【愛の鐘】皆、丸太は出来たか!?(木乃 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

「単刀直入に言う、お前ら丸太作って売れ。最優先はそれだ」

尊大な口ぶりで言葉を発する帽子を深めに被った男性職員に、ウィンクルムはあんぐりと口を開けて心が一つになる。
『お前は一体、何を言っているんだ?』と。

「……ちょっとしたジョークじゃねぇか。まずブッシュド・ノエルって知ってるか?」
ブッシュド・ノエルとは。
カットしていないロールケーキをココアクリームで覆い、フォークで引っかき樹皮をかたどり、
枝に模したチョコレート、雪を模したホイップクリームや粉砂糖でデコレーションして作られるクリスマスケーキだ。

「ありゃ正確にはクリスマスの薪って意味らしいんだがよ、ちょいとサンタ連中がピンチなんだわ」
「? サンタが関係するのか?」
「例年ならサンタの力で、自然に幸せ気分になる魔法がかかるらしいんだが……
今年は力を奪われちまったせいで自然にはかからないようでな」
オーガの連中が関わってるから俺らも手伝おうって訳よ?とおどけた様子で職員は続けた。

「つー訳でだ、お前らホワイト・ヒルにあるパティスリーの手伝いをしてくれ」
「俺達が魔法をかけるって言ったって……」
「あ、忘れてた。サンタから預かりモンがあるんだよ」
職員が懐をまさぐり、会議机の上に4本のハンドベルを並べる。
黄金の鐘にオーク製のハンドル、ハンドルには緑、赤、白の三色で彩られたリボンを柊で留めている。

「メリー・ベルって言うんだが、ケーキの仕上げに
コイツを鳴らしながらクリスマスソングを一曲歌うんだ。
愛し合う2人の一曲なら効果も倍増、 かもな?」
ニヤリと面白おかしそうに笑う職員に『なっ!?』と神人と精霊に動揺が走る。

「ま、いずれにせよパティシエ連中も製作と販売に人手が足りなさすぎて首が全く回ってないそうだ。ボランティアだと思ってちょっと行ってきてくれ」

いい結果が残せたらケーキの一個くらいはおごってくれるだろう。
男性職員は変わらずニヤリと白い歯を見せながらニヒルに笑った。

解説

エプロンや三角巾の用意のため200Jr消費します。

目的:
ブッシュド・ノエルに魔法をかけて、ホワイト・ヒルで売ろう

状況:
例年ならサンタの力で自動的に幸せの魔法をかけているのですが、
今年はメリーツリーが本来の力を取り戻しきれず
サンタの力不足で魔法をかけて回る必要があります。

幸せの魔法がかかった料理を食べると幸せな気持ちになったり、世界が美しく見えたりします。

ケーキ屋:
ホワイト・ヒルのとあるパティスリーから依頼です。
パティシエ3人、売り子2人で頑張っているのですが
魔法がかかっていないせいか、売上がよろしくありません。
試行錯誤しながら並行して製作しているので、結果的に火の車になっています。

パティシエ達の依頼は『製造の補助』『販売の補助』です。
今回もまた、役割分担が大事になるでしょう。

製造:
パティシエ3人はなぜ売れないのか?と相談しています。
ウィンクルムの意見も欲しいようなので、提案してみると良いでしょう。

魔法のかけ方は、出来たケーキの仕上げに『メリー・ベル』を鳴らしながらクリスマスソングを歌ってください。
親密な関係の2人が一緒にやれば、効果は数倍になると言われています。

ハンドベルは今回は4本用意されてます。

販売:
店頭でバイトの女の子2人が売り子をしていますが、足早に帰る人が多く上手くいっていないようです。
どうやら『ケーキの魅力を上手く伝えられていない』からなので、製造したケーキを多くの人にいかに伝えられるかがポイントです。

●その他
・版権ソングはばっさりカットになりますので、オリジナルの歌詞でお願いします。
・『肉』の一文字を文頭に入れるとアドリブを頑張ります。

ゲームマスターより

木乃です。みんなー!丸太は(ry

今回は幸せの魔法をかけたブッシュド・ノエルを多くの方に売って頂きます!
駅前の路上販売で可愛いお姉さんがミニスカサンタしてたらガン見するのは当然ですよね?

それでは皆様のご参加、お待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

シルヴァ・アルネヴ(マギウス・マグス)

  目的
ブッシュド・ノエルの完売を目指す!

