【祝福】男女逆転フェスティバル!?(木乃 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●中年親父はフルマラソン距離を走り抜けてます
「あ、そこの精霊さん!」
神人とイベリン内を観光していた精霊は焦燥した様子の中年男性に呼び止められる。
男はスーツがしわくちゃになるほど大慌てで走り回っていたのか、額から汗がだらだらと垂れ落ちていく。
「なにか用か?」
「あの、はぁ、不躾な、お願い、なのは、…はぁはぁ、重々承知なのですが」
膝に手をつき呼吸を整えてからスーツ姿の男はキッと顔をあげて――

「女装してくれませんか!?」

いやー、なにを言っているのかよく解らないですね。
ほら神人も精霊も目が点になっちゃってますよ?おっちゃん真面目な顔でなにをお願いしてるんですかねぇ……(困惑)
「あの、なにか事情があるのでしょうか?」
ひとまず神人がどういう理由なのかと訪ねてみた。
「実は、イベリン・女装フェスタっていう男性の彩る美しい装いを多くの方に披露して頂く
 イベントをこれから行うのですが、実はこちらに向かう途中で土砂崩れにより足止めされているそうなんですよ。
 そこで代打で参加して頂ける方を探している次第です」

お願いします、と頭を下げる男に精霊はうげぇと辟易した視線を向ける。
「参加しよう」
え?誰が返事したの?神人さんに決まってるじゃないですか、目の前に困ってる方が居るんだから。
「ほ、本当ですか!?ではこれからサイズ合わせとメイクアップなどもありますので」
いやいやいやなんで話が進んでるの、精霊の選択権はどこにあるの?
「おいちょっと待て」
「だって困ってる人が居るんだから助けないと!女装して人前に出るだけなんだから大丈夫!」
あ、そうか。人前に女装して出るだけだから問題ないのか。なーるほど☆
「……ってそれが嫌なんだって言っているんだろぉぉぉぉぉ!!」
イベリンの中心で精霊の虚しい叫び声が響く。

「あ、大丈夫ですよ。会場内に祝福されたサンタビリアを置いているのでご安心ください。もっと自分を見て欲しいって気持ちが湧いてきますよ!」

一体何を安心すればいいのですかねぇ……(困惑)
かくして、(精霊の意思を無視した)一大ドレスアップイベントへと飛び入り参加することとなった。

解説

観光中においしいお菓子などを食べていたため300Jr消費しております。

目的:精霊に女装をさせてみよう

会場:
O字型のランウェイがあり、中央に観客が入っている状態。
パフォーマンスはその外周を回ってステージで集合する形になります。
最後に神人もステージ上に招いて集合写真を撮るようです。

会場内には祝福された花『サンタビリア』が設置されていて、
見ていると『もっと自分を見て欲しい』と周囲にアピールしたくなるようです。
(内容によってはマスタリングさせて頂くやもしれません)

一応音楽も流れていますが特に効果はございません。
その時々にあったものが流れるようです。

●神人さんへお願い
精霊のドレスアップやメイクアップをお手伝いしてあげてください。
嫌がる精霊を押さえるもよし、ノリノリの精霊と楽しく選ぶもよし!
精霊たちがステージ上にいるときはどんな様子で見ているのかもあると嬉しいです。

●精霊さんへお願い
女装してください。(直球)
神人が選んだものに対してどんな印象や反応でしょうか?
ステージ上でのパフォーマンスもどのようなことがしたいでしょうか、
恥じらう姿で健気に頑張るもよし、ノリノリでパンチラギリギリを攻めるも良しです。

●注意事項
・ジャンル:コメディで色々お察しください。

●その他
・『肉』の1文字を文頭に入れるとアドリブを頑張ります。
・木乃のGMページに気をつけてほしいことを掲載しているので一読頂けると幸いです。

ゲームマスターより

どーも、木乃です。イベントに良さそうな小ネタが湧いたので久々に参加します。
女装はノリノリでも恥じらっても美味しいです。

サンタビリアの花言葉は『切なる喜び』『私を見つめて』だそうです、
見られる快感に切なる喜びを見出しちゃって下さい!

