


「もしもし~、おらだ、おら」
昼前にA.R.O.A本部にかかってきた電話だ。
「は、はい?」
おらおら詐欺?いや、そんなもの聞いたことない。
「ええと、どちら様でしょう」
「あっ、すまね、ついいづものくせで!北の村の農夫です!その節は世話になりますた」
特徴的な方言。以前洞窟から冷気が噴き出てきているので助けてほしいと依頼してきた農夫だ。
「あー!お久しぶりです。あれからどうですか?」
「うん、村も元通りだし、いい感じよ。また水晶も採れるようになったんだ。でな、あんたら今ハロウィンやってんだべ?」
「はい、魔を払うイベントの参加募集をしております」
「あのな、洞窟の奥から変わった宝石が出るようになったんだよ」
「変わった宝石、と言いますと?」
電話先の声が弾んでいる。
「うん、暗いところでふわーっと光んのよ。しかも、いろんな色があるんだ。赤、青、オレンジ、紫……石の色に合わせてそりゃあもう綺麗に光るんだ」
「へぇ、素敵ですね」
受付嬢も女子。キラキラしたものには目がない。
「今さ、それ売り出してて、一組さま500Jrで鉱石掘り体験やってんだけど、あんたらには世話になってっからよ?特別に200Jrで招待してぇんだけども、どうかな?」
「素敵ですけどもハロウィンとどう関連してるんです?」
商売っ気を出してきたな……と受付嬢は苦笑い。
「うん、おらの知り合いがガラス工芸やっててよ、ガラスでカボチャのランプを作ってくれんだ。本物の火を入れてももちろん綺麗だけどよ?この村の光る石を入れたらそらぁもうロマンチックになんでねぇかな?って」
「はぁ~、なるほどぉ」
上手い上手い。商売してるじゃない。
「そのカボチャのランプをおつけして!200Jrよ?ぜひぜひ」
どこぞの通販番組かいあんたはとツッコミを入れたい気持ちを抑えながら受付嬢は笑った。
「そういうことでしたらいいですね」
「ん!じゃあ、決まりだな!道具は全部こっちで貸すから手ぶらでおいでな!」


目的・光る石でカボチャランプをつくり、ハロウィンムードを高めましょう!
情報:参加費・カボチャランプの外枠(おふたつ)込々でお二人様200Jr(値引き価格!)
カボチャランプの他にアクセサリー加工をなさりたい方は一品につき200Jr
(鉱石の代金です。イヤリング・ネックレス・ブレスレットなんでもOK)
空のランプと水晶採掘に必要な道具を持って洞窟内へ入ります。採掘の方法は事前に坑夫から聞けますので、洞窟内は二人きりです。
透明なカボチャをかたどったランプに皆さんが皆さん自身で採掘した石を入れ、洞窟内を自由に探索しながらおしゃべりに花を咲かせてください。
薄暗い洞窟の中、何かハプニングがあるかもしれないし、色とりどりの光る鉱石の中、普段は話せないことをムードが後押ししてくれる?
プランには、神人と精霊それぞれの掘り出した鉱石の色を明記ください。
アクセサリー作成の場合は掘り出した鉱石を坑夫のもとへ持っていき、加工してもらいます。自分で加工できるよ!という方はその旨もお書きください。アクセサリーに使用するのは光る石でも普通の水晶でもOKです。
光る石の詳細
放っておいても一定間隔で鼓動するようにふわぁっと光ります。
手に持つと、持った人の心拍に呼応して光ります。ドキドキしてたらばれちゃいますよ。
それ以外は本当に普通の石。
*アイテム配布はございませんので、装備品にはできません。思い出としてお持ち帰りください。
こんな静かなハロウィンもいいですよね?
農夫に関しては「凍てつく氷の洞窟」をお読みいただくと背景がはっきりわかります、が。読まなくっても全然問題ありません!このエピソード単体でお楽しみください!
