


10月といえばハロウィンというのも、もはや定番となってきた。
ここはタブロス市内のとあるお菓子店の前。
「お菓子の家いかがですかー!」
魔女のような三角帽子をかぶった女の子の元気な声が聞こえてきて、不思議そうに彼女に目を向ける。
彼女の手にはチョコレートクッキーで出来たお菓子の家があった。
煙突には長細いシガレットクッキー、屋根には薄い板チョコ、
壁には窓枠用の細いチョコレートも使われていて意外と細かい部分も出来ている。
更にグミや小粒のキャンディーが付いており、色とりどりのお菓子が可愛らしくデコレーションされていた。
水飴を使って接着されているようで、そのまま食べられるようだ。
「ただいま300Jrで販売しておりまーす、ご家族や恋人同士で楽しく作製してお召し上がりください!」
彼女の声に疑問をおぼえて、 周りをよく見ると……傍らに箱が乗った机が置いてある。
『お菓子の家・製作キット ※食品なので出来たお菓子の家はお早めにお召し上がりください』
……どうやらお菓子の家を自作することが出来るようだ、
イラストを見るとグミやキャンディーは描かれておらず、自分で用意する必要がある。
ひとつ買っていって、一緒に作ってみようかな?
そう思った貴方はお菓子の家・製作キットをひとつ買うとそのまま家路についた。


目的:
お菓子の家を作ろう
お菓子の家:
300Jrで購入出来ます。
グミやキャンディなどのカラフルなデコレーションは別途100Jrかかります。
甘いのが苦手な方用に『ビター仕様』、甘党な方には『スイート仕様』もありますのでご安心ください。
・製作キットの中身
土台のウエハース
接着用の水飴
壁のクッキー
屋根の薄い板チョコ
煙突のシガレットクッキー
窓枠の細いチョコレート
単品だとチョコとクッキーのシンプルな物になります。
作り方:
1、ウエハースに壁用のクッキーを水飴を薄く塗って付けます。
2、窓枠用の細いチョコレートを水飴で付けます
3、クッキーをつけたウエハースを四角く立てて角を水飴で付けます。
4、屋根の板チョコを三角になるように合わせます。
5、シガレットクッキーを屋根の好きな位置に水飴で付けて完成です。
グミやキャンディのデコレーションは1~3の工程で行うと良いでしょう。
木乃です、モチーフはヘンゼルとグレーテルです。
今回はヘンゼルとグレーテルの作中で出てきたお菓子の家を自分で作ってしまおうというエピソードです!
自分で作るとなんでも美味しく感じるのが不思議ですね、お菓子。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。


◆アクション・プラン
初瀬=秀(イグニス=アルデバラン)
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ほう、お菓子の家か。面白そうだな 基本の奴に、折角だからデコレーション用のセットも買っとくか 定休日だし道具なんかの揃ってる店で作るかね とりあえず俺土台と壁作るからこの辺ので家具でも作っとけ 見えなくなるとはいえ中身空っぽもさみしいからな (デコレーション用のお菓子を適当に開け) ……うん、その辺は好きにしろ、任せる さて、壁はこんなもんか。窓とドアをつけて、と 四方を囲む前に家具入れんとってお前……入れる奴厳選しろよ…… 残りは食え。 家具を入れたら屋根を被せて、あとは煙突か イグニスちょっとそこ押さえてろ よし、完成! お疲れさん、余りの菓子でおやつの時間だな。珈琲淹れてくる。 そうだな、一日くらいは店に飾っとくか |
