《贄》Hydrangea(錘里 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 君達は窮地に陥っていた。
 デミ・オーガの討伐依頼と聞いて訪れたその場所では、ギルティの復活儀式を行っていた。
 奮戦虚しくギルティは復活してしまい、君達は強力なギルティからの攻撃を受け、対抗手段を次々と奪われていった。
 敵わない。殺される。絶望が、過る。
 庇い合うようなウィンクルムを見下ろし、美貌のギルティは薄らと笑う。
「助けてやらんこともない」
 何を馬鹿な。反論はすぐさま口をついたが、愉快気に笑うギルティは意に介した様子もなく。
「貴様らの内のどちらか一人。我が眷属となれ。そうすれば、もう一人の命は見逃してやろう」
 悠然と告げるギルティの提案は、絶望の延長に過ぎなかった。
 大切なパートナーを売って自分だけ生き残るなんてできるわけがない。
 だが、一つの望みでもあった。
 命さえあれば、いつかまた、このギルティに相対する事が出来るのではないか。
 どちらが正しいのか、判らなかった。
 そんな君達に、ギルティはさらに揺さぶりをかけてくる。
「拒んでも良いが……家畜二匹程度殺したところで、我の気が済むかも判らぬがなぁ」
 殺すのは容易い事。そして、そのまま世界に侵攻するのも、ほんの散歩気分なのだろう。
 どちらかが、犠牲にならねば。
 世界が滅ぶ。
「俺がなる!」
 声を張り上げたのは、神人だったか、精霊だったか。
 やめろと縋るパートナーを振り切って、彼はギルティの下に歩み寄った。
 それを愉しげに見つめたギルティは、キスの出来そうなほどに顔を寄せ、呪いを囁きかけた。
 彼の目から光が消える。そして、その光の無い瞳が、呆然としている君を見つめた。
「消えろ」
 けがらわしい。
 侮蔑するような目に、君から零れたのは涙だったか、嘆きだったか。
 はたまた、ギルティの魅了から解き放つために、抗うのか。

 ――目を、覚ました。
 あぁそうだ、ここは、ここはフィヨルネイジャだった。
 あんなもの、全部全部、ただの夢なんだ。

解説

●消費ジェールについて
最近フィヨルネイジャでの夢見が悪いのでお布施として300jr寄付しました。

●リザルトについて
遺跡っぽい場所です
ギルティが「眷属になれば見逃してやる」と言ってきたところからスタートです
丸腰でトランス切れ状態で対抗手段はありません
目覚めた後の事は基本的に描写しません。プランで希望があれば描写します

●プランについて
ギルティの眷属になってしまうのは神人でも精霊でも構いません
拒否するターンがあっても良いですが、最終的にどちらか一方は強制的に眷属化させます
また、眷属となってしまったパートナーを説得したり、ちょっと戦闘することも可能です
魅了洗脳されている状態なので、強い刺激を与えれば元に戻るかもしれません
戻らないかもしれません
普段装備している武器はありませんので、戦う場合の武器はその辺の木の棒とか石ころとかになります

●その他
余談ですがギルティはイケメンです
他のウィンクルムと遭遇することはありません

ゲームマスターより

EX続きで敷居を上げまくっている錘里です。すみません、dahliaで後悔したので…!

ハイドランジア。紫陽花のことですね。
こーやGM主催の《贄》シリーズにあき缶GM主催の《紫陽花》をぶつけた形となっております。
ギルティを好きにさせられてしまったパートナー。
世界の為に決意するのか
パートナーの為に我が身を差し出すのか
取り戻そうと足掻くのか、パートナーの決意を尊重するのか
皆様のプランをお待ちしております。
心情系EXなので、アドリブ全開で行く事となります。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)

  は?そんな提案飲めるか……イグニス!?
な、待て、お前……!
置いて行く、つもりかよ
は?なんだそれ
お前じゃねえんだから魔法なんて使えねえぞ……
あ、おい!イグニス

眼鏡壊れててよかった
あいつの顔が見えやしねえ
おかげで余計なショック受けずに済んだ
ついでにてめえの勝ち誇ったようないけすかねえ面も
綺麗さっぱり見えてねえよざまあみろ
(深呼吸、ひとつ)
世話の焼ける騎士様だ
何だよ魔法って。格好つけやがって
ああほら、泣くんじゃねえ泣きたいのはこっちだよ馬鹿
信じてるとか言われたら。やるしかねえだろうが
御伽噺の「魔法」を見せてやるよ
(駆け出してイグニスを引き寄せて)
……「愛してる」
(意を決してキスしようと)


