プロローグ
『あなた』達は、ウィンクルムによって解放されたアトラクションを巡っていた。
色々なアトラクションがあって、普通に楽しむのも悪くない。
そんな風に思いながら、ふと目についたのは、ミラーハウス。
見ると、本日はイベントを行うようだ。
行ってみようか。
『あなた』達はそんな会話と共にミラーハウスへ足を向けた。
ミラーハウスとは、鏡を使用した迷路のことだ。
迷路としてはそんなに複雑なものではないが、鏡の錯覚により、とても広いスペースのように感じたり、自分の姿も相手の姿も何重にも反射する為に本当はどこにいるのか分からなくなったりするそうだ。
「足元以外全て鏡ですから、平衡感覚も狂うかもしれませんね」
説明してくれた係員はそのように笑った。
で、このミラーハウスで何をするかと言うと。
所謂、バトルロイヤルみたいなものらしい。
参加者はペアが原則で、2人組で他のペアとは別の入り口からミラーハウスへ入り、本物のペアへカボチャ銃(ジャックオーランタンモチーフの水鉄砲。中身はパンプキンカラーの染料らしい)を投げ、脱落させていく。
最終的に生き残ったペアが勝利するらしい。
普通のバトルロイヤルであれば、差が出てしまうこともあるだろうが、ミラーハウスという場所ならば、歴然とした差が出難い。
『あなた』達はイベント参加を申し込み、白いコートを受け取るとそれを羽織る。
参加者は皆、ウィンクルム……、この勝負、負けられない!
解説
●イベント場所
・ミラーハウス
足元以外鏡の空間になります。
この為、場所の特定がし難いです。
パートナーとも逸れ易いので注意しましょう。
●ゲームルール
・参加ペアは別の入り口から入り、配置につく。
・ゲームスタートと同時に索敵、他参加ペア発見次第、水鉄砲(中身はカボチャカラーの染料。補給地点はミラーハウス各所に幾つもある)を撃ち脱落させる。
脱落条件は、イベント参加の際に係員から受け取った白いコートに印刷されているジャックオーランタンのイラストが完全に浮かび上がること。ペア両方脱落で失格。
・言うまでもなく、トランス禁止。
・優勝すると、ジャック・オー・パーク内のレストラン食事券進呈。
※アイテムとしての配布はなく、有効期限は本日限りの為、他のエピソードへの持ち越しは出来ません。
●消費jr
・イベント参加費用として、1組300jr
●注意・補足事項
・個別描写ではありません。他参加者と楽しくゲーム勝負が趣旨となります。
・神人と精霊のペアが原則ですが、参加者同士の合意が得られれば、神人同士のペア、精霊同士のペアといった変則もOKとします。
・ペアで互いを見失わないよう共に行動するのもそれぞれサーチ&デストロイするのも最後まで生き残れば問題ないので、自由です。
・楽しく勝負が原則です。遊びなのですから、仲良く!
