


●クズヌタハヴァーミン
つきうさ農区にヴァーミンが出た、とブラックLove-Bitが泡を食って、ウィンクルムたちに訴えた。
「クズヌタハがヴァーミン化しているんです。手のつけようがない暴れようで……!」
とりあえず、周辺で農作業をしていた者を避難させるのが精一杯だった、とブラックは言う。
「もう僕らではどうしようもありません。駆除していただけませんか。あれがいる限り、収穫作業ができないんです……」
と必死に訴えるので、ウィンクルムも力を貸すことにした。
とにかく行けば分かるから、と向かわされた先でウィンクルムが見たものとは!
「これがヴァーミンと化したクズヌタハですっ」
案内してきたブラックが真面目に指差すも、ウィンクルム達の目は遠い。
「あ、うん。くずだね……」
半球状に絡まる巨大な葛だった。しかも大量のつるがにょいんにょいん動いて、そこらのものを巻き取る。
しかも、くずの細かい毛が生えたつるの先っぽは、まるでじゅんさいのようにぬるぬるのゼリー質に包まれているではないか。
「これは、ぬるぬるの先端を汁椀にいれるととってもおいしい上に、根っこを乾燥させた粉は、とろとろした甘いドリンクになって、これもまたおいしいんですよ! それに、花や葉は薬になるし、つる自体は加工できるし……まさか、こいつがヴァーミンになるなんて!」
普段のクズヌタハについての説明を行ったブラックは、そのまま反転した。
「クズヌタハの弱点はたぶん、根です。普通のときも、根に除草剤を打ち込んで駆除するので。それじゃあ、あと、よろしくお願いしますねっっ!!!」
――ブラックは逃げだした!
あとには、ぬめぬめしたつる植物ヴァーミンと戦うことになったウィンクルムだけが残された……。


●成功条件:ヴァーミン撃破
●クズヌタハ
細かい毛がびっしり生え、先端がぬるぬるのゼリーに覆われたつる植物
葉や花は薬に、つるの先端は汁物に、つる自体は駕籠に、根は粉にして料理の材料になるというとっても有用な植物
ヴァーミン化している今回は、強力なつるの巻きつき攻撃を行う
つるは長く、エンドウィザードやプレストガンナーの射程をカバーできる
根の生命力は強く、つるを全て刈り取っても、瞬時に同じ量生やせる
半球状に入り組むつるをかき分けて、根を倒す必要がある
●状況
つきうさ農区内ですが、すでに避難は完了していて周辺にはウィンクルムしかいません
『どんな状況になっても』大丈夫です
お世話になっております! あき缶でございます!
タイトルの通りだよ! 案の定だよ! とうとうやらかしたよ!
だからこいつに「農作物のヴァーミン」とか考えさせたらダメなんだよ。
こうなるに決まってるだろ!?
覚悟完了してる人だけ来てください。
お色気カオス方面での苦情は受け付けられない案件でございます。
……じゅんさいっておいしいですよね。大好き。


◆アクション・プラン
ハティ(ブリンド)
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クズヌタハか… あいつを見てどう思う?食えるとしたらゼリー部分だろうか 構える剣でつるをかき分け、視界を確保しつつ根への道を開く 迫るつるは刈ったものを切り飛ばして妨害 下がるくらいなら避けず内部で捕まり、剣を使いながら体重をかけてダメージの後押し 一方向から力を掛けなぎ倒そうと試みる 過半数が捕らえられた場合、救助に動けるようならそちら優先 リン、状況は? リンについてはうるさくしている内は大丈夫だろうという認識 ひどい眼鏡になっていて可哀想やら安心するやら 着けてる意味あるのかそれ。外したらどうだ? この距離なら攻撃を外す心配も無いだろう、アンタ 見えない方が好都合だ まともに見られたら何を言われるかわかりゃしない |