販売補助

「うわぁ……綺麗だなぁ」
暖炉にくべる薪を模したというケーキの、茶色と柊の緑と赤、飾られたフルーツと
降る雪に見立てたのだろう、白い粉糖のバランスに、素直な感嘆の声を上げている

サンタ衣装(できればミニスカ)が用意でき&売り子の女性達と仲良くなれたら
「絶対可愛いから!」と着用をお願い。わりと本心で言ってるぞ

セラフィムがケーキに幸せの魔法をかける時に歌っていた歌が楽しそうだったから
上手くはないけど、歌ってみたりしつつ、元気に賑やかに呼び込み!

「幸せの魔法がかけられた、特製ブッシュド・ノエルはいかがですか?
ほっぺたがおっこちるほど美味しいよ~試食もどうぞ!」



柊崎 直香(ゼク=ファル)
 

販売補助担当
みんな、丸太の準備はいいな。行くぞォ!!

お姉さん達がいるのに女装する必要ないじゃん?
上着の丈長めでわかりにくいけどホットパンツだし(ぺろん)
サンタ帽に赤い服、ニーハイで。なんちゃってサンタ

とりあえずお目に留めて頂かないと。

メリークリスマス!
寒い寒い帰り道。お家の暖炉が恋しいね
さらにあたたかく! しかもあまーい! 魔法の薪はいかが?

目が合ったキミを捕獲もとい笑顔でお迎え
ご家族? 食後のデザートは幸せを等分に
恋人? お熱いお二人、ケーキを溶かさないようご注意
おひとり様も勿論。僕、一緒に食べたいにゃあ、なんて

ケーキの魔法は掛けられたばかり
幸せが逃げないうちにお早めにお召し上がりください


セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
 

■製造。緊張しつつパティエに忠実
料理補佐は依頼で機会があったけれど菓子は初めて
(すごい…料理の時も思ったけどプロは)
は、はい頑張ります。メリー・ベル?…聞いてないよ

音楽教育されたからあるけど…外国語できる?(絶句)
Σ…どうなっても知らない

タイガ起業家みたい。褒めてるんだよ(笑
…頑張ってみる

◆ベル
落ち着けて魔法がかかりますように
タイガとなら奇跡起こりそう…だし夢見る癖ついたかな

愛か…そのつもりでしたら良い魔法かかる…?
ばっ…うん


■提案(タイガ
強みをだすことじゃね?試食や玩具セットや甘党向、女性向、子供向、大人向、家族向に小分けとか宣伝

?バイトの成果!販売でもよかったけどさー(試したかったし)照



ロキ・メティス(ローレンツ・クーデルベル)
  おぉ、これが噂のブッシュ・ド・ノエルか…!
クリスマスケーキの中でも特にこれは憧れる…と思っているのは俺だけか?
直で見れただけで結構満たされる。
今回はこれを作るのを手伝うわけだな…ウィンクルムとしてどうこうというよりまぁ、仕事の一つとして楽しむさ。

俺達の愛とやらがどこまでのものか分からないがまぁ、やるならやるぞ。俺的には友情ってゆうより疑似家族が近いかな。お前は優しいお母さんって感じだ。
なんだローレンツ。歌結構上手いじゃないか。
ん、ん~どんな歌だったけな。聖夜ニ鳴ルノハ愛ノ鐘~…ごほっ。自分で言うのもなんだけど酷い声だ。煙草控えるかな。
こんな声でしか歌えないけど。許してくれよ。
どうか幸せな夜を…




◆お菓子な3人組
「ここはスポンジではなくムースをだな」
「違うって!もっとクリスマスっぽい雰囲気が大事なのよ!」
「いえ、もっとスパイシーな香りが……」

日もまだ昇っていない早朝。
ウィンクルム達はとあるパティスリーにやってきていた、今回は特別依頼という形でボランティアのため報酬はない。
サンタから預かったメリー・ベルで幸せの魔法をかける必要があるのだ。
「また喧嘩してる!店長、ベルさん、チコさん、ウィンクルムさん来ましたよ!」
売り子としてバイトに来ている絵里が慌てて仲裁に入り、なんとか顔合わせになる。
「ふ、雰囲気も火の車だったんだね」
セラフィム・ロイスは思わず苦笑をこぼす、売上的にも芳しくない状況だとは聞いていたが仲間割れ寸前なのは予想外だ。
「へー、数年に一度は買うんだけど丸太ケーキはねぇんだよなー」
火山タイガは試作品だろうと思われる3人のパティシエが囲んでいるクリスマスケーキ、ブッシュド・ノエルに物欲しそうな目線を向ける。

