FShow天の川(山内ヤト マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 様々な文化が入り混じったモザイク世界では、七夕の風習がある地域もある。笹の葉に飾り付けをしたり天の川を鑑賞したり、楽しみ方は様々だ。
 芸術家の卵や若手クリエイターが集まったオシャレな町クジュラハでは、七夕の日に盛大なファッションショーが開かれる。これは、機織りの名手である織姫にあやかっての行事である。

「ああー、ヤバイなー。アラク姉さん困っちゃったなー」

 仕立屋見習いの女性、アラクは困っていた。第一印象ではただの気だるげで態度の悪そうな個性派ギャルに見えるが、その手をよく見ると針や糸を扱った時にできたキズがいくつもついている。
 アラクは素晴らしい裁縫の才能を持っていたのだが、ここ最近はこれぞという服のデザインがなかなか思い浮かばず、その腕を振るえずにいた。一時的なスランプ状態に陥っている。

「コンテストの締切日が迫ってるよー。そういえば、他の人からアイディアを募集するのはコンテストのルールで許可されてたっけかなー」

 自分以外の人の発想に触れるのは良い刺激になるだろう。無断で他人のアイディアを使うのはもちろんルール違反だが、きちんと相手の了承をとって手続きをすればOKということになっている。

「というわけで、ファッションショーのためのアイディアをくれる人を探してまーす。せっかくだし、同時にモデルも募集しちゃおっと」

 ファッションショーのモデルは男女のペアだ。天の川を模したイルミネーションが施された会場。衣装をまとった男女のペアが、舞台の両端からそれぞれ登場して、ステージの上を進む。ステージ中央で合流後、細長く突き出たランウェイを二人で歩く、という流れだ。
 美男美女の組み合わせ……といえばウィンクルム!
 アラクはさっそく自作のポスターを携えて、タブロスにあるA.R.O.A.の建物へと向かった。

「すいませーん。このポスター、掲示板に貼っちゃって良いですかー? てか貼りますねー。ぺた、っと」

解説

・必須費用
服の布代:1組400jr



・プランについて
神人と精霊が着る服のデザインをプランに記載してください。
アラクは裁縫の技量は高いので、古典的な技法を必要とする衣装だろうと、最先端の素材を用いたファッションだろうと、問題なく作成できます。
ただし、あまりに高価な材料(ダイヤモンドや真珠など)は、本物ではなくダミー品を使用したことになります。

七夕や天体にちなんだ服、発想が斬新でユニークなものが、審査員から評価されそうです。王道や正統派すぎるものは、やや食傷気味の模様。
とはいえ、審査員からけちょんけちょんにセンスやデザインを酷評されたりはしないので、その点はご安心して参加してください。

リザルトでは、ファッションショー開催中の描写がメインとなる予定です。
希望すれば、服を仕立てている段階やショーが終わった後のやりとりにも対応できますが、文字数の制限上ショーでの描写が薄くなります。

ゲームマスターより

どうも! 山内ヤトです。

七夕をモチーフにしたファッションショーに参加してみませんか?

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)

  お互いの衣装をデザインしあうことになりました。
なので私はディエゴさんが着る服をデザインします。

肌を出すのが嫌みたいなので
露出を低くする分、素材を考えないと暑苦しくなっちゃいますね。

トップスは七分袖のフリンジ付きサマーニット、色は茶色

ボトムスは翼のトライバルがプリントされているジーンズ、色はトップスとグラデするように黒に近い茶色
靴は黒のベルト付きエンジニアブーツ

更に白のハンチング帽子で爽やかさを出します
アクセサリーにはシンプルな白い石がついたネックレスと
青い石がついたシルバーリング

鷲座がモチーフです
彼のスタイルも鑑みてスマートに

ディエゴさんが注目されるのは良いですけど、何か面白くない!