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うんまあ嫌な予感はしたんだがな なんだこいつ。何がどうなったらこういう方向に進化するんだよ!?お前の目的は何だ! 普段が大変有用な作物らしいだけに残念でならない。 (色々な意味で)手遅れになる前に片付けるか…… 事前に現場から離れたところに着替えとタオルの入った荷物を隠しておく 戦闘時はイグニス始め後方班を触手からガード 巻かれたらコネクトハーツで切る 続けよイグニス!これ確かそういう奴だ! 自分が巻かれたら全力で脱出を図る こんなの相手に死ねるか……! 眼鏡が吹っ飛ばされない様に注意、粘液かかったら洗うか拭くか…… 手元が狂ったらすまん。 全部終わったらともかく着替えだな さすがにこれを食う気にはなれんわな…… |
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■準備 着替え・タオル(安全な場所に置く) ■共通 巻きつかれそうになったら 刈り取られた蔓等別の物に巻きつかせる ■ おっさん達ヴァーミンと戦うの初めてなんだけど… 最初っからコレ(遠い目) もー、やったろうじゃないの!(ヤケクソ) 後衛 2丁拳銃「カンケツセン」を使い援護 植物ならお湯で怯んでくれたりしないかしら? (蔓のせいで手元がくるって自分や仲間に濡れ被害拡大) ちょ、大惨事!何すんのよ! ぎゃああぁローブの中に!おっさんいじめ反対! キモイ!ヘルプヘルプ! ■後 終わった…や~だ、ぬるぬる; 自分と希望者にカンケツセンを使いある程度粘液を落としたり タオルで拭いたり 透けちゃうから当てるとこ間違えないようにしないとね あっ |
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動いてるのみると、けっこうエグイもんんだな…。 こんな気持ち悪いのさっさと片付けちゃおうぜ。 戦闘中は精霊達のサポートに徹して、あまり前にでないようにする。 トランスは戦闘開始直後に済ませておく。 つるに巻きつかれそうになったら、手近なものを身代りにして回避。 巻きつかれてしまった仲間がいたら、小刀で切りつけて助ける。自分が巻きつかれた場合も同様。 …それにしても、ぬめぬめして気持ち悪い。 「今すぐにでも服脱いで、洗い流したいな…」 …なんだよイチカ、その顔は? そういえば、クズヌタハって美味いんだっけ? せっかくだから何か作って食べてみたいな。 ※どんなにひどいめにあっても大丈夫です。むしろどんとこい。 |
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ヴァーミンって、なんというか。何でもありなんですね。(感心 ヴァーミン化したら、食べれなくなるんでしょうか。 邪魔にならないように、自分に向かってきたつるを切ります。他の方に向かいそうなつるも頑張って切ります。 途中、自分で切ったつるの先端を踏んで足を滑らすかも知れませんけど。 他の人が怪我をしないように、剣に注意します。自分は後回しです。 僕、くすぐられるの駄目なんです。ちょ、服の隙間から入り込まないでください! (植物に通じるはずがないが、言わずにいれない (息を切らせて) うう、酷い目に遭いました。 流石に笑い疲れて……。はあ、服とかもぐちゃぐちゃです……。 僕、本当に戦うの向いて無いですね。(少し項垂れる |
●あってないようなもの
激しくうねるクズヌタハのヴァーミンを見上げ、鴉は溜息をついた。
「見れば判るじゃありませんよ」
ある意味詐欺なんじゃないかとまで思う。何も知らずに連れて来られた先に待っていたものが、まさかの触手モンスターとの戦闘だなんて。
「知っていればもっとマシな準備ができたものを……」
と呟きながらも、黙って逃げるわけにも行かない。鴉はぬいぐるみを作り上げる。
トラのふわふわした大きなぬいぐるみが、ふよふよとヴァーミンに向かう。
ぴとりと接触した途端、巻き付く先を見つけたとばかりに、ビュルルルルッ!!