試作品はロールケーキをチョコバターで塗り整え、フォークで表面を引っ掻き、
丸太に似せつつ粉砂糖をふりかけパウダースノーに見立てている。
ロールケーキの端から見える生クリームの中にも果物がふんだんに使われており、
チョコの濃厚な甘味と果物の酸味が絶妙な味わいを出してくれるだろうと想像に難くない。
ケーキの上に飾り付けられたマジパンは可愛らしい天使をモチーフにしていた。

「350Jrになります」
「有料なのか!?」
眼鏡をかけた堅物そうなパティシエ店長・瑛太は仏頂面で右手を出す。
「悪いが売上も芳しくない現状では報酬が出せるほど余裕がない」
「こら瑛太!……ごめんね、頑張ってくれたらとびきり美味しいケーキを用意するからさ!」
ソバカス混じりの活発そうな女性パティシエ・ベルが瑛太をたしなめる。
あくまで『ボランティア』として特別に受けた手前、あまり見返りを求めてしまうのは失礼だったかもしれない。
もし見返りが出るとしたら、彼らの善意に期待するしかない。
「おお、これが噂のブッシュド・ノエルか」
ロキ・メティスが4人のやり取りを他所に試作品を眺めている、初めて見たのかクールな眼差しを静かに輝かせている。

「絵里ちん、とりあえず着替えたいんだけどどこで着替えればいいかな?」
杉崎 直香は溜め息を吐きながら様子を見ていた絵里に小さく首を傾げながら上目遣いで見つめる。
「す、すみません。更衣室があるのでご案内しますね」
絵里は直香の言葉にハッとして慌てて厨房から出て行く。
「……」
シルヴァ・アルネヴは神妙な面持ちで絵里を見ていた。
(大人しい感じの女の子か、もう一人の子にも是非ミニスカサンタを!)
実はミニスカサンタの衣装をお願いしようと思っていたシルヴァ。
イメージ的にも控えめな女性の大胆な装いは男児なら思わず目線を寄せ付けずにはいられないハズ!
「シルヴァ、早く着替えますよ」
心情を察してか知らずか、マギウス・マグスは呆れたようにシルヴァの肩を叩くと絵里の後についていく。
「ゼクー、せっかくだしトナカイコスする?角付いてるんだし」
「しない」
直香がケラケラとゼク=ファルにコスプレを提案するが食い気味に却下する。
「ちぇー」と唇を尖らせた直香と共にゼクも着替えに向かう。

「支度が終わったらすぐに作業を再開しますからそのつもりでお願いしますね」
腕組みしながら云々と唸っていた大柄なパティシエ・チコが着替えに向かうロキ達に声をかける。
「わ、わかったよ」
ローレンツ・クーデルベルは期待を寄せているように感じるチコの言葉に顔を強ばらせながらそそくさと出ていく。

幸せな魔法を街中に広めるべく、ウィンクルム達は小さなパティスリーで奮闘が始まる。

◆厨房ですね
厨房に戻ってきたのはセラフィム、タイガ、ロキ、ローレンツの4人。
それぞれ用意したエプロンと三角巾を身に付け、手も洗ったところで準備完了。

「スポンジは何十枚か用意して冷やしてある、後は生クリームを塗ってロール状にして巻いてデコレートするだけなんだが……はぁぁ」
瑛太の言葉は溜息で途切れて終わる。
連日毎朝作り続けているのだろう、よく見ると瑛太達の目の下にはクマが出来ている。
……寝る間を惜しんで作業に取り掛かっていることは想像に難くない。

「やっぱり何か足りないと思うのよ、何が足りないと思う?」
「え?」
「……ど、どこも足りないようには思えないけど」
ベルが何か意見はないかと尋ねると、ローレンツは呆けた声を出しセラフィムも冷や汗を流す。
「ロキ、なにかある?」
「どうしてそこで俺に振るんだよ」
「強みをだすことじゃね?試食や玩具セットや甘党向、女性向、子供向、大人向、家族向けって分けるとか」
顔色を伺うようにローレンツがロキに目配せすると、ロキも困ったように眉を寄せる。
タイガはとりあえず色々作ってみようと提案する。

「なるほど。だがそんなに多くの種類を作るには時間がないんだ……仕方ない、先ほどのものでいこう。チコは彼らと一緒に作業してくれ」
「解りました、じゃあこっちで手伝って下さい」
瑛太は幅広い層に向けることには感心したが、時間の少なさに渋い顔を浮かべると眼鏡を上げつつ指示を出していく。
チコも気を取り直しつつセラフィム達に向き直ると、厨房の片隅に移動してく。
その間に瑛太とベルはチョコバターやマジパンの作製に取り掛かり始めた。

