プロローグ
●夜の町外れ
タブロス市の外れに位置するこの閑散とした廃ビルに小規模な集団がぞろぞろと入っていく。
こんな夜遅くに、もう誰も足を踏み入れないであろうこの廃ビルに、一体何が目的で集まっているのだろうか?
唯一つ、何か言えるとすれば……またこの廃ビルで何かが行われるという事だけだ。
●緊急招集
「廃ビルがデミオーガに占拠されているとの通報を受けました」
A.R.O.A.の事務員の言葉に作戦会議室に集まったウィンクルム達は切迫した状況を把握する。
「タブロス市近辺で発見され、討伐対象とされたデミオーガの集団が廃ビルまで逃げ込み、立て籠もってしまったとの事です……ゴホン、それでは詳細の説明をさせて頂きます」
・敵の情報
デミ・コボルト5体以上。
武装したデミ・コボルト3体以上。
廃ビルに立て籠もっている。
集団行動をしている。
中には負傷しているデミ・コボルトも居る。
・廃ビルの情報
2年ほど前に倒産した会社のビル。
5階建てのビルで正面玄関と非常階段に繋がる裏口がある。
裏口はあるが1階から4階までの裏口は潰れており、5階のみ裏口が使える。
電気の供給はされていない。
エレベーターは動いておらず、上に行くには階段を使うしか無い。
1階に窓は無く暗いが、2階からは割れた小窓などがあり明るい。
ビル内に物はなく、閑散としたフロアは広い。
「以上です。最終目的はデミオーガを1体も逃がさないように殲滅する事です。ウィンクルムの皆さん、よろしくお願い致します」
解説
●目的
デミオーガの殲滅。
●注意事項
廃ビルに逃げ込んだデミオーガを殲滅する為、取り逃がさないようにビル内で倒す事。
デミオーガは数も多くこちらをかなり警戒しているようだ。
●準備する物
特になし。
ゲームマスターより
どうもうちと申します。
プロローグ観覧ありがとうございます。
今回の任務は殲滅、敵を逃がさないようにする事と数の多い敵をどう倒していくのかを考えていかないといけません。
手負いの者も多い筈ですが、如何せん数が多いです。
出来る限りの注意を払っておきましょう。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
月野 輝(アルベルト)
■心情 デミ・コボルトが集団行動してるってちょっと気になるわね 殲滅が終わったら、ちょっとビルの中調べてみたいわ コボルト達が何をやってたのか、少しでも判らないかしら ■持ち物 ヘッドライト、爆竹、通信機 ■行動 作戦は上からと下からの挟み撃ち 戦闘はなるべく明るい上の階で 私は正面玄関から進入 入ったら逃げられないように扉を閉めて、笹さんと一緒にその前に立ち塞がる コボルトを追い立てるのはアル達精霊にお任せ もし扉から逃げようとするのがいたら、何としてでも止める 1階から敵がいなくなったら2階へ移動 階下に降りて行かれないように階段の前に これを繰り返して上へ 集団でいるのを見つけた場合、裏口班へ連絡 合流するまで階段で待機 |
手屋 笹(カガヤ・アクショア)
負傷している個体も居るという部分に気が引けますが、後々敵となってしまうならここで殲滅してしまうのが良いのでしょう。 廃ビルには光が入らなくて暗い部分もあるとの事でしたので、 懐中電灯、ヘッドライトを用意します。 廃ビルに進入するタイミングを同時にする連絡を取る為に 携帯電話を用意しておきます。 二手に分かれ、 わたくしとカガヤは廃ビルの正面入り口から入ります。 懐中電灯はわたくしが使って照らしますわ。 1階のデミコボルトがいきなり外へ逃げ出さないように、 入り口で待ちボーンナイフを構え威嚇しましょう。 以降各階で全てのデミコボルトが上の階へ進む毎に 私達も上へ上がり、フロアを封鎖しては追い立てる行動を繰り返します。 |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
私たちは裏口から突入するんだって 侵入成功したら、裏口を支給要請した薄い木の板とリベットガンで扉を打ち付けて… こっちからオーガが逃げ出せないようにするよ。 戦闘中での私は懐中電灯と通信機を持って、ディエゴさんのサポートをするつもり。 オーガの行動をよく見て、逃げ出そうとするものがいれば 即座にディエゴさんに知らせその方向に懐中電灯を向ける。 こちらがオーガを倒したら、「こちらディエゴ&ハロルド組、オーガ一体を討伐」…っていう感じに報告していこうと思うよ。 私たちはちょっと怪我しちゃっても大丈夫 ディエゴさんには【医学】の知識があるから 少しの怪我ならすぐに治してくれるって信じてるんだ。 |
