【お菓子】前日トラブルは甘く解決(真名木風由 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●ある意味幸運?
 『あなた』達は、重々しく溜め息を吐いた。
 その溜め息の原因を思い出すだけで、憂鬱になってくる。

 前日、『あなた』達はマントゥール教団の拠点のひとつへ赴き、バイオテロの目論見を阻止する任務に携わっていた。
 デミ・オーガも警備に携わるその拠点の地下は研究所になっていて、『あなた』達は阻止に動き、研究所の責任者(と言っても任されただけで地位自体はそこまでといった人物らしいが)の拘束に成功……だったのに。
 責任者は一瞬の隙を衝いて、懐のボタンを押した。
 直後、薬品が爆発、ウィンクルム達はもろに薬品を被り、煙も吸い込んでしまったのだ。
 逃げようとした責任者こそ逃走阻止に成功したが……由々しき問題が。

 神人と精霊の人格が入れ替わっていた。

 ここまでであれば、過去に違う経緯ではあるが一時的に神人と精霊の人格が入れ替わった事案はあり、あんまり良くはないけど、ウィンクルムも混乱しない。
 人格の影響がそうさせたのか、その身体つきが反転しているのだ。

 神人の人格が入った精霊の身体が女性らしい身体へ。
 精霊の人格が入った神人の身体が男性らしい身体へ。

 身長据え置きである所を考えると、性別が変わったと言うより、擬似的に外見の肉体がそうなっただけ(細かく調べれば性別は変わっていない)なのだろう、とは、A.R.O.A.本部の見解。
 とりあえず、拘束した責任者を尋問して解決方法の糸口を見つけるということで、一旦帰宅、待機するように言われた『あなた』達。
 途方に暮れる『あなた』達へ、本部の職員がフォローなのかトドメなのか判断つかない微笑を浮かべて、こう言った。
「ある意味幸運ですよ? だって、相手に自分の身体を正確に知られないのですから」
 今回のケースは明確な解決方法がまだ不明……判明まではこの身体で過ごさなければならない。
 が、時刻は既に夜……任務の後だ、汗もかいたし、着替えたい。お風呂にだって入りたい。
 ……入れ替わっただけ(肉体性別据え置き)なら、神人は精霊の身体を、精霊は神人の身体を見なければならないだろう。

 ……。

 『あなた』達は、思わず顔を見合わせた。
 そう考えると、複雑だけど、自分の本当の身体を見られないという意味では守られたかもしれない。
「これも、女神様の加護を受けたウィンクルムならではですね」
 女神様が本当にそういう意味で加護してくれたかどうかは知らないが、とりあえず、ウィンクルムじゃなかったらどうなっていたか分からないので、ウィンクルムで良かったと思った。

 ……ということで、一晩無事に過ごし、本部へとやってきた。
 一室に通された『あなた』達は、職員の到着を待つ。

●ひ ど い
「という訳で、ジャック・オー・パークを視察がてらデートしてはいかがでしょうか」
 『あなた』達の表情の変化を他所に女性職員が微笑を湛えて仰った。
 解決方法はどうした、このままでいろというのか。
 様々な感情が過ぎり、説明した女性職員へ実際に言った者もいる。
「責任者の方がまだ口を割らない状態です。引き続きお伺いしております。ですが、ジャック・オー・パークもウィンクルムの皆さんのお陰で日々アトラクションが解放されていますが、また襲われない保障もございません。そこを見ていただきたいのです」
 それはありうる可能性だ、だが、この状態……トランスは事態が想定出来ない為していないが、もしトランスしなければならない状況になったら、どうしろと言うのだ。
 ……大体、この状況であまり出歩きたくないし。
「大丈夫です。今日は他のウィンクルムも視察していますから、すぐに駆けつけてくださいますよ」
 だったら、自分達は視察しないでもいいじゃないか、解決方法判明まで動きたくない。
 そう言おうとした『あなた』達は、ハイと何かを渡された。
「今日まで有効期限の食事券です。高いものらしいので、無駄にしないでくださいね」
 『あなた』達は泣きそうな気分で受け取り、ジャック・オー・パークへ向かうことにした。

 だから、『あなた』達は見送ってくれた女性職員が、取調べ状況を詳しく知る男性職員とこういう会話をしたのを知らない。
「真相教えても良かったんじゃないのか?」
「双方最高に盛り上がる、というものですか?」
 実は、責任者は既に自供していた。
 女性職員は意図的に伏せた理由をこう述べた。
「最高に盛り上がるムードは自分達の意思で作り上げるものでもないでしょう。作ったムードで元に戻る保障もありません。自然に高まるものでないと、難しいかと」
 心からの盛り上がりである必要があるなら、その情報を全く知らない方がいいのでは。
 知ってしまうと元に戻ることが頭を過ぎり、解決に至らないかもしれない。
 上層部も同じ見解らしく、伏せておいていい、という指示も受け取っていたと話す。
「確かに意図して作るもんじゃないな。ジャック・オー・パークの視察がてらとは言え、無事のアトラクションでデートするなら、盛り上がることもあるだろうし」
「それに、何かあっても他のウィンクルムがすぐに駆けつけることも出来ますから」
「ま、オーガ連中がいて危ないように見えても、実はウィンクルムが多くいるから安全は安全だな」
 元に戻るといい。
 職員達はそんな会話を交わして仕事に戻っていく。
 頑張れ、ウィンクルム───そんな願いを抱きながら。

 そうとは知らない『あなた』達は、ジャック・オー・パークへ到着。
 不安はあるが、パートナーと共に過ごそう。
 せめて不安がらせないよう、心配をかけないよう、ひと時忘れて楽しく振舞いたいという思いを胸に抱いて。

解説

●状況整理
・前日任務中に神人と精霊の人格が入れ替わり、身体が人格にそぐったものになってしまった。
・翌日本部でまだ判明していないので、ジャック・オー・パークへ視察がてらデートするよう言われ、送り出された。

PL情報
・実は判明している。解決方法は「最高に盛り上がる」こと。

●巡れるアトラクション(2つまで選択可能)
・ジェットコースター
園内に幾つかあるジェットコースターの内の1つで結構怖い。

・スピードスター
2人乗りのカップルシート。
暗闇の中を予測不可能な動きで駆け巡る。
体感スピードはあるが、絶叫系ではない。

・ヴァンパイアの招待状
2人乗りのゴンドラに乗り、ヴァンパイアの屋敷をゆっくり巡る。どこかコミカルで恐怖はない。

・ジャックオーランタンのパーティー
10人乗りの自動操縦のボートに乗り、ジャックオーランタンのパーティーを見て回る。
可愛い系アトラクション。

・人魚の涙
自動操縦の小舟。2人乗り。
広い池をゆっくり巡る。夜景が特に綺麗。

・大観覧車
カボチャの形をした、全て透明のゴンドラ。
夕方~夜の景色は見事。

●レストラン
夕食に下記料理を楽しめます。
・王様とお后様のコース料理
豪華なコース料理。
・海賊達の晩餐
海鮮系の豪快な料理。
・お化け達のおもてなし
コミカルな肉料理。
・小人達のご馳走
小皿料理多めの手が込んだ家庭料理。
・魔女達の秘密
野菜多めのヘルシー料理。

