プロローグ
地獄だ! 温泉だ! ドカーン!
と、いきなり飛ばしても何のことやらサッパリだろうから順を追って話そう。
遠目からなら赤ずきんに見える。
なぜならその少女は、炎のように赤いローブをすっぽりと頭からかぶっていたから。
けれども彼女を甘く見たら、むしろ狼こそが彼女だったと、思い知ることになるだろう。
ローブの裾に織られた紋様は、蛇のごとく不吉にのたうち、フードの下からのぞく両眼は、尖った青い光を放つ。結んだ口元にはすっと、手術用メスで引いたような笑みが浮かんでいた。
少女の名は――、
「プリム・ローズよ」
「うん? プリ……なんだったか?」
クールな雰囲気はたちまち消滅、プリム・ローズは牙(のように見える八重歯)を剥いた。
「プリム・ローズ! 私の名くらい、いい加減覚えなさい! 同志バル!」
これを聞いて『同志バル』、すなわち、名はパル、姓はバラ、続けて呼べばバル・バラ……区切って読んでも同じ気がするが……は、眉をシンメトリーな八の字に下げた。それはまるで、チーズだと思って口に放り込んだ固形物が、実は石鹸だったという事実に気がついてしまったかのような表情だ。
「そんな他人行儀な……私はお前のお兄ちゃんとしてだな……」
ドカッ! これはプリム・ローズが目の前の机を蹴った音である。
「同志バル! 今は仕事中でしょ! 血縁関係の話はやめなさい!」
「す、すまん……」
彼女の兄は、所在なく首の後ろをかくほかない。
地下に伸びる草の根がそうであるように、闇の組織というのはどうしても、細分化しがちな性質を持つようである。
近ごろ暗躍するマントゥール教団も例外ではなく、『テューダー派』という傍流を生み出していた。
まだまだこの一派については謎が多いが、彼らは主流の教団とは手法が違って、『義賊』や『人助け』といった美名を用いて信徒や協力者を増やそうとしているらしい。といってもその正体はただの強盗であったり、自作自演の狂言であったりするので、実体は他の諸派と大差ないだろう。
ここは、某所に存在するマントゥール教団テューダー派の秘密基地である。
テーブルを挟んで向かい合っているのはその幹部ふたりで、最初に述べたようにひとりはバル・バラという名であり、もうひとりはプリム・ローズと名乗っている。
いま現在そのプリムが得意げに、バルにみずからの計画を語っているのであった。もちろん、テューダー派としての活動計画だ。
「いい? 同志バル、いま絶対的に我々に不足しているのは民衆からの支持なの。特に、老人層の取り込みが必要ね」
「それは理解できるのだが……どうしてそこで温泉ツアーを組むという話になるのだ……?」
ふん、とプリムは小馬鹿にしたように鼻を鳴らして、
「老人を釣る餌といえば温泉でしょう? 豪華温泉旅館一泊二日旅行にペア五組を激安ご招待!」
そんな単純なものかな、と言いかけたバルだが、妹が怒るだけなのでやめておいた。
「温泉宿で提供するつもりよ……『お・も・て・な・し』を!」
「……その言い回し、なんだか無性に古い気がするのだが」
我慢できなくなってバルは口を挟むも、予想通りの結果になった。すなわち、プリムが眼を半月形につり上げたのである。
「黙らっしゃい! 計画は完璧よ!」
招待客を、以下の流れで取り込む企みだ。
まずは天然温泉で心を緩めたところで宴席を設け、そこで余興という名目でマントゥール教団のプロパガンダ動画を上映する。
旅館の従業員も、最初は普通の番頭さんとか仲居さんがいるのが、だんだんと教団のメンバーに切り替わっていく。メンバーというのは具体的には、全身黒タイツで目鼻の隠れた黒マスクをしており、「イーッ!」とか鳴くという、いわゆる『戦闘員』というやつだ。どう見ても悪者だが異様なまでに献身的なサービスを提供しまくって好印象を与える……つもりらしい。
そしてクライマックスは翌朝、帰路のツアーバスの上に落石が降り注ぎ、埋もれたバスをマントゥール教団が劇的に救出するという段取りだ。デミ・オーガなんかも救出を手伝っちゃったりしてイメージ向上は間違いなし、とプリムは胸を張った。
「これは手始め、こうやって次々と同調者を獲得して我々は勢力を拡大するというわけ。というわけで同志バルは手勢の戦闘員を私に提供しなさい。必要なのは人手だけ。すでに、つぶれかかった温泉宿を接収して、伝統と格式の温泉宿『テューダー閣』への改造作業は終わっているんだから」
「なあ妹よ、お兄ちゃんはその計画には不安しか感じ……」
ドカッ! また蹴った!
「同志バル、あんたの保釈を通すのに、どれだけ費用がかかったと思ってるの!?」
それを言われると弱いらしく、バルは「うう……」とうめいてうなだれてしまった。
「それで、返事は?」
「わかった、ベルの言うとおりにしよう」
ドカーン! 机が蹴倒された。
「本名呼ぶな!」
「な、なにがいかんのだ。ベル・バラの名前のどこに問題が……?」
「続けて呼ぶなー!」
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潜入捜査を行ってほしい、とA.R.O.A.の葵は言う。
葵は今日も、血圧の低そうな白い顔をして、こめかみを指で揉んでいた。これはこの人の癖なのだろうか。それとも、やっぱり頭痛がするのだろうか……後者の気がする。
「どうして私にはこういう作戦ばかり……」
などとぼやいて、葵は全員の前に向き直ったのである。
「マントゥール教団テューダー派が、また性懲りもなく動き出したようだ。今回の主犯格はプリム・ローズという女だ。以前、結婚式の破壊活動をてがけていたことがある」
その活動はA.R.O.A.のウィンクルムたちによって終焉を迎えたので記憶にある者もいるかもしれない。
「連中が、今度は偽の温泉旅行ツアーを組んでおり、招待客を騙してマントゥール教団のシンパにしようとしている。はっきり言って底の浅い作戦なので上手くいく気もせんが、我々としては見過ごすわけにはいかん」
A.R.O.A.は、このツアーのペアチケットを人数分入手している。つまり、客として温泉ツアーに行ってくれというミッションなのだ。プリム・ローズは引退した老人客を主たるターゲットにしているようだが、「手違いがあった」とかなんとか理由を付けて乗り込めば、彼らも対応せざるを得ないだろう。
「普通の温泉旅行ならいいが、きっとそうもいくまい。温泉を楽しむのはいいが、プロパガンダ動画だのなんだのは突っ込みを入れるなりして妨害し、小細工はすべて粉砕するといい。デミ・オーガの類いが出てきた場合は撃破してもらいたい。主犯のプリム・ローズをどうするかは任せるが、犯罪行為があれば捕らえてもいいだろう」
思わず気を抜かないよう気をつけたいものである。
天国か地獄か!? 恐怖の温泉旅行が幕を開ける……恐怖にならないかもしれないがまあそれはそれでッ!
解説
●概要
エピソード『地獄のウェディング・ブレイカーッ!』で出てきた悪の少女プリム・ローズが再登場します。といっても当該エピソードと本作は直接のつながりはありませんので、事前にリザルトノベルを読んでおく必要はありません。
(彼女の兄バル・バラは『大銀行強盗ッ!』『行け! SUPER HERO大作戦ッ!』に出ていますが、こちらも読んでおく必要はありません)
団体旅行客(同窓会でも町内会でも、それっぽいものを設定して下さい)として温泉に来たみなさんを、プリムたちは極上のおもてなしで迎えようとしますが、要所要所でマントゥール教団に誘ってくるのでその試みを粉砕しましょう。最後は力ずくで来るかも知れないのでご注意!
プリム・ローズのたくらみを粉砕できれば成功とします。
●プリム・ローズ
幹部といってもまだティーンエイジャーに見えます。
今回は、『温泉の若女将』に変装して皆さんを迎えます。以前のシナリオで遭遇している方は、軽く変装しておいたほうがいいかもしれません。
はっきり言って短気で、怒ると突然デミ・オーガをけしかけてきたりしますので気をつけましょう。
本名にコンプレックスがあるようです。なぜでしょうね?