吉坂心優音(五十嵐晃太)
  ☆心情
「わぁ七夕をモチーフにしたファッションショーだって!
晃ちゃん出てみようよ!」

☆コンセプト:探偵助手風織姫

☆衣装
星のカチューシャ着用
天の川イメージのブレザー
膝丈星柄ミニスカ
夜空イメージニーハイ
黄色のスニーカー
ダボっとした白衣
薄ピンクの薄いストール
星の髪飾り付

☆ファッションショー
・仲睦まじく手を繋ぎ観客に向かって手を振ったりする
・お互い笑顔
・真ん中に来たら心優音は晃太の横でメモ帳とシャーペンを持ち情報収集
・帰る時足が縺れてコケそうになるが晃太に助けられる
・姫だき中は恥ずかしがって顔を晃太の胸に隠す

「えへへ、晃ちゃんに合わせてみたんだぁ♪
晃ちゃんも似合ってるよ☆
ハプニング無く成功させようね!」


●助っ人は美男美女
 個性的なファッションを愛好する若者が多く集まるオシャレな町。それがクジュラハだ。ファッション関係のイベントも、たびたび開催されている。七夕を題材としたファッションショーがまもなく開かれることになっている。
 仕立屋見習いのアラクは、そのファッションショーでの衣装アイディア提供者兼モデルを募集した。
 助っ人役を引き受けたのは、『ハロルド』と『ディエゴ・ルナ・クィンテロ』、『吉坂心優音』と『五十嵐晃太』。この二組のウィンクルムだ。

 アトリエにやってきたウィンクルムたちを見て、普段は気だるげなアラクもパッと目を輝かせた。
「わーお、四人共かなりの美男美女じゃーん! うん、うん。やっぱりA.R.O.A.の事務所にポスター貼って良かったわー」
 モデルとしてステージに立つことにもなるウィンクルムたちをアラクはまじまじと見つめた。
 ジーッと見られるのは、なんだかちょっとだけ品定めをされているような感覚がしないでもない。しかし、服を仕立てる前にモデルの雰囲気やスタイルをつかんでおくのも大事なことだ。それにアラクはウィンクルムの良いところに注目している。

 ハロルドと対面してのアラクの感想。
「見た目の感じだと、15歳くらい? 色白の肌がキレイだねー。体は細身、と。後でちゃんと採寸もするよー。パッと見た印象だと、ミステリアスでつかみどころのない神秘的な雰囲気を感じる娘だねー」
 ディエゴ・ルナ・クィンテロへのコメントはこうだ。
「お、クールな大人の男性だね。だいぶ背が高いけど身長は……195cmはあるかな? 蜂蜜色した目が印象的だね。なんか目つきが猛禽類系っていうか、鷹っぽいし。あ、もちろん良い意味でね!」

 くるりと踵を返し、吉坂心優音に視線が向けられる。
「可愛いー。赤い髪と緑の瞳の組み合わせがステキじゃーん! 補色って、お互いの色が引き立つよねー。今、高校3年? 大人っぽさと子供らしさの良いとこどりができちゃうかもね」
 五十嵐晃太を見て、こう言う。
「おおー! その角はディアボロなんだね。元気で活発そうだけど、どことなく知的なオーラも漂わせてるねー。へえ、吉坂心優音ちゃんと同じく、高3なんだ」

 四人の助っ人を見て、アラクは満足そうな表情を浮かべた。
「いやー、こんなステキな人達に協力してもらえるなんて、アラク姉さんってばマジラッキー。頑張って服作っちゃうよー。アイディアとモデルは任せた!」
 というわけで。アラクのアトリエで、ウィンクルムは自分たちが着る服のデザインにとりかかった。

●デザイン決め
 ハロルドとディエゴはお互いの衣装をデザインしあうことにした。
「なので私はディエゴさんが着る服をデザインします」
 パートナーであるディエゴの姿を改めて観察する。ディエゴは、肌を出すのが嫌なようだ。それには明確な理由がある。
「露出を低くする分、素材を考えないと暑苦しくなっちゃいますね」
 ディエゴの腕や胸部には、多数の古傷が残っている。ファッションショーのステージという場でその痛々しい傷をさらすのは、彼にとっても観客にとってもあまり良い結果にはならないだろう。
 ハロルドはちゃんとその辺りも念頭に入れてデザインを考える。単に露出を控えるのではなく、暑苦しくならないような素材を選ぶという心遣いもナイスだ。
「女性の服のデザインなんてどうしたら良いもんか……」
 一方、ディエゴはなかなかアイディアが出ずに悩んでいた。裁縫を担当するアラクと相談して、少しずつ構想を具体的なものへとブラッシュアップしていく。
 チラリとハロルドの方を見れば、順調にデザイン画を描いているようだ。いったいどんな服を着ることになるのか、この角度からは確認できない。
 ……ハロルドが奇抜すぎて大胆すぎるデザインをしないように、切々と願うディエゴだった。あいにく、アトリエには七夕の笹も短冊もなかったが……。