「まずは生クリームを泡立ててもらいましょうか、結構量が必要なんですよ」
「おっしゃ、任せとけ!」
チコの指示にタイガが体力勝負なら任せろとニカッと笑みを浮かべる。
「タイガ君は体力ありそうですね、じゃあ泡立て器でいいかな……これをお願いします」
チコがニッコリと笑みを浮かべながら取り出したのは生クリームの入ったボウルなのだが……
「デカすぎや、しない?」
「わぁぁ……こんな量できないって」
ロキの表情が引き攣るのも無理はない、出された業務用のボウルは両手で抱えなければならないほどの大きさだ。
予想以上の代物にローレンツもあわあわと唇を震わせる。
「ハンドミキサーは瑛太とベルも使いますので……俺は大丈夫なので2人分は使えますよ」
チコが2台のハンドミキサーを出すと、4人で協議し……セラフィムとロキが使うことにした。

「じゃあ、張り切っていってみましょう。空気が入るようにホイップして下さい」
泡立て器を片手に、チコが氷水の入った別のボウルに生クリームの入ったボウルを乗せる。
そのまま手で2つを押さえてカシャカシャと小気味よく泡立て始める、まだまだホイップクリームには程遠いが泡立て器を動かす速さには目を見張るものがある。
「さすがプロの方は速いね、僕も始めよう」
「なぁ、これってどれくらい泡立てればいいんだ?」
「泡立て器なら20分くらいでしょうか、ハンドミキサーなら10分くらいです。角が立つほど固くなるようにお願いしますね」
感心したように見ながらセラフィムもハンドミキサーを手に作業を始め、ロキも加減はどれくらいがいいだろうと聞いてみた。

「むぐぐ……なんか思ったより難しいな!」
タイガは日曜大工の技術を活かせないか?と思ったが、日曜大工では泡立て器もケーキスポンジも触れることはない。
調理技術も思うように活かしきれていないようだ。
「肩に力が入りすぎですよ、ローレンツ君みたいに手首で回してみて下さい」
「きょ、恐縮です」
思いもよらぬところで褒められたローレンツは何故か萎縮している。
「怒られた訳じゃなしに……」
そんなローレンツの様子にロキが溜め息を吐きながらハンドミキサーで円を描くようにボウル内を泡立てていく。

***
「お、終わったぁ」
ローレンツがため息混じりに手首をプラプラと動かしてほぐす。
出来たブッシュド・ノエルは冷蔵庫に保管していき、最後の一品がようやく出来た所だ。
予想以上に体力と気力を必要とする根気がいる作業にセラフィムもタイガも思わず溜め息を吐く。
「はぁ……ケーキ屋さんって、予想以上に重労働だね」
「な、なんか、申し訳ない気分だぜ」

「お疲れ、あとはキミ達が魔法をかけるだけだよね?」
ベルが額に滲む汗を調理服で軽く拭いながら明るい笑みを見せる。
「ようやく本番ってところだな。ローレンツ、早くメリー・ベルを持て」
「わ、解ってるから」
ロキの一声にローレンツは預かってきたメリー・ベルを取り出しタイガも用意する。
「は、はい頑張ります」
セラはキョトンとした様子で渡されたベルを見つめる。
(こんなベル使うって言ってたっけなぁ……?)
職員は事前に説明していたのだが、どうやら聞き逃していたらしい。
「さっき練習した通りな!じゃあ行くぞ」
首を傾げているセラをよそに、タイガの一声で4人の歌が始まる。

『クリスマス ベル
クリスマス ベル
クリスマスベル を鳴らそう』

カラン、カラン、カラン。
カラン、カララン。
歌声が厨房内に響き出すと、キラキラと辺りに光の粒子が生まれ始める。

『今日は楽しい 年に一度の日 皆に幸せふる日
嫌な事も 楽しい事も 心配で辛い夜も
今日の日だけは 手を取り笑おう 輪になり踊ろう』

カラカラン、カラン。
カラン、カラン。
光の粒子は粉雪のようにハラハラとブッシュド・ノエルに舞い落ちる。

『皆で メリークリスマス
幸せの メリークリスマス
あなたに 幸せの魔法』
カラーン、カラーン、カラーン。
大きく鐘を振り、歌い終わるとケーキが淡い光を帯びて徐々に収まっていく。

