プロローグ
●発注した物品の受け取り
「クソッ、やられた!」
荷運びを生業にしている青年のケビンが悔しそうに荷馬車の座席を叩く。
「……すまないカルデモさん。またあいつらに荷物を盗られちまった」
荷物を受け取る筈だった商人のカルデモにケビンは深々と頭を下げる。
「いやいや、君は気にしなくていいよ。噂を真に受けずに護衛をつけなかった私に責任があるからね」
●商人の噂
これはタブロス市近辺を行き来する行商人の間での噂だ。
最近、街道を通る荷馬車を無差別に襲い、荷物だけを奪っていく強盗団が居るらしい。 無差別に、とは言葉通りの意味で積み込まれた荷物、つまり奪われた荷物には規則性が無いのだ。
わかっている事は強盗団は荷馬車を狙うという事、タブロス市に繋がる街道であれば東西南北のどの道でも出没するらしいとの事だ。
そして、これが一番大事な事なのだが、その強盗団には角が生えているらしい。
●A.R.O.A.受付
「そういう訳ですので私共の荷馬車に護衛を付けたいのです」
ふくよかな体型のカルデモは受付員にぐいっと顔を近付けて言葉を足す。
「今回受け取れなかった分も発注しないといけないので、護衛についてくれるウィンクルムさん達の数だけ荷馬車を出そうと思っています。なので出来るだけ多くの護衛を希望いたしますぞ」
「了解しました。当日までにウィンクルムを集めておきます」
「今回被害を受けたケビンの話を聞いた限りですと、強盗団は複数のウルフに跨って荷馬車を追い掛けて来るそうですのでご注意下され」
最後にそれだけ付け加えてカルデモはA.R.O.A.受付を後にした。
解説
●目的
荷馬車をウルフに跨ったデミ・ゴブリンから守る。
●注意事項
参加するウィンクルム一組に付き荷馬車が1台増えます。
自分達が担当する荷馬車を守り切る事を念頭に置いて下さい。
強盗団はウルフに騎乗しており機動力が高いです、戦闘は自分達の馬車を止めるか、動かしながら撃退するか各自で選択して下さい。
強盗団の人数は分かりませんが、今回の依頼は強盗団から荷馬車を守る事です、殲滅出来る事に越したことはありませんが、無理はしないようにしましょう。
ゲームマスターより
どうもうちと申します。
まずはプロローグ観覧ありがとうございます。
今回の依頼は馬車の護衛です。
一組ずつに護衛対象の馬車が1台付きます。
味方の馬車を守るのも良いですが、自分の馬車も守れないと意味が無いのでご注意下さい。
と、まぁ説明はこの辺りで置いといて、もうすぐフェスティバルイベントが始まるみたいですので一度お目通しを。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)
この荷物はね沢山の人が苦労して作った物なんだよ それを奪うなんて許せない! 私達は『馬車を動かして』戦闘するよ 別行動するから出発前にエミリオさんとトランスしておくね 1人でも怖くないよ、エミリオさんを信じてるから 私は馬車の荷台に乗って、望遠鏡を使って常に周囲を警戒するよ 敵を発見したら、すぐエミリオさんにインカムで連絡するね もし敵が追いついてきたのなら、ダミーの荷物を投げて敵の注意を逸らして逃げるよ 事前に依頼主さんと相談して、売り物にならない肉とかが詰まった木箱を手配してくれないか頼んでみる それが無理なら剣で応戦して、エミリオさんが助けに来てくれるまで持ちこたえるよ ☆用意する物 ダミーの荷物 望遠鏡 通信機 |
エリザベータ(ヴィルヘルム)
心情: 無理に戦う必要はねぇかな、凌いで逃げ切んねぇと 行動: ウィルと馬車の荷台に乗るぜ 足は速くねぇしな、ダメなら並行して歩くぜ 出発前に砂とか小袋に入れて持ってきてぇな 盗賊団が来たら馬車に寄せ付けず、強盗団は深追いしねぇぜ 馬車は動かしながら撃退する方針だ 念のためトランス状態にはなっとこうかな 「…ウィル、こっち来な」 馬車に寄ってきたゴブリンはウルフから叩き落とすぜ すぐに動けないならそれで十分だぜ 武器が届かないなら小袋に入れた砂で目潰ししとくぜ 馬車の速度を上げられるなら上げるようにお願いするぜ 精霊が負傷したら手当してやりてぇな ロクな防具付けてねぇし… 「たく、ボロボロじゃねぇか…あんま無茶すんなよな?」 |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
