


リンドブルム社が制作したヴァーチャルシミュレータ『トランス・システム』は、まだ使えない力すら再現することが出来るという。
仮想空間の戦闘訓練は、生身に傷を与えないという点で非常に便利なものだが、その上で未だ習得できていない力も事前に訓練できるのだから、とても優秀な設備だといえる。
「この度ヴァージョンアップしたそうで、神人のスキルも再現できるようになったそうです」
つまりハイトランスの再現が可能になった、ということだ。
「このシステムはまだテスト段階なんです。勿論命に別条はないことは確認済みですが、スキルの再現性にはまだまだ改善点が多いようで。皆さんにテストに協力してほしいんですって。多少ですがバイト代も出ますよ。それにまだ使えないスキルを使うチャンスですし、挑戦して見る価値はあると思います!」
職員が笑顔でパンフレットを配ってくる。
ルールは、ウィンクルム同士の四対四。座ってヘルメットをかぶるだけで、仮想空間にダイブできる。仮想空間では、どれだけ傷ついても現実世界に影響はない。
まだ地形のシミュレートはできないらしく、バトルステージは壁のない広い空間だそうだ。
「あ……でも、精霊のスキルには再現に限度があるようですね……。あとディスペンサは使えません。加えて、アイテムの力は再現できない可能性があるようです」
そこは注意してくださいね、と職員は言い添えるのだった。まだまだ完成品ではないこのシステムには色々と制限があるようだ。


四対四の戦闘訓練です。
レベルが高い方は下方修正、低い方は上方修正が入ります。
ステータスの上昇値及び下降値はジョブで変化します。
●目的
本シミュレータはウィンクルムに経験を積ませることを目的として作られたものです。
なので、神人を含めた4対4という状況下でどう戦うかをお考えください。
参加者の皆様にとっても、開発した会社にとっても実りの多い戦闘訓練にすることが今回の判定に影響します。
●チーム
希望が無ければ挨拶順に
1・3番目
2・4番目
でチームとなります。
皆さんの希望がありましたらそのチームで行われます。
ジョブが偏っても実戦でどう対処すればいいかのいい訓練になると思います。
●スキル
実際のレベルに関係なく、『レベル5』までのものを『一つだけ』使えます。
実際のレベルより上のスキルを使われる場合はジョブスキルをセット『せず』
プランに『「○○をセット」と明記』をお願いします。
もともと使えるのであればセットしておくだけで大丈夫です。
(上級レベルの方はセット間違いに気をつけて下さい)
神人のスキルはハイトランスのみ使えます。
ディスペンサは使えません。
プランに『「○○をセット」と明記』をお願いします。
もともと使えるのであればセットしておくだけで大丈夫です。
●その他
仮想空間に入れば強制的にトランス状態へと突入します。
インスパイア・スペルを唱えての口付けは不要です。
下記特殊能力は発動しない、または設定通りの効果が出せない可能性があります。
【運命転化・破壊と再生・状態異常反射・時間逆行・ジェンマ・サラリスの涙とアンウーの息吹・運命の羅針盤と宿命の羅針盤】
お世話になっております。あき缶でございます。
【交錯する刃】はこーやGMが主催されている戦闘訓練エピソードシリーズです。
男性側での開催は初ですね。
宜しくお願い致します。


◆アクション・プラン
叶(桐華)
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ハイトランス・ジェミニをセット 憧れのハイトランスをお試し! 基本姿勢は桐華さんと同じ、動き回って数で押せ! 前衛の位置で尊君と晃司君を相手するよ 僕の優先はイグニスの補佐で、メインの相手は尊君 倒せなくてもいい。時間稼ぎを重視 桐華が晃司君倒せた後は、攻めに転じる 切り込みは浅めに、フェイクも混ぜ、受け流せる・離れられる間合いを維持 1:1の状態を維持しつつ、可能な限りアインさんの射線上に立つように誘導 流せない攻撃は受けてでも、イグニスの詠唱時間を稼ぐ 集中攻撃を受けてる人が居たら近くに寄って庇えるように努める 秀君の攻撃しやすいタイミングを提供できればなおよし 二人の狙いは事前に聞いて、対象者への射線を開けるよ |
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うっし!やってやろうぜ!! 勝負事となりゃ負ける訳にはいかねぇな ハイトランス・ジェミニをセット、使うぜ 初っ端から使っても切れる事はねぇだろう 俺は前衛にでる 恐らく2番目には動けるからイグニスを初っ端から狙うぜ 火力が一番怖いのはイグニスだしな詠唱妨害をしてぇな 恐らく邪魔が入るだろうからなんとかアインに機動力を潰してもらいたい所だ 優先順位はイグニス>桐華>秀>叶だな 邪魔が入って狙えない場合は桐華を狙う 「これがハイトランスって奴か…!俺もこの力があれば…」 アインを守ってやれる この戦いを通して俺はもっと強くなるぜ! 攻撃はもう一方の剣でガードをするぜ イグニスの魔法が発動する時は防御体勢を取る |
