


●ノワール、あるいはカオス
机の前で男が瞑想している。
黒い髪は丁寧に後ろへ流して束ね、目鼻がくっきりした顔を縁取るように顎髭が生えている。
十人に聞けば十人がイイ男だと称し、そのうちの八人はセクシーだとも言い添えそうな男だ。
ふいに、男がぽつりと呟いた。
「飽きた」
近くにいた男の部下達が一斉に男を振り返る。部下達が固唾を飲んで男の様子を窺うが、男は動かない。
次の言葉を予測し、一人は奥の部屋へと駆け込む、また別の一人は電話へと手を伸ばし、また別の一人は急いで机の上に広げたものを片付け始める。
「飽きた」
再び男が呟いた。
直後、バンッと机を叩く。
「あ、き、たああああああああああああああああああああ!!」
バンバンバン。
何度も何度も男は机を叩く。誰がどう見ても駄々をこねる子供にしか見えない。
これあれだ、残念なイケメンってやつだ。
「落ち着いてください、あと二枚仕上げれば今日は終わりですよ!」
「店長、デザイン画、デザイン画が駄目になるから落ち着いてください!」
慌てて宥めにいく部下に、手馴れた様子で電話をかける部下。
暴れる男が原因で、店内には一時的に暴風警報が発令された。
貸衣装店『ソレル・ノワール』は、衣装のレンタルだけでなく販売もオーダーメイドも行っている。
その全てが男――店主兼デザイナーであるレナールの作品だ。
しかし、このレナールにはある悪癖があった。仕事が煮詰まると仕事以外のデザインをしたくなるのだ。
これ自体はまあ、いい。似たようなことをする者は少なくないだろう。
ただし、レナールの場合は――
「魔法少女、男の魔法少女を考えさせろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
部下の一人はカウンターの影に隠れ、兄妹店である『ソレル・ルージュ』の店長にしてレナールの実妹であるルイーズに電話をかけた。
兄の扱いをよく心得ているルイーズの指示通りに宥めれば、すぐに治まるからだ。
「すみません、いつものアレです」
『そろそろかとは思ってたわ。新しいステッキあげてみた?』
「クリスマスが近いせいで、どこも品薄で……。すでにあるものしかなかったんですよ」
『あっちゃー……。んー、そうねぇ……じゃあ、ウィンクルムに頼んでみたら?』
「……はい?」
『この前ね、私もお客さんの紹介でA.R.O.A.で募集かけさせてもらったのよ。好きにデザインしたいから、そのモデルになってくれませんかーって。
デザイン料だけは頂くけど、他所で仕立ててもらってもいいし、捨ててもらってもいいしって感じで』
「でも、今日中に大体のところを仕上げてもらわないと不味いのがあるんですけども……」
『大丈夫よ、餌をぶら下げればすぐにやる気出すから。提案してみなさい。それじゃあね』
通話が切られた受話器を部下は見つめる。本当に大丈夫か……?
ツー、ツーと鳴るだけの受話器が部下の疑念に答える訳は無い。
ええい、ままよ!
部下は立ち上がり、暴風の只中へと突っ込んでいった。
結果は……まあ、君達がこの話を耳にしているということから察して欲しい。


○参加費
デザイン料300jr
○すること
魔法少女(♂)のコスチュームをデザインしてもらいましょう
神人か精霊、どちらの魔法少女(♂)デザインをお求めか明記をお願いします
・どんな設定の魔法少女(♂)か言ってみましょう
それに見合ったモチーフなどが組み込まれるかもしれません
・ポーズ込みで必殺技を見せましょう
必殺技が映えるデザインにしてもらえるかもしれません
・パートナーは?
