【枯木】大掃除大作戦!!(森静流 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

歳も押し迫ってきました。
デパートやスーパーでは連日、クリスマスのプレゼントやお正月の飾りが盛大に販売されています。
道行く人達も歳末決算や期末テストや忘年会や部活の総仕上げの事などで悩んでいるのでしょう。眉間に皺を寄せて小走りになっている人が殆ど。
そうでなければ、クリスマスに浮かれた様子の恋人達や、プレゼントを楽しみにして走り回っている小さな子供達……。
しかし、何かを忘れていませんか?
年末の最大の行事はなんでしょう?

そう、大掃除!!

オーガの討伐や冬のイベントですっかり忙しかったあなたは、何気なく見たテレビが大掃除の特集番組をしていて愕然としました。
今の今まで忘れていたのですから、部屋は突然大荒れ。このままではとても新年を迎えられません。
しかし、大丈夫。そこは大掃除の特集番組が目の前で展開しているのです。あなたはすかさずメモ帳に大掃除のコツをメモに取り始めました。
次の休みにはパートナーを呼んで片付けてしまうつもりです。
え? パートナーを巻き込むな?
いいんです。その後、パートナーの部屋の大掃除をつきあってあげるんですから。
そんな訳で、あなたは全く気がつかないままに愛の力で大掃除を乗り切ろうとしていました。
気がついていますか? 部屋の外の地面に黒き宿木の種が落ちていた事……。
しかし、種は、愛の力と大掃除の浄化の力さえあれば、自然と枯死にすることでしょう。


大掃除はこのようなタイムテーブルで行います。

9:00 リビング

窓を開ける。
カーテンを外して洗濯機で洗う。
羽はたきでカーテンレールとその周辺、天井、エアコン周辺、照明周辺をはたく。
それから窓ガラスの拭き掃除。

9:30 キッチン
換気扇を外し、ガスコンロの五徳、その他油汚れのものもシンクに並べ、セスキ炭酸ソーダスプレーをたっぷり噴霧し、更に重曹(粉)をたっぷりふりかけ、 30分程度放置する。
他、油に汚れた床や壁や炊飯器に至るまでセスキ→ティッシュで湿布→上からセスキで浄化!!気になるところはメラミンスポンジで撫でるように擦る!!

10:00 リビング
リビング掃除機がけのついでに、廊下~玄関までも一気に済ませてしまいましょう
床、ラグ等をしっかり掃除機がけする。
軽く湿らせた雑巾にクエン酸スプレーを吹きつけ、部屋の奥から手前(廊下へのドア)に向かって雑巾がけしていく。このとき、腰より下の壁部分についた汚れにも留意。ソファの脚元、テーグルや椅子の足元のホコリに注意。

10:30 キッチン
一度使ったペーパー類は、しっかり掃除し尽してから捨てるようにしましょう
放置中の湿布関係を外しながら、そのペーパーを使い、周囲を拭き取りながら掃除する。汚れが残る場合にはお湯で絞った雑巾で濯ぎ拭き。換気扇周りは特に念入りに。
セスキを吹きつけ重曹をまぶし放置しておいたグリスフィルター等を、使い古しのキッチンペーパー等で拭いながら汚れを落としていく。大方のベトベトが落ちたらそのままシンクで、熱めの湯を使って濯ぎ洗い。乾いた雑巾等の上に置いて自然乾燥させる。

11:00 リビング+トイレ
クエン酸水スプレーは畳掃除にも使えます
洗濯終わり、軽く脱水させたカーテンにフックを装着させ、元のレールに戻す。乾燥はそのまま自然にさせる。
乾いた雑巾に軽くクエン酸スプレーを噴霧したもので、ホコリの気になる棚の上や、TVなどの周辺を拭く。
このとき使った雑巾とクエン酸スプレーで、洗面所ボウル周辺、洗面所床、トイレ便器周り、トイレ床を拭き取ることができる。使い終わった雑巾はそのまま捨てても良い。

11:30 キッチン

コンロ周辺器具は水を嫌います。よく乾かしてから戻しましょう
大方乾いたプロペラやグリスフィルターは、残った水滴を拭ってから元に戻していく。コンロ周辺器具も同様に。
まだ残っている汚れが気になる場合には、熱めのお湯で絞った雑巾で、セスキ炭酸ソーダスプレー噴霧+拭き取りを。最後にキッチン床を拭き上げて。



12:00 掃除終了

玄関は一番最後。
もしも時間が余ったら、ベランダのゴミを掃く、玄関たたきを拭く(軽く濡らした雑巾で)、玄関ドアを拭く、ポストや表札周りを拭く、などすると清浄感が増します。

リビングは平素から綺麗だというご家庭の場合は、リビング以外の部屋(寝室、書斎など)に重点を置くと良いでしょう。


さあ、あなたたちウィンクルムは自宅の黒き宿り木の種をこの愛の大掃除で撃退出来るか!?

