プロローグ
●興味と黒猫
月幸石を探し、また、瘴気を払うためにネイチャーヘブンズを訪れていたあなたたち。
見慣れない、しかし美しい景色を堪能し、笑い合いながら歩く。
するとそこへ、二人に興味を持ったのか1匹のペタルムが近寄ってきた。
「ニャアーン」
尻尾の代わりに真っ白な美しい花を揺らし、二人の周りをつかず離れず歩き回る大きな黒猫。
可愛いね、などとパートナーと笑い合っていたあなただが、ふとペタルムがじっと自分を見つめている事に気付く。
興味深げにじっと見つめられると、思わず自分も見つめ返してしまう。
しばらくじっと見つめ合っていたが、先に行動を起こしたのはあなただった。
「おいで~」
ちょいちょい、と手招きして声を掛けてみる。
すると、
「ニャニャーン」
嬉しそうに声を上げ、ペタルムが駆け寄ってきたのだった。
飛び込んでくるペタルムを受け止め、楽しそうに笑うあなた。
ペタルムもあなたの事が気に入ったのか、嬉しそうにすり寄ってはゴロゴロと喉を鳴らしている。
すっかりペタルムと戯れることに夢中になったあなたは忘れていた。
隣に、彼がいる事に……
●黒猫の興味
一方の彼はというと、最初こそペタルムと戯れるあなたを愛しげに見守っていたのだが。
自分もペタルムと戯れようと、そっと手を伸ばすと、
ぺしん
その手を猫パンチではたかれてしまう。
爪こそ出ていないが、地味に痛い。
あれ?と思ってもう一度手を伸ばすが、
「フシャーッ!」
今度は威嚇されてしまった。
「あはは、嫌われちゃったねぇ」
あなたはのんきに笑っている。
先程まで彼を威嚇していたペタルムも、今はあなたに喉元を撫でられてご満悦の表情だ。
(おもしろくない)
彼は思った。
パートナーもペタルムも、まるで自分を相手にしていない。
まるで、パートナーをペタルムにとられてしまったかのようだ。
どうしてくれよう。
そうして彼は考え込むのだった……
解説
神人か精霊、どちらか一方がペタルムに気に入られてしまいます。
ペタルムに気に入られた方は、戯れるのに夢中で残されたパートナーに見向きもしません。
残されたパートナーは一体どうする?
というのが今回の主旨です。
ペタルムを傷付けずに、パートナーの注意を取り戻してください。
それぞれ別々の場所で起こった事とし、他のペアと出会う事はありません。
神人か精霊、どちらかペタルムに気に入られる方に米印(※)をお書きください。
セレネイカ遺跡までの交通費として一律で<300Jr>頂きます。
ゲームマスターより
男性側では初めまして。
紫水那都と申します。
たとえ猫ちゃんにでも、大切な人を取られたら嫌な感じがしませんか?
ということで、頑張って相手の注意を自分に引き付けてください!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
叶(桐華)
※ 可愛い猫の子だねぇ。尻尾の花も綺麗 動物に懐かれるのはやっぱり悪い気はしないねぇ 桐華は、仏頂面だから嫌われるんだよー もっとにこにこしてればいいのにねー 背中にくっついてきたのは気が付いたけど、何も言わないって事は遊んでて良いって事かな まー、構ってほしそうな猫の子の方が優先ですけど! ほーれくすぐってくれるー わっ びっくりした。急にどうしたのさ んー?なぁに、寂しいの桐華さん あはは、珍しく素直だねぇ 構うのはいいけど、僕としてはもうちょっとこのままがいいかなー ほら、温かいし、猫の子とももうちょっと遊びたいし… …覗き込むのは無しでしょ もう、うるさいな、知らないわけじゃないでしょ こう見えて照れ屋なんですよーだ |
セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
※ ペタルムだよ。尻尾が花だなんて不思議だよね 僕…? 探査中だけど少しなら)おいで 可愛い。こんなに懐かれたの初めてかもしれない(なで ■タイガにオイタして 駄目だよ、そんなことしちゃ タイガも拗ねない。猫にもきっと相性があるんだよ (この子ならアレもできるかも) おずおずと動物学でみた気持ちいいという 耳の後ろや喉、首周りを撫でマッサージ ■喜んだら静かに感動 ケセラもいいけど猫もいいなぁ ◆弱点の首にびくっと反応。硬直するもタイガの様子に気づく ひゃっ!?首は駄目だって (熱い…真剣な顔してどうして。あ) タイガは虎だろ? でもうん。僕だけの虎さんがここにいたね …嫉妬してくれた…?(赤くなりつつタイガ撫で 猫に)ごめんね |