支給申請:馬(鞍付き) 荷馬車に繋がれている馬を見た時ね、何故だか…強い衝動みたいなものを感じた。 乗らなくちゃ、って。 だから本部に乗馬用の馬を申請したよ そうね…年を重ねた馬がいい 若いこより体力はないけど、経験があるから驚きにくい これにディエゴさんを後ろに乗せた状態で荷馬車を護衛する。 相手も動物に乗ってこちらを攻撃してくる 私の直感を信じてその機動力を上回り牽制する(一般スキル【乗馬】使用) 思い切り駆けてくれれば良い、大丈夫、私が貴方のサポートをしてあげるから。 ディエゴさんは私の後ろに乗って盗賊を狙い撃ってね 足が速いなら、まずそこを鈍らせることが大事だよ! (盗賊には【ダブルシューターⅡ】使用指示) |
班目 循(チェスター)
★思考 依頼目的は護衛だけど……倒してしまってもかまわないんだよね? ……まだ本格的に戦闘を経験したことはないからね。この辺で戦ってみてもいいかもね。 ★作戦 まあ敵の数にもよるけど馬車を止めて戦闘主体で動こう。 ゴブリンよりも奴らの足であるウルフを優先して狙いたいかな。 最悪「勝てそうにない」と判断し逃げる際にも、ウルフがいなければ馬車を追うこともままならないだろうからな。 殲滅できなくても以降の被害を多少は防げるかもだしね。 僕とニヤケヅラ(チェスター)で余裕があればほかの組のフォローにも入りたいね。余裕があればだけど ★行動 基本は馬車内でチェスターに指示をだしつつ、荷物の最後の砦になる。けど臨機応変に。 |
●事前準備
護衛任務を受けたウィンクルム達は依頼主のカルデモから詳しい内容を聞く為に彼の店に集まっていた。
「……と言う訳ですので、当日は4台の荷馬車を出します。それぞれ担当の荷馬車を守りながらタブロス市の西にあるスコル市へと向かって下さい」
カルデモの説明が終わったのを見計らって、自分の前に立つ精霊のチェスターを押し退けて斑目 循は質問する。
「了解した。それで当日に守る荷馬車を見せてもらえないかな? 守る対象を知っておく事に損はないからね」
循の言葉にそうですな、と頷いたカルデモはウィンクルム達を連れて店の馬車庫へと向かう。
干し草の匂いのする馬小屋の隣にある馬車庫に入り、ずらりと並ぶ荷馬車にミサ・フルールはほう、と感嘆の息を漏らした。
「ミサ、阿呆みたいに口を開けてないで馬車をよく見ておきなよ」
「は、はいっ」
はぁ、と溜め息を吐いたのはミサ・フルールのパートナーのエミリオ・シュトルツ。
そのエミリオの小言で同じく隣で呆けていたハロルドもハッとしたのか、キョロキョロと忙しなく周りを見回し始める。
「……どうした?」
いつにも増してボーっとしているハロルドが心配になったのか彼女の精霊であるディエゴ・ルナ・クィンテロはやや挙動不審になっている彼女に近付く。
「あ、いや……なんでもないよ」
そんな返事にそうかと返し、護衛対象の馬車に視線を戻す。
カルデモ商会の有する荷馬車はオーソドックスな布張りの屋根付きで操者席側〈前〉と後輪側〈後ろ〉しか布が開けていないタイプのようだ。
「質問があるんだけどよ」
と荷馬車を見ていたエリザベータが口を開いた。
「護衛する時、あたし達がこの馬車に乗れるスペースはあるのか?」
「はい、そこは大丈夫ですぞ。ぎっしり詰め込んでも馬に負担が掛かるだけですからね。ちゃんと皆さんが乗れるスペースぐらいはありますぞ」
カルデモの答えに納得したエリザベータは了解、と返して。
「良かったなウィル。徒歩じゃなくて済むみたいだぜ」
「ふふ、ありがとエルザちゃん」
