


●リンドブルム社ご乱心?
バーチャルシミュレータで名高いリンドブルム社が、新たにアミューズメント部門を設立した。
満を持してリリースしたのが『ドリームダイヴ』。仮想空間に転移させる技術を応用し、架空の創作世界でなりきり遊びが出来るという施設だ。
「いつもお世話になっているウィンクルムの皆様を、先行ご招待させていただこうと思いまして、ご案内に参りました」
リンドブルム社の営業の女が、満面の笑みで一同をドリームダイヴに誘う。プレイチケットは一人当たり200Jrだそうだ。
「今回のソフトは、『ツイン・ジェムティア』という、戦闘美少女モノの世界にダイヴできるというものです!」
いきなり、かなりの色物が出てきた……!
『ツイン・ジェムティア』は6人プレイだという。
「PC1~6から好きなキャラを選んでいただき、その設定に沿ってなりきっていただきます。容姿は今の皆さんのままで転送されますよ」
えっ、それって……男が戦闘美少女に変身するってこと……?
「ええ! TS美少女モノです!」
リンドブルム社アミューズメント部門、いきなりニッチな所に打って出てしまっているが……彼らの明日はどっちだ!!
●PCを選んでね!
以下は各PCのハンドアウトである。ハンドアウトに記載のない部分は自由に設定可能。
「そう、変身方法も名乗りも武器も必殺技も自由自在なのです!」
共通設定について。
平和なタブロス市を憎しみで満たそうとする悪の組織『グリーンアイ』。
彼らは人々の心をもてあそび、『悩める恋心』を抱かせ、そのマイナスな感情を増幅させて人々を怪人『イーブルハート』に変えることで、世界を壊そうとしていた。
『イーブルハート』を浄化できるのは、選ばれし伝説の魔法少女『ツイン・ジェムティア』だけ。
だが、美麗なドレスを纏って華麗に戦う美少女『ツイン・ジェムティア』の正体が、男子高校生であることは絶対の秘密である。
PC1:君は『聖アロア高校』の2-Aに所属する男子高校生だ。PC3とは親友である。
炎の戦闘美少女『フレイムルビー』に変身して戦い、怪人『イーブルハート』を浄化して元に戻すことが目的である。
『アメジストナイト』の正体を知らない。
PC2:君はPC1の血の繋がらない兄であり、『聖アロア高校』の3-Cに所属する男子高校生だ。
両親が海外出張で不在な中、PC1と二人で暮らしている。PC1・2が変身することを知らない。
『ツイン・ジェムティア』を助ける謎の男『アメジストナイト』に変身する。
PC3:君は『聖アロア高校』の2-Aに所属する男子高校生だ。PC1とは親友である。
水の戦闘美少女『ウォーティサファイヤ』に変身して戦い、怪人『イーブルハート』を浄化して元に戻すことが目的である。
『アメジストナイト』の正体を知らない。
PC4:君は『聖アロア高校』の3-Cに所属する男子高校生である。
人望厚い新聞部の部長で、戦闘美少女『ツイン・ジェムティア』の謎を追いかけている。
『ツイン・ジェムティア』にあこがれているが、正体は知らない。
PC5:君は『イーブルハート』を利用して、世界を憎しみで満たそうとする悪の組織『グリーンアイ』の幹部である。
『悩める恋心』を持つPC6に接触し、『イーブルハート』に変えて世界を壊すことが目的である。
目的を達成できるような任意の身分に変身できる。
PC6:君は『聖アロア高校』の2-Aに所属する男子高校生だ。
今回、『悩める恋心』を抱いたことにより、『イーブルハート』に変えられて暴れだす。
恋の悩みの内容は任意。『イーブルハート』の姿・能力も任意。


●目的:戦闘魔法少女の世界観を守りつつ、なりきり遊びをする
(あんまりな鬱展開や世界観が破綻するような状態になると「失敗」です)
●親密度判定について
『ドリームダイヴ』でのPC同士の関係で親密度判定を致します。
ゲームの中で仲良くなればなるほど、得られる親密度は多くなります。
●PCについて
神人と精霊が何番を選んだのか、それぞれプランに明記してください。
重複しないよう、会議室での宣言をお願いします。
容姿・口調・名前はステータスシートのままとなり、変更出来ません。
リザルトは『ツイン・ジェムティア』内の話のみとなるので、なりきり部分のみのプラン記載を推奨します。
(設定面が書ききれなければ、ステータスシートまで溢れてもいいです!)