魔法少女(♂)ぐへへ……しててもいいですし
なんで俺のパートナーこんなことしてんの……?と遠い目になっててもいいですし
俺も魔法少女(♂)になりたかった、キー!とハンケチを噛み締めててもいいですし
紅茶か珈琲を出してもらえるので、それを飲みながら眺めてるだけでもいいですし
ようするにお好きにどうぞ
○登場人物
・レナール
残念なイケメン店主。
普段はオネエ口調ですが、テンション上がりすぎると野郎になります
○注意
レナールがどんな魔法少女(♂)コスチュームをデザインするかは指定できません
こーやが趣味と趣味と趣味と趣味で考えますので御了承ください
なお、『豆腐』の記述は不要です
参加された=酷いのをお望みだと判断します、覚悟してください
ぴゅあなこーやは、もういない……
ここにいるのは、復讐に狩られたただ一つの豆腐、KOU-YAHだ!!!


◆アクション・プラン
羽瀬川 千代(ラセルタ=ブラドッツ)
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俺はもう、夏の頃に魔法少女は体験済なので(遠い目 ラセルタさんの設定を一緒に聞かせて貰うね 席に着いて紅茶を頂きながら彼の動向を見守る 何を語られてもまず冷静に、紅茶を噴き出す訳にはいかないから (ラセルタさん、話に熱が入ってるなぁ…。 好き嫌いがハッキリしている分、楽しそうな時は本当にいきいきしてる) 真っ直ぐに差し向けられたステッキに瞳見開き (俺が隠した気持ちについて言っているわけではない、のは分かっているけれど 繋げて考えてしまうのは、少しだけ後ろめたい気持ちがあるからだろうか 出来上がったデザイン画を着用した彼の姿を思い浮かべてみる ……可愛いかもしれない、ね?(口元押さえ後ろ向けば、笑み堪えきれず漏れ |
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ゼクー、魔法少女(♂)になっ まで言ったら俺は帰るとか言い出したので 仕方なく僕がモデルになろう。レナールさんお願いします でも男の魔法少女って言うからには男っぽい人の方が モデル向きなんじゃないのかにゃ。ごめんなさい? せっかくだからゼクに大まかな設定決めて貰うよ どんなのが好み? えーと ゼクさん? 前々から可愛いもの実は好きそうだよね、とは思ってたけど やっぱりふわふわキュート清楚系が好みなのか 必殺技(乙女の恋心)ポーズはそれに似合いそうなの考えとくね! こう片足を台か何かに乗せて、視線は下に、 手には程よく撓る革製のム……魔法のステッキ(意味深)を持って お仕置きのお時間ですねってうっすら微笑めばホラそれっぽい |
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ラキアを素敵な魔法少女にして下さいお願いします! 癒しの精霊ライフビショップとなれば、もうそれだけで魔法少女!異論は認めない(キリッ。 オレのラキアはきっと魔法少女の姿かぜ似合う!オレの心の眼にはその麗しい姿がハッキリと見える! さあレナールさんもその創造の情熱を存分に迸らせようぜ!舞い上がる不死鳥のごとく! え?魔法少女設定? 植物を友とし、花達に愛される癒しの天使さ。 得意魔法は各種回復。 最大魔法は 『祈りを捧げると その無垢な祈りの姿をを讃えるかのごとく 傍の花達が一斉に花開き癒しの光を振りまく。 芳しい香りで精神の歪みも浄化され 幸福に包まれたまま敵は消え去る』 名付けてエターナルプルーム! さ、ラキア祈って! |
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☆心情 「魔法少女? ユズがやる! わぁルカ様ノリノリですの~」 ☆魔法少女優純絆 ☆設定 ・人の心癒し魔力で具現化した心の欠片をテディ(テディベア)と一緒に集める男の娘 ・真の魔法少女になるべく心の欠片集めを日々頑張りライバル達を蹴落としている ☆登場台詞 「プリティーラブリーゆずきっち☆ハートをハートを下さいな?(ステップ踏んであざとくウィンクピース」 ☆必殺技 欠片を奪い取る魔法「ラブリーンラブルーンゆずルーン♪きみのハートを狙い撃ち☆(ハートを描き手の銃で撃ち抜く感じ」 欠片を浄化癒す魔法「らぶりんぴゅありんゆずりんりん!心の欠片を癒しちゃうゾ☆(ステッキでハート描き翳す」 ☆その後 「ルカ様に褒められて嬉しい」 |