「……ロキ、酷い声だね」
「自分で言うのもなんだけど酷い声だ。煙草控えるかな」
ローレンツが思わず渋い表情でロキを見つめると、ロキも気になったのか喉をぐりぐりと弄る。
「これで、メリー・ベルの魔法がかかったのかな?」
「うっしゃ、後は販売に回して追加分も出るように頑張ろうぜ!」
まだ淡い光を放つブッシュド・ノエルを不思議そうに見つめるセラ、タイガはまもなく始まる販売に向けて店頭に出す準備を始めた。

◆丸太は持ったか!?
「みんな、丸太の準備はいいな。行くぞォ!!」
直香が気合十分に叫びながらビシッと大きく拳を掲げる。
「お、おー!」
絵里も直香の勢いに押されたのか、戸惑いながら拳を掲げる。
「絶対可愛いから!ミニスカサンタの格好して!ね!?」
「バッカじゃないの!?瑛太さんが用意した格好を着るに決まってんでしょ!」
一方、シルヴァはもう一人のバイトの売り子・ドナにミニスカサンタの衣装を着るように頼み込んでいた。
絵里もドナも店で用意されたエプロンドレス風のサンタ衣装を着ていた。
真っ白なエプロンに赤いロングワンピース、茶色のブーツはサンタクロースを連想させるのに相応しい。
髪にも絵里は茶色のショートヘアに柊付きのベル、ドナは金髪のツインテールに緑のリボンをつけている。

「その子が着てるんだから充分でしょ!もうすぐ開店で着替える時間なんてないんだから」
「え?僕?お姉さん達がいるのに女装する必要ないじゃん」
ドナは語気を強めて直香を指差す。一見するとミニスカワンピのサンタ衣装にニーハイソックスの刺激的な装いだが
「上着の丈長めでわかりにくいけどホットパンツだしー」
直香がぺろっと裾をまくると可愛らしいホットパンツが。今日はなんちゃってスタイルだ。
「シルヴァ、絵里さんもドナさんも困ってるから今日は諦めなさい」
「男の浪漫がぁぁぁ……!!」
マギウスに窘められシルヴァは両手足を付くように四つん這いになり項垂れる。

「今日は宜しく頼む。それと……服装、とても良く似合っている」
そんなやりとりを横目に、ゼクが改めて挨拶をする。
「なかなか殊勝な態度じゃない」
「ドナちゃんたら……こちらこそよろしくお願いしますね。この衣装、私も気に入ってるので精一杯頑張ります」
鼻を鳴らしながらふんぞり返るドナとは対照的に絵里は深々と頭を下げる。
(直香に言われた通りにしたんだが、これでいいのだろうか)
対照的な女性の様子に僅かに眉を顰めるゼク、そんな様子に直香はニヤリとほくそ笑むのだった。
「セラフィムさん達の魔法で今日はいつもと違うかもしれません、僕も行列に気圧されないようにしますね」
中々立ち直らないシルヴァに一つ溜息を吐きながらマギウスも気を取り直して、販売の準備を整える。

***
「メリークリスマス!寒い寒い帰り道、お家の暖炉が恋しいね?さらにあたたかく!しかもあまーい!魔法の薪はいかが?」
販売を始めてすぐ、直香が大きな声で道行く人々に大きな声で宣伝している。
「今日は楽しい 年に一度の日 皆に幸せふる日~♪幸せの魔法がかけられた、特製ブッシュド・ノエルはいかがですか?」
販売直前にどうにか立ち直ったシルヴァも直香に負けじと賑やかな宣伝で通行人の視線を集めに行く。

「これを、こうして……」
マギウスはディスプレイ用のショーケースに入ったブッシュド・ノエルの周りをこっそり装飾していた。
天使のマジパンがあるので、周りには余っていたサンタやトナカイ、雪だるまのマジパンでよりクリスマスの雰囲気を高めていく。
「試食用、もらってきたわよ!」
「ありがとうございます」
店内からドナが戻ってくると、一口サイズに分けられたケーキの欠片を沢山乗せたトレイを持ってきた。
マギウスの提案によるものだ、幸せの魔法がかかった料理は食べることで効果が発揮される。一口食べただけでもその効果は出やすいだろう。