それでは皆さまのご参加をお待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

油屋。(サマエル)

  精霊衣装:暗紺色の長袖のコルセットロングドレス+
     派手なシルバーのネックレスとイヤリング

 メイク:セクシー系。
     アイシャドウ等を使って目を強調
     薄くほお紅・口紅を引いて完成

刺青入りの肌を見せたくない精霊のため
衣装は露出の少ない物を選ぶ。
メイクスキル1使用。冒険せず、出来る範囲で仕上げる

サマエル顔が綺麗だから絶対女の人の格好も似合うと思うんだ
素材(悪魔要素)を崩さず、活かせるような衣装を選ぶ
名前は…あ、サマ江なんてどうかな

そんなに強ばってちゃ出来ないよ…
緊張を解すためだと理由をつけて精霊の弱点である
尻尾を触る

女性姿の精霊が可愛らしくて思わず抱きつく 
記念撮影は満面の笑み



夢路 希望(スノー・ラビット)
 


彼の返事を受けて依頼承諾
ユキの新しい魅力を引き出せるよう、頑張ります…!

衣装、どうしましょうか
…あ
バニーガール、とか(耳を見

ユキは背が高いので、少しセクシーな感じのはどうでしょう?
えっと…これとか
(白色のベビードール風ワンピースを見せ
胸元はチューブトップに詰め物をして
下はパニエでくびれを作って
脚は網タイツ
靴はミドルヒールくらいで
(あればロングの白髪カツラも借りる
※スキル:服装、サブカルチャー

人にメイクするのは初めてです
いつもより真剣
柔らかめの色でふんわりセクシーに
(カツラはゆるく内巻きに
※スキル:メイク

集中している内は羞恥心無く
後々赤面

私よりずっと綺麗です

パフォーマンスは見ててドキドキ


リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
  目的:銀雪を女装させる
心情:困っているみたいだから参加してやれ
手段:
とりあえず、銀雪に似合いそうな服を見繕うか
(銀雪に色々な服を当ててみる)
どれを着てもお前は似合いそうだ
※悪気ない
服を着させたら、メイクアップ…誰かに頼むか
私はこういう舞台に向いた化粧はあまりしたことがないからな
(容赦なく人に頼む)
女装完了したら、「似合ってるぞ」と言ってやろう(気遣い)
そういえば、記念写真撮影があるのだったか
(可能なら男装)
ステージは、精霊の女装状況を見る
銀雪は背丈があるから、浮かなければいいが…
緊張して転ぶのもありえそうだが、どじっこも愛嬌だろう(後、ノリノリを見て可愛いと大笑いを噛み殺す)
記念写真は笑顔


水田 茉莉花(八月一日 智)
 

ほづみさん、成功したら鮒屋の芋ようかん全部食べて良いから
今日買ったアレよアレ!

うーふーふーふー♪
日頃会社の動画配信であたしにメイド服だの何だの着せているしっぺ返しだと思いなさい(一息)

ハートシェイプドの襟ぐりにフレアスリーブの
可愛い系ドレスで、色はオフホワイト
スカートの形はAラインの膝丈なんてどうかなぁ♪

ショートのベールとミニハット、グローブもミニがいいかもね♪

メイクはプロにお任せして、着替えはちゃあんと手伝うわ

わぁ…自分で選んどいてなんだけど似合ってる
違和感なさすぎだわ
あたしも一緒に歩きたかったかも、タキシード着て
そうすれば身長も合うし…
やっぱりちっちゃい方が、ほづみさんも嬉しいのかなぁ?


●上から185cmと185cmと155cmと180cm
「GMはまだなのか!?」
ヒステリックに喚く企画主任の男はGM(ぎゃんかわ☆メンズ)が道中の土砂崩れにより到着が絶望的な事態に怒鳴り散らしていた。
怒鳴ったところでGMが来る訳ではない、GMに遅刻は許されないのだ(戒め)

「主任!代理を勤めて下さる方々を見つけました!」
そんな中、駆け込んできた中年男性はバーコード頭をハゲ散らかしながらやってきた。
後ろに立つのは被害者の会……じゃなかった、協力者達。
油屋。が快諾してしまい強制連行され死んだ魚の目になっているサマエル。
すでにコーディネートを思案しているリーヴェ・アレクシアと呆然としている銀雪・レクアイア。
何故か上機嫌の水田 茉莉花とは対照的に嫌そうなオーラを放出する八月一日 智。
互いに緊張した面持ちで様子を伺う、ある意味一番落ち着いている夢路 希望とスノー・ラビット。

