プロローグ
ジャラジャララララ、とコインが筐体から流れる音が耳を打つ。
ここはカジノアトラクション、ジャックオーポッド。
本物のお金をやり取りするわけではなく、誰でもカジノの雰囲気や遊びを楽しめるようにという名目で営利されているアトラクションの一つである。
スロットやポーカー、ビンゴなど様々な筐体があるが……。
「今回のイベントは、スロットでのコインの枚数勝負で~す!」
売り子の姿をしたオーガが、可愛らしい少女の声でプラカードを持って解説をしている。その横では、コインが0枚となった人間が絶望の表情のまま固まり、オーガに連れて行かれていった。近くに居たウィンクルムがそれに激昂しオーガに斬りかかるが、オーガに刃が通らない。
「ここはゲームでの勝負を楽しむ場です。こちら側の攻撃も、ウィンクルムさんの攻撃も通用しませんよ? あ、こらっ、そこのウィンクルムさんもトランスしちゃ、めっ、です!」
コインの尽きた人間は、お菓子に変えられてウィンクルムの目の前で食べられてしまう。悪態をつきながら地団太を踏むウィンクルムだが、もう助からないというわけではない。あのオーガを倒せば、食べられた人間は助かるのだから。
「ウィンクルムさん達と、私達オーガでコインの枚数を競うスロットは、こちらです!」
そう言ってオーガが指を指した方向にあったのは、巨大なジャックオーランタンを模したスロット。
「その名も、ジャックオーポッドです! ここのアトラクションと同じ名前ですね! どんどんジャックポッドしてくださいっ☆」
ダジャレかよ、とウィンクルムがうんざりする空気を醸し出す中、少女の声を発するオーガはそんな空気を気にせず説明を続ける。
「このスロットは特殊で、ジャックオーランタンの目の中にコインをぶち込むとスロットが回転して、攻撃を一回する度にスロットが止まります! 三回止めて目を揃えてね!」
そういって少女の声のオーガがスロットを回し、目が揃うと、ジャックオーポッドの口から大量のコインがあふれ出てきた。ウィンクルムの身長ほどの大きさがあるコインは、そのまま直撃してしまったら危険だ。コインを避けつつも、コインを増やして行きオーガよりも多くのコインを集める必要がある。
「もちろん、通常の攻撃をしても無駄ですが、相手のスロットにコインをぶつけてスロットの目を勝手に止めることもできるので、相手の邪魔をすることも出来ちゃうわけですね!」
「ジャックポッド状態になると、コインが大量に流れ込んでくるので、敵とコインの枚数の差を離すことが出来るわけです! でも、コインに飲み込まれないようにね?」
少女の声でオーガはケケケっと笑い、あなたとオーガ達をシャッターのように下りてきた檻の中に隔離する。
「じゃあ、勝ったほうが出れるってことで、あんた達の未来はあんた達にかかってるんだからね? じゃあじゃあ、アデュ~!」
解説
『ゲームバトル』です。
仮装をしている場合、プランになんの仮装か明記してください。
・精霊と神人、オーガ二体で、別々のスロットを使って勝負します。ダッグバトルですね。他のプレイヤーさんとは別々の場所で戦っていることとします。なので、他のプレイヤーさんとの接触はありません。
・スロットで出目を揃えて、コインを集めていくゲームです。
出てくる出目は、
『ジャックオーランタン』= 相手のスロットからジャックオーランタンを出現させ、次に相手がコインを出した時に同じく流れてくる。ジャックオーランタンにぶつかると少しの間動きが止まってしまう。
『7』= コインが777枚増える。ジャックポッド状態になる。
『A.R.O.A.』= コインが20枚増え、スロットがもう一度回転する。
『さくらんぼ』= コインが50枚増える。
『オーガ』= コインが200枚増える。
・ジャックポッド状態になると、出目が揃うと出てくるコインの枚数が3倍となり、ジャックオーランタンの出目が出た場合、相手に出現させるジャックオーランタンを増やす。
・コインにぶつかると、少しの間行動が止まってしまいます。
・スロットをとめるのは、通常攻撃でもコインをぶつけるのでも可能です。
・罰ゲームは、コインに潰されるというものです。
・コインが0枚になってしまうと、ゲームオーバーになります。
ゲームマスターより
東雲柚葉です、今回はカジノでのコイン集めです!