万が一、他参加者に対する配慮が著しく欠けていると判断した場合、コメディ的に酷いことします。
・ウィンクルム達は『仮装』して、特殊効果利用可能。ただし、リザルトでは神人・精霊の仮装どちらか1つの特殊効果利用となります。
仮装の種類と特殊効果については、下記にてご確認ください。
https://lovetimate.com/campaign/201510event/halloween_episode.html
ゲームマスターより
こんにちは、真名木風由です。
今回は微笑ましいゲーム勝負の話です。
皆で楽しく遊ぶのが基本ですので、彼とのデートに専念したいです、という方や勝てば官軍何やってもいい、という方は、ご希望に副うことはないものと思っていただければと。
2人きりの甘いデートも悪くないと思いますが、皆で楽しむのもいいと思います。
任務では共に戦う仲間……こういう機会に友好を深めて楽しい時間を過ごしてはどうでしょうか。
それでは、お待ちしております。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
手屋 笹(カガヤ・アクショア)
ミラーハウスでゲームですか 皆さんと対戦という形式も珍しくて楽しそうです…! そうなのですか? さてどうしましょうか。 水鉄砲の水を切らさぬよう 残りが少なくなくても補給ポイントを見つけたら 小まめに補給を行いましょう。 …それでは…参りましょう(水鉄砲構え カガヤと少しずれて並びわたくし自身も 前方を確認できるように歩きます。 ・角で他のウィンクルムに出会った時。 カガヤの後ろに付いて すぐに角へ移動します。 カガヤの影から射撃を行います。 ・通路で他のウィンクルムに出会った時。 カガヤの後ろに隠れ、 当たる面積を出来るだけ減らすようにします。 真剣に行いますがあくまで遊戯。 水鉄砲を食らうのも思いっきり楽しんで笑いましょう。 |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
お互いに見失わないのが大事ですよね… そうだ!私に良い作戦があります ディエゴさん私を背負ってください 私はコートを頭から被り、ディエゴさんの分の水鉄砲も持って、二挺拳銃であなたの肩越しに撃ちます。 私はいたって本気ですけど だって…はぐれたら心細いし そしたらゲームのお構いなしでディエゴさん探しに行っちゃうなー私はー…嫌なら良いです…。 はい、では行きましょう ディエゴさんの背中は落ち着きますね… バトルロイヤルはパワーです 下手な不意打ちはせず声をかけて正々堂々と真っ向勝負です、いざじんじょーに勝負ですよ! 伊達にPGのパートナーやってるわけではない事を証明してやります。 ディエゴさんはナビゲートお願いします! |
八神 伊万里(アスカ・ベルウィレッジ)
私は何事にも全力なだけです(キリッ 私がサーチ、アスカ君がデストロイ担当で 身を隠しつつ、鏡の反射等を利用して各ペアを観察し動きを予測 仮装はゴースト アスカ君がピンチになったら死角から飛び込んで援護射撃に使用 笹さん達 アスカ君がやる気なのでカガヤさんは任せる 体の小さい笹さんを見失わないようしっかり見張る ハロルドさん達 身体能力・銃の使い方共に一番の強敵と認識 積極的に手は出さず他の組との撃ち合い中に横から攻撃 アマリリスさん達 ヴェルナーさんが庇うと予想しアマリリスさんから狙う 歌菜さん達 歌菜さんの動きが予測困難 できれば様子を窺いたい 全力出し切って精一杯やれたら悔いはないかな 私、ちゃんとサポートできてるかな? |
アマリリス(ヴェルナー)
ウィンクルムでペア ゲームといえども勝負ですもの 良い結果を出せるよう頑張りましょう 空気感の違いに不安を覚えつつも まあ楽しく過ごせればそれでと思いなおす 作戦打ち合わせしておく 逸れないよう気をつけましょう 入ったらまず足元見てどのように道が伸びているか確認しながら進む 曲がり角は慎重に様子伺う 遭遇した際は狙う相手を統一し数減らし優先 前列の人、横並びなら手前 インク位置が被ってムダにならないよう神人は下側狙い 反射して位置に迷ったら声や音を頼りに 染料補給は付近に誰もいない事を確認してから 一人ずつ行い片方は見張りで警戒 染料切らさないよう残量には常に気を使う 勝敗はどうあれすました態度 内心は嬉しかったり悔しかったり |