七草・シエテ・イルゴ(翡翠・フェイツィ)
「必ず倒しましょう」 持ち物 通信機、爆竹、ヘッドライト 作戦 5階裏口に入り、ヘッドライト装着 デミ・コボルト達の逃亡対策の為 各階に入ったら、逃げ道になる可能性の場所は全部封鎖します 私は基本、翡翠さんの後ろで敵に爆竹を投げ、追い立て役 ただし、敵の数が多い場合、通信機で正面組にこっそり連絡 今の階段の陰で待機 彼女達が反対の階段に到着したら攻撃開始 通信機を使う基準 私達か彼女達にトラブルがあって、予定がズレる時 敵へ突入する際のタイミングを確認する時 何らかの理由で正面組を呼ぶ、連絡する必要がある時 度々連絡する時 戦闘は翡翠さんとのトランス状態を考慮し、極力傍へ 誰かがデミ・コボルトに襲われたら、爆竹を投げて怯ませる |
●町外れの寂れた廃ビル
2年ほど前にとある会社が倒産してしまってから誰も寄り付かなくなった廃ビル。
天気は晴天なのだが、廃ビルの所為かこの一帯だけ雰囲気がどんよりと暗い。
そんな廃ビルの前に2組のウィンクルム達が集まっていた。
「まだ老朽化はしてないようですね」
「そうね、埃っぽい感じはするけど思ってたより綺麗なビルよね」
正面玄関前から廃ビルを見上げたアルベルトの呟きに月野 輝はそう返す。
綺麗とは言ったが、これからこの廃ビルに入ってデミオーガと戦闘すると考えると気が重い。
「しっかし大きいビルだなぁ笹ちゃんとは大違いだな……あ痛っ」
「どーしてスケールが五階建てビルなんですの!」
同じくビルを下から眺めていたカガヤ・アクショアの一言にすかさず手屋 笹の肘打ちが突き刺さる。
「痛ぇーよ笹ちゃん」
「自業自得ですわ」
一方、非常階段を上がった5階の裏口前まで来た七草・シエテ・イルゴと翡翠・フェイツィ、ハロルド、ディエゴ・ルナ・クィンテロの4人、通称『裏口班』はやる気満々の様子で作戦開始の合図を待っていた。
「ディエゴさん。ヘッドライトがズレてるよ」
ハロルドはそう言ってディエゴの傾いていたヘッドライトの位置を真っ直ぐに直す。
「すまないなハル」
「気にしないで、こういうのは自分では気付かないからね」
なんだかネクタイを締め直してもらう夫婦のような雰囲気にディエゴはやや気恥ずかしい気持ちになったが、頭を振って冷静になれと頭の中で切り替えようと頑張る。
「ったく、埃っぽいってのにどうしてそんな服着てきたんだよ」
シエテの綺麗なワンピースを指で摘みながら翡翠は溜め息を吐く。
「わわっ、すみません」
未だに翡翠とのスキンシップに抵抗のあるシエテは翡翠の不意打ち気味のスキンシップにおどおどするしかなかったが、翡翠が純粋に自分を心配しているのに気付き、にっこりと笑顔を返した。
「デミ・コボルト必ず倒しましょうね、翡翠さん」
「あぁ、任せておけ」
そんないつにも増して頼もしい翡翠にシエテは少し見惚れてしまうが、あまりボーっとするのも良くないと深呼吸をする事にした。
●作戦開始
『作戦通り、正面班と裏口班に分かれて突入します。準備は良いですか?』
作戦開始の時間になったのを確認した輝が携帯電話での通話で全員に呼び掛ける。
『こちら裏口班ハロルド&ディエゴ、いつでも大丈夫だよ』
ややノリノリの様子でハロルドが返し。
『同じくシエテ、翡翠です。いつでも行けます』
『正面班の笹、カガヤも大丈夫ですわ』
残った2組も返事を返し、準備は万全となった。
『それでは突入を開始して下さい』
輝の号令で全員が一斉に各々のインスパイア・スペルを唱え始める。
「『異界の友よ、来たれ…召喚!』」
輝は頬を赤らめながらアルベルトに口付ける。
「『覚悟を決めろ』」
唱えて微笑み、キスをするハロルド。
「『交わるは――淡き雫』」
ぎこちなく口を付けるシエテ。
「『私達の全ては、ただ潰滅の為にある』」
そして笹はカガヤに屈んでもらい、口を付けた。
精霊全員が薄いオーラを体に纏って、トランス状態になって廃ビルの中へと突入を開始する。
●正面班
輝が正面玄関に向かって着火した爆竹を投げる。
起爆と同時にヘッドライトを点けたアルベルトとカガヤが両手剣を構えながら正面玄関を走り抜ける。
バババババン。
「ギャゥ!!?」
「そっちだなっ!」