●プレイ料金 200Jr/人
お世話になっております。戦闘魔法少女が大ッ好きだー!!
ぜえはぁ、あき缶でございます。
今回は、全ロールプレイ進行のTRPGみたいなものです。
PCは誰がどれを選んでもOKです。
多少のカオスは何とかします。
3組のBLが楽しめる戦闘魔法少女ものになればいいな!


◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
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役:PC6 ◆設定 ジェム達をサポート(バイク送迎や情報収集等)してた その活動の中、ランスに会い、恋をした ランスの罠でチョコを買い、イーブルハートになる 変化後は黒い翼竜の羽が生える 食べたら闇落ちするって…どこかで分かってた お前と戦うなんて出来なくて、でも活動を許すことも出来ない そんな不甲斐ない自分を壊してしまいたかったんだ! ◆戦闘 時空間を操作する特殊能力「絶対の理」を駆使 ジェムと自分の位置を入替えたり、走ってる車を空間曲げて呼び込んだりして遠距離で仕留めにかかる 飽和攻撃で息切れさせ、必殺技を放てば、時空間操作が遅れて当てられ、浄化出来る ☆元に戻ったら設定部分を告白 ☆ランスの申し出には頷いて手を取る |
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PC2担当。 家事は掃除洗濯系を担当。ラキアの料理は大好きだ! 弟ができて嬉しくて色々と構ってしまう。 兄ぶりたい。俺はラキアの保護者だから! 学校でも2年生教室へよく顔を出す。 『アメジストナイト』時は顔半分をマスクで隠している。 武器は剣。ジェムティア2人が戦闘時に颯爽と現れて2人を助けるぜ。 敵の浄化は出来なくとも、敵の気を引くなどして彼女達(だよな!)を助け、敵の弱点など見抜いて的確に助言する。クールに華麗に! 「君達を護るのがナイトの務めさ」と。 今回の場合は敵が翼で飛び立とうとする所を抑え 「さあ今だ!」とか必殺技を促す。 幹部(PC5)を見付けたら「もう逃がさないぞ!」と足止めをして浄化を狙おう。 |
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PC3:ウォーティサファイヤ 水龍を操る 地味(牛乳瓶眼鏡) 正体を隠す為、控えめ PC4は天敵。避けまくっている 昼はラキアのお弁当で和む フィンが来たら追い払う ヤミオチ大量発生の調査 チョコ店に通り掛かった所、イーブルハート発生 フィンが居る為に変身躊躇 逃げろ!とフィンに叫ぶが、逆に怪物に攻撃から庇われ 馬鹿!どうして俺を庇った? …馬鹿は…俺だ 戦えるのは俺達しか居ないのに躊躇して 「開放!ウォーティサファイヤ!」 変身し、魔力でフィンの怪我を癒やす そのせいで魔力ダウン 大ピンチに陥るもフィンの応援の声に力が湧く 「何でだ?力が…」 ルビーとの合体技必殺技でトドメ 元に戻った2人は見逃す バトル後、フィンの約束に笑顔見せ |
●アバンタイトル
チュンチュン……今日も平和な雀のさえずりが降り注ぐ爽やかな朝。
「いってきまーす!」
黒と赤が一軒家から出てくる。
「家には誰も居ないんだし、いってきますって言わなくてもいいんじゃないか?」
苦笑しながら黒髪――セイリュー・グラシアが、先程元気な挨拶を家に向かって放ったラキア・ジェイドバインに言う。
「でも……父さんと母さんがいるときからずっと言うのが癖というか習慣になってて……」
と眉尻を下げるラキアに、セイリューは微笑んで、ポンと義弟の頭をなでた。
「そういうところ、いいと思うけどな」
学校に向かう途中の十字路、牛乳ビンの底のような分厚いメガネを掛けた少年がラキア達に交差するように歩いてくる。
「あっ、海十! おはよー!」
親友を見つけ、ラキアは笑顔で大きく手を振った。
「あ、おはよう……」
ラキアと対照的に控えめな態度で胸元で手を振る蒼崎 海十に、ラキアは一目散に駆け寄っていく。
「今日も仲いいなー」
と微笑ましく二人を見ているセイリューは知らない。
彼らが、この街を悪の手から守る魔法戦闘美少女『ツイン・ジェムティア』であることを!