●温泉旅館『テューダー閣』
山奥の温泉旅館です。潰れたものを、テューダー派が買い取って(あるいは不法占拠して)使っています。
山をマイクロバスで登っていった先にあるので、不便ではありますが旅情は楽しめることでしょう。
温泉は、岩の露天風呂や檜の部屋風呂など、数種類用意されており案外豪華です。
特に希望がなければ部屋は男女一室ずつの大部屋を用意します。畳敷きで、就寝時までは襖を開けきって二部屋を一室にして宴会場にします。部屋着は浴衣です。
部屋の窓を開ければ春の美しい山並みが楽しめます。
●流れについて
マイクロバスが温泉宿についたところから描写を始めます。
一泊して翌朝までを描く予定です。
以上、ご健闘をお祈りしています。
ゲームマスターより
GMの桂木京介です! よろしくお願いします。
去年から用意していたエピソードなのですが、公開が遅れてこんな時期になってしまいました。すいません。
陰謀渦巻く温泉旅行に一般旅行者のふりをして参加するというお話です。お話の性質上、激しく負傷するような展開にはなりませんので、初心者のかたも上級者のかたも、お気軽にご参加下さいませ。
アドベンチャーエピソードですが旅行でもありますので、のんびり温泉を楽しむ展開もありだと思います。
彼らは洗脳したりするつもりではなく、純粋にいい気分になってもらってシンパに引き入れようと企んでいるようなので、料理に毒が入っていたり温泉に怪しい薬品が混ぜられていたりはしません。ただ、正体が露呈したり騒がれたりしたら攻撃してくると思われます。ゆめ、気を抜きすぎませんよう……。
それでは、素敵なプランをお待ち申し上げております。
次はリザルトノベルでお会いしましょう! 桂木京介でした!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ニーナ・ルアルディ(グレン・カーヴェル)
●変装 ・化粧、髪アップに ・紋章隠しに包帯 ・偽名 ●持参 縄 敬語…似合ってはいるんですけど違和感が… うぅ…っ、何だか言葉の節々に棘が見えます…! 温泉気持ちよかったですー …戦闘員の皆さんが視界に入るたびに任務中だって嫌でも思い出しますね… 映画楽しみにしてたんですけど…と、しょんぼりします。 …少し心が痛みますね… 早々に怒らせすぎないよう教団関係なく お礼を言っても問題なさそうなところでは素直にお礼をえていきます。 ご飯、普通に美味しかったです…本当これが普通の旅行なら… 開戦時にトランス、 デミはデコイで邪魔にならない場所へ引き付けてから倒しましょう。 戦闘員さん達は倒したら縛っておきましょうか |
手屋 笹(カガヤ・アクショア)
いつもより子供っぽくしましょう。 テューダー派の方に骨折り損をしてもらう為に 温泉楽しみましょう。 皆さんへ偽名を周知しておきます。 偽名:紀乃(きの)=ビョルリン 変装:化粧(眉を下がるように書く)、髪型(ツインお団子) ウィンクルムの紋章の上に包帯を巻いて隠し服の長めの服の袖で2重に隠す。 町内会の団体旅行にアンデルス(カガヤ)の血の繋がらない妹として参加 (という設定) 武装(神符、護符)はポケットに忍ばせる。 ・動画上映時 面白くない~と駄々をこねる。 ・落石に巻き込まれる場合 落石の衝撃に備えてシートベルトはしっかり付けておきます。 救出された後、カガヤとトランスを行い わたくしは離れて護符を展開し身を守ります。 |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
行きのバスでは具合悪そうにしてます 普通のお客さん装い オーガ関連の話はスルー、時には辛辣な一言で流します 楽しみましょう。 精霊との関係は姪と叔父で通します 紋章はファンデーションで隠す じりじりと相手の計画を遅らせましょう 武器のナックルは旅行鞄の底に隠します 【動画への反応】 叔父さん 親はいないんですし、過激な映画の一本や二本観たって良いじゃない でも、オーガ出るのにスプラッタじゃないんですね、つまんないの 【バス乗車】 目星を付けた場所の直前に酷い車酔いを訴える 止まらない場合落石の衝撃に備える 救助されている最中に戦闘準備、ハイトランス 運転手の無事を確認し拳で気絶させ連絡危機も拳で粉砕しておく じこはおこるさ |
八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)
武器等の装備は大きい鞄(ゴルフバッグ等)にしまっておく 手袋で文様を隠す 行きのバスの中からさりげなく山道を観察 帰りに何かを仕掛けてきそうな場所の目星をつけ、覚えておく (スキル地理学、記憶、計算 旅館についたら皆に共有 旅館では普通に楽しみつつ細かい注文 個室風呂はあるか、肉が食べたい、枕の感触が嫌だ、等 あとそんな動画よりアスカ君の寝顔の方を見てたいです 帰りのバスでは、行き道で目星をつけた場所に来る前に お腹が痛いと騒いでバスを止めさせるのを試みる 駄目なら落石の衝撃に備える 救助活動後 勧誘は毅然と断る 宗教は間に合ってますしつこいとウィンクルムを呼びますよ その後トランス 数が多ければハイトランスして戦闘に加わる |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
皆とは町内会の関係でと言いはる。 紋章はファンデーション等化粧品で誤魔化す。 偽名は『ハル』。精霊とは音楽仲間のふれこみ。 髪をサイドアップツインテールに。眼鏡で人相を誤魔化す。 常ににこにこと笑顔。 (女の子は笑顔で大抵の事は誤魔化せる、とフェルンさんが言うので 旅の思い出を撮りたい、とスマフォで色々撮影。 旅館業許可認定の掲示記載をカメラで確認、 施設の人達との言動と一致しない証拠を確保(動画で音声も記録)。 「アメニティが足りません」とちくちく小言を仲居さん達へ。 ちくちくクレームだせば女将が出るしかないですからね。 オーガを嗾けられて戦闘不可避ならトランスして対処。 ローズさんは捕まえたいです! |
地獄のその日は……奇跡的な好天であった。
一昨日、昨日と空は荒れ模様で、この日も朝から滝のような豪雨という予報だったのである。
ところが雨雲は夜の間に嘘のように消え、天気予報アプリは慌てて表示を掛けかえた。こうして温泉客一行を乗せたマイクロバスを迎えたのは、のどかな陽気とあいなったのだった。
「来た来た……予定通りね」
ふふふと漫画の悪役みたいに含み笑いして、プリム・ローズは金の鎖がついた懐中時計をたもとに戻した。彼女は髪を黒く染め、かっちりした夜会巻きでまとめている。そこまで作り込んでいるのにこめかみの左右で髪がくるくると渦を巻いているのは、彼女のキューティクルにはよほど強力なクセがついているからに違いない。小豆色の和服で帯は赤、ポジションは、ずらりならんだ従業員の先頭だ。こうして玄関先にかしこまっていると、なるほど旅館の若女将らしく見えようというものだ。
温泉旅館『テューダー閣』、プリムをはじめとする客室係一同の前に、バスがかろやかに停車した。
「ジジババの町内会ご一行か……チョロいチョロい」
このときプリムが浮かべていた結婚詐欺師のような笑みは、バスから手屋 笹が姿を見せたとたん『?』の形に変化した。
「わーい温泉おんせーん♪」
両手をバンザイで『Y』の文字みたいにして、笹はタラップを飛び降りたのである。
くりっとした目で眉は下がり気味、新緑色の髪をツインお団子に結っていてなんとも可愛らしい。こぼれんばかりの満面の笑み浮かべ、生まれたばかりのヒナ鳥のように、好奇心いっぱいにあちこち眺め回している。長いワンピースの袖からは、ちょこんと指だけがのぞいていた。
バスから老婆がよたよたと降りてくるシーンを想像していたプリムとしては、茄子と思ってかじったものがバナナだったという心境だ。とはいえすぐに「孫娘?」と考え直すことにする。
ところがプリムの期待はもろくも崩れ去った。
「紀乃(きの)、はしゃぎすぎだっつーの」
ブスッと浮かぬ顔で腕組みしながら続いたのは、笹(ここでは『紀乃=ビョルリン』という設定になっている)の連れ、カガヤ・アクショアなのである。もちろんお祖父ちゃんではなく若者だ。黒縁のロイド眼鏡をかけ毛糸の帽子を深めにかぶり、他にやる場所がないんだよとばかりに、両手をベンチコートのポケットにつっこんでいる。
「だってお兄ちゃん、山の中の温泉だよ、秘湯(ひとー)だよ」
「ヒトーも砂糖もないってんだ、こちとらスキーができるって思って来たのによ」
その言葉を裏付けるように、カガヤはスキーバッグを担いでいた。暖かい日なのにハンドウォーマーをしているのは、『俺はスキー旅行のつもりだったんだ』という強い意思表明だろうか。なお彼は紀乃にとって血のつながらない兄『アンデルス=ビョルリン』ということになっている。
兄妹での参加ということだろう。老夫婦でもなんでもない。とはいえ若女将奮戦記プリムとしては、ここで「聞いてないよ!」と動揺するわけにはいかない。彼らは例外、あとは『年金で来ました』みたいな顔ぶれを予想しつつ、
「ようこそおいでくださいました~」
とにこやかに対応した……のだが、再度『?』の表情に変わった。
美女だ。
はっきりいって、美女だ。
タラップを降りてきたその姿は、まるで化粧品ブランドのイメージ写真のようにフォトジェニック、すらりと長い脚、均整の取れたプロポーション、眠りの盛りの姫君のような端整な顔立ち、加えてその表情に、幽愁の色があるというのもまた悩ましい。彼女はハロルド、きめの細かな肌を紙のように白くしている。
「やはり少し……バスに酔ったようです……」
「降りたら楽になる」
そんなハロルドをかばうようにしながら、黒髪黒服、硬質の髪とどことなく狼を思わせる瞳を持った、精悍な顔立ちの男性が降りてくる。
「旅行鞄……」
「気にするな。俺が持つ」
ハロルドを降ろすとディエゴ・ルナ・クィンテロはさっと車内に戻って、大きな旅行鞄をふたつ提げて戻ってきた。このとき旅館前の石棚に置かれた鞄が、衣類が入っているにしては重そうなゴトリという音を立てたのだが、またもや登場した想定外の客層にプリムは目を丸くしており、とてもではないがそんなことに気付く余裕はなかった。
「本当ですね。楽になってきました。ありがとうございます、叔父さん」
構わない、と簡単に返しつつも、なにやらひっかかるものがあったのか、ディエゴはハロルドにだけ聞こえる声量でポツリと言葉を漏らした。
「……おじさん」
いや、姪と叔父という設定における『おじさん』だからいいんだ。『オッサン』という意味じゃあないぞ――と判ってはいるのだがなんだか気になった。といっても気になったのは少しだけだ。ああ、ほんの少しだけだ――。
若い客が二組も登場したので、ウェルカムお年寄り気分だったプリムは内心よろめいているのだが、それでも明るくこう言った。
「今日はお若い方が多くいらっしゃいますね……あら」
もう『?』の表情ではない。『?!』の表情を通り越して『!!』の表情だ。なにせ客が、みんな、若い! 多くどころじゃないのだ、全員なのだ! おじいちゃんおばあちゃんはいずこ!?
