ふわもこ! ブラッシングのお誘い(如月修羅 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●もふもふはぶらっしんぐをおぼえた!
「この間、レカーロについて募集を掛けたのですが、覚えてらっしゃる方はいますでしょうか?
前回のが分からないという人向けに簡単に説明しますと、狼に似たころんとしたメタボチックな生物なんですけれども、彼らが暑さでダウンしている所をウィンクルムの皆様に、助けていただいたんです」
 とある村の手前でダウンしていたレカーロ(総勢100匹近くの集団)を、涼しめる木陰や湖がある森まで移動してもらったのだ。
 前回のその移動のお蔭で、レカーロ達は元気だという。
「突然なのですが、前回ブラッシングをしてくれたウィンクルムの方がいらしたみたいで……あ、別にそれが悪いとかじゃ勿論ないですよ?
ただ、どうもブラッシングの気持ちよさを覚えてしまったようで」
 レカーロ自体は人懐っこく、また、じみーに冬の湯たんぽとしても人気の高い種族らしい。
 そのためか、時々山にレカーロと戯れに行く人がいるのだが……。
「集団で、ブラッシングをしてくれと催促してくるみたいなんですね。
流石に100匹近くの集団ともなりますと、山に行った人も大変みたいで……ここの所、あんまりブラッシングしてもらえなくてどことなくしょんぼりしているレカーロが見れるのだとか」
 そこでですよ! と職員がブラシをばばーんと取り出した。
 それはレカーロ達が好きなちょっと硬めのブラシ。
 毛が良くとれ、さらに肌に程よい刺激を与える一品だ。
「皆様が行くのでしたら、1人10匹ブラッシングしてあげればいいと思うんです!
まぁ、それに多少色がつくかもしれませんが……なんとかなると思います。
なんだか色々ありますが、今日ぐらいはレカーロ達と戯れるのは如何でしょうか?
涼しくなってまいりましたし、湯たんぽで暖をとってみるのもいいかと……天然の湯たんぽですよ!」
 力説する職員は、休みのたびにレカーロ達をちょくちょく見に行くらしい。
「あ。そうでした……ペットとして飼ってる人もいるって話を前回したのですが、今回はただ戯れるだけですし、じっくりと口説いてみるのは如何でしょう?
沢山のレカーロを口説こうとすると、見向きもされません。
真摯に口説くのがいいと思いますよ。
あと、つがいはつがいで口説いて、一匹の子は一匹で口説いてあげるといいと思います。
親子ずれでもいいとは思いますが、親子ずれの方はあんまり口説かれないでしょうね。
あ、あと、リーダーと、副リーダー、そしてその取り巻きの3匹はどう口説いても無理ですので、そちらは口説くだけ無駄だと思います」
 そのため、例えばリーダーを口説いて全員俺らのとここいよ! とかいうチートは無理だということである。
「彼らは雑食ですから、何か食べ物をもっていくのもいいでしょう。
賢い子達ですので、しっかりと話せば通じ合うものもあるでしょうね」
 では、楽しんできて下さいませ。
 そう言って見送るのだった……。

解説

●レカーロ
 異様に尖った耳とくるんと丸まった尻尾を持つ、犬のようなおデブな動物。
 湯たんぽとして人気で、食べ物はなんでも食べる雑食。
 基本はつがいで行動し、時々1匹なレカーロもいるようだ。


●ブラシ
 人数分用意されています。
 レカーロ達が好きなちょっと硬めのブラシ。
 毛が良くとれ、さらに肌に程よい刺激を与える一品。

●jr
 移動費と、ブラシ分を合わせて300jr頂きます。

※今回はロールでの持ち帰りとなり、これによって特別な何かを得られることはありません※
※他のGM様の所で出したとしても、描写される保証はありません※

ゲームマスターより

レカーロ、再びです。
これからの季節に欲しくなりますね……。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)

  涼しくなってきて過ごし易くなったんだな
レカーロの手触りと体形を思い出すと心が和む
俺達はどちらからともなくこの依頼に飛びついたって訳(笑


リーダー達に挨拶をしてお土産を広げるよ
お土産は、木の実を炒った奴とか、ふわふわの干草ロールとか
風が来ないウロの中に入れて、冬まで持つ美味しい保存食だ

ところで皆は冬の間はどうやって過ごすんだい?
聞いても分からないか(くす

それでさ、良かったらブラシがけをさせて欲しいんだ(説明
まずはリーダーからな
それからヒエラルキーを降りる
ブラシのコツは、ランスの手解きを受ける
レカーロが気持ちよくなる様にな