薄暗いところってチャンスですよねって、ね。


◆アクション・プラン
夢路 希望(スノー・ラビット)
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わぁ…! 綺麗な石がいっぱいですっ 宝石箱の中にいるみたい 凄いですね、と振り向いて 優しい笑顔に赤面 問いに答える声は小さくぼそぼそ 「綺麗なものには、憧れます」 ランプの灯にする石を探してきょろきょろ (…あ) とっても綺麗な赤い石を見つけ 慎重に掘り出し、掌に (ユキの色) そう思うと 何だか温かいような気恥ずかしいような不思議な気持ち 「…あ、はい。ユキの、」 って 今、凄く恥ずかしい事を言いかけた気が 慌ててランプへ入れながら 「あ、ち、違…くはないんですけどっ」 あの、その…うぅ ―え? プレゼント、って い、いえっ でも、私、お返しする物が …本当に、いいんですか? …ありがとうございます 嬉しいです この石に負けないよう頑張ります |
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光る鉱石、素敵ー! 早く掘りに行きましょっ。 何色がいいかしら、いっそ違う色の幾つも入れても綺麗かもっ! アクセサリーも作りたいからその分も採っておかなきゃねっ。 カボチャランプに、海みたいな青と紫の石を入れるわっ。 周りが海みたいに青く照らされて綺麗でしょ! ヴァルはどんな色にしたのっ? アクセサリー、自分で作ってみたいわっ。 分からない所があったら教えてもらうけど。 私は青紫の石でペンダントを作るわねっ。 お花の形に加工しようと思うのっ。 胸元で光る花、素敵でしょっ♪ 今日は無理だけど、髪飾りとかイヤリングとかセットで着けても素敵かもっ! 私がジュエリーデザイナーになったらここの鉱石使いたいわっ。 |
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ガラスのランプ……。飾るなら、きれいな色のが良いな。(じっと眺め どの色が良いかなと鉱石を探して、橙色が目に入る。 ルシェの目の色も橙色な事を思い出し、同じ色の鉱石を探す。(ルシェ=きれいの認識 採れた鉱石を手に乗せて眺める。 眺めながら、この前の依頼でルシェが怪我をしたことを思い返す。 (ルシェが怪我したの、初めて見た……) 護られてるだけの現状に(何かできた方がいいのかな)と、ぼんやり思考中に声を掛けられビクッと反応。 ルシェのランプの色に見覚えがあり首を傾げる。 「絆とかは。よく、わからないけど……」 怪我をしたルシェの肩を見て、視線を合わせてから俯く。 「わからないけど。ルシェが怪我するのは、嫌かな……」 |
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※アドリブ歓迎 え、競争?…いいわよ、どっちが大きいの拾うか競争ね! …ってか、自分で払いたく無くて競争持ちかけたわねこのドチビ よっし、結構大きめの石ゲット!…ピンポン玉くらいかな? ほづみさんはどんな…?! …ひょっとしなくても、ほづみさんって…バカ? ああもう、ツッコむのも面倒臭くなってきたわ(ごろん) …何で寝てるあたしの膝の上に頭乗せてるんですか? こっちは重いだけです… でも…前に任務で熱出して倒れたことあったからなぁ それのお返しって思えばいいのかしら? んー?…慣れましたー ほづみさんの料理かぁ…楽しみだけど、パスタ以外も作って下さい サラダとか、スープとか ディナーの照明か…いいなぁそれ(そのまま寝る) |
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へぇ光る石なんてあるのね ちょっと興味あるわ …はっ、もしかしなくても二人っきり ムダに爽やかだしきっと腹黒だから(杞憂)油断しちゃだめよね ここは年上らしく毅然と立ち振る舞うわ 無理した結果所々噛んだうえに苦笑される あー、慣れない事するもんじゃないわね… やっぱ本性だしたらその時に考えればいっか あ、これが光る石? どういう原理なのかしら 綺麗ね… そうね、アクセサリーにするのも素敵かも いやいや、自分の分は自分で払うから平気よ むしろここは年上の私がお金出すべきなんじゃない? ちょっと、そこは聞かなかったふりするのが礼儀よ! いや、やっぱり普通に折半でいいわよね…(ぜーはー …うん、何だかんだいって結構楽しかったかも |