すらりとした立ち姿はアスカ・ベルウィレッジだ。黒いシャツにスリムジーンズというラフな格好、細身で柔和な表情は、一見したところ華奢なのだが、芯に強いものがあるのだろう、背筋はまっすぐに伸び、脆弱な印象はない。
「若い? あ、自分たちの分はじいちゃんにチケットを譲ってもらったんで」
アスカはこともなげに言った。春霞のかかった山並みに目をやり、まぶしそうに眼を細めている。手袋をはめた手で担いでいるのはゴルフバッグだった。旅行に合流するまではゴルフに行っていたのだろう。
アスカと供に姿を見せたのは八神 伊万里だ。春らしい桜色のニット、白いスカーチョ(スカート風のパンツ)というコーデ、変装の意味もこめて白いキャップをかぶっており、それが彼女の光沢ある栗毛をさらに際立たせている。伊万里は気恥ずかしげに口を開いた。
「ええ、私たち……」
「婚前旅行なんだ」
アスカが伊万里の言葉を継いだ。「もー、それ身も蓋もない言い方じゃない!」と伊万里はアスカをぶつ振りをして、「照れるな照れるな」とアスカは笑った。初々しきカップルのやりとり、黒と茶トラの子猫同士がじゃれあっているようでもある。
ところがそんな恋人同士に、小さな違和感があるのはなぜだろうか。
実はアスカと伊万里はお互いを見るような顔をしながら、眼をちらちらと山向こうに向けているのだ。
まるで、あそこに何か仕掛けがある――と確認しあっているように。
――帰路、仕掛けがあるとすれば、あそこですね。
――だな。問題はどうやってそれを回避するかだ。
バス内では運転手の耳がある。可能性は低いが盗聴器が仕掛けられていることも予想してしかるべきだった。ゆえにアスカと伊万里は、アイコンタクトのみで情報を交換しているのだった。バスの往路、後ろの流れ去る風景を観察してつかんだ情報を。
けれどプリム・ローズがカップルの様子を観察する余裕はない。つづけて、
「町内会限定、スポーツと関連映画が格安で楽しめるツアーと聞いてやってきました。いやあ、きれいなお宿ですねえ。そう思いません?」
白い歯を光らせ、爽やかな笑みとともにグレン・カーヴェルが降りてきたのだ。大きめのスポーツバッグを背負うようにして、メタルフレームの眼鏡をかけている。髪型は意図的に整えていた。
「そ、そうですね……」
ニーナ・ルアルディは彼に笑み返しながらも、落ち着かない様子でしきりと前髪を直していた。
「ははっ、どうしたんですか? あなたもバスに酔いましたか?」
「あ、いえそんなことは、全然……っ!」
というニーナの言葉がそわそわと浮き足立っている。
「緊張しているんですね……なんといっても僕たちの初旅行ですから。でも大丈夫、町内のみなさんもご一緒です。それとも、家を遠く離れたのが心配ですか? ははは、こんな美しい山中で悪事を企む人はいませんよ」
きらっ、ふたたびグレンの歯が光った。
「あ、はい、楽しみです……」
ニーナは内心、もだえていた。
――グレンの敬語……似合ってはいるんですけど違和感が……。
一人称だって『僕』だ。キャラが違い過ぎる!
とはいえしかし、ニーナの鼓動を高めている最大のものは、あのプリム・ローズ(髪色も雰囲気も違うが間違いないだろう)と一度間近で顔を合わせているというのに、「こんな美しい山中で悪事を企む人はいませんよ」なんて言ってしまうグレンの大胆さだった。彼はさらにこんなことまで言っている。
「それにしてもようやく雨が終わって、素晴らしい春の日だ。たとえ悪者がいたとしても、今日明日は悪を控えて休憩すると思いますよ」
――うぅ……っ、何だか言葉の節々に棘が見えます……!
このとき若女将が、ふと気になったようにグレンに目を走らせた、しかし、
「おー、こんな可愛い女将さんがいるなんてサプライズだなっ! 俺、『ナギ』ってんだ。ミュージシャンで担当はギター! まだライブハウスを回るのが精一杯だけど夢はドームツアー! よろしくゥ!」
と言いながらフェルン・ミュラー(偽名は『ナギ』)がプリムの前に割って入って、両手で彼女の手を握った。エメラルドグリーンの髪は軽く立ててラフさを出し、顔にオレンジ色のサングラス、両耳にはイヤリングは三つずつ、タイトな革ジャンにバンドTシャツ&レザーパンツ着用という、時代が一巡りして逆に新しいイメージのミュージシャン風だ。右手に二つのブレスレットが、しゃらしゃらと金属音を鳴らしている。
一瞬「ぎゃっ!」と声を上げかけたプリムだがそれを飲み込み必死に笑みを作って、
「ど、ど、どうもよろしくおねがいします……」
額に汗を浮かべプルプル小刻みに震えながらうなずいた。触られるのが苦手なのか、チャラい系やミュージシャンが恐いのか、ともかくグレンに対するプリムの興味は、たちまち吹き飛んでしまった様子だ。
「こんにちはー、私は『ハル』、ナギとはバンド仲間です!」
瀬谷 瑞希もフェルンに合わせた衣装である。髪をサイドアップツインテールにし、やはりバンドTシャツと黒のデニムジャケット、レザースカートできめている。大きめの眼鏡が理知的で可愛くてなんともクール、たしかにマイクスタンドを前にするのが似合いそう、バンドの音楽性はポップメタルだろうか。
瑞希はスマフォを手に、やたらと写真を撮って回っていた。同時に笑顔も振りまいている。
――女の子は笑顔で大抵の事は誤魔化せる、とフェルンさんが言ってたし……スマイルスマイル!