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一応サウセにどうするか聞いたが、顔を青くオロオロしていた…。 無理させるのも可哀そうだし、オレがやるか。 【魔法少女の設定】 10代半ばのころに棍棒と肉体言語を使う魔法少女として、仲間とともに敵のボスを倒した。 その後一線を退いていたが、最近敵の後継者が現れて、約10年ぶりに魔法少女として戦いに出る決意をした…! しかし、当時の衣装はサイズが小さいし、露出もアレだから今の自分でも大丈夫な衣装を準備しないといけない。 装備の準備でちょっと手間取ったのは内緒★ 【必殺技】 本気狩る(マジカル)★フルスウィング (棍棒で相手をボコボコにしたあとかっ飛ばす) 棍棒を持ち、ビシッと構えてポーズ。 その後敵をフルボッコ。 |
●棍棒の魔法
フラルさんは店に入る前に、一応、聞いてみました。サウセさんに魔法少女(♂)になるかどうか的な意味でどうするかを。
すると、感情をあまり見せないサウセさんが仮面越しでも分かるほどに青くなり、オロオロしだしたのです。
無理をさせるのも可哀想なので、フラルさんが変身することにしました。
サウセさんは、フラルさんがこういう時に自分を守るように進んで色々やってくれることを申し訳なく思っているようですが、うん、そもそもこの話を受けたのは誰だろうね。
任務というかこういう企画どう?っていう呼びかけだしね、自分から申し込むタイプだしね、普段はともかく今回は守る守らないとかそういう問題じゃないと思うYO!
これじゃいけない、今の自分を変えようとすることは悪くないと思いますが、こういう時は全力で逃げることも許されているのですよ。
レナールはテーブルの上に両肘を突き、組んだ手の上の顔を乗せている。
その目は真剣そのもの。顔だけ見ればイケメン。
「さあ、貴方はどんな魔法少女になってくれるのかしら?」
くい、フラルは眼鏡のブリッジを持ち上げる。
レンズ越しに輝く紫の瞳。
「オレは、十代半ばのころに棍棒と肉体言語を使う魔法少女として、仲間とともに敵のボスを倒した。
その後は一線を引いていたんだが……」
フラルの紫の瞳とレナールの黒い瞳がぶつかる。
どちらの瞳にも迷いは無い。
「最近敵の後継者が現れた。こうなっては仕方ない、オレは約十年ぶりに魔法少女として戦いに出る決意をした……!
しかし、しかしだ!」
ずずい。フラルはレナールのテーブルに手を突き、距離を詰める。
レナールは引くことなくフラルの言葉を待った。
「当時の衣装はサイズが小さいし、露出もアレだから今の自分でも大丈夫な衣装を準備しないといけない」
「それじゃあ、必殺技は?」
フラルがテーブルから数歩離れる。その手には棍棒。こえぇよ。
びしっとポーズを決めて、叫んだ。
「本気狩る(マジカル)★フルスウィング!」
言い終えるや否や、棍棒を何度も振りかざす。そこに敵がいるように。そしてフルウィング。
決まった……と思いきや。
「それで終わり?」
「用意していた分はこれだけだが」
「ふーん……まあ、分かったわ。暫く待ってて」
サウセはそんなフラルを離れたテーブルから眺めていた。
用意された紅茶が温かい。
心なしか、自分達はこういう企画や任務ばかりを受けている気がする。
真顔で設定を披露するフラルの姿を見ると、もしや彼はこういうのが好きなんじゃなかろうかと思ってしまう。
ついと、仮面の下で視線を動かせば、次のデザイン希望者の為だろうか。
すぐ側のカウンターで、レナールの部下はお茶の準備をしている。
「店主の方の暴走らしいですが、大変ですね……」
「そうでもないですよ。慣れましたから」
