プロローグ
ショコランドでは、ウィンクルムの人気が高まっている。
怖いオーガの事件を解決してくれる頼もしい存在。
デートスポットで楽しそうに過ごす美男美女。
そんなウィンクルムは、ショコランドの人々にとって憧れの対象だ。
「そこでですね! ウィンクルムの方をイメージした料理やドリンクを作って、町の祝祭を盛り上げたいな、と考えているんです」
バレンタイン地方のA.R.O.A.支部で、そんな相談を持ちかけてきた男性の小人が一人。
ちょっぴり太めの体型で、とんがり帽子の代わりにコックさんの帽子をかぶっている。彼はショコランドの小さな町の代表でもあり、腕自慢のパティシエでもあるらしい。
「お祭りの売上は、オーガの被害を受けた地域に寄付する予定です。なので協力してくれたウィンクルムの方には代金をお渡しできず、むしろ交通費などでお金がかかってしまうと思われます。その点は、あらかじめご了承していただけたら、と」
ウィンクルムは基本的に料理のデザインを考えるだけで、祭りの間の調理は町の小人達がおこなう予定になっている。料理の腕に自信があれば、調理担当に回っても楽しめそうだ。
祭りの間、企画に参加したウィンクルムは町の中で自由に行動できる。
開催日の天気は晴れ。
料理を作る場所は町のレストランの厨房。
食事の場所は広く、町のいたるところにパラソルつきのテーブルが設置され、そこで座って食べられる。
祝祭に協力したウィンクルムは料理が食べ放題。他の参加者の料理も無償で手に入る。
ウィンクルム同士で交流するもよし。
二人きりの時間を過ごすのもよし。
ショコランドの小人や妖精が大勢集まる賑やかなフェスティバルになりそうだ。
解説
・必須費用
参加費:1組300jr
・スキルについて
料理系スキルを持っていなくても、ショコランドの小人達が調理を担当するので、エピソードの参加に支障はありません。
・料理について
神人や精霊の特徴やイメージにあった食べ物やドリンクをデザインし、プランに記載してください。
神人と精霊でコラボして、1組で1品にするのもありですよ!
甘いものだけでなく、普通の食事や飲み物もOKです。
必要な調理器具や食材は、町のレストランにそろっています。
・デートコーデの小ネタ
連合軍制服「青の旅団」
金時計「グローリア」
手袋「ロイヤル・レット」
手袋「ロイヤル・チェック」
エンシェントクラウン
など、バレンタイン地方での功績を示すアイテムをPCが装備していると、NPCから敬意を払われます。
直接的な利益は特にありません。
ゲームマスターより
山内ヤトです!
神人や精霊のイメージにあった料理を考案して、ショコランドの祝祭で販売します。ハピネスなので、ジェールを消費します。ご注意くださいね!
『ゆるふぇす! in 阿佐ヶ谷アニメストリート』の「ライ・パッション」や「ショッキング・シェリアン」「クール・デ・ゼノン」のような感じです。
https://lovetimate.com/event/yurufes2015_top.html
リザルトノベル
◆アクション・プラン
アリシエンテ(エスト)
ウィンクルムの方をイメージした料理やドリンク!? ──良い事を思いついたわっ。自分とエストでそれぞれお互いをイメージしたものをデザインして、食べる時の交換するの! 名案だわ、レッツゴー! 【EST】 苦めのビターチョコレートのスポンジの中に、一見ではとても分からない甘さの生チョコレートを挟んで 上表面にだけ波打つ様にチョコレートを塗って、フォークを入れた際にパリッとした感覚を出させて、その上に小さくお洒落なチョコプレートと同じく小さなミントをアクセントに 完成っ! エストが甘いところを食べているのを見たことが無いもの だからこの位の苦味と風味が丁度良いと思ってみたわっ 二皿注文してあるの! 一緒に食べましょうっ? |
水田 茉莉花(八月一日 智)