毛がいっぱい出ちゃったな
これ、集めてクッション材にしてもいいかなあ?(もふっ



セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  レカーロ達がコレ(ブラシ)をそんなに気に入ってくれたとは嬉しいぜ。
ブラッシングの伝道師たるオレの手腕に再びとろけるがいい!(相変わらず言いすぎ。
今は冬毛に代わる時期だし、しっかりブラシをかけて欲しいよな。思う存分ブラシッグしてやろう!
「よしよし、久しぶりだ、元気だったか」と声をかけてレカーロをまふまふしつつブラッシングだ。
確かにこいつら、ぬくぬくとして可愛いじゃん!
ウチの猫達と仲良くなれそうだ。
いやきっとなる。
この暖かさは猫だって大好きに決まっている。
100匹も居たらちょっと群れからビミョーに浮いているのが居るだろ。その子を口説いて連れ帰りたい。
「オレの家にくる?」って。いやラキアの家だけど。



柳 大樹(クラウディオ)
  前回は肉だったし、柿にでもしてみようか。
流石に群れ全部に1つってのは無理だから、俺らで担当するかも知れない20匹分くらい?
予備含めて25個ぐらい持ってくか。
いや、2袋に分けたんだし俺も持てるんだけど?
あー、はいはい。他のもん持つよ。(ブラシとか

「柿持ってきたから、おやつ代わりにどーぞ」
ブラッシング待ちの間に食べてなよ。一応1個ずつだからね。
余ったらリーダー達にでもあげるか。

はいはい、順番だよ。
クラウディオが調べて来た手順通りに、ゆっくりブラッシング。数が多いけど焦らずに。
もふもふ。(偶にブラッシング前に軽く指をレカーロに埋める
うん。癒されるわ。(口元を緩める

クロちゃん、結構丁寧にやってるなあ。



カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
  「違和感から訴訟なんて起こされねぇよ」
俺限定で分かり易い奴
切り返しには笑う

大将に挨拶と土産の肉
ガキ共には梨やって、ブラッシング

終わったら、再び大将へ
大将の家族でもある誰かを家族として迎えたい旨を話す
「帰宅したイェルへおかえりを言ってやる存在が俺以外にも欲しくてな」
※だから在宅の仕事

孤立しがちな奴、性別はどっちでもいいが
挨拶し、家族になって欲しいと話す
「冬、自分以外の温もりがないベッドはきつい。去年、俺も思った。イェルと一緒に寝てやってほしいって思ってな」
「てめぇにも家族を作ってやりたいってのも理由かな」

決まったら
「今日からこいつがてめぇのかーちゃんだ」
「俺がかーちゃん? 違和感が訴訟だろうな」


紅 千暁(牙)
  へーえ、おデブと言っておきながらすっごい愛嬌ある顔だねえ
レカーロ、初めて見る。可愛い(でれでれ

ん、なに? きーちゃん
…ああ、動物? 好きだよ可愛いし癒されるし
子供も自然も好きだけどね

はわわ、なにこれ綿飴っぽい!
ほほう…ブラッシングしてあげると、気持ち良いんだねーよしよし

……きーちゃんさ、もしかして動物慣れてないの?
いや、さっきから妙にぎこちないっていうかさ
…慣れてないんだね、なんで分かるか? 行動を見てれば分かるよ

…ところでさ、きーちゃん。すごいんだけどこのレカーロたち
そんなにブラッシング好きなんだね
うん、かわいいかわいい
温かいし(ぽふぽふもふり




 その日、レカーロ達はなにやらそわそわしていた。
 今日はいつにない何かがやってくる……。
 そんな予感があったのかもしれない。
 どこかそわそわ落ち着かない彼らを、リーダーと副リーダーが見守っている。
 やがて、人影がやってくるのが見えた。