エリザベータのパートナー、ヴィルヘルムのジョブはエンドウィザード。
攻撃するのに詠唱が必要な為、馬車に乗れるとなると動きながらの戦闘が可能になるのだ。
「どうか、よろしくお願い致しますぞ」
護衛対象の確認が済んだ所でカルデモは改めてウィンクルムに頭を下げる。
「おう、大船に乗ったつもりで任せてくれよな!」
威勢良く啖呵を切ったエリザベータを皮切りに。
「荷物には指一本触れさせません」
「必ず、とは言えないが僕達が全力で守り切ってみせるよ」
「うん。頑張るよ」
ミサ、循、ハロルドも続き、その日の事前確認は終わった。
●馬車馬だけではなく
「ハリー、これは……?」
馬車の出発30分前に到着したディエゴの前に馬車馬とは別の馬に乗っているハロルドが現れ、呆気にとられたディエゴは説明を促す。
と、突拍子もないハロルドの言い分はこうだ。
「昨日馬小屋の馬を見た時ね、何故だか、分からないけど……強い衝動みたいなものを感じたんだ。乗らなくちゃ、って。だからA.R.O.A.本部に乗馬用の馬を申請したよ。護衛中はディエゴさんを後ろに乗せるね」
「……そういう事は俺にも言っておいて欲しかったな」
少し戸惑いはしたが、ディエゴは一応納得したらしい。
「しかし、馬についてはよく分からないが、この馬あまり元気が無いようだが大丈夫なのか?」
「それは元気が無いんじゃなくて年を重ねた馬だからだよ。若いこより体力はないけど、経験があるから驚きにくい」
「……成る程」
それから少し待つと今度はミサとエミリオもやってきたようだ。
馬を持って来たハロルドにも大層驚かされたが、なんとエミリオは車に乗って来ていた。
●出発
午前9時、依頼人のカルデモが指定した時間ピッタリにウィンクルムを乗せた4台の荷馬車はカルデモ商会を後にする。
護衛の配置は以下の通りになっている。、
先頭の1号車を任されたのは循とチェスター。
チェスターのジョブはシノビ、その機動力を活かした配置となっている。
2号車を任されたのはハロルドとディエゴ。
騎乗したハロルド達の小回りに期待して配置だ。
3号車はエリザベータとヴィルヘルム。
この配置ならば敵を見つけたら魔法で援護出来る。
4号車はミサとエミリオ。
車を持って来たエミリオは4号車の後方を車で移動するらしく、実質の5号車となる。
「『絆を繋ぎ、想いを紡ごう』」
ミサがインスパイア・スペルを唱えると周囲に透明の薔薇の花弁が舞い散り、青と赤の光が飛び交う。
そのままエミリオの頬にキスする。
エミリオの左耳のピアスが赤い光を帯び、エミリオの体が静かに燃えるようなオーラを纏う。
「少しの間一人にしてしまうが、頑張ってくれよ」
別れ際、インカムを付けたミサにエミリオはそう言って自分の車へと戻る。
「一人でも怖くないよ、エミリオさんを信じてるから……」
エミリオの後ろ姿を見ながらミサはそう呟くが。
『……うん。インカムの調子は良いみたいだね』
インカム越しに聞こえていたらしく、エミリオの返事にミサは顔を赤らめた。
麗らかな日差しを受けながら荷馬車は西の街道を進む。
天気は晴れ、鳥の鳴き声が心地良く、先頭の荷馬車に乗っているチェスターは自然と上機嫌になっていた。
「~♪」
「おい、いつにも増してニヤニヤしてるけど、どうかしたのか?」
「いえ、こんなにも天気が良いのでつい……」
「一応先頭を任されてるんだからさ、もう少ししっかりしてくれよ」
「分かっておりますよ循様」
「それじゃ、確認するけど敵を見つけたら馬車に近付かれる前に接近して敵の足であるウルフを狙う」
「シノビの手数を活かして、ですよね」
「……僕達はまだ本格的に戦闘を経験したことはないからね。十分に気を付けろよ」
「循様に心配してもらえて私は嬉しいですよ」
「ッ馬鹿言ってんじゃないよ!」
一方、乗馬しているハロルドはディエゴを後ろに乗せて2号車と並走していた。
「こんなに良い天気なのに人通りが全然無いね」
「強盗団が出回っているのはこの辺りでは有名なんだろう」