李月(ゼノアス・グールン)
※ ペタルムと遊ぶ ペタルムについて ・でかい! すごい! 珍しい! ・花の付け根とか興味深々 ペタルムに対しての行動 ・お腹さすりさすり ・ほっぺすりすり ・万歳ポーズで寝転んで並んでみたり ・何か適当なものひらひらさせて釣ってみたり ・押し潰されそうになってわたわたしてみたり 精霊の行動に対して ・いちいちの報告を受け目的を思い出すもペタルムの可愛さよとばかりに採取に身が入らない ・採取してくれたのは素直に感心(意外に真面目な奴と認識新たに ・じゃれさせろ発言にうんざり顔、でも採取を一人でさせてしまったのできっぱり拒絶できずうやむやにしようと帰り肉まんおごるとか提案 |
●僕だけの
興味深げにこちらを見つめる瞳に、先に気付いたのは火山タイガだった。
「お、この辺にいる大きいニャンコか」
タイガの言葉通り、普通の猫よりはだいぶ大きな体躯の、しかし猫そっくりの外見を持ったネイチャーが1匹。2人の様子をうかがうようにしている。
「ペタルムだよ。尻尾が花だなんて不思議だよね」
タイガに教えるように言ったのは、セラフィム・ロイスだ。
彼の言葉に応えるように、
「ニャアーン」
一声鳴いたペタルムは、警戒した様子を見せつつも好奇心が勝っているのだろう。次第に2人に近付いてくる。
一心に2人を見つめているように見えるペタルムの瞳。その瞳が、本当は1人を見つめていることに気付いたのはセラフィムだった。
「僕……?」
ペタルムと目が合ったと感じたセラフィムが、呟くように言う。
「ニャオン」
そうだ、とでも言うようにペタルムが鳴く。
じっと見つめ合う1人と1匹。
先に動いたのは、セラフィムだった。
「おいで」
探索中だけど、少しなら良いよ。
そんな意味を込めて言う。すると、
「ニャンッ」
嬉しそうに鳴いたペタルムは、セラフィムめがけて一直線に駆け寄ってきた。
にゃうにゃうと楽しげにすり寄るペタルム。
「可愛い。こんなに懐かれたの初めてかもしれない」
そう言ってセラフィムは、嬉しそうにペタルムを撫でた。
一方のタイガも、いつものように陽気な様子でペタルムを撫でようと近付く。
「なんだ、セラが気に入ったのかこいつ。わかるやつーーっ!」
セラフィムの魅力がわかるとは。ネイチャーといえども同志!と、友好的な気持ちになったタイガであった。
しかし、
「ニャウッ」
伸ばした手を猫パンチで叩き落とされる。
「へっ?」
セラフィムに対するのと同じように、自分にも懐いてくれると思っていたタイガは呆気にとられる。
ペタルムの表情も、心なしか冷たい気がして。
「駄目だよ、そんなことしちゃ」
優しい声でペタルムをたしなめるセラフィム。
「ニャウ―」
そんなセラフィムに、ペタルムは少々反省したようなそぶりを見せつつ甘えている。なかなかあざとい。
ペタルムに腹黒さを感じ、むっとした表情を見せるタイガ。
「タイガも拗ねない。ペタルムにもきっと相性があるんだよ」
そう言って、セラフィムがタイガをたしなめる。
すると、ペタルムはこころなし嬉しそうだ。さらに、タイガをチラ見し勝ち誇ったような視線を送ってきた。気のせいなのかもしれないが、そう見えた。
何だかこれは、
(ライバル視されてる?)
タイガはそう思った。
(俺らが仲良いのわかったのか)
そのうえで、セラフィムを独り占めしようとしているのか、このペタルムは。
いや、まさか、相手はペタルムだ。そんな感情あるわけがない。きっと偶然だ。
タイガは自分にそう言い聞かせ、さらにペタルムと接触を図ろうとする。
だがその後も、
「……」
タイガが後ろから背を撫でようとすると、尻尾の花でぺしりとはたかれ。
「……」
セラフィムに紛れて撫でようとすると、するりと身をかわされ。
「……」
弁当に持ってきた唐揚げでつろうとすると無視され。
(か、可愛くねええええ……!)
邪険に扱われ、タイガは釈然としない面持ちでペタルムを見つめる。
ここまでされれば間違いはない。このペタルム、タイガをしっかりライバル認定している。
(相性なら、コイツより俺が絶対いい!!)
