おかしか? しかし。(東雲柚葉 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 サクッと音を立てて、一人の女性がうまう棒を齧った。

「おいっしいじゃない!!!!」

 たくさんのお菓子と駄菓子が豪勢に並べられたテーブルが、女性の前に所狭しと並べられている。
 まるでバイキング状態で、もはや、この世のお菓子と駄菓子は全て集まっているのではないかと思ってしまうほどだ。
 女性は、うまう棒のコーンポタージュ味を煮えた牛乳に溶かして飲み、あまりの美味しさに悶絶している。
 どうやら、この異質なバイキングは、お菓子と駄菓子を様々な調理方・合わせ方で食べて新たな境地を開拓しようという試みのようだ。

「けれど、やはり自分ひとりだけではアイディアに煮詰まるわね……」

 指についたポテトチップの塩を舐め取りながら、女性はお菓子と駄菓子の山を見つめる。
 そして、何かを思いついたように表情を綻ばせ、

「そうだわ! 誰かにアイディアを貰えばいいのよ!」

 ブタ印のカップに入ったラーメンの蓋に、付属しているフォークを突きたてながら、広いパーティー会場で一人声を荒げる。

「そうと決まったら、さっそく呼ばなくちゃね」

 女性は、手についたお菓子の汚れを丁寧におしぼりで拭き取った後、スマートフォンを取り出して耳に当てる。

「お菓子と駄菓子の無限の可能性を、追求するのよっ!!!!」

 マイクがハウリングしそうなほど大きな声で、女性は電話相手に叫んだのだった。

解説

・お菓子、駄菓子、その他食材を組み合わせて、神人と精霊がお互いに食べさせあうエピソードです。ゲテモノでもおいしいものでも、なんでも作っちゃってください!

・他の参加者さんとは基本的に別行動ですが、同じ会場内ですので、食べさせたい! などとのご要望がございましたら、ご報告下さい!

・プランには、使用する駄菓子の名前を記載していただけますと、わかりやすくていいのですが、
 うま○棒 ポ○キー 
 のように伏字にしていただけますと、安心ですね。

・調理道具もなんでもありますので、じゃんじゃんつかっちゃってください!

・お菓子料として、300jrいただきます!


ゲームマスターより

寒さで家に引き篭もり気味の東雲柚葉でございます!

お菓子も美味しいですが、駄菓子もたまに食べると美味しいですよね!
先日、子どもの頃行ってたなぁ、と駄菓子屋に行ったら、潰れてしまっていたのがとてももの悲しくなりました。
ブタ印のカップ入りラーメンに、他の駄菓子を入れて新たな境地を開拓したものです……。

さて、どんなお菓子・駄菓子の新境地が見つかるのか非常に楽しみです!

ご参加お待ちしております!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)

  言っておくがマズいものはNGだからな
ちゃんと食べられるのを作るように(約束指きり

俺はポン菓子をベースにちょこっとアレンジ
溶かしチョコと混ぜて冷ます⇒ライスチョコ
溶かしマシュマロに混ぜて冷ますだけ…じゃあ味に変化が無いからアンズバーの刻んだのやピーナツも一寸混ぜる⇒ポン菓子バーだ

冷ましてる間に飲物作っておくか(閃く
苺グミを溶かしてミルクを足す⇒苺ミルク
ちと甘いか?
ああ良かった

伊達に家事をやってないさ
ほら、この前の鯵フライ
衣はパン粉じゃなくベビー☆ター(爽

…だから嫁違う(メッ

コーヒーの良い香りだ
甘くて、カアッと熱くなる
ふわっと良い気持ちだ(ご機嫌

俺の菓子も摘む
理由分からないけどくすくす楽しくなるよ


セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  お菓子を使って料理か。
キャンプ料理でヘンにテンションあがって、やっちまったりするんだよな。
持ってったお菓子も足してみたら面白いんじゃね?と好奇心を抑えきれず。
ベビースター○ーメンなんか色々と作れて楽しいぞ。
何に混ぜてもOKさ。
そのヨーグルトに入れたっていいんだぜ。どばー。
(ふっ、これで1品出来上がり♪)

玉子焼きのアクセントに混ぜ込むのもイイんだぜ。
チキン風味が合うんだな。ささっと焼いて出来上がり。
うん、こういう簡単なものなら作れるんだ。

焼きそば味をチャーハンに混ぜて、そば飯もウマいんだぜ。
チャーハンはネギ多めにささっと作って、最後にミニサイズ1袋をどばーっと入れる。
ウマい。ラキアもたんと食え。


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  うまう棒の明太子味、明太子パスタに出来ないだろうか?

