プロローグ
色が、溢れる。
無限に広がる極彩色。
まるで夢のように鮮やかな世界。
●
「あそぼ」
近づいてきたのは、顔も服も色鮮やかになった子供だ。
この様相はどうしたのだろうか。
聞いてみると、子供は笑顔を咲かせて言った。
「おまつり! いろの、おまつり!」
子供は自分の少し後ろ側の人集りを示す。
そこには笑顔と、溢れそうなほどの色が弾けて舞う。
「いっしょにあそぼ!」
子供に手招かれ、状況は上手く呑み込めないままではあったが、誘われるままに歩を進める。
空を舞う極彩色。笑顔を彩り、大地の色を変える。
「いろのおまつり! みんなで、いっしょにあそぼ!」
差し出されたのは、水の入ったボールと水鉄砲。
使い方が上手く理解できず、しばらく様子を眺めてみた。
すると、大人も子供も男も女も構わず、手にしたボールや水鉄砲を互いに向けて撃ち合っている。
ボールが当たれば小気味よい音と共に弾け、服を染める。
水鉄砲から飛び出すのは、赤や青の色水だ。
「すてきな、きせつにおめでとう!」
誘った子供は、嬉しそうにそう言うと、色の中へと飛び込んで行った。
――綺麗。
見惚れるほど、色を変えた景色は美しい。
時間すら忘れて見入っていると、視界を色水の入ったボールが遮る。
隣を見遣る。そこには、嬉々とした――悪戯っぽいような、そんな笑顔があった。
「手加減はしないよ。……それとも、ほかの人たちを狙ってみる?」
解説
色水をかけあって、素敵な季節を楽しみましょう!
◆染まってもいい服で来てください。
色水は大変染まりやすいです。極彩色を楽しめる格好をお勧めします。
◆色水の入ったボール、もしくは水鉄砲を選んでいただけます。バケツで掛け合ってもOKです。
ボールはシャボン玉のような感じです。当たっても痛くないです。
◆神人vs精霊で掛け合ってもよし。
ご希望があればウィンクルムvsウィンクルムでもOKです。
(必ずしもご希望に沿えるものではございませんので、その際にはご容赦ください)
◆色水の量は、それぞれ3回分ずつです。
が、こだわらずに思いっきり持ってかけまくってください。
◆周りにいる一般人たちも時々悪戯をしてきます。
相手の色水を避けたと思ってもご注意を。
◆参加費としまして、300Jrが必要です。
ゲームマスターより
純粋に楽しんでいただければ嬉しいですし、色を見て何かを感じることもあるかと思います。
色って、不思議ですよね。
男性神人の皆さんとのハピエピは初めてで、とてもワクワクドキドキしています。
どうぞ、素敵なお話を聞かせてくださいね!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
*水鉄砲で 無駄にヤルキだな(笑 ランスにつれられる形で何時の間にか俺も楽しむと思う こういう時あいつは凄く強引で、けど嫌がることはしてこないから、 多分俺がハードルを超え易いようにしてくれてるのだと思う パシャ>< ま、ただの悪戯坊主かもしれないがっ! 今のは一寸ダメだろっ(メッ って、タンマタンマ>< 向きになって俺も建物影に走りこみ、 市街戦よろしくパシャパキュン 水も滴る2人になったら、 前髪がうっとおしいのでオールバツクに ゴムで後ろをとめる ランスの言葉に一寸照れ(汗 それを隠す為に今度は俺から不意打ちだ! ★事後 シャワー浴びようと提案 流石に…風邪を引くと、な え?いや、1人で入るよ(汗 見つめ合って笑っちゃうけどね |
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