●大樹とクラウディオの場合
 前回は肉だったし、柿にでもしよう。
 柳 大樹は、自分達が担当するであろう二十匹、予備を含めて二十五個の柿を持参していた。
 本当は群れ全部にあげたいところだけれど、色々と大変だ。
「いや……二袋に分けたんだし俺も持てるんだけど?」
 クラウディオはその言葉に視線をやり、されど渡すこともなく持ったままだ。
 曰く、自分が運んだ方が効率が良いというのに、大樹は肩をすくめた。
「あーはいはい、他のもん持つよ」
 自分はブラシとかが入った袋を持っていくことにしたのだった。

 周囲を見渡し、レカーロの分布を確認するクラウディオ。
 他の人と被らないほうが混乱しないだろうという判断は、正しかったようで。
 次々と決まっていく他のレカーロ達に、焦るレカーロ達があわあわしていた。
「こっちだ」
 クラウディオが招きよせれば、ほっとしたようにやってくるレカーロ達。
 腰を下ろす場所に危険物がないか確認すれば、漸く大樹も座ることが許可された。
「柿持ってきたから、おやつ代わりにどーぞ」
 一人一個だからね。
 と言い添えることは忘れない。
 レカーロ達があぐあぐ美味しそうに食べている中、ブラッシングされているレカーロは幸せそうに瞳を細めている。
 大樹の隣に腰を下ろし、ブラッシングをしているクラウディオは、実はブラッシング初めてである。
 事前に念入りに調査してきたお陰で、やり方はわかっているものの、実際やるとなると別なようで。
 しっかりとブラッシングするレカーロには調査内容を伝えていたものの、指先は少々ぎこちない。
 背中から力を入れ過ぎないように丁寧に行いつつ、絡んだ毛をゆっくりとほどいていく。
「はいはい、順番だよ」
 わちゃわちゃと柿を食べ終わりやってきたレカーロは、大樹に言われて大人しく待つ。
 クラウディオに教えて貰った方法でレカーロをブラッシングしていけば、気持ちよさそうに瞳を細めている。
 なんだかそれに誘われるように指先を埋めていれば、もふっと沈み込んでいく。
(もふもふ……)
 気持ちいいそれに、自然と口元が緩む。
「うん、癒されるわ」
 そんな様子を見て、ほっと息を吐くクラウディオ。
 じっくりとブラッシングをしつつ、クラウディオは時々目の前で不安定になる大樹が、今日は笑っている。
 いい気分転換になったようだと思えば、なんだか自分も幸せになるようで。
(クロちゃん、結構丁寧にやってるなあ)
 そんな彼をみて、大樹もブラッシングしながらそう思うのだった。

●千暁と牙の場合
 おデブだと聞いていたレカーロ。
 どんなモノだと思っていたら、それはとても愛嬌がある生き物だった。
「すっごい愛嬌ある顔だねぇ」
 初めて見たレカーロにでれでれの紅 千暁をみて、牙が瞳を細める。
 確かにそれは一理あると思う。
 愛らしい顔つきが特徴と言えるかもしれない……と思いながら、さらさらと半紙に文字を綴って行く。
 書き終われば、千暁の肩を叩く。
「ん、なに? きーちゃん」
 とんとんと肩を叩かれ、視線を牙に向ければ見せられる半紙。
『紅は動物が好きか』
「……あぁ、動物? 好きだよ可愛いし癒されるし子供も自然も好きだけれどね」
 一気に言われたのに、牙が千暁には見えない瞳を細めつつ思う。
 確かに可愛い系や癒し系に興味を注ぐタイプだったと。
「はわわ、なにこれ綿飴っぽい!」
 そんな思いを馳せる牙の前では、千暁がすでにレカーロに手を伸ばしブラッシングを始めていた。
「ほほう……ブラッシングしてあげると、気持ち良いんだねーよしよし」
 そもそもの目的はブラッシングだ。
 気持ちよさそうに瞳を瞑るレカーロにと視線をやったあと、千暁の隣にしゃがみ込む。
 寄ってきたレカーロにとブラッシをそっとやってみる牙の隣では、もっふもっふとレカーロとじゃれながら千暁がブラッシング。
 ふわっふわの毛が、さらにふわっふわになって行く様子に、千暁が瞳を細める。
 そんな千暁と、気持ちよさそうなレカーロがなんとなくダブって見える。
(可愛いのには賛同する)
 心の中でそう呟いた頃、千暁がおずおずと声をかけた。
「……きーちゃんさ、もしかして動物慣れてないの?」
 その言葉に、牙の視線が此方を見た気がした。
 いや、さっきから妙にぎこちないっていうかさ……と言葉を紡げば、半紙が目の前に寄こされる。
『何故、分かる』
「……慣れてないんだね、なんで分かるか? 行動を見てれば分かるよ」
 小さく吹きだし、言われるのに行動で分かるものかと牙は思う。
(そういうものなのか?)
 疑問に思いながらも、さぐりさぐりブラッシングを頑張る。
 その様子に、どこかレカーロもふふっと笑ったようだった。
「ふふ、よーし、沢山ブラッシングするぞー」
 千暁がそう言ってレカーロ達を呼び集めた。