桜倉 歌菜(月成 羽純)
ゴースト(隙を付いて羽純くんを驚かせたいな) ミラーハウスでゲームなんて素敵♪ 生き残れるよう、頑張ろうね、羽純くん! 逸れないよう、銃を持たない手を繋いで歩く 注意するのは、鏡に映った人と本物の見極めだよね 間違って撃ったら、それでこちらの位置が特定されちゃうもん 私が着目するのは、服の合わせです 洋服は、男性は左前合わせで、女性は右前合わせ これが鏡だと逆になる筈だから、それを見極めたい 釦のない服だったら、利き腕も判断要素になるよね 直ぐに撃たず、見極めてから 慎重に迷路を進もう わざと利き手じゃない左に銃を持って、フェイクも入れていく こういう駆け引きとスリル、楽しい♪ 勝敗抜きで羽純くんとお疲れ様のハイタッチ |
●頭脳と絆と
配置について、ゲーム開始を待つハロルドとディエゴ・ルナ・クィンテロは床以外全て鏡という現在の状態を確認していた。
「お互いに見失わないのが大事ですよね……」
「が、本当に自分がどこにいるのか判らなくなるな、迷路と同じように片手を壁に着きながら進むか?」
気楽にやろうと言うディエゴもミラーハウスという場所が思った以上に位置把握し難いと手を着いて考案してみる。
すると、「そうだ! 私に良い作戦があります」とハロルドが手を打った。
「ディエゴさん私を背負ってください」
「……は?」
「私はコートを頭から被り、ディエゴさんの分の水鉄砲も持って、二挺拳銃であなたの肩越しに撃ちます」
「……エクレール、それは本気の作戦なのか?」
隙が多いんじゃと言いたげなディエゴの質問である。
「私は至って本気ですけど。……はぐれたら心細いし。そしたら、ゲームのお構いなしでディエゴさん捜しに行っちゃうなー私はー……」
最後の方は、ディエゴの方をチラチラ見ている。
(痛い所を突いてきやがる……)
ディエゴ、感情のコントロールで頑張ってるけど、頬がひくひくしそうである。
確かにはぐれた場合、個別撃破もありうるだろう。そうでなくとも、こういう場所では心細さを感じる。
「……嫌なら良いですー……」
チラチラ。
ディエゴは確信犯的な意図を感じたが、ハロルドには色々な意味(?)で勝てない為、せめてもの抵抗として軽く溜め息を吐いた。
「……分かった分かった」
「本当ですか?」
ぱぁっと顔を輝かせるハロルド(ディエゴの溜め息は本心でないことは看破済)
ディエゴはハロルドの前に屈み、「ほら」と言った。
「はい、では行きましょう」
そんなやり取りを知らない八神 伊万里とアスカ・ベルウィレッジは別の場所で気合入れまくっていた。
「伊万里って結構勝負に熱くなるよな」
「私は何事にも全力なだけです」
こういうの嫌いじゃないけど、と続けるアスカへ、キリッとした表情で返す伊万里。
「1番の強敵は、ハロルドさん、ディエゴさん。身体能力抜群、しかもディエゴさんはプレストガンナーで、実際の銃とは違っても、銃に慣れた方……積極的に行かず、他のウィンクルムの方に潰して貰うか、撃ち合いの最中の奇襲がいいかと」
伊万里の作戦で攻撃を担当するアスカは、伊万里の見解を聞く。
基本、索敵伊万里、攻撃アスカではあるが、アスカの危機が発生した場合はこの限りではない。
「アマリリスさんとヴェルナーさんの場合、ヴェルナーさんがアマリリスさんを守りに動くから、アマリリスさんを狙うことでヴェルナーさんを早期に落とす方針で」
伊万里はヴェルナーの性格を考慮して推察。
「読めないのは歌菜さん……」
伊万里は、桜倉 歌菜と月成 羽純へ思いを馳せる。
歌菜の動きが予想出来ない為、予想すべく遭遇した場合、相手の射線に入らないよう身を隠し(姿自体は場所的に厳しいかもしれないが)、様子を確認した上で対応を考えるべき。他のウィンクルムにも同じことが言えるが、歌菜は特に、だろう。