スウィン(イルド)
  「俺がなるわ」
(提案を聞いてすぐ、戸惑うことなくギルティに歩み寄る)
俺はどうなってもいい
イルドを眷属になんかさせるもんですか
操られて酷い事するなんて絶対させられない
お願いだから俺の事は気にしないで、隙を見て早く逃げて
今は無理でもいつかきっとギルティを…
(呪いで変化
目から光が消え無表情で冷酷な性格に
ギルティには敬語で無抵抗、イルドには冷たく
武器がないため棒を拾うが不満
だが不満を顔に出さず棒をイルドにむけ)
「ギルティ様の障害は排除する。朽ち果てろ」
(イルドの言葉にぴくりと反応し
その隙に一撃いれられ洗脳が解ける)
「あッ!…イル、ド…」
(度重なる戦闘で力尽き
イルドの腕の中に崩れ落ち意識を失う)


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  何か、何かないのか!
俺達が一緒に生きる道は…

必死で考えを巡らせている時、フィンの声に目を見開く

フィン!何を言って…
駄目だ!
俺達は二人で幸せを見つけるって約束しただろ?
どうしてそんな簡単に諦めるんだよ!

フィン…(眷属となった彼を見つめ、拳を握り締める

アンタは勝手だ
一人で決めやがって…
冗談じゃない!
フィンが居ない世界で、俺にどうやって幸せになれって言うんだよ!
ふざけるな!
…絶対に取り戻す
絶対諦めない!
フィンに掴みかかる

こんな痛み…アンタを失う痛みに比べたら、どうって事ない…(傷付いても立ち上がる
嫌だ!
俺はフィンと一緒じゃないと嫌だ!(必死に縋り付き

フィン…俺の、幸せは…フィンなしじゃ…(涙が溢れ


ローランド・ホデア(リーリェン・ラウ)
  (眷属、ね
 リェンが俺以外の者に従っている所なんざ反吐が出るな…
 それにこいつを失うくらいなら、自分が消える)

俺で足るなら俺がなろう
優しくしてくれよ

てめぇはもう用済みだ
首輪を外してとっととどこにでも行けよ
目障りだ
仕事?あの程度で?ハッ笑わせる
てめぇみたいな下等貧民、ただの暇潰しだ
いつまでたっても行儀も悪くて、こんなんじゃ恥ずかしくて高級レストランにも連れていけない
行きたい所に行けなくて面倒だったよ
(縋りつくリェンの腹を蹴り飛ばす)

さあ行きましょう、御主人様
ご命令とあれば何処なりともお供申し上げますよ
可愛がってくださいね、未来永劫
(うっとりとギルティを見上げ、共に去る)

<アドリブ大歓迎>


カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
  眷属:神人

じゃ、俺なるわ
(さらっと挙手)
少し話をさせろ、急ぐ程でもねぇだろ?
(ギルティを牽制)
驚くことでもねぇだろ
てめぇと俺なら俺のがいいってだけだ
俺はそう『生きられる』が、てめぇはそうじゃねぇ
なら、生きろ
死んだみてーになってねぇでさ
気づいてねぇの?
てめぇ、笑ってっけど、ちっとも笑ってねぇよ
ちゃんと笑えるようになれ
てめぇの恋人が望んでること、叶えてやれ
(腕を引き寄せ、耳元で囁く)
俺のことは念入りに殺せ
てめぇの苦しみは連れてってやるから、てめぇは生きろ
いいな?
……いい子だ(額にキスだが色気皆無)
※聞かれてるのはある程度覚悟
(突き放して向き直り)
こいつより可愛げのなさそうな野郎だな
ま、好きにしろ