「変更となれど彼らなら大盛り上がり必至です!」
けしかけた中年男は薄髪を振り乱しながら説得する。主任の男も値踏みするように視線を巡らせると大きく頷き……
「面白い、急で申し訳ないが人助けだと思って協力してくれ!」

人助けどころか黒歴史として補完されかねないけど大丈夫か?大丈夫に決まっている。(反語)
被害者4名と神人達はスタッフ協力のもと、準備を開始する。

●劇的メイクアッパー
被害者一同と神人は同室の控え室に収監された。(語弊あり)
華やかなキャバレーのキャストが着るような衣装、プロ仕様のヘアメイク道具に細長いヒールの高い靴まで。
おかしな点があるとしたら明らかに女性サイズじゃない、男性が着ること想定したサイズだ。
……キャバレーに務めるキャスト(漢)と訂正しておこう。
衣装ラックへと向かった神人は早速各々のパートナーに合う衣装を見繕う。

「どれを着てもお前は似合いそうだ」
リーヴェに悪気はない、悪気はないのだが銀雪も男である。185cmもある立派な成人男性なのだ。
なにが悲しくて甘ロリワンピやアイドル風衣装をあてがわれ似合いそうだと言われているのだろうか……
というかチョイスする衣装がことごとく可愛い、プリティ、キュート。
「酷いよ、リーヴェ」
銀雪さんすでに半泣きである、強く生きろ。
(リーヴェの選ぶ服、可愛い系ばかりだけど……俺のこと可愛いと思ってるのかなぁ)
自分がどう見られているのか察してしまい銀雪はしょんぼり。
「化粧を施してもらうのだから泣くな、男なら堂々として見せろ」
一喝して銀雪の背筋をベシン!とはたいたリーヴェはお嬢様風ブレザーを銀雪に持たせる。
「ちゃんと考えているからいくつか試着してみせてくれ」
(その優しさが胸に痛い)
リーヴェに悪気がないことは銀雪が一番よく知っている、銀雪はすごすごと衣装を手に試着スペースに入っていく。

(ユキの新しい魅力を引き出せるように、頑張ります……!)
引き出し方はこれでいいのか!?180cmの無垢な成人男性に新世界が待ち受けているよ、希望さん!
「衣装、どうしましょうか…あ」
視界に入ったのは衣装ラックを興味津々に見ていたスノーのうさぎ耳。
(バニーガール?)
ボディラインが出る独特のスーツに編みタイツを介してさらけ出される美脚。スノーなら似合うだろう……
思案する希望とスノーは視線が合うと菩薩スマイルが向けられ、僕は大丈夫だよと言いたげだ。
(ユキなら本当に着てくれそうだけど…私が恥ずかしくなってしまいそう)
スノーなら希望のチョイスならば抵抗なく着てしまいそうだ、希望は慌ててドレスの掛けられたラック内を探し始める。

「うーふーふーふー♪」
茉莉花は鼻歌まじりに衣装を手に取って小物はどれがいいだろうかと上機嫌に考えている。
「なむみょーほーれんげーきょー……」
智は相変わらずメイク台用の椅子に体育座りして拗ねていた、お経を唱える意味は!?
「ほづみさん、日頃の行いが悪いと思いなさい!成功したら鮒屋の芋ようかんは差し上げますから、ね?」
非協力的な態度に茉莉花は盛大に溜め息を吐きながら叱りつける、と言っても茉莉花も鬼ではない。
とっておきのお菓子を頑張ったご褒美にあげる約束を違える気はない。
「くっそ、ショーが終わったら芋ようかんを全部バターソテーにしてやるからな!」
焼いたところで食べるのは智の気がするのだがいいのだろうか……。
「ほら、さっさとこれを着る!」
「いーやーだぁぁぁぁ……」
茉莉花は衣装を選ぶと智の首根っこをひっつかみ試着室へ強引に連れ込み衣装を着させていく。