●消費jr
・昼食に300jr消費

●注意・補足事項
・基本個別描写ですが、園内で会った場合は挨拶程度の軽い絡みがあります。
・公共の場です。TPO注意。
・ウィンクルム達は『仮装』して、特殊効果利用可能。ただし、リザルトでは神人・精霊の仮装どちらか1つの特殊効果利用となります。
仮装の種類と特殊効果については、下記にてご確認ください。

https://lovetimate.com/campaign/201510event/halloween_episode.html

ゲームマスターより

こんにちは、真名木風由です。
今回は、ちょっと(?)ハプニングがあった翌日のデートです。
何も知らない形で送り出されていますので、プラン作成の際はご注意ください。

神人は精霊の身体、精霊は神人の身体で動きますが、身長据え置きでも身体の性別が擬似的に反転しています(スタイル指定OK)
完全な性別反転というものでもないので、元に戻れば身体つきも戻ります。
最高に盛り上がった時点で戻る為、キス以上には発展しません。(それ以上の具体的な行為は公共の場でもありますので、記載あっても不採用となります)

今は相手のことを気遣い、1日楽しく過ごしましょう。
それこそが解決の早道です。

それでは、お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ひろの(ルシエロ=ザガン)

  普通体型のCカップ(元の体はBカップ
仮装:ドラキュラ

前髪下ろした三つ編み。

慣れなくて動きづらい。
こけないように気を付ける。ルシェは大丈夫かな。
見られて、る?(落ち着かない
ルシェの体だから?
(ルシェ=きれい=目立つの図式

「人魚の涙か、観覧車」絶叫系とか速いの、苦手。
「ルシェは」乗りたいのとか。
ルシェも大変なのに。(気遣いは嬉しい

大観覧車:
景色、綺麗だけど。
足元透明は、少し怖いかも。(尻尾が体に巻きつく
「だい、じょうぶ」
ち、近い。(少し仰け反る
(体違うのにドキドキする。なんでだろ……)
くっつくの、安心する。(目を瞑る

夕食:お化け達のおもてなし
ルシェ、食べ方もきれい。
私もマナー覚えた方がいいのかな。



久野原 エリカ(久野木 佑)
  仮装無し

心情:
バカ犬の体なのに女の体……なんだか頭がごちゃごちゃしそうな状況だな。

……だけど、身長……高い……大人の女性になった気がする……高いぞ!(実はメチャ嬉しい

行動
乗るもの:スピードスター、大観覧車

スピードスターならジェットゴースターより怖くないと思ったんだ……って結構揺れるなこれ。
「……むしろお前が大丈夫か」(手を伸ばして逆に支えようとする
これが、いつも私の手を引いてくれる彼の目線……か。

大観覧車は夕方ごろの景色を見たいな……そのあと夕食にしよう。

レストランメニュー:小人達のご馳走

あまり食べないからな、私は。

補足:
他人と絡む時は人見知りモード。だが隠れる相手がいないので落ち着かない。



水田 茉莉花(八月一日 智)
  …ほづみさん
「ひょっとしてこのまんまでもいいや背が高いから」
って思ってません?

やっぱりそう思ってた
んもう、これが続いたら会社も休むこと頭に入れないと
…って、ちょっと、引っ張っていかないで下さいよ!

もういい加減にして下さいほづみさん!
…いっつもそうじゃないですか
ご飯に釣られて依頼受けたり、依頼受けた先で面倒起こしたり!
引っ張られるあたしの気持ちって考えた事あるんですか!

それって、
あたしが職を無くした上に
アパートも焼けちゃった日の事、ですか?
確かに、この一年間あの日のこと考えてなかったかも

…忘れてたのはありがたかったです
けれど、引っ張り回されるのは困ります
だから、今日はあたしの食べたい物にします!


桜倉 歌菜(月成 羽純)
  体系:グラマーですらっとしている

いくら身体が女の子とはいえ、これは羽純くんの身体…!
落ち着く訳がないですっ
けども…視線が高くて感動
これがいつも羽純くんが見てる景色なんだ…

それにしてもやっぱり羽純くんは綺麗で
つい着飾りたくなるのは仕方ないよね…!
胸もこんなにあるし…
仮装はウィッチ

ヴァンパイアの招待状
大観覧車(夕方)
に乗る

夕食は王様とお后様のコース料理

羽純くんの身体で滅多な事は出来ないので、絶叫系は避ける
ヴァンパイアの衣装って素敵で好き
羽純くんが着たら…寧ろ羽純くんが吸血鬼だったら(妄想)

観覧車で夕焼けに見惚れる
夕焼けは好き
あのね、もしもしもこのまま戻れなくても…
私は羽純くんとずっと一緒に居たいな



秋野 空(ジュニール カステルブランチ)
  魔女仮装

理想の高身長モデル的スレンダーボディになったが戻れるか不安
渋々散策へ
年下少年風ジューンの無邪気さと健気さに絆されペースに巻き込まれる

ジェットコースター:絶叫系好きなので気分が上向きに

小人達のご馳走:色々食べられて楽しい、レシピ知りたい

人魚の涙:ひとりで不安になっていた昨夜を思い出しました
でも、ジューンさんの強さと、優しさと、気遣いが身に染みて感じられて…
いつもこうして支えられ守られているんだなって改めて思います

恥ずかしいけれど今なら誰もいないから、ジューンさんに感謝の気持ちを言葉と行動で伝えたいです
ジューンさんが隣にいてくれたら、例え体がこのままでも変わらずに生きていける気がするから



●大事なのは、中身
(元に戻れなかったら……)
 秋野 空の表情は晴れない。
 今、ジュニール カステルブランチと中身が入れ替わっている。
 幸か不幸か、身体的には見た目男性ではなくなっているし、スタイルもモデルのようなスレンダーボディになっている。
 ジュニールの高身長は据え置きである為、今の状態は理想のスタイルと言ってもいい。
 だが、自分の身体ではない。
 元に戻ること優先でいたい為、ここへも渋々来た形だ。
「こんな経験滅多に出来ませんよ? 戻るのを信じて楽しみましょう」
 ジュニールがそう言って、空を見上げてくる。
 その容姿は自分が少年になったものであるが、それ以上に中身が違うからか、自分の外見がベースなのに別人のように見えた。
 自分を気遣う健気さ、楽しもうと笑う無邪気さ。
 自分が持っていないものをジュニールは持っている。
「そうですね……。どこにいても同じなら、少しでも上向きになることをしましょう」
 ジュニールは、絆されたように微笑む空の手を取った。
 驚いたような声が聞こえたが、ジュニールはその手を引いたまま歩き出す。
(ドキドキしますね)
 女性のような姿になった自分の中身は空。
 大人っぽい姿にもドキドキするが、自分の言葉で周囲への警戒が薄れて微笑む様が彼女だと思える表情で。
 不安を覚えているからこそ、手を繋ぐことを許して貰えてるのだろうが、ならば戻るまでの間、こうしていたい。
「まずは何に乗りますか? ジェットコースターはどうでしょう。叫べば気分転換になりますよ」
「では、そうしましょうか。……ジェットコースターは好きですから」
 少し強引に誘うジュニールへ手のことは触れずに返してくる空。
 絆されたことも手伝い、空はジュニールのペースに巻き込まれているが、空はまだ気づいていない。