そんな中、買い物に連れてこられたであろう小さな子供がじーと直香を見つめている。
「お?君も欲しいのかな、魔法の薪」
「うんっ」
「ほっぺたがおっこちるほど美味しいよ~」
目線を合わせて直香が子供に声をかけると、どうやら宣伝の声に興味を持っていたようだ。
シルヴァが用意してもらったケーキの欠片を子供にあげる。
「い、頂きます……美味しー!」
子供が目を輝かせながらケーキを頬張ると、満面の笑みを浮かべる。
「ママー!ここのケーキ買って買って、このケーキがいい!」
「じゃあ、今年はこのケーキにしようか」
あまりにも嬉しそうな様子だったからだろう、母親は不思議そうな様子で会計に向かう。

「会計はこっちだ」
「お兄ちゃん、ケーキ一個ちょうだい!」
ゼクが会計を探す母親に片手を軽く上げて誘導すると、子供が目を輝かせて急かす。
「メリークリスマス。良い夜を」
「ありがとうございます」
会計を済ませゼクが締めの言葉をかけると、母親もニッコリと笑みを浮かべて帰っていった。

「ご家族?食後のデザートは幸せを等分に。恋人?お熱いお二人、ケーキを溶かさないようご注意!おひとり様も勿論。僕、一緒に食べたいにゃあ」
先ほどの一幕を見ていた通行人に直香が後押しするように声をかけると、徐々に人波が向きをこちらに向けてくる。
(直香の口上が妙に慣れている上に怪しすぎるが……客があるなら構わないか)
「ありがとうございます、良い聖夜を」
直香のアピールにゼクガ複雑な表情を浮かべつつ、増える客足にマギウスも対応に加わりラッピンクしながらケーキを渡していく。
手渡した年配の夫婦の幸せそうな笑みにマギウスも少し頬が緩む。
(クリスマスの幸せの魔法に、既にかかっているからでしょうか?)

製造組、販売組の健闘によりブッシュド・ノエルはなんと閉店前に完売となった。

◆幸せのお裾分け
「やったぜ、完売御礼!」
閉店後、タイガは両手を挙げて喜びを現す。
「良かったぁ、全部売れて。感謝感謝よ」
ベルもへたり込むように机にしなだれかかりながら安堵の息を洩らす。
(愛、か……親密な関係ならって言ってた気がするけど、タイガとの絆も深まってるってことなのかな?)
セラフィムは魔法をかけるとき、隣に立つタイガの距離がいつもより近かったことに恥ずかしさはあったものの今日の結果が絆の深さだったのかと思えて、何処か嬉しさも感じていた。

「ご苦労様、完売出来て俺も胸の重荷がようやく降ろせた気がするよ」
瑛太はメガネをクイッと上げながら感謝の言葉を述べる。
「それで、僕達から君達に贈り物があります。受け取ってもらえますか?」
「贈り物?」
チコもニッコリと意味深な笑みを浮かべるとロキが不思議そうに視線を送る。
「今日の成果は君達のおかげだと俺は思っている、金銭では返せんが……気持ちくらいは受け取ってもらえるか?」
瑛太が照れくさそうにしつつそっと取り出したのは、4つのブッシュド・ノエル。
「え、いいのか!?」
「もっちろん、頑張ってくれたご褒美よ」
今朝方、難色を示していたこともありケーキを貰えるとは思わなかったシルヴァが驚きの声を上げるとベルはふふっと上機嫌な笑みを浮かべる。

「クリスマスケーキの中でも特に憧れを抱いていたんだが……今年はこれで聖夜を迎えられるな」
「俺もなんか分かる気がする。丸いケーキや四角いケーキもいいんだけど、ブッシュド・ノエルは特別な感じがするよね」
ロキはブッシュド・ノエルのあるクリスマスの食卓に羨望していた頃があるのか、涼やかな顔に笑が小さく浮かぶ。
ローレンツも同じような経験があるのか、うんうんと頷く。
(ロキ、初めて会った時はあんまり元気ないって言うか生きてる!って感じがなかったからなぁ……今日の依頼、受けてよかったな)

「ゼク、帰ったらレッツパーリィだね」
やったーと両手で掲げながら直香はゼクの目の前にブッシュド・ノエルを持っていく。
ゼクの鼻先にはマジパンで出来た天使が可愛らしく笑みを浮かべている。
「直香の宣伝、妙にこなれてた気がするんだが」
「気のせいじゃない?幸せが逃げないうちに、早めにたべたいにゃあ」
ゼクの質問を直香はするりと躱しながら、鼻歌交じりにケーキを持ち帰る準備を始めた。