油屋はすでにサマエルの格好を決めており、すんなりと見繕うことができた。
「いいじゃん、思った以上に似合ってるよ!」
我ながらいいチョイスをしたと油屋も満足げである。
(くそっ、恥ずかしいのに……!)
「後は胸にメロンでも入れておけばいいのだろう?乳女」
自嘲気味にシニカルな台詞をこぼすサマエルに油屋はご立腹。
「それじゃあ品がない!ちゃんとサマエルに合った着こなしも考えてるんだからね?」
(早瀬が、俺のことを……しかしこれからどんな顔をして外を歩けば良いか)
油屋が自分のことで頭が一杯だと思うとサマエルも嬉しくて仕方がない。大丈夫、本名は出ないから特定対策も安心だよ!!
「背も高くて色も白くて、モデルさんみたいですよ!」
「ここまで綺麗に着こなせる方は早々居ないわよねぇ?」
着付けは油屋が刺青を見せないようにと丁寧に断りを入れているので着用状態しか見ていないが、
衣装選びを手伝ったスタッフもサマエルの艶姿に溜息をこぼして太鼓判を押す。
「そ、そうか?」
「ほら、メイクするから早く座って」
油屋が選んだ衣装を褒められてサマエルも悪い気はせず、僅かに口元が緩む。
仕上げにかかろうとメイクの下準備を確認した油屋がサマエルを呼び寄せる。

***
着々と衣装選びも進んでいき、精霊達は次第に美しく変貌していく。
どのような格好をしているかはまた後ほど☆

「サマエルはこの色が似合いそう」
油屋はサマエルに化粧下地を済ませると、濃いめの紫と薄いグレーのアイシャドウで目元を印象づけていく。
グレーを下地にして紫をのせていくが濃い色は付け過ぎるとけばけばしくなりやすいので慎重に指で瞼にのせていく。
「む、ぬ」
しかしサマエルは眉を寄せたり視線を泳がせたり、落ち着かない様子で細長い尻尾を右往左往に揺らしている。
どうやら至近距離に顔を寄せられていることが気になって仕方がないようだ、
見かねた油屋は揺れ動く尻尾を握り締めるとサマエルは体を跳ね上げる。
「っ!?…おい、早瀬」
「そんなに強ばってちゃ出来ないよ……もっと気になることがあったら緊張しなくて済むでしょ」
油屋はサマエルが顔を顰めるたびに尻尾に触れて眉間のシワをほぐしながらメイクを施していく。

「どうかな、ノゾミさん」
スノーはうっすらと頬を染め柔和な笑みを浮かべながらゆったりとターンしてみせる。
「う、うん、すごく似合ってる…お化粧したら終わりです」
希望も予想以上に可憐なスノーの姿を見て頬に熱が集まる、ちなみに参加者が男性だと分かるように胸パットなどは使用せず。
スノーは希望の対面に腰掛けてメイクを受ける姿勢になる。
(ふんわりとして、セクシーな色で……人にメイクをするのは初めてだから慎重にやらないと)
希望はファンデーションで軽く下地を整えると、アイシャドウの中からチェリーピンクとパステルピンクを選んだ。
スノーの瞳より淡く、濃い2色のピンク色を希望は真剣な表情で色を差していく。
(……いつもこんな風に頑張ってくれてるのかな)
ホントは少し恥ずかしいけれど、ノゾミさんが選んでくれた衣装もお化粧もなにもかも嬉しい。
スノーには視界に映るいつもより真剣な眼差しを向けてくる希望が少し眩しく見えた。

着替えを手伝った茉莉花はなんとも言えない表情で智を見つめていた。
今はメイクスタッフに任せて衣装に合うような化粧を施してもらっているので少し離れた場所にいる。
「なんだよ、みずたまり!おかしいなら笑えばいいだろっ」
完全にヘソを曲げた智は捨て鉢な様子で茉莉花を横目で睨みつける。
「違うわよ、ほづみさん……なんていうか」
「あ?なんだよ」
予想とは違う反応を見せる茉莉花に智は続きを促すと、茉莉花はふいっとそっぽを向いてしまう。
「こーら、動くんじゃない!変なメイクにするぞ?」
茉莉花の表情が気になった智は覗き込もうとしたがスタッフに顎を抑えられて見ることは出来なかった。
(あんまり気にしないようにしてたんだけどなぁ)
視線を逸した茉莉花は大きく溜息を吐いて少しだけ憂鬱になった気分を吐き出した。

「では、仕上げを頼む」
リーヴェもなんとか銀雪に合う衣装を見繕うとメイクを手の空いているスタッフに頼んでいた。
(あぁ、恥ずかしい……弟妹には絶対見せられない)
意外にも一番諦めが悪かった銀雪は受け入れるにはまだ時間がかかるようで心の中でさめざめと涙を流している。
「私はこういう舞台に向いた化粧はあまりしたことがないからな、安心して施術してもらえ」
「……うん」
やり場のない感情が銀雪の胸中に溜まり溜まっているようだが大丈夫なのか!?
メイクはナチュラルでふんわりキュートにまとめられたため直ぐに終わった。
そしてリーヴェの発した第一声は
「似合ってるぞ」
銀雪の心にグランドクラッシャー相当のダメージをぶっぱなした。