カガヤがデミ・コボルトの声が聞こえた方向に明かりを向ける。
爆竹に驚いた2体のデミ・コボルトがカガヤの明かりを眩しそうに立ち竦んでいる。
その隙をアルベルトが逃す筈もなく。
「アクショアさんは右の方を、私は左のデミ・コボルトを狙いますっ!」
「右だなっ!」
カガヤに指示を与えながら自分も両手剣を構えて走り始める。。
右のデミ・コボルト目掛けて右側から両手剣を振り被るカガヤと鏡合わせのように左から両手剣を構えるアルベルトの攻撃が同時に2体のデミ・コボルトを斬り払う。
「うらぁっ!」
「ハッ!」
「ギギャァァァ!!」
「ギャォォォ!」
奇襲の一撃で瞬く間に2体を倒す。
しかし。
「カガヤっ!」
後ろから張り裂けそうな笹の叫びが聞こえ、精霊2人が振り向く。
負傷していて隠れていたのかもう1体のデミ・コボルトが入り口で退路を塞いでいた笹と輝が対峙しているようだ。
「このっ!」
笹は叫びながらデミ・コボルトが近付けないように骨製のナイフを我武者羅に振り回して威嚇し、剣の心得がある輝はデミ・コボルトの動きを見逃さないように骨製のナイフを握ったまま身構えている。
「笹ちゃん!」
すぐに戻ってきたカガヤの振り下ろしを背中から浴びてその場で倒されるが、数秒とはいえデミオーガと対峙した神人の2人は腰が抜けたのかその場にへたり込んでしまう。
「大丈夫か笹ちゃん!」
「あ、ありがとうですのカガヤ。でも私は大丈夫ですので、その……降ろして下さいな」
さっとカガヤに抱き起こされ、笹は顔を赤らめてあわあわと狼狽える。
「輝、大丈夫ですか?」
「あ、はは……。ごめん、ちょっと腰が抜けちゃって……」
優しく手を差し出すアルベルトに輝は謝りながら立たせてもらう。
「ふふ、今日の輝は頑張り過ぎです。あぁそう言えば、今回は口づける時に『仕事よ』って呟きませんでしたね。何か心境の変化でもありましたか?」
にやぁと笑うアルベルト。
「な、あっ!? よ、余計なお世話よっ!」
いつものようにアルベルトにからかわれる輝だったが、怒鳴ったお陰で緊張が解きほぐれたようだった。
1階にそれ以上のデミ・コボルトが居ないのを確認した4人は2階への階段を登っていく。
2階は窓からの光で多少は明るく、先頭のアルベルトはヘッドライトを消して武器〈両手剣〉を構えたまま2階のフロアへと入ったがそこには何もなく剥がれたタイルが見えるだけだった。
その時。
オォォォォォォン。
ダダダダダン。
「「ッ!?」」
上の階からの遠吠えと連続した銃声を耳にして、笹は急いで通話中の携帯電話で裏口班に呼び掛ける。
『こちら正面班の笹ですわ。1階で3体のデミ・コボルトを倒して今は2階に居ますわ。そちらの様子を教えて下さい』
●裏口班
数分前、正面班が玄関から突入したのと同時に5階の裏口からも裏口班の4人が突入を開始していた。
先頭は翡翠、両手剣を構えたまま突入する。
扉を勢い良く開け、転がるようにビルの5階へと入るが。
「……この階には居ないみたいだな」
見当たらない敵に少し拍子抜けして溜め息を吐く。
5階の安全を確保してから、任務の前にハロルドが本部に支給要請したというリベットガンを使って裏口の扉に薄い木の板を打ち付けて退路を塞ぐのを待つ。
「ここからは私達も退路がないから十分気をつけようね」
ハロルドの言葉に全員が無言で頷き、4階へ降りる階段に移動する。
「っ! 止まって下さい!」
階段前でシエテが先頭の翡翠を止める。
「ん? どうしたんだシエ?」
「聞こえませんか? 恐らく下からだと思うんですけど、何か声みたいなのが聞こえます」
怪訝そうな顔をしながらも翡翠は足を止め、耳を澄ませてみると。
「……ギャゥギャゥ」
「……ガウ、ガゥ」
僅かに、だがデミ・コボルトの会話のようなものが聞こえる。
声の数から察するに結構多そうだ。
「これ、正面班の人達に連絡を入れた方が良いでしょうか?」
「そうだな。正面班に連絡して合流を急いだ方が良さそうだな」
不安そうなシエテの提案に翡翠が頷いた。
その時、必然なのか偶然なのか4階から5階へ登ってくるデミ・コボルトと翡翠が鉢合わせる。
「ガゥ!? オォォォォォォン」
「んなっ!?」
翡翠を見つけるなり遠吠えのような声を上げて、4階のデミ・コボルト達に裏口班の侵入を知らせる。
すぐに4階の声がざわつくのが分かる。
「くっ! 戦うしかないかっ!」
二丁拳銃を素早く構えたディエゴが前に出て。
「『ガン・アサルト』」