解説

解説

あなたたちウィンクルムはコンビでこのタイムテーブルをこなす事が出来るでしょうか?
1 問題なし。完璧に出来る
2 出来るがかなりふらふら
3 頑張ってみるが何時間も時間がかかってしまう
4 最初から無理

それぞれの番号に応じて、パートナーに上記の掃除のどれかを一緒にやってみて下さい。その際に、自然に接触してしまったり声をかけあったり……のプランを見せていただきたいと思います。
※4番であっても、助け合い支え合うウィンクルムの愛の力で黒き宿り木の種は枯れてしまいます。

素敵なプランを待っています。

また、掃除の洗剤や道具などをそろえたため、300Jrいただきます。

ゲームマスターより

 

リザルトノベル

◆アクション・プラン

桜倉 歌菜(月成 羽純)

 
私、掃除だけはてんで駄目なんです…!
何故か私が掃除をすると物を倒したり、花瓶を割ったり…
でも、そんな私でも誰かに指示して貰って、通りに行動すれば、掃除は出来る…筈
恥ずかしいけど、羽純くんにお願いします…!
おじいちゃんとおばあちゃん、今年は楽をさせてあげたいから…!

二人で力を合わせカーテンを外し洗濯
羽はたきは慎重に、羽純くんの真似をしながら扱う

油汚れべったり
メラミンスポンジの使い方も羽純くんに教わりながら
楽しくなってきた

掃除機がけも羽純くんに指導して貰う
羽純くんが持つと掃除機すら格好良いって反則です…!

セスキスプレーでピカピカに!
気付けば夢中で汚れに向き合って
疲れた…でも充実

有難う、羽純くん!


瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
  1 9:00リビング~9:00キッチンあたり

汚さないように普段からこまめに掃除をしておけば、大掃除でも慌てなくても済むのよ、と祖母から教わりました。
来陽はミュラーさんが手伝ってくれるので、高い所(照明器具・換気扇の奥や窓ガラス)をお願いしたいです。
脚立に私が乗っても天井近くまではなかなか手が届かなくて。
キッチンはいつの間にか油汚れが付いていたりするんですよね。

セスキ液や重曹ペーストを作るのは好きです。化学実験みたいで。
ミュラーさんにもゴム手袋して下さいね。手が荒れちゃうと大変です。

ミュラーさんに手伝ってもらって、今年はいつもより大掃除がはかどります。ありがとうございます、と笑顔でお礼を言います。



ファルファッラ(レオナルド・グリム)
 
9:00 リビングの掃除を一緒に…
目のつく所に居ろと言われたのとりあえずリビングで寛ぐ…。
掃除?面倒だよね…レオは結構綺麗好きだからまめに片付けてるし。
リビングの汚れというかこの家の汚れてる部分のほとんどは私のせいだと思ってるの?それはちょっとひどくない…言い逃れはできないし自覚もあります。何をやればいいですか?
わかった埃の掃除だね。
でも高いところはできないからその辺はレオがやってね。
それとも抱き上げてくれたりしたら私でもできるけど…重いし二度手間だからやだ?重いってそれを女の子に言っちゃう?ひーどーいー傷付いた―…いいよーもう、掃除しないもん!

レオ…結局全部一人でやっちゃったよね…お疲れ様。


シャルティ(グルナ・カリエンテ)
 
…(棚の上を見て眉を顰める)
…見ないふりは…。う…な、なによ……分かってるわよ…
……うるさい(ぷい
徹底的にやるわよ覚悟しなさい…!(髪を後ろに結いつつ)
…リビングがどうも気になるのよね…
あ、掃除機天井からね。ゴミ落ちるから床かける時に天井のゴミも吸い取れるし

