【白昼夢】デレデレのアイツ……だと!?(あき缶 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●フィヨルネイジャ探訪
 天空に浮かぶフィヨルネイジャに君たちは降り立った。
 柔らかな日差しを受けてきらめく芝生に、小川、そして立派な一本の大樹。
 春ののどかな一日を楽しんでいた君たちは、ふいに湧いてきた霧に巻き込まれる。
 霧は一寸先すら見せてくれぬほどに濃く、君は一瞬ぞっとした。
 だがすぐに暖かな風が霧を拭い去っていく。
「なんだったんだ?」
 首を傾げた君は、目の前の光景に驚愕した。
「なっ……二人?!」
 パートナーがもう一人いた。ドッペルゲンガーといえばいいのだろうか。見た目は全くおんなじで、どちらがホンモノなのか全く分からない。
 戸惑う君に、片方のパートナーはニッコリと笑うと、パッと飛びつきギュウときつく抱きしめてきた。
「!?」
 君も驚いたが、もう片方のパートナーも驚いている。
「何するんだよ!?」
「大好きだー!!」
 どうも、パートナーのコピーは君にデレデレなようだ。好意を隠しもせずベタベタとくっついてくる。
 これがフィヨルネイジャの『不思議な現象』なのだろうか。
「ちょっ……」
「離れろよ、俺の顔でそんな恥ずかしいことすんなー!」
 ようやく我に返ったパートナーが、慌てて分身を止めようとするが、分身はひらひらとパートナーの妨害を避けて、君にまとわりつく。
「やーだよっ。わーい、大好きーっ、ちゅっちゅ!」
 君とパートナーとその分身とのドタバタ劇が始まった。

解説

●内容:どちらかのコピーがめちゃくちゃデレデレしてくる

●フィヨルネイジャの不思議な現象
 コピーは、記憶も外見も全く同じですが、親密度がものすごく高い状態で、恥ずかしいことも平気でしてきます。(エロいことはしません)
 溺愛故に、性格はコピーしきれていない部分があります。(シャイとかツンとかの部分は消えています)
 小一時間でコピーは消滅します。

 他のウィンクルムと鉢合わせはしません。

●注意
 どちらのコピーが現れるのか明記してください。
 コピーはどちらか一人分だけです。

●ジェール消費
 フィヨルネイジャに向かうための準備などで400jr消費します。

ゲームマスターより

お世話になっております。あき缶でございます。
不思議な天空の島で、不思議な体験をしましょう。

めっちゃデレる自分を見て嫉妬するも、ドン引くも、将来図を予想するも自由ですし、
めっちゃデレるパートナーに困るも、キモがるも、ホンモノのパートナーに魅せつけるも自由です。

親密度激高なパートナーってどんなんだろうね!?

リザルトノベル

◆アクション・プラン

初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)

  ……は?
いやちょっと待て、何事だどういう事態だ!?
(『愛してるぜ、イグニス』(引き寄せつつ囁く))
ってお前俺の見た目でそういうことするな!
やめろ精神に来る!いろんな意味で!!
(直視できない)

あー叫び疲れた……(諦めた)
見た感じ害意はないみたいだが……
(眩しそうに見つめた後そっと2人から離れ)

……見ちゃいられなかったとはいえ何やってんだか、俺は
(溜息)

イグニス……
あれはどうしたんだよ、お前の「お姫様」だろう?
(返答に一瞬息を詰まらせ)
……なら。俺だけ見てろよ、馬鹿
(そっぽ向き)

(ああくそ
こんなん言ったら絶対ばれるじゃねえか

自分に、嫉妬するとか
思春期のガキでもしないっつうのに)



柊崎 直香(ゼク=ファル)
  わあいゼクだいすきっ

と笑顔でゼクに飛びつく僕のコピーがいたので

わあいゼクだいすきっ

と僕も笑顔でゼクに飛びついてみた。
両手に直香くん。よかったねゼク!