本当はちょっと緊張しているのだけど、活発に動いてそんなもの忘れようと努めるのだ。
「はい、女将さんも笑ってくださーい!」
と言うや瑞希はプリムと肩を組んで、ぱしゃっと自分たちに向けてスマフォのシャッターを切った。
このときの写真を後で見返して、瑞希は笑ってしまうことになる。
プリムが非常に味のある表情をしていたからだ。
無理にたとえるならそれは、嘘発見器を腕に巻かれたまま、上司の面白くない小話を聞かされている新入社員のような笑顔であった。
ふぅー、と伊万里は溜めていた息を吐き出した。
疲れも緊張も湯に溶けて、湯煙ととも消えていくような気がする。
到着してすぐ入った温泉はたしかに名湯、四肢に熱がしみわたっていった。
「なんだか普通に快適ですよね。例の話、まるで嘘のような気がしてきました」
天然石を使った岩風呂だ。こぽこぽととめどなく湧き出てくる湯は透明度が高く適温、ほのかに漂う森林の香りも心地いい。
「本当に」
とニーナが洗い場から応じた。普段とは違う口調のグレン、普段とは違う潜入捜査……今日のミッションにはとてつもなく特別感がある。
玉の肌を岩にもたれさせ、しばし瑞希は目を閉じていた。うっかり寝てしまいそうになって慌てて身を起こす。敵地の真ん中にいるというのが信じられないほどにリラックスしていた。まずはくつろがせるのがテューダー派の狙いなのだから、それはそれでいいのだけれど。
水を吸って濡れ羽色になった髪を左右に振り、瑞希は言った。
「元の旅館は場所が悪くて一度倒産したらしいですね。なんだか勿体ない気がします」
やはり湯に豊かな身を沈めていたハロルドがうなずく。
「とはいえ寂れていたおかげで他にお客さんはなく、『町内会ご一行様』で貸し切りにできているのですけれども」
しっとりと湿ったハロルドの睫毛が、ぽつんとひとつ雫を落とした。同性の瑞希から見ても、どきりとするほどに色っぽい。
「ところで」
と、両腕を岩風呂の縁にかけたまま言ったのは笹だ。普段の口調に戻っている。メイクが取れたので子どもっぽさも減じていた。
「『アンデルスお兄ちゃん』、そっちはどうですか?」
壁の向こう、つまり男湯のほうに呼びかけたのである。
万事良好だ、と前置きして、カガヤの大真面目な声が帰ってきた。
「紀乃、お兄ちゃんはだな」
「はい」
「スキーに行けなかったのが本当に残念だ。スキー旅行だったら俺もころりとやられたかもしれない」
「本当にスキー行きたかったんですか?」
「嘘だと思ってたのか!?」
どっと男性側から笑い声が聞こえた。カガヤ(アンデルスお兄ちゃん)がよほど神妙な顔をしていたのだろう。彼の迫真の演技には、半分事実だったという一因が含まれていたようだ。
「温泉気持ちよかったですー」
火照った湯上がりの肌を浴衣につつんで、タオルを髪に巻いたままニーナは廊下を歩む。新品のスリッパが立てるペタペタいう音も悪くない。
「……あれ?」
と刹那、身を強張らせたニーナの肩に、そっとグレンが手を乗せた。
「はやく部屋に行きましょう。食事の用意ができたようです。僕はお腹が空きました」
そうしてごく自然に、ニーナを前に向き直らせた。
ややあって、
「まったく、ニーナは嘘が苦手だな……」
普段の口調に復してグレンは苦笑気味に言った。
「だって」
と言いかけてニーナは任務を思いだしたのである。ちょっと、うっかりしていた。
そうだった。気がつかなかった振りをしておこう。
すれ違った仲居さんが、着物姿のまま黒覆面黒手袋の黒いのっぺらぼうのような『戦闘員』姿になっていたということには。
思ったよりずっと楽しんでいるので難癖付けるのは心苦しいのですけれど――瑞希は心の中で手を合わせて女将を呼びつけた。
「ちょっとあなた」
えっ、とプリムは心外そうな顔をした。けれど反論は控えて、
「何か至らないところがありましたか」
と返すのだが、明らかに敬語に慣れていないらしく口調が変だ。それは無視して瑞希は眼を怒らせる。
「アメニティが足りませんよ」
「そんなはずは……」
プリム・ローズは色をなした。実際まったくそんなことはなかったのだが、瑞希は作戦ゆえこれで通す。
「ほら見て! ここに証拠が!」
と、わざと一個隠した状態を撮影した写真をスマフォに表示させた。
「ここの教育はどうなってるんですか!」
それに……と、瑞希は、古典ドラマで出てくるお姑さんをイメージしつつ、ちくちく小言を連発するのである。いわく、掃除ができていない、片付けが雑だ、風呂にカビがあった、枕の感触が嫌だ……本当はどれひとつ思っていないのだけど、やってみるとこれら小言は意外にもスラスラ出てきた。そこに、
「ハル、そこにいたのか」
やはり湯上がり姿でフェルンがやってきた。プリムは一瞬、ほっとしたような表情を見せた。初対面時にあれだけフレンドリーだったナギ(フェルン)が、うまくとりなしてくれるかと期待したのだろう。
ところが、そうはいかない。
ナギことフェルンは全然笑っていなかった。
「部屋のことだけどさ……埃が多いね」
不倫相手に別れを切り出す男のように、感情のかけらもない冷たい言い方だ。
「あと、料理にソバがあるようだけど、アレルギーなんだよ俺……抜いてくれるかな」
これまたとりつく島もない言い方だった。同じ内容でも、冷たく言われると結構こたえる。思わずプリムは黙り込んでしまった。ちょっと……涙目である。
「あー、いた、女将さーん」
ここにぱたぱたと小走りで伊万里がやってきた。伊万里は力いっぱい肩を怒らせ、顔を赤くするよう意識していた。そうでないと、怒っている人らしくない。というわけでさらにプリム若女将には苦難が続く。伊万里は大声で言ったのだ。
「個室風呂、お湯がないじゃないですかー!」
「いえそれはお客様に張って頂くことに……」
「そんなの聞いてません! 用意して下さい!」
作戦とはいえ、いじめをしているようで申し訳ないとは思いつつ、いわゆるクレーマー丸出しで伊万里は激高してみせる。
プリムはきっと、こういう理不尽には耐性がないに違いない。一瞬大声を出しそうな顔になったが、拳を握って耐えている様子だ。それだけこの作戦に賭けているのだろう。
「そ、そうさせていただきま……」
言いかけて、びくっとプリムは飛び上がりそうになった。
「やあ」
いつの間に自分の背後に、アスカが姿を見せていたのだ。まるで気配を感じさせることなく。
またクレームかと眉を曇らせるプリムを安心させるように、アスカは笑顔を見せていた。
「まあまあ、このあたりにしないか? 特に波佐見(※伊万里が使っている偽名)、そんな細かいことばかり言わなくても」
「けど」
「気持ちはわかるよ、最高の婚前旅行にしたいっていう気持ちはね。だったら、怒ったりせず気持ちよく過ごしたいじゃないか」
「だ、だって白鳳君(※アスカの偽名)……」
照れたように両手を頬に当て、伊万里はもじもじしてしまう。
――また『婚前旅行』とか言ってますー!
伊万里はこのとき演技ではなく、本当に頬を赤くしてしまっていた。
なおこのアスカの行動(嫁のクレームをなだめる旦那というロールプレイ)は「そろそろ一旦、引き揚げよう」という合図である。プリム・ローズをあまり追い詰めると、突然切れてとんでもない行動にでかねない。ストレスは与えておくが、ここで爆発させるのは早計というものだろう。
「そこにいたか」
ちょうどいいタイミングでディエゴが声をかけてきた。
「夕食の準備が整ったようだぞ」
プリムがほっとため息をつくのが、ここにいた全員にはっきりと聞こえた。
夕食が思いの外豪華だったのは、役得だったというべきだろうか。
「ご馳走様でした」
ハロルドは両手を合わせて心からそう言った。
山海の贅をこらした懐石料理が登場したのだ。いずれも眼に楽しく舌に味深く、しかも伝統に甘えないだけの工夫が凝らされていた。
ひとつひとつ丁寧に盛りつけた前菜盛り合わせは新鮮そのもの、春の山菜と海老の天ぷらは揚げたての熱々で、笹身を適度に湯がいたものが脇を引き締める一方、大胆にも洋風のローストビーフもあり、花びら形に並べられた春らしい刺身も楽しむことができた。ソバの小皿があったが、フェルンのものだけはしっかりうどんに変更されていた。加えてご飯はほくほく、タケノコの炊き込みご飯か白米の選択、風味豊かな吸い物には湯葉が加えられていたのである。
いずれもすばらしいできばえだった。落ち度らしいものは見当たらない。
――ここで料理にも難癖付けて、さらにプレッシャーをかけるという作戦ですが……。
さすがにここまで完璧だと、どうしようもないとハロルドは諦めた。
ところが伊万里はそれでも言った。
「肉が少ないです。肉食べたいです!」
――なるほど、そう来ましたか。
ハロルドは横目で、若女将プリムが青白い顔色をしているのを見た。やはりこたえたらしい。もちろん伊万里が作戦でこうやっているのは知っているのだが、ちょっとプリムが気の毒になってきた。
しかしプリムに逆襲の時が来た。
それは食事後のことだ。
くつろぐ時間かと思いきや突然、戦闘員従業員(変な言葉だが実際そうなのだ)たちがわらわら出てきて、机を片付け窓にカーテンをおろし、天井からスクリーンを引き下げ映写機を組み立て……となにやら物々しい準備をはじめたのである。
「何だ……あ、映画を上映するとか言っていたな」
そういえば、とグレンがいいタイミングで告げた。
「映画?」
笹は、キャンディの詰まった箱を手渡された幼児のように反応する。もし彼女に尻尾がついていたとしたら、ふんふんと左右に揺れていたことだろう。
狙い通り――プリムはここにきてようやく、彼女らしく自信に満ちた表情となっていた。ようやくこのときがきた。ここまで我慢してきたのもこのときのため。この素晴らしい映像で、マントゥール教団とりわけテューダー派のシンパを増やす心づもりである。
部屋の照明が落ちた。
そしてどこかから脚光が、すっくと立ったプリム・ローズを照らし出した。彼女はカラオケマイクを握り、マイクを持った腕のたもとを開いた手で押さえている。おかげで限りなくドサ回りの演歌歌手ライクになるのだがそれはともかく。
「さあ皆さん! すばらしい映画が始まります! きっと皆さんの人生に新たな指標を与えてくれるにちがいません!」
下から光が当たっているせいで、ちょっとおっかない影ができているが本人は気づいていないようで、輝かしい口調に一点の曇りもなかった。
「これは……拍手しておくべきなのだろうな」