蔓がぬいぐるみを雁字搦めに縛り上げると、ぬいぐるみは高らかな破裂音をあげて爆発し、複数の蔓を千切りとばし空中に舞い上げた。
途中でちぎれた蔓達が瞬く間に伸びようとするが、その隙を縫って、イルドが駆け寄る。
「オラアッ!」
ピッケルのような細い先端を持つハンマーで思い切り殴打。
伸びかけた蔓の先が叩き潰され、のたうつ。
「はぁ、まさか初めてのヴァーミン戦がこんなのとはねぇ」
相方の戦闘を遠い目で眺め、スウィンは己の運の無さを儚む。
「でも、ここで腐っててもしょうがないわね。ったく、もー! やったろうじゃないの!」
と撃つ温泉水が詰まった水鉄砲だが、まったくもってクズヌタハには威力がないらしい。
「まぁそうよね……葛が火属性なわけはないわよね……」
スウィンは思っていたとおり、温泉水が何の役にも立たないことを目の当たりにして、少しやさぐれた。
うねうねとヴァーミンは、先端がぬるぬるとしたムチン質でつつまれた繊毛のびっしり映える蔓を再び伸ばす。
「やっぱり近寄ってかき分けて、根を叩くしかないんだな……」
蔓を攻撃しても、まったく堪えていなさそうなヴァーミンを見て、イチカ・ククルは得心する。
片手に短剣を、もう片方に長剣を、アジンドゥバを構えてイチカはヴァーミンめがけて加速する。
高速乱舞によって、根まで一気に到達しようとしたが……。
「うわ、うわわっ」
イチカを阻むように蔓が次々と絡んでくる。もちろんイチカとて黙って巻かれるつもりはなく、剣を振るって切り飛ばして無理やり前進しようとするのだが、
「ちょっ、そんな束でこないでっ?!」
剣のキャパシティを超える量の攻撃を受け、とうとうイチカは葛に絡め取られてしまった。
葛はそのまま、天に捧げるようにぐいっとイチカを持ち上げる。
「うわーイチカー!?」
自分の精霊が天高く差上げられてしまい、天原 秋乃は空を見上げて、口を半開いた。
「え、エグイ……」
空高すぎて、よくは見えないが、もごもご動く蔓団子状態になっている中ではきっとそれはもう恐ろしい事態に……。
秋乃は顔を青ざめさせ、たじろぐ。それが隙であった。
「ひっ!?」
ビュルッと前衛の間をすり抜け、一本の蔓が秋乃の腰を捕らえる。
螺旋を描いて、秋乃の顔まで迫る蔓の先端が、ぬめぬめと雫すらおとしそうな粘液にまみれているのを見て、
「うわ、気持ち悪……っ」
と思わず秋乃は口を開いた瞬間、葛は秋乃の口に潜り込んだ。
「むごー?!」
息が詰まる。秋乃は必死に小刀を押し当てるも、太い葛はなかなか切れてくれない。
「旨いのかな……アレ」
どこか冷静な口調と視線で、秋乃を観察し、ハティは首を傾げた。
「食うことから離れろよ。俺が食わせてねーみたいじゃねェか。いや、そんなこと言ってる場合じゃなくね?! っていうか、ほんと、これが初仕事でいいのかよ?! お前の冒険心にカンパイだよ!」
ブリンドはどうしようもない神人にツッコミを入れながらも、慌てて38口径の銃の引き金を引き、秋乃を解放した。
「げほっ、す、すまない……」
「いや、お互い様だからいいんだけどよ……ってハティ?!」
秋乃とブリンドが会話している間に、ブリンドの後ろを風が通った。
振り向けば、ハティが気合十分にウィンクルムソードを掲げて、ヴァーミンめがけて疾走しているではないか。
ブリンドの驚愕の声掛けに、ハティは走りながらキリリと答えた。
「根への道を開く!」
「開く! じゃねェよ! かっこいいこと言ってるけど、お前この中で最弱だからな!?」
ああもう、と額をおさえながら、ブリンドは銃をヴァーミンに向ける。神人に向かってくる葛を次々と撃ち落とし、援護した。
「……すごく親近感を覚える……」
ブリンドを眺め、初瀬=秀は身につまされる思いがする。
それにしても序盤から案の定な展開だ。
「嫌な予感はしたんだがな。何がどうなったら、こういう方向に進化するんだよ!? ……普段が大変有用な作物らしいだけに残念でならない」
「おおー、これが月の神秘でしょうか? 凄いですよ! 秀様、すっごく力持ちですよ、これ!」
秀が、早く何とかしなければ……と思いを新たにしていると、頭上から聞き馴染んだ精霊イグニス=アルデバランの声。――え、頭上?