ほづみさん、このチョコペンで顔に落書きしたら もっと人集めできそうですよー(黒い微笑) 全く、食い意地が張ってるんだから 儲けはないけど食べ放題って聞いた途端に張り切っちゃって 【でも前ほどは怒れないかな、あたしを気遣ってくれてるみたいだし、これでも】 んで、何を作るんです、ほづみさん? 二種パスタの合わせ盛り…ってこと? ま、まあ…髪の毛イカ墨色って…誉められてるのかわかんない表現(たふり) あでも、色だけじゃなんか特徴でない気がする カルボナーラの方は、歯車みたいなパスタを使ってみません? えっ、あれあれ?今なんかサラッとほめ言葉らしきもの言ったぁ? (赤面しつつ調理の手伝い) できた料理は少しずつ味見したいな |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
イメージドリンク:爽かなひと時 オレンジペコの茶葉+ミントで見た目は紅茶、飲むとミントの爽快感が加わってスッキリと気分転換が出来る。頭の中をクールダウンしたり少し違う視点を取り戻したい時にお薦め。 カップも爽やかなイメージで上は青空をイメージした空色~生い茂る新緑をイメージした緑色へと変化したものを。 味はシンプルに。どんなお菓子にでも合わせられるスタンダードな味。 イメージお菓子・飲み物を考えてみましたけど、色々と難しいですね。 売り上げをオーガ被害地域への支援に廻すと聞いたので、どうしても参加したかったんです。少しでもお役に立ちたくて。 出品されたお菓子も頂きます。 皆さんの素敵なアイデアに感心です。 |
かのん(朽葉)
朽葉おじ様からお出かけに誘われるとは思っていませんでした バレンタインのお返しだと聞き そんな気を使って頂かなくても良いんですよと苦笑 イメージ料理ですか… 何か思いついた様子で楽しげにメモを書き調理担当の所へ持って行く 朽葉イメージ スパイシーホットチョコ(ホイップクリームの髭と眉付き) シナモン、クローブ、カルダモン、ジンジャー等スパイスを利かせた甘さ控えめのホットドリンク おじ様優しい方ですけど以外と容赦ないとこありますし (依頼で教団員捕縛の際、魔本の背表紙の角で頭叩いたり(ダメージの多少に関わらずあれは痛そうでした)) 朽葉のイメージの説明聞き嬉しそうに笑う 折角ですから他の皆さんのも拝見してきませんか? |
ルイーゼ・ラーシェリマ(オリヴァー・エリッド)
イメージ料理なんて面白そう! でも料理してくれるのは小人さんで本当によかったわ… お互いをイメージも楽しそうだけど… ね、二人で一つにしてみない? 折角だしお菓子かしら 私達といえば…、新米という事でお米を使ったケーキとか? 三段くらい重ねて色を目とか髪の色に近いものにして雰囲気だせたらなって うんうん、完成が楽しみね! んー… 食べた時に内面もわかるようなものができたらって思ったけど、今はまだ難しそうで 例えると、うーん…、オリヴァーくんなら甘い紅茶系とか…?(疑問系 そんな感じで、個人で作るなら自信を持ってこれ!っていうものが作りたくて もっとお互いの事、知り合えたらいいわね 折角機会があって巡りあえたのだもの |
●薔薇と青空のジェラート ホイップつきスパイシーホットチョコ
『かのん』と『朽葉』は、ショコランドのお祭りを手伝いに出かけた。
「朽葉おじ様からお出かけに誘われるとは思っていませんでした」
朽葉は飄々とした口調で応える。
「なに、バレンタインにチョコを貰ったからの、そのお返しじゃ」
「バレンタインのお返しだったのですか。朽葉おじ様、そんな気を使って頂かなくても良いんですよ」
かのんが柔らかく苦笑する。
「貰いっぱなしだと彼奴に知られたら何を言われるかわからんしの」
彼奴とは、天藍のことである。
「イメージ料理ですか……」
かのんはどんなものが良いかと考えこんだ。
ウィンクルムのイメージ料理を考案すること。それが手伝いの内容だ。
「……あ!」
何か良いアイディアが浮かんだようだ。かのんは楽しげな様子でスラスラと紙にメモを書き、調理担当の小人に見せにいく。
「ホットドリンクの案ができましたよ」
「これはこれは、かのんさま! どんなデザインか楽しみです!」