ディエゴは仕方なく、パン、パン、と簡単に手を打った。グレンが続き、さらに人数が増え、やがてパラパラと、大喝采とはいわずとも枯れ木も山の賑わいとなった。
プリムが上映したその映画のタイトルは、『新たなる地平線』であった。
ところが実際は地平線もなにもあったものではない。とどのつまりは完璧なプロパガンダ映画である。
映画の構成は、まず現代社会を『行き詰まり』であるとみなして、暗いニュースばかり強調することで極端なまでに暗鬱に描きだし、転じて、オーガの襲来はこの状況を一変させる荒治療であると喧伝し、最終的には、世界をリセットするための大改革(=オーガの受け入れ)が必要なのだと力説するという強引な内容であったのだ。
とはいえ――とハロルドは思った。
意外にも、しっかり作られている。面白いかどうかは別として。
けっこう制作費がかかっているらしく、映像自体はまったくもってチープな見栄えではなかった。不安をあおる効果音、オーガを『救い』と表現する画作りも見事だ。結論を急ぎすぎていなければ案外世間にも受け入れられていたかもしれない。世の中に不満ばかり抱え、自分の失敗をすべて他人や環境のせいにしがちな人間であれば、コロッと騙されてしまいそうな危うさすらあった。
ふうん、と笹は人差し指と親指で自分の顎をさすっていた。
今までマントゥール教団というのは丸きり理解できない人たちと思っていたが……決して共感はできないものの、どういう思想が根底にあるのかだけは、いくらかわかった気がする。
さてしかし、感心していては敵の思うつぼだ。
笹は『紀乃』に戻って、わざと子どもっぽく背中から畳に倒れ込んでジタバタと暴れた。
「面白くない~!」
はっきりと言う。
お、来たな、とアンデルス(カガヤ)も乗った。
「もっと面白い動画ないのか~」
両手をメガホンにし、いわゆる野次るスタイルで煽るのである。
「せっかくのもてなしで悪いが、姪の教育に悪いから違うものにしてほしい」
ディエゴは冷静に、けれども容赦なく言い放った。一方で、
「映画楽しみにしてたんですけど……」
しょんぼりと肩を落としているのはニーナだ。
ああ、とグレンがこれを継ぐ。
「聞かされていたプランと違いますね。娯楽作品と思っていたのですが」
相変わらず、ニーナにとっては違和感のある丁寧語で、そして、さりげなく毒のある言葉をグレンは続けるのだ。
「ま、格安ツアーなんてこんなものでしょう。どうにも興味が持てませんけれどね」
さりげなく、しかししっかりと、『勧誘されても入信しないよ』と宣言しているのである。
その頃アスカはといえば、上映されているものを丸きり無視し、伊万里にもたれかかって目を閉じていた。
「……アスカ君」
小声で伊万里が呼びかけるが、アスカのほうはどこ吹く風だ。
「婚前旅行なんだからイチャイチャしないと怪しまれるだろ? 終わったら起こしてくれ」
なんてやはり小声で返して口元に涼やかな笑みを浮かべると、やがてすうすうと、本当に寝息を立て始めたのである。
まったく、と伊万里はつぶやいたが、そう悪い気はしなかった。
変なプロパガンダ映画を観ているより、アスカの寝顔を眺めているほうがずっといい。
瑞希とフェルンも得たりとばかりに、映画を完璧に無視しておしゃべりに興じていた。
この反応は予想外だったらしく、プリムは思わず立ち上がっていた。
「し、しかしこれは……」
そこをめがけてハロルドが言う。
「オーガが出ているのは良いと思います」
思わぬ助け船に、おっ、とプリムは嬉しげな顔をしたが、それもたちまち打ち砕かれた。
「でも、オーガが出るのにスプラッタじゃないんですね、つまんないの」
明らかにプリムがダメージを受けているのがわかった。きっと彼女の心中には『がくっ』という書き文字が飛び出していることだろう。
「スプラッタ……いやそれは」
思わず言葉が出てしまった、という体のディエゴの言葉を受けてさらにハロルドは言う。
「叔父さん、親はいないんですし、過激な映画の一本や二本観たって良いじゃない」
「過激……そんな言葉がお前から出てくるとは……」
明らかにショックを受けたようにディエゴは口ごもるのだった。あと、やっぱりどうしても「おじさん」呼ばわりには慣れない。
ブーイングの集中砲火を浴び、頭を抱えながらプリムは言葉を絞り出した。
「……で、では、これで本作の上映を終了します。何かご希望があれば……他にかけますので……」
さっと笹が手を挙げた。
「じゃあ、アニメ映画がいい!」
というわけでその夜のアトラクションは、実に無害な劇場用アニメ映画へと変更されたのだった。
まああの『新たなる地平線』も、あれはあれで、最後まで観てみたい気もしたが。
なお若女将プリムはその夜ずっと、うなだれたままだったという。
翌朝。
迎えのとき同様、従業員一同(プリム以外全員戦闘員に変わっている!)が旅館の前に勢揃いして一同を送った。マイクロバスはすでに停車し、エンジンをアイドリングさせている。
「……ありがとうございましたー」
というプリム・ローズの声が死んでいた。低音で沈んで、地の底を這っているかのようだ。よく眠れなかったのか顔色も悪く、目の下にはパンダのごとき隈ができていた。姿勢もなんだか猫背である。すっかりうちひしがれているのか、あれほどかっちりしていた髪型も、あちこちピンピンとほつれている。
「女将さん」
声をかけられプリムは、目に前にニーナが立っているのに気がついた。
「あのう……いい旅行だったと思ってます。ご飯、美味しかったです。温泉も良かったし」
ニーナだけではない。伊万里も、申し訳なさそうにしながら、
「昨日はすいませんでした。厳しいことばかり言ってしまって……私、女将さんには感謝してますから」
私も、と言ったのはハルこと瑞希だ。できるだけ明るく告げる。
「ごめんなさい! 昨日は小言ばかり口にしてしまったけど、あれってもしかしたら、女将さんの好意に甘えていたからかもしれません」
紀乃つまり笹もこれ以上ないほどの笑顔なのである。
「うん! 本当に楽しかった! 女将さんのおかげだよ!」
「私たち、女将さんへの感謝が足りなかったように思ってるんです。だから言わせて下さい」
と、ハロルドは前置きして「せーの」と一同を促した。そして唱和する。
「ありがとう!」
男性陣も加わって、みんなで一礼!
プリムがこれに驚いたのは言うまでもない。
「皆さん……!」
元々感激屋のプリム・ローズなのである。感極まって言葉が出なくなり、彼女は思わず胸の前で両手を握りしめた。肩が震えている。ちょっと、涙ぐんでもいるようだ。
「本当は喜んでいてくれたのですね!」
絞り出すようにして告げたプリムの言葉を、「はい!」と真正面から受け止めて、
「だから」
とハロルドは言った。このとき彼女の手はプリムの背に置かれている。
「だから、一緒にバスに乗りましょう!」
ハロルドの手だけではない。女子一同で、背後からプリムを押してバスに向かわせた。
「送って下さい! ふもとまで!」
「ええ喜んで!」
うるうるさせた目でそこまで言ったところで何か思い出したのか、プリムは「あ!」と大声を出した。
「いやいやいや、ちょっとこの後旅館には別の予約が入っていて……ええ、ちょっと、バスのほうは遠慮したく……いえね、私も嬉しいんですよ、皆さんの好意が。ですけども仕事がですね、いやっ、ちょっと、あのバスはっ、バスだけは……バスだけは!」
無論、誰一人聞いていない。(正しくは、聞いていないふりをしている)
かくしてプリム・ローズは一行によってバスに積み込まれたのである。
運転手(もちろんとっくに戦闘員覆面)は事情を察していないのか、何も言わずバスを出す。
手を振る戦闘員従業員たちに見送られ、マイクロバスはゆっくりと山道を下りはじめた……。
往路に登ったスロープを、マイクロバスはゆっくりと下ってゆく。
車内は和気あいあいとしたムードだが、ひとり若女将だけは顔色が悪い。彼女はときおり意味ありげな視線を運転手の後頭部に向けるのだが、この運転手は命令に忠実なのか事情を理解していないのか、振り向くことなく運転を続行していた。
「あ、あの私、実は……」
意を決したようにプリムが口を開くも、瑞希はまるで聞く耳を持たぬかのように、
「はい、女将さんの番ですよ」
とトランプのカードを引くようにうながした。彼らがやっているのは伝統と格式のゲーム、ババ抜きである。
「いやそれどころじゃなくて……」
けれども瑞希はその先を言わせない。
「あ、女将さん、それジョーカー!」
「ええっ!? じゃなくて!」
アスカはババ抜きに加わらず、窓にもたれて眠っていたが、ここでふと目を覚まし、
「そろそろだな」
何気なく告げた。すると急に、
「痛たたたた……!」
伊万里が声を上げたのである。
「なんだか突然腹痛が……!」
両手で腹を押さえ、伊万里は苦悶の表情を浮かべている。
呼応するようにハロルドも動いた。彼女ははらりとカードを取り落として、
「私も……気分が悪く……」
と青ざめたのである。すぐにディエゴは顔を上げ、
「いけないな。運転手、止めてくれないか。バスは汚したくないので外で空気を吸わせたい」
これを聞いて不謹慎にも喜んだのは、誰あろうプリムなのだった。顔を輝かせる。
「そうよ! バスを止めて止めて……って! ああー!」
ガマ口の財布をつかんだつもりがそれはマジの蛙だった、というようなあまりにも頓狂な声がプリムの口から飛び出した。
……それも致し方あるまい。
なぜなら忽然と運転手が姿を消していたからだ。ドアが開いたままになっている。隙を見て飛び降りたものらしい。
「やってくれたなっ!」
フェルンがハンドルに飛びついた。だがバスは止められない。それどころか加速している。ブレーキが外され、アクセルには金輪がとりつけられて踏み込みっぱなしの状態にされていたのだ。
「衝撃に備えるんだ!」
カガヤは隣席に手を伸ばすと笹のシートベルトをしっかりと巻き、続けて自分のベルトに手をかけた。
「ニーナ!」
グレンの顔からすでに眼鏡は落ちている。彼はとっさにニーナの華奢な体を抱き寄せた。そのまま有無を言わさずニーナの上に覆い被さる。
落石があったのはその直後だ。
轟音。
大量の岩が崖の上から降ってきて、たちまち周囲は粉塵に覆われた。
この瞬間、ハロルドの脳裏にある一言が浮かんだ。
それは――。
『じこはおこるさ』。
――これはもう事故なんてレベルじゃねぇぞオイ……ッ!
