プロローグ
女神ジェンマ様の力でフラーム神殿に降り注いだ『祝福の金平糖』は、ウィンクルムが口に含むと愛の力が上昇するという。
先ほどまでだるそうな表情をしていたにも関わらず、ころっと表情を変え笑顔のままに少女は話す。
「祝福の金平糖を、集めちゃいましょう~~☆」
フラーム神殿の周りには、かなりの数の金平糖が落ちている。フラーム神殿全域でこれほどの多さの金平糖が降り積もっているかはわからないが、少なくともこの辺りは多くの金平糖が集結しているようだ。
少女は、集まったウィンクルム一組の手を引き、笑顔で背中をぽんと押す。
すると、よろめいたウィンクルム達の足元から、蜘蛛の巣のように編まれた縄の罠が飛び出す。縄は瞬く間に二人を絡め捕り、二人はミノムシのようにぶらりと木の枝からぶら下がった。
どよめくウィンクルム達に、少女は笑顔から表情を一変させ、だるそうに言い放つ。
「はぁ~~……。これからあたしが鬼ごっこ……オーガごっこ? みたいにあんた達をこの罠が張り巡らされた森のなかで追いかけまわすからさ、ちゃんと逃げ切って多く金平糖を集めてよね」
その力強い瞳で見据えたウィンクルムを捕まえては、落とし穴に落としたり、簡易的な足枷を嵌めたりと、やりたい放題に拘束してゆく。
次第にウィンクルム達は自分達のやるべき事を理解し、金平糖を集めるために――そして少女から逃げるために、わっと駆け出した。
「走るのは面倒だからあまりしたくないんだけど……というか、もう有酸素運動自体あまりしたくないんだけど、今回はまぁ、事態が事態だししょうがないよね」
捕えられてじたばたとしているウィンクルムの様子が、どこかおかしい。神人はそれほど症状が重いようには見えないが、精霊の方は重度な症状が出ている。
――この症状は『怨嗟の金平糖』を食べてしまった者に出る症状だ。
神人は一定時間で正気に戻るだろうが、精霊に関してはこのまま放置していては非常に危険な状態になってしまうことだろう。
精霊のこの症状を治すには、神人の力を借りる必要がある。
「ここで寝て置いてもらうのはいいんだけど、やっぱり『怨嗟の金平糖』をウィンクルムに食べさせている輩をひっ捕らえる必要があるよね」
少女は、森の中に鋭い視線を向けながら、拳を握る。
すると、背後から黒いフードをかぶった男が飛び出し、黒ずんだ金平糖を少女の口に入れようと飛び掛かってきた。
しかし、少女はその攻撃を避け――クロスカウンターで上段蹴りを繰り出した。その一撃はフードをかぶった男の側頭部に直撃し、よろめいたところに少女はもう一度回し蹴りをぶつける。
フードの男は倒れ、怨嗟の金平糖は男の手からすべり落ちた。
「……まったく、不審者にしてもタチが悪いっつーの」
少女は怨嗟の金平糖を拾い上げて回収し、森の中へと逃げて行ったウィンクルム達を追いかけるのだった。
解説
・今回は、『祝福の金平糖』を集めつつ、現れるマントゥール教団の人間をどうにかして退け、『怨嗟の金平糖』を奪うエピソードです。
・少女は、何とかしてウィンクルムにマントゥール教団の魔の手が届かないように、ひいては接触しないように頑張っていますが、みなさんは必ずマントゥール教団の存在に気が付いてしまい、『怨嗟の金平糖』を集めるように行動します。
・森の中には少女が対マントゥール教団用に用意した、罠が張り巡らされているので、肉弾戦でぶっ倒しちゃってもいいですが、罠を活用して『怨嗟の金平糖』を奪うのが効率的で良さそうですね。
※マントゥール教団の人間は、わりと多く出現します。
・奪った『怨嗟の金平糖』は、神人が触れることで『祝福の金平糖』に戻るので、奪った『怨嗟の金平糖』は、『祝福の金平糖』に戻してしまいましょう。
また、万が一精霊が『怨嗟の金平糖』を食べてしまった場合、神人が強く元に戻ってと願いながら唇に口づけすることで、元に戻ります。
神人が食べてしまった場合は、熱にうなされるようにぐったりとしますが、一定時間経つと元に戻ります。
・あまりにも『祝福の金平糖』を集めないで、ずーっといちゃいちゃしていると、少女に目撃されてしまうので、気を付けましょう。
・武器の持ち込みは出来ません。マントゥール教団の人間は、殺さないであげてください。あまり惨いことはしないであげてほしいですが、殺さなければいいです。
・『フラーム神殿』にて、お賽銭を投げたので、300jrいただきます。
ゲームマスターより
おはこんばんにちは!