え? あ…それ、いるの。…ぼろぼろでもいるのよ
…小さい時からの宝物だし……親から貰ったのよ
って、私の話は良いの。それより進まないでしょ

…段ボール……。これも、片付けないと…よいしょ
えっ? あ…ありがとう…。あ、ああ…それは押入れに(指が触れた)
顔…熱い。意味分からない(ぼそり
 ど、どうもしない…! …次、ソファーの足とか残ってる


レイナス・ティア(ルディウス・カナディア)
  9:00 リビング 【4】

まずは…窓を開け、ます……!!
【ミキッ】っていう変な音、しましたが、開きました! ルディウス様!
様は駄目……呼び捨て、は難しいです……どうして、様って…付けちゃいけないんでしょう……

はっ、落ち込んでばかりも…いられませんっ! 次は、カーテンを剥がします、背は届かなかったけれども…気合で!
【めきょ】…何か良い音がしました! 気にしたら負けでs──! あ、あれ、ルディウスがペンチと台を持ちながら溜息をついています……

カーテンの金属部品…全部歪んでいるから、外れる様に直す、ようです……

か、カーテンを押さえている様に……と聞いて…で、でも背中に密着する…とは聞いていません…!恥かしい…!



シャルティ編

 その日、占い師のシャルティは精霊のグルナ・カリエンテと自宅の大掃除をすることになっていました。
 現在二人は、シャルティが一人暮らしをする筈だった借家に同居しています。一緒に大掃除をすることは当然です。
 それにしても……。
 シャルティは棚の上を見て眉をひそめています。毎日きちんと掃除をしているつもりだったのに、どうしてか棚の上には白く綿埃が積もっている事が分かります。一体いつの間にこうなったのでしょう?
(……見ないふりは……)
 そんなシャルティにグルナが恨めしそうな視線を投げます。
「う……な、なによ……分かってるわよ……」
「油断大敵だなぁ? シャルティ?」
 そして肩をぽん。
「……うるさい」
 シャルティはぷいと顔を背けてしまいました。しかし気を取り直してシャルティは綺麗な長髪を後ろに結わえつつ声を高めます。
「徹底的にやるわよ、覚悟しなさい……!!」
「……なんだよ、その謎の気合い。どこから来たんだよ」
 そういう訳で大掃除の開始です。二人はてきぱきと取りかかりました。

「……リビングがどうも気になるのよね……」
 部屋から部屋へ渡って片付けながらシャルティが言いました。すると、グルナが上を見上げます。
「……天井、掃除機かけたら床が致命傷だな」
「あ、掃除機、天井からね。ゴミ落ちるから床かける時に天井のゴミも吸い取れるし」
 バケツと雑巾を持っていたシャルティが掃除機を抱えているグルナにそう言いました。
「はいはい、天井からな」
 なんだかんだ言ってグルナは素直にシャルティの指示に従っています。

「おい、シャルティ-、その辺整理していたらこんなん出てきたけど?」
 しばらくして、リビングの掃除片付けを進めていたグルナが、キッチンの油汚れと格闘していたシャルティを呼びつけました。
「え? あ……それ、いるの」
 シャルティはグルナの持っている古ぼけた木箱を見てすぐそう言いました。
「けど、ボロいぜこの木箱」
 それはグルナの手に軽く乗ってしまほど小さなサイズのオルゴール箱でした。
「……ぼろぼろでもいるのよ」
 シャルティは言いづらそうでしたがそう答えました。グルナが怪訝そうな視線を彼女に投げます。
「……小さい時からの宝物だし……親から貰ったのよ」
「ふぅん……なら、捨てられねぇか」
 グルナはそれで納得してくれました。シャルティは何だか気恥ずかしそうです。

「……段ボール……。これも、片付けないと……よいしょ」
 キッチンの片隅に使わなくなった小物を詰めた箱があります。それを奥の押し入れにしまおうと、シャルティは重たい段ボールを持ち上げました。
「それ、重いだろ。貸せよ」
 よろよろしているシャルティの横から、グルナは手を差し出して、軽々と段ボールを持ち上げてしまいました。
「んで……どこ持ってく?」
「えっ? あ……ありがとう……。あ、ああ……それは押し入れに」
 段ボールを持ち上げる時、グルナの指先がシャルティの指先に触れたのでした。
「押し入れな」
 グルナは何も気づかないのか、そのまま段ボールを平然と持っていきます。
(顔……熱い。意味分からない……)
 シャルティは自分の頬を軽く叩きながら心の中で呟きます。グルナは段ボールを持ってくれただけだというのに。
「持ってったぜ……って、顔赤くねぇ? どうした?」
 戻って来たグルナはシャルティが赤面して立っている事に気がつきました。
「ど、どうもしない! ……次、ソファの足とか残ってる!!」
 すると突然、シャルティは声を高くして気合いを入れ直すように、掃除に向かい始めました。
「……? へいへい……」
 不思議に思いながらもシャルティに従うグルナ。ドキドキも取り混ぜながら、二人は仲良く年末の大掃除をクリアしました。