面白そうじゃーん! 無気力Tシャツでボトムズも白っぽい(チョコなチェックだけど)にして、準備万端だ。 赤や青のくっきり原色の色水ボールでオレはヤルぜ(自信満々。 スポーツ得意だし。華麗なる投擲を見るがいい! 討伐任務の鍛錬だと思えばよりヤル気もUP。 パイ投げの時は死角を巧くラキアに突かれたが、オレはちゃんと反省のデキる男。今度はもーちょっと警戒するのだ。 他の人からの流れ弾(笑)も見事に避け切ってみせよう。 アレ? ラキアの獲物は水鉄砲? ふふふ、難易度を上げてきたな! しかしラキアも銃の扱いに慣れてないだろ! 普段は本か杖を振り振りしてるからな。 不慣れな隙をついてボールを当てる! オレ色に染まるがいい(違? |
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
極彩色を楽しむ為、白基調の服装 バケツ フィンと真剣勝負 勿論、手加減なんてしない 覚悟しろよ?俺色に染めてやるから 素早さも回避もフィンには敵わないのは重々承知 だからここは、思い切りの良さで勝負 攻撃に怯まず真正面から突っ込んで、バケツから水を放つと見せかけて、ぐるりと遠心力で色水が零れないようバケツを振ってのフェイント バケツのいい所は、攻撃範囲が広い所 あと、工夫次第で飛び道具にだってなる 喰らえ! フィンの反撃にも心躍る 何だか子供に戻ったみたいで… ふー濡れたな でも気持ち良い 極彩色に染まったフィンに頬が緩む いや…そうじゃなくて… その何だ…見事に俺色に染まったなぁと思ったら…嬉しくて って何言ってるんだろな、俺 |
フィリップ(ヴァイス・シュバルツ)
白パーカーに白Tシャツ/水鉄砲/黒色 …帰りたい ぼそっと呟きしゃがむ 武器? 別に何でも良いんじゃね? アンタ、適当に自分の選べよ。余ったので良い 水鉄砲か… あー…そっか。納得 水の色…それも何でも。任せる やだ。やる気出ない 変に絡むな。……ったく、めんどくさい…。アンタは相変わらずオタクオタクうるさいな 仕方なく立ち上がる 本気で面倒臭そうな神人に一般人の攻撃(青色)が当たって、びっくり チッ……。避けろよ? ヴァイス 今ので火がついたのか、相方を狙撃。変なところで負けず嫌いフル発揮 …入ってたの黒だったのか…。なんで黒だよ墨かよ…… ふん。別にいつ気づこうが俺の勝手だろ …悪かったな。拭いてやるから来い |
テオドア・バークリー(ハルト)
※共に水鉄砲選択 ちょ、こっちは参加するなんて一言も言ってな…っ あっぶね…ハル何するんだよっ! まったくもう…売られた喧嘩は倍にして返さないとね ハル、ちょこまか逃げるんじゃないっ! …ああ、うん、確かにそう簡単に近寄れなくはなるけど お前滅茶苦茶被弾しまくってるぞ… …ハルのあの姿見てたら悩んでることとか全部吹き飛んだ。 今だけは全部忘れてハルと思いっきり羽目外して騒ぎたいな。 ※基本ハルト狙いだが途中狙われたら撃ち返す ※最初は遠慮して牽制射撃だが、徐々に遠慮なく当てに行くようになる あ、もう終わりなのか… 何だか久しぶりにこれだけ笑った気がするな… ハル、ありがとな、誘ってくれて…結構楽しかったよ。 |
●
それぞれに武器を選ぶ。
白を基調にしたのは、この祭りを存分に楽しむためだ。
蒼崎 海十はバケツを、フィン・ブラーシュは水鉄砲を選ぶ。
「決まった?」
「ああ」
「オッケー。手加減はなしでね?」
「もちろんだ。フィンとの真剣勝負だ。手加減なんてしない」
とはいうものの、普段使い慣れている獲物と同じ形状の武器を選んだフィンを相手にするには、海十はやや劣勢だ。
