プロローグ
【クレイアニメ体験講座のお誘い】
春の暖かさに包まれる中、ウィンクルムの皆様はいかがお過ごしでしょうか。このたび、タブロス市内にて「みんなで手づくり工房」という店舗を立ち上げました。代表のメルカティスと申します。当工房ではぬいぐるみやアクセサリーなど、自分たちの手で作っていく楽しさを伝えていけるように精進してまいります。
さて、その一環といたしまして、クレイアニメの体験講座を開催いたします。クレイアニメとは主に粘土を材料にして登場人物や背景を作り、1コマずつ撮影したものを繋げることでアニメーションにするというものです。手間の掛かる手法ですが、表現方法も多彩で奥深いものです。今回は体験講座ですのであまり難しい部分には触れず、どなたでも参加できる構成となっております。シナリオは動物たちが森で過ごす日常をテーマにしたものを予定しています。
登場人物を粘土や針金で作る「人形担当」、小さめのガレージ(※登場人物を動かす舞台)を制作する「背景担当」、それらを活用しながら1コマずつカメラに収める「撮影担当」。参加を希望されるウィンクルムはこの3つの中から1つを選んでください。「粘土で人形や背景を作ったことがない」「カメラの扱いは不慣れ」といった方もご安心ください。どの部門にもスタッフが付いてサポートいたします。
当日の流れは以下のようになっております。
1、人形制作&背景制作
2、休憩及び昼食
3、撮影開始&終了
4、鑑賞会
5、解散
当工房には厨房が備わっていないため、申し訳ありませんが昼食は各自で持参してください。皆様の参加を心よりお待ちしております。
解説
参加費:500jr
プランに『3つのうち、どの部門に参加するか』を書いてください。
それぞれの内容は以下の通りです。各担当ごとで必要な項目をプランにお願いします。
・人形担当
物語に登場させる動物を『2体』お願いします。森の中に居ても不自然でない動物をお願いします。ガレージの性質上、実際は大きな動物でも制作時は小さくなりますのでご了承ください。撮影中は手が空きますので、鑑賞会の会場作りを手伝ってください。
・背景担当
「森をメインとしたガレージ」を作ります。その森のデザインをお願いします。デザインといっても「川が流れている」「赤い花が咲いている」といった感じで大丈夫です。撮影中は手が空きますので、鑑賞会の会場作りを手伝ってください。
・撮影担当
人形や背景を作っている間にスタッフからカメラの使い方や撮影の方法をレクチャーしてもらいます。休憩を挟んだ後、実際に撮影に取り掛かります。撮影したものから必要な分を選んで1つの映像にします。
●共通項目
・昼食について
手作りを持参してもいいですし、工房に来る前にどこかで買ってきても構いません。
・プラン内容
制作時のやりとりや、鑑賞会後の感想など。ウィンクルムの発言や行動をプランにお願いします。
ゲームマスターより
星織遥です。
小さい頃からクレイアニメはよく見ていましたが
皆さんはどうでしょうか。
少しでも面白さが伝わったら嬉しいなと思います。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
【人形担当】 面白そうです 動物なら得意分野なので人形を作ってみますね 森にいそうな動物というと鳥…でしょうか 後は何にしよう ディエゴさんにリクエストを聞いてみます 馬……ディエゴさん、私に気を遣いましたね? ふふ、でも良いです、つくりますよ。 制作途中にディエゴさんに人形を見せてみます リクエストの馬は青鹿毛で目が金色なんです わかりました?モデルはディエゴさんですよ ……馬と鳥じゃなくて、馬2体にしますね、もう1体は佐目毛にします。 昼食の買い出しのついでに皆さんに差し入れを買ってきます こういうのって集中力が必要みたいですし、甘いお菓子をうんと買ってきますね。 皆さんで食べてください。 【使用スキル】 動物学 |
上巳 桃(斑雪)