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甘党 ■ お菓子の家ってきいて 最初は本物の家みたいにでっかいの想像したけど さすがにそれはなかったわね(けらけら) 可愛いし美味しそう 頑張って作りましょうね! なになに、まず壁用クッキーに水飴塗って~… イルド、そこ塗らなくていい部分よ? 次は窓用のチョコに…だからイルド、そこは(エンドレス) で~きた!いい出来じゃない♪ 食べちゃうのもったいないわねぇ せめて写真…(携帯のカメラで撮る) それじゃいただきます♪ あっ!(何もないところを指差し 驚いた声と表情でイルドをひっかけ その隙にイルドが摘んでいたクッキーをぱくり) いただき☆おっさんこれが食べたかったのよ~ (その言葉も嘘ではないがイルドをからかいたかった) |
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家+デコ にこにこ顔で家作成 屋根がキャンディなら、地面グミにしようか。 本当にカラフルで魔法の家だね 家が完成に近づくにつれ、言葉が少なくなる …う、ううん何でもない あの、ね。俺の本当の家ってどんなだろうって思って※今はレーゲンの家に居候 俺、記憶ないし身内もいないけど、レーゲンいるし辛いと思ったことないよ でも時々不安になるんだ、もし…もしもだよ、レーゲンがいなくなったら俺はどこに帰ればいいんだろうって。 これ…くれるの?ここ俺の家でいいの? ありがとう!……俺いっぱいもらってばかりだね (これ以上なんて贅沢言わない。せめて対等な「相棒」になれるよう頑張るから) うん、これ一緒に食べよう、俺コーヒー入れてくる! |
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スイート仕様を購入。デコも買うよ 既製品のお菓子添えるだけで雰囲気出るかも。 足りなさそうならコンビニ物色 ゼクー、面白いもの買ってきたー そして任せたー だってゼクそういう作業得意じゃん とぼやきつつダイニングテーブルで横に並び。 基本は見てるけど隙あらば勝手にデコってく。 チョコペンで蜘蛛の巣とかお化けとか書いたり 我ながらただの落書きである 完成が見えてきたら離脱。 パンプキンマグに珈琲でも淹れて進ぜよう 出来た? うん。見たけど。って、ストップ。驚きの速さだな! せめて写真ぐらい撮ろうよ 記念に少し飾ろうと思わ……ないね、ゼクだもんね はい。いつもトリックばかりだからたまにはトリートを。 キミ、実は結構甘いの好きでしょ |
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お菓子作りって難しいらしいじゃん。 でも、制作キットがあれば楽勝じゃね? 追加デコ用のグミやキャンディーも購入しこれで完璧だ! ラキアと一緒に作るぜ。 プラモデルだと思えば作成は簡単! 超真剣に作るぜ。オレの集中力を見るがいい! (集中する事と、綺麗に作れる事は別) う。壁がまっすぐにならなかった。 どうせ食べる時に崩れるからいっか。 変な所はグミヤキャンディーで誤魔化す。 と壁や屋根にぺたぺた張りつけながら、ラキアの手元を見たら。 ラキアは飾りつけが巧いなぁ。感心した。 はっ。ラキアの真似をしたら素敵装飾技術がオレの物に?と思って真似してみる。 クリスマスの時もこういうのしてみたいな 今度は家の材料から作ってみようぜ。 |
◆甘い香りに誘われて
「お買い上げありがとうございます!」
店員である、三角帽子の少女はニッコリと笑みを浮かべ箱を手渡してくれた。
『お菓子の家 製作キット』
甘いお菓子を筆記体にしたような可愛らしいデザインで、女性や子供受けが良さそうだ。
付属していないグミやキャンディなどのカラフルなお菓子は市販品で用意しつつ、パートナーの元へと足を運んだ。
◆庭付き一戸建て
「ラキアー!」
ラキア・ジェイドバイン宅の扉が勢いよく開け放たれる、ぼんやりと本を読んでいた家主は驚いて座ったまま跳ね上がる。
「お菓子の家製作キットを買ってきたんだ、一緒に作ろうぜ!」
飛び込んできたセイリュー・グラシアの手には30cmくらいの箱、外装は可愛らしいメルヘンチック。
