一気に突入すべきだが、状況が状況だ」
それを聞いて横合いからハイネが口を出した。
「……それにしても、都会の片隅によくこんなものが残されてたもんだね」
まったくだ、とリーヴェは相づちを打って、
「誰も責任を取らないでいいような体制を練り上げてきた行政機関の責任だろうな。そこは記録上は消滅したはずの建物だが、実際は違う。私の調べでは、地上建造物の大半こそ更地にされてはいたものの、それでもなお数分の一は残ったままで、地下のほうはほとんど手つかずということも判明している」
記録にも記憶にも残ることなく、ただ残された地下施設なのである。
「いわゆる負の遺産というものなのかな……?」
誰に聞かせるでもなく、ふとユラは呟いていた。
――たとえどれだけ目を向けないようにしていても、決して過去は帳消しにできない。いつかこんな風に、意外な形で顔を出す。
それはユラが己の過去を思うとき、決して平静でいられないことと通底しているような気がした。
急に黙ったユラを不審に思ったのか、ハイネはちらりと、眼鏡の下から気遣うような視線を流した。
「ごめん、ぼうっとしてて」
花粉のせいかな、と小さく笑って、それをきっかけにユラは目の前の使命に集中を取り戻した。
「行こう。きっと、この地下深くに『それ』がいる」
少し時間をさかのぼろう。
歌菜と羽純は記録上は存在しないはずの建物に入り、その地下への階段を降りていた。
「月成羽純だ。これから歌菜とともに、リーヴェさんから情報を得たビルの地下に入る」
そう言い残してインカムを切った。だがいつでもスイッチを入れられるようにしておく。
地下への階段は長い。
最初はトーチを点灯させていたがやがて、どこから来た電力によるのか蛍光灯がつくようになったので、とりあえず足元の不安だけはなくなった。独立型の自家発電でも生きているのだろうか。
過去、ここが災害用地下施設として用意されていたのは事実だろう。だが、たまの訓練以外で実際に使われたことはなかったと思われる。それほどに居心地の悪い場所なのだった。地下深くへ潜るに従って、足音はより虚空に響くようになり、肌寒さと、カビの匂いが増していく。ここで三日過ごせと言われたら、まず絶望するような気がした。
やがて最深部と思わしき通路へと到達した。剥き出しのコンクリートの通路は、迷路のように複雑に入り組んでいる。
「なんだか花粉が濃くなったような気がしません?」
歌菜の目に、蒼い蝶が翅を震わせているような緊張の色が浮かんでいた。
「いや……よく分からないが」
「では、私の花粉センサーで」
「花粉センサー?」
と羽純が訊き返すより早く、歌菜はマスクを取り、より花粉を感じる場所を探すのである。
といっても、すぐに、
「くしゅん!」
強い反応が起こった。
「おにょれ、犯人許さない!」
涙目で怒る彼女の様子があまりにも無邪気で、思わず羽純は笑ってしまった。
「これでも真面目にやってるんですから!」
「すまんすまん、なんというか……悪い意味で笑ったんじゃないんだ。それで、歌菜センサーが出した結論は?」
すると歌菜は自分の胸を叩くようにして、
「この場所はとても怪しいと思います! 反応がきつくなってきました」
「だとすりゃ、こいつの出番だな」
羽純は足元にアヒルの人形を置いた。青いこのアヒルはオーガ・ナノーカ、オーガに察知されにくい瘴気をまとった自動人形で、偵察に役立つ優れた品だ。
ところがアヒルのスイッチを入れるより先に、彼らの後方からシャッシャッと、箒で床を掃くような音が聞こえてきたのだった。
歌菜は声を潜める。
「人間じゃなさそうですね……オーガかその眷属でしょうか?」
「わからない。だが、正面から当たるべきではないと思う。調査はナノーカに任せて、俺たちは身を隠そう」
羽純は小さく舌打ちした。インカムのスイッチを入れたのだが雑音しか聞こえない。地下深く降り過ぎたのか、何らかの妨害電波が出ているのか。
●第四幕
黙ってハイネは膝を折ってしゃがむ。そんな彼の黒い髪に、ぽんぽんとユラは手を置いた。
与えるは祝福、コンフェイト・ドライブという名の。
ハイネの体を包むヴェールのごときオーラは輝きを増し、四肢に力と強靭さ、敏捷性まで満ちていった。
「ありがとう」
ハイネはユラを背後にかばうような姿勢をとった。
「さあ……来いよ!」
彼らは今、通路の行き止まりまで追い込まれていた。ならば反転攻勢に出るまで。マスクと眼鏡をかなぐり捨てて、ハイネは両腕を伸ばし切った姿勢で拳銃を構えた。右手に一丁、左手に一丁、合わせて二丁拳銃!