たん、とビルの床を蹴ったかと思うと敵の真上を取り、ディエゴの銃弾の雨が階段のデミ・コボルトに降り注ぐ。
ダダダダダン。
動きを封じるように銃弾が放たれ、その隙に正面から翡翠が剣を振り上げる。
「ディエゴの兄さん、ナイスサポートだぜ!」
そう言いながら逃げる隙を与えずに一撃でデミ・コボルトを倒した所で携帯電話から笹の声が聞こえてくる。
『こちら正面班の笹ですわ。1階で3体のデミ・コボルトを倒して今は2階に居ますわ。そちらの様子を教えて下さい』
『こちら裏口班、シエテです! 今5階なんですけど、報告する前に4階の敵に見つかってしまい、ただ今交戦中です。声の数から結構な数が居るみたいですので合流を急いで下さい!』
『こちら輝。急いでそちらに向かいます。それまで持ち堪えて下さい』
正面班がこちらに向かってる事が分かり、シエテはホッと溜め息を吐く。
「なに気を抜いてんだ。ここからが修羅場だシエ、気張っていくぞ」
「は、はいっ!」
ぞろぞろと4階から複数の足音が聞こえ、階段下にデミ・コボルトが5体ほど見える。
両手剣を前に突き出して階段上で仁王立ちする翡翠目掛けてデミ・コボルト達が突進してくる。
「援護は任せるぜ。ディエゴの兄さん」
「了解したっ!」
高低差の有利を活かしてリーチの長い両手剣を振り回す翡翠とデミ・コボルトの足を狙って動きを止めるディエゴ。
「私も爆竹で援護しますっ!」
そしてシエテが後ろから爆竹を階段下に投げ入れて威嚇をする。
しかし、多勢に無勢というべきか流石に盾を持ったデミ・コボルトを先頭に雪崩込まれると翡翠一人では止めきれない。
「ガゥゥゥ!」
「チッ、皆少し下がれっ!」
数の暴力で押し込まれるのを察した翡翠は後ろの3人に声を掛けながら寸前で飛び退いて囲まれるのを回避する。
裏口班からの連絡を聞いてすぐに正面班の4人は裏口班の居る5階へと急ぐ。
「笹ちゃん、急ぐよ」
「分かってますわ……ってカガヤ、何してますの!」
またしても一瞬で笹を抱き抱えたカガヤは階段を2段飛ばしで駆け上がっていく。
「輝、私もあぁした方が良いですか?」
「冗談、言ってないでアルも急いで!」
アルベルトもやや息切れ気味の輝をからかう余裕を見せながら階段を駆け上がる。
先頭のカガヤがチラリと3階の様子を見るが、2階と同様で何もなく、そのまま4階へと急ぐ。
「3階は異常なし、っととあんまり暴れないでくれよ笹ちゃん!」
「だったら早くわたくしを降ろして下さいな!」
カガヤの腕の中でじたばたする笹だったが、右から左へと聞き流すカガヤには殆ど意味を成していないようだ。
そのままもぬけの殻になっている4階の階段前で笹を降ろして、一気に5階へ登り切る。
裏口班が5体のデミ・コボルトに囲まれていたが遅れてきた正面班が後ろを取った形になっており、形勢は逆転した筈だったのだが。
後ろから現れたカガヤとアルベルトに気付いたデミ・コボルト達は意を決したように手に持った赤い丸薬のようなものを口に放り込む。
「何かを飲み込んだみたいだよ! 気をつけて!」
敵の挙動を見逃さないようにしていたハロルドがそう叫んだ途端、デミ・コボルト達の目が熱を持ったように赤く光り、体が一回り大きくなる。
「何かヤバイ雰囲気だ。一気に決めるぞ」
翡翠の掛け声と共に挟撃開始だ。
「『ガン・アサルト』」
敵の出鼻を挫くようにディエゴが的確な射撃でデミ・コボルトの足を止め、全ての敵を引き付ける。
それでも盾を持ったデミ・コボルトは怯まず、爆竹を投げるシエテの方へと突進してくるが、道を塞ぐように翡翠が大きく剣を振り被り―――。
「お前らの相手は俺だっての! 『トルネードクラッシュ』」
一回り大きくなったデミ・コボルトを倒すまでには至らないが、大きく体を仰け反らせる。
「来いよ! お前らの相手はこっちだ!」
仕切り直しと言わんばかりに剣と剣をぶつかり合わせ、鍔迫り合いに持ち込む。
「『タイガークロー』」
体に纏ったオーラで両手剣の刃を猛獣〈トラ〉の爪に変化させたアルベルトが真っ直ぐデミ・コボルトの集団へと突撃し、それにカガヤも並ぶ。
「さっきと同じようにアクショアさんは右を、私は左を担当します」
「分かった!」
アルベルトの指示通りに右から敵の背後に回り込み、カガヤのジョブスキルが発動する。
「『トルネードクラッシュ』」
剛剣一閃、横に薙ぎ払われた両手剣の一撃でデミ・コボルト2体を弾き飛ばす。