私達はお人形担当 じゃ、はーちゃんと私ので姉弟の栗鼠さんにしよっか はーちゃん上手だねー 私は、もうさっぱりだ 尻尾のおっきな熊みたい でも、その方がお姉さんっぽいかな? 何かちょっと物足りないから、栗鼠さん達のご飯のドングリも作ってみたり はい、はーちゃん、どうぞ さーて、次は会場作りだ 椅子を並べればいいのかな そんでクッションを…Zzzz←ちょっと疲れた はっ 気付いたらもう鑑賞タイムだ おおー(拍手)なんとかなるもんだね これって記念に写真撮ってもいい? 折角みんなで頑張ったんだから、何か残しておきたいな 昼食はおにぎりだよ 私が握ってきたの、おかかと梅干しと 形はイマイチだけど、おにぎりだからそれほど不味くないと思うよ |
桜倉 歌菜(月成 羽純)
撮影担当 クレイアニメって、温かさに満ちてて、凄く親しみを感じるんですっ それを自分の手で作れるなんて素敵♪ 頑張ろうね、羽純くん! 瑞希さん達と一緒にカメラの使い方や撮影の方法を教えて貰おう メモを取りつつ、分からない所は質問 カメラって結構重いな…落とさないようにしないと 支えてくれる羽純くんの手が頼もしくてドキッ 二人なら上手くいくね 昼食は手作りお弁当を サンドイッチ、魔法瓶に紅茶 これだとホラ、メモに取った内容を確認しながら食べられるでしょ? 作るからには良いものにしたいから時間が勿体無くって …あ、味気なかったかな?(心配 うん、がんばろ!(嬉 皆で交代でシャッターを切りたい 一瞬を大事に 繋ぎ合わせた映像に感動 |
菫 離々(蓮)
どのような媒体であれお話作りに参加できるのは楽しみです ◆背景担当 平面にしろ立体にしろ丁寧な仕事を心掛けます 森のデザインですね まず赤い川を流しま……はい、何でしょうハチさん 水色、ですか? ええ、そちらがお好みでしたら。 あとは木々とお花。川には岩を飛び石のように配置して。 どんな動物でも川を渡れるようにしましょう ハチさんの注文が多い気がしますが 皆で作成する物ですしアドバイスはちゃんとお聞きします ◆昼食 ハチさんにお任せしてしまいました 美味しいですよ? ハチさんの作る玉子焼きは甘いのですね ◆完成 皆さん、すごいです。お疲れさまでした 普段作品を見ても背景に注目することは少ないので そういった意味でも良い機会でした |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
こういうことは初体験です。 午前中に機材の事や、撮影の注意点をスタッフさんにしっかり聞きます。 ひとコマずつ撮影するから、色々と手間と時間がかかるんでしょ? なら事前にしっかり打ち合わせしなきゃ。 昼食は市内のパン屋さんでサンドイッチを買ってきました。美味しいと評判のお店だったので。 サラダは自作。デザートは林檎を兎さんに。 飲み物は牛乳で。 撮影は何もかもが新鮮です。 順番にシャッター押しますね。これでいいのかな?大丈夫かな?撮り直しとか大変なんですよね?(自信ない) 今まで何気なく見てましたけど、撮影って色々と大変ですね。 完成作品見てこんな動きになるなんて、と更に新鮮な驚き。意外性もあって楽しいです。 |
●クレイアニメ体験講座
ウィンクルム達はタブロス市内を歩きながら目的地を目指す。ほどなくして『みんなで手づくり工房』という看板を掲げた建物に到着した。
「この度は当工房にお越し頂きありがとうございます」
メルカティスと名乗る女性とそのスタッフと思われる面々が、ウィンクルムの一同に頭を下げながら挨拶をする。
「本日はクレイアニメの体験講座となっております。こちらの用紙にお名前と希望される担当をご記入ください」
そう言いながらメルカティスは1枚の紙を手渡す。それらを受け取り、一同は希望を記入する。『ハロルド』と『ディエゴ・ルナ・クィンテロ』、『上巳 桃』と『斑雪』の2組は人形担当。『菫 離々』と『蓮』は背景担当。『瀬谷 瑞希』と『フェルン・ミュラー』、『桜倉 歌菜』と『月成 羽純』の2組は撮影担当。それぞれの希望を提出し、メルカティスの案内されるままに工房の奥へと進んでいく。