だが異変はこれで終わりではない。
「イーッ!」
崖から垂れたロープを伝い、戦闘員が次々降りてくる。それらを軽々と追い越し、人間大の生物も数匹飛び降りてきた。二足歩行しているが背はひどく曲がっており、異様に大きな両眼を持つ。皮膚は鉛色で、粗末ながら剣や槍で武装している。デミ・ゴブリンだ。
集団はすぐにバスを見つけた。バスは岩に埋まってはいなかった。崩落地点の直前で、タイヤが焦げ付くほど急激なカーブを描いて横転していた。もちろんもう走ってはいないが、車輪はまだ回り続けている。
その窓のひとつから少女の手がのぞいた。つづいて、ボサボサになった黒髪と、トレードマークのダブル渦巻きも。
ヒイーッ! 戦闘員たちは震え上がった。ゴブリンすら本能的に危険を察したか棒立ちになっている。
「あ……あんたたち! 止まったからいいものの……あのままだったら死んでたわ!」
鬼の形相でプリム・ローズが這い出てきたのだ。着物が見えているのは上半身だけだ。下半身はまだ車中のようである。
「なにしてんの! さっさと助けなさいよ!」
くわ、と炎を吹くように言い放ったプリムだが、応じる声は予想外の方向から聞こえた。
「私たちが助けますよ! 女将さん!」
ニーナだ。グレンとともに、横倒しになったバスの上に立つ。
「よし、荷物も無事だ」
スキー板用のバッグをかかえ、カガヤが笹の手を引いてバスの前面に陣取った。
「つまらないオーガの映画を観た翌日に、デミ・オーガに出くわすなんて、ちょっとできすぎ?」
という笹の言葉に、
「ええ、それに彼ら、救助隊には……見えませんね」
ハロルドがうなずく。彼女とディエゴはバスの後方から現れていた。
「バスは汚したくなかったが、もう汚す汚さないの段階じゃなさそうだな」
ふっとディエゴは軽く肩をすくめてみせる。
パンと窓を叩き割って、瑞希とフェルンが飛び出した。二人は、
「とするとあの人たち、やっぱり女将さんを誘拐に来たのかしら?」
「だとしたら許せんな」
とうなずきあう。
グレンはもう演技をしていないが、それでも辛辣な口調は健在だ。多少大袈裟にこう言った。
「同感だ、誘拐犯に違いない。まさかマントゥール教団のはずはないよな。ましてや、こんな状況で宗教の勧誘活動なんて考えられないからな」
このときプリム・ローズは半分バスから這い出した格好のまま、「うぐぐ……」とうなってグレンの顔を凝視していた。どうやらやっと、彼のことを思いだした様子だ。
アスカはずしりと重い両手剣をゴルフバッグから取り出し、その鞘を払って握りしめた。
「まあ、マントゥール教団だったとしても、あいにくと宗教は間に合ってる」
「そうですね」
伊万里はにこりと微笑むと、すらり儀礼刀を抜き放ち、銀の刃のその切っ先をデミ・オーガたちに向けたのである。
「勧誘は結構です。……しつこいとウィンクルムを呼びますよ!」
まあ私たちがそうなんですけど――と言うなり伊万里は、アスカの頬に唇で触れた。触れたその場所を中心として、朱い火の鳥のつがいが生まれ、燃えさかる大きな翼をひろげ天に昇った。同時に彼らの体は、赤いオーラに包まれている。
トランス! この火の鳥の誕生こそが、決戦の火ぶたを切ったのである。
「とっとと片付けよう」
笹をバスのそばに残し、カガヤはバスを踏み台にして黒い鷲のように飛んだ。空中で弧を描いた大ぶりの剣で、デミ・ゴブリンの脳天を強襲する。まるで疾風、あまりの速さに、ゴブリンは防御姿勢すら取ることができない。一刀両断、呪わしき存在は呪わしき世界へと還った。
ディエゴは立て膝の姿勢で火縄銃を構える。といっても原始的な兵器ではない。現代でも通用する名銃『炎花蘭』だ。
「数ばかり多いな」
ちりちりと藁縄が燃える匂いが立ったかと思いきや、パッと耳を聾す破裂音と閃光が生まれ、次いで空気を支配するのは火薬の匂いとなる。硫黄臭が散じたときにはすでに、二発の銃弾がデミ・ゴブリンを貫いていた。
アスカの剣が廻る様は、刃の花が咲いたよう。彼はその身を軸として、独楽のようにぐるり高速で回転したのだ。
「素早くご退場願おうか!」
剣尖に触れただけで戦闘員は吹き飛ばされてしまい、ヒィーと悲鳴上げて逃げていく。一方でゴブリンは剣を跳ね上げられ、あるいは討ち果たされてこちらも悲鳴を上げた。
フェルンは装備に青白い光をまとい、あえて敵の目を引くべく集団のただ中に飛び入る。
ローズに注意してくれ――フェルンは無言で瑞希に呼びかけていた。
承知――それが瑞希の回答だ。もちろん眼でそう語るのみ。
「女将さん、危ないですからこれを」
「ちょ……なんで!?」
プリム・ローズは抗議するも瑞希はそれを聞き流している。危ないですからという言葉と今なお上半身だけのプリム・ローズを縄でグルグル巻きにするところに通底するものを感じ取るのはなかなか難しいところだが、まんまと瑞希は彼女を捕縛していた。
不意を突かれる格好となった教団勢、しかも主力がせいぜいデミ・ゴブリンという集団が、全力のウィンクルムに勝てる道理もなかった。
数分せぬうちにデミ・ゴブリンはすべて消え去り、戦闘員も過半は逃げ散って、残ったものも倒れて気絶するという状態になっていたのである。ほぼ一方的なウィンクルム側勝利だ。
「紀乃、無事か?」
カガヤが半ば冗談で呼びかける。笹も合わせて、
「うん! お兄ちゃん!」
なんて応じてみたりする。ときどきこのロールプレイをやるのも面白いかもしれない。
「ま、テューダー派のみなさんにとっては、とんだ骨折り損だったというわけですね」
という笹の言葉を受けて、
「そうでした。テューダー派といえば……」
ハロルドは振り返って若女将を探した。形式上はウィンクルムたちが、誘拐犯の魔の手から彼女を守ったということになる。プリムがどんな反応を示すか、ちょっと楽しみでもあった。
ところが、
「抜け目ないな……」
ディエゴは小さなため息をつくことになった。
「まあ、それくらいでなければ幹部など務まらないだろうが」
瑞希が首を横に振っているのが判った。
「ローズさんは……もういませんね」
悔しげな表情だが、これは一本取られた、という妙に痛快な気持ちもあった。
プリム・ローズは逃げ去っていた。バスの上には、鋭利な刃物で断ち切られた縄だけが落ちていたのだ。
「戦闘中のどさくさに逃げたか。俺も気をつけてはいたのだが」
フェルンはそう言ってサングラスをかけ直したのである。プリムを牢に送るのは、またの機会ということにしよう。
「なんだか、憎めない人ではありましたね」
ニーナが言う。ニーナがプリムと対決するのはこれが二度目となった。なんとなく、三度目もあるような気がしていた。
「ま、この連中を取り調べするだけで、もうあの『テューダー閣』は営業できないだろうよ」
グレンはロープで、倒れている戦闘員たちを縛っておくのである。死亡者重傷者がないようなのは、敵のことながらほっとする。
「それにしても……」
伊万里はぱたぱたと、埃っぽくなった空間を手で扇いで散らしている。空気はもうもうと土っぽく、運動会の後のグランドのような匂いがした。
「ずいぶん汚れてしまいました」
怪我らしい怪我こそないとはいえ、伊万里の顔も服も、土煙でざらついていた。
「やれやれ、こうなったら」
と言ったのはアスカだ。
「一風呂……そうだな、温泉でも入ってから帰るとするか」
依頼結果:成功
MVP:
名前:ハロルド 呼び名:ハル、エクレール |
名前:ディエゴ・ルナ・クィンテロ 呼び名:ディエゴさん |
名前:八神 伊万里 呼び名:伊万里 |
名前:アスカ・ベルウィレッジ 呼び名:アスカ君 |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 桂木京介 |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 冒険 |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 03月30日 |
出発日 | 04月06日 00:00 |
予定納品日 | 04月16日 |
参加者
会議室
-
2016/04/05-23:59
-
2016/04/05-23:58
会議室の流れに沿った形でプラン提出しております。
ローズさんを捕まえられると良いな、と思います。
色々手を廻して釈放されるでしょうけど、
テューダー派への経済的損失は小さくないでしょうし。
活動資金少がなくなってきたら少しは大人しくなるかしら?