ポカポカとした良い気候も綺麗な野原の景色も何処か寂しげな雰囲気を醸し出しているようだった。
日が昇り、昼に時間が近づいてきたその時だった。
先頭の1号車の操者、ケビンの大声が聞こえてきたのは。
「ご、強盗団だァー!」
前方から道を塞ぐように現れた2体のデミ・ゴブリン達がウルフに乗って駆けて来るのを見つけたケビンは馬車を急停車させる。
「敵かッ!」
循が叫ぶなりチェスターは荷馬車から飛び降り、デミ・ゴブリンの方へと一直線に駆け抜ける。
忍者刀を抜くと同時に横一閃、逆手から順手に持ち替えて返す刀で袈裟斬り。
電光石火のような二連撃がデミ・ゴブリンの足であるウルフに襲い掛かる。
瞬く間にウルフは倒されるが、デミ・ゴブリンの数は2体、残ったもう1体はチェスターに目もくれずに脇を抜けて1号車へと迫ろうとするが。
「―――行かせませんよっ!」
1体目のウルフに攻撃後、そのまま体を一回転させての回転斬りで脇を抜けようとするデミ・ゴブリンのウルフを斬りつけ転ばせる。
「ギャゥ!?」
ウルフから転げ落ちたデミ・ゴブリンと正面のデミ・ゴブリンに囲まれはするが、チェスターは不敵に笑い続けながら忍者刀を逆手に持ち直す。
「そう、あなた達の相手は私ですよ……」
姿勢を低く重心を落とし、前後から来るデミ・ゴブリンを待ち構える。
「ギギャァ!!」
デミ・ゴブリンの錆びた剣での挟撃を半歩、横に動いただけで躱し、空振りの隙を突いて忍者刀を奔らせ、再び距離を取る。
音もなく攻撃し、そして離れる。
お手本のような一撃離脱〈ヒットアンドアウェイ〉だが、だからこそ効果は絶大だ。
「次で終わりですッ!」
傷だらけになったデミ・ゴブリン達へのトドメは地を這うような低い体勢からの流し斬り。
音もなく近付かれ、何をされたのか分からないままデミ・ゴブリン達は倒され、残されたウルフはそのまま逃げ出していった。
1号車が襲撃を受けたとほぼ同時に後続の荷馬車の前にも強盗団が現れていた。
「移動に関しては私に任せて。ディエゴさんは敵に集中して『覚悟を決めろ』」
馬車が止まるのとハロルドがディエゴの頬に口付けするのは殆ど同時だった。
「分かった」
巻き上がるオーラを纏いながら二丁拳銃で左から馬車に迫る2体のデミ・ゴブリン達が乗るウルフの足を精確に狙い撃つ。
「足止めしてる間に馬車を出して!」
前につんのめるように転げ落ちたデミ・ゴブリンが起き上がる前にハロルドが馬車の操車にそう呼び掛ける。
「ダメだ、前の1号車が進めていないからこちらも動かせない!」
「全部倒すしか無いか……」
「ギギャーイ!」
起き上がったデミ・ゴブリンが何かを叫びながらそれぞれ剣を抜き、馬車を守るハロルド達に近付こうと走ってくる。
「貴方は思い切り駆けてくれれば良い。大丈夫、私が貴方のサポートをしてあげるから。ディエゴさん、行くよ!」
言ってからハロルドは馬の腹を軽く蹴って走らせる。
急発進した馬からディエゴが振り落とされないように左腕でディエゴを支え、右手と跨る足だけで馬を巧みに操る。
「まずは馬車から引き離すよ」
狙いをハロルド達に変えたデミ・ゴブリン達の攻撃が届かないギリギリの距離を離し、横脇を通り抜けざまにディエゴが静かにジョブスキルを発動させる。
「『ダブルシューターⅡ』」
至近弾をまともに浴びせられたデミ・ゴブリン達は力尽きたらしくその場に倒れた。
残ったウルフも負傷した足を庇うようにしながら逃げ出していった。
同じく側面から襲われた3号車も前の2号車と同じく停車させ、迫ってくるデミ・ゴブリンを迎撃していた。
「馬車は動かせないとなるとここで撃退するしか無いか……ウィル、こっち来な『薔薇の導きよ…!』」
攻撃の為に詠唱を始めようとしていたヴィルヘルムを呼びながらインスパイア・スペルを唱え、頬にキスをする。
「ん、ありがとエルザちゃん。それじゃ危ないかもしれないから念の為下がっておきなさい」
めらめらと煌めくようなオーラを纏ったヴィルヘルムは冷静に詠唱を開始する。