さすがに僕は必要に迫られない限り口付けたりしないにゃあ
と思いつつ真似して「ゼクーちゅーしよ、ちゅー」
迫ってみたら本気で取り乱し始めたので
コピー君と協力してゼク押し倒しておこう。
その場にゼクを転ばせる意であって別の意味はないよ

そんな方法でしか見分けつかないの?
呆れ顔で押し付けられた物は全部コピー君へ渡し。
しかし無邪気な笑顔だ
うん、ありえない
おかげで何の感情も湧かないけど

ゼクは満更でもなかった様子?
そんなに嬉しかったかそーかそーか

ゼクだーいすき、だよ?


セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  ラキアがもう一人。
しかも早速オレの腕へしれっと腕組みしてしなだれかかってきたりして。役得か(悦!
はっ。
本家ラキアの表情が超恐い。
「いや、元々双子の兄弟が居るんじゃん?それと似たような現象だと思えば。なに、まだ慌てる時間じゃない」
とラキアを落ち着かせよう。
「俺、本物のラキアの方がいいもん」
だって言動で本物かどうかすぐ判るじゃん。
ラキアって結構ヤキモチ焼きだし素直じゃないトコあるし。
「でも俺はいつだって素直にラキアと仲良くしたいんだぁ!」
とラキアの腕を掴んでぎゅっと腕組み。もう離さない。
「オレ達何か変な列車ごっこみたいになってるぞ」
とか言ったら本物ラキアが笑い転げた。
「それともこれが両手に花か」



蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  海十のコピーが現れる

もう一人の俺の行動に呆気に取られ…いやいやいや、待て!俺と同じ顔で何て事をしてるんだ!

いいからフィンから離れろ!
何で…って…有り得ないだろ

フィンの事が好きじゃないのかと言われれば、思わず赤面
そんな事、考えた事もない
大切なパートナーなのは間違いないけど…

だったら問題ないだろ?って、問題大有りだ!
フィンも振り払えよ
フィンの返事にますます赤面

フィンに甘え、好きを連呼するコピーを見て、羨ましいと思ってしまった
素直に好意を伝えて甘えるなんて、きっと俺には出来ないから

フィンに頭を撫でられたら、何だか泣きたくなった

俺…も、フィンが好きだよ
(どういう意味で、俺はフィンが好きなんだろう?)



俊・ブルックス(ネカット・グラキエス)
  イチャイチャしてる自分の分身に驚愕
只管ツッコミ入れるしかできない

「待てぇこいつぅ~」じゃねえよ!?
だ、ダメだ…二人分のツッコミはさすがに追いつかねえ…!

追いかけっこ開始したコピー太刀をさらに追いかける
これ以上俺の姿で恥ずかしいことさせられない
嫉妬じゃなくて、俺の姿でやるなって言ってるんだ
コピーが抱きついたところを引き剥がす作戦だったがネカめ、なかなか捕まらないな
コピーがかわされた瞬間、勢い余ってダイブしてしまう
目の前にはネカ…ぶつかる
受け止めてもらった礼を言いつつ離れようとしたら止められた
…だから妬いてねえ