挨拶が初期から迷走し続け、いまだに決まっていない東雲柚葉です!
甘くておいしいそうなので、祝福の金平糖食べてみたいですね~!
でも、もう過ぎちゃってますが、まだチョコレートの季節ですかね~?
私は、バレンタインデーの次の日に大体スーパーでやってくれるチョコレート安売りを狙って、
チョコレートを大人買いする勢なので、バレンタインデー様々ですね!
では、お待ちしておりますので、どうぞご参加ください!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
◆状態 任務なので俄然ヤルキ 自分達の楽しみは全てが終わった後でいい ◆行動 説明に頷くと花粉症対策に持ってきていたマスクをランスに渡す 怨嗟の金平糖を口に放り込まれないようにな 俺も予備をつける ランスと組んで捜索 罠の位置を確認 罠に追い込むか、逃げる形で罠に誘い込むかして、教団員を捕縛したい 「金平糖を渡すなら開放してやってもいいぞ」 そっと触れて祝福に変え… 教団員の口に祝福をポイ 「あんまり悪さするなよな」 肉弾戦になった場合はランスが前(いつもと逆だな:笑 横合いからタックルして倒そう ★ できるだけ沢山の怨嗟を祝福に変えたい! 全部終わったら一粒ずつ食べたい(幸せな気持ちに ランスには秘密のご褒美をあげるよ(ぽふぽふ |
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
少女の設置した罠を偽装レベル4で見破り、回避する。 オレ達が罠にかかっている場合じゃないし。 教団の人間をその罠にかけて捕縛する。 鬼ごっこは得意(ハンティング4)だ。 敵がうろうろしてちゃ落ち着かない。 手早く敵を罠で沈めよう。 「さあ、狩りの時間だ!」 ある程度ビビらせた方が奴らも調子に乗らなくていいだろ。 緊張感あってオレも楽しい。 向かってくる敵は扇やステッキを使い格闘に持ち込む。 体動かすのは得意だぜ。 ちゃんと金平糖も捜すぜ。 先にオレが金平糖を触り、怨嗟→祝福へと変化させる。 光っている金平糖だけチラッとつまみ食い。 だってウマそうだし。甘えるラキア可愛いし。 「ラキア、あーん」と食べさせたい。 ウマい。 |
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
兎に角、逃げ切って祝福の金平糖を集めればいいんだよな 手分けしてお互い集中すれば効率が良いだろう フィン、俺が金平糖探しに集中するから、あの女の子と罠の警戒を頼む 木の枝の上、茂みの中…隈なく探す 見つけた金平糖は持参した黒猫バスケットへ 怪しげな男達は、少女の罠を活用して捕まえよう 金平糖を一粒でも多く回収したい 俺が金平糖探しに集中しているフリをして誘き寄せ、寄って来た所をフィンと協力し、フィンが見つけた罠へ嵌めていこう 回収した金平糖は、直ぐに触って元に戻す 罠に嵌めた位置はフィンのメモ帳に控え、後でA.R.O.A.に男達を回収して貰おう …フィン恥ずかしい事言うな もし怨嗟の金平糖をフィンが食べたら願いキス |
咲祈(サフィニア)
手を? 分かった はぐれないように? …止めてくれないか。完全に子供扱いじゃないか あれ、前にも同じこと言った覚えがある、というか何度も交わしたおぼえ、ああすまない。行こうか あ…教団員来たよサフィニア 出ない方が良いだろう。待ってたら勝手に嵌るから、罠に ほらかかった。『待ってたら勝手にかかってくれるよ作戦』、だ ……。なんだい、放っといてくれ …同じ森にいるんだから、どこをどうやっても出会うさ こういう展開、なんだろう…わくわくするよ とか言いつつ前に進む …禍々し、…え? これがあのとげとげ(金平糖)? …とげとげ? とげとげなのかいこれ? 本当にあのとげとげ? 不思議に思いながらも拾い上げる …あ、とげとげだった |