平和なタブロス市を憎しみで満たそうとする悪の組織『グリーンアイ』。
彼らは人々の心をもてあそび、『悩める恋心』を抱かせ、そのマイナスな感情を増幅させて人々を怪人『イーブルハート』に変えることで、世界を壊そうとしていた。
『イーブルハート』を浄化できるのは、選ばれし伝説の魔法少女『ツイン・ジェムティア』だけ。
――だが、美麗なドレスを纏って華麗に戦う美少女『ツイン・ジェムティア』の正体が、男子高校生であることは絶対の秘密である。
『ほろにがチョコはサヨナラの調べ!』
●Aパート
昼休みを告げる鐘と共に、生徒たちは教室を駆け出していく。売店で焼きそばパン争奪戦を勝ち抜くため、日当たりの良いお弁当スポットを確保するため……。
「いただきます」
屋上の給水タンクに背を預け、手を合わせてから海十は膝にのせたお弁当の蓋を開けた。
眩しいくらいの黄色のだし巻き卵に、愛らしくカットされたウィンナー、カラフルなカップに盛られたきんぴらやポテトサラダに、冷めてもなお香ばしい唐揚げ……。
一口食べて、海十は頬を緩ませる。
「いつもだけど、ラキアのお弁当は美味しいな……。いつも悪い」
「ううん、二つ作るのも三つ作るのも同じだから」
ラキアは嬉しそうに笑って首を振る。
「俺もラキアの料理は大好きだ!」
向かい合うように弁当を広げているセイリューが大きく頷き、ふりかけご飯を頬張る。
「やっぱりご飯が美味しいと毎日楽しいぜ!」
「そんな……。セイリュー兄さんが毎日掃除と洗濯してくれるの、俺もとっても助かってるよ。家が綺麗だと気持ちいいもの」
「…………いつもだけど、仲いいよな」
海十は半ば呆れたように兄弟を眺め、ウィンナーをつまもうとした時……。
ひょいと狙っていたウィンナーをつまみ上げる第三者の指。
「あっ! いつの間に!」
海十は見上げ、闖入者に目を見張る。
「うんっ、いつもながらパリッと良い焼き加減だぜ」
その瞬間、パシャッとシャッター音。
「ん! いい絵がとれたっ」
カメラを確認し、にこっと笑うのは新聞部部長、フィン・ブラーシュだ。
「な、何勝手に~っ」
「んー。残念なのは、そのメガネがあることだなぁ……。海十は絶対メガネ取ったら可愛いと思うのに」
「絶対取らないっ」
ぐっとメガネのつるを両手で押さえ、海十はフィンに背を向ける。
「フィンさん、よかったらデザートのフルーツどうですか?」
ラキアが笑顔でデザート用の容器を開ける。
「おっ、気が利くね、ラキアー」
「ちょっ、こいつにそんなのいらないって!」
海十が焦る。
(「いつも物静かな海十なのに、フィンさんにだけは元気だなー」)
ラキアはそんなことを考えながら、海十の意見は無視してフィンに座るように薦めた。
フィンも、喚く海十を気にせずセイリューの横に腰を据える。
「あっ、も、もう……!」
こうなったら、逃げるが勝ちだと海十は自分が腰を上げかけるも、ラキアに押しとどめられてしまった。観念するしか無いらしい……。
ぶすくれて、海十は俯いてもそもそとお弁当を食べることに集中する。やはり美味しい。
フィンはそんな海十に面白い小動物を見るような視線を向けながら、一枚のチラシをとりだした。
「これ、知ってるか?」
「どれどれ?」
セイリューが床に置かれたチラシを覗き込み、読み上げる。
「バレンタイン特別セール……。あのブランドチョコレートがなんと破格の大出血価格で貴女の手に……?」
「一昨日から開店してるんだが、なんだか不穏な話を聞くんだ」
と語るフィンの口調は弾まない。
「どんな?」
ラキアが水を向ける。海十は唐揚げに集中するふりをしているが、耳はフィンの言葉を聞き逃すまいとそばだてている。
「いや……バレンタイン用のチョコレートだから、まだ食べる人は少ないようなんだが」
有名なブランドチョコレートが格安だから、とおやつ用に食べた人が、鬱状態になったり凶暴になったり、とにかくマイナス方向に精神が不安定になるのだという。
「まさかチョコレートに変なものが入ってるとは思わないし、何かの偶然なんだろうと思うがな……」