●別離宣告
 強敵を前に、片や眉を寄せ思案めいた顔をし、片や愉悦じみた笑みを湛えていた。
 ぞくり、背に走る感覚が勝手に口角を釣り上げるのを自覚しながら、リーリェン・ラウは隙なく身構える。
「勝ち目のない勝負ってあんま好きじゃねえけど……でも、ゾクゾクするわ」
 きっと、自分は死ぬのだろう。そんな予感しかしない。
 だけれど、それを怖いとも思わなかった。好きに暴れて派手に散る。昂ぶった気持ちのまま死ねるのならばそれはきっと、素晴らしく幸福な事だ。
「ぶち殺してくれよ、あがけるだけあがいてやっから」
 己の身一つで今まで渡り歩いてきた喧嘩屋は、しかし今は『飼い主』によって鎖に繋がれた『狗』だ。
 だからこそ、リーリェンはどこか嬉々とした目でローランド・ホデアを振り返ったのだ。さぁ早く、アレをぶちのめす指示を。
 けれど、その指示は下らなかった。
「俺で足るなら俺がなろう」
 そして、その口から吐き出された言葉に、リーリェンは目を丸くした。
「……? え、なんで?」
 唖然としているリーリェンをよそに、つかつかとギルティに歩み寄ったローランドは、少し上に位置する視線を見上げて、首を傾げて見せる。
「優しくしてくれよ」
 にぃ、と、ギルティの口が弧を描き、呪いを紡ぐ。
 それはほんの一瞬の出来事で、リーリェンが止める間もなく。
 もとより、止めなければならないと言う意識にすら至れないほど愕然としたリーリェンは、昏い瞳のローランドに見据えられ、ようやく我に返った。
「なに、してんの……?」
「てめぇはもう用済みだ。首輪を外してとっととどこにでも行けよ」
 冷めた声が、耳を滑る。何を言われているのかすぐに理解できなかったのは、いつも聞いている声と違う気がしたからだろうか。
 けれど、首輪の単語に、リーリェンは己の首元に手をやって、そこが急に冷たくなったような感覚に息を呑む。
 乾いたような、引き攣った笑いに、喉が震えた。
「用済みってなんだよ、なんで首輪を外さなきゃいけねえんだよ、あんたがくれたんだろ、これ……?」
 掴みかかってまくし立てたいくらいの感情が湧くのに、体が動かない。何だか薄ら寒い心地だ。指が震えているのは、そのせいだろうか。
「目障りだ」
 冷たい声に、冷たい瞳。
 心が、底冷えする。
「俺ちゃんと、仕事してたろ? 用済みってなんで?」
 動揺をひた隠すように、震える指を握り締めて問うも、ローランドはせせら笑うような顔で一蹴する。
「仕事? あの程度で? ハッ笑わせる」
「そんな、なんでなんで……」
 言われたことはちゃんとしてきたつもりだった。多少、自己解釈で適当に片付けた事もあったかもしれない。
 それでもローランドは咎める事をしなかったし、よくやったと褒めてくれることだってあった。
 職業柄高圧的な態度の多いローランドだが、リーリェンを見る目は、かける言葉は、いつだって……。
「てめぇみたいな下等貧民、ただの暇潰しだ」
 いつだって、優しかった。
 はず、なのに。
「暇潰し……」
「いつまでたっても行儀も悪くて、こんなんじゃ恥ずかしくて高級レストランにも連れていけない」
 呆れたような声をしつつも、許容してくれた。
 リーリェンの生活レベルに付き合ってくれた。
 誰が何と言おうと、ローランドは優しかった。
 はずなのに――。
「行きたい所に行けなくて面倒だったよ」
 吐き出された溜息が、心底疎ましげで。
 ギルティの魅了が、まるでローランドの本音を引き出したように思えて。
 遠く見えるローランドに追い縋ろうとしてか、一歩、踏み出していた。
「待って、待ってくれよ」
 リーリェンはローランドを命の恩人だと思っている。借金まみれの人生から掬い上げてくれた、恩人だと。
「ちゃんとやるから、ちゃんと覚えるから、堅苦しいのも我慢するからさ」
 恩ある人が望むなら、今からだって、そのくらい。
 だから――。
「だから、置いてかないで、ゴシュジンサマ……!」
 伸ばした手が、ローランドの服に届く。泣き出しそうな声で縋りついたリーリェンを、ローランドは一瞥して。
 その腹を、容赦なく蹴り飛ばした。
「がっ……」
 躊躇ない一撃に、既に疲弊していたリーリェンはたまらず膝をつく。
 侮蔑するような瞳がそれを見下ろし、掴まれた場所を、汚らしげに払う。
「さあ行きましょう、御主人様」
 足元の派手な色など視界に映らぬと言うように、ローランドはギルティを振り返った。
 綺麗な声が、綺麗な言葉を紡ぐ。
 甘い声だ。きっと声に相応しい顔をしているのだろう。
 項垂れたリーリェンは、それを確かめる事が出来なかった。
「ご命令とあれば何処なりともお供申し上げますよ」
「なるほど、飼うよりも飼われる方が性に合っているようだな」
 皮肉気なギルティの台詞にも、ころり、嬉しそうな笑い声が返るだけ。
「可愛がってくださいね、未来永劫」
 陶酔しきった顔に満足気に笑って。踵を返したギルティに、ローランドは付き従った。
 響く足音に、リーリェンは弾かれたように顔を上げるけれど、追う事は出来なかった。
 呆然と、茫然と、見送る事しかできなかった。
「ロゥ……」
 拾ってくれたのは貴方なのに。
 どうして、こんなにあっさりと手放してしまったのだ。
「一人にしないで……」
 ぺたりと座り込んで、そのママ蹲ってしまったリーリェンは、知らない。
 ギルティの提案に、ローランドが思案していたことを。
 ――リェンが俺以外の者に従っている所なんざ反吐が出るな……。
 だけれど、彼を失うことも、恐ろしかった。
 『天使』を失くすくらいなら。
 ――俺が消えればいい。
 その思いが伝わる事は、ないのだけれど。