・・・ならないような、気がします(苦笑。
-
2016/04/05-23:58
-
2016/04/05-23:05
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2016/04/05-20:28
とりあえず…「じこはおこるさ」の精神でプランを書いた
バスの足止めはまあ成功すれば良いなくらいのもので挟んでおく -
2016/04/05-17:41
すまん書き忘れていたことがあった
ニーナはお疲れ様だ -
2016/04/05-17:18
落石まで行かせない案となると、
バスに乗った直後全員お腹が痛くなって集団食中毒を疑ってみる…とかですかね…
どちらにするにせよ、次に相談室を確認できるのは21時過ぎになりそうです。
それ以外の所はとりあえずプランに書いてみましたが、調整はその後になります。 -
2016/04/05-17:04
>怪我
問題はそこだな
埋もれるってことはバスにぶつけるつもりだろうし
衝撃を和らげる方法は今あまり思い付かない…毛布とか、ベルトくらいしか。
医療品を申請したとして、それに頼ってプラン組むのも不安だ。
だから、俺的にはバスに乗ってすぐあと位に計画をご破算にしたい…旅館の枕持ってくるか?
-
2016/04/05-16:23
ニーナさんはお疲れ様です。
>団体
町内会での集まりということで、ゆるーく知り合い…という感じで行けば大丈夫でしょうか。
私達もそれに合わせますね。
>落石
衝撃に耐えることも必要ですが、当たり所が悪かったら本当に怪我してしまうかもしれません。
テューダー派が救助作業中、私達はその確認と、もし本当に怪我してしまった人がいれば手当も必要になると思います。
それと、衝撃を耐える方法そのものも考えなきゃですね…バスにエアバッグついてないような気もしますし… -
2016/04/05-13:55
>埋もれたバス
テューダー派の方がどうにかするつもりでいてくれますので、
バスが動くようになるまで良い笑顔で見守るのみで良いかなと思っていました。
それだけ頑張ってくれてもこちらはシンパになるつもりは更々無いのですが。
>衝撃
そうですね。
これだけは覚悟しておいた方が良いかと。 -
2016/04/05-13:29
ギリギリまでいい気にさせておくのは良いが
事故が起きるとバスが埋もれてしまうぞ
救助中に戦闘準備はできそうだが…
もしそこまで計画に付き合うなら、帰りは衝撃に耐える準備が必要だと思う。
まあ難易度簡単でそこまで突き詰めて考えなくても良さそうだが。 -
2016/04/05-11:11
>他のお客は居ない?
何だか激しく勘違いをしていたようで申し訳ありません…
妙に難しく考えてしまっていましたが、
こうなるとテューダー派の目的は達しようが無いのですね…
そうなると、
今後同じ事をさせない為にもやる気を削ぐことが大事だと思えばよいのでしょうか。
動画の事は今までの相談通りとして
出来るだけ温泉旅行を思いっきり楽しみ、ちくちく小言を言った後、
落石事故発生後に意気揚々とやってきた団員やデミオーガを倒す方が
良い邪魔になると思いました。 -
2016/04/05-10:57
>ニーナさん
お疲れ様です。
ギリギリになってしまってもご無理はなさらずにですよ~。
>他にお客は
居なければわたくし達だけで普通に楽しんでプロパガンダな行動は全てスルーしてしまえば
終わりなので、居ると思っていましたが…
あれ、ペア5組をご招待ですか…
ほんとにわたくし達だけです…?
(把握違いずっとしてたようでしたら申し訳ありません!) -
2016/04/05-10:49
それでは「町内会」関係での旅行
「温泉とスポーツ、スポーツに関連する映画が楽しめると聞いてきた」でプランを進めますね。
…すごく今更なんですが、私達以外の参加者の方っているんでしょうか?
ペア五組招待の作戦ということで参加してるのは私達10人だけだと思ってましたが…
クレームの連続であまり早々にプリム・ローズを怒らせてデミ・オーガをけしかけられても困るので、
まだ早すぎる、危ないなと思ったらちょこちょこお礼は言っていこうかなと。
効果があるかは分かりませんが…
※
申し訳ないのですあ、日付が変わる頃近くまで外出します、
相談卓は覗けますが携帯の性能の問題でプランの手直しが難しいので、
手直し出来るのが送信直前30分から15分くらいになりそうです…
ここまで出ている内容は一応プランに入れているはずですが、
まだ方針の確定していない落石処理のプランは現在盛り込んでいません
もしプランの盛り込み一部間に合わなかったりしたらすみません… -
2016/04/05-10:16
>落石事故対応
そういえばこちらなのですが、
ただごねてバスを止めてもルートが変わらなければ、
運転手と落石実行役で示し合わせて
タイミングを変えればいいだけになりそうな気がするのですよね…
そうなるとここでの邪魔は既に挙げて頂いている通り救出作業を邪魔する(落石発生後対応)、
落石そのものを起こさせない(落石未然防止)、
の2通りでしょうか。
ルートを変えさせる…も考えましたが
山奥の温泉旅館となると決まったルート以外無いとかありそうな気がしますので
出来なさそうな気がしました…
・救出作業を邪魔する
これは下手すればわたくしたちの方が悪役になりかねないので神経を使いそうです…
(一般の方々からすれば何で落石から助けようとしてくれてるのに、
邪魔するの?となりかねない)
デミ・オーガが来た段階で問答無用で倒しに掛かるのもアリそうですが、
出来る事なら旅館に居るうちに女将(プリム・ローズ)の声で、
落石の計画を話している所を録音できたりしないかなと淡く考えていました。
それで一般の方々からの不審を煽れないかと。
・落石事故自体を発生させない
落石を実行しようとしている現場はどこかなど事前の情報収集がものを言いそうです。
現場の邪魔をするにせよ、こちらにせよ、旅館で情報取得目的に動く必要は出てきそう?
-
2016/04/05-09:40
>団体
団体旅行客(同窓会でも町内会でも、それっぽいものを設定して下さい)
とあるので仲良しグループ、みたいなのでなくても
何かしらゆるく関係あるグループであった方がいい気がします。
あとはペアチケットとありますのでそのチケットの二人組が関係あれば大丈夫そうでないかと。
なのでディエゴさんの団体の案でしたら後者(ディエゴさんは関係者、ハロルドさんは関係なし)なら大丈夫ではないかと思います。
そうなると変に色々考えるより
本来ご老人の方が来るはずを手違いで若者が来てしまったとするなら…
やはり例に挙がっているような町内会の方が無難でしょうか…?
その上で、若者が来てしまった理由は温泉旅行でまったりみたいなツアーではなく、
観光やレジャー多目のツアーだと聞いてきたのに!とかで入ってしまったとかで。
大き目の武装などは大きい旅行鞄に入れる、
レジャーがあると聞いてマイスポーツ用品を持ってきた(スポーツバッグに入れる)
などで隠したりできそうでしょうか。 -
2016/04/05-09:04
>団体
確かに、団体とは書いていませんね…
向こうもペア五組、とだけしか考えてない気がします。
それなら団体で一斉に、というよりも
「私は○○だって聞いて来たのに!」とそれぞれが別々の文句を言う方が
対応に追われるかもしれませんね。 -
2016/04/05-08:38
>紋章
全員が全員手袋だと怪しまれると思う
化粧で隠すのも選択肢に入れるべきかと
>団体
ぎりぎりで悪いが、こちらは立場を違うものにしたい
それか、俺だけ団体関係者で神人は団体とは関係ない者として(叔父と姪で考えてます)
今回はペア五組を激安ご招待とある、団体様、ではなく
その五組全員が関係者と名乗るのは不自然じゃないかと思った
そして文句をつけるなら、団体としての意見ではなく、多角的につけるとじりじり追い詰めることができるかもしれない。 -
2016/04/05-01:23
紋章は隠したほうがいいと思います、
隠すなら手袋とか、包帯とか…?
>団体
映画は映画でもレトロ映画専門とかだったらあるいは…?<お年寄り
確かに映画同好会だったらプロパガンダ動画が上映された時に
話が違うとクレームを入れても違和感はなさそうですね
>バスの中での落石回避
被害も何も考えずに岩を落とそうとしてた場合が一番怖いですね!