「口頭だとばれやすいから視線の動きで攻撃の方向を決めるってのはどうだ?」
「位置も特定され易いよね……。それなら、アスカ君に分かるように見るのと、あと、ハンドサインどうかな?」
「ここだとその方がいいことがあるかもな」
伊万里とアスカはごくシンプルな合図を決め合う。
「あと、笹さんとカガヤさん……」
「同じジョブの先輩だからな、負けないぜ?」
手屋 笹とカガヤ・アクショアへ話が及ぶと、アスカが不敵に笑う。
それを見た伊万里は、改めてアスカのサポートに全力投球と心に誓った。
●楽しんでる方々
伊万里のガチ作戦を知らない笹とカガヤは、とても楽しそうだった。
「皆と遊べる機会なんて思ったよりもないし、楽しみだね!」
「皆さんと対戦という形式も珍しいですからね……!」
そんな彼らも打ち合わせ開始。
「通路自体はそんなに広くない気がするんだよね」
「そうなのですか?」
「あんまり広いと、平衡感覚失ってる状態じゃ危ないし」
「言われてみれば」
カガヤの言葉を聞き、納得する笹。
笹は作戦はちゃんと立てた方がいいというカガヤの言葉に軽く頷き、歩く位置を決める。
前方をカガヤが歩くとして、その後方を笹が歩く。位置は少しずれておき、前方確認可能な状態にしておけば、遭遇時、カガヤの陰から援護射撃を行えるだろう。当たり難くなるし、特に角では角に移動することも守る意味では重要だ。
「中の染料を切らさないよう残量は注意しておくべきですわね。残量に関係なく、補給ポイントでは補給しておけば、対応し易くなるかと」
水鉄砲には、スタートの今は十分な量があるが、補給を怠らないよう残量は意識してみておく必要がある。
「場所が場所だし、隠れても見える可能性はあるだろうけど、それなら見えてること前提で接近して、角で攻撃をやり過ごしながら一気に決めたり、角で不意の遭遇がないよう鏡には注意しないとね」
「注意はし過ぎる位がちょうどいいですね」
カガヤに笹が頷き、2人は作戦を詰めていく。
皆とゲームに胸を躍らせていたのは、歌菜も同じだ。
「生き残れるよう頑張ろうね、羽純くん!」
「四方鏡に囲まれると……何とも落ち着かないな」
水鉄砲を握っていない方の手を握り、逸れるのを防いでいる形だが、床以外全て鏡という状況は平衡感覚も狂うし、落ち着かない。
が、そう言っている羽純は、床に鏡がないということに感謝すべきだ。
本日の歌菜の装い、ディーヴァのトゥインクルドレス☆KANA(スカート)を床の鏡が反射したら……意味は理解していただきたい。微妙に年頃男子が混線した発言をしている過去を忘れてはいけない、今日の歌菜は酔っていない(重要)のだ。
「勘に頼ってみるのもいいかもしれん、が」
「見極めが大事だと思う!」
歌菜が背伸びし、羽純へ見極めの基準を耳打ちする。
「確かには有効だな。ただ、更に反射を繰り返して鏡に映る場合もある。その場合は……勘になることもあるだろうな」
「羽純くん、とてもやる気だね……」
歌菜は、そう勝つ分析をしている羽純へそう言う。
「……そうだ、俺は意外と負けず嫌いなんだ」
「意外? 結構なんじゃ」
「ゲームするなら、勝って美味い飯が食いたいのは当然だろ」
それに、と羽純がこう続けた。
「ライフビショップが前に出て、相手のジョブも関係なくガンガン戦えるなんて、滅多にないからな」
「つまり、凄く楽しみなんだね」
「悪いか」
そう言った羽純へ、歌菜は「ううん、楽しもう」と笑う。
(それなら、サプライズしてもいいよね)
このゴースト、ドラキュラを驚かせる気満々である。
「ゲームといえども勝負ですもの。良い結果を出せるよう頑張りま……ヴェルナー?」
アマリリスは、水鉄砲を見つめるヴェルナーへ何度目かの声を掛けた。
呼べば、「失礼しました、アマリリス」と返事をしてくれるが、その視線はすぐ水鉄砲。
(あなた、わくわくしてるのね)
ヴェルナーが普段手にするのは、剣や斧と言った接近戦の武器に護る為の盾。
銃(これは水鉄砲だが)など手にする機会はないだろう、その瞳……どう見ても水鉄砲に興味津々で、とても楽しそう、というか、わくわくしてる。