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ハイトランス……実際使えるようになんのはだいぶ先だろうが 積める経験は積んどきたいしな、リスクがないなら尚のこと さて、いくか タッグパートナーは叶・桐華組 素早さが身上のテンペストダンサー、頼りにしてるぜ? 【ハイトランス:オーバーをセット】 あいつの高火力、活かさない手はない……と言いたいとこだが せっかく二種類あるんだ、全員同じじゃ面白くない ちょっとばかり奇策を打ってもいいだろ? イグニスを火力担当と見せかけ詠唱させ その隙に俺がアインを落としに行く なさけねえ顔すんな、集中しろ外したら承知しねえぞ ……俺だって、「今」は戦えるんだ 少しくらい、格好つけさせろよ 訓練終わったら勝敗問わず健闘讃え お疲れさん |
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「有難く胸をお借りしよう。お手柔らかに頼むよ、先輩諸氏」 経験に加えハイトランス継続時間すら、俺とアルが一番不足という訳か …だが、故にその分油断無く 猫咬む窮鼠とでもなろうか ハイトランス・ジェミニ使用 口づけというより捕食だ? 細かい事は気にするな ターゲットはイグニス…と見せて、初瀬 次点で、残HPが少ない者、一度に与えられるダメージが大きい者 高回避の者は後々に 高原とアイン氏の挙動にも気を配り 攻撃等で相手方に打ち込む隙を見出せたなら、すかさず連携 攻撃順は意図してアルの先に コネクトハーツの一閃から 「――狙え」と 味方側の優れた攻撃手は倒されぬ様 射線に割り入り身を呈してでも守る 信じてる、後は任せたって奴だ 察せ |
●CORNERED RAT
リンドブルム社の会議室で、ウィンクルム達は今回の戦闘訓練について簡単な説明を受ける。
「戦闘はトランスシステムというシステムを利用し、バーチャル空間で行われます。皆さんはヘルメットをかぶって座っていただくだけで結構。あとはこちらで皆さんの意識をバーチャル空間へと転送いたします。転送直後からデータ取得は始まっていますから、皆さんも戦闘を好きなタイミングで始めて頂いて結構です」
レプリカらしいヘルメットを掲げ、小太りな男性説明員は淀みなく説明を続ける。
「戦闘時に攻撃を受ければ当然痛いです。ですが、これは幻痛であり、実際の体にはなんら影響はありません。ヘルメットを外せば、痛みも何も消えてなくなります」
だから思う存分やりあってくれていい、と説明員は笑顔を浮かべた。
「こちらからの説明は以上です。ハイトランスの再現は初めてです。理論上は問題ないはずですが、そこらへんのテストも兼ねておりますので、よろしくお願い致しますよ」
にこにこと笑顔を返し、叶は言う。
「こちらこそ、よろしくねー。憧れのハイトランスをお試しできると聞いて、楽しみにしてきたから」
「そうだな、俺達も実際に使えるようになるのは大分先だろうが、積める経験は積んでおきたい。リスクもないらしいしな」
と頷く初瀬=秀はゆっくり椅子から立ち上がる。
「さて、いくか」
「はいっ」
楽しげにイグニス=アルデバランが応えて後に続く。
「あ、もう行っちゃう? あ、僕はいつでも準備オッケーだけどね。ほらほら桐華さん、行こう行こう」
叶も軽やかに椅子から跳ぶように離れ、桐華の腕を引く。
「引っ張らなくても行く」
不機嫌そうな声音だが桐華も別段異論はないので素直に立ち上がった。
相手チームのそんな様子を見て、負けていられないとばかりに高原 晃司が勢い良く立ち上がる。
「うっし! やってやろうぜ、アイン!! 勝負事となりゃ負ける訳にはいかねぇな」
静かに頷きアイン=ストレイフも席を立った。
「お手柔らかに頼むよ、先輩諸氏」
苦笑しながら、最後に月岡 尊が立つ。
トランスシステムの装置がある部屋までの廊下を歩きながら、尊は他の面々の背を眺め、呟く。
「経験に加えハイトランス継続時間すら、俺とアルが一番不足という訳か」
「……足りないって……。そーゆーネガティブなの、オレ嫌いッスけどねー」
隣を歩くアルフレド=リィンは、ムと眉をひそめ、腕を頭の後ろで組む。
「最後まで聞け。故に、その分油断なく。俺達は窮鼠だ」
「え?」
きょと、と隣を見やったアルフレドは息を呑む。
「……猫を咬むのさ」
尊はニィと笑う。彼が『先輩諸氏』を見つめる目は、鼠というよりも獲物を逃さぬ猛禽のそれ。
戦意に満ちた彼を認め、アルフレドも得意気に笑った。
「リョーカイ、相棒」