彼らが到着したのは北に位置するのどかな農村。この洞窟には光る石が眠っているという。
「光る鉱石、素敵ー! 早く掘りに行きましょっ。何色がいいかしら、いっそ違う色の幾つも入れても綺麗かもっ!」
ウキウキを抑えきれずにぐいぐいと精霊、ヴァルフレード・ソルジェの手を引っ張るのはファリエリータ・ディアル。
「石な、ただでさえ色々な表情があるけど光るとなるとさらに面白そうだ」
はしゃぐパートナーにふ、と口元を綻ばせ、手をひかれるままに鉱山の方へ足を向ける。坑夫が切り出しにくそうに控えめに告げた。
「ああ、何個か掘る分にはかまわねんだども、あんまいっぱい採んないでくれな、こっちの資源が枯渇しちまうんでな」
「はーい」
ランプに石をたくさん入れるなら小さめのにしてくれな、と申し訳なさそうに笑って坑夫は二人を送り出す。
洞窟の中は薄暗く、採掘場の薄明りを頼りに中へ進んでいくとそこには。
「わぁ、素敵素敵!」
色とりどりに光り輝く鉱石が二人を迎えてくれた。キラキラとグラデーションを描くように鉱石が分布する中、ファリエリータは深い青と紫の広がる場所へ走り出す。
「ヴァル、こっちこっち!」
「待てって、走ったら転ぶ」
無邪気にピッケルを持ってどの石にするかなんてしゃがみ込んで物色するファリエリータの横で、ヴァルフレードも同じように屈んで鉱石を手に取り吟味する。数分後に決めた、と頷いてファリエリータが立ちあがる。
「カボチャランプに、海みたいな青と紫の石を入れるわっ」
ランプの中に優しく入れられた深い海の藍色と、星々を湛えた夜空のような紫色の石は優しく煌めいてあたりをふわりと照らす。
「周りが海みたいに青く照らされて綺麗でしょ!」
ずいっとヴァルフレードの前に差し出すと、その端正な顔が蒼く照らし出されより美しさが際立つ。その光はヴァルフレードの瞳の色と髪の色に共鳴するように輝き、ヴァルフレードも含めて一つの作品となっていた。
「ああ、綺麗だな」
(ランプの光、ヴァルみたいで綺麗、なんて……)
優しい微笑みに少し胸が高鳴った気がしたが、誤魔化すように彼女は問いかけた。
「ヴァルは?どんな色にしたのっ?」
黙って彼がランプを差し出す。持ち手を掴んで優しく揺らすと、あたりが薄い水色を含んだ銀色に照らされた。銀糸のような柔らかな光を湛えた鉱石は、どこかファリエリータに似ている。
「綺麗だろ?」
「う、うん」
何が?色が?少しだけドキドキしながら、ファリエリータは次の話題に切り替える。
「アクセサリーにはどんな石を使おうかしら?」
「ん、ファリエは何を作るんだ?」
「私はペンダントにしようと思うのっ」
そういって石を手に取り、満足そうに微笑む。
「この青紫なんてどうかしら。お花の形に加工するの」
「うん、いいんじゃないか?よく似合いそうだ」
ヴァルフレードはもう一度屈んで自分のアクセサリーのために石を探す。
「ヴァルはブレスレットとかどうかしら?」
「へぇ、いいかもな」
「明るい青の石を使って……きっと似合うと思うのよっ!」
そういった瞬間にヴァルフレードが持っていた石も、明るい青色で。
「へぇ、奇遇だな。俺も青色がいい、って思ったんだ」
スッと目の前にかざした石はファリエリータの瞳と同じ色で。一定のリズムで優しく輝いていた。
「っ!!」
(私の、瞳の色……)
意識してなのか否か。ファリエリータは熱くなる頬を抑えてくるっと後ろを向く。
「えっと、どんなデザインにしようかしらー!?ヴァルはシンプルな方が好み!?」
照れ隠しに声が大きくなってしまう。
「ファリエに任せようかな。似合うの、作ってくれよ」
やはり意図として選んだのだ。ヴァルフレードは余裕に満ちたほんの少し悪戯っぽい笑みを口元に浮かべている。
「う、うん!」
嬉しそうに頷き、彼女は加工のために工房へと移動を始める。
「今日は無理だけど、髪飾りとかイヤリングとかセットで着けても素敵かもっ!」
「ああ、そうだな。また来るか?」
「私がジュエリーデザイナーになったらここの鉱石使いたいわっ」