同じく敵の背後を取ったアルベルトも瞬く間に2体のデミ・コボルトを倒す。
残ったデミ・コボルトは翡翠と鍔迫り合いをしている1体のみ。
獰猛さが増したデミ・コボルトの力は強く、翡翠が押され始める。
「下がれ翡翠っ!」
横に回り込んだディエゴの掛け声に即座に反応した翡翠は体をずらしてデミ・コボルトの剣を受け流すように後ろへ半歩下がる。
デミ・コボルトが体勢〈バランス〉を崩した――瞬間。
ダダン。
デミ・コボルトの頭を撃ち抜く2発の弾丸が放たれ、最後のデミ・コボルトはゆっくりと倒れ伏した。
「大丈夫ですか翡翠さん!」
無事に戦闘が終わり、シエテが翡翠へと駆け寄る。
5体の敵に攻撃されて無傷で済むはずがなく、翡翠は所々に傷を負っているようだった。
「ディエゴさん」
「分かってる」
そんな翡翠にディエゴが近付き、手早く塗り薬や包帯を取り出してテキパキと応急手当を始める。
手際の良いディエゴに呆気を取られたまま処置が済んでしまう。
「ありがとうございますディエゴさん」
「俺は出来る事をしただけだ。他に敵は居ないようだから大丈夫だとは思うが少しの間、安静にしていろ」
「すまねぇなディエゴの兄さん」
その様子を見ながら笹もカガヤへと近付いて、怪我が無いかと確認する。
「なんとか終わりましたわね。カガヤ、怪我はありませんか?」
「俺は殆ど狙われてなかったから怪我はないけど、最後のアレはなんだったんだろうな」
「集団行動してるデミ・コボルトってちょっと気になってたのよね。殲滅も終わったし、ちょっとビルの中調べてみたいわ」
「仕方ないですね。気になると言うのなら調べるのを手伝いましょう。貴女だけでは見落としそうですからね」
デミ・コボルト達が飲み込んだ丸薬について考えていた輝に付き合う形でアルベルトはデミ・コボルト達が屯していたらしい4階を一足先に隈なく調べる事にした。
「床や壁に血の跡が残っているのを見る限り、負傷した仲間と休んでいたみたいね」
「……輝、さっきの赤い丸薬が残ってるみたいです。これをA.R.O.A.に持ち帰って調べてもらいましょう」
手で触るのは危険と判断したアルベルトはサッと手袋を付けて丸薬を袋に入れる。
その後、5階から1階まで順番にフロアの探索を行ってみたが他には何も見つからず、これにてデミオーガの殲滅は完了したのだった。
●解析報告
後日談になるのだが、輝とアルベルトが持ち帰った赤い丸薬にはオーガの力を強める成分があるらしく、これを飲む事によって力を強化出来るシロモノらしいとA.R.O.A.の研究者が報告文を作成したとの事である。
この先、この丸薬が出回るとデミオーガにも油断出来ないという状況になるのかもしれない。
因みに負傷した翡翠は手際の良いディエゴの応急手当のお陰もあり、2、3日休めば快復するようだ。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | うち |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 戦闘 |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 普通 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 04月04日 |
出発日 | 04月09日 00:00 |
予定納品日 | 04月19日 |
参加者
- 月野 輝(アルベルト)
- 手屋 笹(カガヤ・アクショア)
- ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
- 七草・シエテ・イルゴ(翡翠・フェイツィ)
会議室
-
2014/04/08-23:38
ですね。
怪我をしてる個体なんかは、動き鈍いでしょうから、
その場でやっちゃった方が良い気がしますし。
全体攻撃できる魔法の使い手がいれば楽だったかも…
と、ちょっと思っちゃいました。
ともあれ、あと20分程ですね。
成功してくれる事を祈りまして…
皆さん、よろしくお願いします。 -
2014/04/08-22:55
それもそうですね……。
現場(廃ビル)には、実際何体出てくるかわかりませんし、
襲いかかる距離によっては片っ端から倒した方がいいかもしれません。
倒した数によっては、戦闘への負担が少しは軽くなる事もあるはずですから……。 -