苦笑い気味の部下に、サウセは思った。
やっぱり大変そうだ。
「とりあえずこんな感じねー。裏事情的なものよりも、もうちょっと特徴的な魔法少女設定が欲しかったかしら」
言いながらレナールが差し出したデザイン画には、黄色い膝丈のワンピースが描かれていた。
一般的な魔法少女からすればスカートのボリュームは控えめだ。
十代の頃から十年近くたって衣装を仕立て直したいという設定から来た物だろう。長さが一律でない裾は、色合いが近い生地を何枚も重ねるようだ。
それは袖の形からも窺える。これまたお約束のパフスリーブではなく半袖のベルスリーブで、襟はスカーフ状になっている。
そして手には棍棒。何故か先端に赤い血痕っぽいなにかが描かれていたが、フラルもサウセもそこに触れることなくデザイン画を持ち帰ったのであった。
●祈りの魔法
「ラキアを素敵な魔法少女にして下さいお願いします!」
「その心意気やよし!必ず完璧な魔法少女にしてあげるわ!」
セイリュー、君ってはホントに……ラキアは世を儚むように遠くを見ている。
なんかこんなラキアさん書くの二回目な気がする気のせいか気のせいだな。
でもと、ラキアは思い直す。
ムキムキで衣装ぴちぴちなマッシブ魔法少女を見るよりかは心のダメージは小さくて済むのだと。
尊い自己犠牲の精神である。
「癒しの精霊ライフビショップとなれば、もうそれだけで魔法少女!異論は認めない」
きりっ!
渾身の決め顔。男性神人って何故かこういう場所での方がイケメン顔見せるんだよね、どうしてだろうね。
「ええ、そうね。間違いないわ、異論なんてできやしない!」
「だろ?オレのラキアはきっと魔法少女の姿が似合う!オレの心の眼にはその麗しい姿がハッキリと見える!さあレナールさんもその創造の情熱を存分に迸らせようぜ!舞い上がる不死鳥のごとく!」
「ばああああにいいいいいいいいいいん!!」
燃え上がるセイリューとレナールを尻目に、ラキアは目と耳から精神への接続回路の接続を解除することに決めた。
我関せず。
ラキアは用意された紅茶をすする。
程よい温かさの紅茶からはほんのりと薔薇のような香りがした。
「さあ、それじゃあ設定を聞かせてもらおうじゃない」
ずずいと身を乗り出すレナールの姿はラキアには見えない。
隣で座るセイリューが同じように身を乗り出したのも見えない見えない。
「植物を友とし、花達に愛される癒しの天使さ」
「なるほど、ライフビショップだから癒し。そして癒しと植物はお約束ね!」
「そういうことさ。得意魔法は勿論癒し、回復。酷い肩こりだってなんのその!」
見えない聞こえないことにしたかったが迸る設定にラキアはとうとう紅茶を噴出しそうになった。
「何故その設定がすらすら出るの!?」
しかしラキアの疑問はレナールとセイリューには届かない。
いまやそれどころではないのだ。
「幅広い層の味方ね!敵も欲しがる逸材に違いないわ!」
「そして最大魔法は」
セイリューがばっと腕を広げる。その様子をレナールは食い入るように見つめている。
ラキアは目を白黒させている。
「祈りを捧げるとその無垢な祈りの姿をを讃えるかのごとく、傍の花達が一斉に花開き癒しの光を振りまく。
芳しい香りで精神の歪みも浄化され、幸福に包まれたまま敵は消え去る……。
名づけてエターナルプルーム!さ、ラキア祈って!」
反射的に椅子から降りて片膝突いて祈るラキア。
なんていうかな。濁流の前には小さな一本の枝なんて無力じゃん?そういうこと。
「やっぱラキアのその姿は綺麗だ、見とれるぜ」
真顔でラキアの姿をセイリューは褒める。
そう言われると悪い気はしないが、ここまでの過程を考えるとときめきも長続きする訳が無い。
「ふ、ふ、ふ……」
低い笑い声がレナールの唇から漏れ出る。
ラキアとセイリューがレナールを見れば、彼は稲妻のような速さで鉛筆を取った。
「滾ってきたああああああああああああ!!デザインは俺に任せろばりばりいいいいいいいいいいい!!!」
セイリューのこの妄想では、リリカルなものにはならないとラキアは踏んでいた。
しかし、現実は甘くない。