フィンもそれは理解しているようで。
「覚悟しろよ? 俺色に染めてやるから」
「ふふ、海十こそ覚悟してね?」
随分な余裕を見せている。
「オニーサン色に、染めてあげるよ!」
言い終わるが早いか、フィンは水鉄砲で海十を狙う。
放たれた色水は海十に命中したが、フィンに敵わないと見て、海十はひるまずに踏み込んだ。
「なるほど、肉を切らせて骨を断つ、ってやつか」
納得したようなフィンに、真正面からバケツの水を放つ――
「けど、食らわなければどうってことはない!」
「それはどうかな」
と見せかけて、バケツをぐるりと勢いよく振る。
遠心力で水は零れることなく、フィンの目の前を横切るだけだ。
「……フェイント?」
空を切るだけのバケツが、フィンに一瞬の隙を作らせた。
海十がにやりと笑う。
フェイントは何度も通用するものではない。これを逃すわけにはいかない。
「くらえ!」
上手くバケツを操り、海十はフィンの頭から色水を掛けた。
「うわっ……」
「油断し過ぎだ!」
「くっそー、やられたなぁ……」
きらきらと、水飛沫が光る。
海十の表情に、輝きを灯すように。
――海十、生き生きしてる。可愛いなぁ……。
思わずフィンがそんなことを思っていると、海十は新たなバケツを手に、さらに笑顔の色を増していく。
「工夫次第でバケツは飛び道具になる」
意表をついての攻撃は実に見事だ。雫を落とす髪をかき上げ、フィンはくすりと笑う。
「勝負はまだこれから」
水を撃つ速さと距離は十分。
「ここからは俺のターンだ!」
フィンが距離を取り、海十を狙い撃つ。
プレストガンナーの本気とは恐ろしいもので、海十が避けきることなど、まるでできない。
それでも、海十はフィンが手加減をしていないことに嬉しくなる。子供のように全力で遊ぶことを楽しめる。
互いの色水が尽きると、何とも言わず、少し離れた場所へと移った。
「ふー、濡れたな。でも気持ちいい」
「お互い見事に染まったね」
フィンが極彩色に染まっている。それはなんと綺麗なのだろうか。
見つめて、海十の頬が緩む。
「……そんなにオニーサン、変な格好になってる?」
海十がずっと笑っていたせいか、フィンが自分の格好を確かめるように見た。
「いや……そうじゃなくて……」
「そうじゃなくて?」
「その、なんだ……」
歯切れ悪く言葉を探す海十に、フィンは首を傾げる。
「見事に俺色に染まったなぁと思ったら……嬉しくて」
「――っ!」
フィンの鼓動が高く跳ねた。
「って、何言ってるんだろうな、俺」
「海十って……」
極彩色に染まっていてよかった。
恥ずかしそうに背けられた海十の顔を捕まえて、フィンは心底そう思った。
「無意識に殺し文句を言うよね」
――今日は俺の負け、かな。
●
「……帰りたい」
ヴァイス・シュバルツは髪を高く結い上げながら、フィリップの声を聞こえなかったことにする。
しゃがみこんで、何回目の『帰りたい』だろうか。
「おい、フィリップ。お前、武器なにがいい?」
「武器?」
「色水を掛ける武器だよ。どれにするんだ?」
「別になんでもいいんじゃね? アンタ、適当に自分の選べよ。余ったのでいい」
いつも通りだ。別に苛々する必要はない。言い聞かせて。
「んじゃ、お前水鉄砲な」
ヴァイスはボールを選んだ。
「水鉄砲か……」
なぜだと問うような目で、フィリップが見つめる。
「……いや、フツーに玩具でも鉄砲扱ったことねぇし」
「あー……そっか。納得」
「水の色はどうする?」
「色……それもなんでも。任せる」
――ああ、イライラする……!