相手よりも多くのコインを集め、勝ちましょう!
出目を狙うのもよし、どんどんぶつけまくって当たった!というのでもよし、です。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
*仮装は共にジャックオーランタン(特殊能力もピンチの時に使用する 変則タッグバトルってワケだな(真剣に挑戦 出目を止めるのはランス 敵の攻撃コインや流れコインを杖で弾いてぶつけて止めたり、 こっちのマシンに当たらないように逸らすのは俺の分担だ 敵への攻撃も俺だな たとえ不利になっても慌てるなよ しまって行こう 敵攻撃コインは基本的に回避 2人共回避は百を超える装備だ 落着いて、声を掛け合う 山積みコインは埋まらないよう左右に杖でどかす マシンへの攻撃コインは弾くだけじゃなく、ビリヤードの要領で相手への攻撃にも繋げる ジャックのタイミングとも合せるぞ *勿論、普通に攻撃コインもして狙うよ ★勝利 ホッと安堵し他の人を助けに行く |
李月(ゼノアス・グールン)
仮装する【ジャックオーランタン】 行動 ・勝負開始すぐトランスする ・コインの出口付近に立たない(飲み込まれ対策 ・自陣のスロットを回し攻撃で出目を揃える役目に専念 ・出目は『さくらんぼ』でコインが適度に出たら『オーガ』狙い1択にシフト ・相棒の掛け声が聞こえたら相槌「ああ!」「おう!」 ・自分の役割に徹する |
☆アキ・セイジ ヴェルトール・ランス ペア☆
広大な敷地に、幾台ものスロットが並べられている。
アキ・セイジはヴェルトール・ランスとともにジャックオーランタンの形を模したスロットの前に立った。
二つでセットとなっている筐体のスロットであり、アキとランスが待機する筐体の隣には、すでにオーガ二体が準備を終えて待機している。
「変則タッグバトルってワケだな……」
アキが注意深く筐体を見やる。
ジャックオーポッドと名付けられているこのスロットには、いくつかの出目が存在しそれをそろえる事によってコインが飛び出してくる。そのコインを集めて隣の筐体に配備している敵よりも多ければ勝ち、少なければ負け。
多くコインを手に入れたものが勝者となるコイン争奪戦のゲームバトルだ。
「ランス、出目を揃えるのは任せてもいいか?」
アキがそういうと、ランスは「任せてくれ」と首肯し、
「頼んだぞセイジ」
「ああ、俺もオーガ達の妨害、それからオーガの妨害からスロットを護るよ」
アキは最初に配置されているコインを拾い上げ、ランスはスロットを眺めながら杖を取り出す。オーガ達は既に体勢が整っているようで、微動だにしない。
「では、はっじめますよ~?」
少女の声をしたオーガがカウントダウンをはじめ、
「レディーっ? GOOOOOOOOOOっ!」
スロットが音を立てて勢いよく回転。ランスがすぐさまコインを三枚投入してその動きをしっかりと見定める。アキは大きくコインをオーガに向かって投げ捨てた。
オーガがスロットを叩いて出目を一箇所確定させるが、アキが放ったコインがスロットに直撃して出目をさらにもう一箇所確定させる。
すでにはずれが確定したスロットを横目で確認したオーガは、足元に落ちていたコインを三枚拾い上げ、
「三枚一気に投げるつもりか!?」
アキが目を剥いて杖を構えるも、放たれたコインが一つこちらのスロットに直撃。一つ目の出目が確定してしまう。ひとつのコインを弾くことは出来たが、もう一枚のコインが再びスロットに直撃し、ランスが出目を確定させる前にはずれが決まってしまう。
まさか、三枚同時に投げてくるとは思わなかった。最初に地面に落ちているコインの総数は恐らく50もない。にもかかわらず、三枚を敵陣営に投げるなんて正気の沙汰ではない。
アキは歯噛みしながら、もう一度杖を構えなおす。
「大丈夫だ、セイジ! ……だいたい把握した!」