腕にかかるビニール袋から大量のグミやキャンディの袋が見える。
目を輝かせて返事を待つセイリューの様子も相まって思わずラキアの顔が綻ぶ。
「意外だね……でも面白そう、作ってみようか」
「一杯つけてカラフルな家にしようぜ」
「他にもお菓子があるから、それも使おうか」
ラキアが戸棚からお菓子を探す間にセイリューは嬉々として箱と袋の中身を出していく、テーブルの上は瞬く間にお菓子の山となった。
「プラモだと思えば簡単だろ、オレの集中力を見るがいい!」
手を洗って用意を済ませたセイリューがキリッと表情を引き締めて作業に取り掛かる。
ラキアはそんな様子をクスッと微笑みながら見つめる。
(セイリューはこういう作業の時、あまり集中力続かないんだよね)
最初の工程は土台のウエハースに水飴を付けて、壁の模様となるクッキーを取り付けることだ。
ココアとプレーンのスクエア柄で描かれたクッキーを貼り付けていくと、ブロック壁のように仕上がる。
しかし、ラキアの予想通り集中力が切れ始めて隙間が目立ち始める。
(やべっ、グミとかキャンディで誤魔化しとこっ)
丸いグミを隙間から見える水飴にくっつけてセイリューは誤魔化した、壁色のアクセントになり華やかな色合いになっている。
ラキアも横目で見ていたが、ここは気づかないふり。カシャカシャと泡立て器で生クリームを泡立てる。
「ラキア、何に使うんだ?」
「後のお楽しみだよ」
ラキアはニッコリと笑みを浮かべて自身の作業を進める、セイリューも急かさず楽しみに待つことにした。
作業は壁を付けるところだが、集中力が切れたせいか思うように真っ直ぐ立たない。
「なんでだろ?」
頑張って合わせてみたモノの、少しだけ傾いた形になってしまった。
(た、食べる時に崩すし)
これでいっか、と思いつつセイリューは屋根用のチョコにグミやキャンディをつけていく。
照明灯のようにカラフルな装飾が増えていく、ラキアももう一枚の屋根に付けていた。
セイリューはバラバラの配置にしていたが、ラキアもバランスを合わせたのか似たような配置に付ける。
「おー……!」
「細かい作業って、ガーデニングでは良くある事だから」
感嘆の息を吐くセイリューをサラリと流しつつ、ラキアも屋根を仕上げた。
「後は屋根と煙突をつければ家は完成かな」
「早速付けようぜ」
出来たチョコの屋根を一緒に合わせて、煙突のシガレットクッキーを付けると……お菓子の家が完成した。
そしてラキアは先ほど作った生クリームを入れた絞り袋を取り出す。
「庭も作って豪華にしようよ?」
「いいな、オレ達の庭付き一戸建てだ!」
セイリューの一言にラキアはドキッとするが、セイリューは不思議そうな表情を浮かべている辺り無自覚で発したのかもしれない。
「そ、それより枝チョコを薪にしてドライフルーツを敷石みたいに置いてくれる?」
「? はーい」
セイリューは言われた通り、棒状のアーモンドチョコとドライフルーツを並べていく。
ラキアの絞った生クリームが雪景色のようにお菓子の家を彩っていく。
「出来たら美味しい紅茶を入れてあげるから、一緒に食べよう」
「オレ、チョコ多めがいい!」
目を再び輝かせるセイリューに、ラキアも嬉しそうに目を細める。
「クリスマスの時もこういうのしてみたいな」
「セイリューったら、気が早いよ」
既に次の行事を考えているセイリューにラキアはクスリと笑みを浮かべた。
(僕も楽しみにしてるからね)
◆将来設計も兼ねてます
「わぁ、お菓子の家ですよ!」
イグニス=アルデバランは無邪気な子供のように目を輝かせて店員の持つお菓子の家を眺めていた。
「製作キットか、アレなら子供でも出来そうだな」
初瀬=秀も隣で興味深そうに視線を向けている、クッキーやチョコの型押しが済んでいるだけにお菓子作り未経験でもやりやすい。
「秀様、これやりませんか?」
「面白そうだな、途中で飾り付けの菓子も買うか」
秀の同意を得られたイグニスは目を輝かせ店員の少女の元へ駆けていく。
「すみませんっ、お菓子の家下さい!」