「出来上がったわ!我ながらいい出来だと思うの!」
すごくいい笑顔のレナールから渡されたデザイン画を見て、ラキアは真っ白になった。
可愛らしい、柔らかなピンクと緑のツーピース。
上半身は少し明るめの若葉色で、パフスリーブの短めのボレロ。胸元を濃いピンクの大きなコサージュが彩っている。
花びらのようにカットされたピンクのスカート、白いチュールのペチコートがちらりと覗いている。
そして白い小花がいくつも髪に飾られる予定である。
充分すぎるほどにリリカルでした本当にありがとうございます。
真っ白になっているラキアの横でセイリューがいいものデザインしてもらったと喜ぶ姿がとても印象的でした。
合掌。
●心の浄化
魔法少女と聞いて自分がやると言い出したのは西園寺優純絆。
そして優純絆に似合うだろうとノリノリなのはルーカス・ウェル・ファブレ。
店で練習できないと分かると、事前に練習してくるほどの念の入れっぷり。
他の人が魔法少女(♂)プレゼンしてる同じ店内で練習してたら、流石に邪魔になるからね。
というか魔法少女(♂)のプレゼンをレナールの前でやって衣装をデザインしてもらうっていう話なのに、魔法少女(♂)のプレゼンの『練習』がメインになってちゃ目的変わるよね。
「キューティーラブリーゆずきっち☆ハートをハートを下さいな?」
ステップを踏み、ウィンクとピース。あざとくいきます。
レナールへの挨拶代わりである。魔法少女に登場台詞はお約束。
レナールは椅子に腰掛けたまま、優純絆から視線を逸らさない。
「さあ、貴方はどんな魔法少女なのかしら?」
「私が説明しましょう」
すっとルーカスが優純絆の隣へと進み出る。
「人の心を癒し、魔力で具現化した心の欠片を、テディと一緒に集める男の娘。それが魔法少女、優純絆」
「ふむふむ。テディベアが相棒っていう訳ね」
「そうです。そして真の魔法少女になるべく、心の欠片集めを日々頑張り、ライバル達を蹴落としているのです!」
「近頃流行りの、ちょっとダークめな魔法少女ね。じゃあ、必殺技を見せてもらいましょうか」
レナールに頷きを返し、ルーカスは左手を広げ優純絆に披露するよう促した。
「ラブリーンラブルーンゆずルーン♪」
応えるように優純絆の指先が大きなハートを描いていく。
ルーカスとレナールが真剣な眼差しで見守る。
「きみのハートを狙い撃ち☆」
ゆっくりと優純絆は自らの手を銃に見立て……ずきゅんと、描いたハートを撃ちぬいた
レナールは成る程と、何度も頷いている。
「オーソドックスで、そしてあざとく。まさに魔法少女、ね」
「これだけではありません。ユズ」
「はいですの、ルカ様!」
優純絆はステッキをくるり、まわす。
今度はステッキの先端で、先程よりもさらに大きなハートを描いていく。
そして、ハートを完成させた優純絆のステッキが、天(井)へと翳される。
「らぶりんぴゅありんゆずりんりん!心の欠片を癒しちゃうゾ☆」
優純絆が必殺技を見せ終えると、店内から全ての物音が消える。
その静寂を、ルーカスの拍手が打ち破った。
「完璧ですよ、ユズ。練習の甲斐がありましたね」
褒められたことが嬉しくて、優純絆はえへへと笑う。
レナールには既に二人の姿が見えなくなっているようで、猛然と鉛筆を動かしていた。
「はい、出来たわよ。基本に忠実に、ピンクで考えてみたわ」
パフスリーブ、膝上丈のピンクのワンピースにフリル、リボン。まさに『THE・魔法少女』。
半袖のパフスリーブに、胸元を飾るのは大きな赤いリボン。
スカートはしっかりとペチコートで膨らませながらも、フリルがついた裾はバルーン状に絞られている。
腰を引き締めている赤いリボンは長く、膝ほどまで垂れており、魔法少女として活躍する際にはひらひらとはためく事だろう。
ルーカスはそのデザインを満足気に眺めている。
「ユズに良く似合うでしょうね。さ、衣装を受け取って着替えてきなさい」
レナールがルーカスの言葉に眉を顰めた。
どういうことだと、その表情が訴えている。
「ちょっと、待って頂戴。衣装を受け取ってって、どういうこと?