言うが早いか、ランスははずれが確定したスロットを俊敏に叩きスロットにコインを投入。再び回り始めるスロットを、三度叩いた。
すると、止まった出目は『さくらんぼ』。音を立ててジャックオーランタンの口からコインが飛び出す。飛び出したコインに衝突しないよう注意しながら、アキはコインを拾ってオーガにコインを投げつける。
ランスはもう一度同じ目を狙うつもりだ。
させじとオーガがスロット目掛けてコインを投げるが、遅い。
アキが放ったコインがオーガの放つコイン二つを叩き落し、あまった一つはアキがそのまま杖で叩き落す。
ランスは再び『さくらんぼ』の出目を当てる。杖で叩いてから止まるまでのラグを加味し微調整しながら、当たり易い目をキチッと狙う――つまりは、目押し。これはかなり難しい作業だ。しかし、ランスはスロットの目をじっくりと観察し、その観察眼を持ってして出目を当て続ける。
湧き出るコインとオーガからの攻撃はすべて回避しながらも正確に目を押すその姿は、オーガ達にとって途轍もない脅威となった。
オーガはスロットを狙うことを止め、ちまちまと増やしていたコインを一気にランスへと向ける。アキが反応しコインを叩き落そうとするが、10はあろうかというコインの雨に対処しきれずにランスへとコインが向けられる。
「ランス!」
アキが声を張ってランスに駆け寄り、ぐいっと腕を引っ張る。二人は社交ダンスでもするかのような振る舞いでコインを避けきった。
オーガは回避行動をとった二人を見やり、今度は回りっぱなしのスロットへとコインを投げた。
しかし、
「もうスロットの動きは把握したって言ったろ?」
ランスが地面に転がるコインをむんずと掴み、オーガが投げたコインが直撃するよりも早くスロットにコインを衝突させた。
そして、出た目は『777』。
ジャックポッド! とスロットに表記され、夥しい数のコインがアキとランスに津波のように襲い掛かる。
けれども、それをアキが冷静に山積みにならないように掻き分け、ランスは再びスロットの懐に潜り込む。
スロットを回す役のオーガもコツを掴んだようで、『オーガ』の出目をうまく当てている。阻害役のオーガが集まったコインを連射するようにランスとスロットへぶつけようとするが、アキはコインの動きをじっくりと観察しておもむろに一枚のコインを放った。
ランスに直線状に向かうコインを見て、嫌な笑みを浮かべるオーガだったが、その笑顔はしかしすぐに余裕の無い表情へと一変する。
アキが放ったコインが、ビリヤードにようにオーガが放ったコインを弾いてゆく。
まるで数珠繋ぎにした爆竹が破裂してゆくように、大量のコインがオーガの元へと跳ね返される。
跳ね返ったコインがすべてオーガに直撃して、二匹のオーガはくらくらとその場で覚束なげに頭を抑えた。
「全部食らうなんて、運動が足りてないんじゃないか? これはスポーツでもあるんだぜ」
言って、ランスは出目を『ジャックオーランタン』で確定させる。
三回ほど『ジャックオーランタン』を揃えたあたりでオーガ達が目を覚まし、負けじとスロットを回し始めた。
「セイジ、そろそろ終わりにしよう」
ランスの言葉にアキは首肯し、
「ああ! 任せてくれ!」
ランスと同じく完全にスロットのコツを掴んだオーガが『777』を出してアキ達に向かってにやりと笑みをこぼす。
だが、コインと共に溢れてきたのはジャックオーランタン。ぎょっとしたオーガが回避行動を取ろうとするが、その瞬間を待っていたかのようにアキは右手の指をぱちんと鳴らす。
途端にオーガ達の頭上にたらいが出現し、オーガの脳天に直撃。
今一度オーガはくらくらと千鳥足になり、動きが止まる。動きが止まったところで、スロットは待ってはくれない。立て続けに出現するジャックオーランタンに激突されてオーガはコインの山に倒れ伏し、『777』の目を揃えた事によってあふれ出るコインに埋め尽くされた。