と思案にふけるフィン。新聞部として記事にすべきかどうか、ゴシップとしても悩ましいところである。
それを聞き、ラキアと海十は気付かれぬようにアイコンタクトした。
なんだか、不穏なものを感じるのだ。そうジェムティアの勘が告げている、これは……『グリーンアイ』のしわざだと。
「……へぇ」
ラキアと海十の話を教室で聞き、クラスメイトであり唯一二人の秘密を共有するアキ・セイジは、ゆっくりと腕を組んだ。
「確かに、怪しいね」
「でしょう? バレンタインデーになったら……沢山のチョコレートが、恋人達の口に入ってしまう……」
ラキアの顔が曇る。海十が続ける。
「そしたら、イーブルハートが大量発生するかも……、だな」
「そんなの、許せないよ!」
ラキアがぐっと拳を握った。
「今日、見てくるよ」
セイジが呟く。
「えっ、そんな。俺達も行くよ」
「ううん、まずは俺一人で行くよ。心配しないで、偵察するだけだ。もしかしたら君たちをおびき寄せる罠かもしれない。陽動だったらどうする?」
セイジの理路整然とした話に、ラキアと海十は頷くしか無い。
「う……」
「じゃあ、お願いするよ。でも、くれぐれも気を、つけてね……」
うん、と頷きながらも、セイジの心は遠くを向いている。
(「まさか、ランス……君の仕業、なのか……?」)
ジェムティアと対峙する『グリーンアイ』の幹部、ヴェルトール・ランスにセイジは秘めた恋心を抱いていた。
まさか敵の幹部に懸想しているなど、仲間とはいえジェムティアには告げられない。
祈りのように願う。
「これが敵の仕業じゃなかったって、言えたらいい……のにな」
望みは薄くても、期待して、セイジは放課後、チョコレートセールを行っている臨時店舗へと赴くのであった。
●Bパート
バイクで店舗の前に乗り付けたセイジは、ヘルメットを脱ぎながら店舗を見やる。
「ここか……」
不穏な噂はあるものの、学生には到底手が届かないような高級チョコレートが、格安で手に入る店とあって、大量の女子学生でごったがえしている。
「っ……ここに入るのか……」
男子としてなかなか気後れするシチュエーションだ。
そんな躊躇の様子を、遥か離れた公会堂の尖塔に立って眺めている犬耳の男一人。
「お、あいつは……ジェムティアのオトモダチじゃねえか」
と呟く彼こそが『グリーンアイ』の幹部ランスである。
ジェムティアの予感はあたっていたのだ。このチョコレート店はランスによる、イーブルハート大量発生事件の布石なのである。
「もしかして、あいつもチョコレートを買いに来たってのか」
もやり。
ランスの胸に黒いもやが渦巻く。
セイジが頬を染めながらチョコレートを誰かに渡すところを想像すると、どうにも苛立つ。
「っ……なんでだよ! ん? というか、これは、好機……だよな」
ジェムティアの友人がイーブルハートになれば、彼女らの精神的ショックはいかばかりであろうか。
「ふっふははっ、よぉし、そうと決まれば!」
シュンッ。常人離れした『悪の幹部』ならではの跳躍を見せ、ランスは店へと急いだ。
「ふぅ……一つ買うのも一苦労だった……」
女性たちにもみくちゃにされながらも、なんとか手に入れたチョコレートを袋から取り出し、セイジは怪しいところはないかと天にかざしてみる。
「見た目は……普通だな。ま、そんな見た目から変なわけはない、か」
(あげたり出来ない相手なのに。俺ってホント、バカ)
自重する自分の心を見ないふりをして、包装をはがし、茶色くて甘い香りを漂わせる塊に恐る恐るセイジは口を近づけていく。
「はむっ」
思い切って口に放り込む。
その途端、セイジの胸から真っ黒なオーラが噴き上がって彼を包んだ。
「っ! ~~~っ!」
セイジは為す術もなくオーラに飲み込まれ、気が遠くなっていく。
(「でも、どこかで、……分かってたんだ。食べたら、落ちるって」)
誰にも言えない苦しい切ない思い――それは、容易に『悩める恋心』に変わりうる。つまり危険な爆弾を抱えているようなもの。
少しのきっかけで、イーブルハートになる、と――分かってた。
――グォオオオオーーーッ!!