だってこんなに綺麗なんだもの。そういって彼女は屈託のない笑みを浮かべる。そんな彼女の将来の夢が叶うといい、と思いながらヴァルフレードは優しく笑った。
こうして、二人が帰路につくときには、ファリエリータの胸元にはヴァルフレードの瞳の色をしたスミレの花の鉱石が咲き、ヴァルフレードの腕にはシンプルなシルバーにファリエリータの瞳と同じ色の石がはめ込まれたバングルが光っていた。
次に洞窟を訪れたのは七瀬 琴子とその精霊、エディス・アスター。
「採掘楽しみですね、どんな石が見つかるんでしょう」
「光る石なんてのもあるのよね。ちょっと興味あるわ」
坑夫から借りたピッケルやらを手に持ち、洞窟へと歩みを進める琴子はハッと思い立った。
(もしかしなくても二人っきり……ムダに爽やかだしきっと腹黒だから油断しちゃだめよね)
彼女の考えるところの“腹黒”はまだ出会って間もないのだから事実無根なのであるが、エディスのその優しげな雰囲気と爽やかな笑顔はどうにも警戒心の強い彼女にとって胡散臭いものなのであるらしい。
(ここは年上らしく毅然と立ち振る舞うわ)
決意を固め、グッと握り拳を握り締めたところでエディスは琴子の持っていたランプとピッケルを自分に渡すよう催促した。
「琴子さん、荷物をこちらに」
「えっ、なぁに、いいわよそんな」
「いいえ、女性に荷物を持たせるわけには!」
そういって半ば奪い取るように彼は荷物を持ってくれる。
「あ、ありがとう」
当然のこと、と言わんばかりに彼はその青い瞳を細める。金の髪がさらりと揺れた。さわやかすぎる。王子様か。
「えっと、あ、これが光る石?綺麗ね」
採掘場に座り込み、色とりどりの鉱石を手に取る。鉱石に傷を付けぬようにピッケルで軽くたたけば、ぽろぽろと美しい石が零れ出てきた。
「綺麗ですね……」
「ええ、そ、そうねえ」
次はどんなことを言ってくるのだろうか。この男、何を考えてここに二人きりできたのだろうか。色々と考えを巡らせながら琴子は石を選別する。
「琴子さんは、やっぱり女性ですしこういう光物に興味があるんですか?」
「ん?そ、そうね。あと、やっぱり光る石ってめったに見られないでしょ?作家としていいネタになるかしらっておももっ」
盛大に噛んでしまった。
「ああ、なるほど。こういうものを文章に描くというのも素敵ですね」
「文章ロクと表現力がとわれれるわねっ?ふつくしぃ石をどれだけシャジュチュ的に描写しゅる……ッ」
またも盛大に噛んでしまった。普段使わないような堅苦しい言葉を使った結果がこれだ。それに気づいたエディスも思わず苦笑いをこぼす。
「ちょっ、何よ、笑わなくても」
「い、いえ、すみません」
「もう」
慣れないことはするものではないなぁ、なんて思いながら気を取り直して琴子は石を一つ拾う。
「なんだかすごく頑張ってらっしゃるから……普段の琴子さんの方が素敵だと思いますよ」
いきなり素敵だなんていわれて少し頬が熱くなる。
(いやいやいやいや待て!何か企んでるんだわ)
「……琴子さん?」
すでに選んだ石を一つランプに入れ、エディスが小首をかしげる。
「ん、ううん、なんでもないわ。あんまり気軽に素敵なんて言っちゃだめよアスターさん」
「そうかな、素敵だと思ってるんですけど……」
ちくり、胸が痛んだ。“アスターさん”ウィンクルムはパートナーなのに、なんだか他人行儀な呼び方に感じてしまう。できれば、名前で呼んでほしいだなんて思ってしまう。
(いや、みんなにもその対応だし……まだ出会ったばかりだし……きっと、そのうち)
小さく首を振り、気を取り直してランプを掲げた。
「ほら、光ってますよ。本当に不思議ですね……。綺麗ですね?」
「……そうね。アクセサリーにするのも素敵かも」
ほろ、と本音が飛び出る。大学生女子。年頃ですもの、アクセサリーだって好きですもの。仕方ない。
「あ、気になるのなら加工してもらってはいかがでしょう?」
「あー、いいわね」
そうか、ここは加工もやってくれるんだっけ。と琴子が頷く。
「じゃあ、俺が言い出したことですし、俺が出しますから好きなもの選んでください」
「いやいや、自分の分は自分で払うから平気よ」
「でも、提案したのは俺ですよ?」
「むしろここは年上の私がお金を出すべきなんじゃない?」
借りを作るわけにはいかんとばかりに琴子は反論する。負けじとエディスが言い返す。