 解放されているジェットコースターは、結構怖い部類らしい。
 高低差もループもかなりあり、楽しい悲鳴も本心から怖がっている悲鳴も聞こえてくる。
 並んで少し待つと、空とジュニールはジェットコースターに乗り込んだ。
 ゆっくり上がっていく過程で、風が2人の頬を撫でる。
「こうして見ますと、解放されているアトラクションも結構ありますね」
 空が周囲を見ていることに気づいたジュニールが声を掛けてくる。
「そうではないアトラクションもありますよ」
「ええ。だから、何があっても安心ですよ」
 空が解放されていないアトラクションに言及すると、ジュニールはそう微笑んだ。
 何かあった時の不安に気づいてる?
 空がそう思った直後、ジェットコースターは加速した。
 スピード速く落下したと思ったら、連続のループに入る。
 そのループも大きく描かれている為、高低差はかなりのものだ。
 ループが終わっても、計算し尽くされたコースは中々のスリル。
 ジェットコースターを降りる頃には、空も少し気持ちが上向いてきた。
「声を上げるのは、気持ちいいでしょう?」
「ええ。思い切り声を出すのは、いいことですね」
 空の楽しい悲鳴に気づいていたジュニールが空へ微笑んだ。
 肯定した空の手をジュニールが再び取り、引いたが、空はその手を振り解かなかった。

 解放されたアトラクションを多く巡り、気づいたら夕飯時になっていた。
 夕食は食事券があり、豪華なものが食べられると自腹の昼食時はフードコートで済ませていた為、より、夕飯への期待が高まる。
「どれにします?」
「小人達のご馳走がいいです」
 ジュニールの問いに食事券を眺めていた空が返す。
 小人達のご馳走の説明には、『小皿料理多めの手が込んだ家庭料理』と記されており、種類豊富さに目をつけたようだ。
「では、それにしましょう」
 料理に興味津々な様子の空に瞳を細め、ジュニールがレストランへ促した。

 小人達のご馳走は、文字通り手が込んでいた。
 ある程度こちらが自由に選べる方式になっており、空とジュニールが選んだ料理も次々とテーブルへ並んでいく。
 まずジャガイモのパンケーキ、添えられたサワークリームへよく合った。
 キノコとジャガイモのグラタンには、中にスープがあって興味深い。
 魚とザリガニのサラダなどは珍しく感じたし、山菜のスープに鮭のカツレツ、牛肉の串焼と種類豊富だ。
 デザートは蕎麦粉のクレープで、手作りジャムと共に味わう。
「色々食べられて、楽しかったですね。手が込んでいましたし、レシピ知りたいと思いました。家に帰ったら、調べてみようと思います」
「家庭料理ですから、調べればきっとありますよ」
 ジュニールが満足げな様子の空へそう声を掛けると、空は微笑んで頷いた。
 料理名は控えておいたし、家に帰って調べる楽しさもお土産に出来たようだ。
 外に出れば、夜景が綺麗な時間……そろそろ帰る時間だが、あと1つはアトラクションに乗れそうだ。
「夕食の後ですし、のんびり出来るアトラクションにしませんか?」
「スピードあるアトラクション、という気分ではないですね」
 料理を楽しんだ余韻があるのか、空がそう提案し、ジュニールも頷く。
 2人は、広い池をゆっくり巡って夜景を楽しむ人魚の涙へ乗ることにした。

 自動操縦の小舟が水上を走り出す。
 夜景が綺麗という触れ込み通り、ライトアップされたジャック・オー・パークを少し客観的な位置から見られてとても美しい。
 が、それだけに、空はもうすぐ帰る必要がある現実とここへ来るまでの不安を順に思い出してしまう。
(昨夜の今頃……不安でしたね)
 もうこの時間には今の状態になっていた。
 独りで不安なまま朝を迎えて、ここへ来ることになって……けれど、ジュニールのお陰で今まで楽しかった……それは、ジュニールが自分を気遣ってくれたからだろう。
 大丈夫だと笑ってくれる強さと優しさがある彼の気遣いが、今日自分を笑わせてくれた。
(いつも、守られて支えられてますね……)
 無意識の内に、左手首の革のブレスレットに触れる。
 昨夜、ジュニールが戻るまでと渡してくれたものだ。
 空はそのことを話したことなどなかったが、ジュニールは空にとって何かある物なのだろうと気づいていたのだと、空はその時初めて知った。
 同時に、自分が思っている以上に、ジュニールは自分を守り、支えようとしてくれている、と。
「まだ不安ですか?」
 ジュニールが、そう声を掛けてきた。
 革のブレスレットに触れた動作を見、ジュニールは空が何かを考えていることに気づいたのだろう。今の状況では、その何かが何なのかは想像するに難くない。
「俺も不安じゃないとは言い切れませんが……俺がソラでソラが俺だから、まあいいかなって思います」
 やっぱり、ジュニールも不安だったのか。
 けれど、自分を不安にさせ過ぎないよう気遣っているのは、言葉以上に表情で感じる。
(恥ずかしいけれど、今なら誰もいないから……)
 空は、意を決した。
「今日、ジューンさんのお陰で、考え込まずに済んだと思ってました」
 空が切り出すと、ジュニールはちょっと驚いた顔を見せた。
 重ねて貰っている手を意識して握り返し、空は「ありがとうございます」と小さく言う。
「ジューンさんが隣にいてくれたら、例え身体がこのままでも変わらずに生きていける気がするから」
 ウィッチの仮装をする空の顔(実態はジュニールが女性になった姿だが)は、夜空の下でも分かる位赤い。
(仮装の特殊効果、使ってませんのに……)
 彼女が精一杯の勇気でそう言ってくれているとジュニールは嬉しくなった。
 ジュニールは空が握ってくれた手を自身へ引き寄せる。
「以前のソラも好きですが、今のソラだって俺は好きですし、例え外見が変わってもソラはソラですから」
 安心させるように微笑めば、空がほっとしたように微笑う。
 無防備なその状態で甘く噛み、「大丈夫」と告げた直後……ジュニールは目の前に空がいることに気づく。
 空も目を瞬かせている。
「戻った……?」
 驚いている間に人魚の涙、終了。
 後に真相を聞かされたジュニールは(キスまで待ってくれないなんて)とこっそり薬へクレームつけたらしいが、それは別の話である。

●気づかぬ気遣い
「……ほづみさん」
 水田 茉莉花は、八月一日 智の様子を見ながら尋ねた。
「何だみずたまり。この際思いっきり遊んじまおーぜー」
 そう笑う姿は、いつもの智ではない。
 茉莉花男性版といった姿だ。
 改造(?)してナイスミドルを目論む哲、低身長童顔を気にする29歳男子であるが、今はいつもより高い身長を満喫しているように見えた。
 茉莉花は智女性版といった姿で、その背丈は低い。
(他の人に比べて、絶対不安がってない)
 脳裏に過ぎるのは、他のウィンクルム達の顔。
 別行動ということで分かれたが、ここに来るまで不安そうな者もいた。茉莉花だって、今後を思えば不安、なのに。
「ひょっとしてこのまんまでもいいや、背が高いからって思ってません?」
 茉莉花は、智が思ってそうなことを言ってみた。
 すると、智はギクッという擬音が似合いそうなレベルで動きを停止させ、その視線を泳がせる。
「シンチョウナンテキニシテマセンヨベツニ」
 分かり易くも片言である。
 片言ということは、本心ではない=つまりそう思っている。
「やっぱり」
 茉莉花は、深い溜め息を吐く。
 智は、事の重大さを理解していないのだろうか?
「これが続いたら会社も休むこと頭に入れないと」
「まずはジェットコースターから行こうぜ! 片っ端から絶叫系攻めようぜ絶叫系!」
「ちょっと、引っ張っていかないでくださいよ!」
 智が茉莉花の言い分を封じるように手を引いていく。
 反論の声を上げてもお構いなし、といった具合だったが、茉莉花はジェットコースターの列に並ぶまで言い続けた。