フライパンにバターを溶かし、茹でたパスタ、袋の中で砕いたうまう棒・明太子を混ぜ炒め、醤油で味付け
トッピングに刻み海苔と、うまう棒チーズを砕いたものを乗せ完成

うまう棒自体に味がしっかりあるし…意外とイケるんじゃと思った

あと俺、じゃが●こが好きなんだよな
確かアレでポテトサラダが出来るって聞いた事ある
じゃが●こに水を回しかけ、ラップ無しで電子レンジで熱した後、スプーンで潰し、更にレンジで熱して混ぜて、マッシュポテト状態に
具材(きゅうり、玉葱、ハム)、マヨネーズ・胡椒を混ぜて完成

フィンと互いに作ったものをシェアして食べる
美味い…!
可能なら皆ともシェア


咲祈(サフィニア)
  なにって……ね〇ねる〇るね…(書かれてる文字読みあげ
とラ〇ネ…それと、チョコレート?
見た感じだと普通に合うと見た。…興味深い……(楽しそう
いや、食べたことはない。と、いうのも君がお菓子類は和菓子しか買ってこないからだろう…?(じとーっ

…あ、閃いた。このね〇ねる〇るね……食パンに塗ったらおいしいと思わないかい? サフィニア
ジャム…? それだよサフィニア! まさにその感覚さ……
…だけどこれだけだとなんだかつまらないな
全部合わすというのはどうだい?
ん、ダメかい? …ふむ……