シムレス(ロックリーン)
精霊の後ろに付き後方警戒 怨嗟対策 精霊共ハンカチを三角マスク使用 口に入るの断固回避 返事 何とかするだろ 無いんだろ 楽しんでるんだろ 被り物で防ぐと言っても妙な光景なので彼の人間性に不安 応戦 コートでいなして回避 温厚そうな精霊の変貌に目を見張る 戦う覚悟は持っているという事か… 会ったばかりの俺でも守るのか 赤といいこの白といい中々に興味深い(猫頭見つめ ひと段落 おもむろに鼻ポチ≪にゃんでやねん≫ ポチ≪にゃ≫ポチ≪にゃ≫ポチ≪にゃんでやねん≫ この異常な状況下で響くからふつふつ笑いがこみ上げるが表情追いつかず微妙な顔になる 持参篭にしっかり回収浄化した祝福の金平糖は途中の燃料補給に精霊と食べる ウィンクルム、悪くない… |
☆咲祈 サフィニア ペア☆
森の中に入っていった咲祈とサフィニアは、駆けながら思考を巡らせていた。
この辺り周辺に散らばっている『祝福の金平糖』が、悪しき者の手に触れられてしまった場合、『怨嗟の金平糖』になるという。恐らく、少女が捕まえたウィンクルム達は、『怨嗟の金平糖』を口にしてしまっていたのだろう。
それも何者かが姦計を巡らせ、故意にウィンクルムへ与えたものだと考えられる。
咲祈とサフィニアは円転滑脱として素早くマスクを着用し、辺りを警戒。
「咲祈、手繋ごうか」
サフィニアの真剣な口調に、咲祈は「手を? 分かった」とすんなり出された手を握り、森を見渡す。
「……はぐれないように」
「はぐれないように? ……止めてくれないか。完全に子供扱いじゃないか」
子供扱いされたことにむっとしながらも、咲祈はサフィニアと繋いだ手を解くことなく歩を進める。
「あれ、前にも同じこと言った覚えがある、というか何度も交わしたおぼえが……」
咲祈は、脳裏でサフィニアと交わしたやりとりを反芻しながら、ぶつぶつと呟く。
「なにぶつぶつ言ってんの、ほら行くよ」
そんな咲祈の様子を横目で確認した後、サフィニアはぐいっ、と咲祈の手を引いて茂みから身を現した。続いて、咲祈も半ば引っ張られるようにして茂みから出る。
「ああすまない。行こうか」
しばし森の中を闊歩していると、木々の奥から怪しげな雰囲気をした男の姿が現れた。
「あ……教団員来たよサフィニア」
「本当に居た。咲祈どうしよっか?」
「出ない方が良いだろう。待ってたら勝手に嵌るから、罠に」
この森には、先程の少女が仕掛けた罠が所狭しと敷き詰められている。咲祈に促され、サフィニアが教団員を見やると、教団員の眼前に罠が仕掛けられていた。
「それもそうだね」
教団員の行く末を眺めていると、予想通りに教団員は罠にかかり地面に転がる。
「ほらかかった。『待ってたら勝手にかかってくれるよ作戦』、だ」
笑みを浮かべてそう得意気に咲祈が言い放つ。
「……え?」
咲祈の、思いつきと勢いでできているような作戦名に、サフィニアは他の言葉が出てこなかった。
「……。なんだい、放っといてくれ」
(咲祈が珍しく拗ねてる。ネーミングセンスの自覚は、あったんだね……)
マスクをしていてやや見難いが、頬を紅潮させてそっぽを向く咲祈を見て、サフィニアは内心微笑ましく思う。
「それにしても、会っちゃうものなんだね」
教団員が先程罠に引っかかった教団員を助けようとして、二重に仕掛けられていた罠に引っかかっていた。
「……同じ森にいるんだから、どこをどうやっても出会うさ」
どこから敵が出てくるかわからない、罠に自分が引っかかってしまうかもしれないドキドキ感に、咲祈は自分の心が沸き立つのを感じた。
「こういう展開、なんだろう……わくわくするよ」
その感情のままに咲祈は前に進み、サフィニアもその後に続いた。
「あはは、咲祈こういうの好きだったんだ……」