 呼び集められたレカーロ達に、どれだけブラシを通せばいいのか迷う牙。
 わふわふと気持ちよさげに鳴きながら、ぱたぱたと尻尾が盛んにふられている。
 なんとなく気持ちよさそうなレカーロの様子をみながらコツが掴めてきて、彼らがもういいよ、というまでやればいいのかと牙が思った時。
「……ところでさ、きーちゃん。すごいんだけどこのレカーロたち」
 呼んだ千暁自体がちょっと驚いてなんとなしに呟いた。
 されど、レカーロ達に瞳が和む。
 そんなにブラッシングが好きか―と千暁がブラシをしてやれば、嬉しげにぱたぱたと尻尾が振られる。
「うん、かわいいかわいい、温かいし」
 なでもふしたあと、ぎゅっと抱きしめればなるほど、湯たんぽというのが分かる。
 ほんわかとあたたかなその温もりに、笑みが毀れた。
 そんな千暁を見ながら、牙もゆっくりとレカーロをブラッシングをしてやるのだった。 



●カインとイェルクの場合
(いい加減カインさんの違和感は超過労働で訴えを起こすべきではないか)
 隣を歩くカインを意識の隅で認識しながら、でも出る言葉といえば。
「みなさん、元気だといいですね」
 イェルク・グリューンはそう言って、同意を求めればカイン・モーントズィッヒェルの答えはちょっとちがかった。
「違和感から訴訟なんて起こされねぇよ」
(俺限定に分かりやすい奴……)
 自然と浮かぶのは笑みの形。
 されどイェルクはそれには気付かず、視線は森の方へ。
 大体バレているゆえ出てきたのは軽口だった。
「ご自分の姿を鏡で見れば私の考えも一理あるでしょう」
 その答えに今度は堪えずに笑いだしたのに気がつき、イェルクが視線をあげれば、足元にもふんという感触が当たった。
「おや、元気ですね」
 カインの笑い声に反応したレカーロ達が、やってきていたのだった。