「うおおおお!? イグニス、大丈夫かお前!?」
「いやー、この歳になって高い高いをしてもらえるとは思いませんでしたー」
イチカ同様、天に差し上げられて、現在進行形で団子にされそうなイグニスを認め、秀は目をむく。
「暢気に言ってる場合か! 手遅れになるぞ、色んな意味で」
秀はコネクトハーツをイグニスを差し上げている蔓に突き立てる。
「イグニス、続け! これ確かそういう奴だ!」
「あっ、はい」
小さなプラズマ球が聖なるワンドから飛び出し、蔓を焼ききる。
「あわわっ」
地べたに落下したイグニスだが、まだあまり高度はなかったので、大したダメージにはならなかったらしい。
「大変ですね……」
鴉のマジックブックが、イチカを救い出す。地面に落ちた蔓団子をウィンクルムソードで切りほぐしながら、鳥飼はどこか感心したようにつぶやく。
「ヴァーミンって、なんというか。何でもありなんですね」
ようやく脱出を果たしたイチカは、ローブがドロドロになっていた。
「大丈夫ですか……?」
鳥飼の問に、
「うんまぁ、なんとか守りきったよ……」
と答えたイチカの目はどこか遠い。
●触手は平等です
自分を脅かそうとする者が現れたことに、ヴァーミンは怒ったらしい。
奔流のように蔓をウィンクルム達に差し向ける。それは、前衛後衛の区別なく平等に。
「ぎゃあああっ、おっさんいじめ反対!!」
ぬるぬると足元から狩衣の中に入ってこようとする蔓に、まるで踊るようにもがきながらスウィンは抵抗する。
「ちょ、ちょっ!?」
両足の太腿まで迫ってきた二本の蔓に、スウィンは錯乱して温泉水を撃ちまくる。
だが、それは彼のズボンを水濡れで透けさせるだけだった。
スウィンの足をまるで蛇が巻き付くように太い蔓が絡みついている様子が、外からでもよく分かる。
「ちょ!? 何やってんだおっさん!?」
神人の悲鳴に反応し、振り向いたイルドが顎を落とす。
「えっ? あ、いやぁあー?! 服がー!?」
自分でやったことなのだが、スウィンは混乱のあまり悲鳴をあげた。
「ったく、世話やかすなよ……?」
と踵を返そうとしたイルドの背後に迫る葛!
スウィンが気づいて、目をぐるぐる渦巻きにしながらも、必死に指摘する。
「イ、イルド、うううしろっうしろっ」
「は? って、ぎゃー?!」
バトルジャケットの襟からぬるぬるが侵入してくる。こうなれば、バトルジャケットに仕込んだ金属メッシュなど役に立たない。
浅黒いイルドの精悍なハリのある肌を這うヌメヌメした感触と、繊毛によるソワソワした感触に、イルドはたまらず身もだえる。
「く、うっ、くそっ。あっ」
イルドは目尻に生理的な涙を(くすぐったいので)浮かべ、ままならない(くすぐったいので)手で、己に巻き付きのたうつ蔓を襟外で捕まえて、ベスパのピックで穿って千切った。
単純ないきものだからか、根本から離されてもまだうごめく蔓を引き出し、地面に捨てて踏みにじったイルドは、スウィンの方を見て、
「おっさーん!? 状況悪化してるじゃねーか!」
目を見開く。
「あ、頭に血がのぼるわぁ……ヘルプヘルプゥ~」
両足を捕らえられたスウィンは、V字開脚の上に、逆さ吊りにされていた。
「わっわっ、イルドさんは、前にいて下さい。スウィンさんは僕が……!」
散らばる蔓の残骸につまづきながらも、鳥飼はイルドに叫び、スウィンを襲う蔓に剣を振るう。
「はぁっ、大丈夫ですか……っひゃ!?」
ようやくスウィンを吊る蔓を切り倒したかと思うなり、鳥飼の首に蔓が絡まる。
「鳥飼ちゃん!?」
スウィンが慌てて水鉄砲を撃つも、水鉄砲は鳥飼のメイル下に着こむ下着を透けさせる効果しかなかった。
いや、
「あ、熱いっ」