「テメー、お任せのオンパレードかよ! ちょっとは自分で選べよ……」
「やだ。やる気出ない」
フィリップのやる気のなさは別に今に始まったことではない。
分かっているはずなのに、こうも苛々するのはなぜか。
馬が合わないのに、あえてそれに構っているから。
苛立ちも倍増するというのに、それをやめられない自分がいる。
黒い色水を水鉄砲に入れ、フィリップに渡す。
「テメーはいっつもやる気ねぇだろーが。星座オタク」
「変に絡むな。……ったく、めんどくさい……。アンタは相変わらずオタクオタクうるさいな」
「オラ、さっさと立たねぇと顔面にぶつけるぜ? フィリップくんよォ」
にやりと笑って、目の前にボールをちらつかせると、フィリップは渋々立ち上がる。
そんなフィリップに狙いを定めたかのように、周囲の一般人が放った色水が直撃する。
「……?」
驚いたように見下ろすフィリップの、白いパーカーは青く染まっていた。
「チッ……」
フィリップの表情が、少し変わった。
「避けろよ? ヴァイス」
そう言って、闘争心に火がついたのか、フィリップの水鉄砲はヴァイスを捕らえる。
しかも、やけに正確に狙ってくる。
「誰かが攻撃しねーとやる気入んねぇとか、なんだよ……」
溜息を吐いて、フィリップにボールを投げる。空色の綺麗な色水が、フィリップの身体に当たって弾けた。
服が汚れるたびに精度が上がっていくのは、正直やめて欲しい。
ヴァイスの服をどんどん染め上げていく色水に、ふとフィリップの手が止まった。
「弾切れか?」
ヴァイスの手はボールが一つ残っている。勝算から、ニヤッと笑う。
「……入ってたの、黒だったのか」
「今気づくなよッ!」
思わず最後のボールを投げつけた。
あれだけ撃っておいて、まさか今、その色に気付くとはどういうことだろうか。
「なんで黒だよ。墨かよ……」
「なんで今気づくのかが知りてぇよ……」
「ふん、別にいつ気づこうが俺の勝手だろ」
捻くれているとは常々思っていたが、ここまでくると、根っこから捻じれているとしか思えない。
濡れたTシャツを見ながら、ヴァイスは今日、何度目かの溜息を吐いた。
「……義手に色水入った……錆びる」
右腕を気にして呟けば。
「……悪かったな。拭いてやるから来い」
意外と素直にそんなことをフィリップが口にする。
胸の内が、少しかき乱される気がする。
――ホント、イライラする。
●
セイリュー・グラシアは、原色の色水が入ったボールを手に、目を輝かせている。
「面白そうじゃーん! 負ける気がしないな!」
「そうだね、ボールじゃ当てられる気がしないよ」
言いながら、白いローブを着たラキア・ジェイドバインは水鉄砲を手に取る。
運動神経のいいセイリューには、ボールよりも水鉄砲だろうと考えてのこと。
「いつにも増してやる気満々だね」
「討伐任務の鍛錬だと思えば、やる気もアップするだろ!」
「こういうイベント、大好きだものね、君」
「パイ投げの時はラキアに死角を突かれた。でもオレはちゃんと反省をした!」
だから負けない、と言うように、ボールをぐっとラキアに向ける。
思わずラキアは笑みを零す。
――攻撃のタイミングは、解るんだけどね。
分かったところで、セイリューのボールを避けられるのかと聞かれれば、否だ。
「アレ? ラキアの獲物は水鉄砲?」
「そうだよ。これなら当てられるかな、って」
「ふふふ、難易度を上げてきたな! しかしラキアも銃の扱いに慣れてないだろ!」
普段は本を杖を振っているラキアが、銃のような武器は不得手とセイリューは考えた。
――それはどうだろうね。
ラキアには、少しの勝算がある。
「始めようぜ、ラキア!」
「負けないからね」
セイリューの間合いより少し距離を取る。
離れた分だけ流れ弾に当たる確率は当然上がるのだが、それはそれ、とラキアは楽しむつもりだ。
セイリューはと言えば、既に集中砲火状態だ。それでも服が殆ど汚れていないのは、的中されていないせいだろう。
素早く動くセイリューに、一般人が狙う気持ちは分からなくはない。
そんな隙をついて、ラキアはセイリューに水鉄砲を放った。
「うわ!?」
「ふふ、油断してるから」
水鉄砲は、決して得意ではないラキアだが、苦手と決めてかかるその驕りが生む油断こそが、勝算だ。
「今度は当たらないぜ!」
事実、ラキアは慣れていないせいで扱いに少し戸惑っているように見えた。
セイリューが、それを見逃すはずもなく、ボールを投げて当てる。
「オレ色に染まるがいい」
「そんなこと言ってると、また当たるよ……ほら」
「!?」
水鉄砲から放たれた色水が、セイリューのシャツを染める。
二度も色水を当てられ、悔しかったのか。セイリューはボールを2つ同時に投げつける。
