プロローグ
冷たい空気に耳がキンと鳴りそうです。
日々気温が寒くなっていく毎日。
夕暮れ時ともなれば街路樹はいっぱいにイルミネーションを輝かせ、町中にはラブソングとクリスマスソングが鳴り響きます。
行き交う人々も皆浮かれて、反面とても忙しそう。
年末年始に向けて、誰もが多忙で充実した毎日を過ごしているようですね。
(私はどうだろう……?)
あなたはふと自分を振り返ります。
そしてまだ夕暮れなのにビルの合間に沈む日を見て、すっかり日が短くなってきた事に気がつき、今年一年ももう終わる事に想いを馳せます。
今年の目標はなんだったでしょうか?
去年は一体どうしていたのでしょう?
そして来年はどうなるのでしょう?
去年も、今年も、来年も、あなたのパートナーはあなたのそばにいます。
だけど本当に、色々な事がありましたね。
嬉しかった事、苦しかった事、楽しかった事、悔しかった事……。
(そうだ、今年も終わるのなら、私はあの人に……)
言いたい事もやりたい事も沢山あったはず。
そのことを思い返しながら、あなたは、街の雑踏の中を歩き回りながら、ある店の壁に背中をもたれさせ、そっと胸からスマートホンを取り出して操作します。
ネットでざっと検索をかけただけでも沢山ある選択肢。
あなたが選び出したのは、その中でもリーズナブルで夜景も楽しめるビルの一室でした。
ビルの高層階にある居酒屋「星の鳴る木」で、個室を借り切ってパートナーと二人きりの忘年会です。
(今年伝えられなかった事を、あの人にだけ……)
少しだけはやる気持ちを抑えながら、あなたは店に予約を取りました!
忘年会当日、あなたは、満天の星と、満天の星のような街の夜景を双方見比べながら、パートナーの好きなお酒を傾けて、今年伝えたかった事を、伝えられるでしょうか?
解説
当日、あなたは・・・・
1伝えたい事をはっきり伝え、パートナーがキスしてくれる
2伝えたい事を伝えられたが、パートナーがツンデレのツン期に
3伝えたい事を口ごもっているうちにパートナーが察してくれた
4伝えられなかったが、パートナーとはいい雰囲気
お好きな番号をお選び下さい。
それと
※今年中にパートナーに伝えておきたいこと! を明記して下さい。
特にない方の場合は、「今年もありがとう、来年もヨロシク」という内容で
書かせていただきます。
また、居酒屋の忘年会コースで1500jrいただきます。
ゲームマスターより
12月にはクリスマスだけではなく忘年会や大掃除もあると思って書きました。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
3:察してくれて誘導してくれる(かもな 家庭では中々作れない料理が良いな(主に料理作ってる人 家では、家ではだよっ あ、これにしよう(鮪のカマ焼き、蟹釜飯、ホタルイカの沖漬 洋風も好きだぞ …ってそれなら俺が作ってるじゃないか(むう 味比べんなよ(ぷぅ けど料理は美味しい 同じ里芋に箸が伸び目と目があって照れくさく 慌てて乾杯忘れてたなんて取り繕う いつもランスの方からは好きとかキスとか意思表示あって もう俺もそれは受け入れてて だから俺からも…って思うのに… 「この酒美味いから一口飲んでみる?」 俺のバカ。なんでそんな事しか言えないんだ>< ランスの行動に胸が痛い 甘えてばかりじゃダメなんだ 「一生分のランスが…ほしいんだ」 |
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