瀬谷瑞希編

 今日、ウィンクルムの瀬谷瑞希とその精霊のフェルン・ミュラーは一緒に大掃除をします。片付けるのは瑞希の家です。
「汚さないように普段からこまめに掃除をしておけば、大掃除でも慌てなくても済むのよ、と祖母から教わりました」
 そう言ってミュラーを案内した家の中は、こざっぱりと片付いていました。
 瑞希は元々掃除はする方なのですが、やはり年に一度の事ですから念入りにやっておきたいのです。それに男性のミュラーに頼みたい事もあったのです。
 ミュラーは片付いている家に感心しました。
「掃除の手順は瑞希の言う通りに手伝おう」
「それではお願いします」
 そういう訳で大掃除の開始です。
「ミュラーさん、高い所をお願いしたいです。脚立に私が乗っても、天井近くまではなかなか手が届かなくて」
 瑞希は手伝って欲しかった部分を素直に言いました。
 高い所とは、主に照明器具や、換気扇の奥や窓ガラスです。
「なるほど。女の子一人だけだと、高い所の事は色々と厳しいかもしれないね」
 ミュラーは大掃除に自分が呼ばれた理由に納得です。
 瑞希の身長はは167㎝。女子の中では背が低い訳ではありませんが、それでも男性のミュラーの方が185㎝と15㎝も背が高いのです。
 高い所の作業はミュラーの方が向いています。
 早速ミュラーは脚立に乗ると照明器具の埃をしっかりと拭き取り始めました。
「照明が少し暗くなったものがあれば、ついでに取り替えてあげるよ」
 瑞希は遠慮しましたが、ミュラーが笑顔でついでだから気にする事はない、と言うと、切れている蛍光灯を一つ取り替えて貰いました。
 それからミュラーは窓に取りかかります。
「窓の掃除は結構好きなんだ。ピカピカになるのが楽しくて」
 洗剤やスクイジーを使いながら上から順番に綺麗に磨いていきます。
 その頃、瑞希はキッチンで油汚れを落としています。
 瑞希はセスキソーダや重曹ペーストを作るのが好きです。無邪気な表情で洗剤を混ぜて作っていきます。
「化学実験みたいで楽しいです。ミュラーさんもゴム手袋して下さいね。手が荒れちゃうと大変です」
 掃除をしているとは思えないいい笑顔。
「掃除で使う液体も自分で作ったりするんだね。知らなかったな。そうしているミズキは楽しそうだね。微笑ましいよ」
 そんな話をした後、瑞希はミュラーにセスキソーダや重曹ペーストの作り方を教えました。その後は、二人でペーストを作りながら、予定に沿って手早く掃除をすすめていきました。
(女の子の家は綺麗に片付いていていいよね……)
 てきぱきと作業をすすめながらミュラーはまた感心します。いつでも男の人を呼べるような居心地のいい部屋なのです。
 そして、ミュラーは、換気扇を外して分解する作業が結構楽しい事に気がつきました。
「こんな構造なんだね……」
 普段は気にとめていなかったけれど、細かい部品が面白い形になっているのです。後で組み立てて作業をするのが楽しみです。
 そんな調子で、二人は和やかな雰囲気に包まれながら仲良く段取りよく大掃除をすすめていきました。
 ミュラーに手伝って貰って今年はとても大掃除がはかどりました。
「ありがとうございます」
 瑞希は笑顔でお礼を言いました。これでさっぱりとした気持ちで新年を迎えられます。瑞希の楽しそうな表情や嬉しそうな笑顔もたくさん見られて、ミュラーも充実した気持ちです。来年も二人のウィンクルムは仲良く様々なイベントをこなしていくことでしょう。