案内された部屋はあまり広くはない会議室のような場所だった。だ円形の卓に並んだ椅子に腰掛ける。
右側に晃司、アイン、尊、アルフレド。左側に叶、桐華、秀、イグニス。
事前に決めておいたチームに別れて座ると、卓上のヘルメット――先ほど説明時に見せられたアレだ――を被るよう指示される。
被ったヘルメットに職員たちが電極を取り付けていく。
「それでは準備はいいですか? 始めます」
と職員が言うと、ヘルメットの中から機械的な女性の声が聞こえた。
――接続者八名を確認。接続状態に問題なし。トランスシステムを起動します。
●DIVE TO
それはとてもシームレスだった。
あっという間に、一同の意識は何もない広大な地に飛ぶ。
「へぇ~、おもしろーい」
興味深そうにキョロキョロと周囲を見回す叶に、桐華は言う。
「暢気に構えてる場合か。もう始まってるぞ」
「わかってるよ、せっかちだなぁ。はい、手ぇ出して」
すっと手を差し伸べられ、桐華は一瞬戸惑うが、
(ああ、ハイトランスには必要なんだった……)
とすぐに己の左手を差し伸べた。
恭しくその手を取り、叶はそっと桐華の甲に口付ける。
その瞬間、二人は期せずして同じことを思った――逆だな、と。そして契約を交わしたあの日を思い出す。
「――おいで、遊ぼう」
叶の唇がインスパイアスペルを呟くなり、叶は己に力が満ちる感覚を知る。
「……すごいね、これ」
自分の両手を眺め、叶は思わず呟いた。
と、
「素早さが身上のテンペストダンサー、頼りにしてるぜ?」
後ろから秀が声をかけてくる。
「ああ。叶にとられてちょっと弱くなってるけどな」
拳を開閉し、いつもとは違う感覚に慣れようとしながら桐華は返事をする。
「あー、僕その言い方どうかと思うなー! 言っとくけど僕のお陰で桐華さんは攻撃当たりやすくなってるんだからね、そこんとこキッチリ分かっといてよね!」
ビシと精霊に指を突きつけ、叶は頬を膨らませた。
目を閉じ、溜息を吐きながら桐華は叶の指を握って下ろさせる。
「はいはい……」
「ハハ、息が合ってるってのは結構なことだ」
と笑いながら、秀はイグニスに近寄る。
「そんじゃ、イグニス。お前の力を借りるぜ?」
「えっ、あ、はいっ!」
と自分も左腕を差し出したイグニスだが、秀はそれをそっと下ろさせて、頬をつっついた。
「こっちだ、こっち」
「へっ、ああ、そうでした。おおお、ついに! 愛の力が! 発動ですか!!」
感動しきりの様子のイグニスに、秀は急に羞恥がこみ上げた。
「騒がしいな、ったく。さっさと頬出せ、頬!」
「はいっ」
満面の笑みでイグニスは腰をかがめた。
(くっそ、イグニスでけーな。なんかこう……身をかがめられてキスするってのは、どことなく敗北感が……)
加えて、むずむずするような羞恥に身を焼かれるような感覚を振り払うように、秀はヤケ混じりにインスパイアスペルを叫んだ。
「顕現せよ、天球の焔!」
いつもとは逆、イグニスの頬へと秀が唇を寄せる。
反転する力――。
「ずいぶん楽しげにやってんな、あっち」
わーわーきゃーきゃーが聞こえてくる対面の叶達側。アインの左甲に接吻を済ませ、晃司は呆れたように肩をすくめる。
「ここにきたら即始めていいって言ってたな」
晃司が握る二本の刃を持つ魔剣はハイトランスに応じて力を発揮する特別な武器だ。普段よりもまばゆく光る刀身が、この剣が本来の力に目覚めたことを示している。
「最短で最適に、最善を。では早速、有難く胸をお借りしよう」
ガリリと齧るような手早いキスをアルフレドの甲に送ると、何くわぬ顔で煙草を咥え火を点け、尊は紫煙と共に戦闘開始のセリフを吐いた。
「っしゃあ、先手必勝! この戦いを通して俺はもっと強くなるぜ!」
晃司が地を蹴り、走りだす。
「っつー! ジェミニで手の甲痛い目みるとは思わなかったッスけどね……ッ!」
手を振って痛がる精霊を、瞳だけ動かして見た尊は、煙草を咥えたまま前へと瞳を戻し、ボソリと返す。
「細かいことは気にするな」
そしてコネクトハーツを鞘から抜き、尊は歩き出す。
「イグニス狙いのふりをして進め」
尊の武器はこの『攻撃力のない』短剣一本だけだ。
「了解ッス」
攻撃的な笑みを浮かべ、アルフレドは右拳を左手に打ち付けた。
「ちんたらやるつもりはないぜ、覚悟ー!」
「うお、もう始まったか!」
晃司の雄叫びにぎょっと前を向き、秀が目を見開く。
晃司の剣の切っ先はイグニスへとまっすぐ突進していく。
「ひゃっ、き、来ましたっ」
「イグニス、詠唱続けてろ!」
秀は精霊に命じると、晃司とすれ違うように前へと走りだした。
「凛々しいです、秀様!」
イグニスは駆け出す神人を頼もしげに見送ると、指示の通り落ち着いて詠唱を始める。
「火力潰しが基本だよな!」
と走る晃司の前、
「桐華っ!」
「言われなくても」
叶の声より先に、すっと桐華が立ちはだかる。
キィインッ!!