「お前は子供か!?」
***
飾り付けのお菓子も買った秀は自身の喫茶店までやってきた、定休日で閉めているが自宅よりも設備が充実しているからだ。
「これだけあれば充分だろ」
秀は買ってきたものを確認しながら調理台の上にお菓子袋を並べていく、ほんのりと甘い香りが漂ってきた気がする。
「着工ですね、親方様!」
「誰が親方だ。土台と壁は作るからこの辺の菓子で家具でも作っとけ」
秀は買ってきたお菓子の一部をボウルに入れてイグニスの前に置いていく。
「家具ですね、ベッドはダブルでよろしいでしょうか?!」
「……うん、その辺は好きにしろ」
キリリと気合の入った顔つきで謎の熱視線を送るイグニスだが、秀は冷や汗を垂らしつつウエハースの一部を包丁で丁寧に切り取る。
「わーい♪秀様、そのウエハースもらってもいいですか?」
「いいぞ」
秀はクッキーの壁面を作りながらイグニスに返事をする、男らしい筋張った無骨な手から綺麗に整えられたお菓子の壁が作られていく。
イグニスはウエハースと棒チョコ、マシュマロを手元に寄せると鼻歌交じりにベッドを作り始める。
「やれやれ」
いつも以上にハイテンションなイグニスに、秀の色付き眼鏡の奥に隠れる鋭い目が困惑したように細められる。
イグニスの手元を見ると、チョコペンでマシュマロに模様をつけたり、水飴で接着させたりして小さな家具が出来ていく。
(意外とこういう作業もできるのか)
イグニスの初めて見る一面に感心しつつ秀も作業を進める。
細いチョコで窓枠をつけて、ウエハースの切り取った部分にも棒チョコでドア枠を付けていく。
後は屋根を乗せる前にお菓子の家具を入れよう。
「イグニ……」
自分の手元に集中していた秀が再びイグニスの手元に向けると―
マシュマロとチョコのダブルベッドにグミの椅子、一口ドーナツのテレビ、チョコのクローゼット、ビスケットのテーブルと本格的な出来だった。
チョコペンで模様も付けられて可愛らしいインテリアに仕上がっている。
「お前……入れる奴厳選しろよ……」
しかし、明らかにお菓子の家に入りきらない量。詰めたとしても家というより倉庫になってしまう。
「秀様の増築で劇的リフォームを」
「出来るか!?残したいもの以外は食え」
「えー……じゃあベッドと椅子を、私の力作ですよ!」
残念そうに眉を垂れるイグニスだが、気を取り直して渾身のダブルベッドと2つの椅子を指定。
チョコペンで花模様をつけたベッドはマシュマロの質感と棒チョコとウエハースの土台で見事に再現されている、グミの椅子も棒状のスナックを刺したキノコのようなデザインだ。
水飴で家具をしっかり固定し、四面に壁を建てる。載せた屋根が崩れないように、イグニスが押さえると秀が手早く煙突を付けた。
「よし、完成!お疲れさん、余ったお菓子でおやつにするか」
秀が珈琲を淹れ始めるとイグニスがポンと手を合わせる。
「これ、お客様に見てもらえませんか?」
「そうだな、1日くらいは店に飾っとくか」
イグニスは顔を綻ばせるとお菓子の家を厨房から店内に移動させて、涼しい場所に置く。
(これも私達の愛の巣、ですよね♪)
◆キミの家
「いつき。これ、なんだと思う?」
「……お菓子の家、製作キット」
買い物を終えて帰宅したレーゲンは、ソファで漫画を読んでいた信城いつきに買ってきたものを見せる。
「お菓子の家が作れるの!?」
「そうだよ、組み立てるだけだしデコレーションも出来るんだ」
「やりたいやりたい!」
食いついたいつきが目を輝かせて飛びついてくる。買うときに思い浮かべた、いつきの喜ぶ顔が見られてレーゲンも笑みを零す。
「棚のお菓子取ってくるからお皿とか用意してもらっていい?」
「わかった、どんな家にしようかなぁ」
パタパタと駆けていくいつきの後ろ姿を微笑ましく思いながらレーゲンは戸棚の中にしまっているお菓子を探し始める。
***
「キャンディは屋根にぺたぺた貼り付けて派手な屋根にしてみようか」
「屋根がキャンディなら、地面はグミがいいかな」