レイナス編

 今日は精霊のルディウス・カナディアが箱入り娘のレイナス・ティアの部屋の大掃除を手伝いに来ました。
 レイナスは最初、とても気合いが入っていました。
「まずは……窓を開け、ます……!!」
 そうして力任せに窓を開けます。
「”ミキッ”っていう変な音、しましたが、開きました! ルディウス様!」
 ぱあっと顔を明るく輝かせてルディウスを振り返るレイナス。
 しかしルディウスは冷たく言い放ちます。
「ルディウス”様”ではなくルディウス」
 すると面白いぐらいに表情を変えてレイナスは項垂れます。
「様はダメ……呼び捨て、は難しいです……どうして、様って……付けちゃいけないんでしょう……」
 ひんやりしたルディウスの視線を感じながら落ち込むレイナス。
(行動パターンや思考が、亡くなった幼なじみにとても似ていて……そんな相手に様付けされても落ち着かないだけですからね)
 口には出しませんがルディウスはちゃんと考えています。
 彼の中の特別だった幼なじみとレイナスは本当によく似ています。オーガに倒された幼なじみにそっくりの彼女とウィンクルムになった事も、何かの運命の働きだったのかもしれません。
「はっ、落ち込んでばかりも……いられませんっ! 次は、カーテンを剥がします、背は届かなかったけれども……気合いで!」
 そう口で説明しながら、レイナスは、本当に背の届かないカーテンに向かって手を伸ばして力一杯カーテンを引っ張りました。
 身長160㎝足らずのレイナスに下から引っ張られるカーテンとしてはたまったものではありません。
”めきょ”
「……何かいい音がしました! 気にしたら負けです--!!」
 最早泣きそうになって大騒ぎするレイナス。
 ルディウスの方はクールながらもげんなりした顔。
(しかし……まあ、何となくこうなる気はしていたんです……)
 朝の九時、太陽の光が燦々と差し込む中、破壊活動にも似た行為で、神人が必死に窓を開けカーテンを外そうとしています。
 それを眺めてルディウスはため息をつきました。
「あ、あれ、ルディウスがペンチと台を持ちながらため息をついています……」
 レイナスはようやく、ルディウスのしていうることに気がつきました。
 準備のいいことに彼は必要な道具をもうそろえてしまっているようです。
「カーテンの金属部品…全部歪んでいるから、外れる様に直す、だけです……」
 歪めたのはレイナスなのですが。
 彼はその後始末をするつもりです。
「レイナス、暫くそこでカーテン押さえていてもらえますか?」
 レイナスの背中に寄り添う様に身長の高いルディウスが立ちます。
 その後、彼がペンチで金具を直していきます。
 次はカーテンを外して洗濯。
 要するに、彼がほとんど働きました。レイナスの仕事は、カーテンを持って窓際に立っている事だけです。これなら彼女も破壊活動は出来ません。
 再び、レイナスと共にカーテンを張り直しますルディウス。レイナスは微動だにせず息を詰めています。
(か、カーテンを押さえている様に……と聞いて……。で、でも……背中に密着する……とは聞いていません……恥ずかしい……!)
 まるで背中から抱きかかえられるように密着しているルディウス。彼の存在に、レイナスは心臓が高鳴ることを止められません。
 騒がしいレイナスが大人しくなり固まっている事にルディウスも気がつきました。そして二人の位置関係にはっと気がつきます。
(呼吸するようにやってしまいましたが……これはもしかして、恥ずかしいのでしょうか……)
 彼は彼で俯き赤面してしまいます。大掃除はなかなか終わりませんが、二人のウィンクルムの愛は高まり、その力によって種は枯れ死にしてしまいました。これはこれで成功です。