1 伝えたい事:いつも美味しいご飯を作ってくれて、家事もこなしてくれて…俺を支えてくれて、有難う。来年も宜しくな 思えば、今年一年、フィンに好きだと告白はしたけど…感謝を伝えた事は無かったかもしれない 改めては照れ臭いけど、きちんと伝えたいと思った 夜空も夜景も綺麗だ フィンに楽しんで貰えるよう、俺は酒も飲めない事だし、お酌に徹する 少しでもフィンが酔ってくれたら、言いやすいんだけどな…酒に滅法強いのは知ってるけど、少しくらいは…(様子を窺い) フィンを膝枕 甘えてくれるのが嬉しい 少し可愛い…なんて言ったらフィンは拗ねるかな? 今なら、言えそうな気がする フィンに見られるのが照れ臭いから、掌で目隠しして、伝える |
信城いつき(ミカ)
2 すごい星もきれいだ。 ご飯もおいしそう。ミカが予約までしてくれたんだから、一口づつでも味わおう 乾杯。えっと色々お世話になりました ピアスできあがったんだ 透明な石に別々に赤と青の石がついてる。これわざとなの?どうして? …なぜか言葉濁して答えてくれない。 赤と青……青っていったら……あ!なんだか今ひらめいた もしかして、透明な石が俺で、青いのはレーゲン? でも、もう片方には赤いのがついてるよ?これはミカだよね? 「同じ仲間」で「いつでも二人がそばにいてくれる」ってことだね うれしい……ありがとう、ミカ。 大事にする、絶対ぜったい大事にするね。 なんで怒ってるの? 食べるけど……そんなにどんどんお皿にのせないでよ |
咲祈(サフィニア)
1 関連エピ:12、14 サフィニア、僕が前に幼馴染みの話、しただろう? いや、全く思い出せない …僕は、守りたかったはずの彼女を、守れなかった …それなら、彼女の記憶を守っていきたい 彼女のことをもう二度と忘れないように …良いんだ。それしか今の僕にできることは、ないから この罪は消えないかもしれないけれど、今はそれで構わない …そんな感じで、来年もよろしく、サフィニア ああ、そうかい。手のかかる子供ですまない(ぎこちなく笑い ……え、…なんだい?(額へのキスに驚く 知っているさ。額への口付けは友情の意味だろう? 彼女が言っていた …サフィニア、君最近不機嫌になることが多いね。何故だい? これでも頼りにはしているさ。相棒 |
今年もお世話になりました! サフィニア編
忘年会当日、星の鳴る木--。
窓の外には都会の光が漲るような夜景が一望に見渡せます。その上には広がる冬の星空。
ビルの高層階にあるその居酒屋で個室を借り切って、サフィニアと咲祈は温かい料理を目の前にしていました。
夜景を見渡せる素敵な場所なのにリーズナブルなお店ですので、サフィニアが早速、おいしそうな料理を頼んでいたのです。
美しい満天の星空とそれに負けない夜景、それに心まで温まるような料理に誘われて、咲祈は心のうちを見せてもいいという気持ちになりました。
「サフィニア、僕が前に幼馴染みの話、しただろう?」
最近の事件の事を思い返しながら咲祈は切り出しました。咲祈はすっきりしたパーカーを脱いでアンティークドール姿です。ちょっと古風な可愛いお人形さんのようですね。
「もしかして、なにか思い出せた?」
サフィニアは箸を止めて真っ直ぐに咲祈の目を見ました。サフィニアの方もスカジャンを脱いでいます。雪をイメージしたネルシャツにジーンズ。ごく普通の好青年らしい出で立ちです。
「いや、全く思い出せない」
金色の瞳に翳りを帯びさせて咲祈はそう答えました。
黒髪に赤い瞳のサフィニアはごく真剣な顔になり、口の前で両手を組んで咲祈を見守り耳を傾けます。
「…僕は、守りたかったはずの彼女を、守れなかった。…それなら、彼女の記憶を守っていきたい。彼女のことをもう二度と忘れないように」