(普通は、そうよね)
 列に並んだ為人目を気にして黙った茉莉花は、少し前に空とジュニールが並んでいることに気づいて思った。
 どこか不安そうな空を励ますようにジュニールが声を掛け、空がそれに応じている。
 耳に届く会話は、声を出せば少し気持ちが晴れるというもので、それを聞けばジュニールが空の不安を理解していると理解出来る。
 なのに、隣の智は……。
「へー、結構スリル重視のジェットコースターみたいだな。テーマがテーマだったし、あんま怖いのとかないと思ってたぜ!」
 不安も何もなく、ごくごく普通に自分とジェットコースターを楽しむ気満々である。
(そりゃー……ああいう女の子扱いされるのは、好きじゃない、けど)
 好きじゃない=されなくて当然と思われていいということでもない。
 茉莉花は、智自身の危機管理能力に物申したい気がする。
 けれど、タイミングを失ったまま、ジェットコースターへ。
「おおー!!」
 智は、茉里花の隣で手なんか上げちゃって、すごくすごーく楽しそう。
 茉莉花の呆れた視線にどれだけ気づいているのだろう?
「片っ端から絶叫系攻めようぜ、絶叫系!」
 ジェットコースターを降りた智は、キラキラしているという表現が似合う笑顔で茉莉花の手を引いていく。
 途中でリーフレットを入手して、どの絶叫系に行こうか、昼は早めにどっかで食べないと豪華な夕飯が入らない、とか、不安も何もあったものではない、いつもの智。
(智さん……あの、解ってます?)
 今の状態。
 ううん、あたしが何を思ってるか。

 夕方になる頃、茉莉花と智は解放されているアトラクションの内、絶叫系と呼ばれているものを全て制覇した。
「うっはぁ、乗った乗った絶叫系。夕飯にいい時間だな。食事券貰ったし、飯だな飯。昼早かったし、沢山食おうぜー。さて、ガッツリ喰えるのは……」
「……してください」
 歩く智の意に反するように足を止め、茉莉花は低く呟いた。
「へ?」
「もういい加減にしてください、ほづみさん!」
 男性版自分に向かって、智の名を呼ぶのも変だが、茉莉花はそんなことはどうでも良かった。
 今日1日で溜まっていた不満を、一気に爆発させたのだ。
「……いっつもそうじゃないですか! ご飯に釣られて依頼受けたり、任務先で面倒起こしたり! 引っ張られるあたしの気持ちって考えたことあるんですか!?」
 今回の一件は、智が起こしたものではない。
 分かっている。
 でも、元に戻るか戻らないか分からない今、元に戻らなくてもいいやと思ってそうなレベルで楽しそうで、ヘラヘラ笑っているなど!!
 解らない!!
「あいや、えっと、その……みずたまり、今まで喜んでなかったんだ……」
 智の声は、明らかに傷ついていた。
 この状況で喜べるかと反論する前に、智はライトアップされ始めたジャック・オー・パークへ視線を転じる。
「あのさ、おれは美味いモン喰っていっぱい遊ぶのが元気になるって思ってたんだ。だから、任務先でも美味い物が喰えるのをなるべく選ぼうって」
 茉莉花は、意外な回答に驚いていた。
 そういう任務を選んでいた?
 ほづみさん自身の為じゃなく、選んでた?
 何で? どうして?
 解らない……何で、選ぶの?
「そうしたら、あの時のこと、忘れられると思って……さ」
「あの時?」
「あの時、ひどい顔してただろ」
 茉莉花は、もしかして、と記憶の糸を手繰り寄せる。
 智と初めて出会ったあの日は、人生最悪とも言える日だった。
 いつも通りに出勤したら、ある筈の職場はなく。
 そして、住んでいたアパートは火事で全焼。
 これからのことなど、何も考えられない。
 そんな状況で、茉莉花は智に声を掛けられたのを憶えている。
 力ない声の応答を智がどう思ったかは分からないが、暫く自分の家で泊まるよう彼は言い、戸惑いながらもその選択肢しかない為にその背中を追い……数日後、顕現して、保護施設へ移る為に一旦別れた。
 そして、智が適合した精霊だと再会して───
「あたしが職を失くした上にアパートも焼けちゃった日のこと、ですか?」
「他に何あるんだよ。自覚してなかったかもしれないけどな、消防車の合間でへたりこんで、すげーヒドイ顔してたぜ?」
 茉莉花が尋ねると、智はあっさり認めた。
(この1年間……あの日のこと、考えてなかったかも)
 言われてみれば、確かにそうだ。
 引っ張り回されたというのもあるかもしれないけど、考えてる暇なんかなくて、考えなかったから、落ち込むこともなくて……。
「鬱陶しかったら、もう、止めるから……」
 智は、しゅん、と落ち込んでいた。
 茉莉花が落ち込まないよう、少しでも気が晴れるよう考えた結果が裏目に出たというのが、ダメージ大きいらしい。
「……忘れてたのはありがたかったです。けれど、引っ張り回されるのは困ります」
「やっぱり困るよなー」
 茉莉花の言葉に、智がますます落ち込む。
 本当に解ってない人だ。
 茉莉花は、心の中で苦笑する。
 あの時、智がいなかったら、自分は思考停止させたまま動くことも出来なかっただろう。
 そして、彼は住む家(彼の家に同居だが)だけでなく、勤務先も用意してくれた。
 顕現前に家へ暫く泊まれと言ったことを考えれば、智は自分が彼の神人だから声を掛けた訳ではないというのが分かる。
 やり方はともかく、家も職も失った自分が落ち込まないよう気を遣ってくれていたことも今知った。
 引っ張り回されるのは困る、けれど、あなたらしさを失っていいということではない。
 だから、こう言ってやる。
「今日はあたしの食べたい物にします!」
「ってあれ? 食べたい物ってどゆこと?」
「ほづみさんの食べたい物は却下」
 戸惑う智へ、茉莉花は笑う。
 あなたがあたしを振り回すなら、あたしがあなたを振り回しても文句はないでしょ?
 こちらも、振り回す……それだけのこと。
「えと、何食うの?」
「魔女達の秘密」
 野菜多めのヘルシー料理。
 種類異なるトマトのカプレーゼに秋野菜のラタトゥイユ、サーモンと柿のカルパッチョ、和風ロールキャベツ、コラーゲンたっぷりの豆乳鍋……と茉莉花がメニューを読み上げていく。
「……ガッツリ喰えねぇ」
「却下」
 不平そうに呟く智へ茉莉花が笑い、気づいた。
 目線が、いつものものになっている。
 いつの間にか、戻っていた。
「片言で不平言わないでくださいよ」
 先回りした茉莉花が智を連れてレストランへ入っていった。
 後日聞く真相で振り回されるのは、どちらだろう?