●人形作り
人形担当のハロルド達が案内されたスペースには、作業台とスタッフが作ったと思われる人形、資料となる写真集などが置かれていた。
「こちらの資料は自由に使ってもらって構いません。皆さんには動物を2体作って頂きます。同じ動物でも構いませんよ」
スタッフがそう話すと、2組は教えてもらいながらそれぞれ作業に入る。
「拙者、この前テレビでクレイアニメ見ました。パタパタ動いて面白かったです。お人形作り楽しそうです」
斑雪は腕を小さく振って、その様子を表現する。それを見て、桃も楽しそうに感じた。
「楽しそうだねー。あ、動物ははーちゃんが決めていいよ」
「拙者が決めていいんですか?ではリスさんがいいです。故郷の里でいっぱい見たことあります。主様と拙者で1体ずつ作りましょう」
「じゃ、はーちゃんと私ので姉弟のリスさんにしよっか」
「わーい!姉弟ならずっと一緒に仲良くできますね!」
動物が決まったところで、早速粘土と針金で作り始める。徐々に形になるにつれ、2人の器用さに違いがあるのが分かってきた。
「はーちゃん上手だねー。私は、もうさっぱりだ」
「拙者も粘土はそんなに得意じゃないですけど……でも、こねこねするのは好きです」
「私のは……尻尾のおっきな熊みたい。でも、その方がお姉さんっぽいかな?何かちょっと物足りないから、リスさん達のご飯のドングリも作ってみたり?」
「主様のリスのご飯は拙者が作りますっ!」
終始、和気藹々といった雰囲気でリスの制作に励む2人だった。
ハロルド達もまずは作る動物を選んでいた。
「人形作り、面白そうです。動物なら得意分野ですし。森に居そうな動物……鳥、でしょうか。あとは……ディエゴさん、何かリクエストはありますか?」
「リクエストといっても、すぐにこれというのは……」
少し考える素振りを見せるディエゴ。ふと、ハロルドが動物の中で馬が一番好きなのを思い出す。
「……あ、そうだ。馬を作ってくれ」
「馬……ディエゴさん、私に気を遣いましたね?」
どうやらハロルドに気付かれてしまったようだ。ディエゴはそっと目線を逸らす。
「ふふ、でも良いです。作りますよ」
しかし気に留める様子もなく、ハロルド達はスタッフから助言をもらいながら作業を進める。ただの粘土が徐々に馬に近づいていく。細部を調整して色を塗ると、ハロルドはディエゴに見せた。
「どうですか、ディエゴさん?」
「黒の毛並みに金色の目、俺と同じだな。もしかして……」
「わかりました?モデルはディエゴさんですよ」
「そう……なら、パートナーがいないと駄目……なんじゃないのか」
少々気恥ずかしい空気が流れた。その空気を吸い込み、ハロルドが答える。
「……馬と鳥じゃなくて、馬2体にしますね。もう1体は佐目毛にします」
なぜ佐目毛なのか。お互いに確認するまでもなかった。
●背景作り
「どのような媒体であれ、お話作りに参加できるのは楽しみです」
(お嬢との共同作業は嬉しいんですが、若干不安が。お嬢の作品は漏れなくホラーテイストなんですよ……)
嬉しそうに歩く離々とやや不安げな蓮。2人はスタッフに案内されて背景用の作業スペースへとやってきた。広めのスペースに様々な道具が置かれている。2人が作業場に見惚れていると、スタッフが背景に関する説明を始めた。クレイアニメでは背景のことはガレージと呼ばれている事。今回は動物が登場する森を作る事。おおまかな説明だけ済ませると、実際に触るほうが分かりやすいと2人を作業台の前に移動させる。そして、まずは森のイメージを考えましょう、と言ってスケッチブックと色鉛筆をそれぞれに手渡した。
(デザイン……って言われても絵心なんざ持ち合わせてないので大まかなデザインはお嬢に任せて……)
蓮は白紙のスケッチブックを抱えながら、隣で色鉛筆を走らせる離々に目を向ける。
「森のデザインですね。まず赤い川を流しま……」
(……っていきなり森が大惨事ィ!)