ミステリアスな雰囲気のある咲祈は、ゆっくりと静かな声でそれだけの想いを語りました。このところ彼の心を占めていたのは彼の失われた過去にまつわる事件の事ばかりでした。彼はずっとそのことを考えて、サフィニアに打ち明けたかったのです。
それに対して、サフィニアは生真面目で優しい笑みで答えます。
「咲祈が決めたことなんだし、俺は止めようとは思わないよ。…だけど、咲祈はそれで良いの?」
「…良いんだ。それしか今の僕にできることは、ないから。この罪は消えないかもしれないけれど、今はそれで構わない」
サフィニアに釣られたように咲祈はその顔に寂しげな笑みを見せました。
「そっか。そう言うなら、後悔しないようにしようね、咲祈」
咲祈の事を大切に思うサフィニアは、笑顔の下で様々な想いを渦巻かせます。
(咲祈はあの時の幻を幽霊だとでも思っていたのかな)
そうして、
(もし、そうならあの偽物を庇っていたのには納得がいくなぁ……)
そんな気持ちです。心の裏では、幻や幽霊なんかに咲祈には囚われず、自分の方を見て欲しいという気持ちもあります。
「…そんな感じで、来年もよろしく、サフィニア」
そんなサフィニアの想いにも気づかずに、ぎこちない笑みを浮かべながら咲祈がそう言いました。咲祈はそれを伝えたかったのです。
「来年も、手のかかる子供のお世話、か…」
サフィニアはやれやれと思いますが、心からの笑みを隠す事が出来ません。
「…全く、もう…」
そうしてサフィニアは咲祈の隣に座り、その茶色の髪の毛を愛しげになでつけました。
「ああ、そうかい。手のかかる子供ですまない」
やはりぎこちなく笑いながら、どことなく拗ねたような雰囲気の咲祈。
サフィニアは彼が愛しくて、指先で茶色の柔らかな髪の毛をそっとのけると、その額へ敬虔にキスをしました。
「……え、…なんだい?」
咲祈は驚いて大きく目を瞬いています。ぱちくり。
「…知ってる? 咲祈、額へのキスの意味」
すると咲祈はほっと安心したようでした。
「知っているさ。額への口付けは友情の意味だろう? 彼女が言っていた」
「うん。まあ……正解」
サフィニアは少しだけ顔を曇らせて咲祈から離れました。
「サフィニア、君最近不機嫌になることが多いね。何故だい?」
咲祈はそれも気になっていた事なので問いただしてみました。
サフィニアと話したい事があったので、この忘年会をセッティングしたのです。彼と仲違いしたい訳ではないのに。
「不機嫌、ねぇ……なってないよ、そんなの」
サフィニアはごく自然に振る舞おうとしますが、言葉の端にどうしても棘が出来てしまいます。それに自分で気がついて、ちょっぴり自己嫌悪です。
(彼女さんのこと思い出してからはずっとその人の話ばかりしてるなぁ…咲祈)
そんな事も思います。
今、ウィンクルムとしてパートナーなのはこのサフィニアなんですから。
「相棒なんだから、もう少し頼ってくれても良いのに…」
そんな想いが勝手に口から出てしまいました。
はっとして振り返ると、咲祈は妙に嬉しそうな顔でサフィニアを見つめていました。
「これでも頼りにはしているさ。相棒」
咲祈はサフィニアが自分を気にかけている事を知って、安心し、そして嬉しいのです。
色々とズレている彼ですけれど、サフィニアのウィンクルムである想いは変わりません。咲祈にとってもサフィニアはかけがえのない、たった一人のパートナーなのですから。
アキ・セイジ( ヴェルトール・ランス )編
その日、ウィンクルムのアキ・セイジとヴェルトール・ランスは忘年会で居酒屋”星の鳴る木”に来ていました。