●ジャンル・コメディでお察しください
円形のランウェイを頭上から見下ろすように吊り上げられたMC席から開始のアナウンスが流れ出す。
MC席にはスーツにハチマキの男とシルバーのスパンコールドレスを着た女の姿。
「今年もやって参りました女装フェスタ!MCは私、フクトメと女装解説者のイッコさんでお送りします!」
「しくよろ~☆」
解説?解説ナンデ!?この時点で色々おかしくないか。
「GMの皆、来れないから今日は代理が出るんだってぇ?」
「そうなんですよ、ウィンクルムの皆さんが急遽協力してくださることになりました!」
フクトメの一言に観客席から一斉に歓声が上がる、思わぬ特別ゲストの参加に期待は上々。
(意外と人気のあるイベントなのね)
神人達は特別席に通され精霊達の様子を見守ることになった、茉莉花は会場の歓声に感心したように視線を巡らせる。
「期待ブチアゲなんだけどぉ!早く始めなさいよっ」
「それでは早速参りましょう……まず最初は、この貴婦人だッ」
パチン!と指を鳴らすと会場内にクラシックアレンジのアンセムが流れ出す。

現れた姿は、露出を極度に抑えた暗紺色のロングドレスにコルセットでウエストを締め上げたゴシックな装いに
派手な銀細工のネックレスとイヤリングを身につけ、艶やかな紫髪の隙間から短い二本角を覗かせている。
妖艶な貴夫人へと姿を変えたのはサマエルだ。
(散々弄ばれた挙句にこの仕打ちか)
毒づきたい気持ちが抜け切らないサマエル。せめて視線だけでも抗議しておこうかと会場内をゆっくりと見渡して油屋の姿を探す。
ランウェイの側道には小さなヒマワリのようなサンタビリアが会場を彩っている。
「最初から超ハイレベルとかどんだけ~!?角と尻尾を活かしたコーデが魔性の女って感じでヤバたんなんだけどぉ!敢えてボディラインを出してるとことか強めだわぁ」
イッコはサマエルの姿をよく見ようと解説席から覗き込む。
スピーカーから会場内に響くイッコの声に会場からも歓声が上がり始める、一部の愚民の皆様が崇めている気がするけど放置しておこう。
会場内からの歓声と賞賛、そして祝福されたサンタビリアの効果がサマエルに注目される高揚感を漲らせていく。
(これが、祝福の……悪くないな)
クスリ、と紅で濡れた唇に弧を描いて妖しく微笑むサマエルはゆっくりとランウェイを歩き出す。
恥じらいのない毅然とした歩き姿は観衆の視線を釘付けにして独占する。
「堂々とした佇まいから溢れる蠱惑的な魅力、カルト集団も驚きのカリスマを感じるわよぉ!」
悲鳴をあげるイッコの声が会場内に響き渡り、観ていた油屋も静かに目を輝かせている。
(さすが、って感じ……嫌そうな顔してたのにちゃんとこなしてくれてるし)
なにより自分で手がけたサマエルの姿が可愛らしい、着せ替えた自身のドールが褒められているような気持ちだった。
ランウェイからステージに上がる際、サマエルは静かに冷たく見下ろし……視線に射抜かれた愚民は地に伏した。