(楽しく過ごせればそれでいいわ。負けたら、悔しいけれど)
自分との空気があまりにも違うのは不安……そう思い掛け、アマリリスは、水鉄砲を構えてみたりしているヴェルナーを見て、考え直した。
「ゲーム前に作戦は軽く打ち合わせておきましょう」
「そうですね。押さえるべき箇所を押さえて動きましょう」
アマリリスの提案に、ヴェルナーは一旦わくわくを押し留めて応じる。
注意することは、逸れないようにすること。
「足元の道の伸び方を確認しましょう。それと、曲がり角は不意の遭遇ありえますから、慎重に」
「お互い見る場所を別にした方がいいかと思います。途中で、平衡感覚を忘れない為に見る位置を交替する必要はあるでしょうが、目で見る情報を増やすべきかと」
アマリリスの提案に加え、ヴェルナーが周囲の物の見方について提案する。
反射する空間である為、こちらの位置も知られるが、それは相手にも言えることとは言え、角を曲がって暫くは後方からの攻撃に注意すべきだ。
先手を取るにはどうすべきか、補給のタイミングはどうしようか……アマリリスとヴェルナーはそのことを打ち合わせる。
「そろそろ始まるようですわね」
アマリリスがミラーハウスに流れるアナウンスに気づき、顔を上げる。
「楽しみましょう、アマリリス」
アマリリスはわくわくしてるヴェルナーが見られただけでも参加した甲斐があったと思うが、素直になれず、「ええ」とすました回答で応じた。
さて、鏡の空間で撃ち合おうか。
●撃ち合え!
スタートのアナウンスと共に各ウィンクルムがスタートした。
「ペアのどちらかが生き残ればいいんだから、背丈がある俺が盾になるべきだろうな。俺より背丈が低い歌菜が盾になっても俺に当たるし」
「なら、見極め頑張る!」
異論はなさそうな歌菜は、鏡像と本物の見極めに注力。
鏡像に撃てば居場所を教えるようなもの。
(注意するのは、服の合わせ)
歌菜は男女の服の合わせである程度選別可能と予測を立てていた。
それと、利き腕も判断要素になる。
「落ち着かないな」
「羽純くん、駆け引き駆け引き!」
羽純の呟きに歌菜は楽しそう。
そう、水鉄砲は利き手ではない左手にあり、鏡像とのフェイクを行っているのだ。
「スリル楽しいよ……あ」
歌菜が反射に気づいて足を止めた。
少し前方に、判り易い対戦相手がいた。
「ディエゴさんの背中は落ち着きますね……」
しみじみと言うハロルドを背負うディエゴは、ハロルドを重いと思うことはない、が。
(これは他の奴に見られたくない)
音を聞いた上で逃げるように立ち回れたらいいと思っていた。そう思っていた時も俺にはあった。
ただ、背負う彼女が真面目にこのスタイルでゲームを楽しむのに押し切られたってだけで。
(……まあ、こいつにとって今日が良い思い出のひとつになるなら、良いか)
ディエゴがそう思った時だ、鏡に歌菜と羽純が映った。
「これは神人が足を挫いて歩けないから背負ってるだけで他に何もないからな!」
「いざじんじょーに勝負ですよ!」
2人へ向き直ったと同時に弁明に入る辺りにディエゴの必死密度の高さが窺えるが、背負われているハロルドは凄く元気そう、下手な小細工などせず正々堂々真っ向勝負とばかりに両手に水鉄砲を構える。
「ディエゴさん……」
「やめろ、優しい瞳で俺を見るな!」
思わずほっこりした瞳の歌菜へ、ディエゴが「他言無用で頼む」と依頼しているが、撃ち合いは開始している。
伊達にプレストガンナーディエゴのパートナーやってる訳ではないことを証明するかのようなハロルド……その勝負を羽純はクールに対処した。
「盾だけで終わるつもりもなくてな?」
羽純が狙ったのは、ナビゲートをハロルドからお願いされたディエゴだ。
ハロルドを撃ち易くするなら、本人が無防備である可能性が高いと羽純が狙い始め、歌菜も優しい瞳のままディエゴを狙う。
阻止する為にハロルドが撃っていると、その側面からも銃撃発生。
「く! アスカさんですか!」
ハロルドが撃ち合いに気づいたアスカが自身を狙って集中攻撃してきたことに気づく。
が、ディエゴへの攻撃を阻まないと、羽純と歌菜にディエゴが仕留められる!