美しいまでに透き通る氷の双剣が澄んだ音を立てた。
桐華は、いつもよりほんの少しだけ、自分が打たれ強くなっていることに気づく。ハイトランス・ジェミニの恩恵だ。
(これが叶の力か……)
としみじみする時間は殆ど与えられない。
「どけっ」
晃司の剣はハイトランスの力を得て、普段よりも数段強くなっている。油断はできない。
「そう言われてどく奴がいるか」
撃ちあう両者、桐華の方が命中も回避も高く当てるには有利だが、一撃の重さは晃司の方が断然上だ。
ここに回復ができるものはいない。つまりは力で押し勝った者の勝ちだ。手数で削り勝つか、強撃で潰し勝つか……。
アインの援護射撃が晃司を支援する。桐華は追い詰められていった。
「っ!?」
アインへと突進していた秀に、尊が立ちふさがる。
「俺もイグニス狙いだと思ったか? 俺達には生憎時間がない……速攻で落とす」
「ぐあっ?!」
コネクトハーツ一閃。その後にくるものが何か――同じウィンクルムであり、同じ武器を握っている秀は痛いほど分かっている。
「――狙え」
尊が身をかがめる。
「はいよ、ツキオカさん」
飛び上がり、尊のシノビが読めない軌道を描く手裏剣を放つ。
「ぐ、ああっ」
見事に当たり秀が思わず膝を折る。
「秀様っ!!」
イグニスが悲鳴を上げた。
「うぐっ……っと……イグニス、なさけねえ声出すな、集中しろ外したら承知しねえぞ!」
よろめきながらも、背後に叱咤しながら、秀は立つ。
「残念、イグニスは結構タフでね……。つまり、ハイトランスオーバーした俺もこれしきでは倒れないんだ。悪かったな……ついでに、イグニスは結構高火力でな!」
にやと笑う秀、突き出すマンゴーシュが尊を貫く。
「ぐっ!」
すさまじい一撃だった。下方修正されているとはいえ、エンドウィザードの攻撃力を乗せた神人の攻撃は、尊の体力を一気に削る。
「連携してきたね、まさかイグニス君じゃなく秀君を狙ってくるっていうのは、驚いたけど。それ以上はさせないよっ」
追いついた叶が氷の結晶を散らしながら剣戟を浴びせたのが、尊が倒れる決定打になった。
(どうせ、平気だって言うんだろ……自分は駒だって……)
不愉快そうにアルフレドは倒れゆく尊を見る。
「悪いな、先へ進ませてもら……!?」
と再びアインに向かっていこうとする秀だが、背に痛みを感じ振り向く。
「……窮鼠、だ。狙え、アル」
倒れた尊は笑っていた。秀の背にコネクトハーツが突き立っていた。
「へっ」
アルフレドの不機嫌そうに曲がっていた口角が上がる。
察せ、と尊の閉じていく目が語る。信頼を伝えてくる。
「なンだ。簡単やられてやる気は無ぇってコトだろ。意地っ張りなのはもう知ってるぜ、相棒。……出し惜しみなしだ!!」
再びの双葉弐式が秀を打つ。一つ目は叶が剣で弾き飛ばしたが、もう一つは秀を傷つける。
「ぐ、はっ……タフっつっても、あと一撃喰らえばお仕舞いってとこか。本当に窮鼠猫を噛むってやつだな……」
よろめきながらも秀は、アインに向かって再び走りだした。
「行かせるかよ!」
とアルフレドが手裏剣を構えるも、
「君はノーマークだった。結構やるじゃない?」
叶がアルフレドに対峙し、秀を狙わせない。
「ぜえはあ、まだ、まだ行くぞ。……俺だって、『今』は戦えるんだ。少しくらい、格好つけさせろよ」
「――いいえ、ここまで来られるわけにはいきませんから」
非情な弾丸が、秀を地に引きずり下ろした。
「くそ、……ここまで、かよ」
地に倒れ、秀は弱々しく床を叩いた。もう動けない。
だがアインは決して無傷ではない。
ずっとイグニスのプラズマが前衛たちを飛び越え、アインを焼き続けていた。
「秀様の犠牲、無駄には出来ませんっ。やられる前にやればいいんですよね!!」
「そーだな。やられる前にやればいいんだ」
「えっ」
どさり、と音が聞こえてイグニスはハッと右に目をやる。
ようやく桐華に二つの牙を持つ黒き月は届いた。