二人は幾度かそんなやり取りを交わしつつ、罠にかかった教団員の元へ歩み寄る。そうして、教団員を見下ろし、その手に握られている『怨嗟の金平糖』を見つけた。
「咲祈、回収しよう」
サフィニアは回収を促すが、咲祈は金平糖を見つめて怪訝そうにしている。
「禍々し、……え? これがあのとげとげ?」
「うん、そうらしいよ?」
「……とげとげ? とげとげなのかいこれ? 本当にあのとげとげ?」
じーっと眺めるだけの咲祈に、サフィニアが「ほら、回収しようよ」と促すも、やはり硬直したように動こうとしない。
すると教団員が暴れ始めたので、サフィニアは慌てて、
「とげとげだよ! とげとげだから早く回収しようね!? 咲祈っ」
咲祈は、暴れる教団員を尻目に、不思議に思いながらも金平糖を拾い上げる。
「……あ、とげとげだった」
咲祈に拾い上げられた『怨嗟の金平糖』は、浄化されるように光を発した後『祝福の金平糖』へと姿を戻し、咲祈の手に収まった。
☆蒼崎 海十 フィン・ブラーシュ ペア☆
蒼崎 海十はフィン・ブラーシュと共に、少女が張り巡らせた罠を横目に確認しつつ、『祝福の金平糖』を探すこともぬかりなく行っていた。
「兎に角、逃げ切って祝福の金平糖を集めればいいんだよな」
「ゲーム感覚で金平糖探しなんて、ちょっと面白いよね」
フィンはそう言いながら罠を避けつつ、海十の横で駆ける。
確かに、この状況はリアルなサバイバルゲームを行っているかのようだ。
「手分けしてお互い集中すれば効率が良いだろう。フィン、俺が金平糖探しに集中するから、あの女の子と罠の警戒を頼む」
海十の提案に、フィンは「わかった」と承諾し身を翻す。
「フィン、捕まるなよ」
身を翻したフィンに海十は短く呟き、フィンは笑みを浮かべて海十に返す。
「勿論、捕まる気はないよ」
フィンは、海十が金平糖探しに集中できるよう、周囲の索敵と警戒。
海十は罠を警戒しつつ、『祝福の金平糖』を探し集める役目だ。
木の枝の上、茂みの中……隈なく探す。木の幹や、草根の間に挟まっている『祝福の金平糖』を見つけ、海十は持参した黒猫バスケットへと詰め込んでゆく。
「ん?」
フィンの視界に、少女の他に怪しい人影が映る。
「海十、気を付けて」
いかにもな怪しさにフィンが、そう海十に耳打ち。海十は地面に向けていた視線を敵に向けて姿を確認する。
「誰?」
フィンが短く人影に尋ねるも、人影はそれを無視して一気にフィンへと距離を詰め、手に持つドス黒い何かを突きつけてくる。
「……襲ってくるという事は、敵と判断していいよね」
海十とアイコンタクトを取り、突き出してきた教団員の腕をフィンが真横にずらす。そこへ、海十がすかさず身体をさばき教団員の横腹に鋭い膝蹴りを入れた。
蛙が潰れたような声を出し、蹲る体勢になる教団員へ、殆ど同時のタイミングで繰り出した二人の蹴りが、左右から教団員に直撃。両側頭部への蹴りをモロに食らった教団員は呻き声をあげることもなく、そのまま地面に倒れる。
同時に、教団員の手からこぼれ落ちたドス黒い色をした金平糖を海十が拾い上げる。すると、金平糖はみるみる内に色を変え始めてゆく。
「これって、『怨嗟の金平糖』……みたいだね」
海十が触れて姿を変えたとなれば、そう考えるのが妥当だろう。
「丁度良い、『怨嗟の金平糖』を回収する為にも、どんどん迎撃していこうか」
「そうだな……俺が金平糖探しに集中しているフリをして教団員を誘き寄せて、寄って来た所を罠に嵌めていくってのはどうだ?」
海十の提案に、再度フィンは承諾して辺りを先程以上に警戒する。海十はあえて視界に死角を作りながら金平糖を探すフリをはじめる。
成果は、すぐにあった。