なら食パン+ね〇ねる〇るね、だ
どうだい?
サフィニアのちゃんと美味しい…さすが相棒だ…!(目キラキラ


☆咲祈 サフィニア ペア☆

 やや頭のネジが外れてしまっているとしか思えない女性に誘われて、咲祈とサフィニアはたくさんのお菓子を組み合わせて食べるという試みに挑戦していた。
 咲祈は、さっそく目の前に置いてあったお菓子を数個手に取り、自分の手元に置く。
「……それなに? 咲祈?」
 まさかそれを混ぜる気なのか、という組み合わせにサフィニアがほぼ反射的に問う。
「なにって……るねるねるねる……とラムネ……それと、チョコレート?」
 水と粉を合わせて練り上げ作るお菓子るねるねるねると、ラムネ、そして言わずと知れたチョコレートを手に取り、咲祈は楽しそうに笑みを浮かべる。
「見た感じだと普通に合うと見た。……興味深い……」
 しかし、サフィニアはそれらを混ぜ合わせたことによって発生する惨状を考え、少し青い顔になる。
「え、合うっ? 咲祈それ食べたことある……?」
 るねるねるねるの柔らかいクリームのような食感に、ラムネまでなら許容範囲だろうが、そこにチョコレートとなると話は別だ。すべてのお菓子がお互いを殺しあう大戦争が勃発することになるだろう。
「いや、食べたことはない」
 さらっと咲祈が言うので、サフィニアがやめようと言おうとしたところ、
「と、いうのも君がお菓子類は和菓子しか買ってこないからだろう……?」
 咲祈がサフィニアにジトっとした視線をぶつける。
「……ごめんそうだった今のは俺が悪かった。……駄菓子より和菓子派でね、俺」
 一品で完成しているお菓子ということで、今回のお菓子を調理するという企画にはあまり向いていないが、和菓子は見た目も美しくそれでいて美味しいので、洋菓子は食べないが和菓子は食べるという人も居るくらいの人気を誇る。
 サフィニアが申し訳なさそうに苦笑していると、咲祈がるねるねるねると食パンを取り出し、
「……あ、閃いた。このるねるねるねる……食パンに塗ったらおいしいと思わないかい?」
「るねるねるねると食パン……んージャム感覚?」
 ジャムパンのような雰囲気の食べ物になるのではないか、とサフィニアが想像して口に出してみると、そのイメージが咲祈のイメージとマッチしていたようで、繰り返し首を縦に振る。
「ジャム……? それだよサフィニア! まさにその感覚さ……」
 食パンとるねるねるねるを交互に眺めて、咲祈はしばし思考を巡らせるように硬直し、ややあって呟くように言い放った。
「……だけどこれだけだとなんだかつまらないな。全部合わすというのはどうだい?」
 お菓子達に食パンが参戦した大戦争を想像し、サフィニアはまたも顔を青くし、苦笑い。
「んー……咲祈、全部合わせるのは、どうなのかな」
「ん、ダメかい? ……ふむ……」
 咲祈はもう一度思考を巡らせ、やはり、と食パンとるねるねるねるを手に取る。
「なら食パン+るねるねるねる、だ」
 それだけでもかなり衝撃的だが、サフィニアはそれが自分の口に入ることを覚悟し、咲祈用にお菓子を作ることにする。
 サフィニアが作るのは、焼いたマシュマロをクラッカーに挟んだ『マシュマロサンド』だ。
 とは言っても、オーブンで少しだけマシュマロを焼き、それをクラッカーに挟むだけなので簡単だ。咲祈も、るねるねるねるを作り、食パンに塗るだけなので、それほど時間はかからない。
 二人ともすぐに完成し、作った手作りお菓子をテーブルに置く。
 咲祈がるねるねるねるを塗った食パン――名付けるとしたら『るねるねるねるパン』だろうか――をサフィニアに手渡し、食べるように促した。
 サフィニアはそれを受け取り、死を覚悟するようにふぅ、と一息ついてがぶりとるねるねるねるパンに食らいつく。
「どうだい?」
 数回咀嚼し、味を確かめてみると、
「あれ……? 意外と合う……? それとも俺の味覚がバグってるのか……」
 意外にも意外、なかなかどうして食べられる。
 サフィニアも『マシュマロサンド』を咲祈に食べさせようと、咲祈の口に放り込む。
「ほら、咲祈」
「んっ」
 口に入ったお菓子を咲祈がもぐもぐと咀嚼し始める。
「どう? こっちのも美味しいでしょ?」
 サフィニアが笑顔で咲祈に『マシュマロサンド』の味を問う。
 咲祈は数回咀嚼した後、ぱぁっと表情を明るくさせ、目をキラキラと輝かせる。
「サフィニアのちゃんと美味しい……さすが相棒だ……!」
 こんなに美味しいものは生まれて初めて食べた、というほど感動した様子で咲祈がサフィニアに輝く視線を向ける。
「あはは……そこまで感動されるとは……」
 ぱっと作ったものでこんなに喜んでもらえるとは思っていなかったので虚を突かれたが、咲祈の幸せそうな表情にサフィニアも頬を綻ばせて、もう一度『るねるねるねるパン』をつまむ。
 二人は、お互いに作ったお菓子を美味しそうに食べ終えて、次なる自作お菓子の話し合いをし始めるのだった。