2014/04/08-22:36
私、爆竹は自分が使うものとして考えてました。
アルには剣で脅して追い立てて貰おうかなと。
追い立て切れなさそうなら、その場で倒してしまうのもアリかなと。
やり方は自由だと思います。
あと、追い立ては、5階までと言うか、たぶん合流地点は
順調なら3階辺りになるんじゃないでしょうか。
正面組が1階から、裏口組が5階から入る事になるので…。 -
2014/04/08-22:23
些細な質問になりますが、
最初は出来るだけ戦闘せず、爆竹だけでデミ・コボルト達を5階まで追い立てる……。
その時、神人も爆竹を投げる事で応戦した方がいいでしょうか? -
2014/04/08-13:38
笹さん、纏めをありがとうございます。
戦闘時には確かにヘッドライトの方が良さそうなので、
私とアル、二人ともヘッドライト装備で行こうかと思います。
そうすると…
■持ち物:ヘッドライト2人分、爆竹、通信機 ですね。
笹さんに賛同頂きましたし、私の24の発言を元にプランを練ります。
大まかな作戦はこれで決定と言う事で大丈夫でしょうか。
一応、私は22時過ぎにはまた来られると思いますので、
何かありましたらどうぞ。 -
2014/04/08-11:39
>笹さん
こちらこそ、よろしくお願いしますね~
すみませんが、私もここを確認できるのは6時までになります。 -
2014/04/08-10:48
>>ハロルドさん、七草さん
と、連投の一番最後になって申し訳ありませんが
お2人とも初めまして、手屋 笹と申します。
改めてよろしくお願いしますね。
あと、だいぶ概要が固まって来ているみたいなので大丈夫かと思いますが、
背後事情によりここを見ることが出来るのは8日16:00辺りまでとなります。
それ以後は締め切り直前に少し確認できるだけになってしまうので、
申し訳ありませんがよろしくお願い致します。 -
2014/04/08-10:41
連投失礼します。
・進入時のデミコボルト達逃亡を防ぐため、
フロアの封鎖、追いたてを繰り返す
概要は月野さんの[24]での発言で賛成です
戦闘部分
・各々精霊の得意分野を生かして戦闘。
近接が得意な精霊は近接、
戦闘から逃亡するデミコボルトの個体が居れば、
まとまるようにディエゴさんが追撃。 -
2014/04/08-10:40
寝て起きたら相談がものすごく進んでいて
軽く浦島太郎になりました…。
ので、個人的な把握の為に現状をまとめさせて頂きますね。
この認識で合っていれば…。
戦闘前
●正面入り口と裏口からウィンクルム二組ずつの進入による、
デミコボルト達の逃げ道の封鎖
・正面入り口は月野さん(アルベルトさん)&笹(カガヤ)
裏口はハロルドさん(ディエゴさん)&七草さん(翡翠さん)
・1階通過時は必ず灯りを持つ
懐中電灯、ヘッドライト等
・状況に合わせて伝達を行う為、通信機を持つ
進入タイミングの調整、必要に応じてもう一方の組を呼ぶ等 -
2014/04/08-09:22
そこ見落としてました;
んーじゃあ・・・薄い木の板とリベットガンで扉に打ち付けるのはどうですか? -
2014/04/08-09:19
もう一つ連投になります。すみません。
それと、
■集団で固まってるのを発見した場合は二組で無理に相手をせず、
もう一方にこっそり連絡、階段の陰で待機、
反対側の階段にもう一方が到着してから攻撃開始
ではどうでしょう? -
2014/04/08-09:18
連投でごめんなさい。
考えてみれば、裏口と同じ事は正面にも言えるのよね。
なので、こんな作戦は如何かと。
■突入後、出入口からの逃走を防ぐため
※裏口組は出入口前にディエゴさんが陣取り、そこから遠距離攻撃
コボルト追い立ては翡翠さんが
※正面組は神人二人が扉前に陣取り、逃げてきたのがいた場合時間稼ぎ
追い立て役は精霊二人で
■その階にコボルトがいなくなったら階段へ移動、次の階へ
今度は階段から移動されないように階段前を塞ぐ
方法は出入口前を塞いだ時と同じで -
2014/04/08-07:42
んー……
>ビル内に物はなく、閑散としたフロアは広い。
とあるので、バリケードを築ける程の物は無さそうな気がしますが……
コボルト達が5階にいた場合は、それどころではないでしょうし。 -
2014/04/08-07:30
裏口付近に何かあればですが、内側に簡易なバリケードでも作りますか?