セラフィムとの相性ならば……
先程言われた『相性がある』という言葉を根に持っているのか、タイガはぶわりと尻尾の毛が逆立ち喧嘩腰だ。
タイガの視線を身に受けつつも、ペタルムは悠然とセラフィムに甘えている。
一方、ペタルムに懐かれたセラフィムは、
(この子ならアレもできるかも)
おずおずと、ペタルムの耳の後ろや喉、首周りを撫でる。
以前に動物学で見た、気持ちが良いというマッサージだ。いくら気持ちが良いといっても、野性動物が思い通りに撫でさせてくれるとは限らない。けれど、この子なら。
セラフィムの期待通りペタルムは、ゴロゴロと喉を鳴らして嬉しそうに、また気持ちよさそうに目を細めてくれた。
その様子に、セラフィム自身も笑顔になっていた。
そんな1人と1匹の様子に、
(でれでれじゃん。嬉しそうなセラは好きだけどさ)
セラフィムが、自分以外と仲良くしていると、むくむく湧き上がってくる不満になる気持ち。
これは、
(ヤベ……)
相手が猫でも感じるこの気持ちは、独占欲だ。
猫を相手に何を考えているんだと思いかけて、タイガはその思考を放棄した。
たとえ、猫が相手でも。いいや、相手がネコ科だからこそ、ネコ科テイルスとしては負けられない。
「ひゃっ!?」
突然の首へのくすぐったさに、思わず声を上げたセラフィム。
気付けば、タイガに背後から抱きすくめられ、首筋を尻尾でくすぐられている。
「首は駄目だって」
体を硬直させ、文句を言おうと振り向いて気付いた。
いつになく真剣な表情のタイガに。
猫の真似をするようにすり寄ってくる、その体が熱を帯びている。
「猫ならさ、ここにもいるだろ。尻尾に耳もある、セラにベタ惚れな猫が」
ぶすくれた表情で言うタイガ。
その言葉に、はっとする。
「タイガは虎だろ?」
それは、至極当然のことだ。
タイガは、虎のテイルスなのだから。
それでも、セラフィムにとっては、
「でもうん、僕だけの虎さんがここにいたね」
苦笑して言うセラフィム。それでも、どこかその表情は嬉しそうで。
「……嫉妬してくれた……?」
薄く頬を染めて、そっとタイガを撫でるセラフィム。
「おう。構えー」
今更ながら恥ずかしくなったのか、顔を赤くするタイガ。
ちらりとペタルムに視線をやり、
(……ライバルには負けねーよ)
そう思う自分自身に苦笑いするタイガと、
「ごめんね」
ちょっぴり申し訳なさそうにペタルムに告げるセラフィム。
「ニャウーン」
それに応えるように、残念無念と言いたげに一声鳴いたペタルムだったが、不意に地面を睨めつけるようにする。
次の瞬間、ぺしりと音を立ててタイガに向かってペタルムが何かを弾き飛ばす。
片手で難なくキャッチしたそれを見ると、
「月幸石……?」
あのペタルムが、くれたのだろうか。
視線をペタルムのいた場所に送る。
しかし、
「あれ……?」
いつの間にか、ペタルムはその姿を消していたのだった。
●本当は
ゼノアス・グールンは、早々にペタルムから興味を失っていた。
自分も戯れようとした瞬間に、繰り出された高速猫パンチ。
なるほど、このペタルムは自分がお気に召さないらしい。
その瞬間から、ゼノアスの意識はペタルムから離れ月幸石を探すことにのみ向けられていた。
辺りを見回し、変異した月幸石はないかと視線を巡らす。
一方の李月はといえば、ペタルムに興味津々だった。
いつもは本の虫で外出さえ億劫としているが、その様子を微塵も見せず、
「でかい!すごい!珍しい!」
と、きらきらと瞳を輝かせてペタルムを見ている。
花の付け根はどうなっているのだろう、どうしてこんなに大きいのだろうなどと、見てみたり触れてみたりと忙しそうだ。
ペタルムも、満更でもない様子で李月に体を触らせたりその美しい尻尾を見せたりしている。
その様子を見て、ゼノアスは一つ溜め息をついた。
家に篭りがちな李月を何とか引っ張り出してきたのに、自分には見向きもしてくれない。
いったい李月は何をしにここに来たつもりでいるのか。だいたい李月は自分のものだというのにあのペタルムときたら……。おや、なんだか胸の奥がもやもやする。
しかし、あんなに楽しそうなら月幸石も見つけ易いだろう、と前向きな思考に切り替え、ゼノアスは石の採取を始めた。
李月が楽しんでいるからだろうか、一つ二つと変異した月幸石が見つかっていく。
その間、李月はと言えば。
「ニャー」