咆哮が街に響き渡る。
それは真っ黒な翼の生えたドラゴンの姿をしていた。
「くっははは、いいざまだ。ジェムティアのお助けキャラがイーブルハートとはな!」
イーブルハートの側に降り立ち、ランスは高らかに笑う。
笑いながらも、イーブルハートになるということは、セイジが誰かに悩める恋心を抱いているという証拠であることに、胸が痛むランスだ。
だが、そんな痛みは気づかぬふりで。
「さあ、やれ。タブロスをボロボロにしてやれ!!」
ランスはイーブルハートに命じる。巨大竜は咆哮をあげながら、ずしん、ずしんと街を踏み潰し、巨大な尻尾で車をなぎ倒す。
悲鳴と共に土煙がもうもうと上がった。
「! あれは!」
ラキアは煙を指さした。
セイジは一人でいいといったがそれでも心配だったラキアは海十を誘ってチョコレート店に向かっていたのだ。
「店のほうだ。急ごう」
海十が走りだす。もちろんラキアも続く。
しかし店に近づくまでもなかった。
すぐにぬうっと姿を見せた黒竜に二人は思わず同時に叫んだ。
「「イーブルハート!!!」」
だから、二人がやることはひとつしかない。
「かいほ……」
叫びかけたが、海十はラキアを止めた。
「どうしたの、海……」
「フィンだ……」
チョコレート店を独自に調査していたのだろう。フィンが黒竜を前にして、カメラを震える手で構えようとしている。
「あぶない! 早く、変身して助けないと……」
「でも、今変身したらバレる……っ」
ラキアをまだ海十は押しとどめる。
その時、竜のしっぽが振り回される。
「!」
ジェムティアなら、難なく避けられた。でも、海十はまだ海十なのだ。
絶体絶命だ。そう目をぐっと閉じた時。
「逃げろ、海十っ! ぐあっ!」
と言う声とともに自分は突き飛ばされ、すぐ前で鈍い音と激しい風が通りすぎた。
「~っ……え?」
想像とは違う展開に海十はそうっと目を開く。
「フィンさん!」
ラキアの悲鳴のような声に、ようやく海十は現実を受け入れた。
「フィン!! なんでだよ、なんで逃げなかったんだよ!」
大急ぎで倒れ伏すフィンに駆け寄り、海十は叫ぶ。側にしゃがみこんで揺らそうとしたら、むやみに動かすな、とラキアに止められた。
「馬鹿! どうして俺を庇った?!」
「どうしてって……勝手に身体が動いたんだ。理由なんかあるか」
呻きながらフィンは苦々しく呟く。
「そんな……」
どうしよう、どうすればという単語が海十の脳内に充満する。
その間にもイーブルハートは街を破壊し続けている。
「海十……っ」
ラキアが焦れたように声をかけた。
「ああ……馬鹿は、俺だ……」
海十はようやくよろりと立ち上がる。
「にげ、ろ、海十……」
とフィンが言うのを見下ろし、
「逃げない」
海十はきっぱりと言い切った。
「躊躇なんかした俺が馬鹿だったんだ。戦えるのは俺達しか居ないのに!」
海十は決意の眼差しでラキアを見つめ、頷いた。
うなずきを返し、ラキアは叫ぶ。
「開放! フレイムルビー!」
赤の光がラキアを包む。
衣服が光輝き、フリルとリボン、宝石が輝く愛らしいコスチュームに変化していく。
ラキアの髪もバサリとポニーテールが解け、真っ赤に輝くツインテールに結い直された。
甲に大きな紅玉が光る手に、ピンクのタクトが現れる。
ゴウッと熱い焔の渦が螺旋を描いて、消えた。
「情熱の愛の戦士、フレイムルビー!!」
戦闘美少女ジェムティア、フレイムルビーがそこに立っていた。
「そ、そんな……じゃあ、まさか」
呆然としているフィンの目の前で、決意を固めた海十は叫んだ。
「開放! ウォーティサファイア!」
青の光が海十を包む。
ラキアと同じプロセスを踏み、メガネは消え、短髪は長く広がり、艶やかな青いストレートヘアが膝まで伸びる。
「安寧の愛の戦士、ウォーティサファイア!!」
海十はあっという間に戦闘美少女ジェムティア、ウォーティサファイアに変身を完了させ、名乗りを上げた。
「なっ……海十がウォーティサファイア……。海十が気になってたのは、こういう……」
「フィン、私の……いや、俺のせいで、ごめん」
ウォーティサファイアの手が青い光を放つ。
そっとフィンに手をかざし、癒しの力を送り込んでいく。
「……ひどい怪我……」
さすがの癒しのウォーティサファイアでも、この傷を癒やすには時間がかかりそうだった。