その居酒屋はビルの高層階にあり、窓からは素晴らしい夜景と冬の星空が楽しめます。寒々とした美しい星空に対して部屋の中は暖かく、出てくる料理も美味であることで有名です。それなのに値段はとてもリーズナブル。
「家庭では中々作れない料理が良いな」
主に料理を作る人であるセイジはそんな事を言っています。
今日のセイジはグリーンのVネックのセーターに白ウサギのオーバーオールです。ランスも同じセーターに黒ウサギのオーバーオール。ペアです。
「家では、家ではだよっ。あ、これにしよう」
そう言ってセイジが選んだものは、鮪のカマ焼き、蟹釜飯、ホタルイカの沖漬でした。
「洋風も好きだぞ」
彼は好き嫌いはあまりないようです。一方、そこでランスが
「好物の手羽先と鳥肉ジャガは外せない」
とその料理を選んでいました。
「………ってそれなら俺が作ってるじゃないか」
セイジはむっとしました。せっかく外で食べる食事なのですから、普段家では食べられないようなものを頼みたかったのです。
それにしても、ランスは、最近家事を手伝う事によって、セイジに随分好物を作らせているようですね。
「味比べんなよ」
子供みたいにふくれながらセイジはそう言いました。
「お、おう分かってるって」
ランスは少し焦っているようです。
(セイジの手料理いつも感謝しているんだぜ……)
セイジが拗ねているのでそれを言い損ねてしまいました。
やがて注文した料理が運ばれてきたのでそれを二人は早速食べ始めました。日頃一緒に行動しているため、息が合っています。
(けど料理は美味しい……)
ちょっと拗ねていたセイジですが、思ったよりも美味な料理に機嫌を直しました。
そのまま二人で箸を進めます。
ところが同じ里芋のところに箸が伸び、目と目があってしまいました。照れくさくなってしまう二人。
「そ、そういえば乾杯忘れていたな!」
料理にばかり目がいっていたのでした。
二人はビールのジョッキを手に取ります。
「乾杯!!」
やっとのことで乾杯。なんだかんだ行ってお似合いの二人です。
料理を前にして同じ事を考えて同じような行動を取っていたランスに対して、セイジは色々と想いを巡らせます。
(いつもランスの方からは好きとかキスとか意思表示あって、もう俺もそれは受け入れてて、だから俺からも……って思うのに……)
ランスが想いを伝えてくれたのだから。自分からも伝えてみたいのです。伝えなくてはと思って忘年会をセッティングしたのでした。
ですが、
「この酒美味いから一口飲んでみる?」
口から出てくるのはそんなこと。
(俺のバカ。なんでそんな事しか言えないんだ)
セイジは自分で自分をもてあましてしまいます。何とか気持ちを伝えたいと思うのに、空回りするばかりで、口が思うように言葉を発してくれません。
(あー酒じゃない物を言うとかくれるとかそういうのしたそうだな)
(グラスを渡して手が触れ合った時、ドキッが伝わるもんな)
一方、ランスはセイジの事がよく分かっているようです。
緊張して想いが空回りしている様子のセイジに優しい声で語りかけました。
「良いんだよ。無理すんな。気持ちは分かってるし」
そう言って気さくな笑みを見せる男前のランス。
セイジは空回りする気持ちを抑えて、胸が痛くなってきます。
いつもランスは自分の気持ちを分かってくれて、支えてくれて……。
「甘えてばかりじゃダメなんだ」
「甘えだなんて思ってないのに」
本当にそう思っているのでランスは何の気負いもなくそう言います。
(可愛い奴……俺はセイジから沢山色々貰ってる)
そこで思い詰めた表情で、セイジが言いました。
「一生分のランスが…ほしいんだ」
(ぶっ!)