●知らなかった目線
 久野原 エリカは、久野木 佑をじっと見た。
(バカ犬の身体なのに女の身体……何だか頭がごちゃごちゃしそうな状況だな。そして、バカ犬は私の身体、でも男の身体……)
「あの、あまり見ないで、ください……」
 佑は、エリカの視線から逃れるように呟く。
 何故なら、佑が着用しているのはゴスロリワンピース。
 エリカの服をそのまま着用しているが、男性版エリカの身体つきは細マッチョ……女性もののゴスロリワンピース(当然男性用のものをエリカは持っていない)を身に纏う今、あまり見られたい状態ではないらしい。
 ちなみに、この姿でA.R.O.A.本部へ行った所、食事券を渡した女性職員は、「言ってくだされば弟の服位貸しましたのに」と微笑崩さず言ってくれて、地味に佑へ大ダメージ叩き出してくれた。
(昨日の時点で、それは……)
 言って欲しかった。借りたかった。
 だが、借りてる時間もないのでこのまま来たという訳だ。
 佑の落ち込みとは対称的にエリカは別にそうでもなかったりする。
「それにしても……身長……高い……大人の女性になった気がする……高いぞ!」
 普段152cmのエリカ、身長170cmの世界が、実はメッチャ嬉しい。
(エリカさんが楽しそうだからいいかな)
 佑、思考放棄で自分の精神を保つ道を選んだ。

 2人がまずやってきたのは、スピードスターというアトラクションだ。
 一見すると、何でもないアトラクションだが、2人乗りのカップルシートはジャックオーランタンの頭を模しており、アトラクション開始時に閉ざされる為、周囲の景色は見えない。
 互いの顔がやっと判る暗闇状態で、前後左右、予測不可能に駆け巡るのだ。
 実際のスピードはそこまでではないらしいが、暗闇の中、予測不可能という状態が体感スピードを感じさせるらしい。
「スピードスターならジェットゴースターより怖くないだろう」
 エリカが佑を見下ろし、そう告げる。
 女装状態で心境は複雑だが、佑はそれでもエリカを精一杯エスコートしていた。
 いつもと違うからか、中々上手く出来ない……いや、いつも上手く出来ていただろうかという不安さえ覚えてしまう。
 エリカを優先するようにカップルシートへ乗り込み、スピードスター開始!
「結構揺れるなこれ」
 暗闇の中で予測不可能に動く為、体感スピードもあるが、身構えることが出来ない為に揺れを感じる。
「っと……大丈夫ですかエリカさん……」
 安全ベルトをしているとはいえ、予測不可能の動きでは揺れて大変だろうと佑が手を伸ばそうとする。
 だが、身長が足りない。
「……寧ろお前が大丈夫か」
 エリカが身長が低くて支えられないと思う佑へ手を伸ばし、揺れから守るように支えてくれた。
「……うっ、申し訳ないです」
「予想出来ない動きだからな、仕方ないだろう」
 佑の謝罪にエリカは気にするなと応じる。
 けれど、まだ、スピードスターは終わっておらず、暗闇の中、互いの姿を何となく見た。
(これが、いつも私の手を引いてくれる彼の目線……か)
 佑にとって、自分は小さいのだろう。
 手を引いてくれる佑は、こんな風に見えていたのか。
(エリカさんから見て、俺ってこんなに大きかったんだなぁ……)
 その目線になったから、気づいた。
 自分の目線は、それが当たり前だから意識したことがない。
 エリカの目線で物を見ると、自分が大きいと思う。
 今まで、エリカはこの目線から自分を見ていた……どんな風に?
(いつもちゃんと、守れてたのかな。俺。その身体で)
「何か言ったか?」
「あ、いいえ。何も」
 エリカに問われ、佑は首を振った。
 揺れに紛れた独白は、聞こえなくていいこと。
 ……ちゃんと守れてたか解らないけど、どんな身体でもちゃんと守れるようにしないと。

 スピードスターを降りると、次はどのアトラクションに乗ろうかという話になった。
「大観覧車は夕方から夜の景色が見事らしい。夕方頃の景色が見たいな」
「それなら、大観覧車は後ということで」
「その後、夕食にしよう」
 夕食は、エリカがあまり食べない為、小皿料理が多めの手が込んだ家庭料理という触れ込みの小人達のご馳走ということになった。
「昼食も早めの方がいいかもしれないですね!」
「昼遅いと、ますます食べられなくなるかもしれないな」
 佑の提案にエリカも頷く。
 昼食は早めに、それから軽めに。
 そうした取り決めもしながら、2人は違う目線でジャック・オー・パークを歩いていく。

 急ぐこともない為、ゆっくり時間を掛けてアトラクションを巡っていき、やがて、夕方となった。
 この大観覧車はジャック・オー・パークにあるものの中では珍しく、全て透明のゴンドラだ。
 他の大観覧車とは異なる色を出す為だろうと会話を交わし、エリカと佑はゴンドラへ乗り込む。
 このゴンドラもカボチャの形をしていて、ハロウィンを意識した拘りが見えた。
「綺麗という触れ込みは本当だったな」
 エリカが感心したように外の景色に視線をやった。
 透明のゴンドラというのもあるだろうが、ジャック・オー・パークの夕方に自分達が溶け込んでいるような錯覚を覚える。
 視線をやると、他のゴンドラで景色の見事さに目を奪われている者も見え、透明のゴンドラということで迂闊なことはしないだろうが、彼らだけの時間を過ごしているだろう。
 佑は、そのエリカの横顔を見ていた。
(いつ戻るか解らない。でも……守って、みせます)
 どうしたら、彼女を守ることが出来るか。
 答えが出ている訳ではないが、出来ないと嘆くのではなく、出来るように努力したい。
「どうかしたか?」
 視線に気づいたエリカがこちらを見てくる。
 いつもだったら気づかなかった彼女の目線で、佑は笑った。
「夕暮れの中に浮かんでるみたいで、今日エリカさんとお出かけして良かったと思ってました!」
 こんな状況だったけど、こんな状況だったから出かけて良かった。
 知らなかった世界に気づくことが出来たのだから。