 持って来ていたお土産のお肉に、レカーロ達がお肉だァァァ! と寄ってくる。
「待て待て、まずは大将に挨拶だ」
 挨拶を済ませ、すでに早く! と準備万端なレカーロ達のブラッシングへ。
 丁寧に梳く傍ら、待って居るレカーノ達にはお土産を配ることに。
「ほら、お待ちかねの肉だ」
 カインから貰った肉をあぐあぐしながら待つレカーロ。
 子供達は梨を貰ってご機嫌だ。
(やっぱりカインさんの元に行くんですね……)
 梨効果というわけではなく、やはりカインから滲み出る包容力とか優しさだろうか。
 知らずじぃっと見詰めてしまう。
(……子供のレカーロに嫉妬してどうする、私)
 ほぅっと溜息つく先では、カインによって綺麗にブラッシングされた子供達がご機嫌にころころしていた。
 少し手が止まったイェルクの掌に、もふんと何か暖かな感触がして、視線を落とす。
「あなたは遅れそうだった方ですね、その節はどうも」
 ゆるりと撫でてやれば、気持ちよさそうに瞳を細めるレカーロ。
 この子はあの時足腰が弱くて遅く歩いていた子だった。
「では、貴方をブラッシングさせて貰いますね」
 もふもふの毛並みを梳いているその頃。
 子供達もブラッシングが終わり、カインの元へやってきたレカーロは全員お土産に舌鼓を打って居る。
 カインはリーダーの元へとやってきて、真摯に語りかける。
 それは、彼の大事な「家族」を自分の大切な人と共に過ごさせてやりたいという願い。
「帰宅したイェルへおかえりを言ってやる存在が俺以外にも欲しくてな」
 在宅の仕事をしている自分以外にも、家族を。
 その思いに、リーダーが一声鳴いた。
 どうぞ、こいつを連れて行ってやってくれ、という意思表示を感じ取り、カインはお礼を言う。
「大将、ありがとうな」
 そして、そのリーダーに紹介された子と言えば、小さめなオスだった。
 体が小さいゆえか、あまり皆と群れるようなことはしないようで。
 どこか寂しそうな、でもどこか意志の強そうな瞳をしたレカーロと視線を合わせる。
 初めましてのご挨拶と、名を名乗ればレカーロはじっとカインをみつめ。
「冬、自分以外の温もりがないベッドはきつい。去年、俺も思った。イェルと一緒に寝てやってほしいって思ってな」
 少しだけ首を傾げてなにやら考えていたレカーロだったが、カインの視線の先のイェルクと、そしてカインの優しさに満ちた視線に何かを感じ取ったのだろう。
「てめぇにも家族を作ってやりたいってのも理由かな」
 そして、同じように慈愛に満ちた視線がレカーロに落とされたのを感じれば、わおんと鳴いて、そっとカインの掌を舐める。
「そうか、一緒に来てくれるか」
「……先程から何を話してるんです?」
 内容を聞き取れず、気になったイェルクがやってくれば、カインがレカーロを抱え上げる。
「今日からこいつがてめぇのかーちゃんだ」
 家族になるレカーロを紹介されて、イェルクの瞳が見開かれた後、へっへっとぱたぱた尻尾を振るレカーロに挨拶をする。
 その挨拶に嬉しそうなレカーロを撫でつつ、首を傾げるイェルク。
「何故、私がかーちゃんなんです?」
 カインさんですし、貴方がカーちゃんでは? と答えを返すのに、カインが朝のイェルクと同じセリフを呟いた。
「俺がかーちゃん? 違和感が訴訟だろうな」
 そんな二人の仲良さげなやりとりを、「家族」となったレカーロが楽しげに尻尾を振りながら見守るのだった。


●アキとヴェルトールの場合
 肌に感じる風は、どこか冷たくも感じられる。
 涼しくなってきたこの気温は、レカーロ達にとって過ごしやすくなったのだろう。
「元気だといいけど」
 アキ・セイジはこの間助けたレカーロ達の温もりや手触りを思い出しながら小さく呟く。
「元気みたいだぜ?」 
 ヴェルトール・ランスがもっふもっふとやってきたレカーロをみて笑う。
「相変わらずもこもこしてんなぁ」
 笑いながら足元にすりすりしてくるレカーロの前にしゃがみこむ。
 絡み合う視線。
「よしよし、順番に気持ち良くしてやんぜ」
 わしゃわしゃと頭を撫でれられてうっとりと瞳を細めるレカーロをみて、自然とアキもしゃがみ込む。
 今回、どちらがここに来ようと言ったのかそれは自分たちにも分からないレベルで、自然とここに足が向かっていたのだ。
「……と、まずは挨拶しなきゃいけないんだ、待っててくれよな」
 少しの間わしゃわしゃした後、ヴェルトールがそう言って断った後、リーダー達の元へとアキと共に挨拶をしに向かって行った。
 