2体のデミ・ゴブリンがウルフを荷馬車に飛び乗らせようと後ろに回り―――。
「おらぁ! 近付くんじゃねぇぜ!」
―――叫び、エリザベータは出発前に小袋に入れていた砂を投げつける。
その砂でデミ・ゴブリン達は一瞬だけ怯むが、改めてウルフを走らせて馬車に飛び乗ろうとする。
しかし、デミ・ゴブリン達はその一瞬が命取りであった事に気付いたのだろうか。
エリザベータの作った、たかが一瞬、されど一瞬、その一瞬の間にヴィルヘルムの詠唱が終わる。
「―――ナイスよ、エルザちゃん」
ヴィルヘルムの持つマジックスタッフの杖先に生成された火球が飛び込もうとしてくるデミ・ゴブリン達の手前で炸裂する。
一瞬遅れて衝撃と爆音が響き、焼き焦がされたデミ・ゴブリンとウルフがその場に倒れる。
しかし、爆発を逃れたもう1体のデミ・ゴブリンが爆煙の中から遅れて荷馬車に飛び乗ってくる。
「―――残念ね。あなたも乗車拒否よ、とっとと帰んなさい!」
再度詠唱をし直しつつ、ヴィルヘルムは杖を振るって飛び乗ってきたデミ・ゴブリンを弾き飛ばす。
代わりにデミ・ゴブリンの剣を肩で受けることになるが、こちらの目的は飽くまでも荷馬車の護衛。
「ウィル!」
「……ッ! 問題ないわ。これでお終いよっ!」
言って荷馬車から叩き落としたデミ・ゴブリンを狙って火球を叩き込む。
体勢を崩したまま火球の直撃を受け、残ったデミ・ゴブリンもウルフごとヴィルヘルムの魔法で吹き飛ばされる。
前方の馬車と同じようにミサの乗った4号車もまた襲撃を受けていた。
「エミリオさん、敵です。2体のデミ・ゴブリンが現れました!」
「了解、すぐ向かうよ……と言いたい所だけど、こちらにも2体のデミ・ゴブリン達が来ているみたいだ」
用意していた望遠鏡を仕舞ってインカムでエミリオを呼ぶが、どうやらエミリオの車の方にも強盗団のデミ・ゴブリンが近付いて来ているらしく、すぐには来れないようだ。
「時間稼ぎはしてみます!」
そう言ってミサはカルデモに予め用意して貰っていた売り物にならないダミーの荷物をデミ・ゴブリンの方へと投げた―――。
一方、エミリオの車に並走する形で現れた2体のデミ・ゴブリン達に先制攻撃を仕掛ける為、エミリオはハンドルを切る。
車の側面を乱暴にぶつけるようにして1体を弾き飛ばし、敵の前に回り込むように車を止め、エミリオは車を降りた。
「あまり時間はないみたいだから一気に決めさせてもらうよ」
言いながらダブルダガーを2本とも逆手で持ち、地を蹴った。
流麗とも言える緩急を付けたエミリオの突進で距離感を失ったのか、ウルフに騎乗していたデミ・ゴブリンはエミリオの接近を容易く許してしまい、迫る2つの白刃に切り刻まれる。
「『アルペジオⅡ』」
瞬く間に2体のデミ・ゴブリンを倒し、エミリオは急いでミサの守る4号車へと向かう。
―――ダミーの荷物に釣られたのは1体のデミ・ゴブリンだけ、残りの1体は真っ直ぐミサが乗る4号車へとウルフを走らせてきている。
「剣の心得なんて無いけど、エミリオさんに時間稼ぎをするって言ったんだ……」
覚悟を決めたミサはボーンナイフを抜いて迎撃の体制を取る。
震える体を左手で抑えながら右手で持ったナイフを前に突き出して敵を待ち構える。
間もなくしてウルフに乗ったデミ・ゴブリンが後ろから飛び乗ってくる。
「ギャーギャー!」
「こ、来ないでっ!」
出鱈目にナイフを振り回してデミ・ゴブリンが近付けないように威嚇する。
ミサの勢いに呑まれたのかデミ・ゴブリンが乗るウルフはじりじりと後退るが、すぐにデミ・ゴブリンに手綱を引かれて足を止める。
「ギャイ、ギャゥゥ!」
デミ・ゴブリンが怒声のような声を張り上げ、ミサのナイフをボロボロの剣で弾き飛ばす。
「きゃああ!!」
悲鳴を上げるミサに更に迫ったデミ・ゴブリンはボロボロの剣を振り上げ―――振り下ろす前に間一髪で間に合ったエミリオの2本の剣を受け、倒される。
「大丈夫かいミサ!?」
「ふ、え……エミリオさぁん」