温度が高めな温泉水は、鳥飼に高い悲鳴を上げさせる効果もあった。どっちも特に鳥飼に有利な効果ではなかったのが残念である。
「くっ、うっ……か、かたくて、ふとい、です……っ」
鳥飼は、首をギチリと締め付ける蔓を爪で引っかき、ケホと咳き込む。
「あっ、はぁっ、ああ、い、いきが……っ、う、くるし……っ、うぅ、やめ、やめてくださ……っ」
息が詰まり、必死に空気を求めて喘ぐ鳥飼の目尻が赤く染まっていく。植物相手に制止を求めても意味は無いが、それでも苦しむ鳥飼は言わずにはいられなかった。
カリカリと必死に鳥飼は蔓に爪を立てるも、そんな程度ではどうにもできない。
「主殿、それ以上は健全な状況でも不健全にしか見えませんからね」
強制終了です、と鴉は蔓の根本にマジックブックの魔力をぶつけて、断った。
「けほ、けほ……鴉、さん、ありがとうございます……」
「本当に、これで男性だというのですから……。世の中おかしいですね」
とぼやく鴉の言葉は、意味が伝わらなかったらしく、鳥飼は不思議そうに首を傾げた。
蔓の先端がかするたびに、秋乃のローブは粘液で濡れていく。
「今すぐにでも服脱いで、洗い流したいな……って、違う! 今じゃない!!」
ぼやいた途端、秋乃のローブの中に侵入してきた蔓が中から服を引き裂こうと動き出し、秋乃は面食らう。
「こ、ここでパンイチは無理だって! ぎゃあっ」
(ええ!? 秋乃ってば裸になりたいだなんて、そんな大胆な!!)
と背後から聞こえる神人の悲鳴を聞き、思わず言いかけたイチカは口をつぐむ。そういう場合ではない。
こんな時、自分が前衛で、神人が後衛の状況が歯がゆい。助けに行けないではないか。
(心配だけど、集中集中……)
このヴァーミンを倒さない限り、蔓は伸び続けて後衛を苦しめるからイタチごっこだ。イチカは双剣を握り直し、乱舞を続けた。
蔓に中から広げられるローブの繊維が、ブチブチと断末魔をあげはじめたので、秋乃の顔が青ざめる。このままでは服が縦に裂けて、パンツとガントレットとブーツだけという、なんともマニアックな格好になってしまう。
しかし、秀のコネクトハーツとイグニスの魔法が秋乃の裸ご開帳を阻止する。
「大丈夫か? ったく、根を倒さないと埒があかないな」
秀が溜息を吐く。
「そうですよね。ともかく根っこが弱点なんですよね! ……根っこが見えません……」
とイグニスは気合十分にシェアトをクズヌタハに向けてみるも、狙いを定められずしょんぼりと肩を落とす。
「なかなか森は深いってことだな……うおおっ?!」
と顎を撫でていた秀だが、急に足に巻き付いてきた葛に驚いて声を上げた。
「く、くっそ、離せ。こんなの相手に死ねるかぁ……!」
と暴れようとするが、両足をまとめて縛られているような状況なので、はからずも地面に倒れこんでしまう。
「秀様、パンツに気をつけて!」
「それもなまじ洒落にならん状況だな。っていうか呑気に言ってないで助けろ、イグニス!」
「あっ、そうですね。葛を切っちゃえばいいんですよね!」
イグニスはハッと気づいて、秀の脚に巻き付く蔓をプラズマで焼ききった。
●葛勇者
大騒ぎを背に、ハティは勇猛果敢に駆けていた。
近寄る蔓を切った張った、這いよる蔓を跳び越えて、迫る蔓は弾き、根っこめがけて走る走る。
「下がるくらいなら、なぎ倒す!」
気迫が良かったのだろうか、それともヴァーミンは、ハティよりも強そうな脅威を優先したのだろうか。ハティは思ったよりも軽微な被害で葛の中を突き進んでいく。
「大騒ぎしてたら、うちの神人が見当たらねんだケド……」
ブリンドは周囲に迫る蔓を撃ち落としている――どうしても撃ち漏らしてしまう分が上記の大騒ぎをもたらしていたわけだが――間に、自分の相方がいなくなっていることに気づいた。