教団員が海十に襲い掛かり、フィンはすかさず教団員の足元を払う。よろめいた教団員はネズミ捕りに似た罠にひっかかり、気絶。海十が教団員から金平糖を奪って浄化し、メモ帳に教団員の簡単にまとめた居場所を書き込む。後にA.R.O.A.に男達を回収して貰う為だ。
よし、と一息ついたのも束の間、隙を突いて教団員がフィンに襲い掛かった。
「フィン!」
教団員の狙いはただ一つ。フィンの口に『怨嗟の金平糖』を投げ込むこと。
その一撃は的確なもので、海十の鼓動が早まる。
しかし、
「悪いけど、俺は海十があーんしてくれるものしか食べないんだ」
ゴッ、とフィンの手刀が教団員の首に突き刺さり、教団員はそのままよろめく。
「そして、海十にあーんしていいのも、俺だけ。そこは譲れないね」
そうして、忌々しそうによろめく教団員を軽く小突いて、落とし穴へと突き落とした。
「……フィン恥ずかしい事言うな」
落とし穴でもがく教団員を横目に、海十は頬を朱色に染めて小声で呟く。
けれど、フィンは笑顔のまま、さらりと、
「ん? 正直な気持ちだし」
フィンのその一言に、海十はさらに頬を紅潮させる。
落とし穴に落ちた教団員のバレバレな聴こえないフリが、余計に恥ずかしかった。
☆シムレス ロックリーン ペア☆
ロックリーンは、いつ飛び掛ってくるかわからない少女に警戒しつつシムレスを背後に庇って先行する。
シムレスはロックリーンの後方に位置しつつも、先方を行くロックリーンの死角を補うようにして後方を中心に辺りを執拗に警戒。
ハンカチを三角に折ってマスクのように口元につけているのはシムレスもロックリーンも共通なのだが、ロックリーンはその上にかわいい猫の被り物『にゃんでやねん』を装備している。
怪訝そうにロックリーンの被る『にゃんでやねん』の後頭部を見やりつつシムレスは辺りを警戒し続け、ロックリーンはというとそんな視線に気がついているのかいないのか。棒を先行させて歩みを進め、時に怪しいと思った箇所で棒を振って罠が無いかを確認する。
(会話のきっかけになればとソドに借りたジョーク品が防具になるなんて)
被り物の中で苦笑を浮かべつつ、今度は罠から少しだけ意識を外して少女が近づいていないか確認。
「簀巻きにされたウィンクルム達心配だね」
「何とかするだろ」
罠で捕らえられたウィンクルム達の行く末を見ていないが、あの状態のまま放置していればネイチャーなどに食い殺されてしまうかもしれない。
オーガを倒して、世界を救うことを強いられているウィンクルムを捕らえてどうするつもりなのだろうか。
「ウィンクルムへの敬意の欠片も感じられなかった」
「無いんだろ」
ロックリーンはシムレスのさらっとした返答にも、言葉を詰まらせること無く続ける。
「罠の見分け方も教えなかった」
「楽しんでるんだろ」
シムレスの反応は、無表情でかなり素っ気ない。
(成程、聞いてた通り塩対応。攻略し甲斐ありそう)
ロックリーンが被り物の中でふと笑みを溢し、背後のシムレスをちらりともう一度見やるが、対するシムレスはロックリーンの人間性に若干の心配を覗かせる。
そうこうしていると、茂みからがさり、と音が漏れ聴こえて来た。
二人は一瞬で臨戦態勢を形作り来たる敵の動きを待つ。
瞬間、茂みの中からシムレスに向かって、怪しげな男が拳を振るった。
「――っ!」
シムレスは、その攻撃を紙一重でコートでいなし回避。口元にドス黒い色をした金平糖をあてがわれたが、ハンカチのお陰で口に入ることは防げた。
しかし、その衝撃でハンカチが口元から落ちてしまう。
しまった、と思ったのも束の間。ロックリーンが靴底のスパイクを使い男の顔面を蹴り飛ばした。
なお攻撃を繰り出そうとしてくる男に、ロックリーンは苛立った様に拳を握り、指輪をメリケンサック代わりに拳を突き刺す。
「しつこいよ」
男はついに倒れ、丁度地面に設置されていた罠にかかって簀巻きにされた。
シムレスは、ロックリーンの温厚な様子からの変貌に目を見張る。
