


●ふわふわ毛玉
直径20cmくらいの大きさの毛玉に、直径15cmくらいの大きさの毛玉がくっついている。大きい方の毛玉には、フェネックのような大きい三角形の耳に、つぶらできらきらした黒い瞳と小さめの口、小さなあんよがついていて、鞠のように元気に跳ねる。
この『ケセラ』は、タブロスに住む小動物である。性格は優しくて賢く穏やかで、好奇心旺盛で、人懐っこい。見た目は犬のポメラニアンに似ているが、行動はリスにそっくりである。
もきゅう、と愛らしい声で鳴き、木登りが得意で、高いところを好む。特に人の頭や肩の上が好きらしい。
体毛は様々な色があるが、総じてなめらかな手触りで、フワフワと暖かい。ケセラにとっても毛皮は大事なようで、毎日毛づくろいを欠かさない。
彼らは、タブロスの田舎の森の奥で、果実やナッツを主食にしながら、生活を送っている。
そんな愛らしい生き物が、デミ・オーガの魔の手にかかろうとしている。
デミ・オーガ化して、殺しの快楽に目覚めてしまった熊――デミ・オーガ・ベアが、ケセラの群れが平和に暮らす森の周辺に現れたという通報が、A.R.O.A.に入った。
まだケセラに害は及んでいないが、すでに森の入口あたりを住処にしている鹿や兎などの無残な死体が、次々に発見されているという。
ケセラの生息地にデミ・ベアが進出するのも時間の問題だ。
仮に、ケセラが住む奥地に進まなかったとしても、今度は森の周りで暮らす人間の被害が出てしまうだろう。
一刻も早く、デミ・オーガ・ベアを退治しなくてはならない。幸い、相手は一頭だ。力を合わせれば、今のウィンクルムでも倒すことが出来るだろう。
ここまで説明し、A.R.O.A.のスタッフは微笑んだ。
「森を守れば、ケセラがついてきてくれるかもな」


●成功条件:デミ・オーガ・ベアの退治
●デミ・オーガ・ベア
凶暴な熊であり、常に飢えていて、嗅覚に優れる。
厚い毛皮で身を守り、爪や牙で攻撃してくる。
●場所
タブロスの田舎にある森。
結構広い広葉樹林で、森の中心地がケセラの生息地です。
デミ・オーガ・ベアは森の周辺をうろついている模様ですが、奥に進んでいる可能性があります。
●ケセラ
プロローグの説明を参照してください。
人懐っこく、果汁たっぷりの果物が大好きです。
プランで、連れて帰りたい旨を明記し、連れて帰るための行動をとった人には、ケセラが気に入ってくれるかどうかの判定を行います。
判定に成功すれば、ついてきてもらえます。
売り飛ばしたり、無理やり誘拐したりするのはNGです。
(アイテムとしての配布はありませんが、RPに反映してくださって結構です。
なお、戦闘能力は皆無ですので、以後のアドベンチャーエピソードでの同行は不可能)
お世話になります、あき缶でございます。
可愛い小動物とお友達になれるチャンスですが、デミ・オーガ化した熊は強敵です。
戦闘プラン(装備含む)はしっかりと練ることをオススメします。


◆アクション・プラン
東雲 燈夜(テオドール=フェーエンベルガー)
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モフモフを襲うなんて何という熊だ。絶対許さないぞ 行動は皆と一緒に行動する。 焼いた鮭をつるしたり蜂蜜を用意して、ケセラの生息地へ熊を探しながらむかう 上手くこちらに熊が来てくれることを祈るよ 「…いた!あそこっ」 上手くいけば注意を引きながらなるべく広い場所へ敵を誘導出来ればいいと思う 戦闘は…テオに殆ど任せて俺はサポートに回るよ。 攻撃の際はテオと共に足を狙う。動きを止めれるといいな。 足手纏いにならないよう頑張るよ!ケセラも無事でいるといいな。 |