「お ま え か!」
ギラッと怒りの炎がハイネの瞳に宿った。この瞬間、アドレナリンが体中を巡ったためか涙も鼻水もぴたりと止まる。
暗がりから『木』が現れた。
途切れ途切れの蛍光灯がチカチカとまたたき、その異様に節くれ立った姿を影絵芝居のように見せる。
杉の木だ。
歩く、呪われた杉の木だ。
強烈な花粉をまき散らす杉の木、つまり、デミ・スギ・トレントである!
その頃カイとニーナ、瑞希とフェルンの二組も、デミ・スギ・トレントと対峙している。
縛り上げられた三人の戦闘員たちが、ヒィィと哀願するような鳴き声を発した。きっとあの戦闘員たちも、マスクの下では涙と鼻水に苦しめられているに違いない。
「なるほど、あれが原因だったというわけか」
前衛に立つのはフェルン、握るフェザーアックスは外見こそ流麗だが、単なる装飾品ではなく鋭利な刃もつ武具である。
「まさか一匹……いや、一本ですまないなんてね」
カイの周辺には光輪が、いくつも回転しながら漂っている。いずれも光の防護壁にして反撃装置、シャイニングアローIIの姿である。
小部屋で彼らは、白衣の戦闘員たちに追いついた。手際よく捕らえて尋問を始めようとしたところで、放し飼い(?)の樹が二本、ひょこりと入ってきたのである。トレントたちの登場と同時に、部屋の花粉密度はすさまじいことになっている。
だが彼らの反応は早かった。ニーナはカイにコンフェイト・ドライブをもたらし、瑞希もまた、いつでも加勢できるようワンドを握って構えている。
「さて、この斧は戦闘用だから木挽きには向かないが、切り倒すなら十分役に立つだろう」
アックスの柄を長く握って、フェルンは最初の一刀を繰り出した。
ザクッと確かな手応えだ。刃は腕状の枝を吹き飛ばすにとどまらず、樹の幹にまで食い込んでいる。
当然花粉がぱっと散ってすごいことになるわけだがカイは負けない。
「まともに物が見られない苦しみをあいつらも味わえばいいんだ」
言うなり放つは光の華よ、シャインスパーク木の目をくらます。
リーヴェと銀雪も現場に到達し、駆け足で回廊を巡った。
銀雪にとっては、ミノス王の迷宮もかくやという複雑な構造物であるにもかかわらず、リーヴェのほうはまるで選択に迷うこともなく、いくつかの角を曲がり十字路を突っ切り、横倒しにしたロッカーで塞いだ道を乗り越えていく。
「リーヴェ……その……迷わず進んでいるけど勝算はあるの?」
不安げに銀雪が問うた。
「ある、と断言したいところだが、まず五分五分といったところだろうな。ただ、道には迷っていないだけは請け合う。あらかじめ、この建造物の地図は頭に叩き込んでおいた」
「ならいいんだけど……でも、どこを目指しているのかは訊いていいかい?」
「中央コントロール室だ。悪党が根城にするなら、そういう場所を選びたがると思った」
「いいね! 中央コントロール室!」
「銀雪、また私の言葉に脊髄反射していないか?」
「前も言ったけどそういうことないって! 名推理だと思っただけだよ!」
「ははは、そうムキになって反論しなくてもよかろう……と、ここか」
格納庫のようなシャッターを前にしてリーヴェは足を止めた。そこは心得たもので銀雪がしゃがんで足元のコントロールパネルをしばらくいじると、やがてゆっくりとシャッターが上がった。
中に踏み込んでリーヴェは絶句した。
ものすごい花粉だ。