「強敵は、一時結託してでも倒さないとな!」
鏡に伊万里の姿は映るも、伊万里の本物はアスカの傍にいないようだ。
先にディエゴが落ち、ハロルドも続く形で落とされる。
「両手塞がっていると対応が難しいな」
「こう、馬上戦闘みたいには行かないんですね」
「馬と同じにはならないぞ」
ディエゴはハロルドの意見に軽く肩を竦め、失格者専用出口から出て行った。
その時には、アスカが羽純との撃ち合いに入っていた。
「歌菜、伊万里の場所特定頼む」
「分かった!」
ハロルドの猛攻を受けていた羽純もダメージが全くなかった訳ではない。
何とか状況を整えなければ。
が、伊万里は視線の方向や指を見せる動きをするだけで服の合わせを見せようとしない。
歌菜が鏡を見て確認する動きに気づいた伊万里が羽織るコートの合わせを見せないようにし、かつ、ハンドサインの手も交互にすることで利き手特定を妨害しているのだ。
(落ち着いて、そのまま狙い続行)
伊万里が心の中で呟き、羽純への狙い続行と攻撃箇所を指示する。
鏡像ではなく、確実に見える位置にはいるだろうと羽純が当たりをつけて角へ向かっていこうとするが、それこそアスカの狙い。
白いコートの下から、ウィッチのスカートをひらつかせた。
「え?」
羽純が、思わず見てしまった。
だって、アスカ、NA MA A SHI……!!
「見えそで見えない見たくないもの!!」
アスカは意表を衝かれた羽純へ水鉄砲連射、羽純を落とす。
「ずっるーい! すらっとした脚綺麗過ぎるー!」
ブーイングの箇所が微妙にズレた歌菜もハロルドの猛攻の余波があった為、アスカによって落とされた。
「負けたかって、うわっ!」
「楽しかったよねー!」
悔しそうな羽純の死角から急に現れた歌菜、ゴーストの仮装のお陰でサプライズ成功、笑い合った2人はハイタッチで出て行った。
●勝者は誰だ
ハロルドとディエゴが、歌菜と羽純、伊万里とアスカの一時共闘の猛攻に晒されている頃、アマリリスとヴェルナーもミラーハウス内部を注意して回っていた。
「……加わりますか?」
ヴェルナーが遠い角からハロルドとディエゴ脱落後、伊万里とアスカが歌菜と羽純との光線に入ったのを確認する。
「機を見るべきでしょう。今は先手が取れる状況ではありません」
歌菜と羽純を落とすのに加勢すれば、伊万里とアスカから先手を取られ易く、伊万里とアスカを狙えば、歌菜と羽純は狙ってくる。
「見た所、ここは直線距離のようですね」
「ええ。鏡の映りがそのようです」
アマリリスとヴェルナーは見る角度を交替させながら、警戒を続けている。
あの場にいない、笹とカガヤを警戒して会話の声は小さめだ。
彼らを視界に収めつつ、笹とカガヤの足音や話し声で接近の判別を考慮し、彼らの近くにある補給ポイントも忘れず確認。
(染料が無駄にならないよう撃つつもりではいますが、必要な場合はわたしとヴェルナー、交替で染料補給を考えないと)
染料補給は確かに重要だが、同時に大きな隙になる。
まだ交戦していない為、染料は減っていないが、交戦中も意識しておかなければ。
「……来ました」
ヴェルナーが低く呟いた。
鏡に映るのは、笹とカガヤだ。
話し声の大きさより、遭遇は自分達の方が伊万里とアスカよりも早い。
鏡像の彼らもこちらに気づいた様子を見せる。
「恐らく、三つ巴になりますわね」
「落ち着いて対応しましょう」
「ええ」
アマリリスは頷き、ヴェルナーと水鉄砲を構えた。
「来るよ、笹ちゃん!」
カガヤの言葉と同時に笹もカガヤの背後へ移動する。
ちょうど通路が交錯する場所、双方隠れ易い場所での撃ち合いとなった。
「計算してるね、これ」