コピー
「どうせならネカにサンドされたい」
「ツッコミ?俺はネカになら突っ込まれてもいいぞ」



●サンドイッチチェイス
「うん、こっちが本物ですね」
 自信満々に緑の瞳は俊・ブルックスご本人を見つめた。
 だが俊自身はそれどころではなかった。
(な、なにしてんだ、俺の姿で!!)
 俊のコピーは、ネカット・グラキエスの腕に飛びついて頬を袖に擦り付けてご満悦なのだ。
「それはそれとして、デレデレなシュンもかわいいです」
 ネカットはコピー俊にくっつかれても、動じること無く相好を崩している。
 愕然としている俊に、ネカットはニヤリと笑って空の腕を伸ばす。
「今日は両手に花ッですねっ!」
 俊の腕を掴んで、ぐいっと引けば俊のサンドイッチのできあがりだ。
「どうせならネカにサンドされたい」
 ふふふ~とご満悦のネカットと、ちょっぴり不服気なコピーの俊を、何が何やらとぼんやり眺めていた俊は、不意に己の体勢を自覚し、暴れだす。
「はーなーせっ!! なにしてるんだ!」
 すると、案外すんなりネカットは俊を手放した。
「うあっ!?」
 勢い余ってつんのめり、フィヨルネイジャのたっぷりと柔らかく瑞瑞しい芝生に倒れる俊。
 かるく頭を振って、立ち上がった俊に、ネカットは朗らかに言い放つ。
「あっそうだ。私あれやりたいです!」
 言い出したら止まらない。ゴーイングマイウェイなのがネカット・グラキエス。
 ぎゅっとしがみついていたコピーの腕の拘束から、器用にネカットは抜け出し、走りだす。
「捕まえてごらんなさーい」
 当然ながら、
「あははっ、待てぇ、こいつぅ~」
 とろけるような表情で楽しげにコピーの俊がネカットを追いかけだす。
「はぁ?!」
 その顔もセリフも、自分の容姿と自分の声音で表現されると耐え難い!
 俊は、顔を歪めてコピーを追いかけ出した。
「あれっ、素直な方のシュンだけでなくて二人共ですか?」
 ネカットは振り向きざま、意外そうに首を傾げた。
 嫉妬ですか? 可愛いですね! と走りながら言われて、俊は怒鳴る。
「嫉妬じゃなくて、俺の姿でやるなって言ってるんだ!!」
(まぁまぁ、どうにせよ本物も追いかけてきてくれるなら……)
 ネカットは一計を案じる。
 コピーの追走をネカットの俊足(素早さ39と素早さ24の対決である)を活かして躱しつつ、本物の射線上に移動し、タイミングを図る。
 そもそも精霊と神人との身体能力にはかなりの差があるのだ。鬼が人間なら、勝ち目はあまりない。
「ネカめ、なかなか捕まらないな……っ。くそっ、さっさとコピーに捕まれよ! そしったらっ、はぁっ、引っ剥がして、やるのにっ」
 ぜいぜいと息を切らしながら、俊は歯噛みする。
(あれ、これ……このままだとシュンが疲れきって終了のパターンですか?)
 仕方がない、とネカットはスピードを落としつつ、うまく本物の俊に近づいていく。
「ネカーッ」
 もう追いつかない、と判断したかコピーがネカットにスライディングダイブを試みた。
「おっとっ」
 ヒョイッとネカットが回避しかけた瞬間、コピーが消え失せる。時間切れだったらしい。
「あれ?」
 きょとんと立ち尽くすネカットを見ても、走りだした俊は急には止まれない。
「わ、ちょっ、急に止まる……なっ!!」
 ドッシーンッ☆
 正面衝突……と思ったが、ネカットは俊を上手に抱きとめて衝撃を逃してくれたらしい。
 ごろんと芝生に抱きあうように転がった状況に、俊は顔を赤らめ慌てて離れようとする。
「わっ、悪い。ありがとな……」
 だがその腕をネカットは離さなかった。そして笑顔で告げる。
「うん、デレデレもいいけどやっぱりこれです。
 照れて妬いて、ツッコミまで入れてくれる私のシュンが最高です」
 今度こそその腕を振り払い、俊はそっぽを向いて言い返す。
「……だから、妬いてねえ」