「はぁ、良い勝負だった。んじゃ、本命いくぜ!」
「あわわっ」
イグニスはエンドウィザードだ。晃司ほど速くは攻撃に移れない。
そしてこの美しい輝きを誇る杖では接近戦はできない。
「しまっ……」
叶が後ろを振り向く。彼とてタフだ。少しの間は持ってくれるだろう。その間にカバーに入れば……。
「晃司の邪魔はさせませんよ」
アインの銃口がイグニスを狙う。
「っ!」
叶はとっさにアインの方を選んだ。銃口とイグニスの間に割って入る。
撃たれた一撃をうまく逸らし、叶は息をつくが、
「おいおい、相手はこっちだ。こっち見ろよ!」
アルフレドには、休憩させるつもりもイグニスを守りにいかせるつもりもない。
「桐華さんが晃司君に勝ったら本気出そうと思ったんだけど。しょうがないね」
叶は顔を険しくする。
「どいて。こっから、本気だよ」
「タイマンなら勝ち目アリだな!」
晃司が輝く剣を振り上げ、袈裟斬りに振り下ろす。
イグニスの神人は打たれ強い方だ。能力を交換しても、すぐさまは倒れない。
しかし、イグニスには晃司を倒しきるだけの力がない。
イグニスが墜ちるのは、時間の問題だった。
「すみま、せ……」
とうとうたっぷりとした金髪をなびかせ、イグニスは倒れこむ。
「残るはアンタだけだな。ツキオカさんに後頼まれてるんでね、キッチリやらせてもらうぜ!」
血まみれのアルフレドが獰猛に笑った。
「そういうわけにはいかないよ」
「なっ……がはっ」
透き通った氷の刃がアルフレドを斬り伏せる。
叶はアインの銃撃を避け、殺到してきた晃司へ反転し剣を振り下ろす。
「うあっ」
桐華に攻め続けられたダメージで、晃司とて本調子ではなかった。あっけなく沈む。
「回避は苦手みたいだね、アイン君も!」
叶がアイン目掛けて殺到する。
もはやこの戦場で動けるのは叶とアインしかいない。
だが、アインは落ち着いて両脇から迫る正確な射撃で叶を追い詰める。
しかし、叶とて回避は得意だ。かすりながらも、致命傷は避け、そして。
「これで決めるよ……っ」
振りかぶる氷の刃。
……しかし。
「この距離なら、狙う必要はありませんね。避けるのも、無理でしょう」
ゼロ距離射撃の銃声が長く響いた。
――勝者確定。戦闘終了を確認。トランスシステムを終了します。
機械的な女性の声が響き、一同の意識が現実世界へと引き戻される。
●FINISHED
ふと気づくと、リンドブルム社のトランスシステム実験室だった。
説明があった通り、もう体は痛くも痒くもない。
アルフレドは不思議そうに斬られたはずの場所を見るが、なめらかな肌には何の痕跡もなかった。
きょとんとしているウィンクルムに、
「お疲れ様でした。もうヘルメットを外して頂いて構いません。ナイスファイトでしたよ。いいデータが得られました」
ほくほく顔でリンドブルム社の社員たちはねぎらいの言葉と、ささやかなサービスとして暖かいコーヒーを配ってくれた。
「お疲れさん。こっちの負けだが、お互い健闘したってことで」
秀が穏やかに声をかけた。
「こちらこそ、いい経験になった」
尊は丁寧に礼を返した。途中で倒れた尊にはその後のことが分からない。あとで戦闘ログを見せてもらおうと思う。
ただ、自分のチームが勝ったのだから、アルフレドは彼の信頼に応えてくれたのだろうことは、分かる。
「今後に生かせるよう、データの方はきっちり精査して貰わないとな」
コーヒーに口をつけ、桐華は呟いた。
「なんだかんだで楽しかったね。いつもとは違うーって感じ」
叶は上機嫌に、続けて供されたチョコレートの包み紙を剥がして口に放り込む。
「けど、あれがハイトランスってヤツか……。俺もこの力があれば……」
夢を思い出すような表情で、晃司は呟いた。
「どうしました?」
アインが尋ねるも、晃司はくすぐったそうに笑うだけだ。
(アインを守ってやれる……なんて恥ずかしくて言えねえな)