角に隠れて銃撃をやり過ごすカガヤが、アマリリスとヴェルナーが無駄撃ちせず、また、攻撃対象を指定した上で攻撃部位は分担して狙っていることに気づいた。
その証拠に、カガヤの陰から撃つ笹を狙う挙動がひとつもない。
「カガヤ、来ます」
笹が気づいて、視線を向けた先には撃ち合いに気づいた伊万里とアスカ。
場所が近くだったのに間があった所を見ると、少し先に見える補給ポイントで染料を補給したと見ていい。
「遠慮はしないぜ?」
「わ、スカートちらつかせながら言わないでよ!」
カガヤがアスカのムキとも言える射撃に慌てる。
三つ巴になろうとも狙いはそのままのアマリリス、ヴェルナーの攻撃もあり、カガヤが対応に苦慮し出した。
「カガヤを落とさせませんわ!」
笹がカガヤをカバーするように撃つが、カガヤ大人気……どうしようかと思ったその時だ。
「笹さんを見失わないようしっかり見張るから、アスカ君はそのままで」
伊万里の指示が、小さく聞こえた。
人は、気にしているもの程、聞き取り易いものである。
「わたくしを、見失わない……」
笹、伊万里の言葉反芻。
「わたくしが、小さいってことですかー!!」
「笹ちゃん、もうちょっと下がった方が」
怒る笹を下げたカガヤ、尚も3方向から大人気。
「俺は、笹ちゃんが笹ちゃんでいる方が好……」
直後、3方向からの銃撃が見事にヒット。
これが決め手となり、カガヤ脱落。
「最後まで楽しんで、笹ちゃん」
カガヤがジャックオーランタンのイラストが完全に浮かび上がったコートに目を落としてから、そう笑った。
「そうですね。思いっきり楽しむことが大事です」
気を取り直して真剣に楽しんだ結果、笹も脱落するが、水鉄砲を食らうのも楽しかったらしく、ミラーハウスを後にする笹はカガヤの隣で笑っていた。
笹とカガヤがミラーハウスを後にした頃、最後の戦いが始まっていた。
(アスカ君、連戦で被弾もしてたし、アマリリスさんとヴェルナーさんの連係がいい)
伊万里はアスカが押されている状況を分析する。
アスカも突出すれば、自分に危険が及ぶ可能性も考慮している為か、角に入った上で撃っているが、無駄撃ちしないスタイルで、攻撃部位を分けて狙い撃ち、しかも同時ではなくタイミングを調整して撃たせ難い体勢を作っていた。
(お2人のコートも全く無傷ではない……でも、アスカ君が攻撃出来ない状況は拙い。なら……)
伊万里は、アスカにハンドサインを送る。
頷きで応じたアスカはわざとヴェルナーを狙いに行き、立ち位置を調整しながら移動し始める。
アマリリスがそこを逃す筈も───
「そこです!」
「!」
伊万里がアマリリスの側面に回り込んでいた。
ミラーハウスを観察している様子だった為ヴェルナーを狙って動くことで逃さず先手を取りに行く動きを予想、アスカ援護の為に敢えてアスカを囮にした上でのサプライズ……仮装ゴーストの特殊効果もあって、的確なものとなる。
「くっ!」
伊万里の援護射撃に対応しようとしたアマリリス、しかし、それをアスカが逃さない。
フォローするようにヴェルナーがアマリリスの背中につくが、それこそが狙いでもあった。
アスカが集中的にヴェルナーを狙い、伊万里がアマリリスが身動き出来ないよう援護射撃。
アマリリスもヴェルナー援護に応戦するが、それより早くヴェルナーが落ちる。
残るアマリリスは既にコートのダメージが嵩んでいたアスカを落とすことに成功したが、伊万里まで落とすことは叶わなかった。
「楽しかったですね」
伊万里とアスカへ挨拶も済ませたヴェルナーは勝敗よりも楽しめたことに笑顔だった。
「良い時間を過ごせましたわ」
すました態度のアマリリスは内心、勝負に負けた悔しさは結構ある。