机とか物を積み上げるだけでも時間は稼げるかと -
2014/04/08-07:19
二手に分かれるなら通信機は必須ですね。
裏口封鎖は表からやらないと、たぶん意味がないので
同時突入するなら裏口封鎖は難しいかもですね。
裏口組が入ってから正面組が外から封鎖、その後下に降りて突入…
で良いなら可能かなとは思いますけど。
あと、デミ・コボルト達は集団行動してると言う事なので、
ある程度固まってる事が想定されます。
なので、たくさんいた場合は無理に追い立てようとせずに
もう片方の班に連絡を取って急いで駆け付けて貰った方がいいかも
って気がします。 -
2014/04/08-02:46
突入は正面と裏口の挟み打ちでいいと思いますし、裏口は念の為重石で封鎖した方がいいかも。
全員懐中電灯とヘッドランプ(?)は持参した上でですね。
敵からしてみれば集団では怖いものなしでも
数が減って太刀打ちできなくなれば、私達の目を盗んで脱走するかもしれません。
もちろん、ディエゴさんが逃がさず仕留めて下されば、それに越した事はありません。
ハロルドさん>
お願いしますね。
オーガへの攻撃は1体ずつなら集中攻撃、
複数の場合は各1~2体ずつ自分の元に引き寄せて攻撃できればと考えています。 -
2014/04/08-02:28
笹さん、輝さんが一階突入ですか
では、私は裏突入にいっときますね。
ですね~同時突入の方が良いでしょうし、連絡手段は必要かも?
では、こちらはオーガのまとめ誘導しますね
攻撃対象は逃走するオーガということで
まとまってるオーガの攻撃は皆さんに任せても良いでしょうか?
乱戦だとフレンドリーファイアが怖いです -
2014/04/08-01:59
笹さん>
全員で敵を挟む形になったら、戦闘との事ですが、
片方が万が一の事もありますので、通信機で連絡できればと考えています
輝さん>
こちらこそ、お世話になりました。
今回もどうぞよろしくお願いします。
精霊達は戦闘も兼ねますから、手持ちなら神人が持ち、
精霊はハロルドさんの言うように頭に取り付けた方がいいかも?
爆竹で追いたてる試みは良いと思いますよ。
ハロルドさん>
お世話になります、改めてよろしくお願いしますね
まとまるよう誘導して下さるのは心強いです -
2014/04/08-01:46
連投失礼します
はいーこちらこそ、輝さんも、七草さんもありがとうございました。
あ、懐中電灯って神人が持つってことで良いですかね?
精霊も頭に取り付けるタイプ持っといたほうが良いかなあと -
2014/04/08-01:42
うーん、私はどちらの突入でも大丈夫ですよ
やはりフロアは同時制圧と考えて良いのでしょうか?
近接が多いのであれば、オーガを逃がさずまとめた方が楽でしょうか
で、あればディエゴ(敬称略)が牧羊犬の役割をしますか?
フェイントをしつつ、オーガがまとまるよう誘導する…
逃げても銃なら即座に追撃できると思います。 -
2014/04/08-01:38
あら。七草さん、ハロルドさん、先日はお世話様でした。
またご一緒ですね。よろしくお願いします。
えっと……4組になったと言う事で、挟み撃ち作戦で行くのよね?
でしたら封鎖は必要ないので、重石も鎖もいらないかと……
それとも全員で1階から突入します?
片方が封鎖されてれば、逃げられる確率も多少減るとは思いますけど…
とりあえず挟み撃ちの場合、私も1階からの突入にして良いでしょうか。
大きめの懐中電灯と爆竹でも持って行こうかと思います。
-
2014/04/08-01:21
連続投稿、失礼しますね。
右へ行くほど高いのは、敵からのダメージ量だけです。
上から3項目に関しては、左が一番高い精霊になりますね。
笹さん>
初めまして。
裏口の封鎖方法は輝さんの案で賛成します。
鎖でしたら、武装していても切れないかもしれません。
重石は、移動中にデミ・コボルトの遭遇を想定したら、
自立式カバンに入れた方が片手で持ったり、肩にかけられるはず。
肩にかけたら手すきになりますし、サッと地面にも置けそう。 -
2014/04/08-01:17
同じ武器を持っている精霊が3名居ましたので、
組み合わせは深く拘る必要が無いような気がしてきました…
わたくしとカガヤは灯りを持って、
正面入り口からデミコボルト達を追い立てようかと思います。
そして皆で挟む形になったタイミングで戦闘の流れでよいでしょうか? -
2014/04/08-00:48
気づいたら参加の方が増えていらっしゃいましたね。
ハロルドさんと七草さんの参加で4組となりました。
これでしたら封鎖の手間無く正面入り口、裏口からの挟み撃ちが可能でしょうか?