☆蒼崎 海十 フィン・ブラーシュ ペア☆

 蒼崎 海十は、お菓子の山からうまう棒の明太子味を取り出し、まじまじとうまう棒を眺めて何やら思案気な表情を浮かべる。
 お菓子の山と食材の山、冷蔵庫をじーっと見つめ、海十は顎に手を当てて、ふと思いついたように呟く。
「明太子パスタに出来ないだろうか?」
 うまう棒はたくさんの種類があり、色々な味を楽しめる駄菓子として有名だ。そして、その味の再現もかなり精密に再現されており、幅広い層に人気を誇る。
「なるほど、それは美味しそうだね」
 海十の発言に、フィン・ブラーシュは出来上がるパスタの姿を想像して同意する。そして、フィンも同じようにしてお菓子の山を物色し、中から蒲焼きさん三郎を取り出した。
「蒲焼きさん三郎、これ好きなんだよね」
 まるで本当にうなぎの蒲焼きを食べているかのように錯覚するほど、味を再現した駄菓子で、お金に困っている人は蒲焼きさん三郎を使ってうな重を作ったりもするそうだ。強者は、この駄菓子と兄弟の駄菓子――焼き肉さん次郎を本当に七輪で焼いて焼き肉にしてしまうとか。
「俺はこれを使った炊き込みご飯を作ろうかな」
 フィンは冷蔵庫やテーブルの上に大量に用意されている材料を確認し、炊き込みご飯に必要な材料を探し始めた。
 海十も続いてパスタを作る準備を開始。まず初めにパスタを茹でる。同時にフィンが使用する具材を短冊切りにし、薄口醤油、和風出汁で味付け。米を研いで炊飯器に移し、そして炊く。
 どうにも特別製の炊飯器のようで、海十がパスタを茹で終わった頃には炊飯器が炊けたとの合図を知らせた。
 海十はフライパンにバターを溶かし、茹でたパスタ、袋の中で砕いたうまう棒・明太子を混ぜ炒め、醤油で味付けをする。バターの香りと明太子の香りが辺りいっぱいに広がり、腹の虫を刺激する。
トッピングに刻み海苔と、うまう棒チーズを砕いたものを乗せ完成。
「うまう棒自体に味がしっかりあるし……意外とイケるんじゃ……」
 見た目はややべちゃっとしているイメージがあることは否めないが、香りは明太子パスタそのものだ。
 フィンも負けじと炊飯器を開け放ち、炊き込みご飯の出来栄えを確認すると、こちらも出来は上々で、とても美味しそうな良い匂いが立ち込めている。
 お茶碗に移した炊き込みご飯の中に入っている蒲焼きさん三郎は、本来固かったとは思えないほどしっとりふっくらとし、まるで本当の鰻のよう。
 これだけで、大満足なものだが、二人はさらにお菓子の山に目をつける。
「あと俺、じゃがりがりが好きなんだよな。確かアレでポテトサラダが出来るって聞いた事ある」
「え、そうなの? じゃあおかずもほしいし、俺ももう一品。乾燥おかきでコロッケを作ることにするよ」
 じゃがりがりを手に取った海十が、じゃがりがりに水を回しかけ、ラップなしで電子レンジで熱する。柔らかくなったじゃがりがりをスプーンでつぶし、レンジでさらに熱するとマッシュポテトに変貌。
 すかさずきゅうりに玉葱、ハム、マヨネーズに胡椒を混ぜてポテトサラダの完成だ。
 多めに作ったマッシュポテトをフィンに渡すと、フィンが乾きおかきに玉葱と青海苔粉、塩胡椒、砂糖をマッシュポテトに混ぜ込む。そして衣をつけ、ノンフライヤーで焼けば、なんとコロッケに。
 そして更に更に、フィンはやさえんどうのさっぽりしお味をバター、コンソメ、塩、水で煮て、ミキサーにかける。ミキサーから取り出したそれらに牛乳を投入して、弱火で煮込むと、クリーミーなやさえんどうスープが出来上がった。
「頑張って沢山作り過ぎた感があるけど、美味しそうだね」
 フィンが料理をさっと盛り付けて丁寧にテーブルに乗せる。
「すっごい豪華だな! 駄菓子でここまで出来るなんてな!」
 海十が席について、駄菓子から作ったとは思えない料理達を見渡して目を輝かせている。フィンも海十の隣に座り、
「「いただきます」」
 まず、海十は蒲焼きさん三郎で作った炊き込みご飯を一口口に含む。湯葉に似た食感の蒲焼きさん太郎と、その味が染み込んだご飯が非常に美味しく、まさに炊き込みご飯だ。
「美味い……!」
 フィンも自分で満足そうに食べ、今度は海十の作ったパスタを食べる。
 最後に砕いてパスタにかけたうまう棒チーズ味が良い食感を出し、パスタはまさに明太子パスタの味だ。正直、下手な安い即席麺の明太子パスタよりはるかに美味しい。
「海十の作ったのも美味しい」
 ポテトサラダは完全に美味しいポテトサラダになっているし、コロッケも面白い食感のあるものとなっている。そしてやさえんどうスープもクリーミーな舌触りとのど越しが優しく、非常に美味しい。
 二人は頬を綻ばせながらお互いが作った駄菓子料理を食べ、幸せそうな食卓を囲む。
 駄菓子の本分は、やはり人を笑顔にすることで。料理になってもそれは、何も変わらないようだ。