さすがのランスも吹き出してしまいます。
「言うに事欠いて一生分とか……」
言った本人も目を白黒しています。本当は別の事を言おうとしていたのに、口が勝手に想いをほとばしらせてしまった様子。
「……そらそーだよな」
思わずテーブルに突っ伏していたランスですが、身を起こして、セイジに向き直りました。
「なんだよ。そんなにのとっくにやってるジャンか。欲が無いなあ」
頭をぽふぽふ叩いてやってから、ランスはテーブルの上に身を乗り出しました。
それにセイジが答えます。
テーブルを挟んだまま、お互いに身を乗り出してのキス。
(うん、今日のセイジは素直だ。すぐに舌を絡め返してくれる。言葉より何より雄弁に…)
言葉の下手なセイジはそのぶん行動でそれを表そうとします。彼のくちづけが何よりもランスの心に訴えかけてとろかしていきました。
蒼崎 海十( フィン・ブラーシュ )編
思い人にどうしても伝えたい事があったので、蒼崎海十はフィン・ブラーシュを招いて忘年会をセッティングしました。
場所は夜景の見えるビルの高層階にある居酒屋”星の鳴る木”の個室です。二人だけで貸し切りにしました。
当日は都会の光り輝く夜景と冬の満天の星空を見渡しながら、暖かい個室でおいしい酒と肴。
フィンは満足してくれた様子でした。
(二人きりの忘年会、凄く嬉しい。凄く素敵な場所で…感激)
喜んでいるフィンの様子に顔を綻ばせながら、海十は一人、想いに耽ります。
(思えば、今年一年、フィンに好きだと告白はしたけど…感謝を伝えた事は無かったかもしれない。改めては照れ臭いけど、きちんと伝えなきゃ)
想いはどんなに深くても、言葉にしなければ伝わりません。
言葉というものは、そういう「想いを伝える」ためにこそ存在するのかもしれませんね。海十はそのことに気がつき始めています。
海十も美しい夜空と夜景を眺めながら、フィンに楽しんで貰えるように心を砕きます。
今日の彼のコーディネートは、ロゼッタケープを脱いでウール100%のシャツ「らぶてぃめメェ」。それにしろうさぎをモチーフにしたオーバーオールです。アウターを脱いでも充分暖かい格好です。
フィンの方はうさぎのパーカーを脱いでシックなブルーのシャツ。それに海十と対照的にくろうさぎモチーフのオーバーオール。
出で立ちからして仲のよい二人です。
「海十はお酒飲まないの?」
「俺は学生なんだから酒はダメだよ。ほら、フィン、お酌をしてやるよ」
海十はフィンの隣に座って彼のグラスにお酒を注いであげました。
「有難う、海十。お酌してくれるお酒の美味しさは格別だね」
フィンは益々上機嫌になり、素晴らしい夜景を肴に盃を重ねていきます。
海十ははしゃいでいるフィンを横目に考えました。
(少しでもフィンが酔ってくれたら、言いやすいんだけどな…酒に滅法強いのは知ってるけど、少しくらいは…)
決心を固めて忘年会をセッティングしたものの、言いやすい雰囲気というものがあります。
お酌をしながら海十はそっとフィンの様子を窺います。
そのことにめざといフィンは気がつきました。彼はいつだって海十の事なら敏感なのです。
(海十が俺の様子を窺ってる? 酔うのを待ってる…とか? 少し酔ったフリをしてみようかな…海十に甘える絶好の機会な気もする)
フィンだって恋人に甘えたい気持ちがあります。
彼は少し大げさなぐらいの声を上げました。
「あー少し酔ったみたいだ。海十、膝枕してくれる?」
そう言って、フィンはごろんと寝転んでしまいました。
居酒屋の個室ですので問題はありません。他に見ている人はいませんから。
海十はちょっと緊張しましたが、フィンの金髪の頭を自分の膝の上に乗せました。自然とフィンとの距離が縮まり、0になっていきます。
(甘えてくれるのが嬉しい。少し可愛い…なんて言ったらフィンは拗ねるかな? 今なら、言えそうな気がする)
海十は数回、フィンの金髪をなでつけてみました。フィンはなんだか得意そうな顔で彼の言葉を待っています。
だけど、海十は、照れくさくて気恥ずかしくて、フィンの両目を自分の両手で覆って目隠ししてしまいました。
そして言いたかった事を伝えました。
「いつも美味しいご飯を作ってくれて、家事もこなしてくれて…俺を支えてくれて、有難う。来年も宜しくな」