 大観覧車を降りると、予定通り夕飯という流れになった。
 当初の予定通り、小人達のご馳走となり、2人はある程度自由に選べる中から選択した料理が来るのを待つ。
「種類豊富で驚いたな」
「小皿料理でしたからね。手の込んだ家庭料理とのことですが、どのようなものでしょう」
 そんな期待に胸を膨らませていると、それを裏切らない料理がテーブルの上に並ぶ。
 新鮮な野菜とチーズの入ったサラダは、オリーブオイル主体のドレッシング、仕上げのバルサミコ酢がさっぱりとした味わい。
 ナスのフライはキュウリとヨーグルトのディップが添えられていて、外側の香ばしさにも中の柔らかさにもよく合った。
 レモンジュースでマリネしたという鶏肉はローストされ、豚の串焼きはオレガノの風味が利いていた。
「お腹一杯になってきました……」
「今は互いの身体だったな。性別は異なっても胃の許容量は劇的に変わらないか」
 佑の言葉にエリカがタコとトマトのパスタを食べる手を止める。
 こういう所でも、互いの無意識の違いを実感した。
「いつも、これしか食べてなかったんですね」
「私はこんなに食べられるのか、という所だな」
 そんな感想を交わし、沈黙が降りる。
「もし、このまま戻らなくても……俺はエリカさんを頑張って守りますから」
「背、私の方が高いぞ? スピードスターのように……」
「守って、みせます! 中身が入れ替わっても、エリカさんはエリカさんじゃないですか」
 エリカへそう言った後、佑は我に返って、小さく謝った。
「佑」
 エリカが、彼の名を呼んだ。
「その……出来ないだろうとは言っていない」
 頼りにしていると素直に言えないエリカの精一杯だ。
 目線が変わっても、それは変わらない。
「エリカさん……俺、頑張りますから!」
 その瞬間。
 互いが、目の前にいた。
「あれ?」
「戻った、か?」
 いつもの目の高さに戻っている。
 つまり、元に戻ったのだ。

 後日聞いた真相で戻った理由は知ったが、それ以上にこの日互いの目線を知ったことが、2人にとって大きいことだったかもしれない。

●安心に触れたくて
(慣れなくて動き辛い……)
 ひろのは、ルシエロ=ザガンの身体で考えた。
 自分の性別に合わせたかのようにルシエロの身体も変化し、女性らしくなっている。
 胸の大きさも自分の身体のものよりルシエロの身体の方が大きいこともあり、それも戸惑う要因となっている。
(こけないように気を付ける。ルシェは大丈夫かな)
 そのルシエロは、自分と同じドラキュラの仮装をしている。
 男性版自分の姿となったルシエロの身体つきは、服の上からも引き締まっていると判る。
「人間の身体能力は低いな」
 手を開閉させているルシエロは、その感想だけ呟く。
(が、今は楽しむか。その方がヒロノも気が紛れるだろう)
 特に1番最後を口にすると、ひろのは一歩後ろに引いて気遣われることに対して気にしてしまう。
 だから、言わない。
 と、ルシエロはひろのが落ち着かない様子で周囲を見回していることに気づいた。
「どうした、ヒロノ」
「見られて、る?」
 周囲の視線に気づく度、ひろのの前髪下ろした三つ編みが緩く揺れる。
 自分の身体である筈なのにひろのがその中に入っているだけで、印象が大きく違う。性別だけの問題ではない。
「ルシェの身体……だから?」
「どうしてそうなる」
 そう結論づけるひろのへルシエロが苦笑する。
「ルシェは、綺麗だから」
 だから、周囲の視線を引く、言ってしまえば目立つと思ったのだろうか。
 ひろのの図式が見えたルシエロは心の中で苦笑を零す。
 自身の、手を伸ばして支えたくなるような振る舞いが助けてやりたくなるという男の庇護欲を刺激していると至らないのが、ひろのでもあるが。
(だが、オレ以外にヒロノを教える必要はない)
 愛しい姿を知っているのは自分だけでいい。
 自覚している執着を見せることなく、細めていた目を戻したルシエロは落ち着かない様子のひろのへ問いを投げかけた。
「行きたい場所はあるか?」
 視察の名目はあるが、アトラクションを楽しむのだ、行きたい場所に行った方がいい。
 すると、ひろのは「人魚の涙か、大観覧車」と答えた。
 絶叫系やスピード系は苦手のひろのにとって、ジェットコースターやスピードスターは回避したいらしい。
「ルシェは」
 乗りたいのとか、ないのだろうか。
「オマエに無理をさせる気はない」
 その言葉で、ひろのはルシエロが絶叫系やスピード系に興味があることに気づいた。
 けれど、自分を気遣ってくれる。
(ルシェも大変なのに)
 でも、その気遣いが嬉しい。
「人魚の涙と大観覧車なら、大観覧車だな。夕方から夜が見頃なら、夕食には間に合う時間帯だ」
 園内のリーフレットと食事券を確認しながら、ルシエロが呟く。
(ヒロノへの視線も減るな)
 ルシエロは心の中で推した理由を呟き、ひろのを見上げた。
(何だか不思議)
 ひろのは、心の中で呟く。
 目の前にいるのは、男性版の自分だ。
 けれど、中身がルシエロだからか……頼りになる。
 自分の姿をしているのに、不思議。

 絶叫系やスピード系を避けたアトラクションを昼食挟みつつ巡っていくと、大観覧車に乗るいい時間帯となった。
 全て透明のカボチャのゴンドラへ乗り込むと、ゆっくり上昇していく。
(景色、綺麗だけど)
 ひろのは、足元を見る。
 全て透明である為、足元も透明……少し怖いかも。
 自然と尻尾が身体に巻きつくと、少し上のゴンドラにエリカと佑を見つけ、あの辺りは絶景そうだと思っていたルシエロが気づいた。
「大丈夫か」
「だい、じょうぶ」
 身体に巻きついた尻尾も少し震えた声も……ひろののその言葉とは反対であると教えているのに。
 強がりと思いながら、ルシエロはひろのへ乗り上げるように近づいた。
「怖いなら素直に言え」
「ち、近い」
 少し仰け反るひろのの顔色は、鮮やかな赤。
 外の夕暮れよりも、その髪色よりも美しい赤。
「言えるように甘噛みしてやろうか?」
 仰け反った首筋に顔を近づけると、その赤はますます鮮やかなものとなる。
 半分本気だが、今してはいけないことだとも解っている。
「……」
 仮装の効果を忘れていたとばかりに真っ赤になって硬直しているひろのを見、ルシエロは苦笑して腕を伸ばす。
(身体はオレのかもしれないが、ヒロノだ。愛おしい)
 口づけしたい、自身の欲求よりもひろのを安心させたい。
 何も怖くないと安心させるように抱きしめ、背中をゆっくり撫でてやる。
 徐々に、徐々にひろのの緊張が解けていく。
(身体違うのにドキドキする。何でだろ……)
 けれど、今このくっついている状態はひどく安心する。
 ルシエロがくれる温もりに身を委ねるように目蓋を閉じた。
(私の身体で抱きしめてくれてるのに、違う。……ルシェの温もりがする)
 だから、安心するのかな。

「ヒロノ、外、凄いぞ」

 あれ、とひろのは思った。
 ルシェの声がする、と。
 目を開いてみると、目の前にはワインレッドの髪が揺れている。
「戻った……?」
「らしい」
 あのひと時の間に何かが作用したかもしれないが、詳しいことは解らない。
 が、ひろのはルシエロが教えてくれた外の景色に目をやった。
 ちょうど真上、下を見るとちょっと怖いけれど、ルシエロが「これなら落ちない」と手を重ねてくれたから、もう大丈夫。
「綺麗……」
 ひろのは変わらないルシエロの温もりを感じながら、呟いた。
 夕暮れに溶け込むようなジャック・オー・パークは、息を呑む位美しい。
 そのひろのの横顔をルシエロは見ていたのだけど、ひろのは景色に目を奪われていて気づかなかった。