私はデザインするとは言ったけど、仕立てるとは言った覚えないんだけど」
ルーカスと優純絆は、自分達の勘違いに気付いた。
てっきり作ってもらえると思っていたようだが、デザインだけなのだと。そもそも、半日で衣装を縫い上げられる訳も無い。
うん、彼らの『勘違い』が違う意味の、例えば予め自前の衣装を着てくるという行動だったとしてもだ。
美容室にセットしてもらう為に、自分でしっかりセットしていくことは、まあ、ないよね。
ルーカスが謝罪すると、レナールは苦笑いを零して「次があるかは分からないけど、気をつけて頂戴ね」と返し、次の被害者ペアを呼んだ。
●待てー、そいつがルp
ラセルタ=ブラドッツは、とても機嫌が良かった。
どのくらいかというと何度か参加してくださってるけどこんなご機嫌なラセルタさんは初めてな気がするくらいに。
理想を作り上げる手を持つ者を素直に尊敬しているから。
ラセルタ自身は完成品を愛で、大切にする事しか出来ないから……というが完成品が魔法少女(♂)しかもラセルタさんご自身だっていうのはいいんですかそうですか。
すでに初めて(魔法少女的な意味で)を夏頃にささげてしまった羽瀬川 千代は、どこか遠い目でラセルタを見つめていた。
アレハ クロレキシ。オモイダシタクナイ デモ 腐った梨……ウウン ナンデモナイ。
席に着いた千代の下へ紅茶が届けられると同時に、バッと無駄にキレッキレな動きでラセルタは手帳を開いた。
手帳にはびっしり設定が書き込まれている。ところどころ図解付き。
只者じゃないとでも思ったのだろうか。レナールが身構える。
「じゃあ、聞かせてもらいましょうか」
「設定はこうだ。
……満月の夜、颯爽と現れる怪盗系魔法少女♂。変身アイテムは一代目魔法少女♂だった父の形見である懐中時計。
標的は本物と偽って展示されているアンティーク」
「魔法少女でありながら怪盗。新しいわね、続けて頂戴」
真剣な成人男性二人のやりとりを、千代は静かに眺める。
そう、冷静でいなくては。何を語られても冷静でいなければ、紅茶ぶしゃあああしちゃうから。
ラセルタは彼の目から見ても、話に熱が入っている。
好き嫌いがハッキリしている分、楽しそうな時は本当にいきいきしているのだ。
「そして、毎度現場で出くわす探偵役がそこに座っている千代だ」
唐突に役を振られ、千代が凍りつく。ナニソレキイテナイ。
ラセルタはそんな千代の様子を知ってかしらずか(多分知ってるけど)、話を続ける。
「日常パートはつんでれの魔法少女♂と探偵のラブコメだ」
「性格もあえて基本から外れる訳ね。いいじゃない、毎週木曜日24時ぐらいから放送されそう」
しません。
「さあ、それじゃあ……」