(戦う覚悟は持っているという事か……。それに、会ったばかりの俺でも守るのか)
シムレスは、そのまま続けてロックリーンの猫頭を見つめながら、
(赤といいこの白といい中々に興味深い)
ひと段落着いて、シムレスは何気なくロックリーンの鼻をポチリと押してみた。
「『にゃんでやねん』。『にゃんでや』、シムどうし『にゃんでやねん』」
シムレスはこの異常な状況下で響くその不自然な声に、沸々と笑いが込み上げて来る。が、表情が追いつかずに微妙な顔になってしまった。
「……この金平糖甘いらしいし、食べてみよう」
シムレスは笑顔に似た微妙な表情を見られたことの照れ隠しに、そう話を振る。
「そうなの?」
ロックリーンは、シムレスが浄化し、元の状態に戻した『祝福の金平糖』を口に含む。
(ウィンクルム、悪くない……)
シムレスは、今まで食べたことの無いような甘く美味しい金平糖に胸中でそう歓喜した。
ロックリーンは、手渡された『祝福の金平糖』を食べるために猫頭を外し、
(もしかして……笑ってる?)
表情が追いつかずに、やや不自然な笑みになってしまっているシムレスの表情を見て、自分も、ふと相好を崩すのだった。
☆アキ・セイジ ヴェルトール・ランス ペア☆
アキ・セイジはヴェルトール・ランスと共に森の中へと駆けて行ったが、どうにも腑に落ちない点があったので、少女を待ち伏せすることにした。
すると、少女は数分もしない内にアキとランスの元へ現れ、怪訝そうに悪態をつく。
「……何? 待ち伏せ?」
「いや、さっきの行動に何か意味があるんだと思ってさ」
ランスが飄々とした笑みを浮かべて少女にそう返すと、少女はひとつ溜息をついて、現状の状態を一通り話した。
アキは少女の説明を聞き「なるほど」と一つ頷きながら、携帯していたマスクを取り出してランスに手渡す。自分の口元にも予備のマスクをつけ、口元を覆う。
「『怨嗟の金平糖』を口に放り込まれないようにな」
甘い時間を過ごそうと思ってたのにお邪魔虫教団が出現してしまい、ランスは不機嫌そうな表情を浮かべつつもマスクを装着。
アキは、不機嫌そうなランスに、
「俺達の楽しみは全てが終わった後でな」
と、少女に聞こえないように小声で呟いた。
すると、ランスは不機嫌そうな表情から顔色を見る見る内に変化させ、明るい笑みを覗かせる。
「全部終わったらオタノシミ! だっ!」
「え、え、何、どした」
訝しげにランスを見る少女の目配せに、アキは困ったような表情を形成して一言呟いた。
「……なんか変なスイッチ入った」
「てなわけで片端から罠にかけてオシオキだ」
森の中を駆け回り、ランスはマントゥール教団の人間の姿が無いかを確認する。大まかな罠の位置を少女に教えてもらったので、自ら罠に引っかかってしまうことはそうそうないだろう。
アキはランスの後方に付く形で罠の居場所を補足し、ランスと共に教団員の姿を探す。
すると、大きな木陰から、タイミングよく教団員数人の姿が見える。すぐさまランスが教団員達の目に向かって土を蹴り上げ、視界を封じ、ブービートラップの作動装置として使用されていた棒を取り出した。
そうかと思えば、その棒を木刀代わりに教団員達へ振り抜き、三人居た教団員全員を峰打ち。教団員達はぐらりと後方へ倒れ込んだ。
「また……取るに足らぬものを切ってしまった」
「おいおい」
ランスが木刀を鞘に収めるような動作で腰にあてがうと、同時に罠が作動し、教団員達は木の幹へと吊るされた。
「う、くっ、離せ……」
「金平糖を渡すなら開放してやってもいいぞ」
逆さに吊るされた教団員達にアキは詰問するように詰め寄ると、一人の教団員が自分のポケットに『怨嗟の金平糖』がある、と正直に漏らし、アキはそれをポケットから取り出す。
「約束だ」
すると、アキは教団員達を縛っていた縄を外して地面に優しく降ろした。