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | 戦闘 |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 4 / 2 ~ 4 |
| 報酬 | ほんの少し |
| リリース日 | 12月08日 |
| 出発日 | 12月18日 00:00 |
| 予定納品日 | 12月28日 |

2014/12/17-23:36
2014/12/17-16:38
うお、すまん見落としてた。
攻撃回数はかわらないっぽいな。
となると400オーバーが毎回殴りに……それはそれで怖いな、我ながら。
思い付きの搦め手に賛同ありがとな、
それじゃオーバーどんなもんか試してみるわ。上手くいけばいいが。
フェイクやフェイントの得意なそっちみたいに華麗な戦いは出来なさそうだが
まっすぐいってぶっとばすの心構えで。
あ、命中と回避はがっかり感がある感じなんで当たらなかったらすまん……
二刀流の分身剣舞、期待してるぜ?
ウィザードのMP切れとか、行動不能とかのときに使えるかもな、オーバー。
2014/12/17-15:08
ふむん。晃司君の質問の奴も見に行って、ちょっと気になったのが、
元々の神人の者が適用されますって言う攻撃回数、
これは僕、神人視点で考えて、神人と精霊のステータスが入れ替わっても、神人の攻撃回数は神人の元々の物になります、だと思った、よ?
元々、神人のスキルだし、神人強化されるけど攻撃回数は変わらないよーってことなのかなって。
精霊の方は変動するのかなこれ……するんだったら、秀君の案は凄く魅力的だよね。
その辺探る意味も込めて、オーバーでいっちゃってもいいと思う。僕は賛成!
その場合は僕と桐華さんで二人の補佐するから!
ていうか攻撃力400に戦慄してる僕です。
物理攻撃の出来ない&攻撃頻度の少ないエンドウィザードを、オーバー補佐に回して、
超火力の神人で殴りに行くって言うのは今後の手段として有効かもしんないなー。頭に入れとこう。
2014/12/17-12:12
だなあ、たぶんあっちはイグニス集中狙いだろうし、ダメージ分散させて
耐えきってやられる前にやりたいところ。
そうなるとスキルは恋心がいいかね、カナリアで範囲攻撃は味方の被害が怖い。
それなら俺は詠唱補佐の方に回るかな。
【内緒話】
オーバー時は攻撃回数も入れ替えか…
レベル5の時のMPどの程度だったか覚えてないが、
ガンナーやダンサー程度とまではいかんでも
ウィザードもスキルの連射が利くようになるな。
スキル補正自体が高めだし神人程度の火力は出るかと思う。
何が言いたいかっていうと、
イグニスを狙わせておいてオーバーで火力強化した俺が殴りに出る、
という案を思いついたっていう。
計算したら補正込みで400越えたんだぜ……?
ま、スキルが打てんし奇策の枠は出ないがな。
一人くらいオーバーがいた方が今後の参考になるかもしれんし?
その場合は回数撃てて後衛を直接狙える小さな出会いで行こうかと。
流石に言ってる俺が無茶言ってる自覚があるんで
「ねえよ」と思ったらスルーしてくれ、プランはジェミニで書いてるから。
2014/12/17-04:21
ふと思った下方修正されるのは含むMPも…っぽいかなぁ。という疑問。
んー、レベル5相当の感覚で居れば間違いないかな。その辺の数時とか覚えてないけども。
ともかくともかく。
向こうチームは射程も長く命中率の高さもあるアインさんが肝だねぇ。
ジェミニの恩恵で一発二発くらいなら神人でも耐えられるかな。
前衛が3:2になるわけだし、一人は防御中心にイグニスの詠唱補佐、後の二人でマンツーマン、
って言う形を基本に、あっちの後衛組の攻撃を裁く役をローテーションできたらどうかなぁと。
極力こっちの人数を減らさないで行きたいから、集中攻撃は避けたいなって。
2014/12/17-02:08
っとすまん!返事が抜けてた!