「オーガくん達、戦闘不能っ! ウィンクルムの勝ち~~~~!!!!」
オーガの姿をした少女が元気快活に勝ちを宣言し、アキはホッと胸を撫で下ろす。
「どんなもんだ」
得意げにするランスに、アキは素直にランスを称える。
「あんなにうまく目押しをするなんて思わなかったよ」
褒められたランスは茶化すようにして、にやりと笑みを浮かべる。
「今度、カジノ行くか?」
「調子に乗るなっ! それに、まだ助けてない人達がいるんだからな!」
けれど、アキが戒めるようにして睨むので、ランスは、
「はいはい」
と、肩を竦める。
――ギャンブルで一発当てて暮らすのも確かに楽しいかもしれないが、こうやってセイジと普通に過ごしているのが一番かな。
そんなことを考えながら、ランスは生真面目なアキの隣を歩くのだった。
☆李月 ゼノアス・グールン ペア☆
ジャラジャラと鳴り響くコインの音に、李月は顔を顰める。ギャンブルが好きな人はこんな騒音まみれの場所に一日中居るのかと、正直なところ驚きを隠せない。
李月とは打って変わってゼノアス・グールンは興味ありげな視線でジャックオーポッドと呼ばれるスロット筐体をまじまじと眺めている。
グールンは新しい玩具を与えられた子供のようにキラキラとした視線で、
「オレ、カジノってやってみたかったんだよな。ゲーセンのスロットとかやったことあるし、任せろよ!」
「ちょ、ちょっと!?」
半ば無理矢理といった調子で李月はスロットの前まで引っ張られ、ジャックオーポッドの大きさに感嘆する。
遠くから見ても大きかったが、間近でみると更に大きい。足元に転がるコインも大き目の座布団くらいの大きさで、これがあの筐体の口から大量に流れてくるのかと思うと内心不安だ。
そんな李月の胸中を知ってか知らずか、グールンはスロットを面白そうに眺めながら、隣に配備されているオーガに視線を移した。
「ゼノアス!? オーガが攻撃してきたら危ないよ!?」
「これはゲームバトルだぞ? あそこの女の子の声してるオーガも言ってただろ、物理的な直接攻撃は意味無いんだぜ」
「でも、あんまり刺激してもいいことないよ」
李月のその言葉にグールンはニヤリと笑って、
「要はオレ等が勝ちゃあいいだけの話だろ?」
グールンの言い切った言葉に李月は言葉を詰まらせ、二の句を告ぐ前に少女の声が響き渡った。
「よーし、お互いに配置についたね!」
少女の声をしたオーガは、腕をぐるぐる回してやる気一杯に息を吸い込み、
「ジャックオーポッド、スロット対決~~~~?」
「レディーゴーっ!!!!!!」
開始した途端、オーガは素早い動きでコインを三枚スロットに投入し、スロットのリールを回す。
負けじとグールンが李月に近づいてなにやら催促する。
「……わかったよ」
李月がこの状況では仕方ない、といった調子でグールンの頬にキスをし、
「「終わりなき栄光のロードを共に」」
インスパイアスペルを互いに詠唱する。途端に二人の身体の回りにオーラが纏い始め、トランス状態となった。
すると、グールンが突然、李月の腰を抱き寄せて余裕な笑顔を浮かべる。
「な、なに!?」
と頬をわずかに紅潮させて慌てふためく李月の耳元で、グールンは囁く。
「勝負のカギは相棒を信じる事だ」
そう言い切ってグールンがスロットの眼前に駆け寄り、スロットを回し始める。
……が、三回、四回と回しても一向に出目が揃わない。
「……なぁリツキ」
「なに」
「そういえばオレ、練習してた時もあまりスロットは得意じゃなかったわ」
「じゃあ僕に代わってくれないかなぁ!?」
わりぃわりぃと両手を重ねるグールンとバトンタッチして、今度は李月がスロットの前に立つ。
口の付近に居ては危険だろう、コインに飲み込まれてしまう。