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●戦闘前 魚や蜂蜜の匂いでおびき寄せられないか試しながら進んでいくとしよう 戦闘しやすい場所があるならそこで戦闘出来るよう場所は覚えておかないとな ●戦闘後 まずはデミ・オーガ・ベアの遺体を弔っておかないとな それが終わればケセラとのもふもふタイムが……! しっかり血の臭いとかは落としておくとしよう ケセラが気に入ってくれるなら連れて帰りたいな まずは持ってきていたナッツやリンゴなどをあげて 懐いてもらえるように頑張ろう 懐いてもらえたら、まずは優しく撫でて毛並みを楽しむ ケセラが嫌がらないようなら次に頬ずりを 抱きしめて全力でもふもふを楽しむのだ 森から帰るときにケセラに尋ねてみる 良かったら、俺達と一緒に来ないか? |
|
熊の子やーい。魚の良い匂いに釣られて出てこーい ケセラの群生地から引き離したいし、誘き寄せ 戦いやすそうな場所が通り掛けにでも見つかれば応戦しつつそこへ向かう 無かったら腹括るしかないよねぇ 隙を作れるように、美味しい物持ってちょろちょろしてる 木を壁にして攻撃をよけれないか、一度くらいはチャレンジしておこう 木が倒れすぎないよう、程々に ケセラが出てきても庇えるように、戦いながらでも群生地を背にする配置につきたいな 危ないから下がっておいで、なんて、言って聞く? 無事に倒せたら、ケセラと戯れたいねぇ 生き物は飼えないから、ふかふかして遊ぶだけー リボンとか付けても…良いかなぁ? また機会があったら来たいから、目印に |
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デミオーガを倒さない事には何にもできねぇしな まずはデミオーガ討伐に集中だ! 俺はマーケットで買って来た蜂蜜を使って誘き寄せる なるべく戦いやすい場所に置ければいいんだけどな… デミオーガが上手く引っかかったらトランスするぜ 「…う…言っても人前でするのってすっげー恥ずかしいよな…」 すっげー…すっげー恥ずかしいけどこれやんねぇと戦えないしな…でもな… と、とりあえずトランスしたら俺は前に出て戦う 嗅覚に優れてるって事はそこを突けばよさそうだな 折角だから納豆を投げつけてみよう 油断したら剣で斬りつけてぶっ倒す! |
|
■心情 ふわもこ…か(そわそわ やべー…どんな生き物なんだろ すげぇ滾るんですけど! ■熊遭遇計画 新巻鮭持参 森の入口から少しの地点で上手に焼いて木に吊るす 焼いてる時から周囲の警戒を怠らない 但し風向きが森の奥へと流れない様なら 一部切り取って持参しケセラ生息の森の中央へと皆で向かう 森を歩く途中惨殺された動物が居ないかチェック 熊の足跡がないかも観察し、新しい物の様なら手がかりにする ■戦闘 ・俺 戦闘場がケセラの生息地ならケセラに害が及ばない様に守りつつ戦う ・ルド 前衛に行って貰い一撃必殺を狙って貰う 熊の一撃の重さを見極め、HPの残量との兼ね合いを見て 危険なら後方へ ■ケセラ 苺で俺のふわもこ愛をアピール 連れ帰りたい! |
●森の中くまさんを探して
ここはタブロス郊外の森。
いつもは木々や花、土の自然な香りで満ちている森に、鮭が焼けるいい匂いがしていた。
パチパチと炭が爆ぜ、ジュウジュウと脂ののった新巻鮭は、今にもご飯が欲しくなるような食欲をそそる匂いを漂わせている。
「上手に焼けましたー! うわー……俺が食べたい……」
自然界にありえない美味そうな匂いを出すべく、パタパタ炭火を扇ぐライ クロスロードは、無意識に生唾を飲み込んだ。
ほっかほかのご飯の上にのせて頬張ったら、きっとジュワァと脂と塩気が混じるのを白米の甘みがふんわか覆って、さぞや旨かろう。
腹の虫を抑えながら、ライは鮭を樹に吊るした。この匂いを喜ばない肉食動物などいやしない、と自負できる焼き加減だ。
「うまくこちらに熊が来てくれればいいけどな」
東雲 燈夜が、樹にぶら下がった鮭を見上げて、呟く。彼の手には、黄金色の瓶が抱えられている。とろーりと甘い蜂蜜がたっぷり詰まった瓶の蓋を開け、燈夜はスンと鼻から空気を吸い込む。
あまいあまいハニーの香りが、彼の鼻腔を楽しませる。
「鮭に、デザートの蜂蜜。熊の大好物……だよな。それにしてもモフモフを襲うなんて。絶対にゆるさないぞ」
燈夜は、ケセラという愛らしいもふもふ生物の安否を気遣い、それすら殺そうとしているデミ・オーガ・ベアへの怒りを募らせている。