☆セイリュー・グラシア ラキア・ジェイドバイン ペア☆

「お菓子を使って料理か」
 セイリュー・グラシアは、駄菓子とお菓子の山を見てすごい量だなと感嘆する。
「キャンプ料理でヘンにテンションあがって、やっちまったりするんだよな。持ってったお菓子も足してみたら面白いんじゃね? とか好奇心を抑えきれずにさ」
 ラキア・ジェイドバインが駄菓子の山からうまう棒を手に取り、懐かしそうな表情を浮かべる。
「駄菓子なんて懐かしいな」
 うまう棒を眺めるラキアに、セイリューが駄菓子の山からヤングスターラーメンを取り出して、
「ヤングスターラーメンなんかもいろいろ作れて楽しいぞ。何に混ぜてもOKさ」
「そうなの? 俺はプレーンヨーグルトのアクセントにしるこサドンを入れるのがいいかな。シュガーフレークを入れる感覚だね」
 おしるこの味がするしるこサドンをプレーンヨーグルトと合わせるというのは、もう食べなくても美味しいとわかりそうなほど美味しそうな組み合わせだ。
「砕いて入れるとほんのり甘味も加わって美味しいんだ」
「ん? これもしかして……!」
 その懸念に、ラキアはふふ、と笑みをこぼしながら、
「うん、先日の朝食に出したのもこれ」
 お腹に優しく、あっさりとしていて食べやすい上に糖分が高く目が覚めやすいので、朝ご飯には非常に適している。
 使ったプレーンヨーグルトが容器の中で少し余っていたので、セイリューはその容器を手に取り、ヤングスターラーメンの袋を開けた。そしてゆっくりと袋を傾け、
「ヨーグルトに入れたっていいんだぜ」
どばー、っとヨーグルトの中にヤングスターラーメンを流し込んだ。
(ふっ、これで1品出来上がり♪)
 立て続けにセイリューがばばっとヤングスターラーメンを駄菓子の山から取り出して、袋を開け放っていく。開封されたのはチキン味に、焼きそば味。
「玉子焼きのアクセントに混ぜ込むのもイイんだぜ」
フライパンに油をひき、溶いた卵を投入。フライパンに接した面が固まり、表面部分が半熟のうちにヤングスターラーメンを乗せて、ゆっくりと丁寧に卵焼きの形に形成していく。
「セイリュー、上手だね」
 卵焼きが丁寧にひっくり返され美味しそうな焼き色が顔を覗かせると、香ばしい香りが辺りにふわりと漂った。
「うん、こういう簡単なものなら作れるんだ」
 セイリューはそのままご飯に卵をかけて卵かけご飯にし、フライパンに入れる。ジュウ、と焼く音が響き、葱を大量に投入して、フライパンを一振り。ひっくり返されたご飯にヤングスターラーメン焼きそば味のミニサイズを1袋どばーっと入れる。
 全開の強火で三振りほどすると、パラパラのチャーハンが出来上がった。
「じゃあ、俺はもう一品デザートを作ろうかな」
 ラキアはあんこバーを四本ほど取り出し、電子レンジで温める。溶けたあんこバーはぜんざいのあんこのようにとろりとした液体となる。
 メーカーが提唱しているだけあって、美味しさはお相伴に預かるものだろう。激選された小豆を使っていることもあり、香りも素晴らしい。
 あんこバーを溶かした出来た餡に、ラキアは焼いた餅を投入し、
「ここで冬見大福を入れるよ」
 冬見大福と適度に焼かれた餅が浮かぶ、ぜんざいが完成する。
「お餅は3個にする?」
「ん、じゃあ3個で頼む!」
「了解、俺は2個にしよう」
 茹で小豆の缶詰を使って作るよりも遥かに手軽に作れるので、餅を焼く時間とあんこバーを溶かす時間くらいしか手間のかかる時間はない。
 餅のおかげで適度なボリュームがでて腹もちもよく、おやつには最適だ。
 すべての料理が出揃ったところで、セイリューとラキアは席につき、作った料理達を自分の皿に取る。
 卵焼きを箸で割ると、中からヤングスターラーメンのチキン味が姿を見せた。ふわりと漂うチキンの香りが食欲をそそる。
 チャーハンも、そば飯として香ばしい香りを放っており、匂いを嗅いでいるだけで涎が出てきてしまいそうだ。
 セイリューがレンゲでチャーハンをひと掬いし、大きな口でぱくりと食べた。
「ウマい。ラキアもたんと食え」
 食が進むソースの香りが口いっぱいに広がり、咀嚼しているのにも関わらず次の一口のことを考えてしまう。
 セイリューに促されてラキアも一口頬張り、目を見開いて、
「美味しいよ、セイリュー」
 セイリューは満足そうに微笑み、しるこサドンとヨーグルトを混ぜたスイーツに、ヤングスターラーメンとヨーグルトを混ぜたスイーツを食べる。
 正直なところ、ヤングスターラーメンとヨーグルトの組み合わせはいかがなものかと思っていたのだが、意外に意外しょっぱさとヨーグルトのマイルドさが相まって不思議なことに美味しい。
 そして、最後にあんこバーぜんざいを二人で一口啜り、冬見大福と餅を食べる。
 喉から伝って食道を温かいぜんざいが流れていく感覚は、まさに善哉といったところだろう。
「ほっこり美味しいね」
 二人は「ほぅ」と息を吐いて、幸せそうに頬を綻ばせた。