「ハハハハ……。思ったよりもお早い登場だな」
「こんなときに、ランス!」
フレイムルビーの声に、ランスは満足気に頷く。
「いいものを見せてやる」
すいとランスが指を揺らすと、黒竜は黒の塊に変わり、ギュルギュルと凝縮して行くやいなや、龍の羽はそのままにセイジの姿に変わった。
「セイジ……ッ!?」
「な……っ。悩める恋心をセイジが持ってたなんて」
ランスは動揺するジェムティアを嬉しげに見、そしてセイジの耳元に近づき、囁いた。
「かつての仲間を殺せ……。そうしたら俺様が可愛がってやるよ」
「う、うぅ……」
苦しげにセイジは眉を寄せ、そして手から自動車を出現させるとウォーティサファイアに向けて放った。
「っ!」
だが、その車は剣で弾かれ、何もない地面に突き刺さる。
「アメジストナイト!」
フレイムルビーが明るい声で助っ人の名前を呼んだ。
「君達を護るのがナイトの務めさ」
顔の半分を仮面で覆った青年が、ウォーティサファイアを庇うように立っていた。
次々と発射される自販機やバイクを紙一重でいなしながら、アメジストナイトは気づいた。
放たれた物体は、一瞬前にこの地上にあったもの……。
「こいつは周囲の物を瞬間移動させているんだ!」
アメジストナイトが看破する。
「そうなのか……なら……っ」
フレイムルビーは心得た、とタクトを振るう。
タクトに操られるように炎の竜が暴れ、周囲の危険そうなものを焼きつくしていく。
「ちっ、させるか。イーブルハート!」
「くうっ」
セイジが燃え尽きそうな自転車を召喚し、放った。
「させない……!」
ウォーティサファイアが水の竜を放つ。竜が火の玉になった自転車に巻き付き押しとどめるも、業火が消しきれない。
「う、ううっ……なんでだ? 力、が……」
ウォーティサファイアの意志とは裏腹に、水の竜は細くなっていくばかりで、もはや消えてしまいそう。自転車が竜を押しきって、ウォーティサファイアに激突する。
「キャアッ!」
ダメージをくらい、倒れ伏したウォーティサファイアを見て、ようやく立てるまでに回復したフィンはおろおろと焦る。
「何で……、まさか俺を癒やしたから、力が出ないのか? そんな……」
「に、逃げて、フィン……」
続けて燃える縁石が飛んでくる。
「逃げない! 俺を一度どころか二度までも助けてくれた人のピンチを放ってなんておけない。立て! ウォーティサファイア!!」
懸命に声援を送るフィンの声を聞き、ウォーティサファイアは一度は尽きかけた竜が大きくなっていくのを認めた。
「力が……? あ、ありがとう……フィン!」
もう負けない、と猛る水の竜に飲み込まれ、縁石は一瞬で水圧で消滅する。
「今だ!」
アメジストナイトが剣を投擲する。的確にセイジの翼を貫いた紫水晶の剣が空中でパァッときらめいて散った。穴が空いた飛膜ではもう飛べない。
落下するセイジを認め、アメジストナイトは去りながらジェムティアに告げる。
「今こそ、浄化のチャンスだ!」
「ありがとう、アメジストナイト!」
フレイムルビーとウォーティサファイアは互いに走り寄ると、手を繋ぎ合う。
生まれいでる炎竜と水竜が螺旋を描いて絡みあい、一条の光と化す。
「「コランダム・ノヴァ!!」」
まばゆい光がセイジを飲み込み、彼を蝕んでいた黒いオーラを消し飛ばした。
変身を解いた海十に、フィンが駆け寄る。
「大丈夫か!」
「それはこっちの台詞だ」
戻ってきた瓶底眼鏡をかけ直し、海十は恥ずかしそうに俯いた。
「海十がウォーティサファイアだったんだな……」
「秘密なんだ。頼むから記事には……」
と言いかけた海十に、フィンは皆まで言うなとばかりに首を横に振った。
「言わないよ、誰にも。俺とお前だけの秘密だ」
差し出されたフィンの小指に、海十は自分のそれを絡めた。
微笑ましくラキアはその様子を眺めていた。
●Cパート
「ちっ……またしても」
ランスは作戦の失敗を見て、撤退しようとする。
だが、ランスの服を掴んで、セイジが彼を止める。
「待って」
「離せ!」
「グリーンアイから足を洗ってくれ!」
まさかのセイジの発言に、ラキアや海十、フィンまでも硬直した。
「はぁ?!」
ぎょっとするランスを、セイジはキッと睨んでいると思えるほど強く見つめる。
「ランスが好きなんだっ。渡せるわけもないのに、調査なんて言い訳しながらチョコレートを買ってしまうほど……」