「ケセラとのもふもふタイム……」
魚を手にぶら下げながらも、ベオウルフ=レオンハートはすっかりケセラとの交流に意識が飛んでいるらしい。手がわきわきと無意識に動いている。
なお蜂蜜を用意しているのは燈夜だけではない。高原 晃司もマーケットで手に入れた新品の蜂蜜を持っている。彼のショッピングバッグには未だ何か入っているようだ。
「ま、デミ・オーガを倒さない事には何にもできねぇしな。まずはデミ・オーガ討伐に集中だ!」
と晃司は戦意を高めてはいるが、不安もよぎっている。
(ト、トランス…………人前でするのってすっげー恥ずかしいよな)
まだ相手はデミ・オーガなので、トランス状態にする必要は全くないのだが。
顔を赤くしている晃司を、彼が頬にキスする相手であるアイン=ストレイフは怪訝そうに見下ろしていた。
「熊の子やーい。魚の良い匂いに釣られて出てこーい」
と呼ばわってみる叶。
このまま熊が釣れなければ、ケセラの生息地である中心部へ移動することになるが、それはケセラをも危険に巻き込むことと背中合わせの策だ。
叶としては、出来る限りケセラと戦場は離しておきたいと思っているのだ。
「普通の熊じゃないし、人の子がいようが気にはしないと思うけれど……」
普通の熊は人間を恐れ、複数の、しかも武装している人間がいれば警戒して出てこないのも当然だろう。
だが、今回の相手は殺戮に酔いきったデミ・オーガ・ベアだ。むしろ殺戮の相手が増えたと喜んで出てきそうなものだが……。
「……来ない、かな。仕方ない、進むか――」
燈夜がそう言って歩き出そうとした時。
「東雲!」
彼の精霊が、燈夜の前に滑り込んだ。
●デミ・オーガという恐怖
「ガルルルァッ!」
ものすごいスピードで、目の色を変えた熊が燈夜に飛びかかってきていた。
――デミ・オーガ・ベア……!!!
「!」
とっさに己の神人の前に飛び出したテオドール=フェーエンベルガーは、ダガーを薙ぐ。
「ギャウッ」
まさか反撃されるとは思っていなかったのだろう。デミ・オーガ・ベアは悲鳴を上げて、飛び退く。
「テオ!!!」
ようやく状況を飲み込み、燈夜が精霊の名前を叫ぶ。
「あの雪の日の夜明けに誓っただろう。お前の事は俺が必ず守る」
油断なくダガーを構え、デミ・オーガ・ベアを睨めつけたままテオドールは、背後に守る神人に応える。
「……ああ」
噛みしめるように頷き、燈夜は一歩下がった。手数の多い戦舞の闘士『テンペストダンサー』の邪魔にならぬよう。
「来やがったな!」
晃司もソードを抜き、油断なく構える。
トランスは迷った挙句、やらないことにした。他の面々もやっていないのだから、わざわざ衆目の中で、恥ずかしいことをする必要はなかろう。
「アイン!」
クールな表情のまま、アインは二丁拳銃をおもむろに構え、雨あられと弾丸を放った。
避ける場所もないほどに降り注ぐ弾丸に、デミ・オーガ・ベアはのたうち回る。
長身のアインの隣で、同じくらいの長身の精霊も軍用拳銃を両手に構え、撃ち方を始める。
HS・アーミーM6-38口径を撃つヴィラン=アークソードは、金色の獣耳をひくつかせ、眉根を寄せた。こんなに攻撃を受けても、熊は逃げようともせず、ますます殺意を高めてくる。尋常ではない。
これがデミ・オーガというものなのだ。傲慢で攻撃的、相手を破壊するまで執念深く。
デミ・オーガ・ベアは、森の奥からやってきたようだ。
ライは自分の剣を用意しながら、ニマと笑った。
「よぉーし、よしよし。鮭に釣られて戻ってきたな? ケセラに被害が出てないといいんだけどな……」
だがライとて心配していても始まらないことは、わかっている。ケセラの安全確認は、デミ・オーガ・ベアを倒してからだ。
ライは、自分の精霊ルドルフ ガルキュリアに向き直った。
ベク・ド・コルバンを担いでいるルドルフに、
「お前!」
と呼ばわると、
「勘違いするなよ! 武器と防具をお前に貢いだのはお前の為じゃないし! ケセラの為だし!」
ライはツンケンと言外に働け、と命じる。
(ついでに、この依頼絶対成功しないと、財布が、財布が~……!)