「忙しくてじっくり見れなかったけど、ホントに雪化粧が被ってるように見えるなぁ……これ、確かに特別な感じがするな」
「ええ、沢山の方が特別な夜を過ごすでしょう」
シルヴァがしげしげと色んな角度でブッシュド・ノエルを眺めている様子に、マギウスも微笑ましく見つめていた。
「今晩、楽しみだな」
満面の笑みを浮かべながらシルヴァが振り向くとマギウスも返事の代わりに口角を上げて応えた。

「おねだりしてみて良かったな!」
「もう、皆で頑張ったからだよ?」
念願の丸太ケーキを手に入れたタイガが興奮気味に目を輝かせセラフィムに目を向ける、困ったように眉を下げながらセラフィムはたしなめた。
「……あ、でも一個だけ心残りがあるんだよな」
「心残りって?」
「歌詞に愛はねぇのかーって」
むーっと眉根を寄せるタイガ、セラフィムは羞恥のあまり言葉が出なかったのであった。


ブッシュド・ノエルは多くの家庭に広まった。
幸せの魔法が、多くの人達にささやかな祝福をしてくれるだろう。



依頼結果:大成功
MVP
名前:柊崎 直香
呼び名:直香
  名前:ゼク=ファル
呼び名:ゼク

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 12月08日
出発日 12月16日 00:00
予定納品日 12月26日

参加者

会議室

  • [20]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/16-00:00 

    丸太を楽しみにー!

  • [19]セラフィム・ロイス

    2014/12/16-00:00 

    >シルヴァ
    いや、返信おそくなってごめんね。気づけてよかった

    ハピネスだからここのプラン優先かなと思ったけど色々話してもよさそうだったね。
    またの機会に活かしたいよ

    丸太がんばろう

  • [18]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/15-23:59 

    毎度、ぎりぎりは反省しないとなーと思いつつ、オレもプラン完成!
    一応試食とケーキの中身が見られたらいいんじゃないかな?って感じの案を入れてみた

    こんなに綺麗でおいしそうだし、ケーキいっぱい売れるといいなぁ。

  • [17]柊崎 直香

    2014/12/15-23:59 

    おのれギルティ、モ・ジスウめー?
    だいじょーぶ。だいじょーぶ。きっと。たぶん。

    美味しい丸太を楽しみにー。

  • [16]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/15-23:50 

    >セラフィム
    ギリギリのお願いだったのに、返信ありがとうな!
    セラフィムの歌が楽しそうだったから、歌ってみるって感じで書いたぞ

    >直香
    モ・ジスウが、モ・ジスウが……。(がたがた)

  • [15]柊崎 直香

    2014/12/15-23:46 

    本物のおにゃのこがいるならそちらのミニスカを拝みたい男心?

    プランはいちおう送信。
    我ながらこの軽さはどうだろう、な呼びこみしかしてないけど
    しっかり者のシルヴァくんとマギウスくんが
    ケーキの魅力を存分に伝えてくれるって信じてる。

    さあみんな丸太の準備だー。

  • [14]セラフィム・ロイス

    2014/12/15-23:15 

    背後が完成したもんだから安心して仮眠してた
    見直しと最終仕上げを今更

    >歌詞
    その辺は了解なくてもつかっていいとも思うけれど・・・
    こちらその場で練習してるし、子供たちにも歌ってもらえる明るいタイプを
    予定してるから歓迎だよ
    (PL:案の段階でラジオで流そうかな、とさえ思ってた。←未記入)

  • [13]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/15-21:50 

    >直香
    あ、そうなんだー?
    可愛いし似合うと思ったんだけどな。じゃあミニスカサンタ
    お姉さんたちにお願いしようか……。(ちょっと残念な顔)

    ……くっ、その楽しそうな顔にはのせられないんだからねッ!

    >ゼク
    わぁ……すごく適材適所だった。
    うちのマギもラッピングとか得意みたいだから、一緒にやらせてもらうなー。


    歌の事については、製造の見学させてもらったときにちょっと耳にしてて
    うろ覚えで販売作業中にハナ歌にしてても良かったら(客引きみたいなのもだな)
    って感じだから、もうプラン書き終わって気づかないかも知れないけど
    そんな感じのプランがOKって返信が、出発までにあったら書かせて貰うな。

    製造も販売に参加って感じで、面白いかなー?って何となく思いついただけなんだけど。

  • [12]柊崎 直香

    2014/12/15-20:52 

    ゼク:
    …………。
    念のため言っておくが俺は普通の格好だぞ。
    ケーキを売るんだろう。客をドン引きさせてどうする。

    販売組にまわっておいてアレだが、接客に向きそうなスキルの持ち合わせは無いので
    梱包や会計の手伝いをしようとは考えている。

  • [11]柊崎 直香

    2014/12/15-20:50 

    僕はー元気に呼び込みするだけですよー。
    あとスカート穿く予定は無いよ?
    ……ああ。でも、ちょっと服装で遊ぼうかな。

    シルヴァくん達のミニスカサンタは個人的に見てみたかったけどね!
    楽しそう!