「琴子さん、生活が苦しいってぼやいてたじゃないですか」
そう、一人暮らしの身の上資金繰りは重要な項目である。これを無駄遣いと取るか否か。
「ちょっと、そこは聞かなかったふりするのが礼儀よ!」
「いいえ!生活の苦しい琴子さんに払わせるわけにはいかないですし、第一俺は男ですよ!こういうときは男性が払うものです」
「何言ってんの!年上の私!」
「いえ、男が持つべきです」
どちらが払うべきかの激論が繰り広げられる。そんな二人を少し困ったように見守る鉱石の光。十数分に及ぶ言い争いの後に琴子が停戦宣言を下した。
「いや、やっぱり普通に折半でいいわよね……」
ぜぇはぁと息を切らしながら彼女は深いため息をついた。
「互いに贈りあうというイメージでもいいですか」
また、そんなこと言って。ほんの少し照れも交えながら琴子は切り返した。
「ま、そういうことにしても良いわよ。アスターさんのメンツを保つためにもね」
「ふふ、ありがとうございます」
いい思い出の品が出来上がったな、と笑うエディスの胸元には光るペンダントが。そして、傍らの琴子にも同じペンダントが胸元に揺れていた。
(……うん、なんだかんだいって結構楽しかったかも)
その言葉は、腹黒(仮)の彼には決して聞こえないように……。
洞窟内でじっと鉱石を見つめ、何やら悩んでいるのがひろの。彼女の精霊、ルシエロ=ザガンも興味深げに光る鉱石を見つめていた。ランプの形状的にはオレンジ色が妥当。しかし、彼のデザインセンス的にそれではつまらないとばかりに適切な色の石を探す。あまりに奇抜な物でも雰囲気が良くないし。彼のこだわりが静かに膨らんでいく。一方ひろのは。
(飾るなら、綺麗な色がいいな……)
ふとその目に美しい橙色が飛び込んでくる。
(あ……)
ルシエロの瞳の色と同じ橙。美しい、ルシエロの瞳。もっと近い色を探そう、とひろのはピッケルで慎重に彼の瞳と同じ石をまるで彼をいたわるかのように優しく掘り返し手のひらに乗せた。ふと、先日の依頼のことが脳裏をよぎる。
(ルシェが怪我したの、初めて見た……)
つん、と胸の奥が痛む。護られているだけの現状に、正体不明のもやもやが湧き出してきた。心の動揺に石の光が不安げに揺れる。
(何かできた方がいいのかな……)
ぼんやりとそう考えていたところに、優しい声が降りかかる。
「ヒロノ」
突然のパートナーの声にビクッと反応し見上げると、彼は満足そうな顔でランプを掲げていた。そのランプの放つ山吹色の輝き、どこかで見覚えがある。ひろのはちいさく首を傾げた。
「以前、オマエが纏っていたオーラの色だ」
ルシエロの発言に、あぁ、と納得がいった。光り方の具合もよく似ている。今は色が変わったのだけれど。
「変化は、絆が深まったというヤツだろう」
そうだね、という言葉をほんの少しだけ期待して。ルシエロはふふ、と笑った。戸惑いがちにひろのが立ち上がる。ふと目をやれば、彼女が持っているランプがオレンジ色、それもただのオレンジではなく彼と同じタンジェリンの光を湛えていることに気付いた。
「絆とかは。よく、わからないけど……」
控えめに呟き、ひろのは先日傷を負ったルシエロの肩に視線を向けた。そして、吸い込まれそうに美しいタンジェリンオレンジの瞳の優しい視線と自らの視線を合わせ、そのまま俯く。ルシエロは、静かにひろのの言葉の続きを待った。
「わからないけど。ルシェが怪我するのは、嫌かな……」
小さく、小さくそう告げる。少し切なそうに、けれど、確実に伝わってくる。そんないじらしい一言に、ルシエロは小さく笑った。
お願いというにも、我侭というにも意志は薄い。けれど、確かに変化しているものを感じた。何に対しても反応の薄い彼女が、ほんの少しだけ、自分のことを心配してくれている。その事実にほんのり胸が温かくなるのを感じながら、ルシエロはランプの光をしばし見つめ続けた。そっと手を伸ばせば、彼女は自然と同じように手を伸べてくる。二人は足場の悪い洞窟を、手を携えて帰路についた。
「なーみずたまり、石掘り競争しねぇ?」
そんな提案をしたのは水田 茉莉花の精霊、八月一日 智。
「え、競争?……いいわよ、どっちが大きいの拾うか競争ね!」
「いえーす!負けた方は今回の料金支払いな!」
ニッと彼が笑う。なるほど、そういうことか!