続いて流れてきた曲は透明感のある女性歌手のポップス。
出てきた人物はゆるい内巻きの白いウィッグにパニエでふくらんだベビードール風の白いワンピースはサマエルと対照的に清楚な印象を受ける。
チューブトップにスカートから覗く網タイツが可愛らしさに色気を添えて、
ストラップシューズを履いているスノーは頬をわずかに染めて小さく笑みを浮かべる。
「あれ、女性が出るとは聞いていないのですが」
「あの肩筋の張り方は細いけどれっきとした男よ!!女の子に見えそうなギリギリまで攻め込んできてる感じがイイわぁ、うさぎのお耳とも合ってて最高にキュートッ!」
動揺するフクトメを一喝するイッコは先程からガタガタと忙しなく立ったり座ったり興奮しきった様子である。
(ノゾミさん、見てくれているかな)
直前まで希望と一緒に考えた立ち振る舞いを見せようとスノーがゆっくりと歩き出す。
「お人形みたい!」「きゃー!」
黄色い歓声がスノーに向けられ手を大きく振る女性たちにスノーも控えめに手を振り返すと、反響するように大きな歓声が響き渡る。
「萌えぇぇぇ」「あぁ~心がぴょこぴょこ跳びはねるんじゃ~!」
なんか違う歓声も聞こえてるけどスルーだスルー、ローアングラーは駆逐すっぞゴルァ!
(すごい、私よりずっと綺麗です……)
希望は観衆の視線を集めるスノーの姿に頬を赤く染めてうっとりと見つめていた。
ステージに上がる直前、スノーは唇の前で人差し指立ててワンピースの裾を摘んでチラリ。
「!?」
スノーの大胆なパフォーマンスに会場内に悲鳴と歓声が響き渡る。
観ていた希望はゆでダコのように顔を真っ赤にしてこっそり顔を伏せた。

続いて聞こえてきたのはウェディングソングのアレンジトランス。
少し遅れてようやく小柄な姿がランウェイ上に現れる。
ハート状の襟ぐりにフレアスリーブ、オフホワイトの可愛らしいAラインのミドルドレスは花嫁を意識したもの。
ミニハットにベールがアクセントされ、ブーケを抱える手もミニグローブで可愛らしくコーディネート。
ヘッドホン状の耳がマキナであることを証明している智は相変わらず不機嫌そうである。
「ジューンブライドに合わせてきたわね、定番は抑えてなんぼよ!惜しむらくはもうちょっとスマイルが欲しいわね~」
イッコもうんうんと何度か頷きながら智の姿を見つめている。
「か、可愛い……!!」「あの強気な目、いいな!」
男性陣の人気が高かったようで先ほどより野太い歓声が上がり始める。
(あ、アレ?なんか俺、ウケてる?)
智は思ったよりも観客のウケが良いように感じられ、祝福された花の効果なのか悪い気はせずもっと視線を集めたくなってくる。
(そうなるとアレだな、野郎のドリー夢は壊せねぇよな♪)
智は持っていたブーケで顔を隠し恥じらう仕草を見せると観客からさらに歓声が上がり、
続けてくるりと一回転してふわりと浮かぶスカートの裾をつまんでご挨拶。
「なによ、結局ノリノリでやってるじゃない」
頬杖をついて眺めていた茉莉花は智が一転して機嫌を良くしていることがなんとなく解り複雑な表情を浮かべていた。
(自分で選んどいてなんだけど似合ってるのよね、違和感なさすぎだわ)
見つめる先には内股を意識してしずしずとランウェイを歩いていく智の姿、遠目で見ていると小柄な容姿のせいで男性とは解りづらい。
(あたしも一緒に歩きたかったかも、タキシード着て……でもそれだと私が男役になっちゃうし)
自分が智にどう見られたいのか少しだけ解らなくなっていると、智はステージ間際で振り返りざまにブーケから覗き込むように笑みを浮かべる。
照れたような仕草がグッと男心を掴み、茉莉花の複雑な気分もつついていた。

最後に流れ始めたのは
『それじゃあみんな!いっくよー☆』
アップテンポなアニソンである、日曜の早朝にやってそうなアレ。
出てきたのはピンクを主体にした半袖のパフスリーブに分厚いパニエを仕込んだフリルのエプロンドレス姿。
ハートをモチーフにした細長いステッキを持っていて付け袖がより可愛らしさを演出している。
恥らいながら登場した魔法少女(♂)の銀雪は熱狂する観客達に気圧されながら周囲に視線を向ける。
(リーヴェも何処かから見てるんだよね)
そのとき、銀雪の脳裏にリーヴェの言葉が思い出される。
『男なら堂々として見せろ』
(そうだ。俺は男なんだから堂々と、堂々と)
先ほど受けた精神的ダメージが銀雪の背中をもの凄い勢いで後押しした、もう衝突事故のレベルで。
銀雪は大きく息を吸い込むとステッキをバトンのように振り回す。
「愛と希望と未来の魔法少女、ジィルヴァシュネー! 皆、応援よろしくね☆」
裏声でピースサインから覗くポーズまでバッチリ決めていく銀雪に会場内の大きいお友達族が反応を示す。
「ジルたそー!俺だー!」「生足魅惑の魔法少女ぉぉぉぉ!!」
なんか色々カオティックな様相を呈してるけど当局は一切関知しません、しないから!!
「皆ありがとー♪」
踊るようにスキップしながらランウェイを進んでいく銀雪のブッ飛んだ姿にリーヴェは腹筋崩壊。
「か、可愛い……」
とリーヴェは酷いギャップにも関わらずガッツリ男前に受け止めている。
もう一度視線を上げると
「きゃっ!」
脚同士を引っ掛けてしまい転んでしまった銀雪の姿が視界に入る。大丈夫、魔法少女はパンチラしない!!
「ぐふっ」
懸命に大笑いしたい衝動を抑えているリーヴェだが腹筋が引きつってそれどころではない。
「えへっ☆」
銀雪の頭をコツンと叩いてごまかす仕草がリーヴェの腹筋に止めを刺した。