「わぁ七夕をモチーフにしたファッションショーだって! 晃ちゃん、どんな服を着てみようか?」
「なんやけったいな催しするやん。おもろそうや! 七夕モチーフの衣装なぁ……。何がえぇやろうか……」
 心優音と晃太は二人で和気あいあいと話し合いながら、楽しそうにデザイン案を練っていく。最終的に、織姫彦星の服をベースとし、そこに自分たちらしさである探偵要素を入れていく、という形でファッションショーのコンセプトが決まった。
 心優音は探偵助手風織姫。晃太は探偵風彦星だ。
「彦星やけどやっぱ俺言うたら探偵やろ♪ んで、みゆは現代風に助手な織姫かぁ。めっちゃ可愛ええ! 流石みゆやな☆」
「えへへ、晃ちゃんに合わせてみたんだぁ♪ 晃ちゃんも似合ってるよ☆ ハプニング無く成功させようね!」
「よし! この前のリベンジで成功させるで!」

 ウィンクルムたちが考えたデザイン画を受け取って、アラクがそのアイディアを実際の形にしていく。
 ただの布だったものに、ハロルドの工夫やディエゴの構想、心優音の思いや晃太の趣向が宿り、それはただの布から特別な服へと変化する。

●天の川のステージ
 クジュラハのファッションショーの当日。七夕をイメージしたステージは、星屑のようなイルミネーションでキラキラと輝いている。
 ウィンクルムたちは完成した衣装を身にまとい、それぞれ舞台裏で出番がくるのを待つ。ハロルドは特に緊張している様子もなく、心優音はワクワクとした表情をしていた。
 反対側の場所では、男性陣のディエゴと晃太が控えている。
 織姫と彦星の出会いを意識した演出として、ファッションショーでは舞台の両端から男女のモデルが登場し、ステージ中央で合流した後二人でランウェイを進んで退場、という流れになっている。

 まずはハロルドとディエゴのペアから順番がきた。
「……私とディエゴさんの出番ですね」
 スッとハロルドが舞台端から姿を現す。
 白のキャミソールワンピースをメインとしたコーデだ。膝丈の裾は、翼のようなひだを持ち、アシンメトリーなデザインが布に動きを産み出していた。淡い水色のレース生地の半袖の上着を羽織っている。
 ハロルドが歩くたびに、ワンピースの裾が羽ばたく鳥のように揺れる。
 薄い水色から濃い青へとグラデーションのかかったタイツ。ラメが入っていて、星空を思わせる。
 靴は白のレースパンプス。白いワンピースやレースの上着と調和して、バランスが良い。
 大粒のコットンパールがついたアンクレットが華やかさを添えている。コットンパールの見た目は真珠にそっくりだが、原材料は圧縮された綿だ。表面にパール風のツヤを出す加工が施されているのだ。真珠の安価なダミー品を使うことで、予算のジェール内で上品な高級感を出すことに成功している。工夫の勝利といえるだろう。
 ハロルドの指先には、青い石がはまったシルバーリングが静かにきらめいていた。

 ファッションショーの審査員がコメントを述べる。
「キレイだ。まるで白鳥のようだ。白鳥座といえば、天の川とも関係が深いよね。アンクレットはデネブ、指輪は……琴座のベガかな?」