かのんの金時計「グローリア」。かつてショコランドのために戦った証だ。小人達はその恩を忘れていない。戦いに参加してくれたウィンクルムには、特別な敬意を払っている。
かのんは朽葉をイメージした飲み物を提案する。シナモン、クローブ、カルダモン、ジンジャーの四種類のスパイスをきかせた甘さ控えめのホットチョコレート。ホイップクリームで、朽葉のトレードマークの髭と眉をつける。
「スパイシーなんですね」
小人の言葉に、かのんは楽しげに微笑む。
「ええ。おじ様優しい方ですけど以外と容赦ないとこありますし」
以前、教団員を捕縛する依頼を請けた時、トリックスターの朽葉は本の背表紙の角で頭を叩いたりした。
(ダメージの多少に関わらずあれは痛そうでした)
本の角アタック……たしかに容赦ない。
小人達からかのんが敬意を払われている。その様子を見て、朽葉も昨年の戦いに参加したかのんと天藍に敬意を表そうと思いついた。かのんと天藍の二人をイメージしたお菓子のデザインにとりかかる。
(そうじゃな……)
かのんというと、薔薇の花が思い浮かんだ。まずは薔薇の飴細工。
天藍は、ある国では空色の意味だ。そこから朽葉は空を連想する。ソーダ風味のジェラートと綿菓子の白い雲。
ジェラートと綿菓子でできた青空が、薔薇の飴細工を守るように包んでいる。そんなイメージのデザートが思い浮かんだ。
「我が良く知るウィンクルムのイメージじゃな」
調理担当の小人にデザインを伝える。その場には、かのんもいた。
「我と契約する前から天藍はかのんを守り支えておったのじゃろ? かのんは良き縁に恵まれたの」
「ふふ、朽葉おじ様……。ありがとうございます。嬉しいです」
朽葉からデザートの詳しい説明を聞いて、かのんは嬉しそうに笑う。
空と薔薇という組み合わせは、かのんの心にとってもしっくりきたようだ。かのんの目下の目標は、晴れ渡った深い空色の薔薇を咲かせる事だ。このデザートを食べたら、空色の薔薇を咲かせるという目標に一歩近づけるような気がした。
嬉しそうなかのんを見て、朽葉の目元も優しく下がる。だが……。
(……天藍には絶対に話すつもりはないが)
天藍に対しては、意図的にお邪魔虫のポジションをとっている朽葉。これぐらいの障害が立ちふさがっていた方が、かえって二人の絆が深まるだろうという考えだからだ。
「折角ですから他の皆さんのも拝見してきませんか?」
照れ隠しのように、他の参加者の料理を見にいこうと誘うかのん。
「そう急かすでない。大丈夫じゃよ、料理は逃げたりせん」
朽葉はまるで愛娘を見守る父親のような優しい笑みを向ける。
●二種のパスタ イカスミのカッペリーニとカルボナーラのルオータ
「オッシャアアア! タダ飯! 喰い放題! 料理作りウヒャッホウ!」
ものすごくテンションが上がっている『八月一日 智』に、『水田 茉莉花』は黒い微笑を浮かべて静かに近づく。
「ほづみさん、このチョコペンで顔に落書きしたらもっと人集めできそうですよー」
落書きチョコペン&筆を手にしてニヤリ。
「……あ、ヤメテヤメテみずたまり、暴力反対、タァスケテェ小人さぁん!」
智が助けを求めた小人達は、ほんわか微笑ましい顔で二人のやりとりを見守るばかり。
「全く、食い意地が張ってるんだから。儲けはないけど食べ放題って聞いた途端に張り切っちゃって」
だけど、以前のように怒る気持ちにはなれない。
(だって、ほづみさん。あたしを気遣ってくれてるみたいだし、これでも)
「ウッウーン。とまれ、アイディア出しと調理は任せろ! 盛り付けはあんま上手くねぇから小人さん頼んだ」
「ははーっ! 智さま、かしこまりました」
レストランの小人は深々と頭を下げた。茉莉花が手袋「ロイヤル・レット」と金時計「グローリア」を身に着けていたので、対応が丁重だ。
「んで、何を作るんです、ほづみさん?」
「やっぱメニューはパスタ」
パスタは智の定番メニューだ。自分と馴染みの深い食材を使うのも、ウィンクルムらしい料理を作るというこのイベントの趣旨に沿っている。
智はさらに料理の説明を続ける。
「おれがカルボナーラでみずたまりが……イカスミか?」