「お嬢、待ってください」
「はい、何でしょうハチさん」
内心慌てつつ、動揺を伝えないように離々の筆を止める蓮。その姿をきょとんとした様子で見つめる離々。
「えーと、川は水色でいきましょう」
「水色、ですか?」
「はい」
「分かりました。そちらがお好みでしたら」
そう返事をした離々はスケッチブックの川を赤色から水色に修正する。
「あとは木々とお花、川には岩を飛び石のように配置して、どんな動物でも川を渡れるようにしましょう」
次々と書き加えられていく背景。しかし、木の虚にはまるで顔が浮かび上がるように見え、岩は崖と呼ぶほうが正しい。蓮はそれらにアドバイスを加えながら全体の形をまとめていく。離々は蓮の注文の多さに少々不満気味だが、全員で作成するものだと考え、それらを取り入れていく。背景のデザインが決まり、それをスタッフに渡すと、必要な粘土や絵の具を棚から取り出す。スタッフの協力を得ながら、スケッチブックを傍らに2人はガレージ作りを進めた。
●撮影練習
人形担当と背景担当が作業を進めている間に、瑞希とミュラー、歌菜と羽純の2組は撮影の仕方をレクチャーしてもらうことに。
「こういうことは初体験です」
「俺達、絵心無いから人形や背景は無理だしな」
「だからこそ機材の事や、撮影の注意などしっかり聞かないと」
ミュラーの苦笑いを打ち消すように答える瑞希。
「クレイアニメって、温かさに満ちてて、凄く親しみを感じるんです。それを自分の手で作れるなんて素敵♪頑張ろうね、羽純くん!」
「ああ。しかし……一体どれくらい撮影するんだろうな」
重労働を覚悟していた羽純だったが、歌菜のやる気に満ちた表情に自分も頑張らないといけないと気を引き締める。
スタッフはカメラと三脚を用意すると見本として置かれているガレージと人形を使って説明を始める。見本のガレージには凹凸が無く、黒と白の四角が交互に配置されている。スタッフはカメラの基本的な使い方だけ説明すると、まずは自由に撮影してください、と2つのセットを前にして2組に促した。
瑞希とミュラーは三脚にカメラを固定すると、人形を動かしながら1コマずつ撮影する。ある程度撮ったところで画像を確認すると、一応動いているように感じるが、どこかぎこちない。そこでスタッフから、より滑らかにする人形の配置方法や、カメラの位置、ライトの当て方などのアドバイスを受けた。改めて撮影の難しさを実感する2人。
「本番はきっと今よりも手間と時間が掛かるんでしょ?なら事前にしっかり打ち合わせしなきゃ」
「そうだね」
そんな事を言い合いながら、カメラと再び格闘を始める。
一方、歌菜と羽純も同様に苦戦していた。撮影した画像を確認すると、やはり動きがぎこちない。スタッフからアドバイスを受け、歌菜はそれをメモにまとめていく。分からない所は質問して言葉のキャッチボールを繰り返す。
「ちょっとカメラの位置を変えてみようか……」
歌菜はアドバイスを受けてカメラの場所を変えようとそれを持ち上げる。しかしその重さに思わずバランスが崩れた。それに気付いた羽純がそっと歌菜を支える。
「歌菜、無理するな。重いものは一緒に持てばいい」
歌菜はその優しい言葉と自身を支える羽純の手が頼もしくて思わずドキッとした。同時にきっと2人なら上手くいくと心の中で思った。
●昼食
メルカティスは全体の進行を確認すると、区切りの良い所で休憩も兼ねて昼食の時間にしましょう、と提案した。各自が席に着こうとしたところでハロルドが切り出す。
「こちら差し入れです。甘いお菓子を買ってきました。こういうのって集中力が必要みたいですし、皆さんで食べてください」
ハロルドの気遣いに一同はお礼を述べながら、お菓子をもらっていく。和やかな空気から昼食会は始まった。