 ディエゴは堂々とステージの上を歩く。
 全体的に茶系統の色合いでまとめられている。クールでスマートな出で立ちだ。
 トップスは七分袖のフリンジ付きのサマーニット。涼しさを感じさせる素材だ。
 ボトムスは黒に近い茶色のジーンズ。翼のトライバル模様がプリントされている。
 靴は黒のベルト付きのエンジニアブーツで、ハードに決める。
 これだけだと武骨な印象ばかりが際立ってしまうが、そこに白のハンチング帽と白い石のネックレスを加えて、爽やかさもプラスする。
 青い石がついたシルバーリングは、ハロルドと共通だ。
 奇抜なデザインをされるのではと心配していたディエゴだが、それは杞憂だった。ハロルドは真剣に良いデザインを考えてくれた。

「なるほど! 女性モデルが白鳥座なら、こちらは鷲座をイメージしているんだね。白鳥座、鷲座、琴座とくれば夏の大三角形。丁寧に考え抜かれたデザインだ」

 ステージの中央で、ハロルドとディエゴが出会い、悠々とランウェイを進む。審査員や観客からは賞賛のため息が漏れた。
「……」
 ステージの上なので一応ポーカーフェイスを装っているが、内心ハロルドはちょっぴり不満を持ち始めていた。
 ファッションショーにモデルとして参加した以上、当然のことでもあるのだが、パートナーのディエゴが大勢の注目を浴びている。それが嬉しいような、面白くないような……。
 乙女心は複雑だ。
 もっとも群衆の注目を集めるという意味では、ハロルドもモデルとして同じく目立っていたのだが。

 次に、心優音と晃太の番が回ってくる。
「晃ちゃんの彦星とあたしの織姫で、最高のショーにしてみせるよ!」
 緊張で物怖じすることもなく、にこやかな表情で心優音は舞台の上に立つ。
 彼女が着ているのは、天の川をイメージした色合いのブレザーと膝丈の星柄ミニスカ。上着はダボっとした白衣だ。心優音が歩くと、薄ピンクのストールが羽衣のようにふわりとたなびく。
 頭には星のカチューシャがキラキラと光っている。
 夜空をイメージしたニーハイと黄色いスニーカーで、心優音は笑顔を浮かべて軽快にステージの上を歩く。

 個性的なファッションは、クジュラハの審査員の目にも留まった。
「星、織姫、白衣に……学生? 賑やかに色んなイメージを詰め込んだね。モチーフ要素が多くてカオスな印象を受けるけど、モデルは見事にこの服を着こなしている。学生らしいフレッシュなモデルが着ることによって、関連性の薄いモチーフ同士が繋がって、コーデにまとまりをもたらしているんだね」

 晃太は、探偵ルックをベースに夏の大三角形の星座や天の川のモチーフを取り入れた格好で現れた。
 探偵というと茶系統のチェック生地がまず頭に思い浮かぶが、ファッションショーの服は夜空を彷彿とさせる群青色だ。そこに、アラクが銀色の糸で夏の星座の刺繍を施した。
 探偵帽子やモノクルまでも徹底的に星形という凝りようだ。
 星形のモノクルはアラクの裁縫技術だけでは作ることが難しく、また市販されているほどありふれた品ではない。そこで、普通のモノクルに星形の金属パーツを瞬間接着剤でくっつけて制作した。この裏話をしらなければ、星形のモノクルはちゃんとした職人が作ったもののように見える。
 黒いローファーは、コーデを引き締め、全体に落ち着きを与えている。