これまでで一番の、強烈な濃度がこの部屋に満ちている。
さすがのリーヴェもこれには目が痛くなり、口元を押さえてしまう。
煙いくらいの量で部屋の壁も見えないが、広い部屋の中央に、二人の人間が倒れているのはわかった。
一瞬、ウィンクルムの誰かかと思いきや、若い男の二人組だと判明する。ゴーグルとガスマスクをつけたその姿には見覚えがなかった。
助け起こした男の一人は、薄藤色の髪で、その左右のこめかみのあたりがぐるぐる渦を巻いているという妙な髪型だ。
「あっ、その髪型、見覚えが!」
背後からの声にリーヴェが振り向くと、そこに歌菜の姿があった。羽純も一緒だ。
「それ、マントゥール教団のバル・バラさんです! とするともう一人は、副官のサンチェスさん!?」
その声で気がついたのか、うう、とうめきながらサンチェスのほうが声を上げた。
「た、助けて……デミ・スギ・トレントが鎖を……」
バルのほうも息があるようだが、ゴーグルの下は涙でびしょびしょである。
「貴様らはウィンクルムだろう? フフ……敵ながら天晴れであった。今回は、私の負けだ………がく」
「おい、私はまだお前たちを倒したわけではないぞ。それに、『がく』まで口で言う必要がどこに……」
もちろんバルは事切れたわけではない。気を失っただけである。ここで羽純が思いだしたように声を上げた。
「そうだった! 六体ほどのそのトレントがこの場所に向かってるぞ。俺たちは逃れながらここまでたどり着いたんだ」
「それにしてもこの部屋、花粉が……」
とケホケホ咳き込みながら 振り返った羽純は、来た道の方向に、六本の杉があるのを目にした。
もちろんその杉は歩く杉である。
「リ、リーヴェ……ちょっとまずい状況じゃない!?」
銀雪が声を上げるも、リーヴェのほうは落ち着き払っている。
「うろたえるな。一般的なデミ・トレントよりずっと小柄だしか細い。花粉は驚異だが、戦闘能力はそれほど高くないように見える。潜入している仲間たちを終結すれば十分勝算はあるだろう。よし、ここは一旦退いて……」
「一旦退く必要はないと思うよ」
と明るい声がして、横合いの通路から黄金の髪をした少年が現れた。その隣には、同じ髪色の美しい少女も。
カイとニーナだ。ともに戦闘準備はできている。
「聞きましたよ。『がく』って自分で言ってましたね? プリム・ローズさんといいバル・バラさんといい、何だかテューダー派の方って面白い方ばかりですよね……」
ニーナはころころと笑った。花粉が目に痛いが、彼女にとってはこれくらい、笑い飛ばせる程度である。
フェルンと瑞希もいる。
「この花粉のせいなのか、それとも地形のせいか、通信が取れなかったものの、途中で合流できたのは幸運だった」
フェルンは髪を解き、エメラルドグリーンの髪をなびかせていた。壁役となって戦闘を経てきたが、ほとんど手傷はないようだ。
「デミ退治で花粉問題も解決! ですね!」
瑞希の声色も明るい。彼女はバルを見て、なんとなくプリム・ローズのことを思いだしていた。あの髪型が似ているせいだろうか。
そして、さらに、
「お ま え ら か」
首謀者バル・バラを目にして、怒りに震える声があった。
声の主は、ニーナ、瑞希らとは反対側の通路から姿を見せていた。
ハイネだ。戦闘の邪魔ゆえ完全防備は解いているが、怒りのパワーがあるゆえ平気だ!