「うわ……」
「お返しだ」
ローブが少し重い。
ラキアが苦笑いを浮かべていると、セイリューに向けて色水が放物線を描いて飛ばされる。
「うわっ、ちょ、なんだよ!」
すばしっこく動き回るセイリューに、他に参加していた子供たちが面白がって水鉄砲を向けている。
「オレは的じゃないぞ!」
再び一般人から集中攻撃され、色水を跳ね上げながら避けている。
さすがの運動神経だ。
が、多勢ではさすがに避けきれないだろう。
――まあ、いつまでも白いからこうなるんだよね。
セイリューの服に、少しずつ色が増えていく。
セイリューの周囲にはいつも、明るい笑顔が咲く。
●
祭りの会場は、華やかな色に染まった人で溢れている。
染まってはいるが、上から下まで白一色の服を着ている者も少なくはない。
「やっぱりジーンズも白いほうがよかったかな」
ちらりとヴェルトール・ランスがアキ・セイジを見遣ると、セイジは頭を振っている。
「そのコーデ、俺には恥ずかしい」
「だよな。俺も思った」
白いTシャツにジーンズと言う軽装は、ランスの提案だ。
それにしても、とセイジは思う。
ランスなら、おそらく上下共に白でまとめて、全力で楽しみたかったのではないだろうか。
それをセイジが超えやすいようにハードルを下げて譲歩した――のだろうか。
だとすれば、それは……
そこで、ひんやりとした感覚に思考が止まった。
「……あ」
(ま、ただの悪戯坊主かもしれないがっ!)
「隙ありっ」
考え事をしていると、ランスが水鉄砲をセイジに向けて撃った。
ランスの言う通り、隙だらけだったはずだ。見事に身体に当たっている。
「今のはちょっとダメだろっ」
人差し指を立てて窘めるが、まるで効果がない。
「へっへー。ぼーっとしてたら撃ちまくっちゃうぜ」
考え事をしていたことは否定しないが、不意打ちをされるとは思わなかった。
水鉄砲を向けると、ランスは近くの物陰に逃げ込んで隠れる。
「油断大敵、ってな」
ランスが物陰から、水鉄砲を放つ。
「って、タンマタンマ」
浴びせられる色水に、急いでセイジも物陰に隠れる。
物陰から、柱の脇から、色水を飛ばし合う。
しかも二人ともが、かつてないほどの本気だ。
負ければ後のない崖っぷちのデッドオアアライブ。
これまで潜り抜けてきた死線が、こんなところで役に立つとは誰が思うだろうか。
色水の応酬が続き、ランスの形勢が少し悪くなる。
「くっ、弾切れか……!」
「さっきのお返しだ」
撃ち尽くしたランスに、セイジは容赦なく色水で攻撃を仕掛ける。
はっきり言って、この二人は市街戦よりも苛烈だ。
二人に加勢するように一般人まで物陰から撃ち始めるものだから、混戦し過ぎてほとんどが同士討ち状態になっている。
弾切れになったランスにはなぜか追加の武器が支給されている。当然、攻撃の手は止まない。
もはや、歩けば水を跳ね上げるほどに、足元が水浸しになっていた。
色水が一旦止むと、セイジは鬱陶しそうに前髪を上げて髪を束ねた。
「お、その髪型ちょいアダルトくね?」
「え?」
「似合ってるぜ」
納得したようにランスが頷く。
水も滴る――とはよく言ったものだ。
セイジが照れ隠しのようにランスに向けて色水を不意打ちで掛けた。
「あっ、また濡れた」
「今さらだろ。それより、シャワー浴びて帰ろうか」
「えっ……?」
「このまま帰ったら流石に……風邪を引く」
「じゃあ一緒に入ろうぜー」
「え? いや、一人で入るよ」
「えー、なんだよー」
当たり前だろ、と言いながらも、二人揃って笑い合う。
くるくると変わる表情に、胸が高鳴る。
――やっぱ、セイジって綺麗だよな。
●
「文化祭準備中に、クラスの奴ら巻き込んでペンキ飛ばし合ったことあったなー」
水鉄砲を手に、ハルトは昔の悪戯を思い出す。
テオドア・バークリーはハルトの話に少しだけ遠くを見つめた。
「俺主犯は別にいいんだけど、なぜかテオ君まで掃除で残らされてんの!」
そうだ。
なぜかとばっちりを食った。あの時は災難だった。
「今回は止める先生もいねーし、思いっきり遊ぼうぜ!」
ハルトがテオに水鉄砲を渡す。
思わず受け取ったが、はっと我に返る。
「ちょ、こっちは参加するなんて一言も言ってな……っ」
言葉尻は、飛ばされた色水が攫って行った。
「あっぶね……ハル、何するんだよっ!」
辛うじて掠める程度で済んだが、服が汚れてしまった。
「まったくもう……売られた喧嘩は倍にして返さないとね」
「ハハハ、つかまえてごらんなさーい」
ハルトは少し距離を取ると、さっと踵を返して逃げた。
「ハル、ちょこまか逃げるんじゃないっ!」
人の多い場所は、それだけ色水の応酬も頻繁だ。
ハルトはそれを逆手に取った。