腰が抜けたのかへなへなとその場にへたり込み、薄っすらと涙を浮かべるミサをエミリオは優しく手を差し伸べて。
「……まったく、いつもみたいに笑いなよ。ミサは元気だけが取り柄でしょ、お前が笑ってないと……調子が狂うんだよ」
エミリオは微かに笑ってミサを引っ張り起こした。
●結果
ダミーの荷物に釣られたデミ・ゴブリンはそのままダミーの荷物を持ち帰ったのか姿を消した。
これにて一応だが、襲撃してきたデミ・ゴブリンに荷物を渡さずに全て撃退する事に成功した。
6体のウルフに逃げられ、4体のウルフを倒した。
1体のデミ・ゴブリンに逃げられ、9体のデミ・ゴブリンを倒した
幸いにもデミ・ゴブリンが乗り込んできた3号車、4号車共に荷馬車への傷や荷物の破損等は無く、無傷の状態で戦闘は終了した。
「ふふん、ワタシを甘く見るからそうなるのよ。あ痛たたた……」
戦闘を終えて、エリザベータは負傷したヴィルヘルムの手当てを行う。
「たく、ボロボロじゃねぇか……あんま無茶すんなよな?」
エリザベータはそう言いつつ応急キットから消毒液と包帯を取り出す。
「あらエリザちゃん、心配してくれてるの?」
「うっせ! 怪我人は大人しくしてろっての!」
不幸中の幸いなのか傷は浅いようで包帯を巻くだけで済んだようだ。
その後も襲撃を警戒しながら慎重に荷馬車を進めていたが、襲撃はその1回のみだったようでそのまま無事に荷馬車をスコル市に送り届ける事が出来た。
依頼を無事に終え、タブロス市に戻ったハロルドとディエゴは申請した馬を返すついでにA.R.O.A.の本部まで報告に来ていた。
「それにしても凄いじゃないかハル」
「……え?」
「馬を操ってる時のハル、格好良かったぞ」
「…………この子、返してくるね」
ディエゴは素直に褒めたつもりだったが、ハロルドは何処か機嫌を損ねたらしく無言で馬を引いて歩いて行ってしまう。
「??」
何となく、後ろ髪を引かれる気持ちに陥りつつもディエゴは報告を済ませに向かった。
その後、強盗団が壊滅したという噂が少しの間流れたが、頻度は減ったものの未だに強盗団は出没しているらしく、今後も警戒が必要との事だ。
依頼結果:成功
MVP:
名前:ミサ・フルール 呼び名:ミサ |
名前:エミリオ・シュトルツ 呼び名:エミリオ |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | うち |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 戦闘 |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 04月25日 |
出発日 | 05月01日 00:00 |
予定納品日 | 05月11日 |
参加者
会議室
-
2014/04/30-19:18
なかなか、顔を出せずにごめんね。各自の案で行くのは了解だ。
僕の方も余裕があればフォローに向かうつもりだな。
うーん、一応、手裏剣から忍者刀に持ち替えさせたら命中は72にはなるね。
ただジョブスキル双葉は手裏剣限定だ。勿論、刀で遠距離攻撃もできない。
具体的に言うと倒すのならば命中率が高く、威力も高い忍者刀。
防衛、逃げに趣を置くなら、馬車の走行中でも、遠距離から攻撃できて双葉で手数も増やせる手裏剣かな。
-
2014/04/30-02:14
おう、ハロルドはよろしくな。
あたしは荷馬車に並行して動くことにしたぜ。
ゴブリンもウルフもそこまで大きいとは思わねぇけど…
数が判らねぇ以上、下手にツッコまない方がいいんじゃねぇかと。
まぁ、ちょっとした老婆心だぜ。 -
2014/04/30-01:28
お久しぶりです~こちらこそお世話になりました
ウルフに騎乗ってことはウルフは人が乗れるくらいには大きいんでしょうかね… -
2014/04/30-00:53
ハロルドちゃん久しぶり~
前の任務ではどうも有り難う!