アキは、そっと『怨嗟の金平糖』に触れて『祝福の金平糖』に変え――、教団員達の口にぽいぽいぽいっと投げる。教団員達は一瞬しまった、というような表情をしたが、すぐにその甘い味に表情を蕩けさせへたり込んだ。
「あんまり悪さするなよな」
「セイジ、俺には!?」
ランスが詰め寄るようにアキに近づき、そう言い放った。どうやら、先程の教団員達に金平糖を食べさせた時のことを言っているらしい。
「はいはい、口開いて」
アキは『祝福の金平糖』を取り出して、ランスの口元に運ぶ。マスクをしているのを忘れてそのまま口を開けたランスに、アキはしょうがないなとマスクをずらして金平糖を口の中へ入れた。
「あ~……んっ、うまい!」
ランスは尻尾を左右に揺らしながら、幸せそうな表情を浮かべる。アキも気になって食べてみると、なるほどこれは確かに甘く幸せな味だ。
「な、な、お楽しみは?」
アキが金平糖を咀嚼していると、ランスが更に尻尾を振ってアキに寄り添ってきた。
「お疲れ様、ランス」
ぽふぽふ、とアキがランスの頭を優しく撫でると、ランスの尻尾がこれでもかという程に触れ動き、ぱたぱたと音を立てた。
アキからの秘密のご褒美に、教団によって損なわれていたランスの機嫌はすっかりと直ってしまったようだ。
☆セイリュー・グラシア ラキア・ジェイドバイン ペア☆
セイリュー・グラシアは回避しようのなさそうな罠に、大きな石を投げつけて無理矢理罠を作動させた。
「罠作動させちゃっていいの?」
「オレ達が罠にかかっている場合じゃないしな!」
罠の場所を殆ど全て把握してしまっているようなので、ラキア・ジェイドバインも安心なのだが、
(マントゥール教団員には同情するよ。彼、狩りは好きだから)
セイリューが教団員の姿を慎重に探すと、少し離れたところに居た教団員と目があった。教団員は脱兎のごとく駆け出して逃げ惑い、森の奥へと姿を眩まして行く。
「鬼ごっこは得意だ!」
セイリューは教団員達の背に目掛け駆けようとして、ぴたりと制止しラキアの方を見る。ラキアはその意図を汲み取ったようで、
「怪我したら治療してあげるから大丈夫!」
と、爽やかに微笑みながらセイリューへと告げた。
お墨付きを貰ったセイリューは今度こそ風のように駆け出し、教団員達の元へ一気に距離を縮める。
ラキアも後方からセイリューへの攻撃が行われないか確認しながら進み、教団員の元へと駆けて行く。
距離は、数分もしない内に縮まった。悪態をつきながら教団員がセイリューに攻撃を繰り出すが、セイリューはそれを簡単に避けて教団員達の輪の中心に飛び込んだ。
「さあ、狩りの時間だ!」
そう言い、セイリューが地面を拳で強く殴りつけると、5mほどあろうかという範囲の網が出現し、セイリューと教団員数人を包み込む。セイリューは罠がどういったものなのかを理解していたので、一気にせり上がった縄の勢いを利用して木の幹に飛び移り罠にかかるのを回避。
教団員達は、呆気なく罠に捕らわれて木に吊るされた。
「セイリュー!」
ひと段落ついたかと思われたが、セイリュー目掛けて『怨嗟の金平糖』が投擲される。どうやら思わぬ伏兵が居たらしい。
セイリューは『怨嗟の金平糖』をしっかりとキャッチし、浄化。
うっそうと生える茂みの中から現れた教団員に、ラキアが手加減をした高段蹴りを繰り出し吹き飛ばす。地面に倒れた教団員は起き上がろうとして、自分の顔の上にセイリューが居ることに気がついた。
セイリューは教団員の顔面目掛けて木から居り――るように見せかけてギリギリで着地。
「迷惑行為してるし、少しはお灸をすえてやらなきゃだよね」
ラキアが気絶した教団員を木に寝かせ、セイリューの隣に立つ。
「ある程度ビビらせた方が奴らも調子に乗らなくていいだろ」
残りの教団員は、肉弾戦での戦闘へ持ち込む気らしい。