●ジェミニジェラシー
 ラキア・ジェイドバインはそれはもう恐ろしい顔で、前方を睨みつけていた。
「セイリュー♪」
 と嬉しそうな顔でセイリュー・グラシアにしなだれかかる『自分と全く同じ容姿の男』いるからである。
 しかも、ラキアをチラリと見るなり得意気にフフンと笑ってみせたのだ。
(俺のセイリューに何してくれちゃうかな~!?)
 むきぃとあからさまにイライラした表情をしているラキアに、セイリューはおろおろと、火花が散っている前方と自分の隣を交互に見た。
(役得か! とか悦に入ってる場合じゃなかった! ……本家ラキアの表情が超恐い)
 ちなみに、コピーの挑戦的な表情はセイリューの視界外で行われたので、セイリューは知らない。
 ともかくこのまま本家ラキアを放置する訳にはいかない。セイリューは慌てて、本家ラキアの腕を取る。
「いや、元々双子の兄弟が居るんじゃん? それと似たような現象だと思えば。なに、まだ慌てる時間じゃない」
 なんだかとりとめのない説得台詞になったが、セイリューとしては必死にラキアを宥めるために頑張ったほうである。
「そ、そうだよね、セイリューは俺が本物だって解ってくれてるし……」
 むしろ現実に存在する自分と同じ顔の持ち主は、セイリューにこんな風にベタベタしないだけ、ずいぶん良い。
「俺、本物のラキアの方がいいもん」
 とセイリューは極力コピーの方を見ないようにして、ラキアに言葉を重ねる。
(ラキアって結構ヤキモチ焼きだし素直じゃないトコあるし……まぁそういうところがラキアのいいところなんだけど)
 そしてギュッとセイリューはヤキモチ焼きの腕を抱きしめてみる。
「でも俺はいつだって素直にラキアと仲良くしたいんだぁ!」
 ならば、とラキアはセイリューに抱きつき返す。コピーに売られた喧嘩は買うのだ。負けてたまるものか。
「彼は俺のものだからね」
「オレ達何か変な列車ごっこみたいになってるぞ」
 セイリューが頭を掻くと、二人のラキアが笑い転げた。
 ステレオで聞こえてくる愛しい声にセイリューは頬を緩ませる。
「……それともこれが両手に花か……」

●プレシャスハニー
 不意に現れ抱きついてきた少年に、フィン・ブラーシュは目を見開いて固まった。
「フィ~ン!」
 と弾けるような笑顔で胸に飛び込んできた彼は、どう見ても自分の神人だったからだ。
 反射的に抱きとめたら、ぱっと顔を上げて神人は朗らかに言い放つ。
「フィン、大好きだよっ」
「え、え……っ」
 不覚にも心臓が跳ねる。
 その時、
「いやいやいや、待て! 俺と同じ顔で何て事をしてるんだ!」
 ご本人様ご登場。
「え、えっ二人……?」
 フィンが驚きのあまり硬直している間に、蒼崎 海十は蒼崎 海十と言い合い始める。
「いいからフィンから離れろ!」
「なんで?」
 ストレートにキョトンと問い返されて、海十は一瞬答えに詰まった。
「なっ、何で……って…………有り得ないだろ」
 もそもそと返した答えに、コピーはますます不思議そうに首を傾げる。
「フィンのこと、好きじゃないのか?」
「えっ……」
 再びの直球に、海十は顔を赤らめた。
「そっ……」
 ――そんなこと、考えたこともない……。
 ずっと自分のすぐ隣で繰り広げられた海十同士の問答を、手を出しあぐねて見守っていたフィンは、本物が頬を赤らめたことに、胸を騒がせる。
 しばし黙って言葉を探していた海十は、ようやく答える。
「た、大切なパートナーなのは間違いないけど……」
「だったら、問題ないだろ?」
「問題大有りだ!! フィンもフィンだよ! 振り払えよっ」
 海十は、とうとうずっとコピーを抱きとめたままのフィンに噛み付いた。
 フィンは困り果て、返す。
「……できないよ、だって海十だし」
「え……」
 予想外の返答に、海十は首まで赤くなった。
 コピーは喜んでフィンの胸元に額をこすりつける。
「嬉しい。フィンのそういう優しい所が好きだ」
 フィンは、素直に甘えてくる海十の頭頂部を見下ろし、唇を緩ませた。可愛い、と素直に思う。
 だが、ふと視線を隣に移し、フィンは息を呑む。
「……」
 そこには、ぐっと唇を噛み締め、うるみかけた瞳を見開き、小さく震える海十がいた。
(素直に好意を伝えて甘えるなんて、きっと俺には、出来ない……)
 フィンは、傷ついた顔をしている神人を見やり、そして息を小さく吸い込むと、くっついているコピーを優しく離した。
「君の好意はすごく嬉しいけど、今の俺のパートナーはこっちの海十なんだよね」
 ごめんね、と告げるとコピーはフワリと消えていく。
 それを見送り、フィンはコピーの消滅すら気づかないくらい自分の感情を抑えるのに必死な海十の頭を優しく撫でる。
「今の海十が、俺は好きだよ」
 ぐすっと海十が鼻を鳴らす。その優しさに触れると、だめだ。溢れ出しそうになる。
「あ! 別に変な意味じゃなくてね……!」
 泣きかけてしまった海十にうろたえ、慌てて言葉を探すフィンに、海十は息を吸い込んで震えそうな喉を整え、伝える。
「お、れも……フィンが、好きだよ」
(どういう意味で、俺はフィンが好きなんだろう?)
 まだ、好意も自分が泣きそうな意味もわからないけれど。