茉莉花の濃い青色のロングヘアーを智がしげしげと観察する。
「ホラ、みずたまりの髪の毛って、見ように寄っちゃ黒く見えんじゃん」
「二種パスタの合わせ盛り……ってこと? ま、まあ……髪の毛イカ墨色って……誉められてるのかわかんない表現」
智に悪気はなさそうだが、その微妙な例えには、ちょっと困惑気味にため息をつく茉莉花。
「あでも、色だけじゃなんか特徴でない気がする」
茉莉花がそんな指摘をした。
「ウーン。そう言われてみると、色だけってのはちょっとおれらの個性の表現として、パンチが薄いかもなー」
腕組みをして考え込む智に、ここで茉莉花からのアイディア。
「カルボナーラの方は、歯車みたいなパスタを使ってみません?」
「フムー、カルボはルオータか、マキナみたいでいいなそれ」
ルオータはパスタの種類の一つで、車輪の形をしている。機械のような耳をしたマキナのイメージとも重なる。
「ナイスアイディアじゃん、みずたまり! んで、イカスミはカッペリーニ、綺麗な髪の毛の表現な!」
カッペリーニは、細長いパスタの中でも非常に細い種類だ。名前の由来からして、美しい髪と関係している。
「そこに、今してるヘアピンみたく棒唐辛子を二本乗せるといんじゃね?」
具体的なデザインと食材をテキパキと決めていく智。
一方、茉莉花は話の中で智がサラリと言い放った言葉が気になって、つい動揺してしまった。
(えっ、あれあれ? 今なんかサラッとほめ言葉らしきもの言ったぁ?)
智は時々茉莉花のことを「デカ」なんて、デリカシーのない呼び方をする。そんな智の口から出てきた自然な褒め言葉に、茉莉花は頬が紅潮していくのを感じた。
「おっしゃ、そうと決まれば調理開始開始!」
まだ赤面しつつ、茉莉花は調理を手伝った。
料理上手な智は手際良く働き、茉莉花も気のきいたアシストをする。
「じゃじゃーん! イカスミとカルボナーラの二種のパスタ完成だ!」
細かな盛り付けは小人が担当。茉莉花のヘアピンを再現した棒唐辛子も、ぴったりの位置に配置。
「他にも色んな料理があるそうなので、この後で少しずつ味見したいですね」
「おれは全メニュー制覇を目指すぜ!」
●アールグレイティー ビターチョコケーキ
「ウィンクルムの方をイメージした料理やドリンク!?」
『アリシエンテ』は瞳を輝かせて興味を示した。
そばに控えている『エスト』に振り返り、アリシエンテは楽しげな笑みを浮かべる。
「──良い事を思いついたわっ。自分とエストでそれぞれお互いをイメージしたものをデザインして、食べる時に交換するの! 名案だわ、レッツゴー!」
意気揚々と繰り出す。
町のレストランのバックヤード。アリシエンテとエストは、ここでお互いをイメージした料理のデザインを考える。
アリシエンテは、作るデザートの具体的な構想が順調に固まってきている。
エストの方はというと、アイディアを出すのに難航しているようだ。
(困りました)
テーブルの上にある紙には、まだ図も文字も書かれていない。考えあぐねて、エストはアリシエンテに視線を向ける。それでも名案は出てこない。
(アリシエンテをイメージした料理や菓子など、もはや絶望的なまでに辛い【タバスコ使用品目】しか出せません)
日常生活では明るく天真爛漫な面を見せるアリシエンテ。だが戦場での彼女をよく知るエストだからこそ、どうしても激辛な印象が拭えずにいた。オーガとの戦いではアリシエンテは過激で冷徹だ。
お祭りの料理は別に甘いものでなくても良いという話だが、アリシエンテ本人に激辛タバスコ料理を披露するわけにもいかない。しかも、その後それを食べるのだ。ちゃんとしたものを出したい。
(改めて、私には何かを創造するには向いていないようです)
人間誰しも、向き不向きがあるものだ。小さくため息をついて肩を落とすエスト。
「♪~」
悩んでいるエストとは対照的に、アリシエンテは着々と料理のデザインを決めていく。
(エストをイメージして、と……。基本的にはビターチョコケーキねっ。それから細かい部分は、こんな感じでこだわっていきたいわ!)