緊張しながらもはっきりとした言葉で海十は伝えたかった事を告げました。
膝の上を見ると、目隠しされたフィンの口元が、本当に嬉しそうに綻んでいました。想いは伝わったようです。
フィンにとっては、髪を撫でてくれる海十の手が心地よくて、最高にいい気分です。
目を瞑ると、海十の掌が瞼の上に触れて温かく……。
その上で、照れ屋な海十らしい言葉も行動も、嬉しくて笑みがこぼれます。
その言葉が終わった途端、フィンは目を覆っていた手を掴んで形勢逆転しました。
彼の体を引き寄せて手繰り寄せて、自分の体の下に組み敷いてしまいます。自分の下にある黒髪に黒目の少年の体。
これ以上なく近くから海十の顔を見下ろして、驚いて見開かれた瞳の中、自分の顔を覗きます。彼の瞳の中に見える、本当に真剣で生命力に溢れる自分の顔……。
「海十。俺も……海十に感謝してる。一緒に暮らせて、俺は本当に幸せだよ。家族の温もりを感じてる。もう、海十が居ない生活が考えられないくらい……。好きだよ。来年も宜しくね」
愛する者に愛しさの言葉を告げて、フィンは想いが溢れて止まらなくなっていくことに気がつきました。
いつの間にこんなに好きになっていたのでしょう。好きという気持ちは口にするごとに深く強くなっていくものなのかもしれません。
これ以上好きになれないと思っても、それを越えてどんどん好きになってしまう人。二人はそんな人間に巡り会えてよかったと心から感謝しているのでした。
信城いつき(ミカ)編
「すごい! 星もきれいだ!!」
忘年会当日、信城いつきはちょっぴり興奮気味でした。
ビルの高層階から夜景を見下ろせる居酒屋「星の鳴る木」の個室での出来事です。
光の海のような夜景の上には真冬の星空が広がり、暖房の効いた個室のテーブルには温かいご馳走が沢山。
それもこれも精霊のミカの計らいでした。
「ご飯もおいしそう!!」
ミカが予約までしてくれたんだから、一口づつでも味わおうと、いつきは真剣な顔で箸を持ちご飯に向かいます。
今日のいつきはもこもこのうさみみパーカー姿でしたが、今はそれを脱いでいます。下に着ていたのは温かい雪柄のノルディックセーター。しかし、ボトムスは柔らかなトレーンのついたショートパンツ。この季節に短パンで生足を見せています。元気な男の子らしい格好です。
「色々出るから、無理せず食べられるものだけでいいぞ」
そのご馳走を前にキラキラした顔に苦笑しながらミカはそう言いました。
ミカの方はヴィジュアル系のフリアンジャケットを脱いでスノーウッドのニットセーター。足下は黒のタキシードパンツです。いつきと対称的に大人っぽくキメています。
いつきは早速、グラスを手に飲み物を注いで差し出します。
「乾杯。えっと色々お世話になりました!」
元気よく乾杯をするいつき。
「乾杯、はいはい本当にお世話かけられました」
ミカはいつきの事をいじってやろうと思ってそんな意地悪な言い方をします。するといつきはぷうっと頬を膨らませてしまいます。
それをくすくす笑いながら見守り、ミカは用意していたプレゼントを取り出しました。
「バザーの時に言ってたピアスできたぞ」
ジュエリーデザイナーの彼は装飾品の事に詳しいのです。
それは、ホワイトサファイアのピアスでした。透明なホワイトサファイアに、片側はルビー、もう片側にはサファイアが寄り添うようについているのです。ホワイトサファイアの石言葉は「輝く知性」「聖なる力」。ルビーの石言葉は「情熱」「仁愛」「勇気」。ブルーサファイアの石言葉は「幸運」「天命」です。
「ピアスできあがったんだ。透明な石に別々に赤と青の石がついてる。これわざとなの? どうして?」
するとミカは何故か言葉を濁してすぐには答えてくれませんでした。気だるげな表情を顔に浮かべてすっと視線をそらしてしまいます。
「ねえ、ねえ、どうして」
秘密をどうしても知りたくていつきはせっついてしまいます。
「3つのどの石も鉱物としては同じ仲間だ」
すると、ミカはそうとだけ答えてくれました。ルビーもサファイアもコランダムという酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物なのです。不純物イオンにより色がついて、その色合いによって呼び分けられているだけの違いです。