「花粉がどうして世界救済に繋がるのか分からないけど、自分すら花粉から救えない人に、世界は救えないと思うよ」
ハイネとともに現れたユラは、きっぱり痛いところを突くのである。
「なるほど、この分なら、戦いにはそう苦労しなさそうだな」
リーヴェは微笑した。
その通りになった。
●エピローグ
「おお! 奇跡だ!」
最後のデミ・スギ・トレントが倒れた瞬間、まさにそうとしか言いようのない現象が起こった。
すなわち、まるで最初からそんな事態はなかったかのように、忽然と花粉とその害が消え失せたのである。
なんとすがすがしいのか! 花粉の流れていない世界は!
たとえそれが湿った地下の空気であろうと、まるで高原にふく爽やかな緑の風のように感じる。
奇跡だ、と叫んだ姿勢のまま、じぃんと胸を打たれたようにバル・バラは立ち尽くしていた。
「生きているとは、すばらしいものだな」
「ええ、バル様……!」
サンチェスは目を潤ませていたが、それは花粉のせいではなかった。
周囲に人がいなかったら抱き合いそうなこの主従に、言葉の冷水を浴びせたのはハイネだった。
「さて、次は君たちの番だけど、懺悔があるなら聞いてあげるよ……?」
両手を腰に当て、射貫くような視線でハイネは二人を見つめている。
「え?」
「『え?』じゃないっ!」
そんな彼らのやりとりを聞き苦笑しながら、銀雪はスマホをまた巧みに操っているのだ。
急いで情報を流そう。拡散もしよう。
『今回の花粉騒ぎは全部マントゥール教団の陰謀だったらしいね! でもA.R.O.A.がすべて解決したよ!』
と。
この情報には頭に、『偽』の一文字はつかない。
依頼結果:成功
MVP:
名前:リーヴェ・アレクシア 呼び名:リーヴェ |
名前:銀雪・レクアイア 呼び名:銀雪 |
名前:桜倉 歌菜 呼び名:歌菜 |
名前:月成 羽純 呼び名:羽純くん |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 桂木京介 |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 推理 |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 04月29日 |
出発日 | 05月05日 00:00 |
予定納品日 | 05月15日 |
参加者
- リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
- 桜倉 歌菜(月成 羽純)
- 瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
- ニーナ・ルアルディ(カイ・ラドフォード)
- ユラ(ハイネ・ハリス)
会議室
-
2016/05/04-23:55
-
2016/05/04-23:55
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2016/05/04-23:54
分かれて探索→見つけ次第、スホマで連絡→合流して、殲滅
って流れですね。
リーヴェさんは情報整理有難う御座います!
リーヴェさんを連絡の要として、各自がんばりましょうねっ
戦闘は各個撃破という形になりますでしょうか。
私と羽純くんの行動としては、主にバル・バラさん達を引き付けて、デミ・スギ・トレントへの道を切り開くつもりです。
何とかプラン提出しましたが、文字数厳しいですね…! -
2016/05/04-23:25
はーい、私達も携帯持って行きますねー
変装…は必要かは分かりませんがメガネとマスク、
念のため紋章隠しの手袋を付けていく予定です。 -
2016/05/04-22:24
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはロイヤルナイトのフェルンさんです。
挨拶が遅れまして、申し訳ございません。
皆さま、ご指導の程、よろしくお願いします。
通信手段として私達もスマフォを持っていきます。
私達も元々ルアルデイさんが想定していた「煙突のある所が怪しい」と思いますので
5階建て程度までの煙突の有る建物、銭湯とか酒造・醸造場、
大きい排気ダクトの有る工場等を当たるつもりです。
ただ、バル・バラさんの性格からして隠密活動が続く訳がないので
ばら撒いた花粉への、やや胡散臭い対処方法(怪しいマスク販売と布教活動)を
積極的に探していきたいと思います。
【効果絶大マントゥール印のマスクを特別販売!】とかいって
出店を出しているに違いないと思うのです。今までの言動から推測するに。
私達花粉症は平気なのですが、お手軽に変装するため
サージカルマスクと眼鏡をつけ目深に帽子をかぶって行くつもりです。
(これが原因で花粉症発症したら一生恨みますよバル・バラさん・・!)
-
2016/05/04-19:50
取り急ぎ!