☆アキ・セイジ ヴェルトール・ランス ペア☆

 みんなの作っているお菓子を使った料理を見て、アキ・セイジは真剣な表情でヴェルトール・ランスに言う。
「言っておくがマズいものはNGだからな」
 有無を言わせない真剣な声色で、アキは続ける。
「ちゃんと食べられるのを作るように」
「はいはい」
 ほぼ強制的にランスの小指と自分の小指をつないで、約束指切り。
 アキは、指切りをしたのち、駄菓子の山からピョン菓子を取り出して封を切り、皿にすべて乗せる。
 板チョコを発掘して、湯銭で溶かしピョン菓子と混ぜてコーティングし、冷ます。冷めてチョコレートが固まれば、手軽にたくさん作れるライスチョコの完成だ。
 マシュマロを溶かし、ライスチョコと混ぜて冷ますだけ……だと味に変化がないと判断したアキは、あんこバーを刻んだものや、ピーナッツを一寸混ぜる。これで固めれば、ピョン菓子バーの出来上がり。
 冷却装置があったので、それに入れて冷ましている間に飲み物を作っておこう、とアキが今度は苺グミを取り出して行平鍋に移す。火にかけて苺グミを溶かし、ミルクを足すと、少しずつ苺ミルクが完成されてゆく。
 ランスは、事も無げにサッと調理をするアキの手際に、「おおう」と呟く。内心驚きつつ、その的確な作業の精密さとアキの料理する姿に思わずお菓子の山の前で手を止めて、見惚れてしまっていた。
「ん? どうした?」
 視線に気が付いたアキに問われ、ランスはもう一度「おおう」と胸中で漏らした。内心ドキッとしたが、表情に出さないように隠しやり過ごす。
 どうやらアキは調理に集中しているようで、こちらの表情の微妙な動きに気が付かずに行平鍋に視線を戻した。
 胸を撫で下ろし、ランスはふと気が付く。
(俺、普段あんま料理していないから、料理がそんなに出来ない!)
 かなり真剣な悩みにショックを受け、
(ヤベェ、地味に俺様ピンチ!)
 と、何か作ろうと思案するも、ぱっと思いつかない。
 思い起こされるのは店でよく出すものだが、店で出しているものといえば洋酒にバッキーとか、果物にバッキーくらいのものだ。芸がないどころか、そもそも料理ですらない。
 そうこうしている内に、アキが苺ミルクを完成させたようで、
「ランス、ちょっとこれを飲んでみてくれないか」
「お、ありがとう」
 やや挙動不審な状態でランスが苺ミルクを飲むと、
「ちと甘いか?」
 アキが味をランスに確認する。
 しかし、味はそれほど甘すぎない良い塩梅で、特に気にならなかったので、ランスはアキに、
「ん、丁度いいぞ」
「ああ良かった」
 苺ミルクを飲みほして、ランスはややあって思い出す。
「あ、飲物なら俺も知ってるぞ! ティファナ・コーヒーっての」
「コーヒー!」
 行平鍋から視線を移さずに火の調整をしていたが、ランスの『コーヒー』との言葉を受けて目を離して瞳を輝かせた。
 ランスはアキのその反応に相好を崩し、材料を用意しつつ、アキの目の前でティファナ・コーヒーを作り始める。
「ホットコーヒーにカルーア入れて……生クリームは……」
 調理手順を確認しつつ作りながら、ランスは頭の上に豆電球を浮かばせた。せっかくこれだけお菓子があるのだから、生クリームはマシュマロで代用できる。
 出来上がったティファナ・コーヒーを二人分のカップに注ぎ、テーブルに冷却が終了したお菓子とともに並べて席に着く。