どちらからの突入を希望されるか表明して頂けるとありがたいです。
加えて正面入り口から進入される方は、1階を通過する際の灯りをお忘れなく。 -
2014/04/08-00:46
七草シエテと申します。
このメンバーで4人になりましたから、はさみうちの作戦は遂行できそうですね。
ただ、組み合わせまでは考えておりません。
勝手ではありますが、
はさみうちが成功した際の精霊さん達をステータスから推定しました。
これをもとに可能な限り、掘り下げていきます。
・攻撃力高い順:アルベルト=カガヤ=翡翠>ディエゴ
・先制攻撃順 :ディエゴ>翡翠>カガヤ>アルベルト
・敵への命中率:ディエゴ>アルベルト>カガヤ=翡翠
・敵からのダメージ量:アルベルト>アルベルト>カガヤ=翡翠
右へ行くほど高くなります。 -
2014/04/08-00:09
初めましての方は初めまして
そうでない方はこんばんは、ハロルドと申します。
とりあえず今は挨拶だけ、後程戦い方を練りますね~ -
2014/04/07-13:33
それにしても、この文字数制限何とかならないものでしょうか…
300文字って少なすぎ… 連投すみません。
えっと、先に手屋さんが仰ってるけど、1階に入る時は明かりが必要ですよね。
サーチライトとかA.R.O.Aで用意してくれないでしょうか…無理かな。
大きめの懐中電灯がいいでしょうか。
それと、追い立てる時に、爆竹とか鳴らして脅かすのはどうでしょう? -
2014/04/07-13:31
すみません、私が今朝ゴブリンって書いたからですよね(汗)
ちょっと時間が迫ってて焦ってたもので間違えてしまいました。
コボルトでしたね…。
そうですね、重石、賛成です。
5階まで重い物を運ぶのは大変そうですが、男性である精霊達に頑張って貰いましょう。
(にっこりとアルベルトの方を見て)
それと、非常階段があるってことは柵があるかなと思うので、
ドアの取っ手に引っかけつつ、左右の柵に鎖を巻き付けてはどうかなと。
静かに、ですね。了解です。 -
2014/04/07-12:39
ゴブリンになってました…コボルトですね…。
[4]の投稿
×デミゴブリン
○デミコボルト -
2014/04/07-12:34
あっさりと連投する文字数に…連投失礼します。
ドアが開かないように外からドア前に何か重石になる物を置く
といったところでしょうか。
舞台が廃ビルとの事なので、置くものは現地調達できる気がします。
あと、封鎖の作業をデミゴブリン達に見つからないように静かに行う必要もありそうです。 -
2014/04/07-12:29
>>月野さん
一組にならなくて良かったです…。
よろしくお願いします。
やはり二組では挟み撃ちは厳しいでしょうか…。
目的達成どころかこちらがやられてしまっては元も子も無くなってしまいますしね。
では、他に参加される方がいらっしゃるまで裏口の封鎖前提で相談進行しますね。
封鎖後の流れは月野さんの案に賛成です。
四組になりましたら入る場所を分担して挟み撃ちに移行しましょう。
封鎖の手段を削る事も出来ますしね。
封鎖の方法ですが武装してるデミコボルト達が突破できない手段にできれば、
何とかなりそうですね。
廃ビルの非常階段に繋がる裏口との事なので外向きのドアがついているものを想定していました。 -
2014/04/07-08:06
こんにちは、初めまして。
月野輝と言います。よろしくお願いしますね。
出発まで日がないものね。先に提案ありがとう。
出入口が二カ所って事で挟み撃ちはセオリーかなとは思うけど、
この人数で二手に分かれるのはやめた方が良くないでしょうか。
片方に敵が偏ってたら、囲まれた方がかなり危険だし。
4組以上になれば挟み撃ちは良い案ですよね。
人数少ないままなら、片方の入り口を外から封鎖しておいて
もう片方から全員で入る方がいいのではないかしら。
私としては5Fの裏口を封鎖して正面から入り、
ゴブリン達を明かりのある上の階へ追い立ててから戦闘、とかどうかなと。
もちろん、これは一案なので
出来る限り作戦を詰められればと思います。 -
2014/04/07-00:47
手屋 笹と申します。
他に参加されてる方がまだいらっしゃらないので不安ですが、
いざいらっしゃった時に相談が間に合わないのも大変ですので、
先走って申し訳ないですが書かせて頂きますね。
殲滅目的なので出入り可能な2箇所から2チームでそれぞれ進入するか、
1チームが正面玄関からデミオーガ達を追い詰め、もう1チームが裏口側で待機し、
挟み撃ちという形でしょうか。
1階を通る時に懐中電灯等灯りの用意をしておきたい所。
いずれにせよ今の人数のままでは厳しいので
どなたかいらっしゃらないでしょうか……