「ま、まさか……葛の中でひでえことになってるんじゃなかろうな……」
背中に冷や汗をいっぱいかいて、ブリンドは蔓がからみ合って巨大なドーム状になっているヴァーミンの中心部を見やる。
「あー……しょうがねえなぁもう! あのアホはぁ!」
見に行くしかあるまい。ブリンドは碌な事にならないのは分かっているものの、ヴァーミンに近づいていく。プレストガンナーなので、前衛に出る必要はないはずなのだが、近寄らなければハティの安否すらわからないのだ。
牽制もかねて銃を乱れ撃ちながら、ブリンドは進む。
「おい、アホ! 生きてんのか?!」
そびえ立つ蔓の塊の隙間から声をかけると、奥から聞こえてきた声。
「リン、状況は?」
「状況って……」
スウィンが逆さ吊りになっていたり、イルドがくすぐられていたり、鳥飼が喘いでいたり、秋乃が脱がされそうだったり、秀がパンツの危機だったり……を言えというのだろうか。
「なんで俺が実況しなきゃなんねェーんだブチ抜くぞ! それよりお前がどうなってるのか言えー!」
「もうすぐ根だと思う!」
「なっ、なにィ?!」
まさかの答えにブリンドは眼鏡の奥の目を見開いた。
「なんか、蔓じゃなさそうな太くてもっと固くて大きなものが……うわあっ」
状況説明は唐突に悲鳴に変わった。
「ハティ?!」
驚き、とっさに助けに行こうと進みかけたブリンドだが、露払いの銃撃をやめていたため、蔓は大量に彼の周囲にうごめいていた。
行く手を阻むように、蔓の大群がブリンドを包む。
「あ、アアッ!?」
いままで見逃していた分のツケを払ってやろうと言わんばかりの猛攻を受けるブリンド。
いち早く異変に気づいたイチカが助け出そうと剣を振るう。
「なんでブリンド君、いつのまに前に出てるんだよ!」
「ハティが、ああっ、中にっ。根に到達したとこで、くっ、捕まって……ひっ」
たまらず漏れる声の合間に、ブリンドは仲間たちに必死に状況を説明する。
鴉が進み出て、ブリンドが中にいる団子に声をかけると、
「状況はわかりました。あとはおまかせを……イルド殿」
イルドに目配せをする。
「おう、分かった。……喰らいな!!」
鴉はクマのパペットを作ると、イルドがグラビティブレイクを叩き込んで作り出した窪みに押し込んだ。
少し間を置いて、ヴァーミンが中から爆発する。
噴煙が落ち着くと、そこには巨大な丸々と太った根と、その横で爆発の余波で開放されたのか、大量の葛の破片に埋もれたハティがいた。
根にはハティのウィンクルムソードが辛うじて刺さっている。
「急げ、すぐ蔓が再生するぞ!」
秀が叫び、心得たとばかりにイグニスは根に狙いを定めて、必殺の魔法を放った。
根の中から煙が上がり、みるみるうちに真っ黒に炭化していく。
素早いイチカが飛び込み、ハティと剣を回収して、距離をとった途端、クズヌタハの巨大な根は炎上した。
●おいしいくず
「倒したか……」
ハティは、状況終了を悟り、安堵の息を吐く。衣服はぬめつき乱れ、半裸同然になってしまったが、特に外傷がなかったのは幸運だった。
「ったく……手間かかせやがって」
団子から開放されたブリンドは、重点的に首から上を撫で回されたらしく、髪も顔も粘液でどろどろである。当然、彼の眼鏡もドロドロで、視界が確保できているとは思えない。
ブリンドに近寄り、ハティは首を傾げる。
「リン、大丈夫か? つけてる意味あるのか、その眼鏡。外したらどうだ? 見えないほうが好都合だしな」
「いや……」
(俺の眼鏡は伊達なんだが……この状況で言い出せねェじゃねえかッ! 見えてねえと思って、ゆっ油断してんじゃねーよボケが……!)