ケーキのスポンジ部分は、苦めのビターチョコレート味。そのスポンジの中には、一見ではとてもわからない甘さの生チョコレートを挟む。
ケーキの上表面は波打つようにチョコレートを塗りコーティング。
(フォークを入れた時にパリッとした感覚が出せるように、レストランの調理担当に伝えておきましょう)
最後の仕上げ。ケーキの上に小さくおしゃれなチョコプレートとミントをアクセントに置く。
「完成っ!」
図案を厨房に持っていく前に、アリシエンテはまずエストにそれを見せる。こだわりの点や美味しさのポイントを説明していく。
「エストが甘いところを食べているのを見たことが無いもの。だからこの位の苦味と風味が丁度良いと思ってみたわっ」
「そう……ですか」
エストは驚きのせいで、かえって控えめなリアクションしかできなかった。
アリシエンテは調理担当の小人にチョコケーキの図案を見せに席を立った。
(アリシエンテ側も、まともな物を出してくる訳が無いと思っていたら……きちんと形を成しています。驚きました)
だったらなおさら、そんなアリシエンテに激辛タバスコ料理などをお出しするわけにいかなくなった。
エスト、ピンチ。
「二皿注文してあるの! 一緒に食べましょうっ?」
戻ってきたアリシエンテがそう告げた。
(私のための分も、用意してくれたのですか……)
その優しさに応えたい。
(……こういう時こそ、原点に戻りましょう)
アリシエンテの意識がそれている隙に、こっそりと小人に声をかけた。
「……チョコレートと、とても合うと言われているアールグレイティー、突発ですが準備出来ますか?」
エストは、紅茶やコーヒーの基礎教養を持っている。
ベルガモットの香りの紅茶。アリシエンテに相応しい。
●爽かなひと時 緑の騎士
「イメージお菓子と飲み物を考えてみましたけど、色々と難しいですね」
二つ分の資料を手に『瀬谷 瑞希』が謙遜した。
「そうかな? 俺はよくできていると思うよ」
『フェルン・ミュラー』の言葉はお世辞ではない。
ドリンク、爽かなひと時。
オレンジペコの茶葉にミントを加えて、見た目は紅茶で飲むとミントの爽快感でスッキリできるドリンクだ。気分転換や、頭の中をクールダウンして少し違う視点を取り戻したい時にお薦めの一品。
考え事が好きな瑞希らしさも表現されている。
ミントのサッパリ感はあるが、シンプルでスタンダードな味なので、どんなお菓子にも合わせやすいはずだ。
ドリンクを提供するカップにも凝っていて、上部分の青空のような空色から下方向の新緑へとグラデーションがかかっているものを使いたい。
フェルンをイメージした緑の騎士。
これは淡いメントール味の薄緑色のアイスと白いバニラアイスをマーブル状に混ぜ、ワッフルコーンに丸く形成して入れたものだ。
フェルンはロイヤルナイトだ。
ワッフルコーンはロイヤルナイトの堅固な護りの力を表し、さらにそこにキャンディアックスを模した飴をスプーンとして添える。
この二つは、どちらも瑞希が考えた。
「売り上げをオーガ被害地域への支援に廻すと聞いたので、どうしても参加したかったんです。少しでもお役に立ちたくて」
オーガの被害を受けた地域への支援。それが瑞希の参加理由だ。
「もっと力になれることがないか、町の人に相談してみます」
力。この場合は、寄付金のことだ。
エンシェントクラウンをつけた瑞希と連合軍制服「青の旅団」を着たフェルンを小人達は恭しく迎える。
大事な話がしたいと告げれば、この町の最高責任者が応対した。簡単に事情を説明してから、寄付金の話を切り出す。
「被害地域へ寄付が出来るなら私からもしたいんです。寄付金は……このぐらいを考えています」
瑞希が提示した額は個人の寄付にしては多い。それだけ重い気持ちが込められているのだろうが、小人達はビックリしたようだ。
「敵を追い払って終わり、ではない。被害地区の住民生活が元に戻るのが大切だ」
フェルンの言葉に頷きつつも、小人はこう返事をする。
「ありがたいお話です。ただ……余計なお世話かもしれませんが、このようにも感じました。起きた出来事に対し、瑞希さま一人で責任を背負い込みすぎているのではないかと」