けれど、ヴェルナーが「本当に良い時間でした」と言うから、毒気を抜かれてしまった。
優勝した伊万里とアスカは食事券を受け取っていた。
「結構沢山お店あるね」
全力を出し切っての優勝とあり、嬉しい様子の伊万里は食事券対応のお店を確認している。
「アスカ君、どこにする?」
「この店がいい」
伊万里が気にしていた店をアスカが自分が希望したように見せ、指し示したのは、肉料理が多めの店だ。
「……ありがとう、アスカ君。ねぇ、私、ちゃんとサポート出来てたかな?」
気づいた伊万里がそう尋ねてくる。
「伊万里はよくやってると思うよ」
アスカはそう言って、伊万里を見た。
「ただ任務の時はあんまり危ないことはしないでくれ。……俺は大切な人を守るために戦ってるんだから」
「大切……?」
「大切じゃない訳ないだろ」
アスカがそう言うと、店に向かって歩き出す。
彼なりの精一杯を聞いた伊万里は、慌てて後を追う。
信頼するアスカへの答えはまだ出ない。
けれど、隣を歩く日常が壊れなければいい、またこうして真剣な遊びが出来ればいいなと思った。
こうして、楽しい仁義なき戦いは終幕。
いつか、また楽しく戦おう。
依頼結果:成功
MVP:
名前:八神 伊万里 呼び名:伊万里 |
名前:アスカ・ベルウィレッジ 呼び名:アスカ君 |
名前:アマリリス 呼び名:アマリリス |
名前:ヴェルナー 呼び名:ヴェルナー |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 真名木風由 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 10月16日 |
出発日 | 10月22日 00:00 |
予定納品日 | 11月01日 |
参加者
会議室
-
2015/10/21-23:52
-
2015/10/21-23:51
-
2015/10/21-23:35
-
2015/10/21-21:23
-
2015/10/21-20:42
-
2015/10/21-20:42
それでは全員ウィンクルムでの参加ということでプランを調整しますね。
改めてよろしくお願いします。 -
2015/10/21-13:57
手屋 笹です。
皆様、今回もよろしくお願いします。
挨拶がすっかり遅れてしまいました…
締め切りまであまり時間もありませんし、
ウィンクルム同士でのゲームで良さそうでしょうか。 -
2015/10/21-01:01
滑り込み参加失礼いたします。
桜倉歌菜と申します。パートナーは羽純くんです。
皆様、宜しくお願い致します!
締め切り間近&私も掲示板に余り顔を出せそうにないので、ウィンクルムでの参加とさせて頂きますね。
時間があったら変則ペアもやってみたかった…!
楽しい一時になりますようにっ -
2015/10/21-00:06
ディエゴ・ルナ・クィンテロとハロルドだ
よろしく頼む
ペア分けは…どちらでもかまわない -
2015/10/19-23:39
アマリリスとパートナーのヴェルナーです。
今回もどうぞよろしくお願いいたします。
あまり相談に顔を出す時間が取れそうにないので、こちらも現状ウィンクルムでの参加で考えています。
では、当日が楽しいひと時となりますように。 -
2015/10/19-12:58
-
2015/10/19-12:58
八神伊万里と、パートナーのアスカ君です。
皆さん今回もよろしくお願いします。
ペアに関してですが、私たちはウィンクルムでペアを組もうと思っています。
なので変則タッグ希望の方がもしいましたらごめんなさい。
仮装は…まだ考え中です。
それでは、お互い正々堂々戦いましょう。