「レンガで舗装した道っぽくしたら良いかも」
料理の腕前が上がってきたいつきにしてみれば、お菓子の製作キットも遊びの一環に近かった。
隙間なく埋められたクッキーの壁や窓枠のチョコレートも外箱のイラストよりも家らしい趣になり、
グミを曲線で並べて道を作ると、リアリティが増していく。
「そうだ、家の中はマシュマロでテーブルとかソファにしてみる?」
「……ああ、うん、いいと思う」
レーゲンはいつきの顔を見ようと目線を向けると、不意に表情が暗くなっていたのを見てしまう。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
レーゲンの問いにいつきは笑顔を浮かべて返事をするが、今のレーゲンには『強い不安感』を感じられた。
ウィンクルムは親密になればなるほど、互いの感情を感応しやすくなる。
―良い感情も、悪い感情も。
「いつき、誤魔化してもダメだよ……私にも伝わってきてる」
恐る恐るいつきがレーゲンの顔を見ると、レーゲンの顔には確信を秘めた強い瞳と強ばった表情が浮かんでいる。
怒っているからではなく、心配しているからこそだ。
「……あの、ね。俺の本当の家ってどんなだろうって思って」
いつきは製作途中のお菓子の家を見つめてポツリポツリと語り始める。
今、いつきが住んでいるのはレーゲンの家。以前はどこに住んでいたのかも解らない。
レーゲンは目を見開き、いつきの悲しげな横顔を見つめる。
「あ!でも俺、記憶ないし身内もいないけど、レーゲンがいるし辛いと思ったことはないよ?」
いつきもレーゲンの様子を察したのか、慌てて現状に不満がある訳ではないと強く主張する。
「でも、時々不安になるんだ……もし、もしもだよ?レーゲンがいなくなったら俺はどこに帰ればいいんだろうって」
自分の心情を吐露したのは、初めてかもしれない。しかしいつきにとっては常に胸の中に渦巻いていた問題だ。
(言わない方が、良かったかな)
―すると、レーゲンはいつきの手を両手でそっと握り『何か』を握らせた。
「ごめんね、不安にさせて」
レーゲンのエメラルド色の瞳が揺れ、いつきの顔が映り込む。
「ここはいつきの家でもあるんだよ?」
レーゲンがいつきの手に握らせたのは、家の鍵だった。
「どんな時でも、ここに帰ってきていいんだよ。キミの家でもあるんだから」
「これ、俺にくれるの?ここ、俺の家でいいの?」
いつきは胸に込み上げる感情をレーゲンに伝えたくて、思わず抱きつく。
「ありがとう!……俺、一杯もらってばっかりだね」
「そんなことないよ、私も一杯貰ってる」
いつきの声は涙ぐんでいるように聞こえるが、レーゲンには涙は見えない。
「お菓子の家も屋根を乗せて煙突を付けるだけだよ、出来たら一緒に食べようね」
「ぐす……うん!」
ゴシゴシと乱暴にいつきは目元をこすると、レーゲンと一緒にお菓子の家に屋根を載せて煙突を丁寧に付けていく。
「出来たね、これもいつきと私の家だよ」
「へへっ、俺コーヒー淹れてくる!」
先ほどの不安そうな表情と一変して眩しい笑みを見せるいつきがキッチンへとコーヒーの用意に向かう。
「……馬鹿だな、そんなの自分のエゴじゃないか」
レーゲンの独白は静かに消えていく。
◆トリック・アンド・スイート
「ゼクー、面白いの買ってきたー」
柊崎 直香はダイニングテーブルでお茶を飲むパートナーの頭の上に箱をポンと載せる。
「食べたいだけなら完成品を買ってこい」
ゼク=ファルの仏頂面で放ったツッコミは的確だが、直香はそんな事も意に介さずケロリと返す。
「だって製作キットだもん、完成品なんて売ってる訳ないじゃん?」
「……仕方ないな」
頭上に乗せられた箱を受け取りゼクは改めて外装を確認する。
『お菓子の家 製作キット・スイート☆仕様』
パッケージは通常よりスウィーティーというか……スィーツ感満載である。
美少女と見紛う容姿の直香は難なく買える代物だが、硬派系男子なら羞恥心で卒倒しかねない!