リーヴェさん、通信手段としてスマホ持って行くの了解です♪ -
2016/05/04-15:54
通信手段、一応スマホも皆持っていてくれると助かる。
現在情報整理でプランを詰めてるんだが、メールなども使いたい場合もあるのでな。
一応並行して誘き出す手段を銀雪が担当する形。
誘き出す周辺を皆へ連絡する旨を書いてある。
情報収集が難航する場合も考え、その時に手を講じるより準備しておこうと思って。
私自身は情報整理、不自然な点があればそれを連絡したり、収集範囲を狭めるのに移動しないで行っていく。
申請が通るかはちょっと不明だが、地図やノートを使いたくてな。
全員で行動する訳ではないなら、判明時その拠点周辺地図を写メし、どう行くか書ければいいんだが。 -
2016/05/04-15:54
あわわ、誤字ってました!
眼鏡・マスク着用です…
眼鏡にサングラスってなんですか(白目)
あと、追加で思い付いた事を…
空調施設が生きている廃ビル等で、現在は使われてない地域熱供給施設を使い、廃ビルの窓全開で周囲に花粉散布とか…
なので、廃ビル中心に地域熱供給施設を探索しようと思います! -
2016/05/04-15:42
では、手分けしての探索に賛成の方が多数ですので、その方向で行きましょう(ぐっ)
ふむふむ…確かに元々ある施設を使っている可能性は高そうです。
余り自信はないのですが…私と羽純くんは、地域熱供給から空調を使って散布している可能性を考えて探索してみる事にします。
分かれて探索し、敵を補足した場合に連絡を取る方法については、携帯電話が良いでしょうか。
インカムだと離れすぎたり、地下だと通信が出来ない可能性が高いですし…
携帯電話でしたら、都市部ですので大体通じるかなって(地下だと繋がらない危険があるので、地上で連絡する必要はあるかと思いますが)
一応、私がサイバースノーヘッド「ネコミミ」を装備していくつもりです。
あと、私と羽純くんはバル・バラさん達と対峙した事があり、顔を覚えられている可能性があるので、
誘き出し役には向かないと思われます…(涙)
変装スキルもない(駄)ので…
探索時は、私達は(特に私は花粉症があるので)眼鏡・サングラス着用、手は手袋で紋章を隠す予定です。 -
2016/05/04-13:05
手分けして、に私も賛成だ。
一応観測筋に聞いてみたいことはあるが、効果は薄いと思うので、誘き出すならネットの力とか便利そうな気はするので、銀雪に頼んでみようと思う。
手分けをする場合情報を整理する者も必要だと思うので、こちらも含めて範囲絞りで動こうかと。
酷い症状の者にナンパしてそうな気はするが、効果的な場所にいるだろうしな。
ビジネスの話(嘘)をするにしても場所を絞りに行こうかなと。 -
2016/05/04-11:56
手分けして探して、各自それっぽいところや怪しい人を見つけたら
連絡して集合…でいいと思います。
一応行動中紋章は隠していく予定です。
えっと…私達はあえて地上から上の方も探してみようと思います。
煙が出てくるようになったら、普段煙の出ない場所は
一般の人にも流石に怪しまれるんじゃないかなと思ったので、
ある日突然煙が出てくるようになってもおかしくなさそうな
工場地帯の煙突とかを探してみることにしました。
ほら、高い場所からだったら広範囲にばら撒けそうですし。
花粉を作り出すスペースもしっかり取れそうですし。 -
2016/05/04-10:18
>地下水路
なるほど、確かに下水道だと臭いでやられそうだよね~あの人たち。
資金なさそうだし、施設自体は元々あるものを利用してそうだよね。
>行動
最初は手分けして探した方がいいんじゃないかな。
推理が外れてる場合もあるし、できれば誘き出す班と分かれられればいいけど
時間もないし、難しいかな…?
一応、私達は地下水路を探す方向でいるよ。
街中なら携帯も繋がるはず(だったよね?)だから、
それらしい場所や人物を見つけたら連絡するっていうのはどうかな?