李月は流れてくるコインが当たらない安全圏に立ち、スロットにコインを入れて出目をじっくりと観察する。
ふぅ、と一息ついて三度叩くと、いとも簡単とでも言うようにしてスロットの出目が『さくらんぼ』で揃い、20枚のコインがジャックオーポッドの口から溢れてきた。
「やるな!」と後方で歓声をあげるグールンに、李月はさり気なく親指を立てる。
そうやってお互いを奮い立たせながら、もう一度スロットを回す。
出た出目が再び『さくらんぼ』ちゃくちゃくとコインが蓄積されてゆく。それを見かねたオーガは地面に転がるコインを手で掴み、李月へと投げる。しかし、
「はぁっ!」
グールンが李月に向かうコインを弾き返し、オーガのスロットに直撃させる。
李月が出目を揃えるのなら、オレは相手の出目揃い妨害することが仕事だ。そう胸中で自分を奮い立たせながら、グールンはオーガのスロットにコインを当てた。
「ハッ! オーガも大したことないな! そのでかい頭に脳味噌入ってんのかぁ!?」
グールンがオーガを挑発し、単細胞なオーガ二匹は血管を浮かばせながらコインをグールンに投げつける。
単調すぎるその攻撃にグールンは流石に呆れたが、李月のタイミングの良さにも正直呆れそうになるところだった。
コインがグールンに投げられたその瞬間、李月が『777』を出してジャックポッド状態となったのだ。
あふれ出すコインがグールンに向かうコインをはじき、床に叩きつける。グールンは若干コインの波に飲み込まれて態勢を崩したものの、すぐに立ち上がりオーガにコインを投げつける。
心配そうにこちらを見やる李月に、グールンは親指を立ててニヤリと笑って、
「勝つぞ!」
李月はそんなグールンの姿を見て、
「ああ!」
と笑顔を投げ返し、これまでに無いほどの集中力を見せる。
まるでスロットに意識をリンクさせているかのような、集中力。李月には、もはやスロットが止まって見えているのかもしれない。
オーガがその集中力に畏怖にも似た感情を覚えて、慌ててコインを投げようとするが、それを見逃すグールンではない。すかさず指をパチンと打ち鳴らし、たらいを出現させる。
たらいは一直線にオーガ達の脳天に直撃し、オーガ達はふらふらっとその場に倒れ込んでしまった。
「残り10秒~~~~!」
少女の声をしたオーガがカウントダウンを始め、次第にカウントが少なくなる。
「残り時間が少ない。リツキ、ラストスパートだ!」
グールンの声に李月は頷き、スロットを叩く。一回目『オーガ』。二回目『オーガ』。
「残り、3秒~~~~! 2、1!」
スロットが、止まる。
止まったスロットの出目は――、
「0~~~~! おおっと!? これはすごい! ブザービートとでも形容すればよいのでしょうかっ! ウィンクルムチーム、時間ギリギリで『オーガ』を揃えた~~~~!」
グールンが駆け寄り、李月と拳を合わせる。
「コインの総数を確認しますっ! オーガチーム、360枚! 対して、ウィンクルムチームのコインの総数は……」
「1000枚オーバー! 圧勝です!」
トリプルスコアとでも言えば良いのだろうか。相手チームとついた枚数の差に、二人はしばし呆然としていたが、ややあって二人はぎゅっと抱きしめあい、喜びを分かち合った。
オーガを倒し、勝った。
これでオーガに食べられた人達は解放される。
「いやぁ、ウィンクルムさん達の圧勝っスわぁ、うん、圧勝圧勝」
少女の声をしたオーガが二人をニヤニヤとした表情で見やる。
「オレ達の勝ちだ、はやく罰ゲームを行って人々を解放しろ」
李月を背中で庇いながら、グールンが少女の声をしたオーガを睨む。
「あはは、うんうん、わかってるって、その約束は破らないよ~?」
「どうだかな! 自分は戦闘に参加しないで逃げてたヤツが偉そうに! オマエもぶっ倒してやるぜ!」
グールンの叫びに少女の声をしたオーガはケタケタと笑い、