先に見つけなくてよかった、と内心思いつつゼクは箱の裏面を見ると説明が書いてある。
「お菓子一杯買ってきたからデコデコ鬼盛りでね」
「自分でやった方が早いんじゃないか?」
「だってゼクそういう作業得意じゃん、僕は綺麗なの食べたいの」
唇を尖らせぼやく直香は箱の中身を確認し始めるゼクの隣にぼすっと腰を下ろす。
「それなら邪魔するなよ」
「はーい」
元気な返事を返すものの早速ゼクの肩に寄りかかる直香、ツッコミたい気持ちを抑えつつゼクは作業を始める。
「……買いすぎじゃないか?」
「量り売りで一杯仕入れたんだよ、エラいでしょ」
テーブルの上にはコウモリやカボチャ型のチョコに蜘蛛型グミやゴーストのマシュマロと、ハロウィン色の強いお菓子が転がっている。
微かに眉を顰めるゼクは直香の買ってきたブロック状のチョコを土台のウエハースに四角く重ねていく、中敷にして支えやすくするようだ。
「おー、なんか本格的な建築っぽい」
重ねては水飴を付けて、また重ねていく。さながら『三匹の子豚』だ、集中モードに入っているゼクは黙々と積み重ねている。
「……あ、そだ」
直香はフフンと小悪魔的な笑みを浮かべると苺チョコのチョコペンを握り、屋根用の板チョコを手繰り寄せる。
***
「もうちょいだ、出来たら教えて」
直香は完成間近と見るや、ダイニングテーブルから離れていった。
「珍しく邪魔されなかった」
張り詰めていた意識が一瞬緩んだゼクは邪魔される予感がしていたのだが、何事もなく少し拍子抜け。
「グミやキャンディは家の中に入れとくか」
ドア部分は元々設計に入ってなかったようで、何か入れるなら屋根を付ける直前しかない。
ゼクはチョコやグミ、キャンディを少しだけお菓子の家の中に忍ばせた。
「ん?」
屋根用のチョコを乗せようと手に取ると……ピンク色の蜘蛛の巣やお化けが可愛らしく描かれており、とってもメルヘン。
「……直香か」
道理で邪魔されなかった訳だ、と思いながら屋根の板チョコを乗せる。ハロウィン然としてきた。
「直香の絵も使わせてもらうか」
ゼクはコウモリチョコや蜘蛛グミを屋根に貼り付けていき、ホラーハウスに仕立てていく。
ゴーストマシュマロやカボチャチョコも家の周りに飾り付けて完成。
「出来た?お、さっすがー」
両手のパンプキンマグに珈琲を淹れて直香が戻ってきた、お菓子の家の出来栄えにご満悦。
「見たか?」
「見たけど」
「見たな」
ゼクは直香に確認すると屋根のコウモリチョコに手を伸ばす。
「驚きの速さだな!せめて写真くらい撮らせてよ」
直香は即座に解体作業に入ろうとするゼクを制止すると慌ててマグを置いてケータイを引っ張り出す。
「飾らないならせめて写真ぐらい撮らせてよ」
直香はお菓子の家にケータイを向ける。
《ぱふっ♪》という音と共にお菓子の家が画像として保存される。
「はい、じゃあ頑張ったゼクには直香さんからご褒美だよ」
直香は持ってきたパンプキンマグをゼクに差し出す。
「いつもトリックばかりだからたまにはトリートを」
ニッコリと笑みを浮かべる直香に、ゼクは頬が熱くなるのを感じた。
◆大事な物は
「いやぁ、大きなお家を想像してたけどミニチュアサイズなのね」
「ホントにデカいのだったらどうしたんだよ……」
スウィンはイルドのマンションにスイート仕様のお菓子の家製作キットを持ってきていた、
パッケージは直香と同じスイーツ感満載のゴテゴテであるが、そんな事は気にするような男ではないらしい。
「流石にリアルサイズじゃなかったわね」
ケラケラと朗らかな笑みを浮かべるスウィンは『箱の割に小さいなー』と思いつつ持ってきたが、中から30cmほどのウエハースが数枚出てきた所で気づいた。
「箱のイラストだと可愛いし美味しそうね、頑張って作りましょ」
スウィンは水飴をハケに付けるとウエハースにペタペタと塗り始める。
「わざわざ自分で作るのか……面倒だな」
「そう?工作みたいで楽しいよ~、イルドも一緒にやろ?」
童心に帰っているのか、スウィンは楽しそうに水飴を塗りつけるとスクエアクッキーを貼りつける。手際はスムーズなものだ。
「……しょーがねぇ、手伝ってやるか……まずは塗ればいいのか?」
(べ、別におっさんが楽しそうだから俺もやりたいとかそんなんじゃねーし!)