じゃあ前衛に出てくれて構わないぜ!
アインだったらきっちりと仕事をしてくれるとおもうしな!
2014/12/17-01:48
ほいっと
ハイトランスに関しての回答を掲示板にかいておいた!
ジェミニに関しても叶が言った感じであってるっぽいな
まぁ、模擬戦だし肩の力抜いて頑張っていこうぜ
戦法としては俺が前出てアインが後ろって感じだ
今回は精霊あわせても4人なんで精霊が戦力外になるオーバーよりかはジェミニのがいいかなって思った
ただスキルは結局の所使えねぇからあくまでも抑えって感じになりそうだな
イグニスを落とせば勝機はあるだろうし頑張っていこうぜ!
2014/12/17-01:39
なァに。うちには、探られる腹も何も未だ無いんでな。問題無い(クツリ笑って)
高原んとこはお疲れ様……か?
更に青二才の守りをさせる事になって、すまんな。だがまあ、微力は尽くそう。
宜しく頼む。
して、ここからは作戦会議だが。
高原たちがどっちのハイトランスを使うかは未だ分からんが、
ストレイフ氏の持ち味を活かし、且つ保つとなれば、後衛をお願いした方が合理的かとみた故、
俺は今回は変更して前衛に出ようかと思うのだが、どうだろうか?
因みに俺は、ハイトランスはジェミニの方を使用予定だ。
2014/12/16-23:26
ん、アインさんがどっちでも動けるのなら、今回は挨拶順で行こうか。
てーことは秀君・イグニス君と今回ご一緒だねぇ。
腹の探り合いどんとこーい。
あ、僕んとこだけ宣言してないね、うっかりうっかり。
【使用可能スキル】
オブリガード、アルペジオ、エトワール、アルペジオⅡ
のどれかになるねぇ。数は、アルペジオⅡ以外ならそこそこの回数使用可能だよ。
良く使ってるのはエトワールとアルペジオだね。
基本の戦法はヒットアンドアウェイ系。
実は桐華さんより回避率の高い僕です(きりり)
ハイトランス・ジェミニを使うつもりだよ。僕と桐華さんなら、足して2で割ってもそんなに大差ないだろうし。
双剣の桐華さんに合わせて二刀流頑張ってるから、気分は分身!
2014/12/16-15:15
晃司はお疲れさん、あんま無理すんなよ?
んじゃ班分けは挨拶順にしとくか?
しかしテンペストダンサーにシノビにプレストガンナー……
お前の遅さが際立つなイグニス……
(イグニス:「頑張ります!やればできるは魔法の合言葉!」)
そしてここで連携作戦相談とかかなり腹の探り合い的になりそうだな。
ハイトランスする以上神人と言えども油断ならねえからな。
うちの課題は、
ともかく一発当てればでかいわけだから詠唱完了までどうカバーするかと
回避の高そうな相手にどう当てていくかって感じか。
この辺をどう解消してくかなんて実戦でも役立ちそうな課題だよな。
2014/12/16-01:36
っと挨拶遅れすまねぇ!こちらこそよろしく頼むな!
ちょいとリアル用事でばたついてた(汗
俺は前衛だがアインはどっちでもいけるからバランス的には問題ねぇと思うぜ
ハイトランスって結局どうなるのかが未知数でわかんねぇんだよなー
説明見てると自分の能力にプラスなのか叶の言うとおり入れ替えなのか些か迷うな
ちょいと問い合わせてみるわ
まぁ俺が前衛で戦うのであればオーバーも視野にいれても大丈夫そうな気はするけどな
アインが使えるスキルは
ファストガン、ダブルシューター、ガンアサルト、ダブルシューターⅡだな
ファストガンなら回数撃てるけどそのほかはあんまうてねぇかなー
2014/12/14-19:04
改めてになるが、叶も高原も初瀬も、よろしくな。
経験豊富な面子で、頼もしい限りだ。
……というか、上方修正組は、俺達だけだな。
さて。叶は、切り出しにも感謝を。
勝手と承知で個人的意見を述べるなら、バランス調整の方の組み合わせを希望で。
……ここは最終的には、高原の意見を待った方が良さそうか? とも。
連携を試してみたいというのは、俺からも大いに賛同を。
ハイトランスについては、未だ使える想定が全く無かったんで、
説明も正直助かった。叶には重ねてになるが、有り難う。
使用スキルの選択や攻撃力に加え、持ち前の攻撃回数を加味して、
防御・命中・回避をみながら戦法を考えてく――と、
そういう認識でいいのだろうか。
(実戦を経た上でなら当り前のことを言っているかもしれない。
その場合は済まない。素人の独り言と、聞き流していただければ幸いだ。)
【スキル】
アルフレド
「一応、報告までにっ! オレの方で使えるスキルは、
双葉・陽炎・陽炎弐式・忍法霞 のどれかみたいッスね」
2014/12/14-17:02
お、メンバー揃ったか。
晃司は久しぶりだな、よろしく。
結構後衛気味がそろった感じか?