ルドルフに武装を誂えたため、ライの財布はすっからかんなのだ。報酬が必要だ。ウィンクルムとて、お金がなければやっていけないのだ。世知辛い話だが、これが現実……現実なのだ……。
だが、そんなライの乱暴にも聞こえる言葉にもルドルフは余裕である。
「はいはい」
半笑いで生返事を返すと、デミ・オーガ・ベアに走り寄って、振りかぶった鈍器をガツンと振り下ろした。
ハードブレイカーの痛烈な一撃は、熊の分厚い毛皮をも通り越して衝撃を与えたらしい。
「ギャウウウッ」
悲鳴を上げ、デミ・オーガ・ベアは苦し紛れに鋭い爪のついた丸太のような黒い腕を、思い切り振り回す。
「っ!」
爪がルドルフの服の合わせ目から覗く浅黒い肌を裂いた。ぷつぷつと湧き上がる赤い血は、すぐにつうっと流れだす。
「げほっ、さすが熊……やってくれるぜ」
衝撃も少なからずあったのだろう。たたらを踏んで咳き込むルドルフを見て、ライの目が見開かれる。
「何やってんだ! あほか!」
駆け寄り、傷の具合を覗きこむライの目は何時もより潤んでいる。
幸い、傷はさほど深くはないようだ。しばらくすれば血も止まりそうだった。
「し、心配させんな!!」
怒鳴りまくってライはズカズカとわざとらしく大股で精霊から離れる。
「……」
素直じゃない態度に、ルドルフはポカーンとライを見送ったが、一瞬後、彼に見えないように顔を逸らして噴きだした。
「ご心配どーも」
だが、油断していたことは事実だ。ルドルフはこれ以上自分が傷つくと、ライが強がりの堤を超えて泣いてしまいそうなので、より一層気を張る。
「ほーらほら、そっちばっかり見てないで。美味しい鮭だよー。蜂蜜もあるよー」
叶はニコニコしながら、新巻鮭を振り回し、うろうろとあたりをうろつく。
鬼ごっこ・かくれんぼの類は得意だ。ふざけているようだが、これで熊の意識を反らしたり、集中を乱したり、翻弄したりできれば儲けものだろう。
「桐華~。頑張ってねー。僕のことはいいからー」
と、叶は合間合間に自分の精霊に手を振ることも忘れない。
桐華は、まるで授業参観に来ている親の声援を受ける子供のような、複雑な顰め面で、忍者刀を熊に浴びせていた。
叶の行動は、見事に熊を苛立たせたらしい。
「ウガーッ」
怒り心頭になって熊は叶を追いかけ始める。
「っとと、ここまでおいで、鮭だよー!」
だが叶はニコニコしたまま、鮭をぶん回しつつ走りだした。なかなかギリギリの鬼ごっこが始まる。
「あのバカ」
桐華が眉をひそめて、熊を追い、刃を突き立てる。だがそれしきでデミ・オーガ・ベアは止まったりしない。
しかし、前衛によって射線が遮られていたプレストガンナー達が、デミ・オーガ・ベアが精霊と対峙するのをやめて、開けた場所へ自ら躍り出たのを幸いと、狙い撃ちに処す。
叶が追いかけられている限り、デミ・オーガ・ベアは移動に専念してしまうため攻撃行動に出られない。
とはいえ、相手は野生動物。スタミナ対決なら熊が勝つ。叶はとうとう疲れてきて、速度が落ち始めた。
脚に迫る牙。
「っとと!!」