桜倉歌菜編

「私、掃除だけはてんで駄目なんです…! 何故か私が掃除をすると物を倒したり、花瓶を割ったり…。でも、そんな私でも誰かに指示して貰って、通りに行動すれば、掃除は出来る…筈。恥ずかしいけど、羽純くんにお願いします…! おじいちゃんとおばあちゃん、今年は楽をさせてあげたいから…!」
 桜倉歌菜が、精霊の月成羽純に真剣な面持ちでそう言います。
 年末の出来事でした。どうやらテレビで大掃除特集を見て、自分も大掃除をしなければと気がついたようなのです。
 そういう訳で、今日は羽純が歌菜の家に大掃除を手伝いに来ました。
「掃除はいつも店の手伝いで慣れてる」
 羽純の自宅は彼の母が経営しているカクテルバーと併設しています。羽純自身もバーテンダーとして働いていて、店の掃除もしているのです。
「歌菜が単独で動くと危険だから、必ず俺の指示を仰げ、いいな?」
 そう言い聞かせると、歌菜はやはり真剣な顔で頷きました。
 まずは二人で力を合わせてカーテンを外して洗濯します。
 それからカーテンレールにはたき。
「羽はたきは優しく動かせ。むやみに強く押しつける必要はない」
 そう言って羽純はぱたぱたと軽く羽はたきを使ってお手本を見せました。
 歌菜はそれを真似して羽はたきを扱います。最初はゴミが埃が変な方に飛んで散らかりましたが、羽純に手伝って貰ってどうにかこうにかカーテンレールを綺麗に掃除しました。
 それから、次はメラミンスポンジを使って家の油汚れを落とします。
「メラミンスポンジは研磨剤のようなスポンジだから、使う場所には気をつけろ。表面が加工されている所には使わないように」
 べったりした油汚れもメラミンスポンジなら一発です。使い方を羽純が丁寧に教えてくれました。
 歌菜は教わった通りにメラミンスポンジを使います。
 次々と魔法のようにしつこい汚れが落ちていきます。それを見て、歌菜はだんだん掃除が楽しくなってきました。
 それまで落ちないと思っていた汚れも、メラミンスポンジできゅっきゅっと落としていくのです。
 それが終わると各部屋の掃除機がけです。歌菜はいつも何かにぶつかって壊してしまうので、掃除機がけは苦手でした。ですが、羽純が彼女の事を見守りながらきちんと教えてくれます。
「掃除機は、力を入れてゴシゴシと素早く動かすのは駄目だ。背筋を伸ばし力を抜いて、軽く持て。ゆっくりムラなく前後にスイング。各種ノズルを使い分けて効率よく」
 歌菜は掃除機を持って羽純の言う通りにかけていきます。前よりはずっと上達しました。が、ところどころに埃が残っています。
 歌菜がうまくかけられない部分は羽純が掃除機をかけてゴミを吸い取りました。
 彼は姿勢がよく、動きがきびきびスイスイしています。
(羽純くんが持つと掃除機すら格好良いって反則です……!)
 歌菜は彼が上手に掃除機をかけていく姿に感激。かっこいい人は、掃除をしていたってかっこいいのです。
 そして仕上げはセスキスプレーで家中をぴかぴかに磨いていきます。
 セスキソーダスプレーの作り方も歌菜は羽純に教わりました。何だか学校での理科の時間を思い出してそれも楽しみました。
 気づけば夢中で汚れに向き合い一日が終わっていました。
「疲れた……でも充実。ありがとう、羽純くん!!」
 これで歌菜は少し、大の苦手の掃除にも自信がついた様子です。
(教えながらだと普段の二倍疲れたが…歌菜が真剣で、楽しかった)
 羽純は歌菜が元気にお礼を言うのを聞いて満足です。
「頑張った」
 そう言って彼女の頭にぽんと手を置きました。へろへろでも大掃除をクリアし、彼にも褒めてもらって、歌菜は酷く幸せな気持ちで新年を迎えられそうでした。