瑞希が気にかけているあの村は、オーガとマントゥール教団の被害を受けた。作戦遂行の中でパーフェクトにいかない部分もあった。が、別に瑞希が村に被害を与えたというわけではない。
小人は、瑞希の考えたドリンクとアイスに目を留めた。
「こんなに素敵な料理を考えてくれたのですね。お祭りの売上で充分、提示された寄付金額に達するかと思います。ええと……お金がどうこうというよりは、心配なのです」
完璧ではない結果が出た時に、それを一人の力で挽回しようとするのは、立派でもあるが同時に危険でもある。と言いたいらしい。要するに瑞希一人で頑張りすぎ、気負いすぎではないかということだ。
「差し出がましいことを言って申し訳ありません」
「どうするミズキ?」
「一人で背負いすぎ、ですか」
ジェールの重みでずっしりとした財布に視線を落とす。
「では、個人的な寄付としてこれだけ払うのはどうでしょう? 私のことを心配してくれるのなら、寄付をしたいという私の意志も尊重してくれませんか?」
最初の金額から減額したジェールを寄付することで、話は落ち着いた。
「はい、たしかに受け取りました。お祭りの売上と合わせて、オーガの被害を受けた地域にお届けします」
●新米ウィンクルムの三段ライスケーキ
「イメージ料理なんて面白そう!」
『ルイーゼ・ラーシェリマ』は素直に喜びの感情を見せた後、ちょっと自信のない声で小さくつぶやいた。
「でも料理してくれるのは小人さんで本当によかったわ……」
ルイーゼのホッとした様子から『オリヴァー・エリッド』は、彼女は料理があまり得意ではないのだと悟る。
「どんな料理が並ぶのか楽しみです」
優しいオリヴァーは、気づいたことを指摘せずに受け流してあげた。
「お互いをイメージも楽しそうだけど……ね、二人で一つにしてみない?」
オリヴァーからは特に異論はない。
「そうしましょうか」
「良かった! それじゃあ、そうね……折角だしお菓子かしら」
「ショコランドらしいですね」
オリヴァーも賛同する。
「私達といえば……、新米という事でお米を使ったケーキとか?」
「……お米のケーキ? そういうものがあるんですか?」
「あ。ライスケーキって同じ名前でも、違うものを指してるのね……」
華やかなちらし寿司のようなもの。
お餅やお煎餅など、米を素材にした食品。
それからパフ状のお米をお煎餅状にまとめたものも、ライスケーキと呼ばれている。
「甘いデザートを作りたいから、ここではパフのライスケーキを使うわね」
オリヴァーもお菓子のイメージをつかめたようで、うんうんと頷いている。
「なるほど。丸い形をした、ヘルシーなお米のスナックといった感じですね?」
お互い意見を出し合って、和気藹々とした空気で相談を続ける。
「三段くらい重ねて、挟んだものの色を目とか髪の色に近くして、雰囲気をだせたらなって」
ルイーゼとオリヴァーはお互いの顔をじっと眺めた。
「オリヴァーくんの金色の目は、オレンジみたいね」
「ルイーゼさんは空色の瞳ですね。うーん、青い食材となると限られてきます。……ブルーベリーなんてどうでしょう?」
そして微妙な色合いの違いはあるものの、二人共綺麗な銀髪だ。これはミルクで表現することにした。
「ブルーベリー、オレンジ、ミルクの三段重ね。色彩が映えるように盛りつましょう。うんうん、完成が楽しみね!」
「あ、ちょっと待ってください」
デザインの案を小人へ持っていこうとするルイーゼをオリヴァーが引き止めた。
「猫耳の形をしたチョコレートをケーキの一番上に乗せてもらいましょう」
猫耳の付いた黒いキャスケットは、最近のルイーゼのお気に入りだ。ルイーゼを見た時に、真っ先に目につくトレードマークにもなっている。
「ふふ。名案ね、オリヴァーくん」
ルイーゼは嬉しそうに微笑んだ。
「そういえば二人で一つにしたのはなぜです? 最初は別々にしようとも考えていたみたいでしたが」
「んー……。食べた時に内面もわかるようなものができたらって思ったけど、今はまだ難しそうで」
ルイーゼの答えは、抽象的でふわふわしている。でも彼女が、一生懸命に考えを伝えようとしているのはわかった。