 リーダー達はやって来たアキとヴェルトールに尻尾を振って答える。
 他のレカーロ達と違って自ら寄って行くことはしないが、助けてくれた二人に信頼の気持ちが伝わってくる。
 そんな彼らの前に炒った木の実やふわっふわの干し草ロールだ。
「風のないウロの中にいれておけば、冬まで持つ美味しい保存食だ、貰ってくれるかな」
 リーダーにそう言って、確認しやすいように広げれば、リーダーがまず確認し、その後他のレカーロ達がやってきた。
「持っていくのは俺らがやるぜ」
 ヴェルトールのその言葉にわおんと一声鳴き、近くに居たレカーロ達と食料の保存する場所へと誘導するよう指示を出すリーダー。
 副リーダーを中心に、向かって行く。
「ところで、冬の間はみんなどうやって過ごすんだ?」
 その言葉に、わっふわっふと尻尾を振るのみで。
 聞いても流石に分からないかと笑いを零しつつ、食料やロールを置いて行く。   
 皆で戻ってくれば、カイン達に挨拶されていたリーダーが気がついた。
 では、またと去って行く二人を見送った後、アキ達の元へとやってくる。
「ちゃんと皆でいれてきたよ」
「あとで、確認しくれな」
 アキとヴェルトールの言葉にわずかに頷けば、アキが片膝ついてリーダーにと説明を始めた。
「良かったらブラシがけをさせて欲しいんだ」
 ほら、これ、と持ってきたブラシを見せれば、いいよというように尻尾が振られた。
 ヴェルトールと視線を合わせれば、自然と二人ともブラッシを手にとって。
「ほら、こんな感じにマッサージするようにすれば……」
 ヴェルトールの実践をしながらの指導が始まった。
 ゆっくりと丁寧に、教えて貰ったコツを実践しながらブラッシングするアキからは、この子達とずっと一緒に居たいと伝わってくる。
 動物は大好きだし、レカーロ達は頭もいいし、大人しいしでアキにもお勧めできるけれど。
「一緒に暮らしたそうだな?」
 顔に書いてあるぜ、と言えばアキがはっとしたように頬に軽く手をやった。
「けど、同族と暮らす方がレカーロには幸せだと思うぜ」
 家だと中々自由に広い場所でのんびりできないし、……けれど、と笑う。
「でも、会いたくなったらここにくればいいだろ? ……そうだろ、セイジ?」
 ぽふんと撫でた髪はさらりと柔らかい。
「そうだな」
 ふわりと笑んだアキの口に、ご褒美にマシュマロを一つ。
 吃驚したように瞳を瞬くアキに笑い、僕も僕もとやってくるレカーロ達の眼ヤニや毛づやを注意しながら、よくできましたな、なレカーロの口の中にいれて行く。
「お前らは、健康状態いいなー」
 褒められればえっへんとするレカーロ。
 そんな彼らを見ながら、ふと視線をやれば沢山の毛が。
「……毛がいっぱい出ちゃったな。これ、集めてクッション材にしてもいいかなあ?」
 もふんと楽しむアキに、それもいいかもしれないとヴェルトールが笑って頷くのだった。


●セイリューとラキアの場合
 前回、ブラッシング的な意味で一番貢献したかもしれないのはセイリュー・グラシアとラキア・ジェイドバインの二人組だったかもしれない。
(レカーロ達がコレをそんなに気に入ってくれたとは嬉しいぜ)
 手に持ったブラシにと視線を落とす。
「ブラッシングの伝道師たるオレの手腕に再びとろけるがいい!」
 言いきったセイリューの元へ、前回もやって貰った子達だろうか。
 一直線に走ってくるレカーロ達がみえた。
 前回のブラッシングは此方も楽しかった、と瞳を細めるラキアの足元に、一番ノリでやってきたレカーロは、手に持つ「何か」に興味津々のようだ。
 それは、前回も楽しんだジャーキー。
 もちろん、セイリュー用に人間のものも忘れていない。
 ふんふんと匂いを嗅ぐレカーロに微笑みつつ、さぁ、ブラッシングだと二人、座ってやり始めるのだった。