とっさに樹木を盾にして、熊の牙を避ける。
ミシミシと軋む樹に、叶は血の気が引く思いがした。普通の熊より、力が何倍にも強くなっているらしい。
おそらく爪なら一撃で樹を倒すだろう。
「テオ、足だ!」
樹に噛み付いた一瞬の隙を逃さず、燈夜がデミ・オーガ・ベアの脚に剣を突き立てる。
「ああ」
おいついたテオドールもまた、ダガーを熊の脚に突き刺した。
しかし、それしきでデミ・オーガ・ベアの戦意は衰えない。
「ウギャウ!」
吼えて方向転換すると、今度は晃司に向かって一直線。
だが晃司は避けようともせず、むしろショッピングバッグに手を突っ込んだ。
「くらえ!」
鼻先にたたきつけたのは、くさーい納豆。
ねばねばする発酵豆は、デミ・オーガ・ベアの敏感な鼻に絡みついた。
「ガフッ」
人一倍敏感な嗅覚は、納豆特有の臭いを過剰に感知してしまう。
フガフガと手で鼻を拭うものの、ねばついた納豆では鼻に塗りたくってしまうことになって逆効果だった。
「よーし、今だ!」
晃司は自ら剣を振り上げる。
彼に相対する用にアインもHS・スタンダードM4-38口径を熊の後頭部に狙いをつけている。
図ったわけではないが、二人は同時に熊に致命傷を与えた。
仰向けに転がって、ヒクヒクと死に損ないの痙攣を続けるデミ・オーガ・ベアに、ヴィランがゆっくり近づく。
デミ・オーガ・ベアの目にはまだ殺意がこもっていたが、彼の爪も牙ももはや動かぬ。
その様子をヴィランは悲しく見下ろした。
デミ・オーガ化する前ならば、きっと別のやりようがあっただろうに。
今はもう言っても詮無い。
「……安らかに」
デミ・オーガの眉間に、ヴィランは銃口を当てて、一回、二回、引き金を引いた。
弾丸を撃ち込まれ、ビグンビグンと大きく体を跳ねさせたデミ・オーガ・ベアは、それっきり動かなくなった――。
●ケダマ達の樹
デミ・オーガ・ベアをベオウルフは、ヴィランと共に丁寧に弔った。
危険な生物だったとはいえ、元々森の住民だ。死んだ後は丁重に扱いたかった。自らに付着した血液などの不穏な穢れは、すっかり拭い取り、熊のために墓を作る。
ライはその間に、ルドルフの怪我を大げさすぎるほどに手当を施す。
彼らがお墓を作り終えたのを確認し、ようやくウィンクルム達は、ケセラの生息地へと向かう。
無事を確認しなくてはいけない……というのは建前で、もちろんあのカワイイ毛玉オン毛玉な生き物を愛でるためである。
「無事でいるといいな、ケセラ」
燈夜は、未だ見ぬ愛らしい小動物の安否を心配し、
「やべー……どんな生き物なんだろ。すげぇ滾るんですけど!」
ライは逸る心を持て余しているのか、顔はニコニコ、スキップ寸前の足取りだ。
もちろん、デミ・オーガ・ベア退治よりもケセラをもふることが主目的となりかけていたベオウルフも、ケセラをもふもふすることへの期待から足が速い。
ベオウルフの精霊、ヴィランもふわもこしている生き物に目がない。
「懐いてもらえれば、ついてきてもらえるかもしれんな」
そうしたら日がな一日あの素晴らしいふわっふわをモフり放題ではないか!