●わらえない結末
「じゃ、俺なるわ」
 提案に、カイン・モーントズィッヒェルはさらりと挙手して応えた。
 その傍らでパートナーのイェルク・グリューンが目を剥き動揺を示しているのに、まるで気付いていないかのように、カインの表情はいつも通りだ。
 問いただそうとする口が、開いては言葉を吐きだせぬまま閉じられる。
 対比を愉快そうに見つめているギルティに、カインはやれやれと首の後ろを掻いてから、制するように手のひらを突きつけた。
「少し話をさせろ、急ぐ程でもねぇだろ?」
「よかろう。今生の別れとなるのだからな、精々惜しめ」
 くつくつと喉を鳴らすギルティに、小さく舌打ちしてイェルクを振り返ったカインは、改めて、その動揺っぷりを見て、軽く笑った。
 その顔に、イェルクは眉間に皺を寄せてカインを睨む。
「何を仰ってるか分かってますか?」
 いつも浮かべている曖昧な作り笑いもない。
 真っ直ぐな感情を表しているイェルクを見るのが、こんな機会になるなんて、何とも皮肉な話だ。
「驚くことでもねぇだろ。てめぇと俺なら俺のがいいってだけだ」
「どういう理屈でそうなるんですか」
 当然の疑問だ。カインは聞かれるのが分かっていたからこそ、言いよどむでもなく、ただ真っ直ぐ、イェルクを見つめた。
「俺はそう『生きられる』が、てめぇはそうじゃねぇ」
 強制的な従属を、受け入れられるか否かの違い。
 カインは出来るが、イェルクは出来ない。
「なら、生きろ。死んだみてーになってねぇでさ」
 大した付き合いでもないくせに、こんな局面で紡がれる判ったような口ぶりが何だか無性に腹立たしかった。
 平静に、冷静に。努めて自分を落ち着かせ、イェルクは「そう言う問題ではありません」と、説得に反論すべく口を開く。
 けれど、それを遮ったのはカインの言葉だった。
「気づいてねぇの?」
 どこか、苦笑に似た、笑み。
「てめぇ、笑ってっけど、ちっとも笑ってねぇよ」
 喉に蓋をされたように、イェルクは言葉が出てこなかった。
「ちゃんと笑えるようになれ。てめぇの恋人が望んでること、叶えてやれ」
 かすかに瞠目したイェルクに、カインがかける言葉は、追い打ちじみていた。
 知った風な口を利くこの男の言葉が何だか腹立たしかった。
 だけれど、それは。見透かされていたため。
 見ない振りをしてただ笑みの内側に隠して誤魔化していた感情を、何の心の準備もないまま引きずり出されたため。
 人当たりよく穏やかに。曖昧に適当に。笑っていれば、十分過ごせていたのだ。
 空虚を抱えたままでも、亡くした恋人の事だけを想って、いられたのだ。
 だというのに、だというのに。
 思い出してしまったではないか。目の前のこの男もまた、家族を失ってここにいることを。
 理解してしまったではないか。同じ境遇であるからこそ、『知った風』何かではなくて、正しく『知られて』いたのだということを。
 愕然とした顔をするイェルクの腕を引き、宥めるように肩に触れながら、カインはその耳元で小さく囁く。
「俺のことは念入りに殺せ」
 もうやめてくれ。
「てめぇの苦しみは連れてってやるから、てめぇは生きろ」
 もう、聞きたくない。
「出来るわけ、ないでしょう……」
 ああ、カインという男は実は強引で自分勝手なのかもしれない。
 こんなにもこんなにも苦しい事を、こんなにもこんなにも、あっさりと口にしてしまうのだから。
 残される側の感情を知りながら、どうして、どうしてまた残して行こうと言うのだろう。
「できるわけ、ないじゃないですか」
「やるんだ」
「いや、です……っ」
 頑なに拒絶するイェルクに苦笑して、カインは何度も、回した腕で背を撫でて宥める。
「生き恥をさらさせてくれるなよ」
 やっぱり、カインという男は強引で自分勝手で、少し狡い。
 そんな風に言われてしまっては、頷くしかないではないか。
「……いい子だ」
 ぽん、と撫でた頭を寄せられて、額に触れられたのは、どこか子供にするようなような……あぁ、きっとそうだ、愛娘に送るお休みのキス。
 それを最後に、カインはイェルクを突き放し、ギルティに向きなおった。
「こいつより可愛げのなさそうな野郎だな。ま、好きにしろ」
 会話はきっと、聞かれていただろうけれど。
 所詮、こいつにとってはなにもかも余興に過ぎないのだろう。
 胸糞悪い心地だが、約束ぐらいは果たして貰えるだろうか。意識に蓋をされるような感覚の中で、カインはそんな事を考えていた。
 そうして、再びイェルクを振り返ったその目は、まるで作り物のように、冷たくなっていた。
 目が合って、理解して。イェルクは呆然と見つめるばかりの瞳から、涙をこぼす。
「私があなたを殺せるとでも思ってるのですか。気づいていたのに、黙っていてくれたあなたを殺すなど……」
 涙ばかりがハラハラと零れるイェルクは、滲む視界の中で、探るように触れた棒切れを拾い上げる。
 一思いにとはいかない凶器に、ぱたぱた、涙の粒が落ちる。
「私の方が、そうなれば良かったのに」
 涙の止め方を知らないかのように、拭う事もしないまま泣くイェルクを、ギルティとその眷属は愉快気に眺めている。
 歯を食いしばって振り翳した棒切れを、眷属は、まるで立ちはだかるようにしたまま、避けない。
 かつてのパートナーを嬲り殺させるつもりのギルティの思考が透けて見えたけれど、イェルクには他にどうすればいいのかが判らなかった。
 やがて眷属が膝を折る。
 何もかも、滲む視界の向こうでおぼろげだったけれど。
 倒れ伏す間際、彼が、笑っているように見えた。
「ッ……!」
「念入りに、殺すのではなかったのか?」
 まだ息があるが? 嘲るような声を拒絶するように、固く伏せた瞳。そのまま視界が暗転して……。
 結末が曖昧なままの夢は、覚めた。