誰に向かって言い訳しているのか不明だが、イルドはもう一個のハケを握るとベチョっと水飴をウエハースに付け始めるが……
「イルド、そこ塗らなくていい部分よ?土台の内側だから」
「ち、違ったか?」
壁ではなく床板にあたるウエハースに水飴を塗っていたイルド。
「これくらいなら大丈夫よ、じゃあ俺様が貼り付けたクッキーに窓枠の細いチョコ付けてちょーだい」
「おう、それなら簡単だぜ」
気を取り直してイルドはもう一度べちょりと水飴を塗りたくった上に窓枠用のチョコを付け始める。
「あー……イルド、そこはそんなに塗らなくていいのよ。しかも歪んでる」
「ま、まだ修正できるだろ!」
動揺したイルドは手元が狂ったのか、窓枠がなぜか台形に変形してしまった。
「じゃあ壁にクッキーを……って表裏逆よ?」
「次は壁を合わせりゃいいのか?……おっさん、なんかズレるぞ!?」
「若者は細かい作業が苦手ねぇ」
「うっせぇ!」
そんな不器用なイルドをスウィンがサポートするやりとりが続いていく。
てんやわんやしつつ、お菓子の家作りが進んでいった。
***
「で~きた♪なかなか良い出来じゃないのぉ」
四苦八苦しながら作ったお菓子の家は、歪なところも多いが外箱に描かれていたイラストの面影はなんとか残っていた。
アクセントとして屋根に金と銀のアラザンをまぶし、お菓子の家の周りに綿菓子とカラフルなゼリービーンズで飾り付けた。
シガレットクッキーの先にも綿菓子を詰めて煙突っぽさを再現。
完成を喜ぶスウィンは嬉々とした様子でケータイのカメラに画像を収める。
「……菓子職人って大変だな」
「いや、お菓子職人は関係ないわよ」
スウィンにサポートしてもらいながら完成に辿りついたイルドは達成感よりも疲労感の方が強いようだ。
「食べちゃうのもったいないわねぇ、でもイルドと頑張って作ったし腐らせたくないわ」
「じゃあ、食うか」
どれにしようかな~と鼻歌交じりにスウィンはお菓子を選んでいるうちにイルドはシガレットクッキーを取る。
「あ!」
突然、スウィンが驚いたように窓の外を指差す。イルドもその様子につられて外に目を向けると……
「いただき☆」
外に意識が向いた隙にスウィンがイルドのクッキーをパクッと頬張る。
「あ!?」
「おっさんこれが食べたかったのよ~」
「わ、態々俺が持ってるのを食わなくてもいいだろ!」
不意打ちされた上に自分の食べようとしたクッキーを取られてイルドが怒りだす。
「そんなに怒んないでよ、お詫びにおっさんが食べさせてあげようか?」
「!?」
スウィンの申し出にイルドの動きが硬直する、その隙にスウィンがイルドの口に壁のクッキーを押し込む。
「はい、これでおあいこよ」
茶目っ気たっぷりに笑うスウィンの笑みに、イルドは怒りを甘く溶かされていった。
| 名前:スウィン 呼び名:スウィン、おっさん |
名前:イルド 呼び名:イルド、若者 |
| 名前:セイリュー・グラシア 呼び名:セイリュー |
名前:ラキア・ジェイドバイン 呼び名:ラキア |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 木乃 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 10月07日 |
| 出発日 | 10月13日 00:00 |
| 予定納品日 | 10月23日 |

2014/10/12-22:42
プラン提出しましたー
同じキットでもデコ次第で変わるから、みんなの作る家がどんなのか楽しみ
どうぞよろしくお願いします!
2014/10/12-21:39
はいはーい、クキザキ・タダカくんだよ。よろしくだよー。
お菓子の家って響きだけでもわくわくしてくるよね。
皆それぞれ美味しく楽しいお家を建造なされよー。
2014/10/12-02:27
2014/10/10-23:27
2014/10/10-19:21