ファルファッラ編

 今日はファルファッラと精霊のレオナルド・グリムが一緒に家の大掃除をする日です。
 レオナルドは、ファルファッラに”目のつく所に居ろ”と言いつけました。言われた通りにファルファッラはリビングで寛いでいます。
「掃除? 面倒だよね……。レオは結構、綺麗好きだから、まめに片付けているし。リビングの汚れというか、この家の汚れてる部分のほとんどは、私のせいだと思ってるの? それはちょっとひどくない……? 言い逃れは出来ないし、自覚もあります。何をやればいいですか?」
 リビングで寛いでいましたが、大掃除の作業をしているレオナルドと声だけで話をしているうちに、そんな流れになってしまいました。
 レオナルドは一人で大掃除をしながら、ファルファッラにまめに声かけをしていたのです。
 ぷんとむくれて開き直っているファルファッラ。
(正直、手伝って貰わない方が片付くと思うんだが……)
 レオナルドは、ファルファッラの家事能力の事は把握しています。自分一人でやった方が早いと思うのです。
 そもそも、ファルファッラが着用しているのは黒のチャイナロリータ衣装。
 掃除をする格好ではありません。
 そんな格好で掃除をしたら、服が破れるか、物がぶつかったりひっかかったりして壊れるかのどちらかです。
 それでも、レオナルドは一応、作業の一つを言いつけてみました。本人がやりたがっているので。
「わかった埃の掃除だね」
 そう言ってファルファッラは寛ぐのをやめて立ち上がりました。
 そうすると、ファルファッラはレオナルドの胸までぐらいの背丈しかありません。何しろ身長は150㎝しかないのです。それに対してレオナルドは身長182㎝。30㎝以上も違います。
「でも高いところはできないからその辺はレオがやってね。それとも抱き上げてくれたりしたら私でもできるけど…」
 それでファルファッラはそう言いました。
 別にさぼろうとした訳ではありません。
「抱き上げて掃除?二度手間だし重いから面倒だ」
 それに対してレオナルドはそう即答しました。
「重いし二度手間だからやだ? 重いってそれを女の子に言っちゃう?」
「女の子に失礼? 女の子? 単純に効率の問題なんだが……」
「ひーどーいー! 傷ついたー! ……いいよーもう! 掃除しないもん!!」
「もう、掃除止める? 別に構わんぞ。……何をそんなに怒ってるんだ?」
 ファルファッラは拗ねて返事をしません。
「掃除なんて面倒だと言っていただろう?」
 元々レオナルドは一人で掃除をするつもりでしたので、それほど困りません。
(まぁいい他の部分もさっさと掃除してしまわないとな……特にキッチンはひどいファルが使ったあとは砂糖や蜂蜜でベタベタだ。……寂しがりは甘いものが好きとは言うが体に悪影響がないとは限らないしな。あと天敵は虫歯だ。歯しっかり磨かせないと。……この家の汚れはファルと過ごした証みたいなものだな)
 そんなことを思いながらレオナルドは家中を片付けて埃を取り除き、ぴかぴかに磨き上げました。彼はもう完璧にファルファッラの保護者です。彼女の偏食に頭を悩ませて、掃除もしてやって、面倒を見てやって。
 拗ねていたファルファッラですが、大掃除が終わってしまう頃には、レオナルドの大好きなコーヒーを入れてあげました。ファルファッラだって彼が大切な存在だということは分かっているのです。
「レオ…結局全部一人でやっちゃったよね…お疲れ様」
 本当は少しぐらい手伝うつもりはあったんですけど。面倒を押しつけて悪かったとは思っているのです。それに、感謝だってしているのですから。
「ん、機嫌は直ったのか? コーヒーかありがとう」
 大人なレオナルドはそんなファルファッラのコーヒーを受け取って深々とため息をつきます。まるで人生そのもののような。大切なファルファッラを守っていく人生を思うような。
 



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 森静流
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 12月09日
出発日 12月17日 00:00
予定納品日 12月27日

参加者

会議室

  • [7]桜倉 歌菜

    2015/12/16-01:16 

  • [6]桜倉 歌菜

    2015/12/16-01:16 

  • [5]桜倉 歌菜

    2015/12/16-01:15 

    ご挨拶が遅くなりました!
    桜倉歌菜と申します。パートナーは羽純くんです。
    皆様、宜しくお願い申し上げます!

    じ、実はお掃除は大の苦手なので…羽純くんに手伝って、もとい指導して貰って
    頑張りたいなって思います。

    がんばりましょうねっ

  • [4]シャルティ

    2015/12/13-23:32 

    シャルティ、それと精霊のグルナ。どうぞよろしく。

     リビングの棚の上のほこり…目についたらやらないといけないから今まで見て見ぬふり、してたのよね…。
    でも今回ばかりはやらないといけないんだろうし、やるからには本気でするわ。
    だから、そうね…1の予定ではいるけど。

  • [3]レイナス・ティア

    2015/12/13-04:14 

    レイナス:は、初めまして……レイナス・ティア……です!
    自分のお部屋のカーテンが届かないので、ルディウス様に……手伝ってもらえたらって、思っています……!

    ルディウス(精霊):皆さん、初めまして。ルディウス・カナディアと申します。
    彼女の部屋は整理整頓されていますが、如何せん背の関係で高いところの埃が目立ちますので、そちらの掃除をしようかと。
    ……無理にカーテンレールから取り外そうとでもしたのか、カーテンの金具がかなり伸びている辺りに、かなりホラーを感じます。

    それでは、皆さんにどうかすっきりとした年越しが出来る事を願いまして。

  • [2]桜倉 歌菜

    2015/12/13-00:05 

  • [1]ファルファッラ

    2015/12/12-20:41 


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