ベオウルフ達の目は、もはや夢見るそれである。
しかし、彼らの足元には狐や栗鼠などの動物たちの惨たらしい遺体が転がっていた。
「……全部あのデミ・オーガがやったんだろうな……」
晃司が悔しげにうつむく。遺体の全てに刻まれた爪あとが無残だ。かじった程度の損傷しかないこれらは、捕食としてではなく快楽として殺されたのだろう。
「ケセラだけでも無事だといいのですがね」
落ち込む晃司を見て小さくため息を吐き、アインは肩をすくめる。平和なモフモフタイムを期待して、向かった先が惨劇の後だったら、皆がっかりどころか心すら傷ついてしまうだろう。
そしてようやくウィンクルム達は、ケセラが住まうという森の中心に聳える巨木へと到達したのであった。
「お、おおー!」
ベオウルフの顔が輝く。
それはまるで、毛玉の樹だった。
●ふわんもこんもきゅう
広葉樹の巨木に鈴なりのケセラが、枝にしがみついて、好奇心いっぱいにこちらを見下ろしている。
「もきゅー!」
森の奥地にまでくる人間は少ないのだろう。
見慣れぬ生き物の来訪に、ケセラは警戒半分興味半分で、枝から身を乗り出している。乗り出しすぎて、落ちかける者すらいた。
「この樹ごと持って帰りたいぞ……!!」
ベオウルフがヴィランに顔を向け、わくわくを抑えきれぬ弾む声で言う。もちろんふわもこラバー仲間のヴィランも、大きく頷いて同意を表した。
「うーん、ふわもこは正義だねぇ。ここは平和が保たれていたみたいで良かった良かった」
叶は満足気に何度も頷くと、後ろの桐華に振り向いた。
「桐華は別に動物苦手じゃなかったよね?」
頷く桐華に、叶はますます満足気に大きく頷いた。
「よしよ……しっ!?」
ばふんっ。
叶は唐突に己の頭に軽い衝撃が来て、驚く。
「もきゅ~んっ」
彼のキャスケットの上に、ケセラがちょこんと座って澄ましていた。まるでキャスケットはケセラ専用座布団である。
「っととと……いたずらっこめ」
「もっ!?」
ひょいと頭の上のケセラを掴んで、叶は桐華の頭に乗せ換えた。
「なっ」
驚く桐華に、えびす顔の叶は、
「ほら、可愛い子は愛でないと。存分にもふもふするがいい」
と言った。
そう言われれば、邪険に頭の上の愛らしい生き物を振り払うつもりは毛頭なかった桐華。彼に言われるがまま、ケセラをそっと抱き込み、ゆっくり撫でる。
「きゅぅーん」
撫でられるのは気持ちが良いのか、ケセラはうっとりとされるがままだ。
「よく出来ました」
空になった桐華の頭を、叶が撫でる。
「子供じゃないっ!」
それを睨めつけた桐華は、ケセラを驚かせないように、十分に絞ったボリュームで抗議した。
「ははは、ごめんね。いやぁ、それにしてもフカフカだ」
軽く謝罪のセリフを口にし、叶は桐華の手の中に収まっている毛玉をぽふぽふと撫でる。
「生き物は飼えないから、またここに来たいなぁ。リボンとか付けて目印にならないかねぇ」
とポケットから赤いリボンを取り出すも、
「もきゅ~」
あまり飾りの類は野生動物の好みではなかったらしい。ぴょーんっと飛び跳ね、ケセラは行ってしまった。
「あー……」
なんだかんだで残念そうな二人である。
「ふおおっ超カワイイぞ! ほーら、苺だぞー?」
ライは興奮で開き気味の瞳孔かつ少し荒い息をしながら、手近な高さの枝に居るケセラに苺を差し出した。
「ほら……怖くない……」
しかしライは一歩間違えると危険人物な状態にまで興奮している。
「もきゅぅ」
へな、と大きな三角耳とまんまるい尻尾を垂らし、ちょこちょことケセラは苺から遠ざかってしまう。
「……ん? コレがほしいのか?」
ライが用意した苺のパックから、苺をつまみ食いしようとしていたルドルフは、己の手に、一生懸命小さな前足を伸ばすケセラに気づいた。
「きゅう、きゅーう」
「……おら」
そこまで求められては、口の中に収めるわけにもいかず、ルドルフは苺をケセラに譲ってあげる。
「もっきゅ」
嬉しげに苺を抱え、ぱくんと一口で食べてしまったケセラは、おかわりと言わんばかりにルドルフの手にまた前足を伸ばしてくる。
「へいへい」
しかたがないのでルドルフの手は再び苺パックへ。
「ああー俺が用意したのにぃ……」
がっかり満載で情けない顔になったライを見て、ルドルフは爆笑し、
「俺の方がいいんだとよ」
と得意気にケセラへの餌付けを続行する。すっかり懐いたケセラは、すでにルドルフの肩に乗っかって、手ずから苺をもらっている状態だ。
「……うそ、だろ……」