 冬毛に変わる丁度その時期。
 セイリューとラキアの元にいるレカーロ達もふわっふわのもふもふだった。
「よしよし、久しぶりだ、元気だったか」
 ゆっくりとブラッシングしながらセイリューが問いかければ、レカーロがわふん! と鳴いて元気だと伝える。
 ふわっふわ毛がブラシが通るたびにさらにふわふわに。
(確かにこいつら、ぬくぬくとして可愛いじゃん!)
 そして、うっとりと瞳を細めるレカーロに、セイリューが微笑みを零す。
 ちょっとだけ手を止めたラキアがジャーキーを差し出した。
「待ってる間に、どうぞ」 
 はむーっと食いつくレカーロに、セイリューの視線が向く。
 それはどこか、「お腹がすいた」と訴えかけるようだった。
 ふふっと笑ったラキアは、ちゃんと人間用のジャーキーを差し出した。
「ほら、セイリューも」
「ありがとう!」
 もぐもぐ食べつつ、熱心にブラッシングをしていく。
 全員が終わり、まったりした頃。
 一緒にジャーキーを食べながらも、一匹だけ控えめにおずおずと食べているレカーロに気が付いた。
(この子は、家に来てくれるかな……?)
 うちにいる猫とも仲良くしてくれるに違いないと確信しているセイリューは、そんなレカーロにと声を掛ける。
「オレの家にくる?」
 この暖かさは、きっと猫も気に入るに違いないとその視線は熱い真摯な思いに満ちていて。
 正しくはラキアの家だけと、と小さく呟きつつ、レカーロを見れば、レカーロもまたじっとセイリューを見つめていた。
 番いや他個体ととても仲良く群れになじんでいる子は連れて帰りにくいけど……と、ラキアは思う。
 されど、一匹で居る子ならば、猫とも相性は悪くないだろう。
 セイリューが口説くレカーロの前に片膝つき、同じように真摯な思いを込めて告げた言葉。
「ウチで一緒に暮らしてみない?」
 その言葉に、セイリューとラキアを交互にみて、迷ったようにわふんと鳴く。
「毎日、セイリューがブラッシングしてくれるよ。猫が居るけど、きっと君を気に入ってくれると思うよ」
 その言葉に、セイリューも任せろと頷く。
 セイリューのブラッシングは身をもって知っている。
「来てくれるかな?」
 猫と皆と、一緒に過ごそう。
 それは、きっと新しい仲間が出来ること。
 レカーロはそっとセイリューとラキアの膝に足を乗っけて連れて行ってお願いするのだった。 


 百匹以上いたレカーロ達は、もれなく全員ふわふわもっこりとなっていた。
 これで冬毛の準備もできただろうか。
「お疲れ様」
「凄い毛の量だな……」
 そんな会話が繰り広げられる。
 後片付けも終わって、そろそろいいお時間。
 さぁ、帰ろうとそれぞれが立ちあがった。
 リーダーと副リーダーがわおん! と一鳴きすれば、周りのレカーロ達も鳴いていく。
 また、来てね! という気持ちと今日はありがとう、という気持ちと、彼らと一緒に新たな場所へ行くレカーロ達への餞だったのかもしれない。
 腕の中でわおん! と返事をするレカーロと共に、ウィンクルム達は帰路へと着くのだった……。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 如月修羅
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 09月13日
出発日 09月19日 00:00
予定納品日 09月29日

参加者

会議室

  • [7]アキ・セイジ

    2015/09/18-23:59 

    ブラッシングわしゃわしゃできてると良いな。
    ランスはそのついでにヘルスチェックしてたみたいだ。
    あいつ、弟妹沢山いるから結構面倒見がいいんだよな。
    プランは提出できているよ。
    楽しみだな。

  • ブラッシングの伝道師、セイリュー・グラシアと精霊ラキアだ。
    プランは提出できたぜ。
    勿論ブラッシングしまくっているぜ!

    レカーロ達と楽しい時間を過ごせると良いな!

  • [5]アキ・セイジ

    2015/09/18-00:10 

    最後の枠に滑り込めたアキ・セイジと相棒のランスだ。
    レカーロを可愛がれると聞いて、是非参加したかったんだ。
    前の依頼の時はレカーロ達の命の危機だったから、それどころじゃなくてさ。
    そんなわけで、よろしくな。

  • [4]柳 大樹

    2015/09/17-20:12 

    やっほー。
    柳大樹でーす。よろしく。(右手をひらひら振る

    レカーロをもふれると聞いて。
    ブラッシングとかしたことないけど。まあ、やるだけやってみるわ。

  • カインだ。
    パートナーは、イェルク・グリューン。
    以前も関わった縁もあるしな、ぶらっしんぐに来たぜ。
    とりあえず、大将にも挨拶してぇし、肉でも包んでいこうかと思ってる。

    あのガキ共元気かな……。
    雑食って言うし、あいつら用に果物でも見繕うのも悪くねぇな(心なしかほっこり顔)

  • [2]紅 千暁

    2015/09/16-10:39 

    はーい初めましても前会ったよねって人もよろしくー
    クレナイ・チアキで精霊はきーちゃんっていうの。
    動物とかふわもことか大好きな僕だから仲良く戯れたいなんて夢を抱いてまーす。

    牙:(どんな夢だそれ……)


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