神人のあられもない格好を前に、頬を赤らめるブリンドだが、顔もどろどろなので、他人には悟られなかった。
イチカは秋乃に駆け寄るも、互いにひどい格好なことを認め、言葉に詰まる。
「なんだよ、イチカその顔は。……それにしてもぬめぬめして気持ち悪い。……これじゃあすぐに戻って報告ってわけにもいかないな……」
イルドからタオルを受け取り、簡単に体を拭ったスウィンは、手を二度打って呼びかける。
「ハイハイ、どこか水場を探して、着替えましょ」
「シャワー浴びれるとこはないか?」
イルドの質問に、スウィンは腕を組んで、唸る。
「うーん、ここ農業区だし、そんな上等なものはどうかしら? でも、農業用水みたいな場所くらいならあるでしょうね。あ、温かいお湯がご希望なら水鉄砲で良ければあるわよ~」
「そうだな、ともかく着替えだ着替え」
秀が歩き出す。その後を追いながら、イグニスはウキウキと話しかけた。
「ところでこのクズヌタハ? って食べられるんですよね。戻ったら普通の奴が食べられるといいですよね! くず餅っておいしいですし!」
「まぁ、さすがにこれを食う気にはなれんわな……。戻ったらあのブラックに頼んでみるか」
と顎を撫でる秀の言葉を聞きつけ、頷く黒。
「それはいい。……何というか、面白い事にはなりましたが、ある意味、騙し討ちのような目に合わされたわけですし……? それなりの対価をいただかねば」
にやと鴉は黒い笑みを浮かべていたのだが、ひどい目にあった……と沈んでいる鳥飼は気づかなかった。
| 名前:ハティ 呼び名:お前、ハティ |
名前:ブリンド 呼び名:リン、ブリンド |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | 戦闘 |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | 通常 |
| リリース日 | 09月17日 |
| 出発日 | 09月25日 00:00 |
| 予定納品日 | 10月05日 |

2014/09/24-23:53
2014/09/24-19:14
皆の優しさに全おっさんが泣いた!
そんじゃカンケツセンを持っていかせてもらおうかね♪敵への嫌がらせ+粘液落とし+αね。
何かあったらイルドが責任取るわ
イルド「おい」
2014/09/24-10:25
鴉さんが、後方支援に回るなら。僕も、邪魔にならないように下がってますね。
武器は支給されたウィンクルムソードですけど。つるを払うお手伝いはできると思いますから。
入れた水が温泉水に変わるなんて。カンケツセン、面白い機能ですね。
植物ですから、お湯をかけられるのは嫌がるかも知れません。
2014/09/24-02:57
装備新調して片手剣をゲットしたので俺はつるをぶった切りつつうろつく係をやってると思う。
眼鏡な……気を付けるわ。それこそ手元が狂ったら許せ。
カンケツセン……うん、いろいろ終わった後の粘液落としには使えるんじゃないか?
あとダメージ通らなくてもびっくりはするかもしれませんよ!とうちの精霊が主張している。
植物にびっくりの概念があるかは謎だが。
イグニスは遠くから根っこが見えれば乙女の恋心、
狙えなさそうなら根っこ班に迫るつるを小さな出会いで撃ち落とす感じかね?
2014/09/24-01:18
(小銭を並べて数えている)
リンに武器を買ってきたので、攻撃面でも頑張ってもらえればと思う。防具は無理だった。
俺は…刈ったつるを使いつつ、内側で捕まったらダメージの入ったところに体重かけてみようかと。
初瀬さんとリンは粘液に気をつけた方がいいかもしれないな。眼鏡。
カンケツセンとは。面白い名前だな。
粘液落とすのにはいいかもしれない。お湯。
2014/09/24-00:54
巻きつき対策と根を叩く奴にわかれるんなら、イチカも根を叩くほう重視で動いたほうがいいか?
アルペジオで一気に根のところまでいって叩かせようと思う
2014/09/23-21:10
あ、よく考えたらカンケツセン持ってったらおっさん完全に役立たずになるわ(笑)
やめといた方がいいかねぇ
2014/09/23-21:03
初瀬の旦那、お久しぶり~♪(ひらりと手を振って)
イルドは根を叩くの重視がよさそうかね?パペットマペットの後に突入ね、りょーかい。
ところでおっさん、カンケツセンっていう新しい武器手に入れたのよ。
希望者がいればね、うっかり狙いがくるってね、その人に当てちゃう事もあるかもね(意味深な笑顔)
うん、どういう理由でこの武器持っていけばいいか全然分かんないけどね!攻撃力0だしね!