「体動かすのは得意だぜ」
しかし、セイリューに殴りかかるも、雪だるステッキの雪だるま部分で叩かれ、軽くのされてしまった。
倒れ込んだ教団員にラキアはゆっくりと歩み寄り、微笑みを絶やさずに語りかける。
「ちゃんと謝れば許してあげるよ?」
ごめんなさい、と謝る教団員達にも笑みを絶やさずに、身柄を確保。安全は保障するが、それはそれこれはこれだ。
「ポケットに金平糖を入れてたのか」
セイリューは教団員のポケットから『怨嗟の金平糖』を取り出し、『祝福の金平糖』へと浄化させた。
キラキラとした輝きを取り戻した金平糖を一瞥して、セイリューがさっとひとつつまみ食いをする。
「!」
それは天界へ続く階段を昇っているかのような、あまぁい至福の味。危うくほっぺたが落ちてしまうところだった。
「ラキアも食べようぜ!」
ひとつ金平糖をつまんでラキアに差し出すと、ラキアは微笑みながら、
「セイリュー、君の手から愛情込めて食べさせてくれないと、金平糖を口にはしないよ」
ふふふ、と笑みを溢して甘えるラキアに、セイリューは金平糖で緩んだ頬を更に緩ませながら、
「ラキア、あーん」
特徴的な赤髪を揺らしながら、ラキアがセイリューの指先に摘まれている金平糖に口をつけた。
「おいしいね」
その味は元々甘く美味しいものだったのだろうが、セイリューとラキアには、さらに甘く、甘く感じられた。
「ウマい」
依頼結果:大成功
MVP:
名前:シムレス 呼び名:シムさん |
名前:ロックリーン 呼び名:ロック |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 東雲柚葉 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 02月15日 |
出発日 | 02月20日 00:00 |
予定納品日 | 03月01日 |
参加者
- アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- 蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
- 咲祈(サフィニア)
- シムレス(ロックリーン)
会議室
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2016/02/19-10:19
ロックリーン:
みなさん初めまして!
ロックリーンと申します、以後お見知りおきを(ペコリ
神人さんはシムレス、最近パートナーになったばかりでこの鬼ごっこが会話の糸口になればと思ってます。
なんだかアドエピの様なハピエピですね
プランもそんな感じになりました。
取りあえず怨嗟の金平糖を口に入れない対策はばっちり。
会ったばかりでキスは難易度高すぎますからね
祝福の金平糖たくさん集められるといいですね -
2016/02/19-08:42
プラン書くのに割と手こずったけれどなんとか書けた。
咲祈だよよろしくね。 -
2016/02/19-00:52
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2016/02/19-00:52
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2016/02/19-00:51
蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
皆様、宜しくお願い致します。
俺達は、少女の罠を活用してマントゥール教団員を捕まえ、怨嗟の金平糖を一粒でも多く回収したいなって思ってます。
回収した金平糖はすぐに元に戻したいなと。
頑張りましょう!(ぐっ -
2016/02/18-00:19