  • [10]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/15-18:27 

    (ゼクの格好次第では、オレも覚悟をきめるけどな……!)

  • [9]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/15-18:26 

    うーん、オレはそこまで細くないし
    ミニスカサンタは体型隠すの難しそうだからなー……(検討)
    ここは売り子のお姉さんと、直香に任せよう。
    ……。……。

    >直香
    ゼクはどんな格好するんだ……?

    とりあえず子供ウケを狙ってみるつもりで、白ヒゲサンタの扮装とか
    パティスリーの人に確認してOKだったら試食とか用意しようかなって感じだぞ。

    もし製造の人の歌を知ってても良かったら、その歌もちょっと歌って
    客引きさせて貰おうかなーと思ってるけどどうだろ?

  • [8]セラフィム・ロイス

    2014/12/14-23:48 

    製造だし意味ないから。販売の2組に任すよ(こそこそ)
    まあ、うまく割れてよかった。

    こちらは製造のプラン提出できたよ
    歌詞にかなり悩んだけれど。皆もがんばってくれ。お疲れ様

  • [7]柊崎 直香

    2014/12/13-01:40 

    そっかー、セラフィムくんとシルヴァくんはミニスカサンタなのかー。
    楽しみだにゃー。

    はいはい、クキザキ・タダカくんですよ。丸太売りに来たよ。
    製造の方はあまり役に立ちそうにないし、僕は販売希望ってことで。
    これで2組ずつになるね。

  • [6]柊崎 直香

    2014/12/13-01:40 

  • [5]セラフィム・ロイス

    2014/12/12-23:44 

    とりあえず最低でも分担できてるかな。さあ(希望まち)

    >シルヴァ
    Σ僕らがミニスカサンタするのか!?・・・似合う人はいそうだけど
    『俺はいいと思うけどなー。セラ、女装まだなれないもんなー』
    ではシルヴァに期待しよう(笑)

    『ケーキゲットはバイトの醍醐味!俺はほしいオーラだしとくぞ~』

  • [4]ロキ・メティス

    2014/12/12-17:35 

    ん、ロキ・メティスと精霊のローレンツだよろしく頼む。

    俺は製造の方に行きたいと思っているが。
    希望が重なるようなら変更も可能だ。

    ブッシュ・ド・ノエル。実際に目にするのは初めてだから楽しみだ。
    うまそうだよな。

  • [3]シルヴァ・アルネヴ

    2014/12/12-10:45 

    シルヴァ・アルネヴと精霊のマギだ
    挨拶遅くなったけど、よろしくなー。

    >セラフィム
    え、ミニスカサンタ姿見たかったんだけどな……。(じ。)

    というのは脇においといて、オレは販売の方へ行こうかなって思ってるぞ

    ところで、このブッシュド・ノエル、余ったらもらえたりするのかな?
    いや、売れ残り出したら駄目なんだけどさ。美味そうだなーって……。

  • [2]セラフィム・ロイス

    2014/12/11-21:38 

    僕は・・・もし希望が言えるのなら製造にいきたい、な。スキルはないのだけれど
    ケーキ作りと魔法に興味あって(PL:面白そうで&そこそこ親密なので)

    でも他に人がやりたいようなら販売でもいい。タイガは接客向きだしね

  • [1]セラフィム・ロイス

    2014/12/11-21:29 

    以外や以外、余裕だったな。シナリオ数や他も魅力的なのが多いから助かったというべきか
    『ガイド見た瞬間ドストライクだったんだけどなー』・・・うん
    僕、セラフィムとタイガだよ。よろしく

    ハピネスだけど(↓引用)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    パティシエ達の依頼は『製造の補助』『販売の補助』です。
    今回もまた、役割分担が大事になるでしょう。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    とあるしハンドベル4本ということは2組は製造、もう2組は販売が妥当かな
    製造は最低1組はいればいいとは思うけどオリジナル歌詞とか『愛』とか(度胸とか)色々試されそうだよね
    皆どう分かれたいのか聞きたいところ


PAGE TOP