2014/09/23-18:48
鴉:
では、まず初めに私のパペットマペット突入させた後。
イルド殿が続くといった形でしょうか。
>分担
私は、巻きつき対策に回りましょう。
二度目のパペットマペットは、遠距離職の防御に一度使わせていただこうと思います。
2014/09/23-02:35
スウィンは久し振りか?まとめありがとさん。
ジョブが綺麗に分かれたな…つっても前衛とか後衛とか関係なさそうなのが辛いとこだが。
とりあえず根を叩く奴と巻きつき対策する奴に分かれたりとかか?
うちの方は火力重視で乙女を根に叩きこむか範囲のカナリア、小さな出会いで牽制とか考えてる。
2014/09/21-22:56
スウィンはメンバーのまとめあんがとな。ふーむ。
誰かが捕まったら他への攻撃が弱まるとかそういうもんでもなさそーな気ィするし、
つるに射程外はねえみたいだし、つーかつるだし、
ナニ相談すりゃあいいんだと思ってたが対処法あるもんなんだなあ。
ワンクッションでもあった方がいいだろうし出てる案に異論はねえ。
俺達にゃ特別なことは出来そうもねえが、万一過半数が拘束されるようなコトになったら脱出の手伝いを優先するつもりだぜ。
刈ったつるを身代わりにするのは俺とハティにも出来そうだな。
2014/09/21-14:12
ハティとブリンドはお初ね。おっさんはスウィン、パートナーはハードブレイカーのイルドよ。
今回のメンバーは
テンペストダンサー1
ハードブレイカー1
トリックスター1
プレストガンナー1
エンドウィザード1
ね。よろしくぅ。
「つるをかき分けて根を攻撃」に賛成よ。天原の案もいいと思うわ。一応おっさんも頑張る予定。
スキルは…「トルネードクラッシュ(範囲攻撃)で一気につるを刈り取って一瞬でも隙を作って
グラビティブレイクで防御下げ+攻撃」か
「パッシブで攻撃力上げて、トルネードクラッシュⅡかグラビティブレイクのどっちかで攻撃」
って考えてるわ。
2014/09/21-10:40
鴉と申します。
主殿共々、よろしくお願い致しますよ。
私としましては、パペットマペット1が現状2回使えますので。
まず初めに使うことで、対象までの距離を縮めようと考えていました。
瞬時に生えるといいましても、その一瞬で多少でも近づくことが出来ればと。
>身代わり
良いかも知れませんね。
刈り取られた自分のつるにでも、巻きつかせておきたいところです。
2014/09/21-01:22
初めましての奴らは初めまして。
天原秋乃だ。よろしく頼む。
根を攻撃するってのには賛成。というか、それ以外に手がないみたいだしな…。
巻きつき攻撃にあいそうになったら、身代わりに何か別のものに巻きつかせるのはどうかなと思うんだが…どうだろう?
2014/09/21-01:07
初瀬だ。相方はエンドウィザードのイグニス。よろしくな。
つるをかき分けて根を叩くって認識でいいと思うぜ、問題はどうやって中に突っ込んでくかだが…
普通に向かったら巻きつかれるだろうしな…
2014/09/20-11:59
僕は鳥飼と呼ばれています。
よろしくお願いしますね。
つるを切ってもすぐ生えてくるみたいですし。(首傾げ
エンドウィザードやプレストガンナーにも届くという事は、精霊さんは皆射程内ですよね。
対象が増えることで。威力を分散して欲しいところです。
(自分も攻撃に加わるつもりでいる)
2014/09/20-02:34
テメー装備も整わねえ内からどういう
…ブリンドだ。こいつの精霊でプレストガンナー。付いていきたいっつってもなー。
つるを刈ることに意味は無いみてえだし、根っこを叩くって共通認識でいいんじゃあねえのか。
2014/09/20-02:06
ハティだ。今回が初仕事になるが、足を引っ張らんよう付いていきたいと思っている。
同行の皆はよろしく頼む。
おいしいヴァーミンか…生でも食えるんだろうか。