●ただ、君の為
 かつん、と。ギルティの硬質的な靴底が立てる足音が、嫌に大きく響く。
 じり、と後ずさって、蒼崎 海十は唇を噛み締めた。
(何か、何かないのか!)
 パートナーを犠牲にすることなく、一緒に生きる道は何かないのか!
 頭の中がぐちゃぐちゃになっているのを、一つ一つ整理するように。海十は必死に考えを巡らせた。
 何か弱点でも見つけて、ギルティを倒すことはできないか。無理でも逃げることは。
 あるいは応援が来るのを信じて耐え忍ぶか。上手く喋れば、時間を稼ぐことが出来るかもしれない。
 どれだけ考えても、海十の案は、どれもこの絶望的な状況を打開するにはあまりに心許なかった。
 だが、それでも諦めると言う選択肢だけは、選べなかった。
 そんな海十の肩を、ぽん、と軽く、手のひらが叩く。
 焦燥した中に与えられた刺激にびくりとして振り返れば、フィン・ブラーシュが穏やかに、だけれど真剣な目をして微笑んでいた。
 そのまま、一歩、海十を庇うように歩み出て、フィンはギルティに、真っ直ぐに告げた。
「俺がなる。だから、海十は助けてくれ」
 その一言は、遺跡の薄暗い廊下に、凛として響く。
 反響が落ち着くまでの、短い時間。思考が停止しかけていた海十は大きく瞳を見開いて、フィンに縋った。
「フィン! 何を言って……」
 咎める言葉が、一気に頭の中に湧いて。掴みかかる勢いで、海十はフィンに迫った。
「駄目だ! 俺達は二人で幸せを見つけるって約束しただろ?」
「けど、こうするしかないんだよ、海十」
「どうしてそんな簡単に諦めるんだよ!」
 勢いのまま、海十はフィンの胸ぐらを掴んだ。
 しかしそれは、ただの八つ当たりのようなもの。海十にだって、他に選択肢がない事は判りきっていて、それを打開する術を見いだせない事への、憤りだ。
 それが判るから、フィンは優しく微笑んで、海十の手に己の手を添える。
「……簡単じゃないさ。生きろ、海十。それが俺の全てだ」
 ギルティの提案はただの理不尽だった。だけれど、それでもフィンに迷いは無かった。
 海十を護るためならば。どんな理不尽だって、選ぶことが出来る。
「もう大切な人を守りきれない……あんな想いはしたくない。今度こそ俺は、守る」
 優しい、けれど有無を言わせない手が、海十の手を振り切る。
 行き場の無い手を伸ばしたまま、離れていくフィンの背を見送って。
 愉悦に笑うギルティの支配下に落ちてしまったフィンを、ただ、見つめた。
「……今直ぐここから消えろ」
 感情の無い声。冷たい色の瞳。フィンと同じ形をした、フィンではないものに、されてしまった。
「フィン……」
 霞んだ、消え入りそうな声が響く。
 しかし、海十の瞳に、未だ諦めが滲む事は無かった。
 ぐっ、と拳を握りしめて、きつい眼差しでフィンを睨む。