ショックで真っ白な灰になってしまいそうなライである。
「東雲、気に入ったか」
テオドールは、ケセラに釘付けになっている神人に声をかけた。
「あーうん。かわいいな」
だが燈夜は生返事で、そっと枝の上のケセラに手を伸ばした。
「わっ?」
すると、新たなる足場だとでも思ったのだろうか。
ケセラは燈夜の腕を伝って肩へと駆け上がり、隣のテオドールの頭を台に、ぴょーんっと一段高い枝に飛び移る。
そして元いた枝へと飛び降りては再び燈夜の肩からテオドールの頭を経由して、上へぴょーん。
「あはは! すっかり俺たちアスレチックだな。テオはジャンプ台ってとこか!」
「むぅ」
踏み台にされた彼の顔は仏頂面だが、テオドールは燈夜がとても楽しそうなので、これはこれでよかったと思うのだ。
アインも2メートルという長身をいたく気に入られ、ケセラのアスレチックになっていた。
「似合わねー」
まっちょの彼にワンサカよじのぼっている愛らしい愛らしい小動物達。という絵面を見て、晃司が腹を抱える。
「……」
全身にケセラがくっついているので動くに動けず、むすっとしているアインは、晃司をたしなめるべきかどうか悩むのであった。
さて、今回誰よりもケセラとの交流を楽しみにしていたベオウルフとヴィランは、見事に誰よりもケセラに懐かれていた。
アイン同様の2メートルの長身は、高いところを好むケセラにとって非常に魅力的だったようだ。
まるで馴染んだ巣のように、二人の頭の上でまったりしているケセラ。
「耳で遊ぶな」
と、チョイチョイ前足でつっつかれる狼耳を、くすぐったそうにぴるぴる動かすヴィランだが、まんざらでもなさそうだ。
しかもベオウルフはナッツやリンゴを持ってきていた。
「もきゅーもきゅーぅ」
「あははっ、ほら、順番だ、順番」
ふわっふわの体で我も我もとベオウルフの手に群がるケセラがくすぐったくて、ベオウルフは思わず声を上げて笑ってしまう。
頬をくすぐるもの、手にナデナデしてとばかりに頭を擦り付けてくるもの、服の合わせ目に潜り込もうとしてくるもの……。
最も友好的な者が誰か分かるのか、ベオウルフはケセラにモテモテであった。
「幸せだ……!!」
ベオウルフは心の底から、幸福を叫んだ。
そして全員が思う存分もっふもふを堪能した頃、そろそろ日も傾いてきた。
家路につこうとする彼らだが、行きよりも生き物の数が増えていた。
ルドルフには苺ですっかり餌付けされてしまったケセラが、しがみついてはなれない。
「ったく、しょうがねえな」
まんざらでもなさそうに、肩にケセラを乗せたルドルフは悠々と歩く。
その後ろを、
「ううーなんでだよー!」
血涙流しそうな嫉妬の眼差しを送るライが続く。
幸せいっぱいと顔に書いてあるベオウルフと、いかつい顔をほころばせて狼尻尾を振っているヴィランの頭の上には、寝入ってしまったケセラが丸くなっていた。
「帰るまでお辞儀禁止だな」
ヴィランが笑うと、ベオウルフは満面の笑みで頷きかけ……、
「も、もきゅー!?」
「ああっ……ごめんごめん!!」
落ちそうになってパニックになる寝起きのケセラに、必死に謝るのだった。
| 名前:ライ クロスロード 呼び名:お前、ルド |
名前:ルドルフ ガルキュリア 呼び名:お前、おい |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | 冒険 |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 普通 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | 通常 |
| リリース日 | 03月09日 |
| 出発日 | 03月18日 00:00 |
| 予定納品日 | 03月28日 |

2014/03/17-16:06
【様子見】
ふむ、そういうことなら俺も全員で了解だぞ
【おびき寄せ】
確かに、あからさまに戦闘に不向きな場所でするのは適切ではない気がするな。
なるべく開けた場所でしたいものだが……あまり場所探しに時間をかけるのも考え物だな。
【戦闘】
基本は後方からの銃撃を頼むことになると思うが
必要なら前に出てもらおうと思う。
2014/03/17-03:06
俺も全員に賛成だな。デミオーガは1体だけだけど
多分戦力的に俺たちが束になってやっとって気がする
【誘き寄せ】
それに加えて手軽に入手できそうな蜂蜜も試していいかな?