「分かっている」
ラセルタがステッキを右手に取る。俯いている為、その表情が窺えない。
千代は何が起きても耐えられるようにと、唇を噛む。
「全てのアンティークは私に嘘を吐けない……。偽物の呪縛から解き放ってあげる」
顔を挙げ、目元に左手を翳したラセルタがニヤリ、笑う。
ねえちょっとまってこれツンデレか、ツンデレなのか本当にツンデレなのか知らないうちにツンデレの定義が変わっただけなのか。
「イミテーション・ブレイク!」
堪えている千代へ向け、ラセルタは勢いよくステッキを向ける。
ばっちり必殺技が決まったわけなのだが、ステッキを向けられた千代は目を見開いていた。
千代が隠している気持ちに対して言った訳ではないと、分かっている。
けれど、繋げて考えてしまうのは少しだけ後ろめたさがあるからだろうか……そんな考えが、戸惑いとして表面に現れたのだ。
千代の様子を怪訝に思い、首を捻りながらもラセルタは理由を問いはしなかった。
デザイン画を見た千代の肩が震えている。
これを着た、ラセルタの姿を想像してしまったからだ。
ネイビーブルーのワンピースは怪盗という設定を反映してか、少々ほっそりとしたデザインだ。
フレンチスリーブに、ワンピースと同色の手袋。
Aライン状のスカートはペチコートで一応は膨らませているものの、ふんわりとした感じは無い。
さらに上半身は変身アイテムである懐中時計しか飾りは無いが、ゴールドの短めのトレーンが取り付けられており、そこでぐっと華やかにしている。
「……可愛いかもしれない、ね?」
堪えきれなくなった口元を手で押さえ、それでも隠し切れなくて振り返ってなお漏れる笑い声。
対してデザイン画を見るラセルタは御満悦。
いいのか、それで。
●ご褒美の鞭
「ゼクー、魔法少女(♂)になっ
「お前は俺の胃を再起不能にしたいのか。俺は帰る」
皆まで言わせてたまるかと、すぱーんと言い切ったゼク=ファル。
やれやれと言わんばかりに首を振り、柊崎 直香は盛大に溜息を吐いた。
「僕がモデルになろう。レナールさんお願いします。
でも、男の魔法少女って言うからには男っぽい人の方がモデル向きなんじゃないのかにゃ。ごめんなさい?」
「いいのよ。貴方もいい素材だということには変わりないもの。さ、それじゃあ設定を教えて頂戴」
うーん。
直香は僅かに体を左右に揺らす。悩んでいますと体が語っている。
「そうだ、せっかくだからゼクに大まかな設定決めて貰うよ。どんなのが好み?」
「あら、それも面白そうね」
レナールと直香、二人分の視線がゼクに注がれる。
ゼクは眉を顰めながらも、視線に応え……
「好みと言われても……白くて柔らかくて優しげで……」
こ、応えた?