映画同好会を名乗っている場合は
「撮影にどうしても使いたい場所が道中にあるからそこでバスを止めてほしい」
と落石をしかけてきそうな場所の直前でお願いして
そこで全員バスから降りてみる、とか…? -
2016/04/05-00:30
連投になってしまって申し訳ありません。
ふと思ったことを。
変装というかウィンクルムの紋章はやはり全員隠した方が良さそうでしょうか。
テューダー派への面識ありなしにしてもこれは必要になりそうですね。 -
2016/04/05-00:20
カガヤ:
笹ちゃんのメモを横から見つつー。
>何の団体旅行か
これ、趣味の映画製作のサークルとか言っちゃうのはどうかなって思った。
年齢層がばらけてても脚本の役で必要な俳優がこういう年齢層だったとか。
何かの撮影のお疲れ様会だとか、遠方の現場で撮影する為の道中で丁度招待された温泉旅行が近かったから参加してみたとかで。
武器も撮影機材や小道具だとか言っちゃえば隠すのも簡単じゃないかなと。
どうだろ?
元々ご老人が多そうかどうかは微妙かもしれないけど。
>落石事故対応
確かに発生状況がちょっと予測し辛いかな…
埋もれたバスの中の安全面はテューダー派の面々も
乗ってる人を殺すつもりでやるわけじゃない以上ちゃんと考えてそうな気がするけど
ただどのタイミングで邪魔行動に移るか悩む…
テューダー派へのダメージが大きそうなのは
落石事故をそもそも起こした(起こそうとしている)
のがテューダー派であるという証拠を掴んで、
一般の方々に流布するとかかなとも。
個人的には落石事故関係の邪魔は
救出作業中を狙いたいかなーと思っています。(願望)
(大前提:テューダー派が落石を起こしたと一般の方に伝えられている場合) -
2016/04/04-23:50
今の所出ている案をちょっとまとめますね。
どうもわたくしも落石周りで具体的な案が浮かばずもんもん…
・わたくしたちが温泉旅行に紛れている事へのごまかし方法
何の団体なのか→スポーツクラブのメンバー、サークルの親睦会
テューダー派と面識がある人は可能な限り変装
偽名を使用
武装を隠す
・プロパガンダ動画への対応
見たかった映画じゃないなどの文句を告げる
・仕掛けられた落石事故への対応
→落石事故発生前→バスに乗らない(ごねる)
→バスに乗る前にテューダー派を捕まえる
→バスに乗る→バスを止めさせる(車酔い、宿泊延期をごねる)
→落石事故発生後→現場でやり返す
・その他(他のお客さんへの勧誘を妨害)
ちくちくクレームを重ねる -
2016/04/04-11:39
どんだけでかいスティックだよ!?
まあ木槌なら一応持ってるけど…いやそういう問題じゃなく!
偽装の案としては、前にコントラバスのケースに入れて隠したことがあるから
今回もそれで行けるんじゃないかなと思った。
>落石
細かい調整はできなさそうなのがポイントか。
向こうの作戦としては、帰りのバスが見えてきたら落とせ、くらいのアバウトな感じなのかな…
インカムとかで細かく指示出したりしてたら怖いけど、そこまで頭は回らないって楽観しててもいいのか?
まあなんにせよ、バスに乗ってしまったらこっちは自由に動けなくなる。
行き道で目星をつけておくのは賛成だな。
旅館に着いた後で「落石がありそうで怖かった」とかの話題を出してみたらボロ出してくれないかなー… -
2016/04/03-17:36
ハードブレイカーは両手鎚持っていって
ゲートボール同好か……何でもない、忘れてくれ -
2016/04/03-17:30
>武器
書き忘れすまない
こちらの武器は簡単に隠せるものなので
特に武器を隠すのが難しそうなハードブレイカーに合わせる -
2016/04/03-17:29
落石のタイミングはあちら次第だからな
落石起こしたら客がどうなるか、とか細かく調整するよう奴じゃなさそうなのが気にかかる
ウィンクルムとはいえ事故に巻き込まれたら無傷とはいかないだろうし
バスに乗り込んだ上で邪魔をするとすれば
行きの道で事故を起こしそうな場所に目星をつけておくことだろうか。
一朝一夕で準備できるのか疑問だ、だから事故を起こす場所に何かしら手を加えられた形跡があるかもしれない
景色を楽しむ振りをして注意深く見てみるのも無駄ではないかと思う。
というか、運転手(仲間?)まで危険に晒すつもりなんだろうか…。
-
2016/04/03-13:51
>旅行グループ
サークルの親睦会というのはどうでしょう。
書道ほにゃらら同好会とかにすれば元々お年寄りが多そうに見えるし、
大筆の持ちこみと称して大型の武器・防具を誤魔化して
旅館へ持ちこめそうな気がして来ました。
豪華温泉旅館で究極のおもてなしをする(気になっている)人達へ
「お掃除が行き届いていないようですけど」とか
出てきた料理に「私、この食材はアレルギーが…」とか
部屋のアメニティが足りないとか
温泉の脱衣所が寒すぎるとか
地味にチクチクとクレームを重ねて行けば、キレキレになりそうです。
でも何故でしょう、何かこちらが悪い事をしている気になってきます(ため息)。
落石の件は事前に対処したい所ですけれど、
現場まで行ってからヤリ返した方が
向こうには精神的ダメージ大きいかも?
どうするべきか色々と迷いますね。
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2016/04/03-13:47
>旅行
スポーツクラブのメンバーとか?
>落石
今、思い浮かんだのは車酔い、または宿泊延期できないかごねる、だった -
2016/04/03-13:23
ニーナ・ルアルディとグレンです、皆さんよろしくお願いしますねっ!
私達も変装必須ですね、グレンの場合は前回
直接プリム・ローズさん怒らせちゃってますし…
>旅行
年齢層結構バラバラになりましたけど、
何旅行として向かいましょうね?
>武器防具
小さい武器でしたら手持ちの鞄とかに入りそうですけど、
大きい武器だと大変ですよね…
余興用として持っていく場合、ギターケース…とか?
>落石
バスに乗った後だったら、
途中で何かしら理由をつけたり、走らせたままだと危ないと思われて
バスを止めてもらわないといけない訳ですよね?
うーん…喧嘩で仲違いして
「もう一人で帰るからバス止めろ」と騒いでみる…とか…?
何かよさそうな案、他にないでしょうか? -
2016/04/03-07:53
改めて、八神伊万里とハードブレイカーのアスカ君です。
よろしくお願いします。
動画は、まさか感化されてしまう人はいないでしょうから
ディエゴさんの言うように文句をつけて怒らせたりするのがいいんじゃないかと思います。
落石については……あの、これって
バスに乗る前に相手を逆上させて旅館を出る前に捕まえてしまえば
落石をどうにかする手間は省けるのではないでしょうか…と、ふと考えてしまいました。
プリム・ローズに落石事故作戦のことを吐かせて
崖上で待機している部下を背後から押さえる、とか。
上手くいくかどうかは分からないので、うっかりバスに乗ってしまってからの策も考えておいた方がいいかもしれませんが。
>武器防具
大きな鞄などに隠すか、大きいものは偽装して宴会の余興に使うと言っておくのはどうでしょうか。 -
2016/04/03-00:35
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはロイヤルナイトのフェルンさんです。
皆さま、ご指導の程、よろしくお願いします。
私達はローズさんと直接会ってないのですが
バル・バラさんから話を聞いてて何か感づかれても困るし、と考えまして。
軽く外見を変えていくつもりです。
(メタ発言:イラスト無いのでイメージも何もないですけど)
あと、変装するだけじゃなく、名前も偽名で行きましょう。
こんな所で宿帳等に個人情報をうかうかと残さないようにしなくては。
後で詐欺な電話など掛けられても困りますし。
武器防具も隠して持って行った方がよさげ?
どうやって持って行きましょうか。
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2016/04/02-23:26
宜しく頼む
短気なんだよな
じゃあしびれを切らすまで普通に旅行を楽しんでいようと思う
動画はそうだな、見たかった映画とは違う、と文句をつけるとか?
落石の事態は避けたいよな、大人しくバスに乗ったらただじゃすまない
報酬もらえて旅行できるなんて最高だよな、少々の手間はかかるが。 -
2016/04/02-21:12
改めまして手屋 笹と精霊のカガヤです。
皆様よろしくお願いします。
わたくしとカガヤは結婚式場の件でプリム・ローズさんと面識がありますので
変装必須になりそうですね…特にカガヤは必要そうです。
テューダー派の方々をおおまかに邪魔すべき場面というのは、
動画上映の際と、落石事故の場面でとなりそうでしょうか。
あとは必要に応じて細々と。
邪魔するといっても相手の方々も良いことをしようとしているのが非常にやり辛いですね…
こちらも悪気のない行動で”うっかり”邪魔をする位が良いのでしょうか。 -
2016/04/02-19:11
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2016/04/02-07:44
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2016/04/02-01:39
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2016/04/02-00:20