やらないよりはやった方がいいだろうし
誘き寄せるのであれば予め戦いやすい場所で設置した方がよくねぇかな?
【戦闘】
基本銃撃なんで後ろと言いたい所なんだが
射線に味方がいると誤射しかねないから
混戦になるようであればガン=カタ方式で前にも出るよ
2014/03/17-00:13
【様子見】
全員で、了解しましたー
【誘き寄せ】
成程、待つよりも此方から向かった方が素早く行動できますものね
もしケセラが襲われていたとしても、匂い等で此方へ注意を向けれるかも?
【戦闘】
テンペストダンサーなので、恐らくは素早さを活かしてのかく乱が主になるかもしれません。
勿論一撃でも入れればと思いますが…
2014/03/16-21:27
【様子見】
全員で…に賛成だなー。総出でかかれば倒せない相手じゃないって感じだし、
それなら戦力分散するよりは、誘き寄せて、探しつつ待ち構える方が良さそう。
その上で、フォローできる範囲内で先行する組が居るのは良いかなって思う。
足音とか近づくのが判ったらすぐに戻ってこれる距離、くらい?
【誘き寄せ】
魚を焼いて、匂いで、だね。
森の中で遭遇しそうな感じだけど、戦いやすそうな場所まで後退ーとかは、した方が良いかなーって思ってる。
ケセラの生息地から離れさせられたら良いなってのもある。
【戦闘】
うちの桐華も前に突き出しまーす。俺もちょっとは足しになれたら、なぁ。
2014/03/16-17:04
【熊がいるポイント】
森の入口の動物が既にやられていて…森の中心部にいるケセラが狙われているのだとしたら、
入口から中心部の間をうろついている可能性が高いのかなーなんて。
【様子を見に行く】
森の入口から入って、少しの辺りに良い香りのするもの(果実以外の焼いた鮭など)をつるしておびき寄せ、その良い香りがする地点から、一組じゃなくって全員で急ぎ森の中心部に向かうのはどうかな。
俺達ってまだ駆け出しのウィンクルムだし……
その方がもし遭遇した時、一組だけが危険にさらされるのを防げるような気がするんだけどどうだろう。
【戦闘】
俺の精霊は両手用鈍器だから前に出すつもり。
2014/03/15-00:17
ベオウルフさん>
あ、そうかじゃあ果物は止めた方が良いですね(汗)
様子を見にいく>
もし宜しければですが俺達が行きましょうか?
あっ勿論他にもいらっしゃればお譲りしますっ
2014/03/14-18:50
ふわもこは正義!
と、顔出しが遅れてしまったな。
俺も思いつくのは鮭とか蜂蜜くらいだろうな。
ただ、果物はケセラも好物らしいからやめた方がいいかもしれん。
もしかしたら、もうケセラの生息地付近まで移動してるかもしれんし
一組くらいは奥の方へ様子を見に行った方がいいのかもしれん。
2014/03/13-03:06
ふわもこっていいよな!
よろしくな
熊っていったら蜂蜜とかあと鮭のイメージがあるな!
火で焼くといいにおいが充満しそうでうまく誘き寄せられそうだな
2014/03/12-12:01
ふわもこは正義!
ふわふわもこもこ…是非仲良くなりたい…っ
皆さんよろしくお願いします!
おびき寄せるのは良いかもしれませんね!
良い匂いのもの…熊の好物とかだと何でしょう?
リンゴとかの果物とかのでしょうか?
2014/03/12-01:56
ふわもこは正義。
良いねぇ、合言葉みたい。
可愛い生き物は守って然るべき。張り切ろうね、どうぞよろしくー。
で。熊の子はお腹空かせてる上に鼻が良いなら、
捜し歩くより良い匂いの物持って誘き寄せた方が早いかなー、とか思ってるところ。
ケセラの生息地からも遠ざけたいし、どうかなー。
2014/03/12-01:32
ふわもこは正義……!
しかも足が短いって……瞳はつぶらって!(ふるふる)
はっ……!い、いや……その……
お、俺は別に可愛いもの好きとかそんなんじゃないけど、
今回の案件は見過ごすわけにはいかないしな!!
しかし……熊か……一頭とはいえ、殴られたらシャレにならなそうだよなぁ……
気を引き締めてがんばろーぜ!
どうかよろしくな。