瑞希とミュラーは席に着くと、工房に来る途中で買ったサンドイッチに自作のサラダ、兎の形に切った林檎をテーブルに広げる。
「このサンドイッチ楽しみ。美味しいと評判のお店だったから」
「そうだな。お、リンゴを兎にしてくるなんて、巧くなったじゃん」
ミュラーは素直な気持ちを込めて瑞希を褒める。瑞希は嬉しそうに微笑みを返す。評判のサンドイッチを楽しむ2人。ふと、ミュラーはコーヒーを飲みながら瑞希を見る。
「ん?そういえば瑞希は最近牛乳派だな?」
そっと誤魔化す瑞希に首を傾げるミュラー。しかし深く気に留めることなく食事を進めた。
離々と蓮のテーブルには蓮が作ったおにぎり、から揚げ、玉子焼きが並ぶ。
「すみません。俺作ったんですけどこんな物で……」
「こんな物だなんて。美味しいですよ?ハチさんの作る玉子焼きは甘いのですね」
「玉子焼きって甘くないのもあるんですか?」
「ええ」
何気ないやりとり。けれど、どこか温かみの感じる風景だった。
手作りのサンドイッチに魔法瓶から注がれた紅茶が並ぶのは歌菜と羽純のテーブル。
「お昼はサンドイッチか」
「これだとホラ、メモに取った内容を確認しながら食べられるでしょ?作るからには良いものにしたいから時間が勿体無くって。……あ、味気なかったかな?」
心配そうに羽純の顔を見る歌菜。すると羽純はサンドイッチを1つ取って口に運ぶ。
「……いや、美味いし。俺だって歌菜と同じ気持ちだ。良い作品にしような」
そういいながら歌菜の頭をぽんぽんと軽く撫でる。
「うん、がんばろ!」
(こんな事に一生懸命になれるのは、歌菜が一緒だから、だな)
2人は口にサンドイッチを運びつつ、前半に受けたレクチャーを振り返りながら話し合った。
桃と斑雪のテーブルには少し形の崩れたおにぎりと冷たいお茶。
「昼食はおにぎりだよ。私が握ってきたの。おかかと梅干し。形はイマイチだけど、おにぎりだからそれほど不味くないと思うよ」
「主様お昼ありがとうございます。えへへー、拙者は冷たいお茶を持ってきましたよー」
2人は仲良くおにぎりとお茶を口に運ぶ。とても楽しそうに話しながら食べる姿は、おにぎりの形が崩れていることなど、とても些細なものだと思わせる雰囲気を持っていた。
●昼食を終えて
和やかな昼食会も終わり、作業は後半戦へと入る。瑞希とミュラー、歌菜と羽純の2組は、前半に他の3組が制作した人形やガレージを確認する。
人形は青鹿毛の馬と佐目毛の馬が1体ずつ。それと2体のリスで、一方の背丈が少し高い。馬はパートナー同士、リスは姉弟で背の高いほうが姉だという。背景は森をベースに水色の川が流れ、その河原には大小さまざまな丸い石が点在している。これらを利用すれば川を渡る風景を描写するのも問題なさそうだ。スタッフの提案で、今回は撮影担当が2組いるのでそれぞれで撮影して、出来た画像から取捨選択して映像にすることに。スタッフいわく、これによってカメラワークの演出が可能になるという。まずおおまかなシナリオをスタッフが考えて、それに対して撮影組が思ったことを提案する。それらをまとめていき、絵コンテを作成する。シナリオを補佐する形でスタッフの作成した犬も加わった。そして、いざ撮影が開始された。
「これでいいのかな?大丈夫かな?撮り直しとか大変なんですよね……?」
瑞希は自信のない声でスタッフと会話する。前半で練習したとはいえ、あれはあくまで練習用のガレージ。今目の前にしているガレージは凹凸があり、影のつき方も気をつけなくてはいけない。前半以上に神経を尖らせながら撮影を続ける。
「今まで何気なく見てましたけど、撮影って色々と大変なんですね」
「予想以上にコマ数も多くなりそうだな……」
瑞希の不安をミュラーも同様に感じていた。それでも一生懸命シャッターを切る2人の姿がそこにはあった。