「ふーむ。まさか天の川と探偵を組み合わせるとは予想外だったなあ! 固定概念にとらわれないファッションは、このクジュラハの町の精神にふさわしいね」

 中央で出会った二人は、仲睦まじく手を繋いだ。心優音も晃太も愛想良く観客に向けて手を振ったりする。
 ランウェイの一番目立つ部分にきたところで、二人はちょっとしたパフォーマンスを披露した。
 帽子を軽く整えてから、晃太は観客に向けてビシッと指をさし、犯人を宣告する名探偵のような演出をする。
 晃太の横で、心優音は小道具のメモ帳とシャーペンを持って、情報収集をしているようなポーズをとった。
 観客席からは温かな拍手が起こる。
 ハプニングは、二人が退場する時に発生した。心優音の足がもつれ、転びそうになってしまう。
「きゃあっ!?」
「みゆ!」
 心優音の腕を晃太がしっかりとつかみ、倒れないように支えてくれた。おかげで転ばずに済んだ。頼もしい手助けだった。
 心優音は、この後晃太にお姫様抱っこされることを夢見る。そうなったら、とてもステキでロマンチックだと思う。
 だが、その期待は外れてしまった。
「気ぃつけや、みゆ」
 心優音がつかまって歩けるようにと、晃太は細くてたくましい腕を伸ばす。……親切だが、それ以上の行動はなかった。
「……なんだぁ……。残念」
「ん? なんか言うたか」
「なんでもないよ! ……助けてくれてありがとう、晃ちゃん」
 仲良く腕を組んで退場する二人。
 笑顔の裏で、心優音は少しだけ切ない気持ちになる。もっと二人が親密な関係だったら、あの時晃太はステージの上という大勢の目の前でも自分を姫抱きにしてさっそうと連れ帰ってくれたのだろうか、などと考えてしまう。
 だけど、心優音に手を差し伸べてくれた晃太の優しさに、ウソはないのだ。

 七夕のファッションショーは、穏やかに終幕を迎えた。
 ハロルドとディエゴの白鳥座と鷲座コーデは、素材や細部まで丁寧に考えられたデザインが審査員から好評だった。
 心優音と晃太の七夕探偵コーデは、発想の独創性と個性の強いファッションをモデルが自然に着こなしていたところが評判だ。
 ウィンクルムたちが協力してくれたおかげで、アラクは裁縫の腕を振るう場ができたと感謝する。
「ファッションの力ってすごいよね。いつもとは違う自分を表現したり、自分らしいスタイルを貫いたり。クジュラハの町は気に入ってくれたかな? またなんかあったらよろしくねー、イエーイ! サンキュー、バイバーイ!」

●帰り道
 クジュラハはタブロスから電車でいける距離にある都市で、ファッションショーを終えた二組のウィンクルムはタブロスへ帰るところだった。駅に向かって、クジュラハの通りを進む。

 格好良いディエゴが注目を浴びたことを素直に喜べず、なんだか面白くないハロルド。小さなジェラシーの火種が、胸にくすぶっている。
 それにしても、クジュラハの駅へと向かう通りはかなりの混雑だ。平均的な成人男性よりも背が高いディエゴなら、こんな風に人で混んでいる場所でも居場所がよくわかる。だが、ハロルドはそうはいかない。通りを歩く人の流れで、ディエゴと引き離されてしまう。
「……ディエゴさんっ」
 か細く、けれど切実に彼の名前を呼べば、蜂蜜色の瞳がすぐに振り返る。
「ハル。そこにいるのか」
 人混みの中でも、ディエゴは小柄なハロルドの姿を見つけ出してくれた。混雑を避けて、ゆっくりしたペースで歩ける方へと移動する。
 たしかにディエゴが他の誰かから注目を集めることはあるかもしれないが、今彼が見ているのは、ハロルドだ。

「みゆの助手織姫が見られて、満足やわ! みゆ、可愛かったで。それだけでもファッションショーに参加した価値あるな。なあなあ、俺の探偵彦星はどないやった?」
「うん……。晃ちゃんらしい彦星だったよ……」
 楽しそうに笑う晃太だが、その少し後ろを歩く心優音は浮かない様子だ。
「ハプニング無く成功させようって言ったのに、転んじゃってごめんね?」
 元気のない口調で、心優音が晃太に謝る。
「そないなこと、気にせんでええよ」
 明るく励ます晃太だが、心優音の心は曇ったままだ。本当は、転んでしまったことよりも、その時にお姫様抱っこで助けてもらえなかったことが、チクリと引っかかっていたのだから。
「あかんな。道が混んできよった」
 晃太が心優音に手を差し出す。はぐれないように、手を繋ごうというのだ。
「優しいね、晃ちゃんは」
 その手をとり、歩く心優音。
 晃太の手に包まれていると、もやもやした気持ちは次第に晴れていった。少しずつ精霊との絆を作っていって、自分の魅力を磨いていこう。そうすれば、思い通りの理想のデートにきっと近づけるはずだ。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 山内ヤト
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月01日
出発日 07月06日 00:00
予定納品日 07月16日

参加者

会議室


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