●フェイクオアトゥルー
 二人の柊崎 直香がゼク=ファルにダイブしてくる。
「「わあいゼクだいすきっ」」
 どーんっ。
「……重い」
 芝生に押し倒され、ゼクは自分の左右に乗っかる直香にも冷静に呟いた。
(……相変わらず碌な目に遭わねえ)
 とか考えている間に、コピーの方らしき直香が唇を寄せてくる。
「ねえねえ、ゼクー。ちゅーしよ、ちゅー」
 隣の行動を、本物直香は冷ややかに眺めている。
(さすがに僕は必要に迫られない限り口付けたりしないにゃあ……)
 だが、やはり見ていると面白そうなので。
「ゼクー、ちゅーしよ、ちゅー」
 コピーに迫られているだけなら、ゼクも平然としていたが、本物も一緒になってキスを迫りだすなら話は別だ。
「いや待て、ちょっと待てったら。顔近い」
(わー、本気で取り乱してる。面白いなー)
 直香は面白い展開だ、とほくそ笑み、体重をますますかける。
「いい加減離れろ……。あ、そういえば、直香そろそろ腹減らないか?」
 かろうじて潰さずに済んだお弁当を手探りで取り出し、
「俺の手作りなら勿論何でも食うよな?」
 とサンドイッチを直香に渡す。もちろん具の中にはピーマンが混ぜ込んである。
 ぽいぽいとバケツリレーのように、無言で直香は、コピーにピーマンサンドイッチを手渡した。
 コピーは、コピーで、
「ピーマン嫌いだけど。ゼクが作ったなら食べるよ!」
 と健気にサンドイッチを食べ始めた。
「わぁ、しかし無邪気な笑顔だ。サンドイッチ食べるとこも含めて、うん、あり得ない」
 おかげで何の感情もわかなくて助かる、と直香は冷笑を浮かべる。
「あのねぇ、こんな方法でしか見分けつかないの?」
 と直香は自分の下に転ばせたままのゼクに冷ややかに尋ねた。
 だが、ゼクは起き上がろうと上体を起こしつつ、言う。
「力加減。少し遠慮しただろ。お前、何だかんだ俺が本当に嫌がることしねえし」
 直香はゼクに抗うこと無く、ひょいと芝生に降りる。
 知らぬ間にコピーは消えていた。
 ゼクの言葉は華麗にスルーして、直香はゼクを見上げた。
「満更でもなかった?」
 ゼクは困ったように眉をハの字に下げ、頬を掻く。
「満更でもというか。裏表のないお前の笑顔が見てみたかったと、いうか……」
「ふぅん? そんなに嬉しかったか、そーかそーか」
 直香はニヤリと笑う。
「ゼクだーいすき、だよ?」
 ゼクはそれを聞いて、むっと顔をしかめる。
 なぜなら、それこそ裏がある言葉だったからだ。