「……ってか、自分で払いたく無くて競争持ちかけたわねこのドチビ」
「にゃーはは、ブシに二言はない!いざ勝負だぁ♪」
言うなり彼は走り出す。ふう、とため息交じりに茉莉花もピッケルを手に洞窟内へ。
「よっし、結構大きめの石ゲット!……ピンポン玉くらいかな?」
ふわりと淡い光を放つ透明な石をランプにそっと入れると趣深い灯りが手元を照らす。
「ほづみさんはどんな……?!」
八月一日の方を振り返ると、そこにはハイテンションな彼が。
「採ったどー!こぶし大の大物ゲットだぜ♪」
大きな鉱石を手にドヤ顔でこちらを振り返る。それは大きすぎるだろう。
「勝負はおれの勝ちなー、代金はそっち持ちな~♪」
るんるんと足取り軽く茉莉花の元へやってくる彼は勝ち誇った顔をしている。そして、例のランプの中へその石を収めようとした、が。
「……あれ?……これ、ランタンに入ンねぇ」
「……ひょっとしなくても、ほづみさんって……バカ?」
どう見ても入らないだろ、というツッコミは放たれることなく虚空へ消えてゆく。
「バカ言うな!ロマンを追い求める漢と言え!」
無駄にキリッとした表情を作り、彼は胸を張った。これはもうおバカ確定である。
「ああもう、ツッコむのも面倒臭くなってきたわ」
ごろん、とその場に寝転ぶ。
「あ、良い膝枕みっけ~♪」
その寝ころんだ茉莉花の膝の上に、八月一日が頭をのせる。
「……なんで頭乗せてるんですか?」
「膝枕膝枕!漢のロマンの1つだろうが!」
ビッと人差し指を茉莉花に向け、彼は漢のロマンとやらを主張してくる。
「こっちは重いだけです……」
いーからいーから、というが、全然よくない。
(でも……前に任務で熱出して倒れたことあったからなぁ。それのお返しって思えばいいのかしら?)