●証拠写真
ステージの精霊のもとへフクトメとイッコも姿を現す。
「見事な美貌ですね、本日ご協力頂いた神人の皆さんにもステージにお越し下さい」
フクトメのコールに油屋達もステージ上へと招かれていく。
「ナイスコーデよ、飛び入りって聞いてたけど予想以上でイッコ大満足!」
「では、恒例の記念撮影タイムと行きましょう」
メタなこと言うとアイテム発行などはないのでご了承ください。(筆者より)

「ノゾミさん、どうだったかな?」
スノーはふんわりと笑みを浮かべると希望に感想を求めた。
希望は先ほどの大胆なパフォーマンスを思い出してしどろもどろ。
「…とても、綺麗でした」
小さく呟くことしか出来なかったがスノーは満足げである。

「サマエルすっごい可愛かったよ!」
がばっと抱きついてきた油屋をサマエルは慌てて抱き留める。
(早瀬がこんなに積極だと……女同士はこれが普通なのか)
悪い気はしない、しかし男として見られないのかと思うとサマエルは複雑だった。

(やっぱりちっちゃい方が、ほづみさんも嬉しいのかなぁ?)
もやもやした気持ちが募る茉莉花の視線が智の視線と交わる。
「みずたまり、なんか元気ない?」
智の首を傾げる仕草すらも可愛く見えてしまい、茉莉花は少しだけ悔しい。
「……なんでもない」

「く、ふ…ぎ、銀雪…」
悪いと思いつつもリーヴェは笑いが堪えきれず未だに口元から手が離れない。
精神的ダメージも高揚感で吹き飛んでいた銀雪は『一筋の光』ばりの強烈な一撃に羞恥で顔を覆ってしまった。
「泣くな、充分可愛かったぞ……くふっ!」
見事な追撃による銀雪へのダメージも入った。

「それじゃあ撮りますよ」
カメラマンの後ろに待機したフクトメが声をかけると8人はカメラの前に並ぶ
満面の笑みを浮かべる者、羞恥で顔を赤くする者、少し複雑そうな表情を浮かべる者。
十人十色の表情がカメラに収められた。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 越智さゆり  )


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 3 ~ 4
報酬 なし
リリース日 06月18日
出発日 06月24日 00:00
予定納品日 07月04日

参加者

会議室

  • [6]水田 茉莉花

    2015/06/23-23:44 

  • 皆…頑張ろうね(めそめそ)
    え、俺、これ着るの?
    (魔法少女っぽい衣装)

  • [4]夢路 希望

    2015/06/21-04:00 

  • [3]水田 茉莉花

    2015/06/21-03:00 

    犠牲者第三号、八月一日智でっす・・・。

    コレはなにかっ、おれがちっこいから放り込まれたのかっコンチクショーイ!
    もういいっす、ヤケ起こして出てやる!

  • …こんにちは、被害者第2号の銀雪だよ。
    ひどいよ、リーヴェ、うっうっ。
    でも、リーヴェの期待に応えて、俺は頑張るから、よろしくね…。

  • [1]油屋。

    2015/06/21-00:46 

    皆様こんにちは、被害者第一号・サマエルと油屋でございます。
    どうぞ宜しくお願い致します。
    ……こうなったら自棄です。
    かいじょうのみなさまにわたくしのせくしーじょそうをみせてやるぜー!!(バリバリ


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