ペタルムのお腹をさすってみたり。
「ニャフッ」
ペタルムに頬をすり寄せてみたり。
「ニャウニャウ」
撫でられた気持ち良さに万歳で寝転ぶペタルムの横に、同じポーズで寝転んでみたり。
「ニャニャッ」
そこら辺にあった草を猫じゃらし代わりに、ひらひらさせてペタルムと遊んだり。
「ニャーン!」
「わわっ!」
とびついてきたペタルムに押しつぶされそうになって慌ててみたり。
それはそれは、嬉しそうな様子でペタルムと戯れていた。ペタルムの方も、可愛らしい声としぐさで李月の興味を引き続ける。
そんな李月に、苦々しい思いをしていたのはゼノアスだった。
(一緒に探すんじゃなかったのかよ)
不満げな表情で、一人月幸石を探す。
「あったぞ」
「ここにもあった」
「また見つけたぞ」
月幸石を見つけるたび、ペタルムとじゃれている李月に報告を欠かさない。
ここに来た目的を忘れていないか。
自分の存在を忘れてはいないか。
そんな、ゼノアスなりの意思表示のつもりだった。
しかし、李月は月幸石の発見を報告されるたびに自分も探さねばと思うのだが、ペタルムの可愛さよとばかりにじゃれてしまい採取に身が入らない。
楽しげな李月に横目でチラチラと視線を送りながら、ゼノアスはもやもやとした感情に苛まれていた。
(オレがじゃれてもあんないいカオしねーだろ)
普段ゼノアスが李月にじゃれついた時にしている、どこか諦めたような冷めた表情を思い出し、ペタルムが羨ましくなる。
そこで、ゼノアスはその感情の名に気づいた。このもやもやは、
(嫉妬……か)
本日二度目のため息をついて、ゼノアスは採取した月幸石を一か所に積み上げる。
「随分集まったね」
ペタルムの腹をさすりながら、李月は感嘆の声をあげる。
「この数はオマエの手柄だな」
そう、李月に告げる。
「え……?」
驚いたように、ゼノアスの方を見る李月。
思わず、ペタルムを撫でる手も止まっている。
李月は感心していた。自分がペタルムと戯れている間に、彼は月幸石をきちんと集めてくれていた。自己中心的で自由人だと思っていた彼が。
「あ、ありがとう……」
「いや、採取した数だけオマエが楽しかったって事だろ」
彼は意外にも真面目な奴だったのだなと、李月は認識を新たにする。
すると、ゼノアスが口角を上げ、
「オレはペタルム楽しめなかったから、帰ったらたっぷりオレにじゃれさせろ」
と、李月に言う。
「間接ペタルムだ」
にやりと笑うゼノアス。
本当は、ただ李月とじゃれたいだけの口実だった。
そんなゼノアスに、李月はうんざりとした表情を向けるもきっぱり拒絶できずにいた。
一人で月幸石の採取をさせてしまったのを、さすがに申し訳なく思っていたのだ。
なんとか誤魔化せないか。必死で考え、出た台詞は。
「しょ、しょうがないから、帰りに肉まんおごってあげるよ……」
小さくなる語尾。
結局、じゃれるじゃれないは有耶無耶にされてしまった。
それでも、彼の新しい一面を知れたことは、二人にとっての新たな一歩になったのかもしれない。
●譲れない
知っている。
小動物好きなのは知っている。
遊び出したら結構夢中なのも知っている。
その上、
(ぶっちゃけ、俺への当てつけとかでわざとそんなことするのも知ってる)
ただし、
(知ってるのと納得するのとは違うわけでだな)
悶々と、桐華は考え込んでいた。
目の前で、ペタルムと戯れる叶を見つめながら。
「可愛い猫の子だねぇ」
尻尾の花も綺麗だ、と叶はペタルムを撫でる。
嬉しそうに目を細め、その手にすり寄るペタルム。
動物に懐かれるのは、やはり悪い気はしない。
「桐華は、仏頂面だから嫌われるんだよー」
最初から全くペタルムに相手にされなかった桐華への、当てつけのように叶は言う。
「もっとにこにこしてればいいのにねー」
君もそう思うだろう、とばかりにペタルムに向かって言うと、
「ニャオーン」
分かっているのかいないのか、ペタルムも一声鳴く。
そのまましばらく、ペタルムとじゃれる叶。
「……!」
その背中に、不意にぬくもりが触れた。
桐華が、叶の背中に自分の背中をつけて座ったのだ。
しかし、桐華は口を開くことはない。
それをいいことに、叶はペタルムと遊び続ける。
桐華の行動は、無言の抵抗だということに、薄々勘付いてはいた。そのうえで、ちょっとした意地悪心が頭を擡げたのだ。