こっちはエミリオさんに車で突撃してもらおうと思ってるよ
馬車の護衛、お互い頑張ろうね! -
2014/04/30-00:27
後れ馳せながら参加させて頂きました
ハロルドと申します、宜しくお願いいたします
乗馬スキルがあるので小回りを駆使してやれたらなーとか思います -
2014/04/29-02:40
昨日は新しい人増えるんじゃないかなー、その人の意見も聞きたいなーと思って待ってたのだけど、増えなかったね…(しょんぼり)
あまり期間ないし、とりあえず今の考えを言うね
馬車に乗ったままだとエミリオさんの能力が発揮できないから、私達の方はやっぱり神人と精霊で別行動になりそう
敵が馬車に追いつく前にエミリオさんにやってもらいたい事があるんだ
敵が追いついた時の対策も考え済みだよ
もうここはいっそ、無理に行動は揃えないで、
各自考えた案でいくのはどうかな?
自分の馬車の護衛に専念すれば、全体の成功に繋がると思って
もちろん前にも言った通り余裕があったらフォローに向かうよ
長々とごめんね -
2014/04/28-07:58
あー、悪ぃ。攻撃回数0.5だから通常攻撃でも「詠唱→攻撃」で2ターン使うみたいだ。
ゴリ押しするみてぇでなんだけどさ、
ステ基準にすると、チェスターもうちの精霊も命中すっげ低いから
今のところ戦闘に持ち込んでも敵に避けられやすいんねぇんじゃねぇかな?
長丁場になっても回復がないんならあんま無理しねぇ方がいいと思うぜ。
んー、そうだな…例えば、馬車の上から攻撃するとして、
馬車に接近してきた強盗はウルフから叩き落として転ばせる、
弓矢で攻撃してきた強盗は遠距離 (魔法やら手裏剣やら)で攻撃して落とすとか。
ウルフから落っことしちまえばすぐに攻撃はできねぇかなーと。
(無駄に発言多くてすみません、失礼をば) -
2014/04/28-02:04
もし皆で選択を揃えるのなら、仲間同士連携がとれていいかもね!
今2人の意見を聞いて考え直したんだけど、敵発見時 精霊に馬車から降りてもらって、精霊達が足止めしているうちに逃げ切るという作戦を考えたんだけど、どう思う?(この場合は『馬車を動かしながら戦闘』に分類されるの・・・かな?)
これなら戦闘タイプ関係ないし、精霊同士連携がとれていいんじゃないかと思ったんだ
まだ参加枠も埋まってない事だし、皆の意見を聞いてまた作戦を練り直すよ -
2014/04/28-01:36
おう、二人共よろしくな。
>各個撃破
上の内容だと無理に倒さなくてもいいみてぇだし、
この依頼は馬車の防衛戦だと思ってるんだぜ。
うちの精霊はエンドウィザードだから攻撃もすぐ出来ない恐れがあるしなぁ…
(スキル攻撃0.5回って表記が通常攻撃でも適用されるか不明)
だもんで、あたしは止まらずに受け流すとかで逃げ回ること優先した方がいいんじゃねぇーかなぁと思うんだぜ。
まぁ、残りの枠で参加した人達とも意見はちゃんとすり合わせるから、ご参考にって感じだな。 -
2014/04/28-01:15
二人共、こんばんは。初めましてだね。
僕の名前は班目循。まあ、よろしく頼む。
こっちの執事はシノビのチェスター。これは適当に扱き使って構わないよ。
手裏剣を持たせてるから遠距離からも走行状態でも攻撃できるね。命中精度は悪いけど……
>各個撃破
うん、それぞれに護衛対象があるようだからね。
基本はそれでいいと思うな。僕たちも余裕ができたら支援に行くよ。
ミサ・フルールが馬車を止めるのなら、皆止めて戦闘をするほうがいいと思うけど……どう思う?
僕は別に止めても走行してても構わないけどね
-
2014/04/28-00:50
こんばんは、ミサです!
相方のエミリオさんはテンペストダンサーです
どうぞよろしくお願いします(お辞儀)
今回の感じだと『各個撃破』がいいのかな?
余裕があれば仲間のフォローに行こうと思ってるけど、敵の数が分からないのがちょっと不安・・・
エミリオさんは接近戦タイプだし、私達の方は
戦闘は馬車を止めてやろうと思ってるよ
-
2014/04/28-00:18
今日は参加競争にならなくてよかったぜ……
エリザベータだ、精霊はエンドウィザードのヴィルヘルムだ。
まぁ、まだ他に参加者が来てねぇけど
参加日時は短けぇからちゃちゃっと相談しちまいてぇなぁって感じ?
宜しく頼むぜー。