「あははっ、あんた面白いね! でも、今はやめよ? トランスも出来ない状態じゃあたしに敵わないしょ?」
その言葉にグールンは引き下がり、二の句を告がないまま李月を見やる。
「そうそう、神人ちゃんを危険な目には合わせられないもんねぇ! 安心してよ、いつかはあたしもまたあんた達と遊んであげるからさ、また会おうね~☆」
「待て!」と叫ぶグールンを無視するようにして、オーガはその姿を眩ませた。憎憎しげにするグールンを強く抱きしめて、李月は耳元で囁く。
「僕達じゃ、まだあのオーガには勝てないよ」
その言葉に反論しろうとするグールンだったが、李月はそれをさせじと遮るようにして、
「だから、もっと強くなろうよ。……二人でさ」
李月のその言葉を聞いて、グールンは、
「ああ……」
と静かに頷いた。
☆罰ゲーム☆
「負けちゃったね、オーガくん達~?」
コインに埋もれながらカタカタと震えるオーガに、少女の声のオーガは微笑んだ。
「ゲームバトルだからさ、罰ゲームを受けてもらわなくちゃいけないんだよね」
嫌だとでも言うように首を振るオーガに目もくれず、少女の声をしたオーガは笑みを絶やさない。
「うんうん、嫌でも決まりは決まりだからさ、あんた達が死なないと食べた人達は助からないでしょ? だからね、諦めて死のう? ねっ?」
少女の声をしたオーガに、オーガ達は雄たけびを上げて拳を振るう。
けれど、少女の声をしたオーガは一歩も引かないまま攻撃を受けた。
被っていたジャックオーランタンの被り物がやぶけて、ぱさりと地面に落ちる。
被り物が破けて露出した顔面部分から除くのは、人間の顔。
構わずに攻撃を仕掛けようとするオーガに、少女は無慈悲に告げる。
「じゃあはじめちゃおっか、罰ゲームをさっ」
オーガの攻撃は少女に届くことは無く、ジャックオーランタンの姿をしたスロットから伸びてきた蔦に絡め取られてしまう。
蔦はずるずるとオーガをスロットの目の前に引き摺りこみ、スロットが「ケケケ」と不気味に笑いながら動き始めた。
「ジャックポッドなんて、そうそう滅多に見られないんだから、よーく見ててよね?」
いつの間にかスロットの横に鎮座する少女に、オーガは絶句する。
手に持っているのは何の変哲も無いただの木の棒。しかしこの状況ではオーガ達の命を奪うには十分な武器。
少女はにっこりと笑みを浮かべながら、オーガの反応を楽しむようにして、ゆっくりとスロットを三度叩く。
止まった出目は『777』。ジャックポッドが発動し――大量のコインが雨のように降り注いだ。
オーガ達の雄たけびとも悲鳴とも似つかぬ声が、コインのぶつかる音で掻き消された。
コインに埋もれた人々をコインの上に引き摺りだして、少女は荒い呼吸を繰り返す。
「まったく、箸より重たいもの持てないんだから、こんな仕事任せるなっての!」
うざったそうにオーガの着ぐるみを脱ぎ捨てて、少女はアトラクション内から脱出を図る。
「あとは任せたよ、ウィンクルムさん達~。あでゅ~~~~」
人々の救出をウィンクルムに丸投げし、少女はジャックオーポッドを後にした。
依頼結果:成功
MVP:
名前:アキ・セイジ 呼び名:セイジ |
名前:ヴェルトール・ランス 呼び名:ランス |
名前:李月 呼び名:リツキ |
名前:ゼノアス・グールン 呼び名:ゼノアス/ゼノ |
エピソード情報 |
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マスター | 東雲柚葉 |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 2 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 10月12日 |
出発日 | 10月17日 00:00 |
予定納品日 | 10月27日 |