●ディアマイプリンセス
 初瀬=秀は眼前の光景に、顎を落とした。
「……は?」
 状況すら飲み込めない。
 イグニス=アルデバランを抱き寄せ、耳元に愛を囁く秀がそこにいたからである。
「いや! ちょ、いやちょっと待て、何事だ、どういう事態だ!?」
「何ということでしょう世界の神秘!!」
 イグニスは脳天気にフィヨルネイジャの奇跡に感心しきりだ。
 ようやく我を取り戻した秀は、怒鳴った。
「ってお前俺の見た目でそういうことするな! やめろ精神に来る! いろんな意味で!!」
 だが首はあらぬ方向を向いている。
 己のコピーの恥ずかしい行動を見ていられないのだ。
 加えて、
「おおう、こちらの秀様随分積極的ですね……!」
 とまんざらでもなさそうなイグニスにも、イライラする。
 だが、そんな覇気のない秀の怒号でやめるようなコピーではない。
 イグニスをかき口説く口は止まらないし、今にもキスすらし始めそうな勢いである。
「……あー……疲れた……」
 肩を落とし、秀はどこか諦念の浮かぶ視線をイグニスに送る。
 コピーはただイグニスに愛を訴えるだけで、害はないようだ。
 自分には到底出来ないことをやってのける自分の姿をしたナニカ。
 それを羨望の目で眺め、ゆっくりと秀は踵を返す。
 そして少し離れた森の中の木の根元に腰を下ろし、秀は頭を抱える。
「……見ちゃいられなかったとはいえ何やってんだか、俺は」
 はぁーーっと長い長い溜息を吐いて、秀は自分の動揺を自嘲した。

 その頃イグニスは、情熱的な秀のアプローチに頬をほころばせ、
「この状況はもしやハーレム……って、ええっ!?」
 と本物の秀を見ようとし……我が目を疑った。
 さっきまで居たはずの場所を見たというのに、秀が忽然と居なくなっているのである。
「しゅ、瞬間移動……?!」
 おろおろと周囲を見回すも、秀は見当たらない。
 イグニスは、自分の内部からザッと血の気が引く音を聞いた気がした。
「いつもの秀様は!?」
 慌ててイグニスは手を口に添えて叫ぶ。
「秀様ー!?」
「なんだよ、イグニス。俺は此処に……」
「いえ、貴方ではないです!」
 とぞんざいに言い返し、イグニスはコピー秀の腕を掻い潜り、猛然と秀が行ったかもしれない方向へと走りだす。
 コピーの秀はその様子を呆然と見送り、そして少し悲しそうに微笑むと、霧のように掻き消えた。

 どのくらい自己嫌悪に沈んでいただろうか――。
 ふと秀の耳に、遠くから聞き慣れた声が届いた。
「秀様ー! 返事して下さいー!!」
 きょろきょろしながら森を歩いてくるのは、
「迷子ですか、大変です。見失うだなんて一生の不覚……」
 などとぶつぶつ呟くイグニスその人であった。
「イグニス……」
 と秀が呆然と呟くと、聞こえるはずもないのにハッとイグニスは秀に気づいた。
「あ、いた! 秀様!!」
 と叫ぶなり全速力で走ってくる。
「申し訳ございません。ご無事ですか、お怪我は!? 変な人とか出ませんでしたか?」
 息を切らして、イグニスが秀を気遣う。
 それが嬉しくないはずはないのに、秀はつっけんどんに言う。
「……あれはどうしたんだよ、お前の『お姫様』だろう?」
 だが、イグニスはきょとんとして、さも当然かのように返した。
「え、普通に置いてきましたが」
「えっ」
 まさかの冷徹な対応に、秀は少なからず驚く。自分とまるきり同じ存在だったはずなのに、イグニスがそんなアッサリとコピーの秀を置いてくるとは思わなかったのだ。
 だが秀の動揺もなんのその、イグニスは朗らかに言ってのけた。
「見た目がそっくりでも秀様ではないですから」
 息が詰まる。
 そうだ、イグニスは『初瀬=秀』を慕ってくれるのだ。
「……なら。俺だけ見てろよ、馬鹿」
 こんな、憎まれ口しか叩けない秀を。
(ああ、くそ)
 秀は苦虫を噛み潰したような顔をイグニスから隠すように、膝に顔を埋めた。
(こんなん言ったら絶対ばれるじゃねえか。思春期のガキか)
 そんな秀を優しい笑顔で見守りながら、イグニスはほんわかと考える。
(これはあれですか、焼きもちですか)
 そして、言うと絶対に拗ねてしまうから言えない言葉を、心のなかで囁いた。
 ――そういうところが、可愛くて大好きですよ?



依頼結果:成功
MVP
名前:初瀬=秀
呼び名:秀様
  名前:イグニス=アルデバラン
呼び名:イグニス

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター あき缶
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 04月07日
出発日 04月13日 00:00
予定納品日 04月23日

参加者

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