 ピョン菓子バーと、余ったライスチョコをつまみつつティファナ・コーヒーを飲む。
「うまい!」
 アキがご満悦な表情を浮かべ、ランスもピョン菓子バーを食べて「うまいな」と微笑む。ちょっとしたカフェにでもいるような感覚だ。
「いや、本当にセイジは料理がうまいな」
「伊達に家事をやってないさ」
 ふふ、とアキが笑みを零して呟き、すぐにいたずらっぽい表情に変わった。
「そうそう、家事といえば、この前のアジフライ。あれの衣は、パン粉じゃなくてヤングスターラーメン」
「え? ヤングスター?!」
二度揚げになりサクサク衣になるので、食感のよいフライになり、味わい深さが出る。
 駄菓子をうまく使って料理をする姿は、まさしく――、
「自慢の嫁だな」
「……だから嫁違う」
 ややむっとしたような表情を浮かべたアキに、ランスは、ティファナ・コーヒーを勧める。
「まあまあこれでも飲んで」
 コーヒーの良い香りに誘われて、一口含めば、甘くて温かい味わいにカアッと身体が熱くなる。
「ふわっと良い気持ちだ」
 顔を赤くして、ご機嫌な様子で微笑むアキは、どうにもカルーアが入っているティファナ・コーヒーでほろ酔いしてしまっているようだ。
 お菓子をふと摘まんで食べていると、アキとランスの目が合った。
 ランスがにこっと笑って見せると、アキは理由は分からないがくすくすと楽しそうにこみ上げた感情のまま笑みを零す。
(幸せそうな笑顔だ)
 アキのその幸せそうな笑顔に、ランスも心からの笑みを零し、ふと思う。
(俺も幸せだ)





依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 東雲柚葉
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 01月12日
出発日 01月17日 00:00
予定納品日 01月27日

参加者

会議室

  • [7]蒼崎 海十

    2016/01/16-23:58 

  • [6]アキ・セイジ

    2016/01/16-22:52 

    >調理道具もなんでもありますので
    ってことなので、一寸弄って簡単にスイーツにしてみたよ。

    菓子ばかりだと喉が乾くのだが、幸いにして
    >その他食材
    って有るのでミルクとかコーヒーその他…も一寸な(パックミクルとコーヒー缶あけあけ

    なんだか楽しくなってきたよ。
    皆のレシピも楽しみだ。

  • [4]アキ・セイジ

    2016/01/16-00:05 

  • [3]咲祈

    2016/01/15-10:43 

    やあ、咲祈とサフィニアだ。よろしく。
    ふむ、なるほど。
    …お菓子と駄菓子の未知の領域に踏み込むのも面白いかもしれない(本を開き

  • [2]蒼崎 海十

    2016/01/15-00:23 

  • [1]蒼崎 海十

    2016/01/15-00:23 

    蒼崎海十です。パートナーはフィン。
    宜しくお願い致します!

    お菓子と駄菓子の無限の可能性…うん、面白そうだよな。
    色んな組み合わせに挑戦してみようと思います!(ぐっ


PAGE TOP