うーん、と考え込む茉莉花をよそに、快適そうに彼が呟く。
「うはー、きっもちいー……」
ふと、急に彼が切り出した。
「なー、みずたまりかー。お前さー、会社勤めからいきなりウィンクルムって生活疲れてねぇか?」
「んー?……慣れましたー」
天井にも輝く鉱石を見ながらの、ぽんやりとした会話。
「そっかー……家に帰ったらさ、美味いモン作って喰おうな、気晴らしで」
それは彼なりの気遣い。優しさが言葉の端に見え隠れしている。ほんの少し気恥ずかし
くて。
「ほづみさんの料理かぁ……楽しみだけど、パスタ以外も作って下さいサラダとか、スープとか」
一息で言い切ると彼は苦笑いのあとしぶしぶ頷いた。
「……うー、わかったよう、副菜もちゃんと作ります!」
顔の横に置いたランプを見つめながら、付け足すように呟く。
「そん時にさ、このランタン使おうな!」
「ディナーの照明か……いいなぁそれ」
ふわ、とあくびをひとつ、ふたつ。二人はいつのまにやらすやすやと寝息を立て始めた。しばらくして、「おめぇたづ、風邪ひくど」と坑夫が迎えに来たのはまた別の話……。
「転んだら危ないから」
そういって手を差し出したのはスノー・ラビット。彼の神人の夢路 希望はその手をとり、ゆったりと洞窟内を散策し始めた。
「わぁ……!綺麗な石がいっぱいですっ。宝石箱の中にいるみたい」
すごいですね、と振りむいたとき、スノーの優しい笑顔が飛び込んでくる。
「本当、綺麗だね。ノゾミさんも、こういうの好き……?」
優しい声色の問いかけに赤面して彼女はか細い声で答える。
「綺麗なものには、憧れます」
「……そっか」
二人はランプの灯りにする石を探し、その場に静かにしゃがみ込む。希望がきょろきょろと目移りさせていると、真っ赤な石が煌めくのが見えた。
(……あ)
一方スノーの方はあらかじめ色は決まっており、真っ白な石をランプへといれる。ランプの色が決まっていても、彼は更に何かを探していた。
(うーん、ピンクの石もかわいいけれど、こっちの黄色のも……)
希望は赤い石を慎重に掘り出し、大切に手のひらに乗せる。
(ユキの色)
そう思うと、何だか温かいような気恥ずかしいような不思議な気持ちが胸いっぱいに広
がる。
「ノゾミさん、お気に入りの色はあった?」
急に問いかけられ、思わず思っていたことがそのまま飛び出てしまう。
「……あ、はい。ユキの、」
ハッと口を噤む。今、凄く恥ずかしい事を言いかけた気が。
「……え?僕?」
不思議顔で尋ねれば彼女の手元の赤い石が鼓動を刻むみたいにとくん、とくんと早めに
点滅する。だめ、だめ!気持ちが全部筒抜けになっちゃう……と、慌ててランプへ入れながら、しどろもどろになってしまう。
「あ……」
スノーもそれを察して。
「あ、ち、違ッ……くはないんですけどっ」
「僕が、……何?」
慌てる様子が可愛くて、つい。ランプに石を入れてしまったから鼓動が見られないのが残念だけれど……。
その後、坑夫に礼を言って帰路につく途中、スノーは急に立ち止まり希望を呼び止めた。
「――え?プレゼント、って」
彼が手にしているのは星をかたどった黄色のペンダント。彼女を喜ばせようとこっそり加工を依頼していたのだ。先ほど何やら色で悩んでいたのは彼女に似合う石を吟味してのこと。
「――うん。ノゾミさんの名前のイメージから選んでみたんだけど……迷惑、だったかな?」
“希望”願いを込める星に。控えめに、彼が微笑む。
「い、いえっ」
「良かった」
「でも、私、お返しする物が」
黙って首を振れば、あたふたしていた彼女が急に大人しくなる。
「……本当に、いいんですか?」
頷いて手招きすると、すぐ隣に彼女が並ぶ。
「……ありがとうございます」
嬉しいです。と笑う彼女に、胸が高鳴る。手にした星のペンダントが、今度はスノーの鼓動に合わせ忙しなく煌めく。
「……目、瞑って?」
彼女の首にペンダントを。緩やかな手つきでかけてあげると、今度は希望の鼓動に合わせペンダントが光りだした。
「この石に負けないよう頑張ります」
頑張らなくても、そのままでも素敵だから、と心の中で呟きながら、スノーはふわりと笑った。互いの笑顔を守れるように、傍にいられるようにと願いを込めながら……。
体験イベントのポスターをはがした後で坑夫が一人頷く。
「俺もカミさんと久しぶりにデートでも……すっかな?」
光る石は、いつも人々の心を見守っているから。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 寿ゆかり |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | イベント |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 10月18日 |
| 出発日 | 10月23日 00:00 |
| 予定納品日 | 11月02日 |

2014/10/22-01:11
七瀬琴子よ。よろしくね。
光る石、どんなものなのか少し気になるわね。
2014/10/21-21:51
ひろのです。よろしくお願いします。
かぼちゃのランプ……。
2014/10/21-20:43
私はファリエリータ・ディアル! よろしくねっ。
光る鉱石、素敵ー! どの色にしようかしらっ。
ランプも勿論楽しみだし、アクセサリーも作りたいわっ。
2014/10/21-19:37
2014/10/21-01:10