「例えると、うーん……、オリヴァーくんなら甘い紅茶系とか……?」
「甘い紅茶……?」
オリヴァーも首を傾げる。が、言いたいことは漠然と感じ取れた。
「俺が今ルイーゼさんをイメージした料理案を上げるとすると、炭酸系になりそうなのと同じような事でしょうか」
「うん。きっとそんな感じだと思う」
ルイーゼは炭酸系で、オリヴァーは紅茶系。どちらもパッと見た容姿からイメージされたものだ。
「個人で作るなら自信を持ってこれ! っていうものが作りたくて」
でも、まだ内面までは深くわからない。知り合ってから、あまり時間が経っていないのでそれは仕方がない。
「もっとお互いの事、知り合えたらいいわね。折角機会があって巡りあえたのだもの」
●食べ放題タイム
フェスティバル会場はワイワイと賑やかだ。
かのんと朽葉は、自分達以外のウィンクルムの料理を見物して回っている。
「ほほう、イカスミか」
「ルオータがマキナの耳というのも、面白い工夫ですよね」
二種類のパスタの美味しさに舌鼓を打つ。
「いっただっきまーす♪」
アイス緑の騎士を智が元気よく口にする。キャンディアックスのスプーンを使い、もりもり食べる。
「食べ過ぎてお腹を壊さないでくださいね、ほづみさん」
茉莉花の手には爽かなひと時のカップ。
アリシエンテとエストは、チョコケーキとアールグレイを食べ終えたところだ。
「改めて、貴方と同じテーブルにつける事を光栄に思います」
「皆さんの素敵なアイディアに感心です」
スパイシーホットチョコのデコレーションを見て、瑞希が感想を述べる。
「仙人みたいなホイップクリームが可愛いです」
少しずつ明るさを取り戻していく瑞希。フェルンの気持ちも、薔薇と青空のジェラートのように晴れていく。
ライスケーキを食べながら、ルイーゼとオリヴァーは穏やかに微笑み合う。
「次の機会がある時にはもっといいものができそうですね」
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
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---|---|
マスター | 山内ヤト |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 03月07日 |
出発日 | 03月13日 00:00 |
予定納品日 | 03月23日 |
参加者
- アリシエンテ(エスト)
- 水田 茉莉花(八月一日 智)
- 瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
- かのん(朽葉)
- ルイーゼ・ラーシェリマ(オリヴァー・エリッド)
会議室
-
2016/03/12-23:56
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはファータのフェルンさんです。
皆さんのイメージ料理、とても楽しみです。
素敵な時間をすごせますように。 -
2016/03/12-22:18
-
2016/03/12-18:40
こんばんは。
私はルイーゼ。どうぞよろしくね。
調理は小人さんがしてくれるのはとっても有り難いわね。
どんなイメージ料理が並ぶのか、今から楽しみだわ。
-
2016/03/12-02:11
-
2016/03/12-02:11
イメージ料理……楽しそうねっ。
こちらは、お互いをイメージした料理の交換をし合おうと思っているのっ。
楽しみっ!
それではどうか、宜しくお願いするわねっ! -
2016/03/12-00:21
智
え、儲けんのと違うの?足が出る?そんなぁ!
・・・あっ、でも、タダ飯が喰える、やったぁ!
(後ろでハリセンをスイングしてる神人・茉莉花に気づかず。) -
2016/03/12-00:17
-
2016/03/10-20:36
-
2016/03/10-20:35
こんにちは、朽葉おじ様と参加しましたかのんです
神人さんや精霊さん、ウィンクルムをイメージした料理ということで、どのようなお料理が並ぶのかとても楽しみです