バランス調整、俺の方はそっちでも問題ない。
敢えて偏らせて実践でどう切り抜けるか、ってやっても面白そうだがな。
いっそダイスで決めるか?
せっかくの演習だ、個人的には連携なんかも試したい。
ハイトランスの説明もありがとな。
確かに俺の火力が凄いことになるなこれ……
どういうふうに運用してくかもキモってとこか。
【スキル】
一応報告だけ。
レベル5までだからイグニスができるのは
小さな出会い・乙女の恋心・カナリアの囀り・乙女の恋心Ⅱのどれかだな。
そして多分数は撃てない。
2014/12/14-13:03
ん、ん、んー。ごめんね、晃司君のお顔がまだ見れてないけど、
組み合わせどうするかだけでも進めちゃっていいかなぁ?
組んだ後のご相談もちょっとできた方が良いかなって思うから、そろそろ切り出しちゃう。
挨拶順だと、僕と秀君、尊君と晃司君のチームになる、かな?
んで、僕と桐華は二人とも前衛
秀君とイグニスは秀君前衛イグニス後衛
尊君とアルフレドは後衛希望
晃司君とアインさんは、晃司君前衛でアインさん後ろ…になるのかな?
プレストガンナーさんって実戦で後衛に居て貰う印象がそこそこあるけど、
スキルによっては前衛でも行けちゃう感じ?っぽいから、ちょっと判断できてないー。
バランス的に後衛固まるのがちょっとなーって感じだったら、
僕と尊君、秀君と晃司君にしたら丁度良くなる感じだし、そっちでもいいよ。
ご意見伺えたらありがたいー。
ハイトランスは、ジェミニが精霊と神人のステータスを足して二で割る感じで
オーバーが精霊と神人のステータスを丸ごと入れ替える感じって解釈してるよ
どっちも計算的な修正は入るけど、とりあえずは神人が劇的に強くなるーって、感じかなぁ?
あとこれは僕のわりと勝手な解釈だけど、ハイトランス修正のある武器持ってない場合、
エンドウィザードの子って特に攻撃力高いから、神人は劇的に上方修正されるけど、
精霊は結構下方修正されるんじゃないかなーって思ってる、よ。
まぁ、スキルの値は変わらないし、イグニスの元の火力が凄いから、
この面子だったらそんなに有利不利が変わる事もなさそうだけど…!
ロイヤルナイトさんとか、ライフビショップの子もかな?防御力高い子と相手する時は
ちょっと考えた方が良いのかなー?って思ってます。思ってるだけ!
実際どんな感じなのかはまだ使ってる子とそんな遭遇してないから判んない!
2014/12/12-19:24
3番かね?組み合わせがどうなるかともかくとりあえず挨拶。
初瀬秀だ、相方は火力が取り柄のエンドウィザードのイグニス。
ハイトランスができると聞いて試しにやってきた次第だ。よろしくな。
まああと一人によってまた組み合わせ変えてもいいしな。
現状では俺が前衛(近接武器しかない)、イグニスが後衛希望ってとこか。
ときにハイトランスもジェミニとオーバーがあるわけだがこれ選択制なんだろうか。
(実はいまいち違いも分かってない)
2014/12/11-13:35
二番、か……?
名乗っといた方が良いだろうってことなら。
月岡尊という。連れはシノビ、アルフレド。
訓練と聞き、これ幸いと乗らせて貰った。
恥ずかしながら、実戦経験が乏しくてな。
先輩諸氏に、色々学ばせていただきたい次第。
なので、自分からは組み合わせどうこう、申し訳無くて言い出し辛いわけだが……
出来れば後衛を希望、で。
何卒、よろしく頼む。
2014/12/11-00:31
ハローハローの一番乗りー?
組み合わせに希望が無ければ挨拶順って事なのでとりあえず名乗っておく系の叶でっす。
パートナーはテンペストダンサーの桐華さん!
ハイトランスに大はしゃぎの僕も桐華もがっつり前衛タイプだから、
面子次第では組み合わせ考慮した方が良いのかなって思ってるところ。
秀君とイグニスは今回は敵になるかー、味方になるかー、まだ判んないねぇ。
でもどっちでも楽しい事になりそうで僕は楽しみです。どうぞ宜しくね。