「アンタは勝手だ。一人で決めやがって……」
 踏み出し、泣き出しそうになるのを歯を食いしばって堪えて、声を荒げた。
「冗談じゃない! フィンが居ない世界で、俺にどうやって幸せになれって言うんだよ! ふざけるな!」
 胸ぐらを掴んだ時よりも激しい感情が、フィンにぶつけられる。
 だが、返ってくるのは感情の無い瞳だけ。
「……っ、絶対に取り戻す。絶対諦めない!」
 一つ吠えて、海十はフィンへと掴みかかった。
 それを、フィンは疎ましげに突き飛ばし、弾みで転げた海十を、無遠慮に蹴りつける。
「汚らわしい。失せろ」
 侮蔑する視線。見上げたそれは、まるでゴミを見るようで。
 心の奥が抉られる感覚に晒されながらも、海十は何度も、フィンに掴みかかった。
 何度突き飛ばされても、何度足蹴にされても。
 切れた口端にじわりと血が滲んでいる。もっと内側、喉の奥から苦いものがせりあがってくる気がしたが、繰り返している内に紛れてきた。
 蹴り倒される度に体中に傷が増えるが、海十の手を振り切ったあの仕打ちが、一番痛かった。
「こんな痛み……アンタを失う痛みに比べたら、どうって事ない……」
 それよりも、感情をぶつける度、かすかにフィンが苦しげな顔をしているのは気のせいだろうか。
「我が主人の為に、消えろ」
 苛立ちを露わにしたような、少し荒い語気。
 強い眼差しで、海十はそれを突っぱねる。
「嫌だ! 俺はフィンと一緒じゃないと嫌だ!」
 ふらつく足では、掴みかかるのもやっとで。縋るようなさまを、無様と一言切り捨てて、フィンは海十の首に手をかけた。
「か、は……」
 視界が明滅し、少しずつ白んでいく感覚。
 首が締め上げられているのだと理解しながらも、海十はその手を振りほどく事をしなかった。
 ただ、間近に迫ったフィンの顔に、震える指先を、伸ばす。
「フィン……」
 掠れる声。フィンの顔が、急速に崩れていく。
「俺の、幸せは……フィンなしじゃ……」
 白く溶けていく視界が滲んで、ぼろぼろと、涙が溢れた。
 何も、見えなかったけれど。指先に、暖かな感覚が触れたのを、認識した。
「ッ、……!」
 撫でるような指先に、その温度に、フィンの中に感情が蘇ったのだろうか。首を絞める手が、緩む。
 喉の奥にするりと通る空気。
 しかし咳こんでいる場合ではなかった。海十が生きるために必要なのは、もっと大切なもの。
 なけなしの力を籠めてフィンを引き寄せると、その唇に、唇を触れさせる。
 ほんの一瞬。それが限度だったけれど、それで、十分だった。
「海十……ッ!」
 滲んだ視界の向こうで、悲痛な顔をして名を呼ぶフィンを見つけて。
 海十は、幸せそうに微笑んで、ふ、と意識を手放した。
 ――悪い夢は、ここで、終わりだ。