「何も言わないという事は、遊んでいて良いってことだよねー」
にやりと笑み、わざと大きな声で言う叶。
「……」
無言を通す桐華。
「まー、構ってほしそうな猫の子の方が優先ですけど!」
わしゃわしゃとペタルムを撫でまわす叶。
「ほーれくすぐってくれるー」
この辺りで、桐華の限界が訪れたようだ。
ペタルムを存分に撫でまくる叶を、ふいに後ろから抱きしめる腕。
「わっ」
桐華だ。
楽しそうな声に、とりあえずそれが聞ければ良いかと思っていた桐華だったが、あまりにも放置されたと感じた故の行動だった。
叶の方が、桐華より若干、ほんの少しだけだが身長が高く体格も良い。
しかし、自分だって。
彼に抱きしめられるばかりではない、彼を抱きしめる事が出来るのだと示す良い機会なのかもしれない。
「びっくりした。急にどうしたのさ」
叶が言う。桐華がこんな行動に出るとは予想してもいなかった。きっと桐華なら、叶の気が済むまで、じっと我慢しているだろうと思っていたから。
けれど、叶は動揺を表に出さないように努める。
「んー?なぁに、寂しいの桐華さん」
からかい半分、といった調子で叶が桐華に問う。
強がりな彼は、きっと否定するだろう。
しかし、桐華からの応えは、叶の予想とは少々違っていた。
「暇。構え」
耳元で、桐華の真っ直ぐな気持ちが囁かれる。
「珍しく素直だねぇ」
あはは、と叶が笑う。
「構うのは良いけど、僕としてはもうちょっとこのままがいいかなー」
桐華に背を向けたまま、叶が続ける。
「ほら、温かいし、猫の子とももうちょっと遊びたいし……」
いつもの余裕のある調子でそう言った叶の耳は声色に反して、真っ赤に染まっていた。
「……この状態で未だ猫か……って……」
それに、桐華も気付いたようで。
心なしか、体で感じる叶の心音も早いように思える。
しばし考え込んだ桐華は、そっと叶の顔を覗き込んでみる。
そこには、真っ赤になった叶の顔があった。
意外そうに目を瞠る桐華から視線をついと逸らし、
「……覗き込むのは無しでしょ」
と、ぶすくれたように、叶が言う。
「このままがいいってのは、見られたくないからか」
先程の叶の言葉を反芻するように、桐華が言う。
「もう、うるさいな。知らないわけじゃないでしょ」
だって、叶は、
「こう見えて照れ屋なんですよーだ」
ぷいと顔をそむけてしまう叶。
「うん、そう言えば知ってた。折角だから、もう少しこのままな」
そんな叶を抱きしめる腕に、ほんの少し力を込めて。
「照れろ照れろ」
そう言う桐華の頬も、嬉しさからか、ほんのりと朱に染まっていた。
叶の手は相変わらずペタルムの毛並みを撫でてはいたけれど、その意識はとうに桐華に奪われていて。
それに気づいているのか否か、ペタルムは一声「ニャオン」と恨めしそうに鳴くと、地面の小石を尻尾でぺしんと跳ね飛ばした。
小石は跳ねて桐華の足に当たり――きらきらと幸せの色に輝いた。
(このリザルトノベルは、木口アキノマスターが代筆いたしました。)
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 紫水那都 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 3 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 10月08日 |
出発日 | 10月15日 00:00 |
予定納品日 | 10月25日 |
参加者
会議室
-
2015/10/12-02:11
:タイガ
よっす!俺タイガと相棒のセラだ。
と、李月とゼノアスは初めましてだな!よろしく頼むぜ!
俺んとこもだーー!!(イライラ尻尾ぶわっ)
おう頑張る。桐華も頑張って奪いかえそうぜー!
皆の勝利願ってるぞ! -
2015/10/11-20:03
ペタルムに夢中な叶と若干不愉快な桐華だ。
小動物系が好きなのは知ってるから別に良いけど。良いけど。
…会う事は無いみたいだけど、お互い頑張ろう、な…?
頑張ろうであってるとは思うんで、そんな感じでとりあえず宜しく。 -
2015/10/11-09:35
よろしくお願いいたします。
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2015/10/11-02:22