 大観覧車から降りると、ルシエロはひろのへ手を差し出す。
 姿がどうであっても、今日ずっとエスコートしてくれているその手に手を重ね、ひろのはルシエロをじっと見た。
「ルシェ……解かない、の?」
 ルシエロの髪は、ひろのがした三つ編みのままだった。
 前髪も下ろしたまま、彼は三つ編みを揺らして歩いている。
「たまにこういう変化も悪くない」
 ルシエロは、今日はひろのが一生懸命編んだ三つ編みを解くつもりはないようだ。
 ふと、大事と言外に言われた先日を思い出し、ひろのは恥ずかしくて顔を俯かせる。
 自分で動き易いようにと緩く1本の三つ編みにしただけなのに、ルシエロから今日限定の宝物扱いされているような気がして。

 夕食にと選んだのは、お化け達のおもてなしだ。
 コミカルな肉料理という触れ込みもあり、名前も可愛らしい系統が多い。
 が、どれもちゃんとした料理で、ひろのはちょっと驚いた。
(ルシェ、食べ方も綺麗)
 食べているのは、ただのマンガ肉なのに。
 なのに、ルシエロが食べているだけで絵になっている気がする。
(マナーがいいからかな)
 マナーを覚えた方がいいのだろうか。
 そう思うひろのの前には、手羽先がある。
 これもお化けイメージということで、可愛らしい飾りつけのプレートだ。
 でも、綺麗に食べるって……?
(何を気にしているんだか)
 視線に気づいていたルシエロは、ひろのの姿に微笑する。
「ヒロノ、料理の1番のマナーを知っているか?」
「?」
 ルシエロに問われ、ひろのは小首を傾げた。
「美味しく食べることだ。美味しく食べる以上のマナーはない」
「そう、なのかな……」
「オレはヒロノが美味しそうに食べるのが1番だと思うが」
 ルシエロにそう言われ、ひろのは手羽先に手を伸ばす。
 手羽先は、お化けがそれぞれ違うということで、手羽先の味つけが異なっている。
 違う料理みたい、とひろのは感心しながら、手羽先を美味しく食べていく。
(でも、ルシェみたいに食べてみたいな)
 自分が美味しく食べる姿を満足げに眺めるルシエロを見、ひろのは思う。
 だって、ルシェが食べているだけで、ハムの盛り合わせも凄いご馳走に見えるから。
(ルシェは、ルシェだから綺麗)
 姿がどうであっても、ルシエロはルシエロ。
 でも、やっぱり、目の前のルシエロが1番ルシエロで綺麗だと思う。
 そう思ったひろのの視線に気づいたルシエロが「どうかしたか」と尋ねてくる。
「何でもない」
 『私』が編んだ『ルシェ』の三つ編みが揺れて、よく分からないけど、何だかドキドキした。

●責任の取り方
 月成 羽純は、軽く溜め息を吐いた。
 でも、桜倉 歌菜の耳に絶対届いていない。
「歌菜……」
「羽純くん、どうしたの?」
 その会話、字面だけならいつも通りだ。
 が、実際は、女性版羽純の中身は歌菜で、男性版歌菜の中身は羽純である。
「出来れば俺の身体で着飾らないで欲しい」
 ジタバタしても状況は良くならない。
 なら、不安な顔をして歌菜を不安がらせるより、楽しもう。
 そう思っていた羽純は、歌菜の景色は自分と違って低いなぁと思っていたのだが、隣の歌菜のテンションの高さが不安レベルを上げていった。
「でも胸もこんなにあるし、勿体無いよ」
 女性版羽純は、出るとこ出ていて、引っ込む所は引っ込むという抜群のスタイル。
 そういう理由で仮装はウィッチを迷うことなく選んだ歌菜、「羽純くん綺麗だから、もうちょっと着飾りたいよね」という羽純的不穏当なことを言っているのだ。
「勿体無いというレベルじゃなくてな」
 何でそんなにテンション高いんだ。
 羽純がよく分かってない中、歌菜は心の中でこう言っていた。
(だって、いくら身体が女の子とはいえ、これは羽純くんの身体……! 私、羽純くんの身体にいるっ! 視線が高い、感動っ! こんな景色をいつも見てるなんて……)
 落ち着く訳もない興奮で胸をきゅんきゅんさせている。
 素敵だと感動する度に豊かな胸が揺れ……羽純は「落ち着け」と結構必死に宥める。
 細身の少年歌菜といった自分は、無難にドラキュラとしたのに。
 『歌菜』が『歌菜』であることを計算し忘れていた。
「あ、羽純くん、記念写真!!」
「記念写真?」
 今までの流れでどうしてそうなった。
 羽純が尋ねる前に、歌菜はデジカメを取り出す。
「この姿は記念に撮っておくべきだよ!」
「……まぁ、写真くらいは構わないが……」
「やった!」
 ぱあっと顔を輝かせる歌菜。
 だが、その容姿はいつものではない。女性のようになっているが、俺のだ。
「昨日から思っていたが、歌菜、俺の顔で百面相は止めてくれ」
「そんなことしてないよ!!」
 がーんとなる歌菜。
 それが百面相なんだよ。
「……ったく、仕方ない奴。元に戻った時、俺は自分の表情筋が痛くなってる自信があるぞ」
 そう笑って、腕を組んだ状態で記念撮影。
 さて、記念撮影も終わったし、ゆっくり巡ろう。

 最初に足を運んだのは、ヴァンパイアの招待状だ。
(羽純くんの身体で滅多なことは出来ないし、絶叫系はパスした方がいいよね)
 自分の身体だったら、絶叫系なのだけど。
(ヴァンパイアの衣装って素敵だよね。好き)
 羽純のヴァンパイアの衣装も歌菜の好みのものだ。
 中身は羽純だが、少年の自分が身に纏っている形だけど。
(羽純くんが着たら……ううん、羽純くんがヴァンパイアだったら、どうしよう。血吸われて眷族になっちゃうかもキャー)
 妄想滾らせた歌菜、羽純の顔の表情筋について全く考慮していない。
「歌菜……乗るぞ」
 歌菜の妄想を何となく感じ取った羽純がやれやれと溜め息を吐く。
 我に返った歌菜は気合を入れるように2人乗りのゴンドラへ歩いていった。
「折角ヴァンパイアの仮装もしてるし、混ざらないと」
「歌菜はウィッチだろうが」
「細かいこたぁいいんだよ」
「俺の口癖取るな」
 そんな会話を交わして乗ったゴンドラは、ヴァンパイアの屋敷へと向かっていった。
 来訪者がヴァンパイアの屋敷を巡るというシチュエーションで進んでいき、屋敷の各所ではヴァンパイア達がどこかコミカルに夜の世界を生きている。
 ホラー系ではなく、けれど、ストーリー性があるから幅広い年代層向けなのだろう。
「最後、朝が近いから棺でおやすみなさいってストーリーが可愛かったね」
「夜になったら起こして、とかな?」
 感想を言い合ってゴンドラを降りると、まだ昼前の日差しが降り注いでいる。
「灰にならないヴァンパイアだね」
「ウィッチの魔法のお陰だろう」
 歌菜の揶揄に羽純が肩を竦めて笑った。