●ふつりあいな天秤
 不条理な提案に対し、スウィンの決断は早かった。
「俺がなるわ」
 戸惑いを見せることなく、それはまるで望むような足取りで、すたすたとギルティに歩み寄る。
 イルドがすぐさま反応できなかったのは、彼の方には動揺があったからだろう。
「バカ、戻れ! そいつに近付くな! くそっ」
 腕を掴んで引き摺り戻そうとするも、それを制するかのようにくるりとこちらを振り返ったスウィンに見つめられ、思わず足がすくむ。
 スウィンの顔は、穏やかで。けれど、長く居たからだろうか、彼の考えていることが、良く分かった。
 俺はどうなってもいい。あれは、そんな事を考えている目だった。
(イルドを眷属になんかさせるもんですか)
 スウィンの意志は頑なだ。
 イルドがギルティに操られて凶行に走らされるようなことには、させたくない。
 それに、ここでイルドが逃げ延びてくれれば、きっといつかこのギルティを倒す事が出来るようになる。
 これは確信だ。スウィンの、イルドに対しての信頼だ。
(お願いだから俺の事は気にしないで、隙を見て早く逃げて)
 そうして、いつかきっと――。
 願いは、意思ごと閉ざされる。
 耳朶に滑り込んできた呪いが、スウィンを傀儡に堕とす。
「潔い神人が、己を犠牲にして稼いだ時間だろう。逃げなくていいのか?」
 悠然と笑うギルティが、これ見よがしにスウィンを抱き寄せ、挑発的にイルドを見やる。
 その腕の中で、冷たい目をしながらもかすかに微笑んで見えるスウィンの姿に、呆然としていたイルドに激昂が沸く。
 獣のように喉笛に噛み付きそうな目に、ギルティはますます愉快気に笑って、スウィンを手放した。
「面白い光景が見れそうだな。遊んでやれ」
「仰せのままに、ギルティ様」
 言われるがまま、それ以上に、命じられることを喜ぶように。スウィンは応え、イルドを振り返る。
 瞳と瞳が対峙する。かつてパートナーだった者同士が、敵対して。
 ぱ、と。足元の棒を拾い、イルドはスウィンを見据えた。
 それを見て捉え、同じように足元から棒切れを一つ拾う。
 軽くて細い感触は、何とも心許ない武器だ。しかしそんな不満は表に出すことなく、ひゅん、と軽く確かめるように振って、イルドへと突きつけた。
「ギルティ様の障害は排除する。朽ち果てろ」
 即座に、肉薄した。
 眷属と化したからと言って、身体能力が向上するわけではない。だが、傷や疲弊を厭わず身体を酷使することはできるようになったのだろう。
 スウィンを傷付けることの無いように注意を払うイルドと、互角の打ち合いが出来ていた。
 ハイトランスで力を分け合った時のように、スウィンはあまりに軽快に棒を振るう。
 しかしその瞳に彼の感情は無く、あるのは敵意ばかり。
 激しい打ち合いに、何の変哲もない木の棒が欠け飛ぶ。それが互いの顔の端を傷つけるが、互いに、意にも介していなかった。
 ぎり、と奥歯を噛み締めて、イルドはぎりりと音を立てて交わる棒を押し込み、スウィンに迫る。
「目を覚ませ! お前はそんなやつに従うようなやつじゃねーだろ!」
 魂に響かせようとするかのような声。
 それは、スウィンの体を震わせ、心を揺さぶった。
 強固に閉じ込められた意識の蓋を、こじ開ける。
「ッ……」
 一瞬、スウィンの動きが止まったのを見止め、イルドは躊躇いを振り切って、スウィンに強烈な一撃をくれた。
 ぐらり、スウィンの体が傾ぐ。暗転していた視界に、ちらりと瞬いた星に、意識が引き摺り上げられる。
「あッ! ……イル、ド……」
 縋るように、伸ばされた手を掴んで。イルドは膝を折るスウィンを抱き留めた。
 眷属として酷使した身は、その呪いを解かれた瞬間、文字通り糸が切れたように力尽きる。
 暖かで力強い腕の感覚も相まって、スウィンはそのまま、意識を失った。
 安堵したのもつかの間。イルドはスウィンを庇うように抱き寄せ、ギルティを見上げる。
「……スウィンは一時だけだが眷属になった。神人と精霊が戦うのを見るのは楽しかっただろ」
 自分一人なら、例え殺されることになろうとも戦い抜くだろう。
 だが、今この瞬間には、世界と、何よりスウィンの命がかかっている。
 それを理解できないほど、子供ではないのだ。
 己のプライドなんて、天秤にかけるまでもない。そんなものはかなぐり捨てて、イルドはギルティに乞うた。
「だから……見逃してくれ……」
 絞り出すような声に返る、くつくつと喉を鳴らす音。
 あぁ、実に愉快だった。そう言ったギルティは、カツカツと二人に歩み寄ると、真っ直ぐな視線をぶつけてくるイルドの瞳を覗く。
「次も、勿論楽しませてくれるのだろう?」
 今よりももっと、愉快な事を。
 唇を噛み締め、睨む事しかできないイルドに笑みだけを残して、ギルティは立ち去った。
 響く足音がやがて消えて、さらに静寂が周囲を満たすまでを待って、イルドは大きく息を吐き出して、スウィンを強く抱きしめた。
「いつか絶対あいつを……倒す!」
 これは夢で、仮想の話。
 だけれどイルドの誓いはゆるぎなかった。
 あれが存在する以上、いつまたスウィンの命が脅かされるとも知れない。
 次、なんて、あってはならない。
「絶対に……!」
 血の滲むほどに噛み締めた唇が、まるで呪いのように、誓いを吐き出していた。