歌菜と羽純も瑞希たち同様、撮影に悪戦苦闘していた。カメラを移動させるときは羽純が率先して慎重に動かし、歌菜はシャッターを真剣な眼差しで切る。羽純も集中して1枚1枚大事にカメラに収めていく。苦戦続きの2人だったが、カメラ越しの粘土が形作る世界に、気がつけば夢中になっていた。
一方その頃、人形担当のハロルドとディエゴ、桃と斑雪。背景担当の離々と蓮。3組は瑞希や歌菜たちが撮影している間に、鑑賞会をするためのスペース作りに励んでいた。工房内は大き目のテーブルや作業台、道具類や参考資料などで占められている。あくまで作るための場所なので、上映などは想定されていない。そのため、これらを移動して上映できるスペースを確保する必要がある。ディエゴや蓮が率先し、それを手伝う形で他の面々も行動する。重いテーブルを端へ移動したり、床をほうきで掃除したり。
「椅子を並べればいいのかな。そんでクッションを……」
思わず眠りそうになる桃に気付き、慌てて声を掛ける斑雪。ハロルドはディエゴとともに会場の設営に勤しむ。
「力仕事はお任せを。お嬢は片付け程度で大丈夫です」
と、蓮は胸を張って離々に伝えるとテーブルなどを運んでいく。そんな面々の努力の甲斐あって鑑賞会の準備は着々と進んでいく。十分な広さを確保したところで、メルカティスやスタッフ達が上映用のスクリーンとカメラ、その他必要な機材を整えていく。専門的な作業は手伝えないので、一同は静かに椅子に座ってアニメーションの完成を待つことに。
●いよいよ鑑賞会
瑞希たちが作業場から鑑賞会の会場へと移動してきた。その手には完成したと思われる映像のフィルムが握られていた。それをスタッフに手渡すと早速設置しておいた機械に入れて再生する。
映像の冒頭で現れたのは離々と蓮が作ったガレージ。木が茂り、川が流れ、石が点在する。動物達の日常を描くにはまさにうってつけの森。そこに現れた動物たち。ハロルドとディエゴが作った馬に、桃と斑雪が作ったリス。共通の仲間として犬が登場し、物語が進んでいく。川で戯れる2体の馬は、その毛並みをまるでなびかせるように駆ける。一方リスは木のそばで仲睦まじく過ごす様子が描かれている。瑞希とミュラーが撮ったコマ、歌菜と羽純が撮ったコマ。それぞれの視点の違いがうまく織り込まれて動物達の動きに繊細さや壮大さを与えている。
映像が終わると、会場は大きな拍手に包まれた。
「皆さんどうでしたか?」
メルカティスは一同に感想を促す。撮影担当の瑞希とミュラーはこう答えた。
「完成作品だとこんな風に動くんだ……って新鮮。意外性もあって楽しいです」
「予想より大変でした。作品への見る目が変わるね……色々と楽しかったです」
同じく撮影を担当した歌菜と羽純は
「自分達の撮ったものが、繋ぎ合わせて1つの映像になって感動しました」
と率直に気持ちを伝えた。
「クレイアニメというのは初めて見るが大変な作業を経ているんだな……と。良いものを見せてもらった気がします」
ハロルドとディエゴは互いに頷きながら、そう答えた。
「すごいすごい!拙者達のお人形がちゃんと動いてますよ!撮影の人達が頑張ってくださったからですね!背景の人達もお疲れ様です!」
興奮冷めやらぬといった様子の斑雪と、なんとかなるもんだねー、と感心した様子の桃。
背景の森を担当した離々と蓮は
「皆さん、すごいです。お疲れ様でした。普段作品を見ても背景に注目することは少ないので、そういった意味でも良い機会でした」
「あれがこうなりますか、って感じました。目立たないけど良い仕事って素敵ですよね」
とコメントした。
鑑賞会が終わり、後片付け。テーブルや椅子を元の場所に戻して道具類も整理していく。そのなかでスタッフからカメラを借りて、人形やガレージなど記念に何枚も写真に収める。片付けも終わり一段落したところで解散の流れとなった。