なんか違う、そんな戸惑いが直香とレナールの二人に浮かびあがる。
「えーと、ゼクさん?」
「ああ、魔法少女の、だな
いつものでいいだろ。お前がよく着てるレースやらフリルやら付いた服。カラーリングも重要だな。
いや、魔法少女には詳しくないが」
そ、そうか。
「サバゲーのときは黒だったな。定番はピンクか。この場にいるウィンクルムと被るなら調整してくれ。
どうせなら揃えるべきだ。いや、特にこだわってはいない」
……。
「アイテムはやはり魔法のステッキだろう。少女が振るたびに揺れるスカート、フリル、リボンが醍醐味。
いや、観たことはないが」
嘘をつけ。むっちゃ見てるだろ。
「直香に合うモチーフなら猫の装飾か?魔女の使い魔よろしく月や星でキラキラと
「精霊の希望はガン無視で大丈夫です」
「……お言葉に甘えて、取り入れつつも積極的になかったことにさせてもらうわね」
これ以上、聞いてはいけないと判断した直香の考えをレナールが支持する。
突っ込んではいけないダークホール的なものをゼクから感じてしまった訳だ。
前々から、実は可愛いものが好きそうだとは思っていたが、やっぱりふわふわキュート系が好きだったかと直香は再認識する。
心のどこかで「じゃあ魔法少女(♂)になればいいのに」と囁く声は置いといて。
「必殺技(乙女の恋心)のポーズはそれに似合いそうなのがいいかにゃあ?」
悩みながら立ち上がった直香は近くに踏み台を見つけ、閃いた。
すぐさま踏み台へと向い、片足を乗せた直香をゼクとレナールが見守る。
「こう、視線は下に向けて。手には程よく撓る革製のム……魔法のステッキ(建前)を持って、お仕置きのお時間ですねってうっすら微笑めばホラそれっぽい」
それっぽくない、書いてる人を悦ばせるだけだ後馳走様です。
ゼクの瞳から光が消える。可愛いさどこへ行った、それはえすでえむなあれだ。
一方で、天啓を受けたかのようにレナールが猛然と鉛筆を動かし始めた。
見た目は王道、中身はあぶのーまるな魔法少女(♂)が、危ないハートに火をつけてしまったようだ。
魔法少女(王様)、尊い。
「出来た、出来たわ!!」
ご機嫌なレナールが差し出したデザイン画は、一見すると普通の魔法少女だった。
淡いブルーのワンピース。ふんわり膨らんだスカートに、やっぱりふんわり膨らんだパフスリーブ。
白いフリルが胸元と裾、袖を飾り、腰を飾るピンクのリボンの先端にはネコの肉球模様。
ここまではいい、ここまでは。
ただ魔法少女にしてはおかしなまでに高いピンヒール、しかもヒール部には謎の棘がついていて、鞭を持つ手に何故かごつい鎖が付いている。
足元の横に「踏むときに踵から針が飛び出る」という謎の設定まで付け加えられていてゼクさん白目。
彼は、悟った。
油断大敵だと。己の好みすら、混沌色に染められてしまうのだと、深く、深く理解してしまった。
| 名前:柊崎 直香 呼び名:直香 |
名前:ゼク=ファル 呼び名:ゼク |
| 名前:セイリュー・グラシア 呼び名:セイリュー |
名前:ラキア・ジェイドバイン 呼び名:ラキア |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | こーや |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 12月07日 |
| 出発日 | 12月12日 00:00 |
| 予定納品日 | 12月22日 |

2014/12/11-23:59
2014/12/11-23:52
後は素敵な結果が来る事を楽しみに待ってる!
(プラン提出済みの意)
2014/12/11-23:20
2014/12/11-22:04
2014/12/10-10:24
優純絆:
皆さんお久しぶりですの〜!(微笑)
魔法少女はユズがなるの☆
楽しみですの〜(ニコニコ
ルーカス:
お久しぶりですね(微笑)
さてと又私の出番みたいですねぇ
ユズには何を着させましょうか…(プロデューサースイッチオン←)
2014/12/10-09:26
2014/12/10-08:39
おはよう。
オレはフラル。相棒はマキナのサウセ。
よろしくな。
今回は魔法少女♂か。
一応、サウセにどうするか聞いてみたら、普段めったに変わらない顔色が一気に変わったな…。
なので、オレが魔法少女♂をってことになる。
設定や衣装コンセプトなどを考えよう。どういうのがいいかな…。
2014/12/10-01:11
スタンプ間違えた気がする。まあいいや。
クキザキ・タダカ参上である。あと精霊はゼクっていうんだ、ほんとはね。
・僕の魔法少女姿の設定を考える。
・ゼク自身が魔法少女(♂)になる!
の2案をゼクに突きつけた結果、光の速さで前者を選択されたので
そこそこ無難になるんじゃない?
エンドウィザードのくせにこういう時の判断は無駄に速い。
あと出発も早いので注意だー。
2014/12/10-01:10