「なっ……」
まさか、セイジが自分に恋心を抱いていたとは思っていなかったランスは、驚くも……妙に腑に落ちた。
「はは、なるほどな……」
だからセイジがイーブルハートになった時、セイジが懸想している『誰か』に嫉妬したのだ。
「俺は心の何処かで……イーブルハートに、なりたかったんだ。お前と戦うなんて出来なくて、でも活動を許すことも出来ない。そんな不甲斐ない自分を壊してしまいたかったんだ!」
ランスは、セイジの激白を聞き、そして目を伏せる。
「わかった。お前が来るなら考えてやる」
ランスはセイジにすいと手を差し伸べる。
「抜けるとなれば命がけで逃げることになるが。お前が共に来るなら、それもまた――悪くない」
セイジは迷うことなく手をとった。
「セイジ!」
ラキアが叫ぶ。
それに切なそうに振り向いて、セイジは呟く。
「止めないでくれ……すまない」
彼方へと消えていくランスとセイジを、誰も追わなかった。
そして、タブロスはまた少しだけ……平和になった。同時に、少しだけ……寂しくなった。
| 名前:蒼崎 海十 呼び名:海十 |
名前:フィン・ブラーシュ 呼び名:フィン |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 3 / 3 ~ 3 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 02月01日 |
| 出発日 | 02月11日 00:00 |
| 予定納品日 | 02月21日 |

2015/02/10-23:59
プラン出せた―。
うまくいきますように!
2015/02/10-23:52
2015/02/10-23:52
モ=ジスウと戦いつつ、こちらも最終調整のプラン提出済だ
アキさんところのベーコンレタスと、セイリューさん達の活躍に、大いに期待だな!
どんな展開になるか、今から楽しみだ!
ケーキいただきます!
あらためて…
2015/02/10-22:43
プランは書けたよ。
ちなみに変身後はワイバーンの羽が生える予定。
なんかこう、でっかいスイーツになろうかとか思ったけど、うまくロールできず断念した。
ありがちな魔物だけど想像はしやすいかな、と。
俺が恋に悩んでイーブル化するわけだが、相手はオヤクソクだ。
敵の幹部に恋をするベタベタでお約束のベーコンレタスだ。と、背後が言ってる。
ベーコンレタスってなんだ?(首かしげ
イーブルハートから元に戻った後、2人まとめてトドメ刺すもよし、見逃すもよし、だそうだ。
なんだか展開がどうなるかハラハラしつつ。とりあえず一息つこうか。(ココアケーキを皿に乗せて差し出す
ダイスA+B:ケーキの数
【ダイスA(6面):6】【ダイスB(6面):4】
2015/02/09-01:13
えっ?ラキアさん、いいの、あんな変身台詞で…!
あれで良かったら、遠慮なく使ってくれると嬉しいよ。
サンキューな!
あと、弁当か~いいね!
海十の奴、料理はしないし、凄く喜ぶよ!
では、俺はその微笑ましい様子を写真撮影して、思い切り海十に嫌な顔をされよう(爽笑)
…も、モ=ジスウと戦ってくる…!
2015/02/08-19:40
炎の戦闘美少女『フレイムルビー』担当のラキアです。
変身科白も考えてみたけど、良いのが浮かばなかった・・・!
なので蒼崎さんの科白に乗っからせて貰っちゃっていいかな?
何しろモ=ジスウが強敵だし(泣。
蒼崎さんとはバトル前の日常モードで
親友っぽく一緒にお弁当食べるとか考え中。
毎朝兄の分も一緒にお弁当作っているから
2つが3つになっても変わらないし!
2015/02/08-01:15
あ、モジ=スウじゃなくて、モ=ジスウだった!(汗)
…プランの誤字がないか、見なおしてくるか←
2015/02/08-01:13
プラン書いてみたけど…モジ=スウ、強敵だな…!
変身時の台詞も、色々考えてみたけど、今のところ、
「開放!ウォーティサファイヤ!」
が一番文字数少なかった。
だから、文字数の都合上、これで行こうかな…って(センスなくてすまない!)
もし、ラキアさん側で良い変身台詞があったら、全力でそれに乗っかっていこうと思うぞ(殴)
変身ポーズとかはGM様任せになりそうな予感だ…
あと、皆との絡みも…!