工房から出て行くウィンクルム達を、メルカティスとスタッフが見送る。彼女達は一同に向けて、その姿が見えなくなるまで手を振っていた。
「またのお越しをお待ちしております」
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 星織遥 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 05月03日 |
出発日 | 05月11日 00:00 |
予定納品日 | 05月21日 |
参加者
会議室
-
2015/05/10-23:05
-
2015/05/10-23:04
蓮:
おお。歌菜嬢はまとめありがとうございます。
背景が自分達だけなんで上手く皆さんとテイストを合わせられるよう
いろいろ口出ししました。ホラーにはなってないはずです。
当日楽しく頑張りましょうね。 -
2015/05/10-22:18
ちなお人形は栗鼠さんで提出しました。
-
2015/05/10-22:18
-
2015/05/10-00:22
わーい!瑞希さんとミュラーさん、是非是非一緒に撮影しましょうっ♪
私も羽純くんもど素人なので、スタッフさんにいっぱい教わりながら、がんばりましょうね!
折角なので、皆で順番にシャッター切ったりしたいなって思いました。
必要ないかなと思いましたが、今迄出た希望で、担当を纏めておきますね!
・人形担当 :ハロルドさんとディエゴさん、桃さんと斑雪さん
・背景担当 :離々さんと蓮さん
・撮影担当 :瑞希さんとミュラーさん、歌菜と羽純 -
2015/05/09-06:05
遅ればせながらおっじゃましまーす。
上巳桃と斑雪です。お久しぶりの方も初めましての方も、よろしくです。
んじゃ、私たちは人形係にいっていい?
はーちゃんがそっちに興味ありそうだし、撮影だと私はたぶん途中で寝る()
1組2体の人形を作ればいいのかな。 -
2015/05/09-03:02
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはファータのミュラーさんです。
皆さま、よろしくお願いいたします。
こういう事には疎いのですが、
撮影のお手伝いをさせていただいても良いでしょうか。
写真とか映像とか、全然解らない素人ですけれど…。
-
2015/05/08-01:06
あらためまして、桜倉歌菜と申します!
パートナーは羽純くんです。
皆様、宜しくお願いいたします♪
クレイアニメ、わくわくしますっ!
私と羽純くんは、「撮影担当」で動くつもりです。
担当被りも大歓迎なのです♪
お昼はお弁当を作っていこうかなと! -
2015/05/08-00:01
蓮:
スタッフやNPCでフォローして頂ける感じですかね。
それぞれご希望もおありでしょうし、差し出がましいことを言って
申し訳ありません。
うちは背景の方に向かっておきます。
どんな作品になるか楽しみです。 -
2015/05/07-12:56
スタッフがサポートと書いてあるので、人がいなければその担当にはスタッフが入るのかなとか思ってました…
希望としてはこちらは人形担当ですね -
2015/05/07-02:28
蓮:
こんばんは。
スミレ・リリ嬢と、自分はハチスといいます。
よろしくお願いしますね。
クレイアニメ制作は初めて。粘土に触れるのも久し振りです。
人形、背景、撮影と。これは分担分けした方がよいでしょうか?
各部門に最低一組は必要なのかなと思いましたが。
いちおう希望として。
背景か撮影がやりたいと思ってます。
うちのお嬢の美意識がちょっとアレなもんで
人形担当させたらホラーになりかねない……。 -
2015/05/07-00:52
-
2015/05/06-19:02