「ほーら、これだけ色水が飛び交う場所に逃げ込めばテオ君もそう簡単に近寄れ……」
「……ああ、うん、確かにそう簡単に近寄れなくはなるけど」
……逆手に取った。
「お前めちゃくちゃ被弾しまくってるぞ……」
はずだった。
「ちょ、予想以上にめっちゃ当たる! 駄目だここ! 一時撤退……」
走っただけのはずが、色とりどりに染まってしまったハルトに、テオは水鉄砲を向ける。
「テオ君追い討ちやめてえ!」
ハルトの姿を見ていると、悩んでいることがばからしくなる。
大なり小なりに抱えているものをすべて吹き飛ばす力があった。
自然と笑みが零れ、テオはこの時間を思い切り楽しむことにする。
遠慮がちに牽制をしてハルトを狙えば、お返しにと色水が返ってくる。さらには周囲からも狙われる始末だ。
「冷たっ、ちょ、俺に向けられる水の量!」
一般人は容赦がない。
ハルトに色水を全力で投げつける。当然、近くにいたテオも的にされる。
「ハル、そのまま動かないで」
「え? なん……」
バケツの水がハルトを襲った。
「動くと俺が濡れる」
「今さら!? っていうか俺を盾にするなー!」
逃げるテオを追って人混みを縫う。
契約をしてから、テオはずっと遠慮がちだった。
少しでもそんな気持ちを発散できればと誘ってみたが、思っていた以上にテオが楽しんでいるようで、ハルトは安堵する。
西日が差し始めるころ、祭りの終了を告げる音がする。
「あ、もう終わりなのか……なんだか久しぶりにこれだけ笑った気がするな。」
終了の音に気付き、テオが足を止める。
「ハル、ありがとな、誘ってくれて……結構楽しかったよ」
――まだ二人でこんな風に馬鹿やれるんだ。
「俺たちは昔となーんも変わってねぇだろ?」
「うん?」
「んー、なんでもありませーん」
契約をしてもしなくても、二人の関係が変わったりはしない。
テオには、それを知ってほしかった。
――これからだって変わったりしないんだ。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 真崎 華凪 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 03月23日 |
出発日 | 03月30日 00:00 |
予定納品日 | 04月09日 |
参加者
- アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- 蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
- フィリップ(ヴァイス・シュバルツ)
- テオドア・バークリー(ハルト)
会議室
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2016/03/29-23:55
プラン提出、でーきーたー♪
なお、自分達が避けた後の色水の行方に関し、当方は一切関知しない。
死角からの流れ弾は避ける訓練にイイじゃん?
(ラキア「訓練とか鍛錬から離れようよ」笑)
皆で楽しく過ごそうぜ!
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2016/03/29-23:53
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2016/03/29-23:52
あらためまして、蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
皆様、宜しくお願い致します!
俺達は主に二人で撃ち合うと思うので、皆様との絡みはないかもしれません(プランの文字数に敗北)
どんな色に染まるのか、楽しみです。
良い一時となりますように! -
2016/03/29-20:49
プランは提出できたよ。
水も滴る2人になったと思う。
流れ弾や流れ風船がきても歓迎だよ。
けど、その時は反撃に水鉄砲撃つかもだが、それはそれでご容赦を。
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2016/03/27-01:33
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2016/03/26-16:11
フィリップだ。
色水か…
頑張りたくないけど、まあ気楽にやるか… -
2016/03/26-10:47
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2016/03/26-00:17