一応、最後に合体必殺技でトドメってのは入れてみた。
まだ日数あるから、モジ=スウと戦いつつ調整は可能だよ。
2015/02/07-11:05
書き込みありがとう。なんとなく設定も見えてきた感じだな。
あとは、これをプランに組み立てるだけだ。頑張ろうな(ぐっ
しかし、これ、
最大の敵はモ=ジスウだと思うんだ…
倒せるかな
2015/02/06-00:59
はーい、ドーモドーモ!
海十が恥ずかしがってるから、代わりに俺が色々考えてみる事にしたよ。
よろしくね。
タブロス市街(チョコ店の周辺)戦ね。了解!
セイリューくんが言ってくれた、『ウォーティサファイヤ』が水龍を操って、
『フレイムルビー』の炎竜と合体技必殺技が出来るって、凄くイイネ!
俺もそれに一票入れたいと思います。
んでもって…
PC3:『ウォーティサファイヤ』が海十。
普段は地味~なガリ勉メガネ君。
魔法少女『ツイン・ジェムティア』である事を隠すため、普段は地味~に暮らしてるよ。
PC4:俺。
明るく爽やかな新聞部の部長。
いつもカメラ片手に『ツイン・ジェムティア』を追い掛けてる。シャッターチャンスが逃がさない!
地味~にしてる海十の事がなんとなーく気になってて、眼鏡を外してみるよう強要しては、逃げられてるぞ。
海十にとっては、天敵的存在だね。
…今のところ、こんなカンジかな。
アレだよね、変身ポーズとか台詞とかも、考えなきゃだよね。
どうせだから、色々キラキラしたのを…(ニヤリ)
2015/02/05-22:53
うん、さくっと決まった。
PC1『フレイムルビー』をラキアが、
PC2『アメジストナイト』をオレ、セイリューが担当するつもり。
詳細設定は今考え中。
『フレイムルビー』は炎を「炎竜のように扱い動かす事が出来る」
とか漠然とイメージ膨らませ中。炎が舞うように自在に動くイメージ。
『ウォーティサファイヤ』が水龍を操れたりするなら
2人の複合技で水蒸気爆発な最終必殺技が出来ると良いな・・・とか。
まだ漠然としたイメージしか無くてゴメンヨ。
2015/02/05-18:09
サクッと配役が決まったな。
舞台と事件について一寸提案も交えてPC5とPC6の設定を話しておくよ。
◆設定と、事件の提案
背後の予定によると、
PC6の「イーブルハート」に変えられるのが神人の俺(セイジ)、
PC5の悪の幹部がランスだそうだ。
えーと(設定読み読み
俺は従前は魔法少女のサポート役(自分では戦えないけど調べ物したり手当てしたりするアレだな)として悪の組織と戦っていた。
イーブルハートになったあとは主武器は鞭、時間を一瞬とめたり空間を入替えたりするらしい。
魔法少女と自分を入替えて同士打ちを狙う。…なんか嫌な相手だな。
飽和攻撃によるMPの枯渇狙いが効果的…ってタコナグリにしろってことか(やれやれ
ヤミオチの原因は許されない恋に身を焦がしたため。と。
PC5のランスが今回企む悪の計画は、
バレンタインデーのチョコを恋する人に渡して想いを叶えようとする若者達に、
食べたら憎しみの心が増すチョコを格安で売りつけてヤミオチ大量発生を狙うという凄くベタな内容だ。
戦闘描写と人間ドラマに文字を割きたいので、凝った計画は作らないと背後が言っている(苦笑)
PC6の俺はチョコの憎しみによって今まで溜まってたダークなエナジーが魂を真黒に濁らせたために、ヤミオチしたわけか。
というわけで舞台はタブロス市街(チョコ店の周辺)を提案するよ。市街戦だな。
ソウルジェムが真黒? それって円環の理がどーのーこのしないと救えないじゃないか。何とかしてやってくれ(苦笑
2015/02/05-01:55
蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
皆さん、宜しくお願いします。
俺達は特に拘りはなかったので、PC3とPC4で問題ありません。
フィン:となると…海十が水の戦闘美少女『ウォーティサファイヤ』か(こそっと呟いた)
2015/02/05-00:16
セイリュー・グラシアとライフビショップのラキアだ。
ちよっと面白そうだよな。ヨロシク。
オレ達はPC1とPC2のセットを希望だぜ。
2015/02/05-00:07
アキ・セイジだ。相棒はウイズのランス。よろしくな。
ベタにPC5とPC6のセットを希望している。
でも他にもその役が良いという人が居るかもしれない。
その場合はサイコロで決める(方法の詳細は希望が重なってから決める)方向でどうかな?
と提案して、とりあえず他の人の希望を見守っておく。