>誘き出し
うーん…特殊マスクを売ってるなら、業者のフリして近づくのもありかなーと。
「素晴らしい商品なので、我が社と提携して大々的に売り出しましょう!」的な
話を持ちかけたら、乗ってこないかなぁ。 -
2016/05/04-00:33
ということで、改めて
・暗く冷たく湿った地下への階段
・まっすぐな地下通路
・格納庫のようなシャッター
ここがデミ・スギ・トレントがいるらしいな。
私は下水道ではなく、地下で貯水する場所だろうか。放水路ともいうべきか。
ああいう場所は地上の洪水を防ぐ為に地下へ水を取り込み、貯める、排出するとかでそうした機能があるらしいから。
そこまでの細かいのとかはないだろうから、単純に下水ではない地下水路とした方がいいかな。
……下水道の場合、臭い凄い筈だから、その前に彼らそっちで死んでそうな気がする。
しかし、広域かつ効率よく地上へ花粉を撒き散らせる地下施設か。
最初から地上へ空気の逃げ道があること、シャッターがあることの方が都合良さそうな場所を利用しているのは確実かな、という気は。
どっちも動きがバレやすいから新たに作らないんじゃ、ってだけなんで断定できるものがないが。
誘き出す場合だが。
特殊マスクを売り出す可能性が出ているが、用意したマスクとゴーグルが一時的なものっぽいな。
そういうのを利用するとかなのだろうか(悩) -
2016/05/04-00:09
締め切りまで時間が迫ってきましたね…!
現時点での意見を纏めますと…
・花粉が煙みたいに見えたら、それを目印に。
・「暗く冷たく湿った地下」=下水道?
・花粉が1箇所から飛ばされているなら、出入り口は風上の方に? マンホール等から、ぶわーっと?
上記を総合しましたら…
『下水道に繋がるマンホールのある場所を、花粉が煙みたいに出ている所がないか探す』…となりますでしょうかっ
あと、皆で行動するか、手分けするか…どちらがいいでしょうか?
皆で行動した方が、戦力的には安心なのですが、効率を考えるなら一旦手分けした方がいいのかも?
悩みます…! -
2016/05/03-19:50
リーヴェだ。
パートナーは銀雪になる。
まだ諸々の読み込みと考察が足りてないので、取り急ぎ挨拶をと。
後で改めて顔を出す。
よろしくな。 -
2016/05/03-10:33
どーも、ユラと鼻水が止まらないプレストガンナーのハイネさんです。
よろしくお願いします。
都市部って範囲広すぎじゃない…?
アジトの場所はプロローグに「暗く冷たく湿った地下」ってあるから、下水道かなと思ったよ。
でも花粉は出入り口から出してるわけじゃなさそうだよねー。
なんだろう…マンホールとかから、ぶわーっとしてるのかな。
1箇所から出してるなら、都市部でも風上の方にありそうだよね。
ニーナさんの言うように、煙みたいに見えてくれると助かるなー。 -
2016/05/03-00:25
桜倉歌菜と申します。
パートナーはライフビショップの羽純くんです。
皆様、宜しくお願い致します!
そうですね、ニーナさんの仰る通り、煙みたいなものが出ている所を探すの、良いかもしれませんね!
都市部の地下にありそうなものを上げていくと…
トンネルや地下道、地下鉄。地下駐車場。
上下水道、地下河川。
共同溝(配電線路とか、ガス導管とか)、地域熱供給施設。
こんなものが浮かびます。
私が敵ならば…管みたいなのを通してぶわーっと外に出す事を考えると思うのです。
そうなると、ガスの導管とか地域熱供給施設とか…そういうのがアヤシイかなって、考えました。 -
2016/05/02-13:52
ニーナ・ルアルディですっ、よろしくお願いしまーす!
…あ、今回一緒に行くカイ君はぐったりしてたので置いてきました、
必要なことは出発前に連絡しておきますね。
うーん、都市部なんて大雑把に言われましても…
ただ一箇所から沢山花粉を出してるなら、もしかして煙みたいに見えたりしそうでしょうか?
ほら、ニュースとかでたまに真っ白な煙みたいな映像流れますし!