 途中昼食を入れつつ、絶叫系・スピード系を避ける形でアトラクションを巡っていく。
「大観覧車乗ろうよ。夕方から夜の景色が見事なんだって」
「なら、乗るか」
 歌菜からの提案を受け、大観覧車へ向かう。
 全て透明のカボチャゴンドラは、歌菜と羽純を乗せてゆっくり上昇していく。
「ちょうどいい時間だな」
「うん。夕焼けが綺麗」
 夕焼けに見惚れる歌菜の向かいに座る羽純も夕焼けは綺麗だと思う。
 透明のゴンドラであるからか、まるで夕焼けの中にいるかのような。
(不思議だな)
 姿形は違う筈なのに、目の前にいるのは歌菜だ。
 あの時の知らない女性を思い起こさせる。
 羽純は思いを馳せるように夕焼けへ再び視線を転じた。
(夕焼けは、好き)
 歌菜はそう心の中で呟き、あの夕焼けを思い出す。
 ひとつとして同じ色のないパシオン・シーの夕焼け、あの時の羽純の瞳が綺麗で、それから……。
(って、それだと、私、まるで……!)
 キスされたいみたいじゃない!
 慌てて顔をぶんぶん横に振っていたら、ふと、下降を始めたゴンドラにひろのとルシエロがいることに気づいた。
(……戻ってる……?)
 ひろのの身体つきもルシエロの身体つきも戻っている。
 それ以上に空気が、戻っている。
「戻ってるみたいだな」
 羽純も気づいて、そう呟く。
 でも、自分達は戻っていない。
 ……戻れない?
「あのね、羽純くん」
 羽純が口を開く前に、歌菜が切り出した。
「もしも、このまま戻れなくても……この姿でずっといなくちゃならなくても……私は羽純くんとずっと一緒にいたいな」
 ウィンクルムとして活動を続けられるかどうか分からない。
 そうなったら、引き離されてしまうかもしれない。
 ウィンクルムであり、歌菜の祖父母が経営している弁当屋の看板娘と常連の間柄であり……私の命の恩人の息子さん……でも、そうでなくとも一緒にいたい。
「そうだな」
 羽純が、ふっと笑った。
「もし戻れなくても……その時は、俺が責任を取ってやるよ」
「責任……それって……って、あれ?」
 歌菜は、途中で自分の声が変わったことに気づいて、思わず間抜けな声を上げてしまった。
 話している途中で、まるで画像が切り替わるかのように自分の目の前にいつもの羽純が座っていたのだ。
「戻ったみたいだな」
「あれ、何で……でも、戻れたね、嬉しい!!」
 状況を理解した羽純の手を取り、歌菜がきゃーきゃー喜ぶ。
「バカ、ゴンドラの中で騒ぐな、停まったらどうする」
 羽純が跳ねそうな勢いの歌菜を宥めるのに苦労したのは言うまでもない。
 それこそ、自分が今ウィッチの格好(仮装に加えて歌菜によって更に着飾らされた)をしているなんて頭の片隅からもなくなる位。
 尚、後日真相を聞いた歌菜はひろのと同じように赤い顔を俯かせ、羽純とルシエロは互いの顔を見合わせるのだが、その辺りは別の機会に語ろう。

「ゴンドラ、停まらなくて良かったな」
「ごめんなさーい」
「それから、ウィッチ、着飾り過ぎだろう。胸元隠さないと」
「ごめんなさーい」
 羽純の隣を歌菜が謝りながら歩いていく。
 いつもの目線、いつもの歩調、いつもの空気。
 違っていた新鮮さも好きだけど、やっぱりいつもがいい。
「だから、夕食は王様とお后様のコース料理にする」
「確かデザート、パティシエの人が作っているんだよね」
 羽純の決定に歌菜がぽそりと呟いた。
「いいだろ。どうせなら、美味しいデザートが食べたい」
 見抜かれた気恥ずかしさはあるが、否定しない。
(それより王様とお后様にツッコミした方が良くないか?)
 意識すると思うから、言わないでおくが。

 レストランでのコース料理は見事なものだった。
 さっぱりとしたマリネにはムースとジュレが添えられ、コンソメスープは澄んでいるのに味がしっかりしている。旬の魚と蟹を用いた魚料理、雷鳥のローストはソースまで美味しい。デザートはマロンのクレームキャラメルとバニラアイスは、楽しみにしていた甲斐もある品で。
「何だか、夢みたいだったね」
「昨日の今頃の俺達に教えてやりたいな」
 歌菜と羽純はそう笑い合った。

 トラブルは、これにて無事解決。



依頼結果:成功
MVP
名前:ひろの
呼び名:ヒロノ
  名前:ルシエロ=ザガン
呼び名:ルシェ

 

名前:桜倉 歌菜
呼び名:歌菜
  名前:月成 羽純
呼び名:羽純くん

 

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: SARINA  )


エピソード情報

マスター 真名木風由
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ EX
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,500ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 10月20日
出発日 10月26日 00:00
予定納品日 11月05日

参加者

会議室

  • [8]桜倉 歌菜

    2015/10/25-23:53 

  • [7]桜倉 歌菜

    2015/10/25-23:52 

  • [6]桜倉 歌菜

    2015/10/25-00:57 

    桜倉歌菜と申します。
    パートナーは羽純くんです。
    あらためまして、ご挨拶が遅くなりましたが、皆様宜しくお願いいたします!

    えへへ、羽純くんはいつもこんな視線の高さなんですねっ♪
    視界が変わると世界が少し違って見えるような気がします。
    うん、楽しまなきゃ損だよねっ

    よい一時となりますように♪

  • [5]久野原 エリカ

    2015/10/25-00:23 

    久野原エリカだ。
    パートナーはバカ犬こと久野木佑だ。よ、よろしく……

    ……バカ犬の体なのに自分の体……複雑だが……
    いつもより身長が高い……!(嬉しそうに

    佑:……エリカさんが楽しそうで何よりです……(身長が低く女装なのに細マッチョと言うアンバランスさに頭を抱えているわんこ

  • [4]水田 茉莉花

    2015/10/24-22:56 

    八月一日智でっす。

    できることなら、このまんまの身長でいたいでs・・・
    いぃってぇ!ハリセンで叩くなでかっちょ・・・いや、今はちっこいからチビっちょ?
    でもそれっておれの事だからえーっと?(混乱)

  • [3]秋野 空

    2015/10/24-16:46 

    【ジュニール】
    こんにちは、ジュニール・カステルブランチです
    こちらは、神人の秋野空です
    どうぞよろしくお願いいたします

    ……大丈夫ですか、ソラ?
    (俯いている空の顔を下からそっと覗き込む

    どうやらソラは、元に戻ることができるのか、不安で仕方がないようです

    とはいえ、今俺たちにできることはありませんから
    せめてジャック・オー・パークを満喫して、少しでも不安を紛らわせたいです

  • [2]ひろの

    2015/10/24-11:20 

    ルシエロ=ザガン:(ICは間違いじゃありません)

    ルシエロ=ザガンと神人のヒロノだ。
    妙な事になったが、まあ。よろしく頼む。

    性別の変わった自分を外から見る事になるとは。
    ウィンクルムっていうのはつくづく面白いもんだな。

  • [1]桜倉 歌菜

    2015/10/24-01:11 


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