●幸福の育て方
 困りましたね。イグニス=アルデバランは、そんな心地でゆるりと首を傾げていた。
(油断していたつもりはこれっぽっちもなかったんですけど……)
 こんな状況に陥ってしまったことは、素直に己の落ち度として認めねばなるまい。
 その上で、考える。ギルティを野放しにしておくわけには当然いかず、かといって、パートナーを引き渡す真似なんてできない。 
 ……答えなんて、初めから判りきっていた事だけれど。
「は? そんな提案飲めるか……」
「……私が、行きます」
 初瀬=秀が怪訝に眉を寄せて告げるのと、イグニスが発言するのとが、同じタイミングで重なった。
 傍らから聞こえてきた声に、秀はいつもの眼鏡が無くなった瞳を何度か瞬かせてから、ぎょっとしたようにイグニスを振り返る。
「イグニス!?」
「ごめんなさい秀様、ちょっとだけ我慢……」
「な、待て、お前……! 置いて行く、つもりかよ」
「……え?」
 ほとほと、彼らの発言のタイミングは、悪い意味で重なった。
 動揺して問い詰める秀に、イグニスはきょとんとした顔を返す。
 二度、三度、先程の秀と同様に繰り返し瞳を瞬かせてから、ことり、首を傾げて。
「何言ってるんですか置いて行きませんよ? だってすぐ迎えに来てくれるでしょう?」
 当たり前のように微笑んで、秀を見つめた。
「それまで待ってますから」
 心に思い描いている光景がある。
 願望ではなく、希望でもなく、それは確信で。
 イグニスは、だからこそなんの憂いも躊躇いもなく、身を差し出せるのだ。
「大丈夫ですよ、秀様ならできます」
 きゅ、と。いつもは杖を握っている手で、愛おしむように秀の手を握り締める。
 この手の優しさを、力強さを、イグニスは知っている。
 この手に触れて、触れられて、得られる幸福を、知っている。
「あなたは、この手は、『魔法使い』ですから。特別な『魔法』を、知ってますから」
 そう、イグニスが知っているように、秀もまた、知っているはずなのだ。
「は? なんだそれ。お前じゃねえんだから魔法なんて使えねえぞ……」
 かすかに震える声が、否定するけれど。けれど、確かに。
 だから何の心配もない。
 ほんの少し、ギルティの余興に付き合ってやるだけなのだ。
「信じてますよ、私の大好きな『お姫様』」
「あ、おい! イグニス」
 にっこりと笑ったイグニスの手が離れて、その背が、ギルティの元へ歩んでいく。
 ギルティと対峙するイグニスの瞳は、真っ直ぐに曇り無く。見据えて、くつりと喉を鳴らしたギルティは、その瞳から光を奪った。
「さて、それでは見せてもらおうか。貴様の『魔法』とやらを」
 どこからでも掛ってくるがいい、と。手中に収めて見せたイグニスを、まるで差し出すように示してくるギルティに、秀は小さく舌打ちした。
(眼鏡壊れててよかった。あいつの顔が見えやしねえ)
 おかげで、余計なショックを受けずに済んだ。
 それでも癖で眼鏡を押し上げようとする手は、伸びるけれど。
(ついでにてめえの勝ち誇ったようないけすかねえ面も綺麗さっぱり見えてねえよざまあみろ)
 皮肉に歪んだ口元を、引き結んで。
 大きく、深呼吸、ひとつ。
「世話の焼ける騎士様だ」
 動揺は、もう落ち着いた。イグニスがあまりに突飛な事を言ってくれるものだから。
「何だよ魔法って。格好つけやがって」
 知っている。分かっている。自惚れではないと思って良い。イグニスにとって、秀という存在が如何ほどか。
「ああほら、泣くんじゃねえ泣きたいのはこっちだよ馬鹿」
 ぼやけた視界でも、それだけは不思議と見えて……あるいは、イグニスの心が泣いているのが、透けて見えて。
 強がりなんていうもんじゃないと、窘めるように苦笑してから、秀は一歩、踏み出す。
「信じてるとか言われたら。やるしかねえだろうが。御伽噺の『魔法』を見せてやるよ」
 向ける視線は、真っ直ぐに。ただイグニスだけを見つめて、駆ける。
 ギルティがイグニスに何かをさせる様子はない。ただ楽しむように見ているだけ。
 余興に付き合わされる心地の悪さは、気付かない振りだ。
「……『愛してる』」
 それは飛び切りの、『魔法』。
 触れた腕をそのまま引き寄せ、秀は意を決し、イグニスの唇に触れた。
 眠り姫を起こすように。魔女の呪いを解くように。
 かくして『姫』から『騎士』へと捧げられる口付けは、凍り付いた騎士の心を打ち溶かし、その目に光を取り戻す――。
「――ほら、だから言ったでしょう?」
 ただひたすらに幸福そうな笑顔が、満面湛えられて秀を見つめる。
「信じていましたよ、私の愛しい『お姫様』」
 例え絶望的な脅威に縛られたとて、あなたの声が、愛が、心に届かないわけがないのだ。
 武器の無く心許ない両手は、けれど今、秀を抱きしめる為に惜しみなく使える。
 その、何と幸せな事か!
 ――幸福感に満たされたまま目を覚ましたイグニスには、先程の夢とも思えない夢の続きがどうなったのかは、知れない。
 二人は、世界は、どうなったのか。結末は、判らないまま。
 それでも、愛しい人と一緒なら、きっとそこには絶望なんてないのだろうと。それだけは、確信できるのであった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 糸巻茜  )


エピソード情報

マスター 錘里
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル シリアス
エピソードタイプ EX
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,500ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月02日
出発日 07月08日 00:00
予定納品日 07月18日

参加者

会議室


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