「赤と青……青っていったら……あ! なんだか今ひらめいた! もしかして、透明な石が俺で、青いのはレーゲン? でも、もう片方には赤いのがついてるよ? これはミカだよね?」
そう気がついて、いつきは喜色満面。
喜びをそのまま顔に出して本当に嬉しそうに笑います。
ミカがピアスにそうした特別な想いをこめてくれた、そしてそれに自分は気がつく事が出来た……。その想いと気づきが幸せな感情を呼び起こすのです。
「何でこういう事は察しやすいんだ。…俺と組んでるときでもあいつが一緒と思えば落ち着くだろう」
何も気にしてない事を装うように料理をつつきながらミカはそう言いました。
「「同じ仲間」で「いつでも二人がそばにいてくれる」ってことだね。うれしい……ありがとう、ミカ。大事にする、絶対ぜったい大事にするね」
あまりの嬉しさに目尻に涙まで浮かべながらいつきは感動を露わにしています。感激と幸せのあまり涙まで見せて大喜びするいつき。
(だから言うな、恥ずかしい事真顔で言うな!)
クールに気だるげに何も気にしていないような顔をしながら、ミカは必死に目で訴えます。
しかしいつきの感動はとどまることを知りません。ミカにとっては恥ずかしくてたまらない”いつだって同じ仲間”、”いつだってそばにいる”、そんな言葉を連ねて自分の感動を伝えようとします。ミカは慌ててさえぎるように言いました。
「別に俺の趣味じゃないから、お前が喜びそうだからそうしただけだ。ほら、いいから食べろ!」
そう言ってミカはいつきの取り皿に次々とおいしそうな料理を押しつけ始めました。
「なんで怒ってるの? 食べるけど……そんなにどんどんお皿にのせないでよ」
一人では食べきれないぐらいの量をお皿に取られてしまっていつきは困惑顔。
「まったく…喜びすぎなんだよ」
そんな怒ったような口ぶりのミカでしたが、その口元には知らない間に笑みが浮かんでいるのでした。
ミカの伝えておきたいことはそのピアスの中に詰まっています。最初の目的のピアスを渡す事が出来て彼もとても満足でした。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 森静流 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | ロマンス |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 11月30日 |
出発日 | 12月08日 00:00 |
予定納品日 | 12月18日 |
参加者
会議室
-
2015/12/07-22:38
-
2015/12/07-22:35
恥かしいし、ハードル高いよな色々と
くそーランスめ、なんかニヤニヤしてやがる
俺だって、いう時には言うんだからな(むきーーーっ
3.ってなんだよ3って(うぐぐぐ
けど言うぞ
とにかく言わなきゃ
ええとええと
何か口走りそうだが気にしてられない( -
2015/12/07-22:28
-
2015/12/07-22:28
-
2015/12/07-22:28
蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
皆様、宜しくお願い申し上げます!
フィンと二人、まったり過ごせたらなと思います。
一応、1…の予定です。
良い一時になりますように! -
2015/12/07-22:02
-
2015/12/05-19:12
咲祈とサフィニアだ。よろしく。
まあ…色々ありはしたけれど、サフィニアがリフレッシュも兼ねてなんか食べようって言うから来たのさ。
4みたいに雰囲気が良い感じではあるけれど、1…だろうか。
きす? なんだいそれは。魚の名前かい? …ふむ、興味深い…。
サフィニア:(なんで魚の名前は知ってんの…) -
2015/12/04-22:35
ミカ:
信城いつきと相棒のミカだ、どうぞよろしく。
最近いろいろあったし、たまには外でゆったり暖かいものでも食べるか。
当日の行動は1にも近いが、ここで俺がキスなんてしようものなら 泣きそうな精霊が1名限定でいるんで、一応2で行動する予定だ。
みんなも楽しい年の瀬をすごせるといいな